JP4840811B2 - 食品用複合吸水マット - Google Patents

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Description

本発明は、肉や魚などの切り身を樹脂製の皿(トレイ)に入れてポリマーフィルムなどで包装する場合に、皿の中の敷物として用いる食品用吸水マットに関するものである。
従来の食品用吸水マットは、パルプなどの親水性繊維で形成された不織布のみから構成された単層のもの、あるいは、このような液体吸収シートの表面に、多数の孔をあけたプラスチックシートを一体化した二層構造のものが知られている。
例えば、特許文献1(実公平7−492号公報)には、エンボス加工によって切れ目を発生させた合成樹脂フィルムを表面シートに用いることにより、吸収シートに吸収された有色液体を隠蔽し得る吸水マットが提案されている。しかしながら、この吸水マットでは、エンボス加工による切れ目は、微小なものにしかならず、しかも連続加工すると、切れ目の状態が変動しやすく、食品ドリップの透過・吸収能力がやや低レベルであるといわざるを得ない。
また、特許文献2(特許第3160188号公報)には、特定の刃角を有するスリット刃を用いて、線状のスリットを設けた不透明シートを表面シートに用いることにより、ドリップ吸収速度を向上させ、しかも隠蔽性も確保した吸収溝付きドリップ吸収シートが提案されている。しかしながら、線状のスリット(切れ目)を多数設けると、当然のことであるが、シートの強度が甚だしく弱体化するので、切れ目の間隔を広げ、その長さは小さくせざるを得ない。従って、ドリップの透過・吸収能力は、充分とはいえない。
さらに、特許文献3(特許第2841282号公報)には、表面側の開孔が大きく、吸収シート側の開孔が小さい、すり鉢状の孔を有する合成樹脂製の網体とシート状の吸収体が積層一体化されたトレイマットが開示されている。しかしながら、このマットは、表面側の開孔が大きいので、シート状の吸収体の吸液された有色液体(血液など)が開孔部から見えやすく、商品価値としては劣るものであった。
また、これらの先行技術には、吸収シートの素材として、不織布、スパンレース不織布、パルプ製不織布などの記載はあるが、例えば熱接着性複合繊維およびパルプなどを主体とするエアレイド不織布については、なんら記載も示唆もない。
実公平7−492号公報 特許第3160188号公報 特許第2841282号公報
本発明は、食品が発生する血液などの有色液体をスムーズに吸収シートに吸収でき、しかも、有色液体が消費者側から見えにくく、さらにケミカルバインダーが存在しないため、残存モノマーや微量ホルマリンの発生もなく、人体に安全で、地球環境に優しい食品用吸収マットを提供することにある。
本発明は、多数の微小な孔を有し、厚さが0.1〜1mmのポリオレフィン系シートと、熱接着性複合繊維とパルプを主体とするエアレイド不織布からなる吸水シートとが、積層一体化されてなる食品用複合吸水マットであって、かつ該ポリオレフィン系シートの孔は、食品に接する面の開孔径Aよりも、吸水シートに接する面の開孔径Bの方が大きいことを特徴とする食品用複合吸水マットに関する。
ここで、上記孔の数は50〜200個/cm、食品に接する面の開孔径Aは0.2〜1mm、吸水シートに接する面の開孔径BはA×1.2〜2倍であることが好ましい。
また、ポリオレフィン系シートの孔は、異なる孔径が混在していてもよい。
さらに、本発明の食品用複合吸水マットは、熱接着性複合繊維とパルプの重量比率が100〜70/0〜30で目付が5〜15g/mである表裏層と、熱接着性複合繊維とパルプの重量比率が20〜50/80〜50で目付が20〜150g/mである内層の3層が積層一体化されてなるエアレイド不織布からなるものが好ましい。
本発明の食品用複合吸水マットは、食品が発生する血液などの有色液体をスムーズに吸収シートに吸収でき、しかも、有色液体が消費者側から見えにくく、さらにケミカルバインダーが存在しないため、残存モノマーや微量ホルマリンの発生もなく、人体に安全で、地球環境に優しい。また、ポリオレフィン系シートの孔は、食品に接する面の開孔径が吸水シートに接する面の開孔径よりも小さいと、吸収シートに吸液された血液などの有色液体が孔あきのポリオレフィン系シートの開孔部から見えにくく、清潔感があり、購買意欲も高まり、しかも液体の逆戻り現象も少ないので衛生的である。
ポリオレフィン系シート
ポリオレフィン系シートを構成するポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂が、耐水性、成形性、価格などの実用性の観点から好適である。このポリオレフィン系樹脂には、消臭剤、抗菌剤、着色剤、親水剤などの添加剤が配合されていてもよい。特に、添加剤として、二酸化チタンは、フィルムが不透明になるため、隠蔽性が高く、表面側から吸収されたドリップを視認し難くなるので、好ましい。
ポリオレフィン系シートの厚さは、0.1〜1mm、好ましくは0.15〜0.8mmである。0.1mm未満では、薄すぎて表裏面で異なる開孔を設けるのが困難になるうえ、食品が直接吸収シートに吸液された液体に接触する可能性が大きく、不衛生である。しかも、薄すぎると柔らか過ぎて取り扱い性も悪化する。一方、1mmを超えると、厚すぎて液体透過速度が遅くなり、吸液性能に悪影響が出る。
本発明に用いられるポリオレフィン系シートには、多数の微小な孔が穿設されている。この孔は、機械的針方式、熱針方式、微細孔からの熱風吹出し方式などの手段により、適宜、穿設することができ、必要とする孔の大きさ、孔径の差に応じて任意に選択できる。
ここで、孔の形状は、円形、楕円形、四角形(長方形、正四角形)、三角形のいずれであっても良い。
なお、本発明における後記開孔径とは、孔の任意の内寸のうち最大の内寸と、最小の内寸の平均値で表すものとする。
上記孔は、食品に接する面の開孔径Aよりも、吸水シートに接する面の開孔径Bの方が大きい必要がある。例えば、表面側の開孔径は、0.2〜1mm、好ましくは0.3〜0.8mmであり、吸水シートに接する面の開孔径Bよりも小さいので、吸収された血液などの隠蔽性が良くなる。表面側の開孔径が小さ過ぎる場合、吸液性能が悪化し、一方、大き過ぎる場合、隠蔽性が悪化して好ましくない。
ここで、孔の数は、50〜200個/cm、好ましくは70〜160個/cmである。50個/cm未満では、ドリップ透過性が悪く、一方、200個/cmを超えると、フィルムの強度が弱くなり、また隠蔽性も悪化するので、好ましくない。
また、吸水シートに接する面の開孔径Bは、A×1.2〜2倍、好ましくはA×1.3〜1.8倍である。1.2倍未満では隠蔽性に欠け、一方、2倍超の場合は、隣接する孔どうしの境界部が小さくなり過ぎて作製困難で実用的でない。
なお、本発明に用いられるポリオレフィン系シートは、上記の条件を満たす範囲であれば、異なる孔径のものが混在していても良い。この場合、それぞれの孔径は、B=1.2A〜2Aを満たす必要がある。
このような多数の微小な孔を有するポリオレフィン系シートは、例えば通常のポリオレフィン系シートを熱針ロール、受けロール間に通すことで加工できる。熱針ロールの温度は、180〜350℃が好ましい。熱針ロールの最適温度は、材質や加工温度によって変える必要がある。例えば、ポリプロピレンシートを加工する場合には、180℃未満では孔開け不良や接着不良が発生し、350℃を超えると熱ロールへの融着取られなどのトラブルの原因となる。さらに好ましくは、220〜330℃である。
熱針ロールと受けロールの隙間は、0.1〜2mmが好適である。この間隔が0.1mm未満では嵩が潰れて保水性能が低下し、一方、2mmを超えると孔開け不良や接着不良の発生原因となる。好ましくは0.2〜1.5mmである。
吸水シート
本発明の食品用複合吸水マットにおいて、基材となる吸水シートは、熱接着性複合繊維とパルプを主体とするエアレイド不織布から構成されている。
このうち、熱接着性複合繊維としては、芯鞘型や偏芯サイドバイサイド型の複合繊維が好適である。鞘あるいは繊維外周部を構成するポリマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレンが挙げられる。芯成分あるいは繊維内層部を構成するポリマーとしては、鞘より高融点であり、加熱接着処理温度で変化しないポリマーが好ましい。このような組み合わせとして、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステルなどが挙げられる。これらのポリマーは、本発明の作用・効果を阻害しない範囲で変性されていても差し支えがない。さらに、フィブリル状繊維であっても良い。例えば、三井化学株式会社のSWPなどが挙げられる。
熱接着性複合繊維は、細いと構成繊維の本数が多くなるので、脱落繊維が少なくなり、太い場合は、繊維間の空隙が大きくなり、嵩高い不織布となる。好ましい繊度は、0.5dt〜50dtであり、さらに、好ましくは、0.8dt〜30dtである。50dtを超えるとパルプの脱落が抑え切れず好ましくない。一方、0.5dt未満では不織布の生産性に欠けるので実用的でない。
また、熱接着性複合繊維の長さは、1〜15mmが好ましい。繊維が短いとパルプとの混合性がよくなり、より均一な不織布となりやすいが、1mm未満になると粉末状に近づき、繊維間結合による網目構造が作りにくくパルプの脱落を抑えきれなくなるばかりか、不織布としての強力が低くなり、実用性に欠けるので好ましくない。一方、15mmより長くなると不織布の強力は上がるが、不織布製造時の繊維の空気輸送において繊維どうしが絡まりやすくなり、繊維塊状欠点を増大させるので好ましくない。特に、好ましいのは、3〜10mmである。
一方、吸水シートを構成するパルプは、長さが0.2mm〜5mmの粉砕パルプが好ましい。パルプは、吸水性を確保するための素材であり、性能、価格の観点から最も好ましい。なお、パルプ以外に、コットン、麻などの天然繊維、レーヨンなどの化繊を50重量%未満含有していてもよい。50重量%以上では、吸水性能が悪化し、実用的でない。
本発明の吸水シート全体において、熱接着性複合繊維とパルプとの重量比率は、20〜50/80〜50、好ましくは25〜45/75〜55である。熱接着性複合繊維が20重量%未満では、吸水シート中のパルプの固定化が困難であり、一方、80重量%を超えると、相対的にパルプの含量が少なすぎて吸水性が悪化するうえに、コストもアップするので実用的でなく、好ましくない。
以上の本発明の食品用複合吸水マットとしては、熱接着性複合繊維とパルプの重量比率が100〜70/0〜30で目付が5〜15g/mである表裏層と、熱接着性複合繊維とパルプの重量比率が20〜50/80〜50で目付が20〜150g/mである内層の3層が積層一体化されてなるエアレイド不織布が好ましい。
ここで、表裏層には、上記の熱接着性複合繊維やパルプのほかに、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ビニロンなどの合成繊維や、コットン、麻などの天然繊維などの他の繊維を含んでいてもよい。この場合、表裏層における熱接着性複合繊維の割合は70〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは85〜100重量%である。70重量%未満の場合はパルプなどの脱落が生じる可能性が多くなるうえ、内層部のパルプの脱落を押さえる効果も少なくなるばかりか、湿潤強力も低くなり、実用上の問題を生じる。
表裏層を形成するこれらの繊維は熱接着されており、この繊維間結合による網目状構造でパルプが固定される。目付は、好ましくは5〜15g/m、さらに好ましくは6〜14g/mである。5g/m未満では、耐水性を有する熱接着性複合繊維の量、および繊維間の結合点数が少ないので、十分な湿潤強度を確保できないばかりか、接着不良となったり、脱落繊維の増大を招きやすい。一方、15g/mを超えると、耐水性のある熱接着の層が厚くなりすぎ、内層への水分の吸収が不十分となり、また、コスト的に不経済となる。目付けが大きくなると、強度は大きくなるが吸水性は低下する。しかしながら、本発明の範囲であれば、吸水性が十分でかつ湿潤時でも強度があり、繊維の脱落もない食品用複合吸水マットを得ることができる。
一方、内層は、熱接着性複合繊維とパルプが熱接着により一体化されている。熱接着性複合繊維は、表裏層と同じものを用いても異なったものを用いてもよい。パルプとしては、長さが0.2mm〜5mmの粉砕パルプが好ましい。
内層の熱接着性複合繊維とパルプの混合比率は、熱接着性複合繊維/パルプが好ましくは20〜50/80〜50重量%、さらに好ましくは25〜45/75〜55重量%の割合である。パルプの比率が80重量%を超えると強度が弱くなり層間剥離を起こし、湿潤時の強度が低下する。一方、50重量%未満ではドリップの吸収性が悪くなる。
熱接着性複合繊維の比率が大きくなると強度は大きくなるが吸水性は低下する。そこで、十分な強度、特に湿潤時における強度と、吸水性の両立は難しかった。食品用吸水マットにとって、これらの両立は非常に重要である。本発明の比率の範囲においてはじめて、充分な吸水性を保ち、かつ、湿潤時でも十分な強度のある食品用吸水マットが得られるのである。また、熱接着性複合繊維の比率が大きいので、嵩が小さく、薄くすることもできる。
内層において、熱接着性複合繊維どうし、また、熱接着性複合繊維とパルプとは、熱接着されている。この内層の目付は、好ましくは20〜150g/m、さらに好ましくは30〜120g/mである。20g/m未満では、パルプの量が少な過ぎて吸水性が不十分であり、一方、150g/mを超えると、本用途には過剰の吸収量となって適さない。
また、このような三層構造の吸水シートは、表裏面と内層の間も熱接着性複合繊維どうしの熱接着により一体化されており、さらに十分なヒートシール性を有する。
本発明の吸水シートは、どのような方法で製造されていてもよいが、エアレイド法による不織布が好ましい。エアレイド法で製造された不織布は、不織布を形成している繊維が、不織布の長手方向、幅方向および厚み方向にランダムに3次元配向されているので好ましい。
ここで、エアレイド法による不織布は、以下のようにして得ることができる。
所定量の解繊された熱接着性複合繊維を主体とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔を有するスクリーンから吹き出した該繊維を、下部に設置された金属またはプラスチックのネットに落としネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維をネット上に堆積させる。次に、熱接着性複合繊維とパルプの混合物を同様にして、上記堆積シートの上に堆積させる。さらに、熱接着性複合繊維を主体とする繊維をこのこれらシート上に堆積させる。
次に、この熱接着性複合繊維が充分その接着効果を発揮する温度に全体を加熱処理して、本発明の乾式パルプ不織布からなる吸水シートを得ることができる。接着効果を十分発揮させるには、熱接着性複合繊維の接着成分の融点より15〜40℃高い温度での加熱処理が必要である。
このように、エアレイド法で製造された不織布は、不織布の流れ方向、幅方向および厚み方向へ繊維をランダムに3次元配向させることが可能である。そして、これらが熱接着するので、層間剥離を起こすことがない。また、エアレイド法で製造した不織布は、均一性が良好なので、性能のバラツキも少なくなる。
必要であれば、さらにカレンダー処理やエンボス処理を施すこともできる。
本発明に用いられる乾式不織布からなる吸水シートは、タテとヨコの強力の比率が、乾燥時および湿潤時ともに、通常、0.7〜1.1であり、好ましくは0.75〜1.05である。どちらか一方の強度が低ければ実用上の支障を生じ易い。
また、乾燥時と湿潤時における引っ張り強力の比率は、通常、0.6〜1.1であり、好ましくは0.7〜1.1である。0.6未満のものは、乾燥時に比べて湿潤時の強力が大きく低下する、すなわち、濡れると弱くなる不織布であり、本発明の意図するところから外れ、実用上問題が生じる。また、湿潤時には水分の存在による繊維間の表面張力で強力が上昇し、1を超える場合があり、これも本発明の範囲であるが、なんらかの水分の存在で結合する別の手段が存在しない限り1.1を超えることは通常はない。
本発明に用いられる乾式不織布からなる吸水シートは、適度な水分吸収性が必要であり、水分の吸収性は、通常、5〜20g/g、好ましくは6〜18g/gである。5g/g未満では、吸収性が不充分であり、一方、20g/gを超えることは高分子吸水ポリマーなどの特殊繊維を使わないと吸水しえない値である。
以上の乾式不織布からなる吸水シート(単層品、三層品を含む)の全体の目付は、通常、30〜160g/m、好ましくは40〜150g/mである。30g/m未満では、保持する水分量が不十分であり、一方、160g/mを超えると保持する水分量が食品用吸水マットとしては過剰である。
本発明において、乾式パルプ不織布の両面の表裏層を上記のように熱接着性複合繊維を主体とするものにしたのは、ポリオレフィン系シート貼り付け面においては、シートと熱接着する際の接着性を向上させ、逆側の面においては、脱落繊維の発生を防止するためである。
ポリオレフィン系シートと吸水シートの積層一体化
本発明の食品用複合吸水マットは、上記のポリオレフィンシートを、該シートの開口径が大きい面を乾式不織布からなる吸水シートに貼り合わせて2層構造に積層一体化されているものである。これらを一体化するには、ホットメルト、熱圧エンボス、熱接着性樹脂のパウダーを用いる方法など公知の方法が適用できる。吸収シートの性能を阻害しないためには、ホットメルト法が好ましい。この場合、ホットメルト樹脂は、ポリオレフィン系、ポリ酢酸ビニル系、合成ゴム系などを選択できる。接着剤の付与量は、好ましくは1〜20g/m、さらに好ましくは2〜15g/mである。
このようにして得られた本発明の食品用複合吸水マットは、熱接着、あるいはホットメルト系接着剤により点接着しているだけで、乾燥時の強度だけでなく、湿潤時の強度にも優れている。また、吸水性もよい。さらに、本発明の食品用複合吸水マットは、水系エマルジョン、サスペンジョンなどのいわゆるケミカルバインダーを用いていないので、残存乳化剤、残存モノマー、架橋による微量ホルマリンの発生などがなく、安全で衛生上の問題もない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に必ずしも限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
実施例1
孔あきポリオレフィン系シート
厚さ0.35mmのポリエチレン製フィルムを用いた。このフィルムに、熱針方式(先細りの針を用い、フィルムの裏面から突き刺した)で、開孔径A(表面)が0.4mm、開孔径B(裏面)が1mm、孔数が110個/cmの円形孔を穿設したものを用いた。
乾式不織布(吸水シート)の作製
表裏層の熱接着性複合繊維として、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンの芯鞘型複合繊維(帝人ファイバー株式会社製、2.2dt、長さ5mm)と木材粉砕パルプ(Weyerhaeuser社製、NB416)をそれぞれ90重量%、10重量%の割合で混合したもので、目付けが8g/mを用い、内層部としては、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンの複合繊維(ESファイバービジョン(株)製、ESC、1.7dt、長さ5mm)と、木材粉砕パルプ(Weyerhaeuser社製、NB416)をそれぞれ25重量%、75重量%の割合で混合したもので、目付けが64g/mを用い、これらの積層一体化は、エアレイ法により、熱オーブンで138℃加熱一体化した。
トータル目付は80g/m、厚さは1.2mmであった。
ポリオレフィン系シートと吸水シートの一体化
(株)松村石油研究所製のポリオレフィン系ホットメルト接着剤であるモレスコメルトTN715を200℃で溶融し、圧空とともに多数のノズルから吸水シートに噴射した。付与量は、4g/mとした。ただちに、孔あきポリオレフィン系シートを重ねて一体化し、複合吸水マットを作製した。この複合吸水マットの概略図を図1に示す。
食品用複合吸水マットの性能
得られた吸水マットは、全体目付が84g/m、厚さが1.25mm、引張り強度(乾)がMD/CD=4.1/3.9kgf/25mm、引張り強度(湿)がMD/CD=3.9/3.7kgf/25mm、吸液速度が1〜3秒、保液量(生理食塩水)が面積あたり1,015g/m、自重あたり12.1g/g、隠蔽性(WB値)が57.4であった。
なお、試験法は、以下のとおりである。
(1)厚さ:
JIS-L-1913「一般短繊維不織布試験方法」6.1.2 A法に準じた。ただし、測定端子30mmφ・荷重2.75g/cm(測定器;尾崎FFA-8型)
(2)引張り強力:
JIS-L-1913「一般短繊維不織布試験方法」6.3.1 に準じた。ただし、試料幅25mm、チャック間100mm、引張速度300mm/min。
湿潤時の引張り強度は、保液量を測定するのと同一条件で処理(浸漬)したあとの試験片を直ちに強度試験した。
(3)吸液速度:
生理食塩水1ccを水平に置いた試験片に滴下し、孔開きプラスチックシート上の液滴の盛り上がりが消えるまでの時間(秒)を測定した。
(4)保液量(g/g、g/m):
あらかじめ重さを測った10cm×10cmの試験片を20℃の生理食塩水に1分間浸漬してから、45度の傾斜ガラス板の上に1分間置いて、その後再度重さを測り、吸収した水の重さを、試験片の重さで割り、g/gとして表示した。また、これに目付けを掛けてg/mとして表示した。
(5)隠蔽性:
手順−1;生理食塩水に着色剤としてコンゴレッド0.5%を加え、この液2ccを試験片の上から滴下し、吸収シートに吸収させた。
手順−2;孔あきプラスチックシートの側から白色度を測定し、隠蔽性の尺度とした。機器は日本電色(株)カラーメーターZE2000を使用し、白色度(WB値)で表した。
実施例2〜3、比較例1〜3
吸水シートは、実施例1と同様のものを用い、表1の構成で、吸水マットを作製し、隠蔽性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004840811
本発明の食品用複合吸水マットは、湿潤時にも強度が大きく、また吸水性もよいうえ、表1に示すように隠蔽性に優れる。
本発明の食品用複合吸水マットは、強度および吸水性に優れ、また、ホルマリンのような有害揮発成分がなく、さらに血液などのドリップの隠蔽性に優れ、食品用ドリップシートとして好適な吸水マットを提供できる。
本発明に係る食品用複合吸水マット(実施例1)の概略図で、(A)は断面外略図、(B)は該マットに用いられるポリオレフィン系シートの食品に接する側の正面図、(C)は同シートの吸水シートに接する側の正面図である。

Claims (3)

  1. 多数の微小な孔を有し、厚さが0.1〜1mmのポリオレフィン系シートと、熱接着性複合繊維とパルプを主体とするエアレイド不織布からなる吸水シートとが、積層一体化されてなる食品用複合吸水マットであって、当該孔の数が50〜200個/cm かつ該ポリオレフィン系シートの孔が、食品に接する面の開孔径Aよりも、吸水シートに接する面の開孔径Bの方が大きく、食品に接する面の開孔径Aが0.2〜1mm、吸水シートに接する面の開孔径BがA×1.2〜2倍であることを特徴とする食品用複合吸水マット。
  2. ポリオレフィン系シートの孔において、異なる孔径が混在してなる、請求項1に記載の食品用複合吸水マット。
  3. 吸水シートが、熱接着性複合繊維とパルプの重量比率が100〜70/0〜30で目付が5〜15g/mである表裏層と、熱接着性複合繊維とパルプの重量比率が20〜50/80〜50で目付が20〜150g/mである内層の3層が積層一体化されてなるエアレイド不織布からなる請求項1〜2いずれかに記載の食品用複合吸水マット。
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