JP4671883B2 - 食品液抽出用複合繊維シート - Google Patents
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あるいは、いわし節、かつお節などの魚節や、昆布類などのダシを収納したバッグを、ダシの素として容器に入れ、熱湯中で煮出す味付けスープとしても活用されている。これらのバッグを用いると、使用者は直接粉末を扱う必要がなく、しかも抽出作業のあとに茶葉ガラやダシガラを抽出液から分離する作業も不要なので、調理作業性を向上できる。
このように、本用途に求められる、製袋加工性、熱安定性、地合いの均一性、抽出性などの性能をすべて満足させるものでは無かった。
また、食品液抽出用シートとして、紙や不織布単独のものの場合、バインダー繊維を配合した湿式不織布や乾式不織布が市販されている。しかしながら、これらの商品では、抽出速度を上げるには、薄物(低目付け)が必要だが、強度が低下しやすくて弱く、破袋する場合があり、一方強度を上げるために目付けを増やすと、抽出性が低下するという問題もある。
特に、抽出性と粉漏れ防止性の両立や、安定した不織布強度、シール強度を図って行くには、従来使用され、提案されている湿式不織布、カード法不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スクリーン紗、メッシュシートなどではそれぞれ不十分な点があり必ずしも万全とは言えない。
ここで、(A)平織物またはネット状シートは、好ましくは、繊維径20〜500μm、沸水収縮率が10%以下の繊維からなり、繊維間隔0.2〜7mm、開口率55〜90%、目付けが10〜60g/m2である。
また、(A)を構成するネット状シートとしては、経方向に互いに間隔をおいて配列された複数の経ストランドと、緯方向に互いに間隔をおいて配列された複数の緯ストランドとで構成され、経ストランドと緯ストランドとが互いに交差部で結合してなるものが挙げられる。
一方、(B)不織布としては、好ましくは、単糸繊度が0.1〜10dtex、目付けが3〜30g/m2の、スパンボンド法、メルトブロー法、カーディング法、湿式法、あるいはエアレイド法により形成された不織布が挙げられる。
以上の(A)と(B)の重量比率は、好ましくは、90/10〜25/75である。
また、本発明の食品液抽出用複合繊維シートの総目付けは、好ましくは、13〜90g/m2である。
(1)片面が高融点/反対面が低融点であり、ヒートシール法で容易に製袋が可能(加熱部に非粘着、かつシール面は自己融着性を示す)、
(2)(A)平織物またはネット状シートは、強度が大であり、製袋加工や実使用において破れにくい、
(3)(A)平織物またはネット状シートは、剛性があり、特にテトラバッグ型に製袋した場合、袋がつぶれにくいので、実使用において袋内部の茶葉が圧迫されずに、抽出性がよい、
(4)平織物がネット状シート単独使いでは、細かい茶葉の漏れを防ぐには、細かい繊維を密に配する必要があり高価であるが、本発明では(A)平織物またはネット状シートと(B)不織布の複合化により、微細な茶葉粉の漏れを防ぐことができ、しかも該(A)の目ズレも防ぐことできる、
(5)(A)平織物またはネット状シートと(B)不織布との複合繊維シートであるので、繊維以外の添加物を全く使用しなくてもよく、安全性が高い食品液抽出用複合繊維シートを得ることができる、
などの効果を奏することができる。
本発明の(A)平織物またはネット状シートは、強度が大で製袋加工や実使用において破れにくく、剛性があるので、テトラバッグ型ティーバッグを製袋した場合に、袋がつぶれにくく、実使用において、袋内部の茶葉が圧迫されずに、抽出性を良くするなどの作用をなすものである。
ここで、(A)を構成する平織物は、通常の平組織で、打ち込み本数が経緯ともに5〜150本/インチ、好ましくは10〜100本/インチが好適である。用いる織機は、通常用いられているものでよい。平織物の代表例としては、メッシュ織物、スクリーン紗、寒冷紗などが挙げられる。
(A)を構成するネット状シートは、例えば、経緯方向にストランドを所要の本数並べてから、交差部を結合させれば良い。結合手段としては、加熱や加圧による結合以外に、バインダー樹脂を付与しても良い。あるいは、経緯のストランドを溶融状態で細孔から押し出して、一挙にネット状を形成する方法でも良い。
上記ネット状シートの具体例としては、倉敷紡績(株)製のクレネット、新日石プラスト(株)製のコンウエッドネットなどが挙げられる。
これらの(A)平織物やネット状シートは、通常、経緯直交型であるが、30度以内で軽度に斜交していてもよい。ただし、斜交角度が30度を超えると、経張力が加わった場合に伸びが大となり、(B)不織布との積層・一体化や製袋加工の工程において、不具合を生じやすくなる。
なお、(A)を構成する繊維(ストランド)は、後記するような芯鞘型複合繊維であってもよい。
かかる高融点高分子の融点が160℃未満では、得られる複合繊維シートの加熱部が非粘着性とならず好ましくない。
この開口率は、繊維(ストランド)の径と間隔を適正化することにより、容易に調整することができる。
本発明に用いられる(B)不織布は、低融点高分子で構成されているので、得られる複合繊維シートのヒートシール性を発現することができ、さらに(A)平織物またはネット状シート単独では困難な抽出性能の適正化、つまり抽出速度と微細な粉体の洩れ防止性能の適正化の役割を果たすものである。
なお、(B)不織布を構成する繊維が複合繊維である場合、芯鞘型複合繊維の場合は鞘部が低融点高分子で、また、サイド・バイ・サイド型複合繊維の場合は、一方の側が低融点高分子で構成されていればよい。
このような繊維形成性低融点高分子としては、例えば共重合ポリエステル、つまりポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを基本骨格として、イソフタル酸、5−金属スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族多価アルコールなどとの変性、テトラメチレングリコールなどのポリ(アルキレンオキサシド)グリコールなどをソフトセグメントとして共重合したポリエステル系エラストマーなど、挙げられる。さらに、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンやその共重合体、ポリ乳酸などの生分解性高分子、共重合ポリアミド、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、これらのポリマーは、本発明の作用・効果を阻害しない範囲でさらに変性、混合されていても差し支えがない。融点は、110℃以上であることが好ましい。110℃未満の場合は、熱水中での抽出操作中にヒートシール部が剥離してしまう危険性が増大する。
従来から知られているエアレイド不織布は、パルプ繊維層をベースとしてポリアクリル酸エステル系やポリ酢酸ビニル系などのケミカルバインダー樹脂を表層にスプレーしたり塗布したり、全体に含浸したりして繊維間結合を形成しているが、この方法では微量の残存モノマーや架橋剤としてのホルマリン発生の懸念があり、好ましくない。
本発明に好ましいエアレイド不織布は、熱接着性複合繊維で構成するのが好適である.
繊維量、噴き出し条件、空気サクション条件、熱処理条件などを調節することにより所定の目付、厚さに仕上げて、本発明に用いられる繊維層を得ることができる。
特に、ポリエステル系の場合はオレフィン系より水にやや馴染みやすいうえ、比重が1より大なので、水に沈降し易く、好適である。お茶バッグは、通常、水に沈み易い方が使い良い。ここで、上記低融点共重合ポリエステルの例としては、前掲のとおりである。
さらに、抄紙薬剤やケミカルバインダーを使用していないので、食品用として安全性が高いばかりか、製造時や廃棄時における環境汚染の恐れも無い。
繊維間結合を形成するための熱風処理としては、熱接着性複合繊維の低融点成分(芯鞘型複合繊維の鞘成分、あるいはサイド・バイ・サイド型複合繊維の低融点側成分)の融点以上の温度が必要である。しかしながら、低融点成分の融点よりも30℃以上高い場合、あるいは高融点成分(芯鞘型複合繊維の芯成分、あるいはサイド・バイ・サイド型複合繊維の高融点成分)の融点以上の場合は、繊維の熱収縮が大きくなり易く、地合いの悪化を招くので好ましくない。従って、熱風処理温度は、通常、110〜200℃、好ましくは120〜180℃である。
さらに、本発明では、熱圧処理することもできる。熱圧処理は、食品液抽出シートとしての性能や、求められる厚さに応じて熱圧処理を行ない、通常、カレンダー処理が用いられる。熱風処理後にカレンダー処理しても良いし、熱風処理単独、あるいはカレンダー処理単独でも良い。両者の併用が最も強力アップが期待できるので好ましい。カレンダー処理に用いるローラーとしては、全体に均一な熱圧を加えるため、平滑表面の一対の金属ローラー、または金属ローラーと弾性ローラーの組合わせを用いることが好ましいが、多段ローラーであっても良い。また、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば、凸凹表面のエンボスローラーであっても良い。
(A)と(B)との積層一体化は、(B)不織布ウェブを形成したのち、(A)を重ねて、加熱・接着・一体化してもよいし、(B)不織布ウェブ単独で、加熱・一体化したのち、さらに(A)を重ねて加熱接着してもよい。また、あらかじめ、エアレイド法で(B)不織布を作製する際に、基材シートとして(A)を多孔質ネットコンベアーに載置し、この上に(B)不織布ウェブを積層して、引き続き、熱風処理、熱圧処理を施して、(A)と(B)とを一体化してもよい。
さらに、(A)の両面に(B)不織布を積層してもよい。この場合には、(A)の両面に用いる(B)不織布として、融点の異なる繊維を使い分けておけば、易ヒートシール性、シールバーへの非融着性を確保することができる。
(A)と(B)との一体化をより強固にするには、さらに熱圧カレンダーを加えてもよいし、この際、エンボス加工を付与してもよい。カレンダー温度は、(B)不織布を構成する複合繊維の鞘部の融点よりもやや低温とすることが望ましい。好ましくは、鞘部の融点マイナス5℃〜マイナス50℃である。マイナス5℃を超えると、一部の繊維がフィルム化し始めるので、目が詰まってしまい、抽出性が悪化する。一方、マイナス50℃未満では、カレンダー効果が発揮されない。
以上の(A)と(B)との複合化における加熱・接着は、(B)不織布を製造する際の熱風処理や熱圧処理と同様の処理方法が採用される。
なお、(A)と(B)との接着については、不織布にパウダー状の低融点樹脂を散布してから加熱・一体化したり、平織物、またはネットにあらかじめ低融点樹脂を薄くコーティングしておいてから加熱・一体化したり、ケミカルバインダーを使用したりすることも可能である。この場合、不織布やネットの目をつぶさない程度に使用量を抑える必要がある。
(A)として、ナイロン6の平織物〔ナイロン6モノフィラメント(22dtex、繊維径:48μm)、融点=220℃、沸水収縮率=3%、繊維間隔=0.31mm、織り密度=70本/インチ(経、緯とも)、開口率=65%、目付け=25g/m2〕を用いた。
この(A)ナイロン6平織物をキャリアシートに用い、原料繊維として、芯がポリエチレンテレフタレート(PET)で、鞘が融点150℃のイソフタル酸共重合ポリエステルからなる熱接着性複合繊維(繊度2.2dtex、長さ5mm、帝人ファイバー(株)製)を、エアレイド法で、目付5g/m2として積層捕集した。この積層ウェブを157℃の熱風で繊維間結合し、さらに線圧15kgf/cmの一対の金属ローラーで、130℃でカレンダー仕上げし、目付け30g/m2の紅茶抽出用複合繊維シートとした。
得られた複合繊維シートを用い、タテ5×ヨコ5×高さ6.5cmの大きさのテトラバッグに紅茶の葉2gを入れて、ヒートシール製袋した。この際、不織布面どうしが向き合うようにし、シール温度は160℃とした。この結果、良好なシール強度が得られた。反対面の平織物面は、160℃のシール部金属に対し、粘着がほとんどなかった。
このようにして製造されたテトラバッグをティーカップに入れて、90℃の湯を注ぎ、紅茶を抽出したところ、微細な粉漏れや袋破れ、シール剥離もなく、抽出物は濃さ、香り、味ともに良好であった。
(A)として、PETマルチフィラメントの平織物〔PETマルチフィラメント(110dtex/60フィラメント、マルチフィラメントの総繊維径:101μm)、融点=250℃、沸水収縮率=2%、繊維間隔=1.3mm、織り密度=18本/インチ(経、緯とも)、開口率=85%、目付け=15g/m2〕を用いた。
この(A)PET平織物をキャリアシートに用い、原料繊維として、芯がポリエチレンテレフタレート(PET)で、鞘が融点150℃のイソフタル酸共重合ポリエステルからなる熱接着性複合繊維(繊度1.7dtex、長さ5mm、帝人ファイバー(株)製)を、エアレイド法で、目付10g/m2として積層捕集した。この積層ウェブを157℃の熱風で繊維間結合し、さらに線圧15kgf/cmの一対の金属ローラーで、130℃でカレンダー仕上げし、目付け25g/m2の紅茶抽出用複合繊維シートとした。
得られた複合繊維シートを用い、これに煎茶の葉1.5gを入れて、タテ5×ヨコ5cmの大きさの封筒型にヒートシール製袋した。この際、不織布面どうしが向き合うようにし、シール温度は160℃とした。この結果、良好なシール強度が得られた。反対面の平織物面は、160℃のシール部金属に対し、粘着がほとんどなかった。
このようにして製造された封筒型ティーバッグを湯飲みに入れて、90℃の湯を注ぎ、煎茶を抽出したところ、微細な粉漏れや袋破れ、シール剥離もなく、抽出物は濃さ、香り、味ともに良好であった。
(A)として、倉敷紡績(株)製、PETモノフィラメントの経緯直交ネット状シート〔PETモノフィラメント(450dtex、繊維径:250μm)、融点=250℃、沸水収縮率=2%、繊維間隔=4mm、織り密度=6本/インチ(経、緯とも)、開口率=88%、目付=20g/m2〕を用いた。なお、モノフィラメントの直交部は、ポリアクリル酸エステル系樹脂で接着した。
この(A)PET直交ネット状シートをキャリアシートに用い、原料繊維として、芯がポリプロピレン(PP)で、鞘がポリエチレン(PE)からなる熱接着性複合繊維(繊度3.3dtex、長さ5mm、チッソ(株)製、鞘部の融点=130℃)を、エアレイド法で、目付12g/m2として積層捕集した。この積層ウェブを134℃の熱風で繊維間結合し、さらに線圧20kgf/cmの一対の金属ローラーで、125℃でカレンダー仕上げし、目付け32g/m2の鰹節抽出用複合繊維シートとした。
得られた複合繊維シートを用い、タテ15×ヨコ15cmの大きさの封筒型を作製し、これに鰹節15gを入れて、ヒートシール製袋した。この際、不織布面どうしが向き合うようにし、シール温度は145℃とした。この結果、良好なシール強度が得られた。反対面の平織物面は、135℃のシール部金属に対し、粘着がほとんどなかった。
このようにして製造された封筒型バッグを、調理用なべに水1リットルとともに入れて、煮沸させ、ダシを抽出したところ、微細な粉漏れや袋破れ、シール部剥離もなく、抽出物は濃さ、香り、味ともに良好であった。
Claims (8)
- 少なくとも二層の繊維状シートからなり、一方の繊維状シートが(A)融点が160℃以上の繊維形成性高融点高分子からなる、平織物またはネット状シートであり、他方の繊維状シートが、(B)該(A)平織物またはネット状シートを構成する繊維形成性高融点高分子よりも融点が25℃以上低い繊維形成性低融点高分子からなる不織布であって、かつ(A)平織物またはネット状シートと(B)不織布とが加熱・接着して一体化されており、しかも当該(B)不織布がエアレイド法により形成された不織布である、食品液抽出用複合繊維シート。
- 二層の繊維状シートからなり、一方の繊維状シートが(A)融点が160℃以上の繊維形成性高融点高分子からなる、平織物またはネット状シートであり、他方の繊維状シートが、(B)該(A)平織物またはネット状シートを構成する繊維形成性高融点高分子よりも融点が25℃以上低い繊維形成性低融点高分子からなる不織布であって、かつ(A)平織物またはネット状シートと(B)不織布とが加熱・接着して一体化されている、食品液抽出用複合繊維シート。
- (A)平織物またはネット状シートが、繊維径20〜500μm、沸水収縮率が10%以下の繊維からなり、繊維間隔0.2〜7mm、開口率55〜90%、目付けが10〜60g/m2である請求項1または2記載の食品液抽出用複合繊維シート。
- (A)を構成するネット状シートが、経方向に互いに間隔をおいて配列された複数の経ストランドと、緯方向に互いに間隔をおいて配列された複数の緯ストランドとで構成され、経ストランドと緯ストランドとが互いに交差部で結合してなる、請求項1〜3いずれかに記載の食品液抽出用複合繊維シート。
- (A)と(B)の重量比率が、90/10〜25/75である請求項1〜4いずれかに記載の食品液抽出用複合繊維シート。
- 総目付けが、13〜90g/m2である請求項1〜5いずれかに記載の食品液抽出用複合繊維シート。
- (B)不織布が、単糸繊度が0.1〜10dtex、目付けが3〜30g/m 2 のエアレイド法により形成された不織布である、請求項1記載の食品液抽出用複合繊維シート。
- (B)不織布が、単糸繊度が0.1〜10dtex、目付けが3〜30g/m2の、スパンボンド法、メルトブロー法、カーディング法、湿式法、あるいはエアレイド法により形成された不織布である、請求項2記載の食品液抽出用複合繊維シート。
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