JP4611921B2 - 無機粉体湿式成形用濾過布及びその製造方法 - Google Patents
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(1)無機粉体湿式成形用濾過布の作製
ポリエステル短繊維(2.2dtex×64mm)と、熱接着性繊維(ユニチカ株式会社製「メルティ」、芯鞘型複合繊維(芯:PET、鞘:共重合PET、4.4dtex×51mm)とを、その質量比(ポリエステル短繊維/熱接着性繊維)が90/10となるように配合し、カード機により繊維層(A)(目付160g/m2)を形成した。基布層(B)としてポリエステル製スパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製、厚さ0.24mm、目付40g/m2)を用いた。さらに、ポリエステル短繊維(6.6dtex×51mm)を用いて、カード機により繊維層(C)(目付200g/m2)を形成した。
上記で得られた無機粉体湿式成形用濾過布の厚さをJIS L1096(一般織物試験方法:厚さ)に準じた方法で測定した。厚さ測定器を用い、一定圧力23.5kPaの下で異なる5箇所について濾過布の厚さを測定して平均値を算出した。実施例1では、濾過布の厚さは1.30mmであった。
上記で得られた無機粉体湿式成形用濾過布の引張強さをJIS L1096(一般織物試験方法:引張強さ)に準じた方法で測定した。幅5cm、長さ20cmの濾過布を引張試験機につかみ間隔10cmでセットし、10cm/minの引張速度で縦方向及び横方向の引張強さをそれぞれ3回測定して平均値を算出した。実施例1では、濾過布の引張強さは縦28daN/5cm、横21daN/5cmであった。
上記で得られた無機粉体湿式成形用濾過布の伸び率をJIS L1096(一般織物試験方法:伸び率)に準じた方法で測定した。幅5cm、長さ20cmの濾過布を引張試験機につかみ間隔10cmでセットし、10cm/minの引張速度で縦方向及び横方向の伸び率をそれぞれ3回測定して平均値を算出した。実施例1では、濾過布の伸び率は縦51%、横80%であった。
上記で得られた無機粉体湿式成形用濾過布の通気性をJIS L1096(一般織物試験方法:通気性)に準じた方法で測定した。幅20cm、長さ20cmの濾過布をフラジール形試験機にセットし、傾斜形気圧計の圧力が125Paの下で濾過布を通過する空気量(cm3/cm2・s)を5回測定して平均値を算出した。実施例1では、濾過布の通気性は28.4cm3/cm2・sであった。
上記で得られた無機粉体湿式成形用濾過布の10MPaの圧力印加時の厚さを測定した。実施例1では、濾過布の厚さは1回目で0.41mm、10回目で0.33mmであった。
上記で得られた無機粉体湿式成形用濾過布の毛羽立ち評価を行った。幅7cm、長さ15cmの濾過布上の端部に幅6cm、長さ5cmの紙片を重ね、さらに幅5cm、長さ10cmの粘着テープ(ガムテープ)を粘着面が下になるようにして紙片と濾過布の両方に重なるように配置した。濾過布上の紙片と重なっていない部分にゴム板を置き、さらに2kgの重りを載せて1分間加圧することにより濾過布に粘着テープを粘着させた。その後、ゴム板と重りを除き、引張試験機を用いて一方の掴み具に濾過布の一端を、もう一方の掴み具に紙片と粘着テープの両方をつかみ間隔5cmでセットした。続いて、10cm/minの引張速度で濾過布に粘着されている粘着テープを剥がし、このときの濾過布の毛羽立ちについて目視にて評価を行った。評価は下記の3段階判定基準により判定した。実施例1では、毛羽立ちはほとんどなし(判定:◎)であった。
(評価基準) :(判定)
毛羽立ちほとんどなし :◎
毛羽立ちなし :○
毛羽立ちあり :×
平均粒径1.5μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製「ソフトン1500」)を用いて固形分濃度が60重量%であるスラリーを調製した。本発明の無機粉体湿式成形用濾過布を内径50mmφの円筒形状の成形用金型内に配置し、その上に上記で得られたスラリー20gを入れた。続いてスラリーの上からさらに上記濾過布を配置することにより成形用金型内でスラリーを濾過布で挟むようにした。水抜き穴を有する金具で蓋をし、単位面積あたり10MPaの圧力で1分間加圧して円盤状の成形体を得た。その際、加圧により濾過された濾液を回収した。成形体を3点作製し、乾燥前の成形体の重量をそれぞれ測定して平均値を算出したところ、14.09gであった。また、一晩自然乾燥させた後に105℃の熱風乾燥器中で3時間乾燥後の重量をそれぞれ測定して平均値を算出したところ、11.83gであった。乾燥前と乾燥後の重量から算出された含水率は、16.0重量%であった。
上記で得られた乾燥後の成形体を用い、濾過布と接触していた成形体表面において基布目深さの測定を行った。測定は、成形体表面を水平方向から実体顕微鏡を用いて観察することにより行った。実施例1では、基布目深さは0.08mmであった。
実施例1において、熱接着性繊維を含有しないこと以外は実施例1と同様にして無機粉体湿式成形用濾過布を作製した。フェルト構成を表1に、得られた結果を表3にまとめて示す。
実施例1において、熱接着性繊維を含有せず、繊維層(A)、基布層(B)、繊維層(C)をこの順番で重ねて配置してから繊維層(A)側からだけではなく、繊維層(C)側からもニードルパンチを行い、その際、繊維層(C)側から挿入されたニードルのバーブが繊維層(A)の表面に出ないようにしてニードルパンチを行ったこと以外は実施例1と同様にして無機粉体湿式成形用濾過布を作製した。フェルト構成を表1に、得られた結果を表3にまとめて示す。
実施例1において、熱接着性繊維を含有せず、基布層(B)と繊維層(C)を重ねて配置して繊維層(C)側からニードルパンチを行い、得られた基布層(B)と繊維層(C)とからなる積層体の基布層(B)側に繊維層(A)を重ねて配置して、繊維層(A)側からさらにニードルパンチを行うこと以外は実施例1と同様にして無機粉体湿式成形用濾過布を作製した。フェルト構成を表1に、得られた結果を表3にまとめて示す。
親水化処理されたポリエステル(PET)短繊維(2.2dtex×51mm)を用いて、目付100g/m2の繊維層(A)を形成した。経糸が466dtexの糸を2本撚ったものからなり、緯糸が932dtexの糸からなるナイロン6製マルチフィラメントを用いて、密度12×13本/2.54cm、目付100g/m2の絡み織布を基布層として用いた。また、ナイロン66繊維(6.6dtex×76mm)を用いて、目付250g/m2の繊維層(C)を形成した。
ポリエステル(PET)短繊維(2.2dtex×64mm)を用いて、目付160g/m2の繊維層(A)を形成した。経糸が275dtexの糸からなり、緯糸が550dtexの糸からなるポリエステル製マルチフィラメントを用いて、密度27×22本/2.54cm、目付80g/m2の平織り織布を基布層として用いた。また、ポリエステル(PET)短繊維(2.2dtex×64mm)を用いて、目付160g/m2の繊維層(C)を形成した。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂からなる短繊維が交絡した繊維層(A)、長繊維が熱融着された不織布からなる基布層(B)、及び短繊維が交絡した繊維層(C)をこの順番に積層したフェルトからなる無機粉体湿式成形用濾過布であって、成形材料と接触する繊維層(A)の表面が熱カレンダー処理により平滑化され、10MPaの圧力を印加したときの濾過布の厚さが0.1〜1.0mmであり、かつ少なくとも繊維層(A)の表面が親水性を有することを特徴とする無機粉体湿式成形用濾過布。
- 基布層(B)がスパンボンド不織布からなる請求項1記載の無機粉体湿式成形用濾過布。
- 繊維層(A)を構成する短繊維の繊度が、繊維層(C)を構成する短繊維の繊度よりも小さい請求項1又は2記載の無機粉体湿式成形用濾過布。
- 繊維層(A)が熱接着性繊維を含有する請求項1〜3のいずれか記載の無機粉体湿式成形用濾過布。
- 請求項1〜4のいずれか記載の無機粉体湿式成形用濾過布の製造方法であって、基布層(B)と繊維層(C)を重ねて配置して、繊維層(C)側からニードルパンチを行い、得られた基布層(B)と繊維層(C)とからなる積層体の基布層(B)側に繊維層(A)を重ねて配置して、繊維層(A)側からさらにニードルパンチを行うことを特徴とする無機粉体湿式成形用濾過布の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか記載の無機粉体湿式成形用濾過布の製造方法であって、繊維層(A)、基布層(B)及び繊維層(C)を重ねて配置してから、繊維層(A)側からニードルパンチを行うとともに、繊維層(C)側からもニードルパンチを行い、その際、繊維層(C)側から挿入されたニードルのバーブが繊維層(A)の表面に出ないことを特徴とする無機粉体湿式成形用濾過布の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか記載の無機粉体湿式成形用濾過布の製造方法であって、繊維層(A)、基布層(B)及び繊維層(C)を重ねて配置してから、繊維層(A)側からのみニードルパンチを行うことを特徴とする無機粉体湿式成形用濾過布の製造方法。
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