JP4977633B2 - エアバッグカバー、その製造方法及びエアバッグ収納部材 - Google Patents
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Description
一般的に、スパンボンド法などの長繊維製不織布は、一貫したラインのため、ペレット状ポリマーの紡出と同時にシート状に形成されるという高効率の生産方式のため、短繊維不織布より、安価に提供されるケースが多い。
現状、この用途に使用されているのは、フラッシュ紡糸法にてシート化を行った後、難燃樹脂を含むラテックスをディッピングないしコーティングした不織布、或いは、紡糸段階で難燃剤であるハロゲン化物やリン成分を練りこんだファイバーを、スパンボンド法にてシート化した不織布など長繊維製シートが主流となっている。
また、本用途で主流となっている目付が40〜60g/m2のスパンボンド法不織布は、高速で量産されるため、局部的な目付けムラや繊維本数が少ないゾーン(いわゆる繊維の分散ムラ)が発生する。そのために、強度がタテ・ヨコで著しく異なるという欠点があった。
さらに、一般的に、スパンボンド法不織布は、繊維がシート状に並べられた後、エンボスロールにて、繊維間が結着されるケースが多い。仕上がったシートには、表面にエンボスパターンの凹凸が存在する。
エアバッグカバー材は、エアバッグ装置の部材であり、量産時には、所定の型番がスタンプ等でマーキングされるが、エンボスの上にスタンプインキを押すと、見難い、確認し難いという、問題もあった。
また、特許文献2には、機械的特性、軽量性およびコンパクト性を同時に兼ね備え、加えてさらに難燃性およびエアバッグ基布の収納組み立て作業性に優れたエアバッグカバーおよびそれからなるエアバッグ収納部材を提供するために、引張強力S(N/mm)と布帛の厚みt(mm)との比S/t(N/mm2)がタテ方向およびヨコ方向共に30〜170N/mm2の範囲内である布帛からなることを特徴とし、そして、布帛の目付が30〜120g/m2の範囲内であり、布帛の厚みtが0.05〜0.15mmの範囲内であることが好ましいエアバッグカバーが開示されている。
さらに、特許文献3には、長時間高温下で破断することなくエアーバックを保持することが可能で、且つ難燃性(FMVSS302合格)を有するエアーバック用のラッピング材を提供するために、リン原子を含有量で100〜50000ppm共重合してなる難燃性ポリエステル長繊維不織布からなる110℃下で65RH%下における1000時間後の強度保持率が70%以上であり、50℃で95RH%下における400時間後の強度保持率が70%以上であり、且つLOI値が25以上であるエアーバック用ラッピング材が開示されている。
しかしながら、上記提案されたものは、難燃性が考慮されていない、また、たとえ考慮されていても、当該用途に必須の引裂き強度の所要レベル及びそのタテ・ヨコのバランスなどが明示されていないなど、難燃性と引裂き強度の両立が図られておらず、車両用エアバッグカバーとしての必要要件が欠けているのが実状である。
尚、エアバッグ装置とは、前突から乗員を保護するドライバー席、助手席用だけでなく、ニーエアバッグ、側突から乗員を保護するサイドエアバッグの装置においても、適応される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、芯鞘構造熱接着性ポリエステル短繊維(b)の融点が130〜200℃の範囲であることを特徴とする難燃性エアバッグカバーが提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、米国自動車安全規格FMVSS302法の難燃性規格に合格するとともに、常温初期値において、縦及び横の引裂き強度が12N以上であって、縦/横の引裂き強度比が0.7〜1.2であり、且つ、縦及び横の引張強度が70N/5cm以上であることを特徴とする難燃性エアバッグカバーが提供される。
工程(I):難燃性ポリエステル短繊維(a)と芯鞘構造熱接着性ポリエステル短繊維(b)とを混合し、カード紡出機によって、当該混合繊維をシート状不織布(A)に展開する工程。
工程(II):前記不織布(A)の上面又は下面に、LOI値25以下のスパンボンド法ポリエステル又はポリオレフィン不織布(B)を導入し、重ね合わせた後、ニードルパンチ法により、両不織布の構成繊維を立体的に交絡させて両不織布間を結合する工程。
工程(III):工程(II)で得られた複合不織布をドライヤーによる熱処理と170℃以下に設定されたフラット型熱カレンダーロールによる加熱圧着して複合不織布を強固に一体化する工程。
特に、第1の発明に係る難燃性エアバッグカバーでは、比較的細い短繊維をカーディングすることにより、単位面積当たりの密度が安定しているため、繊維の分散ムラが少なく、強度が局部的に低い箇所が減少し、モジュール取り付け時の作業性も向上するという効果を奏する。さらに、スパンボンド法不織布との複合一体化により、比較的低目付け重量で高い耐久強度を有するため、局部的な負荷に対応できるカバー材として好適である。
以下に項目毎に詳細に説明する。
本発明に係る不織布(A)は、繊度が1.1〜3.3dtxの難燃性ポリエステル短繊維(a)と繊度が1.1〜6.6dtxのLOI値25以下の芯鞘構造熱接着性ポリエステル短繊維(b)とから構成され、カーディング機から紡出された繊維が斜行的にクロスに折り重ねられてウエッブを形成し、続いてこの上面(又は下面)に導入されたスパンボンド不織布(B)とともにニードルパンチによる繊維交絡及び熱接着性ポリエステル短繊維(b)の溶融によって、両不織布が複合一体化しているものである。
リン酸エステルは、難燃剤として公知のものを制限なく使用できる。このようなリン酸エステルとしては、ポリエステルの構成成分であるジカルボン酸やジオールと反応してポリエステルに共重合することができるリン酸エステル化合物を用いることができる。このリン酸エステル化合物の中で好ましいものは、ポリエステルの側鎖又は/及び末端にリン原子を導入することができる化合物であり、側鎖にリン原子を導入できる化合物が特に好ましい。具体的には、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸などが挙げられる。
芯鞘複合型の熱接着性ポリエステル(b)は、LOI値25以下の難燃剤としてのリン化合物を含まないものであって、芯の部分が通常のポリエステルであり、鞘の部分が100℃〜200℃で溶融する共重合ポリエステルである。この共重合ポリエステルの部分を、熱風及び熱プレスによって繊維間を溶融接着させ、シートを形成する。
融点は、100℃〜200℃で設定できるが、エアバッグモジュールの105℃×400時間耐熱試験に耐え得るように、130℃以上の融着繊維を使用することが好ましい。
また、この芯鞘構造のポリエステルは、融点が200℃以下であるので熱シール性に優れており、一定量配合された不織布は、原反からカバー材へアッセンブル加工される際のヒートシールも、容易にできる利点がある。
特に、カーディング機によって紡出されクロスに折り重なるようにしてウエッブを形成するクロスウエッブ方式を採用すれば、繊維がタテ・ヨコに適度に分散し、著しい強度の異方性を解消できる。一方、パラレル方式にみるように、一方向に繊維が配列するウエッブ作製は、本用途には好ましくない。
従って、繊維の方向性を偏らせないクロスウエッブ不織布であれば、エアバッグ装置に取り付けるために、必要な5mm程度のピン穴が開けられる箇所がランダムに選定されても、問題が起こらない緻密性と局部的な強度を付与することができる。
例えば、厚みを0.1mm〜0.5mmに制御した不織布(A)の場合、通常のポリエステル繊維100%の配合では、ポリエステル繊維のLOI値(限界酸素指数)が20〜22のため、着火した炎を一定の時間と距離の中で、自然消火させるには至らない。
しかし、前述のようなリン成分が練りこまれたLOI値26以上の難燃性ポリエステル(a)を重量比30%以上配合すれば、不織布ウェブのほぼ全般に、難燃性ポリエステル短繊維(a)が分散しているため、シート上で炎が進む速度を遅延させ、一定時間と距離内で自然消火させることができる。
その理由として、本発明は、その難燃性ポリエステル(a)の配合比率を、最終不織布形状の必要に応じて、調整できることを特徴とするが、エアバックカバー材を構成する際には、重量比で短繊維(a)を30%以上60%以下に配合すれば、FMVSS 302法の基準を満たすことができる。また、ここで言う一定距離、一定時間とは、FMVSS302法に規定されている数値となる。一定距離とは、炎の中心から1.5インチの距離にある標線を時間の起点とした場合、そこから2インチ進んだ標線のことを言う。一定時間とは時間の起点となる標線から炎が進む時間で60秒を指す。
ここで、自動車ニー及びサイドエアバッグのサイズの形状が大きく、ピン穴取り付け部の負荷強度が大きくなるケースがある。その場合、カバー材には、局部的に高い耐久強度が必要となり、通常の対策を施してないカバー材では破れ、裂けが発生する場合がある。
その対策として、不織布製造工程時に、新たに工程を増やすことなく、低目付のスパンボンド不織布(B)を、短繊維ウェブの中に複合介在させることによって、局部的な負荷に対応できるカバー材となる。
そのような観点から、本発明の難燃性エアバッグカバーは、当該用途には、常温初期値において、タテ・ヨコの引裂き強度が12N以上及び引張強度が70N/5cm以上,且つ引裂き強度のタテ/ヨコ比が0.7〜1.2の範囲(等方性の尺度)であることが望ましい。
本発明においては、より一層好ましい実施態様として、上記の不織布(A)に、低目付のLOI値25以下の難燃剤としてのリン化合物を含まないスパンボンド法ポリエステル不織布又はポリオレフィン不織布(B)を、組み合わせて用いると、難燃性とに優れる難燃性エアバッグカバーを得ることができる。
本発明に係るLOI値25以下のリン化合物を含まないスパンボンド法ポリエステル不織布又はポリオレフィン不織布(B)は、スパンボンド法により得られた、ポリエステルからなるスパンボンド不織布またはポリオレフィンからなるスパンボンド不織布であれば、特に限定されない。
今回使用しているスパンボンド法不織布(B)は、リン原子を共重合していないので、またはリン化合物を含まないので、汎用性が高い。また、ポリオレフィンとしては、比較的強度の高いポリプロピレンが好適である。
スパンボンド法は、通常、熱可塑性高分子を溶融させ、連続した長繊維状に吐出しながら形成する。具体的には、原料樹脂チップを押出機に入れて加熱溶融し、細孔から押し出し繊維を形成させながら、接着剤を使用せずに、空気流によって絡合させて不織布を製造する方法である。繊維間結合は、熱によることが多いが、ニードルパンチやその他の方法も、使うことができる。
さらに、本発明においては、不織布(A)とスパンボンド法不織布(B)の構成比は、不織布(A)100重量部に対して、スパンボンド法不織布(B)が15〜40重量部の範囲であれば、カバー材としての難燃性を損なうことがない。但し、LOI値25以下のスパンボンド法ポリエステル又はポリオレフィン不織布(B)が40重量部を超えると、難燃性が不適合になるおそれがあり、一方、15重量部未満であると、引裂強力が低下するおそれがあるため、好ましくない。
このスパンボンド法不織布(B)を付加することの効果は、以下のように説明できる。
即ち、ニー及びサイドエアバッグのサイズの形状が大きく、ピン穴取り付け部の負荷強度が大きくなるケースがある。その場合、カバー材には、局部的に高い耐久強度が必要となり、不織布(A)のみの単層のカバー材では破れ、裂けが発生する場合がある。その対策として、不織布製造工程時に、新たに工程を増やすことなく、低目付のスパンボンド法不織布(B)を、短繊維ウェブの中に複合介在させることによって、局部的な負荷に対応できるカバー材となる。
本発明の難燃性エアバッグカバーは、図1に示すように、次の工程(I)〜(III)を経て製造される。
工程(I):難燃性ポリエステル短繊維(a)と芯鞘構造熱接着性ポリエステル短繊維(b)とを混合し、カード紡出機によって、当該混合繊維をシート状不織布(A)に展開する工程。
工程(II):前記不織布(A)の上面又は下面に、LOI値25以下のスパンボンド法ポリエステル又はポリオレフィン不織布(B)を導入し、重ね合わせた後、ニードルパンチ法により、両不織布の構成繊維を立体的に交絡させて両不織布間を結合する工程。
工程(III):工程(II)で得られた複合不織布をドライヤーによる熱処理と170℃以下に設定されたフラット型熱カレンダーロールによる加熱圧着して複合不織布を強固に一体化する工程。
本発明に係る複合不織布は、従来のハロゲン化物やリン成分といった難燃剤を練りこんだ有機繊維100%のスパンボンド法不織布、又は、フラッシュ紡糸とラテックスの複合により形成された不織布と対比すると、同等の強度と柔軟性および難燃性を実現し、且つ工程が一貫して1段で製造されるため、安価で緻密なエアバッグカバー素材として、好適に用いることができる。
また、上記工程(I)〜(III)から製造される本発明の難燃性エアバッグカバーは、繊維分散性のよい短繊維不織布と、高抗張力の連続繊維からなるスパンボンド不織布が複合化されることにより、軽量性及びコンパクト性が発揮される。従って、カバー材として、望ましくはその総目付け重量が40〜120g/m2の範囲、さらに望ましくは40〜70g/m2の範囲において、軽量化ができる。
本発明の難燃性エアバッグカバーは、サイドエアバッグ、ニーエアバッグ、助手席用エアバッグの収納部材に適しているが、運転席用エアバッグ、後部座席用エアバッグなどの収納部材にも使用することができる。
(2)厚み:接触面積5cm2、押圧1.96kpaのダイヤルゲージで、試料の10箇所において測定し、その平均値とした。
(3)平均繊度:顕微鏡で拡大撮影し、デシテックス(dtx)で表示する。
(4)引張強度:JIS L1096「一般織物試験方法」の8.12.1のA法(ストリップ法)に準拠した。5cm×20cmの試験片を縦横それぞれ3枚採取し、チャック間10cm、速度200mm/minで引張試験を行う。縦横それぞれ3点の破断強度を平均値で表わす。
(5)引裂強度:JIS L1096「一般織物試験方法」の8.15.1のA−1法(シングルタンク法)に準拠した。試験回数は、縦横とも3回行い、その平均値で表す。
(6)難燃性試験:米国自動車安全基準FMVSS302法に準拠した。試験回数は、縦横それぞれ5回行い、適合回数を記す。
(7)LOI値:JIS L1091「繊維製品の燃焼性試験方法」の8.5のE法(酸素指数法試験)E−1号に準拠した。試験回数は3回行い、その平均値で表す。
構成材料として、リン成分を混入した難燃性ポリエステル短繊維(a)(繊度:1.45dtx、カット長51m、捲縮数30、LOI値28)を50重量%、芯鞘構造である熱接着性ポリエステル短繊維(b)(繊度:2.2dtx、カット長51m、捲縮数30、LOI値22)を50重量%、配合ブレンドし、カーディングによってウェブを得た。
そのウェブを、クロスレイヤー法にて、積層させたシート状不織布(A)の一方向から、目付15g/m2のリン化合物を含まないポリエステル製スパンボンド不織布(B)(繊度:2dtx、LOI値22)を積層した。
そうして積層されたシート状不織布(A)とスパンボンド不織布(B)は、ニードルパンチを施すことにより、シート状不織布(A)内の短繊維がスパンボンド不織布(B)の内部に貫入し、立体的に繊維が交絡する。
その後、基布に対してドライヤーによる熱処理を行い、表面がフラットにメッキされた金属性カレンダーロールにて、150℃熱カレンダーロールでプレスをかけ、繊維間を低融点接着性繊維にて融着し、強固に一体化する。
こうして、総目付重量60g/m2、厚み0.3mmの不織布シートを形成した。
こうして得られた不織布シートの基布物性は、表1の通りであり、優れた機械強度を有するとともに、FMVSS 302の条件に適合する。
この不織布原反からカバー材へ裁断、シール加工されたエアバッグカバー材は、モジュールへの取り付け作業時に、破れ、裂けることなく、柔軟に取り付けられ、エアバッグ発動時には、バッグの開口を妨げることもなかった。
実施例2、3は、実施例1と同様の構成材料を用いて、表1に示す割合、厚み以外は、実施例1と同様の方法にて、不織布シートを形成した。不織布シートの物性を表1に示す。
実施例2、3では、優れた機械的強度を有するとともに、FMVSS 302の条件に適合する。
実施例4では、スパンボンド不織布(B)に、ポリプロピレン製スパンボンド不織布を用いた以外は、実施例1と同様の構成材料を用いて、不織布シートを作製した。不織布シートの物性を表1に示す。
実施例4でも、優れた機械的強度を有するとともに、FMVSS 302の条件に適合する。
比較例1〜3は、表2に示す構成材料、割合、厚み以外は、実施例1と同様の方法にて、不織布シートを形成した。不織布シートの物性を表2に示す。
また、比較例4〜6は、表2、3に示すように、構成材料として、リン成分を混入した難燃性ポリエステル短繊維(a)(繊度:1.45dtx、カット長51m、捲縮数30、LOI値28)を30〜60重量%、芯鞘構造である熱接着性ポリエステル短繊維(b)(繊度:2.2dtx、カット長51m、捲縮数30、LOI値22)を40〜70重量%、配合ブレンドし、カーディングによって、ウェブ、すなわち不織布(A)を得た。
そのウェブを、スパンボンド不織布(B)を用いないで、公知のクロスレイヤー法にて、積層させ、ニードルパンチを施した後、ドライヤーによる熱処理を行い、表面がフラットにメッキされた金属性カレンダーロールにて、150℃の熱プレスをかけ、表2、3に示す物性の不織布シートを形成した。
比較例1〜6では、機械的強度と難燃性評価の両方に優れたものは、得られなかった。
一般的に入手可能であり、特殊な処理が施されていない、目付60g/m2のポリエステル製スパンボンド不織布の物性を、表3に示す。
カバー材として、ケースへの取付けや開口特性に、問題はなかったが、難燃性試験において、燃焼速度と、距離がFMVSS規格に適合しなかった。
また、平均繊度が実施例品よりも太いため、単位面積当たりの繊維本数に差が見られる。そのため、ウェブムラにより繊維本数の少ない箇所にピン穴が開くと、引張の負荷に耐え切れず、穴の変形及び裂けが発生した。
難燃性が良好な目付60g/m2の難燃ポリエステル製スパンボンド不織布の物性を表3に示す。
カバー材として、ケースへの取付けや開口特性に問題はなかったが、引裂き強度が本発明品より劣っていた。
Claims (6)
- 繊度が1.1〜3.3dtxの難燃性ポリエステル短繊維(a)と、繊度が1.1〜6.6dtxのLOI値(限界酸素指数)25以下の芯鞘構造熱接着性ポリエステル短繊維(b)との混合重量割合(a/b)が30/70〜60/40である不織布(A)と、繊度が1〜3dtxのLOI値25以下のスパンボンド法ポリエステル又はポリオレフィン不織布(B)とを積層し、ニードルパンチとドライヤーによる熱処理とフラット型熱ロールカレンダにより、繊維を交絡かつ融着固定して一体化した複合不織布からなる難燃性エアバッグカバー。
- 積層割合が不織布(A)100重量部に対して、ポリエステル又はポリオレフィン不織布(B)15〜40重量部であり、且つ、複合不織布の総目付け重量が40〜120g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性エアバッグカバー。
- 芯鞘構造熱接着性ポリエステル短繊維(b)の融点が130〜200℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性エアバッグカバー。
- 米国自動車安全規格FMVSS302法の難燃性規格に合格するとともに、常温初期値において、縦及び横の引裂き強度が12N以上であって、縦/横の引裂き強度比が0.7〜1.2であり、且つ、縦及び横の引張強度が70N/5cm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性エアバッグカバー。
- 次の工程(I)〜(III)を含み、該工程が連続して実施されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性エアバッグカバーの製造方法。
工程(I):難燃性ポリエステル短繊維(a)と芯鞘構造熱接着性ポリエステル短繊維(b)とを混合し、カード紡出機によって、当該混合繊維をシート状不織布(A)に展開する工程。
工程(II):前記不織布(A)の上面又は下面に、LOI値25以下のスパンボンド法ポリエステル又はポリオレフィン不織布(B)を導入し、重ね合わせた後、ニードルパンチ法により、両不織布の構成繊維を立体的に交絡させて両不織布間を結合する工程。
工程(III):工程(II)で得られた複合不織布をドライヤーによる熱処理と170℃以下に設定されたフラット型熱カレンダーロールによる加熱圧着して複合不織布を強固に一体化する工程。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性エアバッグカバーを用いることを特徴とするエアバッグ収納部材。
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