JPH09119054A - 難燃性複合不織布およびその製造方法 - Google Patents

難燃性複合不織布およびその製造方法

Info

Publication number
JPH09119054A
JPH09119054A JP7276056A JP27605695A JPH09119054A JP H09119054 A JPH09119054 A JP H09119054A JP 7276056 A JP7276056 A JP 7276056A JP 27605695 A JP27605695 A JP 27605695A JP H09119054 A JPH09119054 A JP H09119054A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
woven
fiber non
long
fibers
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7276056A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuo Noguchi
信夫 野口
Atsushi Matsunaga
篤 松永
Katsunori Suzuki
克昇 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP7276056A priority Critical patent/JPH09119054A/ja
Publication of JPH09119054A publication Critical patent/JPH09119054A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性能を有し、しかも優れた機械的特
性および柔軟性を併せもつ難燃性複合不織布およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】 リン原子を含有するポリエステルを溶融
紡糸して長繊維不織ウエブを形成し、この長繊維不織ウ
エブに前記ポリエステル成分の融点を(Tm)℃とした
ときに(Tm−30)℃以下の温度で部分的な熱圧接を
施して長繊維不織シートを得、この長繊維不織シートの
両面に難燃性を付与した短繊維を開繊して得た短繊維不
織ウエブ層を積層し、短繊維不織ウエブ層の面に加圧液
体流を作用せしめ、長繊維不織シートの構成繊維と短繊
維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に交絡させて一体化
するとともに、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を交
絡させて一体化し、難燃性複合不織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性能、機械的
特性、および柔軟性に優れた難燃性複合不織布およびそ
の製造方法に関し、詳しくは、土木建築用資材、一般工
業用資材、日用家庭用品、公共施設、公共交通機関、老
人養護施設、病院等の分野において、特に、難燃化が要
望される用途に好適である難燃性複合不織布およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステル、特にポリエチレ
ンテレフタレートは、優れた機械的特性および化学的特
性を有し、衣料用、産業資材用として広範囲に利用され
ている。
【0003】近年、火災予防の観点から、合成繊維の難
燃性への要請が強まっている。従来から、ポリエステル
に難燃性を付与する試みは種々なされており、ポリエス
テルにリン化合物を含有させる方法が有効であるとされ
ている。
【0004】このようなリン含有ポリエステル繊維とし
て、例えば、特開平4−281016号公報において、
リン含有ポリエステルと、このリン含有ポリエステルよ
り融点が20℃以上低いポリエステル系熱接着成分との
複合からなる難燃性熱接着繊維が開示されている。しか
し、20℃以上の融点差を保持させるためには、低融点
成分となるポリエステル系熱接着成分の融点を低下させ
るべく、ポリエステル系熱接着成分に多量の共重合成分
を添加しなければならず、ポリエステルが本来有してい
る機械的特性が損なわれる傾向となる。従って、この難
燃性熱接着繊維を用いて難燃性を有する不織布を製造し
ようとする場合、糸の機械的特性に起因して不織布の強
力が低下するとともに、形態保持を高めるためには低融
点成分を強固に熱接着する必要があり、柔軟性が損なわ
れるという問題が生じることが予想される。
【0005】実際に、難燃性長繊維不織布製造の技術と
して、リン含有ポリエステルからなる複合長繊維に熱接
着を施して不織布を形成することを要旨とした、特開平
6−264352号公報、特開平6−264353号公
報、特開平6−264354号公報等が開示されている
が、これら難燃性長繊維不織布は、いずれもスパンボン
ド法により形成された難燃性長繊維不織ウエブのみにて
構成され、しかもこの長繊維不織ウエブの全体を熱接着
したものであるため、難燃性能や、強力等の機械的特性
には優れるものの、柔軟性に極めて乏しいという問題点
があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決するもので、難燃性能を有し、しかも優れた機械的
特性および柔軟性を併せもつ難燃性複合不織布およびそ
の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の問題を解決するた
めに、本発明は以下の構成を要旨とするものである。 1.リン原子を含有するポリエステルで構成されて難燃
性を備えた長繊維不織シートの両面に、難燃性を備えた
短繊維不織ウエブ層が積層され、前記長繊維不織シート
の構成繊維同士が部分的に熱圧接されており、かつこの
長繊維不織シートの構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構
成繊維とが相互に三次元的に交絡を有しており、しかも
前記短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士が三次元的に交
絡を有していることを特徴とする難燃性複合不織布。
【0008】2.短繊維不織ウエブ層が、アラミド系繊
維と、ポリフェニレンサルファイド繊維と、炭素繊維と
のうちのいずれか一つ又は複数からなる短繊維により構
成されることを特徴とする難燃性複合不織布。
【0009】3.リン原子を含有するポリエステルを溶
融紡糸して長繊維不織ウエブを形成し、この長繊維不織
ウエブに前記ポリエステル成分の融点を(Tm)℃とし
たときに(Tm−30)℃以下の温度で部分的な熱圧接
を施して長繊維不織シートを得、この長繊維不織シート
の両面に、難燃性を付与した短繊維を開繊して得た短繊
維不織ウエブ層を積層し、短繊維不織ウエブ層の面に加
圧液体流を作用せしめ、長繊維不織シートの構成繊維と
短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に交絡させて一
体化するとともに、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士
を交絡させて一体化することを特徴とする難燃性複合不
織布の製造方法。
【0010】4.アラミド系繊維と、ポリフェニレンサ
ルファイド繊維と、炭素繊維とのうちのいずれか一つ又
は複数からなる短繊維を形成し、この短繊維を開繊して
短繊維不織ウエブ層を得ることを特徴とする難燃性複合
不織布の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明においては、長繊維不織シ
ートの両面に難燃性を有する短繊維不織ウエブ層が積層
されていなければならない。このような構成とすること
で初めて、複合不織布の表面に配された難燃性を有する
短繊維不織ウエブ層により、難燃性、耐熱性を発揮し、
かつ、中間層に配された長繊維不織シートにより、複合
不織布の機械的特性を向上させることができる。たとえ
ば、難燃性を有する短繊維不織ウエブ層が片面のみに積
層された複合不織布では、使用に際し、難燃性を有する
短繊維不織ウエブ層の面を特定し用いる必要があるが、
両面ともに難燃性短繊維不織ウエブ層が積層された複合
不織布とすることにより、優れた難燃性を有する複合不
織布となり、中間層を構成する長繊維不織ウエブ層とあ
いまり優れた機械的性能を有する複合不織布となる。
【0012】また、本発明の複合不織布は、長繊維不織
シートの構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを
相互に三次元的に交絡させるとともに、短繊維不織ウエ
ブ層の構成繊維同士を交絡させて、全体として一体化さ
れていなければならない。この三次元的交絡とは、公知
の加圧液体流処理等により形成されるものであって、こ
れにより複合不織布としての形態を保持することができ
る。
【0013】長繊維不織シートを構成する長繊維は、リ
ン原子を含有するポリエステルで形成されていなければ
ならない。リン原子を含有するポリエステルとしては、
リン化合物がポリエステルに共重合されたものが好まし
い。これに対し、リン化合物がポリエステルにブレンド
された状態で存在すると、製糸工程においてリン化合物
が繊維表面ににじみ出たり揮散したりして、製糸工程に
おける操業性の低下や作業環境の悪化を招く傾向にあ
る。
【0014】ポリエステルに共重合せしめることができ
るリン化合物としては、エステル形成性官能基を2個有
し、しかもリン原子が直接ポリマー連鎖の中に組み込ま
れないタイプのリン化合物が好適である。なぜなら、こ
のようなリン化合物は重合反応中に揮散しにくいので歩
留りが高く、しかもポリマーの重合反応中にゲル化を生
じることがなく、また、生成するポリマーの耐加水分解
性が高くなるためである。
【0015】このようなリン化合物としては、式(1)
に示すものが例示される。
【0016】
【化1】
【0017】式(1)で示されるリン化合物をポリエス
テルに共重合させるためには、ポリエステルを製造する
際に、リン化合物をそのまま反応系に添加して反応させ
ても良いし、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボ
ン酸や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等
のジオール化合物と反応させて、モノマー、オリゴマ
ー、又はポリマーの形にして添加しても良い。
【0018】リン原子を含有するポリエステルにおける
リン化合物の添加量は、繊維中のリン原子含有量が50
0〜20,000ppmとなるようにすることが肝要で
ある。好ましくは1,000〜20,000ppm、さ
らに好ましくは2,500〜10,000ppmとなる
ようにするのが良い。リン原子の含有量が500ppm
未満であると、不織布の難燃性能が劣る結果となり、逆
に、リン原子の含有量が20,000ppmを超える
と、製糸工程において糸切れが多発したり、ポリエステ
ル本来の優れた機械的特性、耐熱性能等が損なわれるた
め、いずれも好ましくない。
【0019】長繊維不織シートを構成する長繊維に適用
されるポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸、アジピン酸やセバチン酸等の脂肪族ジカル
ボン酸等の重合体が挙げられる。また、これらを酸成分
とし、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
1,4−ブタジオール、ネオペンチルグリコール、シク
ロヘキサン−1,4−ジメタノール等のジオール化合物
をジオール成分とする重合体あるいは共重合体が挙げら
れる。なお、これらのポリエステルは、パラオキシ安息
香酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、ポリアルキレ
ングリコール、ペンタエリスリトール、ビスフェノール
A等が添加あるいは共重合されたものでも良い。
【0020】長繊維不織シートを構成する長繊維の繊維
横断面形状は、リン原子を含むポリエステル単一成分の
みからなる丸断面又は異形断面のほか、リン原子を含む
ポリエステルと他のポリエステルとの複数成分からなる
芯鞘複合断面又は両者が繊維の糸条方向に並列に存在す
る複合形態のいずれでも良い。特に、芯鞘複合断面を適
用すると、長繊維不織シートに部分的な熱圧接を施す
際、鞘成分のみが融解して構成繊維同士を接着するとと
もに芯成分を補強材として具備することとなるため、優
れた機械的特性と柔軟性を有する不織布を得ることがで
き好適である。
【0021】長繊維の繊維横断面形状として芯鞘複合断
面を適用する場合、リン原子を含有するポリエステルを
鞘成分として配置し、リン原子を含有するポリエステル
よりも融点の高い他のポリエステルを芯成分として配置
することが重要である。なぜなら、長繊維不織ウエブの
熱圧接工程において、鞘成分は熱と圧力による溶融ある
いは軟化のため繊維の結晶構造が乱れるが、芯成分は熱
と圧力によっては繊維の結晶構造が乱れることはない。
従って、全融タイプとはならず、すなわち低融点成分で
あるリン原子を含有するポリエステルを鞘成分として配
置し、高融点成分である他のポリエステルを芯成分とし
て配置することにより、熱圧接されている部位において
も芯成分が補強材となり、優れた機械的特性および柔軟
性を有した不織布が得られる。例えば、前記において芯
成分と鞘成分の配置が逆であると、鞘成分を熱と圧力に
より溶融あるいは軟化させると、芯成分も鞘成分と同様
に繊維の結晶構造が乱れることとなる。すなわち、全融
タイプとなるため芯成分が補強材とはならず、その結
果、機械的特性および柔軟性に劣る不織布しか得られな
いこととなる。
【0022】さらに、長繊維の繊維横断面形状として芯
鞘複合断面を適用する場合、リン原子を含有するポリエ
ステルである鞘成分と、リン原子を含有するポリエステ
ルよりも融点の高い他のポリエステルである芯成分との
複合比は、鞘成分/芯成分=30/70〜70/30重
量%の範囲であることが好ましい。鞘成分が30重量%
未満であると、繊維強力には優れるものの接着強力に劣
り、しかも難燃性能に劣る不織布しか得られないことと
なる。逆に、鞘成分が70重量%を超えると、接着強力
には優れるものの繊維強力、柔軟性に劣る不織布しか得
られないこととなる。これらの理由および繊維横断面形
状の安定性より、さらに好ましくは、鞘成分/芯成分=
35/65〜65/35重量%が良く、鞘成分/芯成分
=40/60〜60/40重量%であるのが最も好まし
い。
【0023】本発明における長繊維不織シートは、長繊
維不織シートの構成繊維同士が部分的に熱圧接されてい
ることが肝要である。さらに詳しくは、長繊維不織シー
トが点状の融着部分を有しており、この点状融着部分で
は、長繊維不織シートに施された部分的な熱圧接により
あらかじめ形成されていた熱圧接点の構成繊維同士が、
三次元的交絡処理による外力、たとえば加圧液体流処理
においては加圧液体流の衝撃力によって、部分的に分
割、剥離しているのが好ましい。このような熱圧接点の
構成繊維同士の剥離は熱圧接領域の全体において生じる
ものではなく、熱圧接領域の一部に点状融着部分が残存
することとなる。短繊維不織ウエブ層を積層した後に三
次元的交絡処理を施す際には、あらかじめ形成されてい
る熱圧接点が存在することにより、長繊維不織シートの
形態を十分に保持することができ、しかも、三次元的交
絡処理後には、残存する点状融着部分によって得られる
複合不織布の寸法安定性を向上させ、同時に、剥離した
部分の存在によって、柔軟性を備えるとともに、三次元
的交絡を効率良く形成することができるのである。
【0024】長繊維不織シートにあらかじめ形成される
部分的な熱圧接とは、長繊維不織シートの全表面積に対
して特定の熱圧接領域を多数存在させるものである。こ
こで、個々の熱圧接領域は必ずしも円形の形状である必
要はなく、楕円形、変形、六角形、井形等の任意の形状
が採用され得るが、三次元的交絡処理による熱圧接点の
剥離度合い等を勘案すると、個々の熱圧接領域は、0.
1〜1.0mm2 の面積を有していることが好ましい。
【0025】難燃性を備えた短繊維不織ウエブ層を構成
する短繊維としては、得られる不織布に要望される難燃
性能を勘案すると、臨界酸素指数(以下、LOI値と記
す)が28以上の繊維が好適に用いられる。但し、LO
I値については以下全て、JIS−K−7021法に準
じて測定された値である。
【0026】これに基づき、短繊維不織ウエブ層は、前
述のように、アラミド系繊維と、ポリフェニレンサルフ
ァイド繊維と、炭素繊維とからなる短繊維を、単独ない
しは複数用いて構成されることが好ましい。さらに詳し
くは、アラミド系繊維を適用する場合には、パラ系アラ
ミド繊維又はメタ系アラミド繊維を、炭素繊維を適用す
る場合には、ピッチ系のものおよびPAN系(特殊アク
リル繊維フィラメント)のものを各々用いることができ
る。これらは、いずれもLOI値が29以上であり、良
好な難燃性を示す短繊維である。
【0027】また、本発明においては、短繊維不織ウエ
ブ層および長繊維不織シートの各構成繊維のいずれか一
つ又は複数に、必要に応じて各種の添加剤、例えば、艶
消し剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等を添
加しておいても良い。
【0028】次に、本発明の難燃性複合不織布の製造方
法について説明する。すなわち、長繊維不織ウエブを形
成し、この長繊維不織ウエブに部分的な熱圧接を施して
長繊維不織シートを得、この長繊維不織シートに別途作
成した短繊維不織ウエブ層を積層し、短繊維不織ウエブ
層の面に加圧液体流を作用させて、本発明の難燃性複合
不織布を得ることができる。
【0029】以下、さらに詳細に説明する。本発明に用
いる長繊維不織ウエブは、スパンボンド法により効率良
く製造することができる。すなわち、前述のリン原子を
含有するポリエステルを溶融紡出し、横吹付や環状吹付
等の冷却装置にて紡出糸条を冷却固化した後、一般的に
口金下に配設されたエアーサッカーを用いて目的繊度と
なるように索引細化して引取る。このとき、紡出糸条の
索引速度を3800m/分以上、より好ましくは420
0m/分以上とするのが良い。3800m/分未満であ
ると、繊維の熱収縮率が大きくなり、得られる不織布の
寸法安定性が低下する傾向があるため好ましくない。次
いで、エアーサッカーから排出された糸条群を、高圧電
場中のコロナ放電域あるいは摩擦衝突帯域を通過させて
帯電開繊し、これをスクリーンからなるコンベアのよう
な移動堆積装置上に開繊堆積して、長繊維不織ウエブを
形成する。
【0030】次いで、得られた長繊維不織ウエブに、熱
圧接装置を用いて部分的な熱圧接を施し、長繊維不織シ
ートを得る。このとき、熱圧接装置における熱圧接温度
は、長繊維不織ウエブを構成するポリエステルの融点を
(Tm)℃としたとき(Tm−30)℃以下としなけれ
ばならない。(Tm−30)℃以下で熱圧接を施すこと
により、短繊維不織ウエブ層が積層された後、加圧液体
流処理が施された際に、この熱圧接部分が加圧液体流の
衝撃により容易に分割、剥離されて長繊維不織シートを
構成する長繊維が単糸状となり、この単糸状の長繊維と
短繊維不織ウエブ層の構成繊維とにより強固な三次元的
交絡を施すことができるのである。熱圧接温度が(Tm
−30)℃を超えると、長繊維不織ウエブの構成繊維相
互の熱圧接が強固となるため、短繊維不織ウエブ層を積
層し加圧液体流を作用せしめる際、長繊維不織シートの
構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に交
絡され難くなり、好ましくない。また、長繊維不織シー
トを構成する長繊維が複数のポリエステルからなる場合
には、これら複数の重合体のうち最も融点の低い重合体
の融点を(Tm)℃として熱圧接温度の範囲を定めるこ
ととする。たとえば、長繊維不織シートを構成する長繊
維の繊維横断面に芯鞘複合断面を適用した場合には、鞘
成分を構成する重合体の融点を(Tm)℃とするのであ
るが、この場合は、特に、熱圧接温度を(Tm−60)
〜(Tm−30)℃とすることが好ましい。熱圧接温度
が(Tm−60)℃未満であると、長繊維不織シートに
実質的な熱圧接を付与することができないため形態保持
性が向上せず、好ましくない。
【0031】長繊維不織シートに部分的な熱圧接を施す
に際しては、彫刻の施されたロールすなわちエンボスロ
ールにより加熱される方式、あるいは超音波による高周
波をパターンロール上に印加する方式のいずれかが適用
される。このとき、熱圧接部の形態は、丸形、楕円形、
変形、六角形、井形等の任意の形状が採用される。
【0032】また、長繊維不織シートの全表面積に対す
る全熱圧接部の面積の比、すなわち圧接面積率は、5〜
20%とするのが好ましい。圧接面積率が20%を超え
ると、短繊維不織ウエブ層を積層し加圧液体流処理を施
す場合において、熱圧接部を構成する長繊維と短繊維不
織ウエブ層を構成する繊維とを相互に交絡せしめるに際
し、短繊維不織ウエブ層の目付けによっては長繊維不織
シートの熱圧接部が十分に剥離せず、長繊維不織シート
の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互の
交絡が不十分となり好ましくない。また、圧接面積率が
5%未満であると、長繊維不織シートに占める圧接面積
が少なく、形態安全性が向上しないため好ましくない。
【0033】本発明に用いる短繊維不織ウエブ層は、前
述の繊維を好適材料とし各繊維に応じた公知の方法にて
製造することができる。たとえば、アラミド系繊維から
なる短繊維は、以下の方法により製造することができ
る。すなわち、フェニレンジアミン及びフタル酸クロラ
イドを極性溶媒中において低温重合し、得られた重合体
を紡糸口金より紡出し、得られた未延伸糸を複数本合糸
し、2段熱延伸によって延伸糸を得る。この延伸処理を
施した糸条に、ヒートドラムにより熱セットを施し、そ
の後押し込みクリンパーにより捲縮を付与し、紡績用油
脂成分を付与し、その後に乾燥処理を施し、所定の繊維
長に裁断すれば良い。このようにして得られた短繊維を
単独で又は複数を任意の割合で混合して用い、これをカ
ード機を用いて開繊し、目付けの均一な短繊維不織ウエ
ブ層を作成する。
【0034】短繊維不織ウエブ層は、その目付けが20
〜100g/m2 の範囲であることが好ましい。目付け
が20g/m2 未満であると、そのウエブ層の形態保持
性が良くないので好ましくない。逆に、目付けが100
g/m2 を超えると、加圧液体流処理時に要するエネル
ギーが大きくなり、極端なときは、たとえば長繊維不織
シートに短繊維不織ウエブ層を積層した場合に、液体流
の当たる短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士の交絡が形
成されても、長繊維不織シートの構成繊維と短繊維不織
ウエブ層の構成繊維との相互の交絡が形成されず、結果
として得られた不織布が実用的な機械的特性を保持しな
いこととなり好ましくない。
【0035】本発明の難燃性複合不織布は、下記の工程
により効率よく製造することができる。すなわち、ま
ず、長繊維不織シートの両面に、短繊維不織ウエブ層を
積層する。そして、得られた積層体を移動する多孔支持
板上に載置し、加圧液体流を作用させることで、長繊維
不織シートの構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維
相互を三次元的に交絡させるとともに、短繊維不織ウエ
ブ層の構成繊維同士を三次元的に交絡させるのである。
【0036】加圧液流体を発生させるためには、たとえ
ば孔径が0.04〜1.0mmである噴射孔を、孔間隔
を0.4〜3.0mmとして1列あるいは複数列に多数
配したオリフィスを有する装置を用い、噴射圧力を5〜
150kg/cm2 Gとして噴射させる方法を採用す
る。噴射孔の配列は、積層物の進行方向と直行する方向
に沿って列状になるようにする。噴射孔が複数列配され
る場合は、噴射孔が千鳥に配されることが好ましい。千
鳥に配されることにより、積層体に均一な加圧液体流の
作用を付与することができ好ましい。噴射孔を配したオ
リフィスもまた、複数個配置しても良い。加圧液体とし
ては、水あるいは温水を用いるのが一般的である。噴射
孔と積層体との距離は、1〜15cmとするのが良い。
この距離が1cm未満であると、この処理により得られ
る複合不織布の地合いが乱れ、逆に、15cmを超える
と液体流が積層体に衝突したときの衝撃力が低下して三
次元的な交絡が十分に施されないため、いずれも好まし
くない。
【0037】加圧液体流を積層体に作用させるに際して
は、まず、第1回目の処理として予備交絡を施す。すな
わち、前記装置を用いて圧力が45kg/cm2 G未満
の加圧液体流を噴出させて短繊維不織ウエブ層の側から
積層体に衝突させ、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士
を予備的に交絡させる。この第1回目の処理において、
液体流の圧力が45kg/cm2 G以上であると、加圧
液体流により生じる随伴気流によって短繊維不織ウエブ
層の構成繊維が乱れ、この短繊維不織ウエブ層の地合い
の乱れや目付け斑を生じることとなり好ましくない。
【0038】次いで、第2回目の処理として、第1回目
よりも高圧の、圧力が45kg/cm2 G以上の加圧液
体流を噴出させて短繊維不織ウエブ層の側から積層体に
衝突させ、短繊維不織ウエブ層を構成する繊維同士を三
次元的に交絡させるとともに、長繊維不織シートの構成
繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元
的に緻密に交絡させて、積層体を全体として一体化させ
る。この第2回目の処理において、液体流の圧力が45
kg/cm2 G未満であると前記の繊維間の三次元的交
絡を十分に形成することができないこととなり好ましく
ない。このように第2回目の処理では圧力が45kg/
cm2 G以上の加圧液体流を用いるが、この第2回目の
処理を積層体に施すに際しては、前述のように第1回目
の処理により予め短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を
予備的に交絡させてあるため、短繊維不織ウエブ層の構
成繊維が液体流の作用によって乱れることがなく、従っ
て、短繊維不織ウエブ層に地合いの乱れや目付け斑が生
じたりすることがない。
【0039】長繊維不織シートの両面に短繊維不織ウエ
ブ層を積層させて、三層構造からなる複合不織布を構成
するときは、一方の面への加圧液体流の供給によって前
述のようにして交絡処理の施された積層体を反転し、他
方の面にも同様に加圧液体流を供給することで、表裏と
もに緻密に一体化した積層不織布を構成することができ
る。このように表裏から交絡処理の施された積層不織布
は、長繊維不織シートの構成繊維と短繊維不織ウエブ層
の構成繊維とが交絡するのみでなく、長繊維不織シート
の上面側に積層された一方の短繊維不織ウエブ層の構成
繊維と、長繊維不織シートの下面側に積層された他方の
短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に交絡するた
め、より強固な構成を有する積層不織布となる。
【0040】前記の多孔性支持板は、支持板上に載置さ
れた積層体を通過した加圧液体流が、支持板の孔を通過
しうる構成であれば足りる。その材質は、金属やポリエ
ステルなどのいずれでも良い。この多孔性支持板のメッ
シュは、10〜150本/25mmの範囲が適当であ
る。
【0041】加圧液体流処理により得られた積層不織布
は、過剰水分を除去するための乾燥工程を経て、最終の
複合不織布製品となる。すなわち、たとえばマングルロ
ール等の絞り装置を用いて過剰水分をある程度機械的に
除去し、引き続き連続熱風乾燥機等の乾燥装置を用いて
残余の水分を除去する。なお、乾燥処理を施すにあた
り、乾燥処理温度や時間等の処理条件の選択に際して
は、単に水分の除去を図るに止まらず、適度の収縮を許
容するような条件の選択を行っても良い。
【0042】このようにして得られた不織布は、長繊維
不織シートの構成繊維同士が部分的に熱圧接されている
ことから、不織布の機械的強力に優れる。しかも、長繊
維不織シートと短繊維不織ウエブ層とを併せ有し、かつ
これらの構成繊維が加圧液体流の作用により交絡され全
体が一体化されていることから、従来には無い際立った
機械的特性および柔軟性を兼ね備えたものとなる。
【0043】また、本発明においては、熱圧接処理では
なく、加圧液体流によって短繊維不織ウエブの形態保持
させていることから、短繊維の製造時に付与される紡績
油剤が加圧液体流の噴射によって除去され易く、短繊維
自体の難燃性能を向上させる効果もある。すなわち、カ
ード機により開繊された短繊維不織ウエブ又はこれにエ
ンボスロールによる熱圧接を施して得られた短繊維不織
ウエブ(紡績油剤の残存状態)に対し、加圧液体流によ
り交絡処理の施された短繊維不織ウエブ(紡績油剤の残
存なし)を比較すると、カード機工程において静電気の
発生防止、開繊性向上を目的に付与された油脂成分が加
圧液体流の作用により、後者においては油脂成分が脱落
しており、LOI値の測定値は向上する傾向にあり、よ
り好ましいものとなる。たとえば、ポリエステルの場
合、加圧液体流処理前のLOI値は28程度であるが、
加圧液体流処理後にはLOI値は31に向上し、アラミ
ド繊維の場合、加圧液体流処理前のLOI値は29であ
るが、加圧液体流処理後にはLOI値は32に向上す
る。
【0044】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、本発明における物性値は、下記の方法により行なっ
た。
【0045】(1)融点(℃):パーキンエルマ社製示
差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/
分で測定した溶解吸熱曲線の極値を与える温度(℃)を
融点とした。
【0046】(2)ポリエステルの相対粘度:ポリエチ
レンテレフタレートの相対粘度を次の方法により測定し
た。すなわち、フェノールと四塩化エタンの等重量混合
液を溶媒とし、この媒液中に試料0.5gを溶解し、液
温20℃の条件により、常法により測定した。
【0047】(3)リン原子含有量(ppm):蛍光X
線により定量した。 (4)繊度(デニール):万能投影機にて繊径(mm)
を測定し、密度補正を行ない求めた。
【0048】(5)目付け(g/m2 ):標準状態の試
料から縦10cm×横10cmの試料片各10点を作成
し平衡水分に至らしめた後、各試料片の重量(g)を秤
量し、得られた値の平均値を単位面積(m2 )当たりに
換算し、目付け(g/m2 )とした。
【0049】(6)不織布の引張強力(kg/5cm
幅):定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製
テンシロンUTM−4−1−100)を用い、JIS−
L−1096に記載のストリップ法に従い、試料長10
cm、試料幅5cmの試料片を10個準備し、引張速度
10cm/分の条件で最大引張強力(kg/5cm幅)
を個々に測定し、その平均値(kg/5cm幅)より求
めた。
【0050】(7)不織布の引張伸度(%):前記方法
で測定した最大引張強力時の伸度(%)より求めた。 (8)圧縮剛軟度(g):試料長10cm、試料幅5c
mの試料片計5点を作成し、各試料片毎に横方向に曲げ
て円筒状物とし、各々その端部を接合したものを圧縮剛
軟度測定試料とした。次いで、各測定試料毎にその軸方
向について、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイ
ン社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、圧
縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重値(g)
の平均値を圧縮剛軟度(g)とした。
【0051】(9)層間剥離強力(g/5cm):試料
長15cm、試料幅5cmの試料片計3点を作成し、各
試料片毎に不織布の経方向について、定速伸長型引張試
験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−
1−100)を用い、引張速度10cm/分で、短繊維
不織ウエブ層を長繊維不織シートから不織布の端部から
計って5cmの位置まで強制的に剥離させ、得られた荷
重値(g/5cm)の平均値を層間剥離強力(g/5c
m)とした。
【0052】(10)難燃性能(炭化長):(財)日本
防災協会、防災製品認定委員会制定の「防災製品の性能
試験基準」に基づいて、45度メセナミン法により炭化
長の最大値(mm)および平均値(mm)を測定した。
なお、同基準に定める防災製品の認定に必要な難燃性能
試験基準は、寝具類の詰物がプラスチック発泡体の場
合、45度メセナミン法において、炭化長の最大値が1
20mm以下、平均値が100mm以下が基準値とされ
る。不織布については、特に難燃性性能試験基準は定め
られていないので、本実施例においてプラスチック発泡
体の基準値を参考とした。
【0053】(11)LOI値(臨界酸素指数):JI
S−K−7201法に準じて測定した。なお、LOI値
は、25〜26以上が難燃素材の基準とされ、28以上
を示すものが良好な難燃性を有するものとする。
【0054】(実施例1)長繊維不織シートを得るため
に、芯鞘複合長繊維の鞘成分用として、ビス(β−ヒド
ロキシエチルテレフタレート)およびそのオリゴマー
に、式(2)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキ
サ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド
(HCA)と、HCAに対して1当量に相当する式
(3)で示されるイタコン酸とを、リン原子が重量で1
0,000ppmとなるように添加して重縮合反応を行
い、リン原子を含有するポリエステル(相対粘度[η]
=0.58)を得た。なお、この場合にHCAおよびイ
タコン酸の歩留りはほぼ100%であり、添加した全量
が得られたポリエステル中に残留した。以下、ここで得
られたポリエステルを、ポリエステルAと称す。
【0055】
【化2】
【0056】
【化3】
【0057】得られたリン原子を含有するポリエステル
Aを鞘成分に、相対粘度[η]=0.70、融点258
℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分に
配置する複合紡糸孔を240孔有する口金を通して、芯
鞘複合長繊維を溶融紡出した。溶融紡出に際しては、ポ
リエステルAの溶融温度を265℃、単孔吐出量を0.
8g/分とし、PETの溶融温度を285℃、単孔吐出
量を0.8g/分とし、両成分の複合比を、ポリエステ
ルA/PET=50/50重量%として行った。紡出し
た長繊維糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、口金下
120cmの位置に配設された6個のエアーサッカーに
この糸条を40本ずつ通して吸引し、4800m/分の
速度で引き取った。さらに帯電装置により強制させて開
繊し、長繊維不織ウエブを得た。
【0058】次いで、熱圧着装置としてエンボスロール
を用いて、この長繊維不織ウエブに部分的な熱圧接を施
し、目付け20g/m2 の長繊維不織シートを得た。こ
のエンボスロールとしては、0.36mm2 の面積の彫
刻が、圧接点密度28点/cm2 、圧接面積率10%で
施されたロールを用いた。そして、このエンボスロール
と、表面がフラットなロールとを使用して、ロールの表
面温度を175℃、ロール間の線圧を30kg/cmと
して行った。得られた長繊維不織ウエブのLOI値は2
8であり、難燃性を有するものであった。
【0059】一方、短繊維不織ウエブ層の構成短繊維と
しては、メタアラミド繊維を用いた。メタアラミド繊維
としては、繊度2デニール、繊維長51mmのユニチカ
(株)製、商品名:アピエールを用いた。このメタアラ
ミド繊維のLOI値は31であり、良好な難燃性を示す
ものである。この短繊維を用い、パラレルカード機によ
り、目付け30g/m2 の短繊維不織ウエブ層を作成し
た。
【0060】次いで、カード機により解繊の施された上
記短繊維不織ウエブ層を、前記長繊維不織シートの両面
に積層し、加圧液体流処理を施した。加圧液体流処理に
際しては、0.12mm径の加圧液体流の噴射孔が孔間
隔0.6mmで一列に配されたオリフィスヘッドが5段
に配された装置を用いた。積層体を載置する多孔性支持
板としては、70メッシュの金網を用いた。第1回目の
交絡処理として40kg/cm2 Gの高圧水流により予
備交絡を施した後、第2回目以降の交絡処理として70
kg/cm2 Gの高圧水流により4回の交絡処理を施し
た。そして、交絡処理の施された積層体を反転し、裏面
から同様に交絡処理を施した。このようにして表裏とも
に交絡処理の施された積層不織布を、水分除去装置であ
るマングルに導き、余剰の水分を除去した後、熱風乾燥
処理を95℃の温度で行ない、複合不織布を得た。
【0061】得られた複合不織布は、表裏ともに緻密な
三次元交絡を有するものであった。しかも、この複合不
織布は、機械方向の引張強力39.7kg/5cm幅、
引張伸度50%、圧縮剛軟度38g、層間剥離強力が3
60g/5cm、45度メセナミン法による炭化長の最
大値115mm、平均値92mmであり、難燃性、柔軟
性、機械的特性に優れる複合不織布であった。
【0062】(比較例1)短繊維不織ウエブ層として、
リン原子を含有しないPETからなる、繊度2.0デニ
ール、繊維長51mmで、LOI値が21である短繊維
を用いた以外は、実施例1と同様にして、複合不織布を
製造した。
【0063】得られた複合不織布は、機械方向の引張強
力38.8kg/5cm幅、引張伸度68.5%、圧縮
剛軟度30g、層間剥離強力が280g/5cmであ
り、柔軟性、機械的強度に優れる複合不織布であった
が、45度メセミナン法による炭化長の最大値が200
mmを超える、難燃性に乏しい複合不織布であった。
【0064】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、長繊維不
織シート構成する繊維および短繊維不織ウエブ層を構成
する繊維のいずれもが、難燃性を備えているので、得ら
れる不織布に優れた難燃性能を付与することができ、難
燃性能を要求される分野において、有効に利用すること
ができる。
【0065】さらに、本発明によれば、長繊維不織シー
トの構成繊維が部分的に熱圧接されているので、優れた
機械的強力を発揮するとともに、長繊維不織シートの両
面に短繊維不織ウエブ層を積層し、かつこの長繊維不織
シートの構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを
相互に三次元的に交絡させ、しかも前記短繊維不織ウエ
ブ層の構成繊維同士を三次元的に交絡させたため、全体
が一体化されており、従来には無い際立った機械的特性
および柔軟性を兼ね備えた難燃性複合不織布を得ること
ができる。
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】また、長繊維不織シートの全表面積に対す
る全熱圧接部の面積の比、すなわち圧接面積率は、5〜
20%とするのが好ましい。圧接面積率が20%を超え
ると、短繊維不織ウエブ層を積層し加圧液体流処理を施
す場合において、熱圧接部を構成する長繊維と短繊維不
織ウエブ層を構成する繊維とを相互に交絡せしめるに際
し、短繊維不織ウエブ層の目付けによっては長繊維不織
シートの熱圧接部が十分に剥離せず、長繊維不織シート
の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互の
交絡が不十分となり好ましくない。また、圧接面積率が
5%未満であると、長繊維不織シートに占める圧接面積
が少なく、形態安性が向上しないため好ましくない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】加圧液流体を発生させるためには、たとえ
ば孔径が0.04〜1.0mmである噴射孔を、孔間隔
を0.4〜3.0mmとして1列あるいは複数列に多数
配したオリフィスを有する装置を用い、噴射圧力を5〜
150kg/cm2 Gとして噴射させる方法を採用す
る。噴射孔の配列は、積層物の進行方向と直する方向
に沿って列状になるようにする。噴射孔が複数列配され
る場合は、噴射孔が千鳥に配されることが好ましい。千
鳥に配されることにより、積層体に均一な加圧液体流の
作用を付与することができ好ましい。噴射孔を配したオ
リフィスもまた、複数個配置しても良い。加圧液体とし
ては、水あるいは温水を用いるのが一般的である。噴射
孔と積層体との距離は、1〜15cmとするのが良い。
この距離が1cm未満であると、この処理により得られ
る複合不織布の地合いが乱れ、逆に、15cmを超える
と液体流が積層体に衝突したときの衝撃力が低下して三
次元的な交絡が十分に施されないため、いずれも好まし
くない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン原子を含有するポリエステルで構成
    されて難燃性を備えた長繊維不織シートの両面に、難燃
    性を備えた短繊維不織ウエブ層が積層され、前記長繊維
    不織シートの構成繊維同士が部分的に熱圧接されてお
    り、かつこの長繊維不織シートの構成繊維と短繊維不織
    ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡を有して
    おり、しかも前記短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士が
    三次元的に交絡を有していることを特徴とする難燃性複
    合不織布。
  2. 【請求項2】 短繊維不織ウエブ層が、アラミド系繊維
    と、ポリフェニレンサルファイド繊維と、炭素繊維との
    うちのいずれか一つ又は複数からなる短繊維により構成
    されることを特徴とする請求項1記載の難燃性複合不織
    布。
  3. 【請求項3】 リン原子を含有するポリエステルを溶融
    紡糸して長繊維不織ウエブを形成し、この長繊維不織ウ
    エブに前記ポリエステル成分の融点を(Tm)℃とした
    ときに(Tm−30)℃以下の温度で部分的な熱圧接を
    施して長繊維不織シートを得、この長繊維不織シートの
    両面に、難燃性を付与した短繊維を開繊して得た短繊維
    不織ウエブ層を積層し、短繊維不織ウエブ層の面に加圧
    液体流を作用せしめ、長繊維不織シートの構成繊維と短
    繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に交絡させて一体
    化するとともに、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を
    交絡させて一体化することを特徴とする難燃性複合不織
    布の製造方法。
  4. 【請求項4】 アラミド系繊維と、ポリフェニレンサル
    ファイド繊維と、炭素繊維とのうちのいずれか一つ又は
    複数からなる短繊維を形成し、この短繊維を開繊して短
    繊維不織ウエブ層を得ることを特徴とする請求項3記載
    の難燃性複合不織布の製造方法。
JP7276056A 1995-10-25 1995-10-25 難燃性複合不織布およびその製造方法 Pending JPH09119054A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7276056A JPH09119054A (ja) 1995-10-25 1995-10-25 難燃性複合不織布およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7276056A JPH09119054A (ja) 1995-10-25 1995-10-25 難燃性複合不織布およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09119054A true JPH09119054A (ja) 1997-05-06

Family

ID=17564185

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7276056A Pending JPH09119054A (ja) 1995-10-25 1995-10-25 難燃性複合不織布およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09119054A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009167566A (ja) * 2008-01-18 2009-07-30 Kurashiki Seni Kako Kk エアバッグカバー、その製造方法及びエアバッグ収納部材
CN102730411A (zh) * 2011-04-06 2012-10-17 Smc株式会社 配备有喷射器的吸入设备

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009167566A (ja) * 2008-01-18 2009-07-30 Kurashiki Seni Kako Kk エアバッグカバー、その製造方法及びエアバッグ収納部材
CN102730411A (zh) * 2011-04-06 2012-10-17 Smc株式会社 配备有喷射器的吸入设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4381146B2 (ja) 嵩高複合シートおよび製造方法
EP2122029B1 (en) Abrasion resistant fire blocking fabric
US5336556A (en) Heat resistant nonwoven fabric and process for producing same
JP3510011B2 (ja) 難燃性複合不織布およびその製造方法
JPH09119054A (ja) 難燃性複合不織布およびその製造方法
JP3562667B2 (ja) 伸縮性長繊維不織布の製造方法
JPH0978433A (ja) 難燃性複合不織布およびその製造方法
JPH09119055A (ja) 耐熱性複合不織布およびその製造方法
JPH06240553A (ja) 複合不織布及びその製造方法
JPH09119053A (ja) 耐熱性複合不織布およびその製造方法
JPH0913254A (ja) 難燃性複合不織布およびその製造方法
JP4021299B2 (ja) 難燃性皮革様シート基体およびその製造方法
JP3905916B2 (ja) 極細繊維を含む複合不織布の製造方法
JP2001049565A (ja) 難燃性複合不織布およびその製造方法
JP3259936B2 (ja) 積層不織布及びその製造方法
JPH08109567A (ja) 積層不織構造体及びその製造方法
JPH11117163A (ja) 耐熱性不織布及びその製造方法
JP2000017558A (ja) 極細短繊維を含む複合不織布及びその製造方法
JPH06264354A (ja) 難燃性長繊維不織布及びその製造方法
JP3741177B2 (ja) 複合繊維およびそれを用いた布帛
JPH09195155A (ja) 面ファスナ用不織布およびその製造方法
JP2017226952A (ja) 天井システム
JP3178934B2 (ja) 難燃性長繊維不織布及びその製造方法
JPH07316968A (ja) 複合不織布及びその製造方法
KR100557271B1 (ko) 분리가능한 중공 코폴리에스테르 섬유 및 분리된 코폴리에스테르 섬유, 이를 포함하는 직물 또는 편직물, 인조 가죽 및 부직포

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040608