JPH0978433A - 難燃性複合不織布およびその製造方法 - Google Patents

難燃性複合不織布およびその製造方法

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JPH0978433A
JPH0978433A JP7233137A JP23313795A JPH0978433A JP H0978433 A JPH0978433 A JP H0978433A JP 7233137 A JP7233137 A JP 7233137A JP 23313795 A JP23313795 A JP 23313795A JP H0978433 A JPH0978433 A JP H0978433A
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woven web
flame
woven
fiber
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JP7233137A
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English (en)
Inventor
Nobuo Noguchi
信夫 野口
Atsushi Matsunaga
篤 松永
Yasuhiro Yonezawa
安広 米沢
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性能および機械的特性のみならず、特に
柔軟性にも優れた難燃性複合不織布を提供する。 【解決手段】 長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ
層とが積層されており、これら長繊維不織ウエブ層の構
成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との少なくとも
いずれか一方が難燃性を備えている。短繊維不織ウエブ
層の構成繊維どうしが三次元的に交絡を有している。ま
た長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層
の構成繊維とが相互に三次元的に交絡を有して、これら
長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが一体化さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性能、機械的
特性、および特に柔軟性に優れた難燃性複合不織布およ
びその製造方法に関し、詳しくは、従来の長繊維不織布
と同様に、土木建築用資材、農業用資材、一般工業用資
材、日用家庭用品等の分野で広く用いることができる難
燃性複合不織布およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステル、特にポリエチレ
ンテレフタレートは、優れた機械的特性および化学的特
性を有し、衣料用、産業資材用として広範囲に利用され
ている。
【0003】また近年、火災予防の観点から、合成繊維
の難燃性への要請が強まっている。従来、ポリエステル
に難燃性を付与する試みは種々になされており、ポリエ
ステルにリン化合物を含有させる方法が有効であるとさ
れている。
【0004】難燃性長繊維不織布製造の技術は、例え
ば、特開平6−264352号公報、特開平6−264
353号公報、特開平6−264354号公報などに開
示されている。これらの要旨は、リン含有ポリエステル
からなる複合長繊維にて熱圧着不織布を構成したことに
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
難燃性長繊維不織布は、いずれもスパンボンド法により
形成された難燃性長繊維ウエブのみにて構成され、しか
もこのウエブの全体を熱圧着したものであるため、難燃
性能や、強力などの機械的特性は満足できるものの、柔
軟性に乏しいという問題点がある。
【0006】そこで本発明は、前記問題点を解決して、
難燃性能および機械的特性のみならず、特に柔軟性にも
優れた難燃性複合不織布およびその製造方法を提供する
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが積
層されており、前記長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短
繊維不織ウエブ層の構成繊維との少なくともいずれか一
方が難燃性を備えており、前記短繊維不織ウエブ層の構
成繊維どうしが三次元的に交絡を有しており、前記長繊
維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成
繊維とが相互に三次元的に交絡を有して、これら長繊維
不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが一体化されてい
ることを特徴とする難燃性複合不織布と、(2)長繊維
不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊
維との少なくともいずれか一方を難燃性を備えた繊維に
て構成し、これら長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエ
ブ層とを互いに積層させ、この積層不織ウエブ層に第1
の加圧液体流処理を施して前記短繊不織ウエブ層の構成
繊維どうしを相互に交絡させ、次に前記第1の加圧液体
流処理の際よりも高圧の加圧液体流により第2の加圧液
体流処理を施して、前記長繊維不織ウエブ層の構成繊維
と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に交絡させ、
全体として一体化させることを特徴とする難燃性複合不
織布の製造方法と、を要旨とするものである。
【0008】したがって本発明によれば、従来のものと
同等の難燃性能および機械的特性を具備するのみなら
ず、長繊維不織ウエブ層のほかに短繊維不織ウエブ層を
有し、しかもウエブ層の構成繊維の交絡によって全体が
一体化されていることから、従来には無いきわだった柔
軟性を備えたものとなる。なお本発明によれば、長繊維
不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊
維とのいずれか一方のみが難燃性を備えているものと、
両方が難燃性を備えているものとの双方が挙げられる。
【0009】
【発明の実施の形態】難燃性を有する不織ウエブ層の構
成繊維としては、臨界酸素指数(以下、「LOI値」と
称する)が28以上の繊維を用いるのが好ましい。この
LOI値はJIS K 7201に準拠して測定される
値で、一般にLOI値が25〜26以上であることが難
燃素材の基準とされている。このLOI値が28以上の
繊維としては、アラミド繊維や、ポリフェニレンサルフ
ァイド繊維や、炭素繊維や、リン原子を含有するポリエ
ステル繊維などがある。これらの繊維を単独ないしは複
数で用いることができる。
【0010】このうち、リン原子を含有するポリエステ
ルは、リン化合物がポリエステルに共重合されたものが
好ましい。これに対しリン化合物がポリエステルにブレ
ンドされた状態で存在すると、製糸工程においてリン化
合物が繊維表面ににじみ出たり揮散したりして、操業性
の低下や作業環境の悪化をきたし、好ましくない。
【0011】共重合可能なリン化合物のうち、エステル
形成性官能基を2個有し、しかもリン原子が直接ポリマ
ー連鎖の中に組み込まれないタイプのリン化合物がより
好ましい。なぜなら、重合反応中に揮散しにくいので歩
留りが高く、ポリマーの重合反応中にゲル化を生じるこ
とがなく、また、生成するポリマーの耐加水分解性が高
くなるためである。
【0012】このようなリン化合物としては、下記の化
学式(1)で示されるものが例示される。
【0013】
【化1】
【0014】上記化学式(1)で示されるリン化合物を
ポリエステルに共重合させるためには、ポリエステルを
製造する際に、リン化合物をそのまま反応系に添加して
反応させてもよいし、テレフタル酸、インフタル酸等の
ジカルボン酸やエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール等のジオールと反応させて、モノマー、オリゴマ
ー、またはポリマーの形にして添加してもよい。
【0015】リン原子を含有するポリエステルにおける
リン化合物の添加量は、繊維中のリン原子含有量が50
0ppm以上となることが肝要である。好ましくは1,
000〜20,000ppm、さらに好ましくは2,5
00〜10,000ppmとなるようにするのがよい。
リン化合物の含有量が500ppmよりも少ないと、不
織布の難燃性能が劣る結果となる。逆に、20,000
ppmよりも多いと、製糸工程において糸切れが多発し
たり、ポリエステル本来の優れた機械的特性、耐熱性能
等が損なわれるため好ましくない。
【0016】リン原子を含有する難燃性ポリエステル
は、その難燃特性を損なわない範囲で、通常のポリエス
テル系重合体との複合構造を呈していても差し支えな
い。この複合構造としては芯鞘型あるいは並列型などが
好ましく、たとえばリン原子を含有する難燃性ポリエス
テルを鞘成分に配置するとともに、この鞘成分のポリエ
ステルよりも10℃以上融点の高い通常のポリエステル
を芯成分に配置した芯鞘型複合形態などが挙げられる。
【0017】難燃性を有する不織ウエブ層の構成繊維が
アラミド繊維の場合は、パラ系アラミド繊維やメタ系ア
ラミド繊維を用いることができる。また炭素繊維として
はピッチ系のものおよびPAN系(特殊アクリル繊維フ
ィラメント)を用いることができる。これらの繊維はい
ずれもLOI値が29以上であり、すぐれた難燃性を有
する。
【0018】難燃性を有しない不織ウエブ層の構成繊維
を形成する重合体としては、融点200℃以上の熱可塑
性重合体などを用いるとよい。融点が200℃以下の重
合体から得られる繊維を用いると、低温時においてその
繊維からなる不織ウエブ層の表面が軟化し、その複合不
織布の形態の保持が困難となって好ましくない。
【0019】この融点が200℃以上の熱可塑性重合体
としては、ポリエステル系重合体およびポリアミド系重
合体を用いることができる。
【0020】ポリエステル系重合体としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタノル−2,6−ジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やセバチン酸等
の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。また、これら
のエステル類を酸成分とし、かつエチレングリコール、
ジエチレングリコール、1,4−ブタジオール、ネオペ
ンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメチノ
ール等のジオール化合物をエステル成分とするホモポリ
エステル重合体あるいは共重合体が挙げられる。なお、
これらのポリエステル系重合体には、パラオキシ安息香
酸、5−ソジウムスルホイソフタノール酸、ポリアルキ
レングリコール、ペンタエリスリトール、ビスフェノー
ルA等が添加あるいは共重合されてもよい。
【0021】ポリアミド系重合体としては、ポリイミノ
−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテト
ラメチレンアジバミド(ナイロン46)、ポリカプラミ
ド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジバミド(ナ
イロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、
ポリラウロラクタミド(ナイロン12)、ポリメタキシ
レンアジバミド、ポリパラキシリレンデカナミド、ポリ
ビスシクロヘキシルメタンデカナミド、またはこれらの
モノマを構成単位とするポリアミド系共重合体が挙げら
れる。特に、ポリテトラメチレンアジバミドの場合、ポ
リテトラメチレンアジバミドにポリカプラミドやポリヘ
キサメチレンアジバミド、ポリウンデカメチレンテレフ
タラミド等の他のポリアミド成分が30モル以下共重合
されたポリテトラメチレンアジバミド系共重合体であっ
てもよい。前記他のポリアミド成分の共重合体が30モ
ル%を超えると、共重合体の融点が低下し、これらの共
重合体の繊維からなる不織ウエブを用いて得られた複合
不織布を高温条件下で使用したときに、機械的特性や寸
法安定性が低下するので好ましくない。
【0022】なお、前記の重合体には、必要に応じて、
例えば、艶消し剤、顔料、防炎剤、光安定剤、熱安定
剤、酸化防止剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損な
わない範囲内で添加することができる。
【0023】難燃性を備えた繊維からなる不織ウエブ層
の構成割合は、重量比で50%以上とするのが好まし
い。つまり、反対に難燃性を備えていない繊維からなる
不織ウエブ層が50重量%を超えると、この繊維として
ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維等の熱可塑性重
合体から得られる繊維を用いた際に、複合不織布に占め
る難燃性を有さない繊維の量が増え、結果として複合不
織布に満足な難燃性が得られず、好ましくない。なお、
不織布を構成する不織ウエブ層のすべてを難燃性を備え
た繊維で形成すれば、難燃性能がより向上するので好ま
しい。
【0024】短繊維不織ウエブを構成する短繊維は、下
記の工程により効率よく製造することができる。すなわ
ち、所定の重合体チップを溶融紡糸し、糸条を冷却後、
800〜1200m/分の速度で引き取り、未延伸糸を
得る。そして得られた未延伸糸を複数本合糸し、2段熱
延伸機を用いて、延伸糸を得るものである。延伸処理を
施した糸条は、ヒートドラムにより熱セットを施し、そ
の後に押し込みクリンパーにより捲縮を付与し、紡績用
油脂成分を付与し、次に乾燥処理を施して、所定の繊維
長に裁断する。
【0025】本発明の短繊維不織ウエブ層は、その目付
けが10〜100g/m2 であることが好ましい。目付
けが10g/m2 未満であると、得られたウエブ層の形
態保持性が向上しないので好ましくない。また、目付け
が100g/m2 を超えると、長繊維不織ウエブ層に短
繊維不織ウエブ層が積層された複合不織ウエブ層に施す
加圧液体流処理時に要するエネルギーが大きくなり、好
ましくない。
【0026】この短繊維ウエブ層を構成する繊維として
は、繊度が0.8〜5.0デニール、繊維長が15〜7
6mm程度のものを採用するとよい。短繊維ウエブ層
は、たとえばカード機を用いて短繊維が開繊されたうえ
で、不織ウエブに形成されたものである。その際に用い
られるカード機としては、複合不織布に要求される性能
に応じて、パラレルカード機、ランダムカード機、セミ
ランダムカード機のいずれかが選択される。また、パラ
レルカードにクロスレイヤーを配したものであってもよ
く、さらにクロスレイドされた不織ウエブに対しドラフ
ターを用いてウエブの縦/横の並びを変えたものであっ
てもよい。また、短繊維不織ウエブ層自体を積層不織ウ
エブで構成する場合は、異なるカード機を用いて積層さ
れたものであってもよい。
【0027】長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維は、
前述の繊維形成性を有する重合体にて構成される。その
単繊維繊度は、1.0〜10.0デニールであるのが好
ましい。単繊維繊度が1.0デニール未満であると、得
られた不織布の機械的特性が低下したり、溶融紡糸工程
において製糸性が低下したりするため、好ましくない。
一方、単繊維繊度が10デニールを超えると、得られた
ウエブの風合いが硬くなり、柔軟性に富む複合不織布を
得ることができないため、好ましくない。したがって、
1.5〜8.0デニールの範囲であるのがより好まし
い。
【0028】長繊維不織ウエブは、たとえば下記の工程
により効率よく製造することができる。すなわち、所定
の重合体を溶融紡糸して、たとえばスパンボンド法によ
り製造される。このとき、紡糸口金より紡出された糸条
は、横吹付けや環状吹付け等の冷却装置にて冷却固化さ
れ、その後、一般的に口金下に配置されたエアーサッカ
ーを用いて目的繊度となるように引き取られる。ここ
で、紡出糸条の引き取り速度は3800m/分以上、よ
り好ましくは4200m/分以上にすべきである。なぜ
なら、引き取り速度が3800m/分未満では、分子の
配向が不十分なものとなり、複合不織布を高温条件下で
用いた際、長繊維不織ウエブ層に収縮が発生し、寸法安
定性に乏しいものとなり、好ましくないからである。
【0029】エアーサッカーから排出された糸条群は、
一般的には、高圧電場中のコロナ放電域または摩擦衝突
帯域を通過されて帯電開繊され、その後にスクリーンか
らなるコンベヤのような移動堆積装置上に開繊堆積され
る。それによってウエブが形成される。
【0030】得られた長繊維不織ウエブは、次にポイン
ト熱接着装置や超音波熱接着装置を用いて部分的な熱接
着が施されるのが好ましい。この熱接着装置における熱
接着温度は、繊維を構成する重合体の融点よりも20℃
以上低い温度が適用される。この温度がそれよりも高い
と、長繊維不織ウエブの構成繊維相互の熱接着が必要以
上に強固となり、短繊維不織ウエブ層が積層されて加圧
液体流が作用されるときに、この長繊維不織ウエブ層の
構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互の交
絡が困難となるので、好ましくない。
【0031】この部分的な熱接着は、上述のポイント熱
接着装置によれば、彫刻の施されたロールすなわちエン
ボスロールにより加熱される方式が適用される。その熱
接着部の形態には、丸形、楕円形、菱形、六角形、井形
等の任意の形状が採用される。
【0032】熱接着部の面積の割合すなわち熱圧接面積
率は、4〜40%であるのが好ましい。この熱圧接面積
率が40%を超えると、短繊維不織ウエブ層を積層して
加圧液体流処理を施すことで、熱接着部分を構成する長
繊維と短繊維ウエブ層を構成する短繊維とを相互に交絡
させる際に、短繊維不織ウエブ層の目付けによっては、
長繊維不織ウエブ層の熱接着部が十分に剥離せず、これ
らの相互交絡が不十分となることがあるので、好ましく
ない。また、熱圧接面積率が4%未満では、長繊維不織
ウエブ層における熱接着面積が少な過ぎて、形態安定性
が向上しないため、好ましくない。
【0033】熱接着部の圧接点密度は、10〜60個/
cm2 であるのが好ましい。この圧接点密度が60個/
cm2 を超えると、長繊維不織ウエブ層に占める圧接点
の増加による非圧接部分の減少により、高圧液体流処理
による長繊維不織ウエブの構成繊維と短繊維不織ウエブ
の構成繊維相互の交絡が不十分となり、複合不織布の緻
密な一体化が得られないのみでなく、長繊維不織ウエブ
の柔軟性が損なわれソフトな風合いの複合不織布が得ら
れず好ましくない。また圧接点密度が10個/cm2
満であると、長繊維不織ウエブの寸法安定性が不十分な
複合不織布となり好ましくない。
【0034】長繊維不織ウエブ層は、その目付けが10
〜100g/m2 であるのが好ましい。目付けが10g
/m2 未満であると、長繊維どうしの緻密な重なりの程
度が低く、この長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ
層を積層して複合して得られた複合不織布の地合が低下
する。一方、目付けが100g/m2 を超えると、この
長繊維不織ウエブ層の緻密性が増し、短繊維不織ウエブ
層が積層されて交絡処理が施された際に、両ウエブ層間
の交絡性が損なわれるため、好ましくない。したがっ
て、15〜60g/m2 であるのがより好ましい。
【0035】本発明の複合不織布の難燃性能は、後述の
ように、(財)日本防災協会、防災製品認定委員会制定
の「防災製品の性能試験基準」にもとづく、45゜メセ
ナミン法により測定することができる。
【0036】本発明の難燃性複合不織布は、下記の工程
により効率よく製造することができる。すなわち、ま
ず、前記方法により短繊維不織ウエブ層と長繊維不織ウ
エブ層とを製造し、これらウエブ層の構成繊維のうちの
少なくともいずれか一方を、前述の難燃性を有する繊維
にて形成しておく。そして、作成された長繊維不織ウエ
ブ層の片面に短繊維不織ウエブ層を積層し、得られた積
層不織ウエブ層を移動する多孔支持板上に載置し、加圧
液体流を作用させることで、長繊維不織ウエブ層の構成
繊維と、短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次
元的に交絡させるのである。
【0037】加圧液流体を発生させるためには、たとえ
ば孔径が0.05〜2.0mm、特に0.1〜0.4m
mである噴射孔を、孔間隔を0.3〜10mmとして1
列あるいは複数列に多数配列した装置を用い、噴射圧力
を5〜150kg/cm2 として噴射させる方法を採用
する。噴射孔の配列は、積層物の進行方向と直行する方
向に沿って列状になるようにする。加圧液体としては、
水あるいは温水を用いるのが一般的である。噴射孔と積
層物との距離は、1〜15cmとするのがよい。この距
離が1cm未満であるとこの処理により得られる複合不
織布の地合いが乱れ、一方、15cmを超えると液体流
が積層物に衝突したときの衝撃力が低下して三次元的な
交絡が十分に施されないため、いずれも好ましくない。
【0038】本発明においては、前記加圧液流処理を2
段階に分けて施す。まず、第1段階の処理として、圧力
が5〜30kg/cm2 Gの加圧液体流を噴出させて積
層物に衝突させ、短繊維不織ウエブ層の構成繊維どうし
を予備的に交絡させる。この第1段階の処理において、
液体流の圧力が5kg/cm2 G未満であると短繊維不
織ウエブ層の構成繊維どうしを予備的に交絡させること
ができず、一方、液体流の圧力が30kg/cm2 Gを
超えると短繊維不織ウエブ層の構成繊維が乱れ、この短
繊維不織ウエブ層に地合いの乱れや目付け斑を生じるた
め、いずれも好ましくない。
【0039】次いで、第2段階の処理として、第1段階
よりも高圧の、圧力が40〜150kg/cm2 Gの加
圧液体流を噴出させて積層物に衝突させ、長繊維不織ウ
エブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを
相互に三次元的に交絡させるとともに、短繊維不織ウエ
ブ層の構成繊維どうしを三次元的に交絡させて、積層物
を全体として一体化させる。この第2段階の処理におい
て、液体流の圧力が40kg/cm2 G未満であると上
述の繊維間の三次元的交絡を十分に形成することができ
ず、一方、液体流の圧力が150kg/cm2 Gを超え
ると得られた複合不織布の柔軟性とかさ高性が向上しな
いため、いずれも好ましくない。このように第2段階の
処理では圧力が40〜150kg/cm2 Gのより高圧
の加圧液体流を用いるが、この第2段階の処理を積層物
に施すに際しては、上述のように第1段階の処理により
予め短繊維不織ウエブ層の構成繊維どうしを予備的に交
絡させてあるため、短繊維不織ウエブ層の構成繊維が液
体流の作用によって乱れることがなく、したがって、こ
の短繊維不織ウエブ層に地合いの乱れや目付け斑が生じ
たりすることがない。
【0040】上述の多孔性支持板は、この支持板上に載
置された積層不織ウエブ層を通過した加圧液体流が、そ
の孔を通過しうる構成であれば足りる。その材質は、金
属やポリエステルなどのいずれでもよい。この多孔性支
持板のメッシュは、10〜150本/25mmの範囲が
適当である。
【0041】加圧液体流処理を施した後、公知の方法に
よって積層物から過剰水分を除去する。すなわち、たと
えばマングルロール等の絞り装置を用いて過剰水分をあ
る程度機械的に除去し、引き続き連続熱風乾燥機等の乾
燥装置を用いて残余の水分を除去して、最終の複合不織
布製品を得ることができる。なお、乾燥処理を施すにあ
たり、乾燥処理温度や時間等の処理条件の選択に際して
は、単に水分の除去を図るに止まらず、繊維が適度に収
縮することを許容するような条件の選択を行ってもよ
い。
【0042】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。なお、以
下で述べる各物性値は、下記の方法により求めた。
【0043】(1)融点:パーキンエルマ社製示差走査
型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分で測
定した溶解吸熱曲線の極値を与える温度を融点とした。 (2)リン原子含有量:蛍光X線により定量した。 (3)繊度:万能投影機にて繊径を測定し、密度補正を
行ない求めた。 (4)不織布の引張強力:東洋ボールドウイン社製テン
シロンUTM−4−1−100を用い、JISL 10
96に記載のストリップ法に従い、幅5cm、長さ10
cmの試料片を10個準備し、引張速度10cm/分の
条件で個々に最大引張強力を測定し、その平均値より求
めた。 (5)不織布の引張伸度:上記方法で測定した最大引張
強力時の伸度より求めた。 (6)難燃性能:炭化長により評価した。この炭化長
は、(財)日本防災協会、防災製品認定委員会制定の
「防災製品の性能試験基準」にもとづく、45゜メセナ
ミン法により測定した。なお、同委員会の定める防災製
品の認定に必要な難燃性能試験基準は、寝具類の詰物が
プラスチック発泡体の場合、45°メセナミン法におい
て、炭化長の最大値が120mm以下、平均値が100
mm以下である。長繊維不織布については特に性能基準
が定められていないので、一応プラスチック発泡体の基
準値を参考とし、平均値により評価した。 (7)圧縮剛軟度(g):長さ10cm、幅5cmの試
料片を計5点作成し、各試料片ごとに横方向に曲げて円
筒状物とし、各々その端部を接合したものを圧縮剛軟度
の測定試料とした。次いで、定速伸長型引張試験機(東
洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−10
0)を用い、各測定試料ごとに、その軸方向に沿って圧
縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重値(g)
の平均値を圧縮剛軟度(g)とした。 (8)層間剥離強力(g/5cm):長さ15cm、幅
5cmの試料片を計3点作成し、定速伸長型引張試験機
(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−
100)を用いて、各試料片ごとに、不織布の経方向に
ついて、不織布の端部から計って5cmの位置まで、短
繊維不織ウエブ層を引張速度10cm/分で長繊維不織
ウエブ層から強制的に剥離させた。得られた荷重値(g
/5cm)の平均値を層間剥離強力(g/5cm)とし
た。
【0044】(実施例1)ビス(β−ヒドロキシエチル
テレフタレート)およびそのオリゴマーに下記の化学式
(2)で示される化合物をリン原子が重量で10,00
0ppmとなるように添加して重縮合反応を行い、リン
原子を含有するポリエステル([η]=0.58)を得
た。なお、この場合に次式で示される化合物の歩留りは
ほぼ100%であり、添加した全量がポリエステル中に
残留した。
【0045】
【化2】
【0046】次に、このポリエステルを、紡糸孔を24
0孔有する口金を通して、溶融温度を265℃、単孔吐
出量を0.8g/分として、溶融紡出した。紡出した長
繊維糸条を冷却装置にて冷却した後、口金下120cm
の位置に配設された6個のエアーサッカーにこの糸条を
40本ずつ通して吸引し、4800m/分の速度で引き
取った。さらに帯電装置により強制的に帯電させて開繊
し、ウエブを得た。次いで、ポイント熱圧着装置として
エンボスロールを用いてこのウエブを熱圧着し、目付け
40g/m2 の不織ウエブ層を得た。このエンボスロー
ルとしては、面積0.36mm2 の彫刻が、圧接点密度
28点/cm2 、圧接面積率10%で施されたロールを
用いた。そして、このエンボスロールと、表面がフラッ
トなロールとを使用して、ロールの表面温度を175
℃、ロール間の線圧を30kg/cmとした。
【0047】短繊維不織ウエブ層の形成には、リン原子
を含有しないポリエチレンテレフタレートより得られ
た、単糸繊度1.5デニール、繊維長51mmの繊維を
用いた。そして、この短繊維をパラレルカード機に通し
て、目付け20g/m2 の短繊維不織ウエブ層を作り、
この短繊維不織ウエブ層を、上述の難燃性を備えた長繊
維不織ウエブ層に積層した。
【0048】そして、加圧液体流により三次元交絡処理
を施した。この加圧液体流処理に際しては、0.12m
m径の加圧液体流の噴射孔が孔間隔0.6mmで一列に
配されたオリフィスヘッドを用い、このオリフィスヘッ
ドが5段に配された装置を用いた。積層不織ウエブ層を
載置する多孔性支持板としては、30メッシュの金網を
用いた。第1回目の交絡処理として20kg/cm2
の加圧水流により予備交絡を施し、その後、第2回目の
交絡処理として60kg/cm2 Gの加圧水流を4回適
用した。得られた複合不織布の性能を表1中に示す。
【0049】
【表1】
【0050】(実施例2)実施例1とほぼ同一条件であ
るが、この実施例1における化学式(2)で示されるリ
ン化合物の添加量のみを変更して、最終的に繊維中のリ
ン原子含有量が5,000ppmになるようにした。そ
して、エアーサッカーの吸引速度およびエンボスロール
の温度を最適化する以外は実施例1と同条件として、不
織布を得た。得られた不織布の性能を表1中に示す。
【0051】(実施例3)実施例1とほぼ同一条件であ
るが、この実施例1における化学式(2)で示されるリ
ン化合物の添加量のみを変更して、最終的にリン原子含
有量が500ppmになるようにした。得られた複合不
織布の性能を表1中に示す。
【0052】(実施例4)実施例1の長繊維不織ウエブ
と短繊維不織ウエブとを用い、長繊維不織ウエブ層の目
付を30g/m2 とするとともに、短繊維不織ウエブ層
の目付を30g/m2 として、長繊維不織ウエブ層に短
繊維不織ウエブ層を積層して複合不織布とした。得られ
た複合不織布の性能を表1中に示す。
【0053】(実施例5)第2段階の交絡処理の水圧を
150kg/cm2 Gとした以外は実施例1と同一条件
として、複合不織布を作成した。得られた複合不織布の
性能を表2中に示す。
【0054】
【表2】
【0055】(実施例6)第2段階の交絡処理の水圧を
40kg/cm2 Gとした以外は実施例1と同一条件と
して、複合不織布を作成した。得られた複合不織布の性
能を表2中に示す。
【0056】(実施例7)実施例1における長繊維不織
ウエブ層の目付を80g/m2 とするとともに、短繊維
不織ウエブ層の目付を10g/m2 とした。それ以外は
実施例1と同一条件として複合不織布を作成した。得ら
れた複合不織布の性能を表2中に示す。
【0057】(実施例8)ビス(β−ヒドロキシエチル
テレフタレート)およびそのオリゴマーに上述の化学式
(2)で示される化合物をリン原子が重量で10,00
0ppmとなるように添加して重縮合反応を行い、リン
原子を含有するポリエステル([η]=0.58)を得
た。なお、この場合に化学式(2)で示される化合物の
歩留りはほぼ100%であり、添加した全量がポリエス
テル中に残留した。
【0058】このポリエステル重合体にリン化合物を共
重合させたポリエステル共重合体によって、単糸繊度
2.0デニール、繊維長51mmの難燃性を有する短繊
維を得た。この短繊維は、紡糸油剤付着時のLOI値が
29であり、また、この紡糸油剤を洗浄した後はLOI
値が32となって、十分な難燃性を有するものであっ
た。
【0059】これに対し、長繊維不織ウエブ層の構成繊
維は難燃性を有しないものとした。この難燃性を有しな
い構成繊維の製造に際しては、リン化合物を含有しない
ポリエステルを、紡糸孔を240孔有する口金を通し
て、溶融温度を285℃、単孔吐出量を0.8g/分と
して、溶融紡出した。紡出した長繊維糸条を冷却装置に
て冷却した後、口金下120cmの位置に配設された6
個のエアーサッカーにこの糸条を40本ずつ通して吸引
し、4800m/分の速度で引き取った。さらに帯電装
置により強制的に帯電させて開繊し、ウエブを得た。次
いで、ポイント熱圧着装置としてエンボスロールを用い
てこのウエブを熱圧着し、目付け30g/m2 の不織布
を得た。このエンボスロールとしては、面積0.36m
2 の彫刻が、圧接点密度28点/cm2 、圧接面積率
10%で施されたロールを用いた。そして、このエンボ
スロールと、表面がフラットなロールとを使用して、ロ
ールの表面温度を225℃、ロール間の線圧を30kg
/cmとした。
【0060】そして、得られた長繊維不織ウエブ層と短
繊維不織ウエブ層とを積層し、加圧液体流により三次元
交絡処理を施した。この加圧液体流処理に際しては、
0.12mm径の加圧液体流の噴射孔が孔間隔0.6m
mで一列に配されたオリフィスヘッドを用い、このオリ
フィスヘッドが5段に配された装置を用いた。積層不織
ウエブ層を載置する多孔性支持板としては、30メッシ
ュの金網を用いた。第1回目の交絡処理として20kg
/cm2 Gの加圧水流により予備交絡を施し、その後、
第2回目の交絡処理として80kg/cm2 Gの加圧水
流を適用した。得られた複合不織布の性能を表3中に示
す。
【0061】
【表3】
【0062】(実施例9)実施例8における難燃性を有
するポリエステル短繊維のリン原子含有量を500pp
mとなるようにリン化合物を共重合した。そして、それ
以外は実施例8と同一条件として複合不織布を得た。得
られた複合不織布の性能を表3に示す。
【0063】(実施例10)難燃性を有する短繊維とし
て、メタ系アラミド繊維(ユニチカ社製、商品名「アピ
エール」、繊度2デニール、繊維長51mm)を用い
た。そして、それ以外は実施例8と同一条件として複合
不織布を得た。得られた複合不織布の性能を表3中に示
す。
【0064】(実施例11)実施例8における難燃性を
有する短繊維不織ウエブ層の目付けを70g/m2
し、長繊維不織ウエブ層の目付けを20g/m2 とし
た。そして、それ以外は実施例8と同一条件として複合
不織布を得た。得られた複合不織布の性能を表3中に示
す。
【0065】(実施例12)第2段階の交絡処理の水圧
を150kg/cm2 Gとした以外は実施例8と同一条
件として、複合不織布を作成した。得られた複合不織布
の性能を表4中に示す。
【0066】
【表4】
【0067】(実施例13)第2段階の交絡処理の水圧
を40kg/cm2 Gとした以外は実施例8と同一条件
として、複合不織布を作成した。得られた複合不織布の
性能を表4中に示す。
【0068】(実施例14)実施例2で用いた長繊維不
織ウエブ層と実施例9で用いた短繊維不織ウエブ層とを
用い、それ以外の条件は実施例8と同様にして、複合不
織布を作成した。得られた複合不織布の性能を表4中に
示す。
【0069】以上のように、実施例1〜7のものは、難
燃性を備える不織ウエブ層として長繊維不織ウエブ層を
50重量%以上有し、しかもこの長繊維不織ウエブ層に
短繊維不織ウエブ層を積層して三次元交絡処理が施され
た複合不織布であり、長繊維不織ウエブ層の機械的特性
と高圧液体流による柔軟性とを有して実用に適した難燃
性複合不織布であった。
【0070】実施例8〜13のものは、難燃性を備える
不織ウエブ層として短繊維不織ウエブ層を50重量%以
上有しており、このため、短繊維不織ウエブ層を主体と
したことによる柔軟性の向上と、長繊維不織ウエブ層と
短繊維不織ウエブ層とを積層したことによる機械的特性
の向上とが達成されており、実用性にすぐれかつ柔軟性
にすぐれた複合不織布であった。
【0071】実施例14は、長繊維不織ウエブ層と短繊
維不織ウエブ層とがともに難燃性を備えた複合不織布で
あるため、すぐれた難燃性能を有していた。また高圧液
体流処理にもとづき柔軟性にすぐれるとともに、長繊維
不織ウエブ層の存在にもとづき機械的特性にすぐれた複
合不織布であった。
【0072】したがって、これら実施例1〜14の複合
不織布は、産業用、日常家庭用、公共交通機関用、宿泊
施設用などの難燃性を要求される分野において幅広く使
用可能なものであった。
【0073】(比較例1)実施例1における長繊維不織
ウエブ層の構成繊維のリン原子の含有量を最終的に45
0ppmとした。そして、それ以外は実施例1と同一条
件により複合不織布を得た。得られた複合不織布の性能
を表5中に示す。
【0074】
【表5】
【0075】(比較例2)実施例1における第2回目の
高圧での液体流処理の水圧を170kg/cm2とし
た。そして、それ以外は実施例1と同一条件で複合不織
布を得た。得られた複合不織布の性能を表5中に示す。
【0076】(比較例3)実施例1における第2回目の
高圧での液体流処理の水圧を30kg/cm2 とした。
そして、それ以外は実施例1と同一条件で複合不織布を
得た。得られた複合不織布の性能を表5中に示す。
【0077】(比較例4)実施例1における長繊維不織
ウエブ層の目付を32g/m2 とするとともに短繊維不
織ウエブ層の目付を48g/m2 とした。その結果、複
合不織布における難燃繊維の量は40重量%となった。
得られた複合不織布の性能を表5中に示す。
【0078】(比較例5)実施例8に用いた長繊維不織
ウエブ層の目付けを40g/m2 とするとともに、短繊
維不織ウエブ層の目付けを20g/m2 とした。そし
て、高圧液体流による交洛処理は実施例8と同一条件と
して複合不織布を得た。その結果、複合不織布における
難燃繊維の量は33重量%となった。得られた複合不織
布の性能を表6中に示す。
【0079】
【表6】
【0080】比較例1、4、5の複合不織布は、柔軟性
はあるものの、難燃性を備えた不織ウエブ層の構成繊維
の量が不織布全体に対し少なかったので、実用的な難燃
性に乏しいものであった。また比較例2の複合不織布
は、液体流処理時の水圧が高過ぎたため、所要の難燃性
能は有していたものの、引張強力および層間剥離強力が
不足していた。比較例3の不織は、液体流処理時の水圧
が低過ぎたため、所要の難燃性能は有していたものの、
実用的な層間剥離強力に乏しいものであった。
【0081】(比較例6)実施例8において、高圧液体
流による第2回目の交絡処理の水圧を35kg/cm2
Gとして複合不織布を得た。得られた複合不織布は、機
械的強度は19.6kg/5cm幅と実施例8の複合不
織布に匹敵するものであったが、層間剥離強力が60g
/5cm幅であり、緻密な一体化に乏しい複合不織布で
あった。得られた複合不織布の性能を表6中に示す。
【0082】(比較例7)実施例8において、長繊維不
織ウエブを作成するに当り、彫刻ロールに代えて、表面
がフラットな2本のロールを用いて熱圧接処理を施し
た。そして、それ以外は実施例8と同一条件として不織
布を作成した。熱圧接処理により得られた長繊維不織ウ
エブは、全面に接着が施されたものであり、この長繊維
不織ウエブに短繊維不織ウエブを積層して高圧液体流に
よる交絡処理を施しても、長繊維不織ウエブに非熱接着
部分が存在しないため、この長繊維不織ウエブの構成繊
維と短繊維不織ウエブの構成繊維との相互に交絡が生じ
ず、複合不織布が構成されなかった。
【0083】(比較例8)実施例8において、長繊維不
織ウエブを作成するにあたり、熱圧接処理を施さない不
織ウエブを用いた。そして、それ以外は実施例8と同一
条件として複合不織布を得た。得られた複合不織布は、
長繊維不織ウエブの構成繊維と短繊維不織ウエブの構成
繊維との相互に交絡を有するものの、複合不織布の破断
時の引張伸度が68%であり、その寸法安定性に乏しい
ものであった。得られた複合不織布の性能を表6中に示
す。
【0084】
【発明の効果】以上のように本発明によると、長繊維不
織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが積層されており、
前記長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ
層の構成繊維との少なくともいずれか一方が難燃性を備
えており、前記短繊維不織ウエブ層の構成繊維どうしが
三次元的に交絡を有しており、前記長繊維不織ウエブ層
の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に
三次元的に交絡を有して、これら長繊維不織ウエブ層と
短繊維不織ウエブ層とが一体化されているようにしたた
め、従来のものと同等の難燃性能および機械的特性を具
備させることができるのみならず、ウエブ層の構成繊維
の交絡によって全体を一体化させたことで、従来には無
いきわだった柔軟性を備えることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】加圧液流体を発生させるためには、たとえ
ば孔径が0.05〜2.0mm、特に0.1〜0.4m
mである噴射孔を、孔間隔を0.3〜10mmとして1
列あるいは複数列に多数配列した装置を用い、噴射圧力
を5〜150kg/cm2 として噴射させる方法を採用
する。噴射孔の配列は、積層物の進行方向と直交する方
向に沿って列状になるようにする。加圧液体としては、
水あるいは温水を用いるのが一般的である。噴射孔と積
層物との距離は、1〜15cmとするのがよい。この距
離が1cm未満であるとこの処理により得られる複合不
織布の地合いが乱れ、一方、15cmを超えると液体流
が積層物に衝突したときの衝撃力が低下して三次元的な
交絡が十分に施されないため、いずれも好ましくない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 5/06 D04H 5/06 D06M 17/04 D06M 17/00 A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ
    層とが積層されており、前記長繊維不織ウエブ層の構成
    繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との少なくともい
    ずれか一方が難燃性を備えており、前記短繊維不織ウエ
    ブ層の構成繊維どうしが三次元的に交絡を有しており、
    前記長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ
    層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡を有して、これ
    ら長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが一体化
    されていることを特徴とする難燃性複合不織布。
  2. 【請求項2】 難燃性を備えた繊維が、アラミド繊維
    と、ポリフェニレンサルファイド繊維と、炭素繊維と、
    リン原子を500ppm以上含有しているポリエステル
    繊維とのいずれかであることを特徴とする請求項1記載
    の難燃性複合不織布。
  3. 【請求項3】 難燃性を備えた繊維からなる不織ウエブ
    層の構成割合を、重量比で50%以上としたことを特徴
    とする請求項1または2記載の難燃性複合不織布。
  4. 【請求項4】 長繊維不織ウエブ層の構成繊維どうしが
    部分的に熱接着されていることを特徴とする請求項1か
    ら3までのいずれか1項記載の難燃性複合不織布。
  5. 【請求項5】 長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維
    不織ウエブ層の構成繊維との少なくともいずれか一方を
    難燃性を備えた繊維にて構成し、これら長繊維不織ウエ
    ブ層と短繊維不織ウエブ層とを互いに積層させ、この積
    層不織ウエブ層に第1の加圧液体流処理を施して前記短
    繊不織ウエブ層の構成繊維どうしを相互に交絡させ、次
    に前記第1の加圧液体流処理の際よりも高圧の加圧液体
    流により第2の加圧液体流処理を施して、前記長繊維不
    織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維
    とを相互に交絡させ、全体として一体化させることを特
    徴とする難燃性複合不織布の製造方法。
  6. 【請求項6】 第1の加圧液体流処理の際の加圧液体流
    の圧力が5〜30kg/cm2 Gであり、第2の加圧液
    体流処理の際の加圧液体流の圧力が40〜150kg/
    cm2 Gであることを特徴とする請求項5記載の難燃性
    複合不織布の製造方法。
  7. 【請求項7】 難燃性を備えた繊維からなる不織ウエブ
    層を50%以上の重量比で配合することを特徴とする請
    求項5または6記載の難燃性複合不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 長繊維不織ウエブ層をスパンボンド法に
    より形成して、この長繊維不織ウエブ層に部分熱接着処
    理を施すことを特徴とする請求項5から7までのいずれ
    か1項記載の難燃性複合不織布の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001055640A (ja) * 1999-06-09 2001-02-27 Toray Ind Inc ポリフェニレンサルファイドよりなる繊維資材および衣料
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