JP3741177B2 - 複合繊維およびそれを用いた布帛 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑り止め効果の高い複合繊維およびそれを使用した布帛に関し、さらに詳しくは滑り止め効果の高い複合繊維からなる不織布、テーブルクロス,敷物のフローリング等に接触する側に用いる不織布ネット、または滑り止め効果の高い不織布を一体化させた敷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、オレフィン系熱接着性複合繊維は、軽量で、加工性に優れていることからカーペットのパイル糸、基布材等に広く用いられてきた。
一方、近年、付加価値として滑り止め効果の高い敷物が要求されてきた。
【0003】
特許第2571155号公報に、エチレンカルボン酸系モノマーと、エチレンとからなるエチレン共重合体が繊維表面の少なくとも一部を占めている熱接着性複合繊維を、編織後熱溶融により接合した熱接着した布帛が開示されている。しかしながら、この不織布は、エチレンカルボン酸系モノマーの含有量が低いため、本願発明に要求される滑り止め性能を満足していない。
エチレンカルボン酸系モノマーの含有量を10%より高くしたエチレン共重合体を用いて紡糸を行うと、紡糸時に繊維に発泡が起こり、曳糸性が著しく低下する不都合が生じるため、滑り止め性能の向上は困難である。また、前記エチレン共重合体は金属との接着性が高いため、繊維へ捲縮を付与する捲縮工程で、捲縮加工機の通過性が不良であり、また、ウエブ作製工程で、カード機通過時にネップが頻発する不都合が生じる欠点があり、必ずしも満足できるものではなかった。
このように、加工性に優れ、なおかつ滑り止め性能を満足した複合繊維およびそれを用いた布帛はいまのところ開発されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂からなる第1成分と第2成分として炭素数3〜8のα−オレフィン単位10〜60重量%とエチレン単位90〜40重量%の共重合ゴムからなる複合繊維が上述の課題を解決しうることを識って本発明に到達した。
以上の記述から明らかなように、本発明の目的は、かかる現状に鑑み、滑り止め性能に優れ、さらに繊維加工性、不織布加工性に優れた複合繊維およびこれを用いた不織布,編織物および敷物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)〜(8)の発明からなる。
【0006】
(1)少なくとも2成分からなる複合繊維であって、該複合繊維は第1成分が熱可塑性樹脂からなり、第2成分が(A)炭素数3〜8のα−オレフィン単位から選ばれた少なくとも1種を10〜60重量%と、(B)エチレン単位を90〜40重量%含む共重合ゴムであり、繊度が1.5〜18Dであり、捲縮数が2.54cmあたり14〜25山であることを特徴とする複合繊維。
【0007】
(2)複合繊維が、第1成分を芯成分とし、第2成分を鞘成分とする鞘芯型複合繊維である前記(1)に記載の複合繊維。
【0008】
(3)複合繊維が、芯成分としてポリプロピレン樹脂からなる第1成分と、鞘成分として(A)炭素数3または4のα−オレフィン単位から選ばれた少なくとも1種を10〜60重量%と、(B)エチレン単位を90〜40重量%を含む共重合ゴムとからなる第2成分で構成された鞘芯型複合繊維である前記(1)または(2)に記載の複合繊維。
【0009】
(4)複合繊維が、一方の成分中に炭素繊維0.1〜9重量%を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合繊維。
【0010】
(5)第1成分が10〜90重量%、第2成分が90〜10重量%からなる前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合繊維。
【0011】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の複合繊維を用いた不織布。
【0012】
(7)前記(6)に記載の不織布を用いた敷物。
【0013】
(8)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の複合繊維を用いてなる編織物。
【0014】
(9)前記(8)に記載の編織物を用いた敷物。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の複合繊維の第1成分は、熱可塑性樹脂である。例えばポリプロピレン,高密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,プロピレンと他のα−オレフィンとの2元または3元系共重合体等のポリオレフィン類,ポリアミド類,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ジオールとテレフタル酸/イソフタル酸等を共重合した低融点ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル類、フッ素樹脂、上記樹脂の混合物等、その他紡糸可能な樹脂等が例示できる。
【0017】
本発明の複合繊維の熱接着成分となる第2成分は、(A)炭素数3〜8のα−オレフィン単位から選ばれた少なくとも1種を10〜60重量%と、(B)エチレン単位を90〜40重量%含む共重合ゴムである。エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との2元または3元系共重合ゴムが特に好ましく使用できる。例えば、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPR),エチレン−ブテン共重合ゴム(EBR),エチレン−プロピレン−ブテン共重合ゴム等が例示できる。
(B)の比率が40重量%未満の共重合ゴムであると、本発明の滑り止め性能が不十分となり、90重量%を越えている共重合ゴムであると、繊維加工性が不良となり好ましくない。
【0018】
本発明の複合繊維は、少なくとも2成分(以下、第1成分、第2成分という)からなる。第1,第2成分を構成する樹脂の融点差は、熱接着する手段によって好ましい値が異なり、例えば、スルーエア加工では、10℃以上、熱カレンダーロール加工では5℃以上の融点差があるのが好ましく、複合繊維の低融点成分の軟化点以上、高融点成分の融点以下の温度で熱処理を行い、熱接合することができる。
【0019】
本発明の複合繊維に用いられる第1,第2成分の組合せとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合ゴム/ポリプロピレン,エチレン−ブテン共重合ゴム/エチレン−プロピレン−ブテン結晶性共重合体,エチレン−ブテン共重合ゴム/ポリエチレンテレフタレート,エチレン−プロピレン共重合ゴム/ナイロン66,エチレン−プロピレン共重合ゴム/ポリエチレンテレフタレート,エチレン−ブテン共重合ゴムとエチレン−ブテン共重合ゴムの混合物/ポリエチレンテレフタレート,エチレン−ブテン共重合ゴムとエチレン−プロピレン共重合ゴムの混合物/ポリエチレン等を例示できる。
【0020】
本発明の複合繊維は一方の成分中に必要に応じて、炭素繊維を0.1〜9重量%の範囲で含有することができ、その成分は、繊維表面に主として露出していることが必要である。これは、カーペット等に本発明の複合繊維を用いた場合、人体に蓄積された静電気を除去する機能を付与するためであり、炭素繊維を含む成分が繊維の表面に主として露出していないと、その除電効果が充分に発揮できないからである。また、炭素繊維の添加量は、0.1〜9重量%が好ましく、炭素繊維の添加量が0.1重量%未満では、充分な除電が行われず、9重量%を越えると、曳糸性が著しく低下するため好ましくない。
【0021】
本発明に用いられる繊維加工としては、溶融紡糸法,スパンボンド法,メルトブロー法等の公知の紡糸法が例示でき、これらの加工法により、マルチフィラメント,モノフィラメント,ステープルファイバー,トウ,ウエブ,不織布,編織物等の形態とすることができる。
【0022】
本発明の複合繊維の形態は、鞘芯型,偏心鞘芯型,並列型,異形鞘芯型,異形偏心鞘芯型,異形並列型,中空鞘芯型,中空偏心鞘芯型,中空並列型,3層以上の多層型,中空多層型,異型多層型,海島型等で、かつ前記第1,第2成分を構成する成分のうち、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を形成した構造であればよい。
【0023】
本発明の複合繊維の第1成分と第2成分の複合比は、第1成分が10〜90重量%、第2成分が90〜10重量%であり、好ましくは、第1成分が30〜70重量%、第2成分が70〜30重量%で、より好ましくは、第1成分が40〜60重量%、第2成分が60〜40重量%である。接着性に関与する第2成分が10重量%未満の場合、該複合繊維からなる熱接着性不織布の引張り強力が不足するため、好ましくないが、この場合は、ニードルパンチ加工、高圧水流法加工等による非熱処理方法による不織布加工を併用して、引張り強力を向上させることもできる。
【0024】
本発明の複合繊維の繊度は、特に限定するものではなく、第1成分,第2成分に使用される樹脂の物性や繊維の用途に応じて適宜の繊度とすればよいが、繊度は、1〜100D、好ましくは1.5〜32D、より好ましくは1.5〜18Dである。1D未満では生産性が低く、100Dを越える場合には、均一な地合いのウエブが作製できない等の不都合が生じる。
【0025】
本発明の複合繊維の繊維長は、特に限定するものではなく、不織布製造法に応じて適宜の繊維長とすればよい。例えば、湿式マシンには3〜20mm、スクリーン法によるエアーレイ装置には3〜20mmであり、ピッカーローター法によるエアーレイ装置には5〜128mm、カード機には25〜128mmが好ましい。
【0026】
本発明の複合繊維をウエブ化する方法としては、例えばカード法,エアーレイ法,抄紙法が例示できる。
【0027】
得られたウエブは、スルーエア法,熱カレンダーロール法,ニードルパンチ法,超音波融着法および高圧水流法等の公知の不織布加工法により不織布とすることができ、これら不織布加工法の複数を組み合わせてもよい。例えば熱カレンダーロールを用い熱融着させる場合、熱圧着面積率を10〜30%とすることが好ましい。
この圧着面積率が10%未満では耐抜糸性や不織布強力が劣り、30%を越えると不織布のボリュ−ムが小さくなり、風合いが硬くなるため好ましくない。
【0028】
本発明の複合繊維はスパンボンド法、メルトブロー法などによって得られる長繊維ウエブとして用いることができる。この長繊維ウエブは上記した不織布加工法を用いて不織布とすることができる。
【0029】
本発明の不織布の目付けは特に制限はないが、約10〜500g/m2 が好ましい。敷物の裏面材として用いる場合には約10〜100g/m2 、ニードルパンチにてカーペットと一体化する場合には20〜200g/m2 、湿式不織布として用いる場合には約15〜80g/m2が好ましい。また該不織布の見かけ密度は特に限定はないが、熱プレス加工により複数の不織布,シート等と一体化を行う場合には、約0.017〜0.11g/cm3 が好ましい。
さらに本発明の不織布は、単独で用いるだけではなく、他の部材と積層して、各種用途に使用できる。
【0030】
本発明の複合繊維は、単独または他の繊維と、混綿,混紡,混繊,交編,交繊などにより、編織物,不織布,繊維成型品等の一次製品とすることもできる。
さらに、必要に応じてこれらを二次加工し、畳、玄関マット,台所マット,バスマット等のラグ,ピース物、タイルカーペット,電気カーペット,自動車フロアー等のカーペット類、スカート、ズボン等の衣料用、トレーマット,トレーシート、テーブルクロス、家具,建具,置物等の下敷き・下張り、鮮度保持シートの食料品支持等、荷台の荷物ずれ防止用の包装材,コンテナシート等の輸送関連の資材、土木用安定シート,遮水シート等の滑り止め材として用いられる。
【0031】
【実施例】
以下本発明の実施例を用いて、以下にさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、繊維および不織布の物性等を表1に記載した。
【0032】
本発明の不織布または敷物に使用される複合繊維は、例えば、以下の工程により製造可能である。
芯成分及び鞘成分の樹脂を溶融し、例えば、ホール数100から350の複合紡糸口金より吐出させる。この時、口金直下を空冷することにより未延伸糸を冷却する。吐出量100〜200g/分、引き取り速度40〜1300m/分で引き取ることにより、3Dから400Dの未延伸糸を作製する。該未延伸糸を60℃から120℃に加熱したロール間の速度を1対2から1対5の間に設定し延伸することにより、1Dないし100Dの延伸糸を作製する。該延伸糸にタッチロールで仕上剤を塗布したのち、ボックス型の捲縮加工機を通過させ、捲縮を付与したトウを作製する。捲縮数は1インチあたり0〜25山が好ましい。該トウは約10%の水分を含んでいるので、乾燥機を用い60℃から80℃で乾燥する。乾燥したトウを押し切りタイプのカッターを用いて、繊維長3mmから128mmの範囲で一定の繊維長に繊維をカットする。
つぎに得られた複合繊維を用い、湿式マシンまたはカード機またはエアーレイ装置を用いてウエブ形成後、サクションドライヤー熱処理することにより、繊維の交点が熱融着される。この熱処理は、サクションドライヤーの代わりに熱カレンダーロール等の加熱装置を用いて行ってもよい。
【0033】
本実施例における捲縮加工性,カード通過性および滑り摩擦抵抗等の定義と測定方法は以下のとおりである。
(1)捲縮加工性
ボックス型の捲縮加工機で捲縮加工を行ない、加工機内部に繊維が残留するような不具合が生じるかどうかを目視で判断した。
(2)カード通過性
ミニチュアカード機に得られた複合繊維を流し、カード機から得られるウエブの状態,ネップの発生,カード機詰まり等の不具合の状況を観察し、総合的に観察を行なう。
(3)滑り摩擦抵抗
目付け50(g/m2 ),サイズが12(cm)×12(cm)の布帛をサンプルを水平に設置された台上に置き、そのサンプルの上に重量が280(g),サイズが10(cm)×10(cm)の荷重を乗せ、さらにこの不織布にテンションメーターをつけ、水平方向に引っ張り、サンプルが動き出した力を測定する。この値が大きいほど、滑り摩擦抵抗が大きく良好であると判断した。
(4)除電性
室温20℃、湿度20%RHの室内に、絶縁したポリエチレンフォームの上に2m×1mの敷物を設置し、その敷物の上を革靴(牛革製)で40歩、歩行した人体の帯電圧を春日式測定器で測定した。
除電性数値と、判定の関係は以下の通りである。
○:人体帯電圧が3Kv未満。
△:人体帯電圧が3Kv以上、10Kv未満。
×:人体帯電圧が10Kv以上。
【0034】
実施例1
第1成分として、MFR=15g/10分(JIS K7210 条件14)のポリプロピレン、第2成分として、MI=18g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−ブテン共重合ゴム(住友化学工業(株)製:エスプレンNO377)を吐出比6対4で15Dの未延伸糸を作製した。紡糸時に、口金直下を空冷することにより糸を冷却する。
この未延伸糸を60℃に加熱したロール間の速度を1対3として延伸し、6Dの延伸糸を作製した。この延伸糸にタッチロールで仕上剤を塗布したのち、ボックス型の捲縮加工機を通過させて1インチ当たり14山のジグザグ捲縮を付与したトウを作製した。
このトウは水分を含んでいるので、乾燥機を用い70℃で乾燥したのち、押し切りタイプのカッターを用いて、繊維長51mmの複合繊維を作製した。
該複合繊維をカード機を通過させ、繊維ウエブを作製し、次にサクションドライヤーを使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分のエチレン−ブテン共重合ゴムを溶融接着させ、目付け28g/m2 ,比容積63cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0035】
2(参考例)
5Dの未延伸糸、2Dの延伸糸、延伸後に湿式用分散剤を浸漬させ捲縮なしで乾燥なし、さらに繊維長が5mmであることの他は実施例1と同様の条件で鞘芯型複合繊維を作製した。
該複合繊維をタッピ抄紙機にて水中に分散させ抄紙した後、乾燥機を使用して100℃で10秒間加熱処理することにより、鞘成分のエチレン−ブテン共重合ゴムを溶融接着させ、目付け20g/m,比容積21cm/gの湿式不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0036】
実施例3
第2成分として、MI=7g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−プロピレン共重合ゴム(住友化学工業(株)製:エスプレンN0416)を用い、吐出比7/3にし、45Dの未延伸糸、18Dの延伸糸の他は実施例1と同様の条件で鞘芯型複合繊維を作製した。
該複合繊維をカード機に通しウエブを作製した後、ニードルパンチを打つことにより、目付け65g/m2 ,比容積23cm3 /gのニードルパンチ不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0037】
4(参考例)
第1成分として、MFR=10g/10分(JIS K 7210 条件14)のポリプロピレン、第2成分として、MI=4.5g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−プロピレン共重合ゴム(住友化学工業(株)製:エスプレンV0115)を用い、吐出比5対5で250Dの鞘芯型複合繊維の未延伸糸を作製した。紡糸時に、口金直下を水冷することにより糸を冷却した。
この未延伸糸を60℃に加熱したロール間の速度を1対3として延伸し、タッチロールで仕上剤を塗布し、アニール後に巻取り、モノフィラメントを作製した。
該モノフィラメントを整織機を用いて5メッシュの平織りし、ネットを作製し、次にサクションドライヤーを使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分のエチレン−ブテン共重合ゴムを溶融接着させ、目付け105g/m,比容積45cm/gのネットを作製した。
該フィラメント及びネットの物性等を表1に記す。
【0038】
実施例5
第1成分として、MFR=15g/10分(JIS K7210 条件14)のポリプロピレン、第2成分として、MI=4.5g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−ブテン共重合ゴム(住友化学工業(株)製:エスプレンV0115)を用いることの他は実施例1と同様の条件で鞘芯型複合繊維を作製した。
該複合繊維をカード機を通過させ、繊維ウエブを作製し、次に高圧水流装置を使用してウォータージェット加工することにより、目付け26g/m2 ,比容積18cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0039】
実施例6
第2成分として、MI=28g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−オクテン共重合ゴムを用いることの他は実施例1と同様の条件で鞘芯型複合繊維を作製し、不織布を作製した。作製した不織布は目付け30g/m2 ,比容積56cm3 /gであった。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0040】
実施例7
第2成分として、MI=18g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−ブテン共重合ゴム(住友化学工業(株)製:エスプレンN0377)とMI=53g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−プロピレン共重合ゴム(住友化学工業(株)製:エスプレン201)を5/5のブレンド物を用い、45Dの未延伸糸、18Dの延伸糸にすることの他は実施例1と同様の条件で鞘芯型複合繊維を作製した。
該複合繊維を使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分を溶融接着させ、目付け27g/m2 ,比容積53cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0041】
実施例8
第1成分として、IV=0.7(JIS K7210 条件14)のポリエチレンテレフタレートを用い、18Dの未延伸糸、ロール間の速度を1対1として延伸し、18Dの未延伸糸を作製したことの他は実施例1と同様の条件で鞘芯型複合繊維を作製した。
該複合繊維を使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分を溶融接着させ、目付け35g/m2 ,比容積65cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0042】
実施例9
並列型の口金を用い、第1成分として、MFR=15g/10分(JIS K7210 条件14)のポリプロピレン、第2成分として、MI=18g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−ブテン共重合ゴム(住友化学工業(株)製:エスプレンN0377)を吐出比5対5で紡糸することの他は実施例1と同様の条件で並列型複合繊維を作製した。
該複合繊維を使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分を溶融接着させ、目付け24g/m2 ,比容積70cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0043】
実施例10
第2成分に炭素繊維(直径3μm,繊維長0.5mm)の20重量%低密度ポリエチレンマスターバッチを10%ブレンドし、第2成分中に2重量%含有したことの他は実施例1と同様の条件で鞘芯型複合繊維を作製した。
該複合繊維を使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分を溶融接着させ、目付け27g/m2 ,比容積61cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0044】
比較例1
第2成分として、MI=20g/10分(JIS K7210 条件4)のエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸の三元共重合体(住友化学工業(株)製:ボンダインHX8140)を用い、吐出比5対5であることの他は実施例1と同様の方法で鞘芯型複合繊維を作製した。
該複合繊維をカード機を通過させ、繊維ウエブを作製し、次にサクションドライヤーを使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分のエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸の三元共重合体を溶融接着させ、目付け29g/m2 ,比容積58cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0045】
比較例2
第2成分として、MI=16g/10分(JIS K7210 条件4)のポリエチレンを用いる他は実施例1と同様の条件で複合繊維を作製した。
該複合繊維をカード機を通過させ、繊維ウエブを作製し、次にサクションドライヤーを使用して100℃で3秒間加熱処理することにより、鞘成分のエチレン−ブテン共重合ゴムを溶融接着させ、目付け29g/m2 ,比容積58cm3 /gの不織布を作製した。
該繊維及び不織布の物性等を表1に記す。
【0046】
実施例11
6Dと18Dのポリプロピレン繊維を混綿したウエブと、実施例1で作製したウエブを積層し、ニードルパンチにて接合し、敷物とした。
この敷物は、滑り止め効果が大きく、敷物として好適であった。
【0047】
実施例12
ポリエチレンフィルムでバッキングした6Dと18Dのポリプロピレン繊維のカットパイルカーペットの裏面に実施例4で作製したネットを熱融着により積層した。
この敷物は、滑り止め効果が大きく、敷物として好適であった。
【0048】
【表1】
Figure 0003741177
【0049】
【発明の効果】
本発明の複合繊維は、エチレン−α−オレフィン(炭素数3〜8)共重合ゴムを接着成分として用いたことにより、曳糸性及びカード通過性が悪いという課題を解決し、繊維化及び不織布化が容易で滑り止め効果の高い不織布を得ることができる。

Claims (9)

  1. 少なくとも2成分からなる複合繊維であって、該複合繊維は第1成分が熱可塑性樹脂からなり、第2成分が(A)炭素数3〜8のα−オレフィン単位から選ばれた少なくとも1種を10〜60重量%と、(B)エチレン単位を90〜40重量%含む共重合ゴムであり、繊度が1.5〜18Dであり、捲縮数が2.54cmあたり14〜25山であることを特徴とする複合繊維。
  2. 複合繊維が、第1成分を芯成分とし、第2成分を鞘成分とする鞘芯型複合繊維である請求項1記載の複合繊維。
  3. 複合繊維が、芯成分としてポリプロピレン樹脂からなる第1成分と、鞘成分として(A)炭素数3または4のα−オレフィン単位から選ばれた少なくとも1種を10〜60重量%と、(B)エチレン単位を90〜40重量%を含む共重合ゴムとからなる第2成分で構成された鞘芯型複合繊維である請求項1または2に記載の複合繊維。
  4. 複合繊維が、一方の成分中に炭素繊維0.1〜9重量%を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合繊維。
  5. 第1成分が10〜90重量%、第2成分が90〜10重量%からなる請求項1〜4のいずれかに記載の複合繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合繊維を用いた不織布。
  7. 請求項6に記載の不織布を用いた敷物。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合繊維を用いた編織物。
  9. 請求項8に記載の編織物を用いた敷物。
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