JPH09119053A - 耐熱性複合不織布およびその製造方法 - Google Patents

耐熱性複合不織布およびその製造方法

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JPH09119053A
JPH09119053A JP7276055A JP27605595A JPH09119053A JP H09119053 A JPH09119053 A JP H09119053A JP 7276055 A JP7276055 A JP 7276055A JP 27605595 A JP27605595 A JP 27605595A JP H09119053 A JPH09119053 A JP H09119053A
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long
heat
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JP7276055A
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Nobuo Noguchi
信夫 野口
Katsunori Suzuki
克昇 鈴木
Yasuhiro Yonezawa
安広 米沢
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性、耐熱性を有し、しかも優れた機
械的特性および寸法安定性を併せもつ難燃性複合不織布
およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 長繊維不織ウエブに部分的な熱圧接処理
を施すことにより熱圧接点を有する長繊維不織ウエブ層
を形成し、次いで、得られた長繊維不織ウエブ層の両面
に難燃性を付与した短繊維不織ウエブ層を積層し、加圧
液体流処理を施すことにより、長繊維不織ウエブ層の構
成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互間およ
び短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士において三次元的
交絡を形成して全体として一体化させ、その後に熱圧接
処理を施して嵩密度を0.1〜0.7g/cm3 に調整
して耐熱性複合不織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性、耐熱性に
優れ、かつ優れた機械的特性および寸法安定性および柔
軟性を備え、工業用資材の分野において、特に、コピー
機の清拭材等の難燃化、耐熱化が要望される用途に好適
な耐熱性複合不織布およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、火災予防の観点から、合成繊維の
難燃化への社会的要請が強まっており、重合体への無機
物の添加、不織布ないしは織布に対する後加工など、各
種の提案がなされている。織布の製造においては、織布
工程における糊材の付与が必至であるが、得られた織布
に難燃性能を保持させようとする場合、織布作成後にこ
れらの糊剤の除去を行う必要がある。このような製造工
程の煩雑さを考慮すると、難燃性を有する布帛としては
不織布が好適であり、これまでに幾つかの難燃性不織布
が提案されている。
【0003】たとえば、耐熱性を有する短繊維からなる
不織布としては、特開昭61−289162号公報に、
耐熱性繊維として芳香族ポリアミド繊維ないしは延伸の
施されたポリフェニレンサルファイド繊維を用い、バイ
ンダー繊維として未延伸ポリフェニレンサルファイド繊
維を用い、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維を融
着処理し耐熱性不織布を得る方法が提案されている。し
かしながら、未延伸状態のポリフェニレンサルファイド
繊維を加圧条件下において可塑化させ融着を施すもので
あり、未延伸繊維の混率によっては、十分な不織布強力
が得られなかったり、柔軟性の乏しい不織布になる等の
問題がある。
【0004】また、耐熱性不織布としては、延伸された
ポリエステル繊維に、バインダー繊維として用いた未延
伸ポリエステル繊維を融着させた不織布が、コピー機の
清拭材として用いれらている。しかしながら、未延伸繊
維は繊維の強度が弱いため、加圧条件下で熱圧接が施さ
れる際、圧接するロールに未延伸繊維の付着によりロー
ルに汚れが発生し、あるいは、温度コントロールに際し
て、厳密に変動温度の範囲を設定する必要がある等の問
題がある。
【0005】また、特開平4−281016号公報で提
案されているようなスパンボンド法による長繊維不織布
は、効率的な製造が可能であり一般に多用されている
が、これは、不織布が熱圧接処理が施され一体化された
ものであり、十分な不織布強度を付与するには、不織布
を構成する重合体成分の融点温度領域において圧接処理
が施す必要があり、柔軟性、嵩高性に乏しい不織布とな
るのが実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決するもので、難燃性、耐熱性を有し、しかも優れた
機械的強度および寸法安定性および柔軟性を併せもつ耐
熱性複合不織布およびその製造方法提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の問題を解決するた
めに、本発明は以下の構成を要旨とするものである。 1.点状融着部分を有する長繊維不織ウエブ層の両面に
難燃性を備えた短繊維不織ウエブ層が積層され、長繊維
不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊
維との相互間および短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士
において三次元的交絡が施され全体として一体化されて
なり、しかも嵩密度が0.1〜0.7g/cm3 である
ことを特徴とする耐熱性複合不織布。
【0008】2.長繊維不織ウエブ層における点状融着
部分では、長繊維不織ウエブ層に施された部分的な熱圧
接によりあらかじめ形成されていた熱圧接点の構成繊維
同士が三次元的交絡処理によって一部剥離していること
を特徴とする耐熱性複合不織布。
【0009】3.長繊維不織ウエブ層が、リン原子を含
有するポリエステル系繊維により構成されることを特徴
とする耐熱性複合不織布。 4.短繊維不織ウエブ層が、リン原子を含有するポリエ
ステル系繊維と、アラミド系繊維と、ポリフェニレンサ
ルファイド繊維と、炭素繊維とのうちのいずれか一つ又
は複数からなる短繊維により構成されることを特徴とす
る耐熱性複合不織布。
【0010】5.長繊維不織ウエブ層と長繊維不織ウエ
ブ層の両面に積層される短繊維不織ウエブ層との複合比
が、長繊維不織ウエブ:短繊維不織ウエブ(両面合計)
=50:50〜20:80(重量%)であり、かつ、長
繊維不織ウエブ層の目付けが20〜100g/m2 であ
り、短繊維不織ウエブ層の目付けが長繊維不織ウエブ層
の片面につき、20〜100g/m2 であることを特徴
とする耐熱性複合不織布。
【0011】6.長繊維不織ウエブに部分的な熱圧接処
理を施すことにより熱圧接点を有する長繊維不織ウエブ
層を形成し、次いで、得られた長繊維不織ウエブ層の両
面に難燃性を付与した短繊維不織ウエブ層を積層し、加
圧液体流処理を施すことにより、長繊維不織ウエブ層の
構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互間お
よび短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士において三次元
的交絡を形成して全体として一体化させ、その後に熱圧
接処理を施して嵩密度を0.1〜0.7g/cm3 に調
整することを特徴とする耐熱性複合不織布の製造方法。
【0012】7.長繊維不織ウエブに施す部分的な熱圧
接処理を、この長繊維不織ウエブの構成繊維のうち最も
低い融点を有する重合体の融点を(Tm)℃としたとき
(Tm−80)℃〜(Tm−50)℃の加工温度で、か
つロールの線圧を5〜30kg/cmとして行うことを
特徴とする耐熱性複合不織布の製造方法。
【0013】8.加圧液体流処理を、第1段階の処理に
おいて第一の圧力の加圧液体流を作用させて短繊維不織
ウエブ層の構成繊維同士を予備的に交絡させ、その後、
第2段階の処理において第一の圧力よりも高圧の第二の
圧力の加圧液体流を作用させて長繊維不織ウエブ層の構
成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互間およ
び短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士における三次元的
交絡を形成することで行うことを特徴とする耐熱性複合
不織布の製造方法。
【0014】9.加圧液体流処理により熱圧接点の構成
繊維同士を一部剥離することで、点状融着部分を形成す
ることを特徴とする耐熱性複合不織布の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、長繊維不織ウ
エブ層の両面に難燃性を有する短繊維不織ウエブ層が積
層されていなければならない。このような構成とするこ
とで初めて、複合不織布の表面に配された難燃性を有す
る短繊維不織ウエブ層により、難燃性、耐熱性を発揮
し、かつ、中間層に配された長繊維不織ウエブ層によ
り、複合不織布の機械的特性を向上させることができ
る。たとえば、難燃性を有する短繊維不織ウエブ層が片
面のみに積層された複合不織布では、難燃性を有さない
長繊維不織ウエブ層が表面に露出するため、難燃性を十
分に保有できないのみならず、両面に難燃性を有する短
繊維不織ウエブを積層した本発明の複合不織布と比べ、
機械的強度にも劣ることとなる。
【0016】また、本発明の複合不織布は、長繊維不織
ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維と
の相互間および短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士にお
いて、三次元的交絡が施され全体として一体化されてい
なければならない。この三次元的交絡とは、公知の加圧
液体流処理等により形成されるものであって、これによ
り複合不織布としての形態を保持することができる。
【0017】本発明における長繊維不織ウエブ層を構成
する長繊維としては、繊維形成性および熱可塑性を有す
るものであれば制限はないが、特に、ポリエステル系重
合体あるいはポリアミド系重合体で、かつ融点が220
℃以上の重合体からなるものが好適に用いられる。重合
体の融点が220℃未満であると、得られた複合不織布
が高温条件下にさらされた場合に、不織布の表面部分に
は難燃性を有する短繊維が配されているため高温に耐え
うるものの、中間層を構成する長繊維不織ウエブ層が軟
化し、その形態保持が困難となることから好ましくな
い。
【0018】長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維がポ
リエステル系重合体からなる場合、たとえば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタリン2,6−ジカルボン酸
等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やセバチン酸等の
脂肪族ジカルボン酸等の重合体が挙げられる。また、こ
れらを酸成分とし、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、1,4−ブタジオール、ネオペンチルグリコ
ール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のジオ
ール化合物をジオール成分とする重合体あるいは共重合
体が挙げられる。なお、これらのポリエステルは、パラ
オキシ安息香酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、ポ
リアルキレングリコール、ペンタエリスリトール、ビス
フェノールA等が添加あるいは共重合されたものでも良
い。
【0019】長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維がポ
リアミド系重合体からなる場合、たとえば、ポリイミノ
−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテト
ラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミ
ド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナ
イロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、
ポリラウロラクタミド(ナイロン12)、ポリメタキシ
レンアジパミド、ポリパラキシレンデカナミド、ポリビ
スシクロヘキシルメタンデカナミドあるいはこれらを構
成する繰り返し単位要素によるポリアミド系共重合体が
挙げられる。ポリアミド系共重合体としては、たとえば
ポリテトラメチレンアジパミドに、ポリカプラミドやポ
リヘキサメチレンアジパミドやポリウンデカメチレンテ
レフタラミド等の他のポリアミド成分を共重合させたポ
リテトラメチレンアジパミド系共重合体が挙げられる
が、このとき、主ポリアミド成分に共重合させる他のポ
リアミド成分は、合計30モル%以下の割合であること
が好ましい。他のポリアミド成分が30モル%を超えて
共重合されると、得られる共重合体の融点が低下し、延
いてはこの共重合体からなる長繊維で形成される長繊維
不織ウエブ層を用いて得られた複合不織布が高温条件下
にさらされた場合、機械的強度や寸法安定性が低下する
こととなり好ましくない。
【0020】本発明においては特に、長繊維不織ウエブ
層を構成する長繊維が、リン原子を含有するポリエステ
ルで形成されていることが好ましい。リン原子を含有す
るポリエステルとしては、リン化合物がポリエステルに
共重合されたものが好ましい。これに対し、リン化合物
がポリエステルにブレンドされた状態で存在すると、製
糸工程においてリン化合物が繊維表面ににじみ出たり揮
散したりして、製糸工程における操業性の低下や作業環
境の悪化を招く傾向にある。
【0021】ポリエステルに共重合せしめることができ
るリン化合物としては、エステル形成性官能基を2個有
し、しかもリン原子が直接ポリマー連鎖の中に組み込ま
れないタイプのリン化合物が好適である。なぜなら、こ
のようなリン化合物は重合反応中に揮散しにくいので歩
留りが高く、しかもポリマーの重合反応中にゲル化を生
じることがなく、また、生成するポリマーの耐加水分解
性が高くなるためである。
【0022】このようなリン化合物としては、式(1)
に示すものが例示される。
【0023】
【化1】
【0024】式(1)で示されるリン化合物をポリエス
テルに共重合させるためには、ポリエステルを製造する
際に、リン化合物をそのまま反応系に添加して反応させ
ても良いし、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボ
ン酸や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等
のジオール化合物と反応させて、モノマー、オリゴマ
ー、又はポリマーの形にして添加しても良い。
【0025】リン原子を含有するポリエステルにおける
リン化合物の添加量は、繊維中のリン原子含有量が50
0〜20,000ppmとなるようにすることが肝要で
ある。好ましくは1,000〜20,000ppm、さ
らに好ましくは2,500〜10,000ppmとなる
ようにするのが良い。リン原子の含有量が500ppm
未満であると、不織布の難燃性能が劣る結果となり、逆
に、リン原子の含有量が20,000ppmを超える
と、製糸工程において糸切れが多発したり、ポリエステ
ル本来の優れた機械的特性、耐熱性能等が損なわれるた
め、いずれも好ましくない。
【0026】本発明における長繊維不織ウエブ層を構成
する長繊維を紡糸するに際しては、前記重合体の一つを
単独で用いるほか、前記重合体の中から選択された2種
以上の相異なる重合体を、製糸性を損なわない範囲内で
ブレンドして用いても良い。
【0027】本発明の長繊維不織ウエブ層を構成する長
繊維の繊維横断面形状は、前記重合体のうちの単一成分
のみからなる丸断面又は異形断面のほか、複数の相異な
る重合体からなる複合断面であっても良い。複合断面と
しては、たとえばポリエチレンテレフタレート重合体が
芯部に、ポリアミド系重合体が鞘部に配された芯鞘型複
合断面、あるいはポリカプラミド重合体とポリヘキサメ
チレンアジパミド重合体とからなる並列型複合断面等が
挙げられる。
【0028】長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維の単
繊維繊度は、1.0〜8.0デニールであるのが好まし
い。単繊維繊度が1.0デニール未満であると、得られ
た複合不織布の機械的特性が低下したり、長繊維の紡糸
工程における製糸性が低下する傾向があり、逆に、単繊
維繊度が8.0デニールを超えると、得られる複合不織
布の風合いが硬くなって柔軟性を損なうこととなり、い
ずれも好ましくない。これらの理由から、さらに好まし
くは、単繊維繊度が1.5〜5.0デニールであるのが
良い。
【0029】本発明における長繊維不織ウエブ層は、点
状融着部分を有していることが肝要である。さらに詳し
くは、この点状融着部分では、長繊維不織ウエブ層に施
された部分的な熱圧接によりあらかじめ形成されていた
熱圧接点の構成繊維同士が、三次元的交絡処理による外
力、たとえば加圧液体流処理においては加圧液体流の衝
撃力によって、部分的に繊維の状態に分割、剥離してい
るのが好ましい。このような熱圧接点の構成繊維同士の
剥離は熱圧接領域の全体において生じるものではなく、
熱圧接領域の一部に点状融着部分が残存することとな
る。短繊維不織布を積層した後に三次元的交絡処理を施
す際には、あらかじめ形成されている熱圧接点が存在す
ることにより、長繊維不織ウエブ層の形態を十分に保持
することができ、しかも、三次元的交絡処理後には、残
存する点状融着部分によって得られる複合不織布の寸法
安定性を向上させ、同時に、剥離した部分の存在によっ
て、柔軟性を備えるとともに、三次元的交絡を効率良く
形成することができるのである。
【0030】長繊維不織ウエブにあらかじめ形成される
部分的な熱圧接とは、長繊維不織ウエブ層の全表面積に
対して特定の熱圧接領域を多数存在させるものである。
ここで、個々の熱圧接領域は必ずしも円形の形状である
必要はなく、楕円形、変形、六角形、井形等の任意の形
状が採用され得るが、三次元的交絡処理による熱圧接点
の剥離度合い等を勘案すると、個々の熱圧接領域は、
0.1〜1.0mm2 の面積を有していることが好まし
い。
【0031】難燃性を有する短繊維不織ウエブ層を構成
する短繊維としては、臨界酸素指数(以下、LOI値と
記す)が28以上の繊維が好適に用いられる。但し、L
OI値については以下全て、JIS−K−7021法に
準じて測定された値である。LOI値が28以上である
ことは、本発明の複合不織布が中間層である長繊維不織
ウエブの両面を緻密に覆っている短繊維に難燃性能を付
与することにより、難燃性、耐熱性を機能させる構造で
あることから、この構造を考慮し、得られる複合不織布
に要望される難燃性能から勘案すると、重要である。
【0032】これに基づき、短繊維不織ウエブ層は、前
述のように、リン原子を含有するポリエステル系繊維
と、アラミド系繊維と、ポリフェニレンサルファイド繊
維と、炭素繊維とからなる短繊維を、単独ないしは複数
用いて構成されることが好ましい。さらに詳しくは、リ
ン原子を含有するポリエステル系繊維を適用する場合に
は、長繊維不織ウエブ層に好適な前述のリン含有ポリエ
ステル系繊維を、アラミド系繊維を適用する場合には、
パラ系アラミド繊維又はメタ系アラミド繊維を、炭素繊
維を適用する場合には、ピッチ系のものおよびPAN系
(特殊アクリル繊維フィラメント)のものを各々用いる
ことができる。これらは、いずれもLOI値が29以上
であり、良好な難燃性を示す短繊維である。
【0033】本発明の複合不織布において、長繊維不織
ウエブと長繊維不織ウエブ層の両面に配される短繊維不
織ウエブとの複合比は、前述のように、長繊維不織ウエ
ブ:短繊維不織ウエブ(両面合計)=50:50〜2
0:80(重量%)であることが好ましい。長繊維不織
ウエブの複合比が50重量%を超えると、複合不織布中
に占める難燃性を有さない繊維の割合が増え、結果とし
て複合不織布に所望の難燃性が得られないこととなり好
ましくない。逆に、長繊維不織ウエブの複合比が20重
量%未満であると、複合不織布に十分な機械的強度、寸
法安定性が得られないこととなり好ましくない。
【0034】さらに、本発明の複合不織布においては、
前記複合比を満たし、かつ、前述のように、長繊維不織
ウエブ層および短繊維不織ウエブ層の目付けが以下の範
囲を満たすことが好ましい。すなわち、長繊維不織ウエ
ブ層の目付けは、10〜200g/m2 であるのが好ま
しい。長繊維不織ウエブ層の目付けが10g/m2 未満
であると、長繊維同士の緻密な重なりの程度が低く、こ
の長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層を積層して
得られた複合不織布の地合いが低下する傾向となる。逆
に、長繊維不織ウエブ層の目付けが200g/m2 を超
えると、この長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層
を積層し三次元的交絡処理を施すに際して長繊維不織ウ
エブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との
相互間に十分に交絡を形成することができず、全体とし
て一体化することが困難となる。これらの理由から、さ
らに好ましくは、長繊維不織ウエブ層の目付けは、20
〜100g/m2 であるのが良い。短繊維不織ウエブ層
の目付けは、長繊維不織ウエブ層の片面につき、20〜
100g/m2 であることが好ましい。短繊維不織ウエ
ブ層の目付けが20g/m2 未満であると、得られた長
繊維不織ウエブ層の形態保持性が向上しないのみでな
く、難燃性能が低下する傾向にあり、逆に、短繊維不織
ウエブ層の目付けが100g/m2 を超えると、加圧液
体流処理時に要するエネルギーが大きくなり、長繊維不
織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維
との三次元的交絡および短繊維不織ウエブ層の構成繊維
同士の三次元的交絡がともに十分に得られ難く、結果と
して得られた不織布が実用的な機械的特性を保持しない
こととなり、いずれも好ましくない。
【0035】また、長繊維不織ウエブ層の両面に配され
る短繊維不織ウエブの一方の面と他方の面との割合は、
一方の面:他方の面=65:35〜35:65であるこ
とが好ましい。一方の面に積層される短繊維不織ウエブ
の割合が35/100未満になると、短繊維不織ウエブ
の複合比によっては、長繊維不織ウエブ層が短繊維不織
ウエブ層に十分に覆われず、複合不織布表面の一部に長
繊維不織ウエブ層が露出することとなり、耐熱性が阻害
されるため好ましくない。
【0036】なお、本発明において、長繊維不織ウエブ
および短繊維不織ウエブを形成する重合体には、必要に
応じて、たとえば艶消し剤、顔料、消臭剤、光安定剤、
熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を本発明の効果を
損なわない範囲内で添加することができる。
【0037】本発明の複合不織布は、その嵩密度が0.
1〜0.7g/cm3 であることが重要である。嵩密度
は嵩高性を示すもので、嵩密度の値が小さいほど嵩高で
あることを表す。本発明の複合不織布はその嵩密度が
0.1〜0.7g/cm3 であり、比較的嵩高性に乏し
い複合不織布である。嵩密度が0.1g/cm3 未満で
あると、本発明の複合不織布の主たる目的用途である、
コピー機の清拭材等の工業用資材の分野において使用す
る場合に、余りにも嵩高になり過ぎるため効率よく用い
ることができない。逆に、嵩密度が0.7g/cm3
超えると、余りにも嵩高性に劣り、用途によらず実用に
耐えないものとなる。
【0038】本発明の耐熱性複合不織布は、前述の製造
方法によって得ることができるのであるが、これについ
て以下、詳細に説明する。本発明に用いる長繊維不織ウ
エブは、スパンボンド法により効率良く製造することが
できる。すなわち、繊維形成性および熱可塑性を有する
重合体、詳しくは前述のポリエステル系重合体あるいは
ポリアミド系重合体を好適材料として用い、これを溶融
紡出し、公知の冷却装置にて紡出糸条を冷却固化した
後、エアーサッカー等の引取り手段を用いて目的繊度と
なるように牽引細化して引取る。このとき、紡出糸条の
引取り速度を3000〜6000m/分とするのが良
い。引取り速度が3000m/分未満であると、長繊維
の分子配向度が十分に増大しないため得られた長繊維不
織ウエブの機械的特性や寸法安定性が向上せず、逆に、
引取り速度が6000m/分を超えると、紡糸時の製糸
性が低下する傾向となり、いずれも好ましくない。続い
て、エアーサッカー等の引取り手段から排出された糸条
群を開繊し、移動する捕集面上に捕集・堆積させて、長
繊維不織ウエブを得る。
【0039】次いで、この長繊維不織ウエブに、部分的
な熱圧接を施して、熱圧接点を有する長繊維不織ウエブ
層を得る。部分的な熱圧接を施すに際しては、たとえ
ば、加熱され、しかも本発明の耐熱性複合不織布におい
て好適とされる前述の熱圧接領域の形状および個々の熱
圧接領域の面積を満足させるような彫刻模様が表面に施
されたロール、すなわちエンボスロールと、加熱され、
しかも表面が平滑な金属ロールとの間に、得られた長繊
維不織ウエブを通すことにより行うことができる。
【0040】長繊維不織ウエブ層の熱圧接処理を行う際
には、前述のように、加工温度、すなわちエンボスロー
ルおよび金属ロールの表面温度を、長繊維不織ウエブの
構成繊維のうち最も低い融点を有する重合体の融点を
(Tm)℃としたとき(Tm−80)〜(Tm−50)
℃とすることが好ましい。(Tm−80)〜(Tm−5
0)℃の加工温度で熱圧接処理を行うことにより、長繊
維不織ウエブ層の形態を保持することができ、さらに、
この加工温度において熱圧接をして得た長繊維不織ウエ
ブ層を用いることにより、後に行われる加圧液体流処理
の際に、予備的に形成した熱圧接点の一部を剥離させる
ことができるのである。(Tm−80)℃よりも低い温
度で加工すると、長繊維不織ウエブ層に実質的な熱圧接
を付与することができないため長繊維不織ウエブ層の形
態保持性が向上せず、逆に、(Tm−50)℃を超えた
温度で加工すると、長繊維不織ウエブ層の構成繊維相互
の熱圧接が強固となることから、短繊維不織ウエブ層を
積層し加圧液体流処理を施す際に熱圧接部分の一部を剥
離させることができず、長繊維不織ウエブ層の剥離した
部分の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相
互間において効率的に交絡を形成し得るという前述の効
果を発揮できないこととなるため、いずれも好ましくな
い。
【0041】さらに、長繊維不織ウエブ層の熱圧接処理
を行う際には、前記を満足する加工温度で、かつ、前述
のように、ロールの線圧を5〜30kg/cmとするこ
とが好ましい。加工温度と線圧の条件は特に重要で、加
工温度が(Tm−80)℃よりも低温であり、あるい
は、線圧が5kg/cm未満であると、熱圧接処理効果
が乏しく、得られた長繊維不織ウエブ層の寸法安定性が
向上せず、延いては長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウ
エブ層を積層して得られた複合不織布の寸法安定性が低
下することとなり好ましくない。逆に、加工温度が(T
m−50)℃よりも高温であり、あるいは、線圧が10
kg/cmを超えると、熱圧接処理効果が過大となるた
め、長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層を積層し
加圧液体流処理を施す際に、長繊維不織ウエブ層の構成
繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互間に三次
元的交絡を十分に形成できず、全体としての一体化がな
され難くなるため好ましくない。このように通常の場合
よりも低温かつ低線圧の熱圧接処理を行うことにより、
長繊維ウエブの構成繊維間を一旦予備的に熱圧接するこ
とができる。
【0042】熱圧接処理が施されて熱圧接点を有すると
ころの長繊維不織ウエブ層は、長繊維不織ウエブ層にお
ける熱圧接点の密度、すなわち圧接点密度が5〜100
点/cm2 、さらに好ましくは10〜80点/cm2
あり、かつ長繊維不織ウエブ層の全表面積に対する全熱
圧接点の面積の比、すなわち圧接面積率が5〜50%、
さらに好ましくは8〜40%であることが好ましい。こ
のときの圧接点密度が5点/cm2 未満であると、長繊
維不織ウエブ層の機械的特性や形態保持性が向上せず、
逆に、この圧接点密度が100点/cm2 を超えると、
加圧液体流処理時の加工性に劣ることとなり、いずれも
好ましくない。また、このときの圧接面積率が5%未満
であると、長繊維不織ウエブ層の寸法安定性が向上せ
ず、延いては長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層
を積層して得られた複合不織布の寸法安定性に劣ること
となり、逆に、この圧接面積率が50%を超えると、長
繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層を積層し加圧液
体流処理を施すに際しての加工性が劣り、いずれも好ま
しくない。
【0043】なお、本発明において、長繊維不織ウエブ
を部分的に熱圧接するに際しては、前記のようにエンボ
スロールを用いるエンボス加工のほかに、超音波融着装
置を用いて超音波による高周波をパターンロール上に印
加する方法を採用することもできる。
【0044】次に、長繊維不織ウエブ層に積層するため
の、難燃性を有する短繊維不織ウエブ層の製造方法につ
いて述べる。本発明に用いる短繊維不織ウエブ層は、難
燃性を有する短繊維、詳しくは前述の繊維を好適材料と
し、各繊維に応じた公知の方法にて製造することができ
る。たとえば、リン原子を含有するポリエステル繊維か
らなる短繊維は、以下の方法により製造することができ
る。すなわち、リン化合物がポリエステルに共重合され
た重合体チップを溶融紡糸し、紡出糸条を冷却後、80
0〜1200m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得
る。そして、得られた未延伸糸を複数本合糸し、2段熱
延伸によって延伸糸を得る。この延伸処理を施した糸条
に、ヒートドラムにより熱セットを施し、その後押し込
みクリンパーにより捲縮を付与し、紡績用油脂成分を付
与し、その後に乾燥処理を施し、所定の繊維長に裁断す
れば良い。このようにして得られた短繊維を単独で又は
複数を任意の割合で混合して用い、これをカード機を用
いて開繊し、目付けの均一な難燃性を有する短繊維不織
ウエブ層を作成する。このとき用いられるカード機は、
パラレルカード機、ランダムカード機、セミランダムカ
ード機、あるいはパラレルカード機にクロスレイヤーや
ドラフターを組み合わせたもののうちいずれでも良く、
複合不織布に要求される性能により、適宜選択される。
【0045】本発明の耐熱性複合不織布は、下記の工程
により効率よく製造することができる。すなわち、ま
ず、前述の複合比、目付け等を満足するように、長繊維
不織ウエブ層の両面に短繊維不織ウエブ層を積層する。
そして、得られた積層体を移動する多孔支持板上に載置
し、加圧液体流を作用させることで、長繊維不織ウエブ
層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維相互を三
次元的に交絡させるとともに、短繊維不織ウエブ層の構
成繊維同士を三次元的に交絡させて全体として一体化さ
せるのである。
【0046】加圧液流体を発生させるためには、たとえ
ば孔径が0.05〜2.0mm、好ましくは0.1〜
0.4mmである噴射孔を、孔間隔を0.3〜10mm
として1列あるいは複数列に多数配したオリフィスを有
する装置を用い、噴射圧力を5〜150kg/cm2
として加圧液体を噴射させる方法を採用する。噴射孔の
配列は、積層物の進行方向と直交する方向に沿って列状
になるようにする。噴射孔が複数列配される場合は、噴
射孔が千鳥に配されることが、積層体に均一な加圧液体
流の作用を付与するうえで、好ましい。噴射孔を配した
オリフィスもまた、複数個配置しても良い。加圧液体と
しては、水あるいは温水を用いるのが一般的である。噴
射孔と積層体との距離は、1〜15cmとするのが良
い。この距離が1cm未満であると、この処理により得
られる複合不織布の地合いが乱れ、逆に、15cmを超
えると、液体流が積層体に衝突したときの衝撃力が低下
して三次元的な交絡が十分に施されないため、いずれも
好ましくない。
【0047】本発明においては、加圧液体流処理を、第
一の圧力による第1段階と、この第一の圧力よりも高圧
の第二の圧力による第2段階との2段階に分けて施すこ
とが好ましい。すなわち、第1段階の処理として、圧力
が5〜30kg/cm2 Gの加圧液体流を噴出させて前
記積層体に衝突させ、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同
士を予備的に交絡させる。この第1段階の処理におい
て、液体流の圧力が5kg/cm2 G未満であると、短
繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を予備的に交絡させる
ことができず、逆に、液体流の圧力が30kg/cm2
Gを超えると、前記積層体に加圧液体流を噴出し衝突さ
せたときに加圧液体流により生じる随伴気流によって短
繊維不織ウエブ層の構成繊維が乱れ、得られる複合不織
布の地合いの乱れや目付け斑を生じることとなり、いず
れも好ましくない。
【0048】続いて、第2段階の処理として、圧力が4
0〜150kg/cm2 Gの加圧液体流を噴出させて積
層体に衝突させ、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊
維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元的に交絡さ
せるとともに、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を三
次元的に交絡させて、積層体を全体として一体化させ
る。この第2段階の処理において、液体流の圧力が40
kg/cm2 G未満であると、前記の繊維間の三次元的
交絡を十分に形成することができないこととなり、逆
に、液体流の圧力が150kg/cm2 Gを超えると、
得られた複合不織布の柔軟性と嵩高性が低下する傾向と
なり、いずれも好ましくない。
【0049】このように、加圧液体流処理を2段階に分
けて施すことにより、第2段階の処理として圧力が40
〜150kg/cm2 Gの高圧液体流を積層体に作用さ
せる場合にも、第1段階の処理によりあらかじめ短繊維
不織ウエブ層の構成繊維同士を予備的に交絡させてある
ため、短繊維不織ウエブ層の構成繊維が液体流の作用に
よって乱れることがなく、従って、得られる複合不織布
に地合いの乱れや目付け斑が生じるのを防止することが
できる。
【0050】前記の方法により片面に交絡処理の施され
た積層体を更に反転し、前記の第2段階における処理と
同様に加圧液体流を供給して交絡を施すことにより、表
裏ともに緻密に一体化した積層不織布を構成することが
できる。このように表裏より交絡処理の施された積層不
織布は、長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが
交絡するのみでなく、長繊維不織ウエブ層の上面側に積
層された一方の短繊維不織ウエブ層の構成繊維と、長繊
維不織ウエブ層の下面側に積層された他方の短繊維不織
ウエブ層の構成繊維とが相互に交絡するため、より強固
な構成を有する積層不織布となる。
【0051】加圧液体流処理を施す際に、積層体を担持
する支持材は、たとえば20〜100メッシュの金網等
のメッシュスクリーンや有孔板など、加圧液体流が積層
体を貫通し得るものであれば特に限定されない。
【0052】加圧液体流処理を施した後、処理後の積層
体から過剰水分を除去するのであるが、ここで過剰水分
を除去するに際しては、公知の方法を採用することがで
きる。たとえばマングルロール等の絞り装置を用いて過
剰水分をある程度機械的に除去し、引き続き、連続熱風
乾燥機等の乾燥装置を用いて残余の水分を除去する。な
お、この乾燥処理は、通常の乾熱処理のほか、必要に応
じて湿熱処理としても良い。また、乾燥処理を施すにあ
たり、乾燥処理温度や時間等の処理条件を選択するに際
しては、単に水分の除去を図るに止まらず、適度の収縮
を許容するように条件を選択をしても良い。
【0053】このようにして得られた複合不織布におけ
る長繊維不織ウエブ層においては、前述のように、予備
的に施された熱圧接点の構成繊維同士が加圧液体流処理
により部分的に分割、剥離され、点状融着部分が形成さ
れる。詳しくは、部分的な熱圧接処理を施すことにより
形成される熱圧接点を有する長繊維不織ウエブ層におい
ては、圧接点密度が5〜100点/cm2 、さらに好ま
しくは10〜80点/cm2 であり、かつ圧接面積率が
5〜50%、さらに好ましくは8〜40%であった熱圧
接領域が、加圧液体流処理によって部分的に破壊されて
残存するところの点状融着部分においては、圧接点密度
が2〜80点/cm2 、さらに好ましくは4〜60点/
cm2 であり、かつ圧接面積率が2〜30%、さらに好
ましくは4〜20%である熱圧接領域が残存するのであ
る。このような点状融着部分を有する長繊維不織ウエブ
層を用いることにより、残存する熱圧接領域によって得
られる複合不織布の寸法安定性を向上させるとともに、
非熱圧接領域の存在によって加圧液体流処理による三次
元交絡を効率良く形成することができるのである。
【0054】三次元的交絡処理そして乾燥がなされた複
合不織布は、その嵩密度を前記の特定範囲にするために
熱圧接処理が施されて最終の複合不織布製品となる。詳
しくは、乾燥処理の施された複合不織布を引き続き、前
述の長繊維不織ウエブ層を得る際に用いたと同様の熱圧
接装置に導き、嵩密度が0.1〜0.7g/cm3 とな
るように調整する。
【0055】嵩密度の調整のために行う熱圧接処理にお
いては、加工温度を、複合不織布を構成する長繊維不織
ウエブ層および短繊維不織ウエブ層の構成繊維のうち最
も低い融点を有する重合体の融点を(Tm’)℃とした
とき(Tm’−50)〜(Tm’−10)℃とすること
が好ましい。加工温度のほかに、ロール間の線圧、ロー
ル間の隙間等の条件を適宜調整することにより、嵩密度
を調整することができるのである。また、この場合の熱
圧接処理は必ずしも部分的である必要はないので、彫刻
模様の施されたいわゆるエンボスロールと表面平滑なロ
ールとの組み合わせからなる熱圧接装置のみならず、表
面平滑なロール同士の組み合わせからなる熱圧接装置を
用いることもできる。
【0056】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定され
るものではない。
【0057】なお、実施例においては、各特性値の測定
を次の方法により実施した。 (1)融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量
計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測
定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度
(℃)を融点とした。
【0058】(2)相対粘度[イ]:ポリエチレンテレ
フタレートの相対粘度は、次の方法によって測定した。
すなわち、フェノールと四塩化エタンの等重量混合液を
溶媒とし、この溶媒100mlに試料0.5gを溶解
し、温度20℃の条件で常法により測定した。
【0059】(3)相対粘度[ロ]:ポリカプラミド
(ナイロン6)の相対粘度は、次の方法によって測定し
た。すなわち、96%硫酸100mlに試料1gを溶解
し、温度25℃の条件で常法により測定した。
【0060】(4)リン原子含有量(ppm):蛍光X
線により定量した。 (5)繊度(デニール):万能投影機にて繊径(mm)
を測定し、密度補正を行ない求めた。
【0061】(6)目付け(g/m2 ):標準状態の試
料から縦10cm×横10cmの試料片各10点を作成
し平衡水分に至らしめた後、各試料片の重量(g)を秤
量し、得られた値の平均値を単位面積(m2 )当たりに
換算し、目付け(g/m2 )とした。
【0062】(7)嵩密度(g/cm3 ):試料長が1
0cm、試料幅が10cmの試料片計5個を作成し、大
栄科学精機製作所社製の厚み測定器を用い、4.5g/
cm 2 の荷重を加えたときの各試料片の厚み(mm)を
測定し、それらの平均値を平均厚み(mm)として、次
式より嵩密度(g/cm3 )を求めた。従って、この嵩
密度の値が低いほど嵩高性が優れることを意味する。 嵩密度(g/cm3 )=[目付け(g/m2 )/平均厚
み(mm)]×1000
【0063】(8)不織布の引張強力(kg/5cm
幅)および引張伸度(%):JIS−L−1096Aに
記載の方法に準じて測定した。すなわち、試料長が10
cm、試料幅が5cmの試料片を10点作成し、各試料
片毎に、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社
製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、引張速
度10cm/分で伸長し、得られた切断時荷重値の平均
値を引張強力(kg/5cm幅)、このときの切断時伸
長率の平均値を引張伸度(%)とした。
【0064】(9)面積収縮率(%):試料長が20c
m、試料幅が20cmの試料片を5点作成し、各試料片
毎に、所定温度のエアーオーブン型熱処理機を用い5分
間熱処理を施した。そして、熱処理前の試料片の面積S
1(cm2 )の平均値と熱処理後の試料片の面積S2
(cm2 )の平均値とを用い、次式に従って算出した値
を面積収縮率(%)とした。 面積収縮率(%)=〔1−(S2/S1)〕×100
【0065】(10)層間剥離強力(g/5cm):試
料長15cm、試料幅5cmの試料片計3点を作成し、
各試料片毎に不織布の経方向について、定速伸長型引張
試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4
−1−100)を用い、引張速度10cm/分で、短繊
維不織ウエブ層を長繊維不織ウエブ層から不織布の端部
から計って5cmの位置まで強制的に剥離させ、得られ
た荷重値(g/5cm)の平均値を層間剥離強力(g/
5cm)とした。
【0066】(11)圧縮剛軟度(g):試料長10c
m、試料幅5cmの試料片計5点を作成し、各試料片毎
に横方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合し
たものを圧縮剛軟度測定試料とした。次いで、各測定試
料毎にその軸方向について、定速伸長型引張試験機(東
洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−10
0)を用い、圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最
大荷重値(g)の平均値を圧縮剛軟度(g)とした。
【0067】(12)難燃性能(炭化長):(財)日本
防災協会、防災製品認定委員会制定の「防災製品の性能
試験基準」に基づいて、45度メセナミン法により炭化
長の最大値(mm)および平均値(mm)を測定した。
なお、同基準に定める防災製品の認定に必要な難燃性能
試験基準は、寝具類の詰物がプラスチック発泡体の場
合、45度メセナミン法において、炭化長の最大値が1
20mm以下、平均値が100mm以下が基準値とされ
る。不織布については、特に難燃性性能試験基準は定め
られていないので、本実施例においてはプラスチック発
泡体の基準値を参考とした。
【0068】(13)LOI値(臨界酸素指数):JI
S−K−7201法に準じて測定した。なお、LOI値
は、25〜26以上が難燃素材の基準とされる。
【0069】実施例1 融点が259℃、相対粘度[イ]が1.38のポリエチ
レンテレフタレート重合体チップを用い、スパンボンド
法により長繊維不織ウエブを製造した。すなわち、前記
重合体チップを紡糸温度290℃で溶融し、これを紡糸
孔を通して溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後、エアー
サッカーを用いて引取り速度4800m/分で引取り、
これをコロナ放電手段を用いて開繊し、移動する捕集面
上に捕集・堆積させて、単繊維繊度が3.0デニールの
長繊維不織ウエブとした。次いで、得られた長繊維不織
ウエブに熱圧接処理を施して、目付けが30g/m2
長繊維不織ウエブ層を得た。熱圧接処理を施すに際して
は、面積が0.64mm2の彫刻模様が圧接点密度20
点/cm2 かつ圧接面積率12.8%で配設されたエン
ボスロールと表面が平滑な金属ロールとを用いた。そし
て、加工温度、すなわちエンボスロールと表面が平滑な
金属ロールとの表面温度を200℃とし、両ロール間の
線圧を10kg/cmとした。
【0070】一方、難燃性を有する短繊維ウエブ層の構
成繊維として、リン原子を含有するポリエステル短繊維
を作成した。すなわち、ビス(β−ヒドロキシエチルテ
レフタレート)およびそのオリゴマーに、式(2)に示
すリン化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10
−ホスファフェナントレン−10−オキシド(HCA)
と、HCAに対して1当量に相当する式(3)で示され
るイコタン酸とを、リン原子が重量で5000ppmと
なるように添加して重縮合反応を行い、融点が220℃
のリン原子を含有するポリエステルを得た。
【0071】
【化2】
【0072】
【化3】
【0073】得られたリン原子を含有するポリエステル
を用い、常法にて溶融紡糸を行い、単糸繊度2デニー
ル、繊維長51mmの短繊維を得た。そして、得られた
短繊維を用い、パラレルカード機により、目付け30g
/m2 の短繊維不織ウエブ層を作成した。この短繊維
は、紡糸油剤付着時のLOI値が29であったが、紡糸
油剤を洗浄後のLOI値は32で、難燃性を有するもの
であった。
【0074】次いで、得られた短繊維不織ウエブ層を長
繊維不織ウエブ層の両面に積層し、この積層体を30m
/分の速度で移動する30メッシュの金網上に載置し
て、加圧液体流処理を施した。加圧液体流処理は、孔径
0.12mmの噴射孔が孔間隔0.62mmで3群配列
に配設された加圧柱状水流処理装置を用いて行い、積層
体の上方80mmの位置から2段階に別けて柱状水流を
作用させた。第1段階の処理では圧力を20kg/cm
2 Gとし、第2段階の処理では圧力を60kg/cm2
Gとして実施した。なお、第2段階の処理は、積層体の
表裏から各々1回施した。続いて、得られた処理積層体
からマングルロールを用いて過剰水分を除去した後、熱
風乾燥機を用いて温度98℃の条件で乾燥処理を施し
た。
【0075】乾燥して得られた複合不織布を、1対の表
面が平滑なロール間に導き、ロールの表面温度を180
℃、ロール間の線圧を10kg/cm、ロール間の隙間
を150μmとして熱圧接処理を施し、最終製品である
複合不織布を得た。
【0076】 得られた複合不織布は、目付け;90g/m2 嵩密度;0.5g/cm3 引張強力(縦・横の平均値の合計) ;55kg/5cm幅 引張伸度;44% 面積収縮率;2.1%(処理温度=200℃) 層間剥離強力;320g/5cm 圧縮剛軟度;34g 難燃性能(炭化長);最大値=85mm 平均値=71mm LOI値(臨界酸素指数);31 であり、優れた難燃性、耐熱性を有するとともに、機械
的特性と寸法安定性に優れ、かつ耐層間剥離性が高く十
分に一体化されており、しかも優れた柔軟性を備えたも
のであり、複合不織布の嵩密度が0.5g/cm3 と大
きく、しかも平滑性の付与されたものであり、耐熱性の
要求される清拭材、壁材等に有用な不織布であった。
【0077】実施例2 乾燥処理工程までは実施例1と同一条件で行い、嵩密度
の調整のための熱圧接処理の条件のみを変更して複合不
織布を作成した。すなわち、乾燥して得られた複合不織
布を、1対の表面が平滑なロール間に導き、ロールの表
面温度を190℃、ロール間の線圧を50kg/cm、
ロール間の隙間を10μmとして熱圧接処理を施し、最
終製品である複合不織布を得た。
【0078】 得られた複合不織布は、目付け;90g/m2 嵩密度;0.35g/cm3 引張強力(縦・横の平均値の合計) ;56kg/5cm幅 引張伸度;54% 面積収縮率;1.8%(処理温度=200℃) 層間剥離強力;380g/5cm 圧縮剛軟度;34g 難燃性能(炭化長);最大値=108mm 平均値=87mm LOI値(臨界酸素指数);31 であり、優れた難燃性、耐熱性を有するとともに、機械
的特性と寸法安定性に優れ、かつ耐層間剥離性が高く十
分に一体化されており、しかも優れた柔軟性を備えたも
のであり、嵩密度が0.35g/cm3 であり、適度の
平滑性と嵩密度を有し工業用資材等に好適な不織布が得
られた。
【0079】実施例3 長繊維不織ウエブとして、融点248℃、相対粘度
[ロ]が2.61のポリカプラミド(ナイロン6)重合
体チップを用い、スパンボンド法により長繊維不織ウエ
ブを製造して、単繊維繊度が2.5デニールの長繊維か
らなる長繊維不織ウエブとした。次いで、得られた長繊
維不織ウエブに熱圧接処理を施して、目付けが30g/
2 の長繊維不織ウエブ層を得た。熱圧接処理を施すに
際しては、加工温度を170℃とした以外は、実施例1
と同一条件にて実施した。
【0080】一方、難燃性を有する短繊維ウエブ層の構
成短繊維としては、メタアラミド繊維である、繊度2デ
ニール、繊維長51mm、融点430℃のユニチカ
(株)製、商品名:アピエールを用いた。この短繊維を
用い、ランダムカード機により繊維の配列が一様でな
い、目付け25g/m2 の短繊維不織ウエブ層を作成し
た。この短繊維のLOI値は32で、難燃性を有するも
のであった。
【0081】次いで、得られた短繊維不織ウエブ層を長
繊維不織ウエブ層の両面に積層し、実施例1と同一条件
にて加圧液体流処理および続く乾燥処理を施して複合不
織布を得た。
【0082】乾燥して得られた複合不織布を、1対の表
面が平滑なロール間に導き、ロールの表面温度を195
℃、ロール間の線圧を50kg/cm、ロール間の隙間
を20μmとして熱圧接処理を施し、最終製品である複
合不織布を得た。
【0083】 得られた複合不織布は、目付け;78g/m2 嵩密度;0.65g/cm3 引張強力(縦・横の平均値の合計) ;54kg/5cm幅 引張伸度;48% 面積収縮率;2.1%(処理温度=200℃) 層間剥離強力;450g/5cm 圧縮剛軟度;36g 難燃性能(炭化長);最大値=108mm 平均値=85mm LOI値(臨界酸素指数);30 であり、優れた難燃性、耐熱性を有するとともに、機械
的特性と寸法安定性に優れ、かつ耐層間剥離性が高く十
分に一体化されたものであり、表面層にアラミド系短繊
維が配された複合不織布であり、耐熱性の要求される分
野に好適な複合不織布である。
【0084】比較例1 長繊維不織ウエブ層としては、実施例1と同一のものを
用いた。短繊維ウエブ層として、融点が258℃のポリ
エチレンテレフタレート重合体からなる単繊維繊度2デ
ニール、繊維長51mmの短繊維を用い、パラレルカー
ド機により目付けが20g/m2 の短繊維不織ウエブ層
を作成した。ちなみに、この短繊維のLOI値は24で
あり、難燃性能に乏しいものであった。
【0085】次いで、得られた短繊維不織ウエブ層を長
繊維不織ウエブ層の両面に積層し、実施例1と同一条件
にて加圧液体流処理、乾燥処理および続く熱圧接処理を
施し、最終製品である複合不織布を得た。
【0086】 得られた複合不織布は、目付け;70g/m2 嵩密度;0.36g/cm3 引張強力(縦・横の平均値の合計) ;59kg/5cm幅 引張伸度;54% 面積収縮率;2.8%(処理温度=200℃) 層間剥離強力;460g/5cm 圧縮剛軟度;34g 難燃性能(炭化長);最大値=250mm 平均値=185mm LOI値(臨界酸素指数);24 であり、機械的特性と寸法安定性に優れ、しかも耐層間
剥離性が高く十分に一体化されたものではあったが、短
繊維不織ウエブ層が難燃性能に乏しい短繊維から構成さ
れているので、難燃性、耐熱性に乏しいものであった。
【0087】比較例2 長繊維不織ウエブ層および短繊維不織ウエブ層として
は、実施例1と同一のものを用いた。
【0088】短繊維不織ウエブ層を長繊維不織ウエブ層
の両面に積層する際に、長繊維不織ウエブ層の一方の面
に20g/m2 、他方の面に10g/m2 の短繊維ウエ
ブ層を各々積層した以外は、実施例1と同一条件にて加
圧液体流処理、乾燥処理および続く熱圧接処理を施し、
最終製品である複合不織布を得た。
【0089】 得られた複合不織布は、目付け;58g/m2 嵩密度;0.03g/cm3 引張強力(縦・横の平均値の合計) ;35kg/5cm幅 引張伸度;74% 面積収縮率;2.8%(処理温度=200℃) 層間剥離強力;450g/5cm 圧縮剛軟度;18g 難燃性能(炭化長);最大値=160mm 平均値=137mm LOI値(臨界酸素指数);25 であり、機械的特性と寸法安定性に優れ、かつ耐層間剥
離性が高く十分に一体化されており、しかも優れた柔軟
性を備えたものではあったが、10g/m2 の短繊維不
織ウエブ層が積層された面では難燃性繊維の相対的本数
が少なく、しかも部分的に長繊維不織ウエブ層の構成繊
維が複合不織布の表面に露出しているため、やや難燃性
に欠けるものであった。
【0090】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、長繊維不
織ウエブ層の両面に短繊維不織ウエブ層が積層され、長
繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構
成繊維との相互間および短繊維不織ウエブ層の構成繊維
同士において三次元的交絡を有し、全体が一体化されて
いるため、複合不織布としての形態が保持され、優れた
機械的特性を備えた複合不織布を得ることができるとと
もに、短繊維不織ウエブ層が難燃性を有し、これが複合
不織布の表面部分を覆っていることから、本発明の複合
不織布は、優れた難燃性、耐熱性を発揮することがで
き、耐熱性能を要求される分野において有効に利用する
ことができる。しかも、本発明の複合不織布における長
繊維不織ウエブ層は、点状融着部分を有しているので、
従来には無い際立った寸法安定性を具備したものであ
る。
【0091】さらに、本発明の複合不織布は、嵩密度が
0.1〜0.7g/cm3 であり、適度な厚みや嵩高さ
を有しているので、コピー機の清拭材等の工業用資材の
分野において特に好適に用いられる。
【0092】また、本発明の複合不織布の製造方法によ
れば、長繊維ウエブに部分的な熱圧接を施すことで、構
成繊維間に一旦予備的に熱圧接点を形成しているので、
加圧液体流処理時の長繊維不織ウエブ層の形態安定性を
図ることができる。しかも、この予備的な熱圧接点の構
成繊維同士は加圧液体流処理により部分的に分割、剥離
することができ、その場合は、特定の熱圧接領域のみが
残存することとなるので、残存する熱圧接領域によっ
て、得られる複合不織布の寸法安定性を向上させるとと
もに、非熱圧接領域の存在によって、柔軟性をそなえる
とともに、加圧液体流処理による三次元交絡を効率良く
形成することができる。
【0093】さらに、本発明において、加圧液体流処理
を2段階に分けて行うことにより、第1段階の処理によ
り予め短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を予備的に交
絡させておくことができ、短繊維不織ウエブ層の構成繊
維が液体流の作用によって乱れることがなく、得られる
複合不織布に地合いの乱れや目付け斑が生じるのを防止
することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点状融着部分を有する長繊維不織ウエブ
    層の両面に難燃性を備えた短繊維不織ウエブ層が積層さ
    れ、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ
    層の構成繊維との相互間および短繊維不織ウエブ層の構
    成繊維同士において三次元的交絡が施され全体として一
    体化されてなり、しかも嵩密度が0.1〜0.7g/c
    3 であることを特徴とする耐熱性複合不織布。
  2. 【請求項2】 長繊維不織ウエブ層における点状融着部
    分では、長繊維不織ウエブ層に施された部分的な熱圧接
    によりあらかじめ形成されていた熱圧接点の構成繊維同
    士が三次元的交絡処理によって一部剥離していることを
    特徴とする請求項1記載の耐熱性複合不織布。
  3. 【請求項3】 長繊維不織ウエブ層が、リン原子を含有
    するポリエステル系繊維により構成されることを特徴と
    する請求項1又は2記載の耐熱性複合不織布。
  4. 【請求項4】 短繊維不織ウエブ層が、リン原子を含有
    するポリエステル系繊維と、アラミド系繊維と、ポリフ
    ェニレンサルファイド繊維と、炭素繊維とのうちのいず
    れか一つ又は複数からなる短繊維により構成されること
    を特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載
    の耐熱性複合不織布。
  5. 【請求項5】 長繊維不織ウエブ層と長繊維不織ウエブ
    層の両面に積層される短繊維不織ウエブ層との複合比
    が、長繊維不織ウエブ:短繊維不織ウエブ(両面合計)
    =50:50〜20:80(重量%)であり、かつ、長
    繊維不織ウエブ層の目付けが20〜100g/m2 であ
    り、短繊維不織ウエブ層の目付けが長繊維不織ウエブ層
    の片面につき、20〜100g/m2 であることを特徴
    とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の耐熱
    性複合不織布。
  6. 【請求項6】 長繊維不織ウエブに部分的な熱圧接処理
    を施すことにより熱圧接点を有する長繊維不織ウエブ層
    を形成し、次いで、得られた長繊維不織ウエブ層の両面
    に難燃性を付与した短繊維不織ウエブ層を積層し、加圧
    液体流処理を施すことにより、長繊維不織ウエブ層の構
    成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互間およ
    び短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士において三次元的
    交絡を形成して全体として一体化させ、その後に熱圧接
    処理を施して嵩密度を0.1〜0.7g/cm3 に調整
    することを特徴とする耐熱性複合不織布の製造方法。
  7. 【請求項7】 長繊維不織ウエブに施す部分的な熱圧接
    処理を、この長繊維不織ウエブの構成繊維のうち最も低
    い融点を有する重合体の融点を(Tm)℃としたとき
    (Tm−80)℃〜(Tm−50)℃の加工温度で、か
    つロールの線圧を5〜30kg/cmとして行うことを
    特徴とする請求項6記載の耐熱性複合不織布の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 加圧液体流処理を、第1段階の処理にお
    いて第一の圧力の加圧液体流を作用させて短繊維不織ウ
    エブ層の構成繊維同士を予備的に交絡させ、その後、第
    2段階の処理において第一の圧力よりも高圧の第二の圧
    力の加圧液体流を作用させて長繊維不織ウエブ層の構成
    繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互間および
    短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士における三次元的交
    絡を形成することで行うことを特徴とする請求項6又は
    7記載の耐熱性複合不織布の製造方法。
  9. 【請求項9】 加圧液体流処理により熱圧接点の構成繊
    維同士を一部剥離することで、点状融着部分を形成する
    ことを特徴とする請求項6から8までのいずれか1項に
    記載の耐熱性複合不織布の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0814189A1 (en) * 1996-06-18 1997-12-29 Nippon Petrochemicals Co., Ltd. Bulky nonwoven fabric and method for producing the same
JP2009052148A (ja) * 2007-07-30 2009-03-12 Unitika Ltd スパンレース複合不織布

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