JP6782941B2 - 生分解可能な不織布、これを用いた生分解可能な飲料抽出フィルタ及びこの飲料抽出フィルタを用いた生分解可能な飲料抽出カプセル - Google Patents

生分解可能な不織布、これを用いた生分解可能な飲料抽出フィルタ及びこの飲料抽出フィルタを用いた生分解可能な飲料抽出カプセル Download PDF

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Description

本発明は、生分解可能な不織布、これを用いた生分解可能な飲料抽出フィルタ及びこの飲料抽出フィルタを用いた生分解可能な飲料抽出カプセルに関する。
一杯分の飲料を自動で抽出することができる飲料抽出装置が開発されている。この飲料抽出装置は、例えばコーヒー豆等、抽出原料が予め封入された小型のカプセルを装置本体にセットし、カプセル内に湯を注入して飲料を抽出する。
飲料抽出装置に用いられるカプセルには、開口部の直径が約2cmから5cmで、略有底筒状のプラスチック製外装ケースの内側に、飲料抽出フィルタを配しており、開口部が蓋材で密封されているタイプがある。他には、保形性のある半球形の飲料抽出フィルタの開口部を蓋材により封止し、プラスチック製外装ケースを有さないタイプがある。
カプセルの材料に関し、外装ケースは、ポリエステル系の合成樹脂により形成され、飲料抽出フィルタは、バインダーを含む天然繊維により形成され、蓋材は、アルミ等により形成されている。外装ケースを有さないタイプのカプセルは、ポリエステルのスパンボンド不織布をフィルタ部の材料としている(例えば特許文献1)。
このようなカプセルは、抽出原料を一杯分ずつ封入しているため原料の鮮度を保ちやすく、抽出の準備が簡便であり、また一杯の抽出毎に使い捨てられ、抽出後の処理も容易に済むため、今後、一般家庭又は店舗での一層の需要が期待されている。
しかし、従来のカプセルは、その使用が増大するとそれだけ廃棄時の環境負荷が増加してしまうという課題があった。すなわち、抽出後の外装ケース及び抽出フィルタは、焼却又は埋立てのいずれかの処理がされるが、焼却処理の場合は、COを排出する上に、カプセル内の抽出原料が湿っているため、焼却に必要なエネルギーが増大してしまうという問題があった。また、埋立て処理の場合は、外装ケース及び抽出フィルタを構成する生分解しない合成繊維又はバインダー等が地中に残留するため、環境汚染につながってしまうという課題があった。
焼却又は埋立処理を回避して環境負荷を軽減するという課題に対しては、生分解が可能なポリ乳酸繊維からなる不織布を製造する技術が開発されている(例えば特許文献2)。このようなポリ乳酸繊維からなる不織布は、使用後のコンポスト処理や埋め立てにより最終的には炭酸ガスと水に戻り、環境負荷を低減し得るものであり、これまでシートの状態で適用可能なマスクその他の製品に好適に用いられてきていた。
しかし、ポリ乳酸繊維のみで製造された不織布は、立体形状を維持することが難しく、成形に相当の工夫が必要であった。また、ポリ乳酸繊維のみを用いた不織布は、加熱による成形時に繊維どうしの交絡部分が融着して飲料を濾す目を詰まらせたり引っ張ったりするため、均質なフィルタの目を形成することが難しいという課題があった。
一方、ポリ乳酸繊維に天然繊維等を混綿させ、張りを持たせた不織布もある(例えば特許文献3)が、この不織布は、製造時に加熱溶融してしまっているため、成形時に融着部分が伸びず繊維の破断が生じてしまい、立体成形に用いることができないという課題がある。
国際公開番号WO2012/004878号公報 特開2005−105449号公報 特開2002−177148号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、飲料を好適に濾過しかつ成形性及び保形性が良く、生分解可能な不織布、この不織布を用いて成形された生分解可能な飲料抽出フィルタ及びこの飲料抽出フィルタを有し生分解可能な飲料抽出カプセルを提供する。
本発明の生分解可能な不織布は、セルロース系天然繊維と、再生繊維と、脂肪族ポリエステル繊維とからなる群より選ばれた生分解性を有する第1の短繊維と、この第1の短繊維と融点が異なりかつ生分解性を有する脂肪族ポリエステル系熱融着繊維からなる第2の繊維とを、水流交絡法で結合させ、JIS L 1085−1992による機械方向の伸び率とこの機械方向に直交する方向の伸び率との比を1:1以上1:3未満に形成されている。
本発明の不織布は、生分解可能であるのみならず、飲料を好適に濾過しかつ成形性及び保形性が良い。なお、本発明において「第1の短繊維と融点が異なる」の文言における「第1の短繊維」には、「融点がないため、融点が同一にはなり得ない」レーヨン等を含む。
本発明の生分解可能な不織布は、第1の繊維と前記第2の繊維とを混綿して開繊させた原綿における第2の繊維の混綿率が、30重量%以上70重量%未満であってもよい。
この構成によれば、コーヒーの濾過に適した不織布にすることができる。
本発明の生分解可能な飲料抽出フィルタは、セルロース系天然繊維と、再生繊維と、脂肪族ポリエステル繊維とからなる群より選ばれた生分解性を有する第1の短繊維と、この第1の短繊維と融点が異なりかつ生分解性を有する脂肪族ポリエステル系熱融着繊維からなる第2の繊維とを水流交絡法で結合させた不織布を、押圧及び加熱することにより立体成形されたものである。
本発明の飲料抽出フィルタは、生分解可能であるのみならず、飲料を好適に濾過しかつ立体形状にコシが出るため保形性が良い。
本発明の生分解可能な飲料抽出フィルタにおいて、立体成形前の前記不織布の加工時における機械方向の伸び率とこの機械方向に直交する方向の伸び率との比は、1:1以上1:3未満に形成されたものであってもよい。
この構成によれば、立体成形された飲料抽出フィルタにしわが偏って生じ難い。
本発明の生分解可能な飲料抽出フィルタにおいて、立体成形前の前記不織布は、前記第1の繊維と前記第2の繊維とを混綿して開繊させた原綿により形成されており、前記原綿における第2の繊維の混綿率が、30重量%以上70重量%未満であってもよい。
この構成によれば、コーヒーの濾過に適したフィルタになる。
本発明の生分解可能な飲料抽出カプセルは、前記いずれかの生分解可能な飲料抽出フィルタと、前記飲料抽出フィルタに含まれた第2の繊維と同じ樹脂を含んで成形されかつ前記飲料抽出フィルタを内部に配置可能な外装体とを備えている。
この構成によれば、飲料抽出フィルタ及び外装体共に生分解可能となり、飲料抽出カプセルの廃棄が一層容易となる。
本発明の不織布は、生分解性を有しかつ立体成形に適しているという効果を奏する。また、本発明の飲料抽出フィルタは、生分解性を有しかつ成形性及び保形性が良好であるという効果を奏する。また、本発明の飲料抽出カプセルは、飲料の抽出性が良いという効果を奏する。
本発明の一実施形態である飲料抽出カプセルの半部縦断面図である。 本発明の一実施形態である飲料抽出フィルタの変形例を示す縦断面図である。 本発明の一実施形態である飲料抽出フィルタの変形例を示す縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態の不織布、飲料抽出フィルタ及び飲料抽出カプセルについて、図を参照して説明する。なお、本実施形態は、1杯分のコーヒーを抽出する抽出装置の飲料抽出カプセル及びこの飲料抽出カプセル内に設けられる飲料抽出フィルタを例として説明する。
図1に示すように、飲料抽出カプセル(以下、単に「カプセル」という)1は、有底でほぼ截頭円錐台形をした樹脂製の外装体2と、外装体2の内部に設置される飲料抽出フィルタ3と、外装体2の開口部2aを封止する蓋部材4とを有している。そして、この飲料抽出カプセル1は、飲料抽出フィルタ3内に挽いたコーヒー豆等の飲料の抽出原料(不図示)を収容させた状態で、蓋部材4により封止されている。
外装体2は、ほぼテーパ状に形成された筒状の側壁部5と、側壁部5と一体成形され側壁部5の一方の開口部を閉塞している底壁部6とを有し、セットする不図示の機器に合わせた外形に形成されている。本実施形態では、底壁部6は略テーパ状又はわずかに湾曲したテーパ状に形成されている。側壁部5の他方側の開口部2a、すなわち底壁部6の反対側はシート状の蓋部材4で封止されている。
底壁部6の硬度及び厚さは、先端が鋭利な針などにより刺入することができる程度に形成されている。
側壁部5の開口端縁には、フランジ7が形成されている。このフランジ7に蓋部材4の周縁部4Sを貼着できるようになっている。
蓋部材4は、アルミ箔、第2の繊維と同種の樹脂材料等により形成されている。蓋部材4は、熱湯を注入するための針又は管を刺入可能になっている。
本発明の外装体2に適用可能な材料としては、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系熱融着短繊維を構成する脂肪族ポリエステル、具体的に例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを主たる繰り返し単位とする共重合体が挙げられる。又は、外装体2の材料としては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)や、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロネート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)や、これらの繰り返し単位とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレートの繰り返し単位との共重合体などが挙げられる。
更に、外装体2の材料として、グリコールとジカルボン酸の重縮合体からなるポリアルキレンアルカノエート、例えばポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート又はこれらを主たる繰り返し単位とするポリアルキレンアルカノエート共重合体が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いて外装体2とすることができる。
本発明では、ポリ(α−ヒドロキシ酸)が好ましく、ポリ乳酸がより好ましい。
飲料抽出フィルタ3には、生分解性を有する第1の短繊維と、第1の短繊維と異なる融点を有し、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系熱融着繊維からなる第2の繊維とを水流交絡法により結合させたスパンレース不織布が用いられている。このスパンレース不織布が立体成形されて、飲料抽出フィルタ3となっている。
これまで生分解性のある飲料抽出フィルタ3には、ポリ乳酸短繊維のみからなるシート状の不織布又はポリ乳酸短繊維と他の天然繊維とを混綿してサーマルボンドでシート状にした不織布が用いられていた。このような不織布は、2重に重ね合わせて袋状にするタイプの飲料抽出フィルタ3に好適に用いられていた。しかし、かかる従来の不織布は、成形性及び保形性が悪いため、立体成形された生分解性を有する飲料抽出フィルタ3には非常に採用し難かった。これに対し、本発明のスパンレース不織布が飲料の抽出に適した立体成形の濾過フィルタであることについて以下詳述する。
本発明の第1の短繊維は、セルロース系天然繊維と、再生繊維と、脂肪族ポリエステル繊維とからなる群より選択された短繊維であり、生分解性を有している。
再生繊維とは、天然の高分子物質を精製し、溶媒に溶解したのち紡糸して得られる繊維である。本発明で用いる再生繊維としては、レーヨン、キュプラ、テンセル(登録商標)等が挙げられる。本発明で特に好適に用いられる再生繊維は、セルロース系再生繊維である。
本発明で用いる天然繊維としては、木材パルプ、麻パルプ、ケナフ繊維、綿等が挙げられる。
又は、第1の短繊維は、比較的融点の高い(概ね120℃以上の融点)脂肪族ポリエステル繊維、例えばポリL乳酸、ポリD乳酸、L乳酸とD乳酸とが共重合したポリD,L乳酸等のポリ乳酸からなる繊維、ポリ3−ヒドロキシブチレート又は3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体からなる繊維等であってもよい。
第1の短繊維として選択される繊維は、1種類であっても2種類以上であってもよい。
繊維の長さは、35mm以上105mm以下であればよく、38mm以上76mm以下であることが好ましく、38mm以上51mm以下が本発明の不織布又は飲料抽出フィルタにとって更に好ましい。
第2の繊維は、第1の短繊維と融点が異なる、すなわち第1の短繊維よりも低融点かつ外装体2と同種で、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系熱融着繊維により構成されている。なお、本発明において「第1の短繊維と融点が異なる」の文言における「第1の短繊維」には、「融点がないため、融点が同一にはなり得ない」レーヨン等を含む。繊維は、長繊維、中繊維、短繊維のいずれであってもよいが、本実施形態では短繊維が使用されている。
具体的に、第1の短繊維が脂肪族ポリエステルである場合、第2の繊維には、第1の短繊維よりも融点が20℃以上低い脂肪族ポリエステルの単一成分繊維を使用することができる。あるいは、第2の繊維には、融点の異なる2成分の脂肪族ポリエステルからなる複合繊維であって、2成分のうち低融点成分の融点が、第1の短繊維の融点よりも20℃以上低くかつ低融点成分が繊維表面の少なくとも一部に露出している複合繊維を使用することもできる。
ここで、ポリ乳酸は化学構造的に種々の融点のポリマーを作ることができるので、第2の繊維として、ポリ乳酸成分のみからなる複合繊維を製造することもできる。
乳酸モノマーは、光学活性の炭素を有しており、D体とL体の光学異性体が存在する。L体にD体を1モル%共重合させると融点が170℃、D体を3モル%共重合させると融点が150℃、D体を7モル%共重合させると融点が130℃、D体を12モル%共重合させると融点が110℃といった具合に、ポリ乳酸は融点の制御をすることができる。D体が18モル%以上となると、明確な結晶融点は観察されず、軟化温度90℃未満位の非晶性の強いポリマーとなる。
したがって、相互に融点が20℃以上異なる2種のポリ乳酸が、芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、割繊型に複合された繊維を、本発明の飲料抽出フィルタ3に好ましく使用することができる。また一方が融点110℃以上のポリ乳酸、他方が軟化点90℃未満の非晶性の強いポリ乳酸といった組み合わせでもよい。なお、このような非晶性の強いポリ乳酸の場合は、便宜上、目視での軟化温度を融点として扱うことができる。
これらのうち、芯鞘型で、芯部が融点170℃以上のポリ乳酸、鞘部が融点130℃程度のポリ乳酸である組み合わせの複合繊維が、立体成形時の繊維同士の熱融着の行い易さ、接着力の高さの点から、更に好ましい。すなわち、熱融着によって不織布を立体形成する際に、その熱融着短繊維すなわちバインダー繊維が単一ポリマータイプであると、バインダー繊維がフィルム状に潰れ、繊維間の空隙すなわち不織布の目開きのコントロールが困難な場合がある。しかし、前記のように、ある程度融点差のあるポリ乳酸を組み合わせた芯鞘型の複合繊維を熱融着短繊維とすると、立体成形の際に芯部が溶融せず繊維形態を維持するため、熱融着短繊維がフィルム状に潰れるのを避けることができる。
この熱融着短繊維の断面形状は、通常の丸断面のほかに、三角断面、Y型断面、十字断面、偏平断面等の異型断面であってもよい。
本発明の第1の短繊維および第2の繊維の単糸繊度は、特に限定されるものではないが、0.11以上20dtex以下の範囲であればよく、0.5以上16dtex以下の範囲であることが好ましい。0.5dtex以上が好ましい理由は、0.5dtex未満の繊維は、飲料抽出フィルタ3にしたときに目が緻密になりすぎて水や湯が不織布を通り難くなり抽出効果が劣ることがあるためである。一方、単糸繊度が20dtexを越えると、不織布を通して細かい抽出原料が流出する場合があるためであり、16dtex以下であると、水流交絡法による結合をより行い易くなるからである。
なお、成形性、保形性及び抽出された飲料の品質の観点から、第1の短繊維にはレーヨンを、第2の繊維にはポリ乳酸繊維を好適に用いることができる。この場合、レーヨンは、0.3以上1.7dtex以下で、15mm以上105mm以下の繊維長のもの、より好ましくは、0.3以上1.4dtex以下、35mm以上45mm以下の繊維長のものをより好ましく用いることができる。溶融しないレーヨンの繊度を小さくすることにより、本発明の不織布の地合いを良好にするとともに、飲料抽出フィルタの目を均一にかつ細かくすることができ、抽出原料の粉漏れを有効に防ぐことができる。また、ポリ乳酸繊維は、1.5以上1.7dtex以下のもので、45以上55dtex以下の繊維長のものを好適に用いることができる。
スパンレース不織布になるウェブの原綿は、第1の短繊維と第2の繊維とを混綿で構成されている。
第1の短繊維と第2の繊維の混綿率は、第1の短繊維:第2の繊維=3:7以上7:3以下であることが好ましい。第1の短繊維の比率が30%以下であり、第2の繊維の比率が70%以上であると、溶融する第2の繊維の分量が多過ぎて、不織布が伸び易くなってしまうからである。一方、第1の短繊維の比率が70%以上であり、第2の繊維の比率が30%以下であると、溶融する第2の繊維が少な過ぎて、立体成形後のフィルタの張り悪くなってしまうからである。
第1の短繊維と第2の繊維とを混綿及び開繊した原綿は、複数のウェブを形成しつつ積層された1つのウェブとなる。
積層された複数のウェブは、その後、水流交絡法により結合してスパンレース不織布となる。
以上のようにして加工されたスパンレース不織布は、機械方向(MD方向)と、これに直交する方向(CD方向)の伸び率の比が、1:1以上1:3未満、言い換えると「CD方向の伸び/MD方向の伸び」=1.0以上3.0未満になるように設定されている。伸び率は、1.0により近い方が好ましい。
伸び率が上記範囲に設定されていることで、スパンレース不織布の立体成形時にしわが偏って発生し難くなる。なお、上記スパンレース不織布の伸び率は、JIS L 1085−1992により測定される。
スパンレース不織布は、成形機によって押圧及び加熱することにより、外装体2内に収容可能な大きさで半球状に成形されている。
成形機による立体成形時において、前記スパンレース不織布が加熱され、第2の繊維の少なくとも一部が溶融している。
本発明のスパンレース不織布の繊維同士は、乾燥工程において僅かに溶融部分が生じ得るものの、成形のための押圧及び加熱をする前は、サーマルボンド法やレジンボンド法のように繊維間が交絡部分で固定されるほどには溶着したり接着したりしていない。すなわち、スパンレース不織布は、繊維同士が相互に動きやすくなっており、交絡位置を変化させやすい。
したがって、スパンレース不織布は、所望の形状に立体化させるとともに、第2の繊維の少なくとも一部を溶融させて繊維同士を交絡箇所で融着させ固定(点接合ともいう)させ易くなっている。
スパンレース不織布の立体成形後、成形された飲料抽出フィルタ3を成形機から取り出して常温又は冷気により冷却したものが飲料抽出フィルタ3である。
このようにして形成された飲料抽出フィルタ3は、その開口部3aが外装体2の開口部2aよりも僅かに小さい同形に形成されている。また、図1に示すように、飲料抽出フィルタ3の深さは、外装体2の深さよりも小さく(すなわち浅くなるように)形成されている。
この飲料抽出フィルタ3は、外装体2の内部に固定されている。具体的には、飲料抽出フィルタ3の上端の縁が、円周をなしている外装体2の上端の縁の内周全体を覆って、全周に亘って連続的に貼着されている。この貼着は、飲料抽出フィルタ3を外装体2内にセットした上で、飲料抽出フィルタ3の上端の縁の内周面を加熱して溶融させつつ、加圧して外装体2の上端の縁に押し付けることにより行っている。本発明では、第2の繊維と外装体2とが同種の樹脂材料により形成されているため、溶融による貼着が可能になっている。
以上のとおり、本発明の飲料抽出フィルタ3は、前述の第1の短繊維と第2の繊維とを混綿及び開繊した原綿を用いてスパンレース不織布とし、押圧及び加熱により立体成形しているため、生分解可能である上に成形性及び保形性の良い立体フィルタとなっている。
また、本発明の飲料抽出フィルタ3及びこれを備えたカプセル1は、生分解が可能である上に、下記の各効果を奏する。
すなわち、本発明の飲料抽出フィルタ3は、上述の構成を有しているため、目が極力均一に形成され、コーヒー豆の粉等の飲料の抽出原料を収容した際に目の大きさを原料よりも小さくすることで、粉漏れなどを発生し難くし、良質な飲料を抽出できるという効果を奏する。
また、本発明の飲料抽出フィルタ3は、「機械方向(MD方向)の伸び率」と「これに直交する方向(CD方向)の伸び率」との比が、1:1以上1:3未満に設定されているため、スパンレース不織布の立体成形時に開口部付近に生じ得るしわに偏りが起き難いように形成されている。また、本発明の飲料抽出フィルタ3は、本発明のスパンレース不織布を採用しているため、立体成形になじみやすく、しわが生じ難い。
したがって、本発明の飲料抽出フィルタ3は、飲料抽出フィルタ3を外装体2の内部に設置して上端の縁を融着するのを容易にすることができるという効果を奏する。すなわち、飲料抽出フィルタ3の上端縁付近のしわは、均一な押圧の妨げとなり得る凹凸となってしまうため、外装体2の内周面への加熱及び加圧が不均一となる原因となり得る。しかし、本発明の飲料抽出フィルタ3は、しわの発生が抑制されているため、外装体2の上端への融着が容易となるのである。
飲料抽出フィルタ3の上端は、外装体2のフランジ7上まで来ている場合であっても、しわの発生の偏りが抑制され又はしわの発生自体が抑制されているため、フランジ7への貼着が容易となるとともに、蓋部材4をフラットでしっかりと貼着することができる。
また、従来の生分解可能な飲料抽出フィルタは、これを配置する外装体の形状に合わせて立体形状にするために側壁部分をプリーツ状にせざるを得なかった。これにより飲料抽出時に蒸気圧が掛かるとフィルタが膨らんで外装体に密着してしまっていた。したがって、従来の飲料抽出フィルタを備えたカプセルは、側壁部分から飲料を効率よく抽出し難くなっていた。
これに対し、本発明の生分解可能な飲料抽出フィルタ3及びこれを外装体2内に備えたカプセル1は、飲料抽出フィルタ3がしわの少ない略半球形状に成形されているため、飲料の抽出時に蒸気圧が掛けられても外装体2の側壁部5に密着してしまうことを回避することができる。したがって、本発明の飲料抽出フィルタ3及びカプセル1は、外装体2との間に流れる流路を形成して液体を少しでも良好かつ効率的に濾過し、その結果品質の良い飲料を抽出することができる。
また、従来のパルプ等による飲料抽出フィルタは、目付を大きくすると、立体成形時にできるプリーツの重なりが厚くかつ幅太になり過ぎて、外装体2への貼着が困難になるため、目付の大きさを変え難かった。しかし、本発明の飲料抽出フィルタ3は、外装体2と熱融着可能な材料を用いているため、目付を大きくしても加熱を十分に行うことで確実に外装体2に貼着することができる。したがって、本発明の飲料抽出フィルタ3は、目付の調整を自由に行うことができ、飲料の濃さの異なるバラエティに富んだ種類のカプセル1を製造しやすいという効果を奏する。
また、本発明のカプセル1の飲料抽出フィルタ3及び外装体2は、共に生分解可能であるため、その廃棄時における環境への負荷を大きく削減することができるという効果を奏する。
また、飲料抽出フィルタ3は、図1に示した形状に限定されるものではなく、金型成形が可能でありかつ外装体2の側壁部5への密着が防止できる限り図2に示したように平坦な底壁を有する略楕円形状に形成されたものであってもよい。又は、飲料抽出フィルタ3は、図3に示した平坦な底壁を有しかつテーパの側壁を有する有底筒状に形成されたものであってもよい。
また、上記実施形態においては、第1の短繊維と短繊維からなる第2の繊維とを混綿及び開繊した原綿を用いてウェブを形成し、水流交絡法による結合をしたが、用いる原綿は、異なる構成繊維によるものであってもよい。すなわち、第2の繊維に中繊維又は長繊維を用いてスパンボンド等でシート基材化したウェブに、第1の短繊維のみを開繊して又は第1の短繊維及び第2の繊維を混綿及び開繊してなる原綿を用いたウェブを積層し、水流交絡法により結合させ不織布としてもよい。
1 飲料抽出カプセル
2 外装体
3 飲料抽出フィルタ

Claims (6)

  1. セルロース系天然繊維と、再生繊維と、脂肪族ポリエステル繊維とからなる群より選ばれた生分解性を有する第1の短繊維と、この第1の短繊維と融点が異なりかつ生分解性を有する脂肪族ポリエステル系熱融着繊維からなる第2の繊維とを、水流交絡法で結合させ、JIS L 1085−1992による機械方向の伸び率とこの機械方向に直交する方向の伸び率との比を1:1以上1:3未満に形成した立体成形可能な飲料抽出フィルタ用の生分解可能な不織布。
  2. 第1の繊維と前記第2の繊維とを混綿して開繊させた原綿における第2の繊維の混綿率が、30重量%以上70重量%未満である請求項1に記載の立体成形可能な飲料抽出フィルタ用の生分解可能な不織布。
  3. セルロース系天然繊維と、再生繊維と、脂肪族ポリエステル繊維とからなる群より選ばれた生分解性を有する第1の短繊維と、この第1の短繊維と融点が異なりかつ生分解性を有する脂肪族ポリエステル系熱融着繊維からなる第2の繊維とを水流交絡法で結合させた不織布を、押圧及び加熱することにより立体成形された生分解可能な飲料抽出フィルタ。
  4. 立体成形前の前記不織布の加工時における機械方向の伸び率とこの機械方向に直交する方向の伸び率との比が1:1以上1:3未満に形成された請求項3に記載の生分解可能な飲料抽出フィルタ。
  5. 立体成形前の前記不織布が前記第1の繊維と前記第2の繊維とを混綿して開繊させた原綿により形成されており、
    前記原綿における第2の繊維の混綿率が、30重量%以上70重量%未満である請求項3又は4に記載の生分解可能な飲料抽出フィルタ。
  6. 請求項3から5のいずれか一項に記載の生分解可能な飲料抽出フィルタと、
    前記飲料抽出フィルタに含まれた第2の繊維と同じ樹脂を含んで成形されかつ前記飲料抽出フィルタを内部に配置可能な外装体とを備えた生分解可能な飲料抽出カプセル。
JP2016199577A 2016-10-07 2016-10-07 生分解可能な不織布、これを用いた生分解可能な飲料抽出フィルタ及びこの飲料抽出フィルタを用いた生分解可能な飲料抽出カプセル Active JP6782941B2 (ja)

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