1.全体構成
図1に、この発明の一実施形態による軸体処理装置の全体構成を示す。この軸体処理装置は、パーツフィーダ102、垂直回転検査部104、水平回転検査部106を備えている。パーツフィーダ102で整列されて送り出されてきたワッシャ付きネジ(図示せず)は、移送ガイド112により頭部を支えられて搬送される。
垂直回転検査部104は、紙面に垂直な方向に回転する回転体を有している。垂直回転検査部104に運ばれたワッシャ付きネジは、回転体の下部においてその頭部が保持され、回転体の回転に伴って回転する。垂直回転検査部104においては、回転体に保持された状態のワッシャ付きネジが撮像されて検査される。ほぼ一回転して回転体の下側に来たワッシャ付きネジは、移送ガイド114に移し換えられる、
移送ガイド114により頭部を支えられて搬送されたワッシャ付きネジは、水平回転検査部106に送り出される。
水平回転検査部106は、紙面に水平な方向に回転する回転体を有している。回転体の外周に設けられた凹部に保持されたワッシャ付きネジは、回転体とともに回転する。水平回転検査部106においては、回転体に保持された状態のワッシャ付きネジが撮像されて検査される。
2.垂直回転検査部
2.1垂直回転検査部104の構成
図2A、図2Bに、垂直回転検査部104の詳細を示す。図2Aは正面図、図2Bは側面図である。
図2Aに示すように、円盤状の回転体120の両側には、円盤状の固定体122、124が設けられている。回転体120は、軸126を中心に回転する。軸126には、駆動源(モータ)が接続されており、これによって回転するようになっている。固定体122、124は回転しないように固定されている。
回転体120および固定体122、124の外周から間隔を置いて、その外側に、4枚の薄板による案内ガイド152a、152b、154a、154bが設けられている。図2Aに示すように、案内ガイド152a、152bは間隔Dを空けて配置されている。この間隔Dは、ワッシャ付きネジ140の本体部144よりも僅かに広く形成されている。なお、図2においては、回転体120、固定体122、124の構造を示すために、案内ガイド152a、152b、154a、154bは、想像線にて示している。
回転体120の外周には、凸部ガイド128が所定間隔で設けられている。回転体120の構造を、図4に示す。なお、図4においては、凸部ガイド128は誇張して大きく描かれており、実際にはより多くの凸部ガイド128を設けることが好ましい。
この実施形態では、凸部ガイド128の上面は固定体122、124の外周と同じ高さに形成されている。回転体120の凸部ガイド128以外の部分は、凹部125となっている。
図2に戻って、固定体124の下部には、切欠部130が設けられている。したがって、図2Bに示すように、切欠部130から回転体120が見えている。この切欠部130において、紙面の手前垂直に延びた移送ガイド112からのワッシャ付きネジを受け取る。
移送ガイド112の構成を図3に示す。移送ガイド112は、2枚のガイド板112a、112bを所定間隔を置いて対向して配置したものである。ガイド板112a、112bの間隔は、ワッシャ付きネジ140の、本体部144の直径よりも少し広く形成されている。また、この間隔は、ワッシャ付きネジ140のワッシャ146や頭部142の径よりも狭く形成されている。したがって、図3に示すように、移送ガイド112は、ワッシャ142によってワッシャ付きネジ140を支えることになる。
ガイド板112a、112bは、超音波振動発生器(図示せず)によって振動させられ、図2Aの矢印Aの方向にワッシャ付きネジ140を送り出す。
図4に、回転体120を下方向から見た斜視図を示す。なお、図4においては、案内ガイド152a、152b、154a、154b、ガイド板112aを想像線にて示している。また、回転体120の両側の固定体122、124は省略している。
ガイド板112a、112bに保持されて、矢印A方向に移送されてきたワッシャ付きネジ140は、矢印B方向に回転する回転体120まで運ばれてくる。図2Bの矢印Cの方向から見た図を、図5A、図5C、図5Eに示す。これらそれぞれに対応する側面図を、図5B、図5D、図5Fに示す。
矢印A方向に移送されてきたワッシャ付きネジ140は、その頭部142が回転体120の凹部ガイド128に当接して、それ以上A方向には進まず、図5Aに示すような状態となる。なお、他のワッシャ付きネジ140も移送ガイド120に整列されているが、ここでは図示を省略している。
この状態で、回転体120がB方向に回転すると、ワッシャ付きネジ140の頭部142は、凸部ガイド128の斜辺129に当接するようになる。この時、移送ガイド120の作用によって、ワッシャ付きネジ140には、矢印A方向に力が加えられている。したがって、図5Cに示すように、回転体120の厚さ方向の中央近傍まで、ワッシャ付きネジ140が運ばれる。ワッシャ付きネジ140の本体部144が案内ガイド152aに当接すると、それ以上ワッシャ付きネジ140はA方向には進まない。
回転体120が、さらにB方向に回転すると、次の凸部ガイド128の前辺127が、ワッシャ付きネジ140の頭部142に当接して、B方向の力を加える。これにより、ワッシャ付きネジ140は回転体120とともにB方向に移動する。図5Cに示すように、ワッシャ付きネジ140の本体部144は、案内ガイド152aに当接した状態であるから、B方向に移動することにより、図5Eに示すように、本体部144が案内ガイド152a、152bにて保持されるようにして、移動することになる。
また、図5Fに示すように、回転体122の凹部125の底面と、案内ガイド152bの内面との間隔は、ワッシャ付きネジ140の頭部142とワッシャ146の合計厚さよりも、やや大きく形成されている。したがって、図5Fに示すように、凸部128によって押されたワッシャ付きネジ140は、案内ガイド152a、152bに保持されて、回転体122と同じようにB方向に回転することになる。このようにして、凹部125にワッシャ付きネジ140が保持されて、回転される。
なお、図5Eの状態において、整列していた次のワッシャ付きネジ140は、図5Aのような状態となる。したがって、次の凹部125には、次のワッシャ付きネジ140が保持されることになる。このようにして、図6に示すように、各凹部125に1つずつ、ワッシャ付きネジ140が保持され、回転されることになる。
図2Bに戻って、固定体124、126には、ネジ検出用センサ160、インデックス用センサ162、不良排出部164が設けられている。
図7A、図7Bに、インデックス用センサ162の詳細を示す。この図では、説明のため、案内ガイド152a、152b、154a、154bを省略している。
固定体124の外周付近に発光素子162aが設けられている。固定体126には、これに対向するように受光素子162bが設けられている。したがって、回転体120が回転し、発光素子162a、受光素子162bの位置に、回転体120の凸部ガイド128がなければ、受光素子162bにおいて受光されることになる。一方、回転体120の凸部ガイド128があれば、発光素子162aからの光は、受光素子162bにおいて受光されないことになる。
なお、図2Bに示すように、インデックス用センサ162は、回転体122の左側の外周近傍に設けられているので、ここでは、ワッシャ付きネジ140は凸部128の前辺127に押されるのではなく、凸部128の斜辺129に支えられた状態となっている。インデックス用センサ162は、回転体120の回転に伴う、凸部128のない区間(つまり凹部125)を検出し、各凹部125に番号(ID)を付す(この点については後述する)。
ネジ検出用センサ160も、インデックス用センサ162と同様の構成である。ネジ検出用センサ160は、凸部ガイド128の前辺127に押されて回転されているワッシャ付きネジ140が、存在するか否かを検知する。
不良排出部164の詳細を、図8に示す。図8は、不良排出部164を下側から見た図である。回転体120はB方向に回転し、保持したワッシャ付きネジ140をB方向に移動させる。不良排出部164においては、案内ガイド152aの無い部分が設けられている。この部分に、アクチュエータ155によって駆動される摺動ガイド153が設けられている。
制御部(図示せず)の制御により、良品のワッシャ付きネジ140であれば、摺動ガイド153を一点鎖線の位置まで動かし、通過させる。しかし、不良品のワッシャ付きネジ140であれば、摺動ガイド153を実線の位置まで後退させる、これにより、この部分を通過しようとするワッシャ付きネジ140は支持を失い、下方向(紙面に垂直な手前方向)に落下させられる。落下された不良品のワッシャ付きネジ140は、回収路166によって不良品箱(図示せず)に導かれる。
回転体120の最上部分には、撮像部170が設けられている。撮像部170の詳細を、図9に示す。撮像部170においては、案内ガイド152a、152b、154a、154bが設けられていない。したがって、図9に示すように、倒立したワッシャ付きネジ140が回転体120の上にむき出しで載置された状態となる。リング状の照明174によって光を照射し、カメラ172によって、この状態のワッシャ付きネジ140を撮像する。したがって、ワッシャ146の裏面を撮像することができる。
図2Bにおいて、回転体120の最下部には、移送ガイド114へワッシャ付きネジ140を移すための移行部180が設けられている。紙面の手前側、つまり固定体124に切欠部120が設けられ、移送ガイド112からのワッシャ付きネジ140を受けているのに対し、移行部180においては、紙面の奥側、つまり固定体122に切欠部121が設けられ、移送ガイド114へワッシャ付きネジ140を移すようにしている。
図10A、図10Bに、移行部180の詳細を示す。図10Aが側面図、図10Bは下側から見た図である。図10Aに示すように、移行部180においては、案内ガイド152a、152bは、徐々に回転体120から離れていく。また、図10Bに示すように、案内ガイド152a、152bによって、回転体120の中央付近にガイドされていたワッシャ付きネジ140は、徐々に固定体122の側にガイドされる。その先には、移送ガイド114のガイド板114a、114bが設けられ、ワッシャ付きネジ140は、この移送ガイド114に移される。
制御部200は、上記のネジ検出用センサ160、インデックス用センサ162、アクチュエータ155、カメラ172からの信号を取り込み、あるいはこれらに対して制御信号を与える。
図11に、制御回路の詳細を示す。CPU202には、操作用のタッチパネル204、ハードディスク206、アクチュエータ155、ネジ検出用センサ160、インデックス用センサ162、カメラ172が接続されている。ハードディスク206には、各部を制御するための制御プログラム208が記録されている。
2.2検査処理
制御プログラム208のフローチャートを、図12、図13に示す。なお、以下では、各処理が順次行われるように記載しているが、並列して処理を行うようにしてもよい。
CPU202は、インデックス用センサ162が光を検出したかどうか、つまり受光素子162bが受光したかどうかを判断する(ステップS1)。インデックス用センサ162が光を検出すれば、凹部125の始まりであるから、この凹部125に対してインデックスIDを付す(ステップS2)。たとえば、図14に示すように、回転体120に33個の凹部125が設けられていた場合、1〜33までのインデックスIDが、各凹部125に付されることになる。凹部125の数は予め定まっているので、全ての凹部125にインデックスIDを付した後は、インデックス用センサ162によって、現在いずれの凹部125が検出されているかを知ることができる。
図14に示すように、インデックス用センサ162と、ネジ140が移送ガイド112によって移送される位置、センサ160、カメラ172、アクチュエータ155との位置関係は予め定まっている。インデックス用センサ162に位置する凹部125のインデックスIDを特定することによって、センサ160、カメラ172、アクチュエータ155の位置にある凹部125のインデックスIDも特定することができる。
CPU202は、ネジ検出用センサ160の出力を取得してネジ140の有無を記録する(ステップS3)。たとえば、図14に示すように、インデックス用センサ162がインデックスID「1」を検出していれば、ネジ検出用センサ160は、インデックスID「19」の凹部125にネジ140が保持されているかどうかを判断することになる。本来は、センサ160の位置において全ての凹部125にネジ140が保持されるが、移送ガイド112からの移送が遅れるなどの理由によって、ネジ140が保持されない凹部125も存在する。ネジ140の有無は、図15に示すようなテーブルとして、ハードディスク206に記録される。
CPU202は、インデックス用センサ162の出力に基づいて、撮像部170にネジ140が存在するかどうかを判断する(ステップS4)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか、「無」と記録されているかを判断すればよい。撮像部170のカメラ172の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「23」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS5、S6を実行する。なお、ステップS4において、カメラ172の位置にネジ140が存在しない場合、ステップS5、S6は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
ネジ140が存在する場合、CPU202は、照明174を点灯し、カメラ172からの撮像画像を取り込む(ステップS5)。図5に示すように、カメラ172は、倒立した状態のネジ140を撮像するので、ワッシャ146の裏面、ネジ140の先端面の画像を得ることができる。また、ワッシャ146がない場合、ネジ140の頭部142の裏面、ネジ140の先端面の画像を得ることができる。
CPU202は、撮像した画像に基づいて、ワッシャ146の裏面、ネジ140の先端面に、傷、ヒビ、メッキ剥がれなどの欠陥がないかを解析する(ステップS6)。CPU202は、欠陥がないと判断すれば、図15のテーブルの対応するインデックスIDの頭部良否欄に、「良」を記録する。欠陥があると判断すれば、「不良」を記録する。なお、ワッシャ146の裏面(ワッシャがない場合には頭部144の裏面)のみ、ネジ140の本体部144の先端面のみを検査するようにしてもよい。
なお、一つのネジ140に対して、複数枚の画像を撮像して良否を判断するようにしてもよい。この場合、いずれかの画像にて欠陥があると判断した場合には、「不良」と判断することが好ましい。
CPU202は、ステップS7において、インデックス用センサ162の出力に基づいて、不良排出部164の位置に、ネジ140が存在するか否かを判断する。存在していれば、CPU202は、テーブルを参照して、当該不良排出部164に位置するネジ140が、「良」であるか「不良」であるかを判断する(ステップS8)。
「不良」であれば、CPU202は、不良排出部164のアクチュエータ155を動作させて摺動ガイド153を後退させる(図8参照)(ステップS9)。したがって、不良と判断されたネジ140は、脱落させられて、不良品回収路166に放出される(図2B参照)。不良品回収路166の先には、不良品回収箱(図示せず)が設けられているので、不良と判断されたネジ140は、この不良品回収箱に収納される。
「良」であれば、CPU202は、アクチュエータ155を動作させず、摺動ガイド153を案内ガイド152aと同じ位置(図8の二点鎖線参照)に保持する。したがって、良品のネジ140は、移行部180に送られ、移送ガイド114に移される。
移送ガイド114は、図10A、図10Bに示すように、間隔を置いて配置したガイド板114a、114bによって構成されている。ガイド板114a、114bの間隔は、ネジ140の本体部144の直径よりも僅かに大きく、頭部142、ワッシャ146よりも狭く形成されている。これにより、頭部142、ワッシャ146によってネジ140を支えることができる。また、ガイド板114a、114bは、振動装置(図示せず)によって加振されており、矢印D方向にネジ140を移動させる。
3.水平回転検査部
3.1水平回転検査部106の構成
図16に、水平回転検査部106を示す。軸体搬送部である移送ガイド114は、左右ガイド部材114a、114bの間にガイド空間236を有している。前述のように、ガイド空間236の幅は、検査対象であるネジ140の頭部142より狭く、ネジ140の本体部144より広く構成されている。また、移送ガイド114は、矢印238の方向に向かって、徐々に低くなるように構成されている。
ネジ140は、頭部142をガイド部材114a、114bによって支えられながら、搬送中心線240に沿って、矢印238の方向に搬送されることになる。
移送ガイド114の先端部近傍には、軸体保持円盤242が設けられている。軸体保持円盤242は、モータなどの駆動手段(図示せず)により、矢印246の方向に回転させられる。なお、図において、軸体保持円盤242以外の部材は、回転せず固定されている。軸体保持円盤242の外周には、所定間隔にて凹部244が設けられている。
図17A、図17Bに示すように、凹部244の幅Wは、ネジ140の頭部142より狭く、ネジ140の本体部144より広く構成されている。したがって、凹部244によって、ネジ140の頭部142を支えることが可能となっている。また、凹部244の深さDは、ネジ140の本体部144の径より大きく形成されている。したがって、凹部244により、確実にネジ140を保持することができる。また、移送ガイド114から凹部244にネジ140を移動させる場合に、確実に凹部244によってネジ140を保持することができる。
図16に戻って、移送ガイド114の先端部近傍には空気を吹き付けるためのノズル286が設けられている。ネジ140が移送ガイド114の先端部付近まで来ると、ノズル286から空気が吹き付けられ、ネジ140は軸体保持円盤242の凹部244に飛ばされる。
これとともに、ネジ140の本体部144が、矢印265の方向に回転する回転体263に接する。これにより、ネジ140は、矢印211の方向に回転させられて凹部244に、適正に収容されることになる。また、仮に、ネジ140が凹部244に正しく収納されなかった場合には、再び、回転体263がネジ140の本体部144に接して、ネジ140を凹部244の方向に押しやり、正しい位置に収納することが可能となる(特許5496930参照のこと)。
このようにして、ネジ140は移送ガイド114から軸体保持円盤242に移動させられる。
軸体保持円盤242の外周には、わずかな隙間を空けて、ガード部材243が設けられている。ガード部材243は、回転せず固定されている。
軸体保持円盤242の外周上には、凹部244にネジ140が保持されているかどうかを判断するための光センサ270、272が設けられている。光センサ270の詳細を、図18に示す。発光素子270aに対向するように受光素子270bが設けられている。したがって、凹部244にネジ140が保持されていれば、発光素子270aからの光が遮られ、保持されていなければ、発光素子270aからの光は遮られない。これにより、受光素子270bからの出力があれば(受光すれば)ネジ140が保持されておらず、出力がなければ(受光しなければ)ネジ140が保持されていると判断することができる。他の光センサ272、274も同様の構成である。
図16に戻って、インデックス用の光センサ282も設けられている。図19に、光センサ282の詳細を示す。発光素子282aと受光素子282bが、軸体保持円盤242を挟むように設けられている。凹部244の部分においては受光素子282bが光を受光し、凹部44のない部分においては受光素子282bが光を受光しない。したがって、受光素子270bからの出力があれば(受光すれば)凹部244であり、出力がなければ(受光しなければ)凹部244でないと判断することができる。
これら光センサ270、272、282の出力は、制御部284に与えられている。
また、軸体保持円盤242上には、不良品のネジ140を不良品回収通路292に落とすためのアクチュエータ289、再検査対象のネジ140を仕掛品回収通路283に落とすためのアクチュエータ291が設けられている。これらアクチュエータ289、291は、制御部284からの制御信号により、ロッドを突出させることでネジ140を押して凹部244から脱落させるものである。
さらに、アクチュエータ289、291によって脱落させられなかったネジ140、つまり良品のネジ140を、良品回収通路294に落とすための強制脱落ガイド296が設けられている。強制脱落ガイド296によって凹部244から良品回収通路294に落とされたネジ140を検出する光センサ275が、軸体保持円盤242の下に設けられている。光センサ275の出力は、制御部284に与えられている。
第1回転撮像部には、頭部全周撮像カメラ279が設けられている。頭部全周撮像カメラ279近傍の断面図を、図20Aに示す。頭部全周撮像カメラ279は、ネジ140の頭部142に対し、横方向(または斜め下方向)から撮像を行うように配置されている。図20Aに示す頭部撮像カメラ279近傍を、下側から見た図を、図20Bに示す。
下部当接受支部材である合成樹脂製の受け部材336が、本体部144に外側から当接するように設けられている。なお、受け部材336は、本体部144と同程度の長さもしくはそれ以上の長さであることが好ましい。
軸体保持円盤242の下側には、下部当接移動部材であるゴムチューブ330が設けられている。このゴムチューブ330は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング332、332、駆動ローラ334を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング332、332、駆動ローラ334は、そのフランジによってゴムチューブ330を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング332、332は、ネジ140の本体部144にゴムチューブ330が内側から当接するように、ネジ140に沿って配置されている。
駆動ローラ334は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印247の方向に回転するようにしている。つまり、本体部144に接するゴムチューブ330は、軸体保持円盤242の回転方向246と同じ方向に移動する。なお、ゴムチューブ330を用いているので、本体部144との当接により容易に変形し、接触抵抗を高めることができる。
この実施形態では、ゴムチューブ330の移動速度を、軸体保持円盤242の回転による移動速度よりも速くしている。したがって、ネジ140は、図20Bの図面において反時計方向249に、つまり、上面から見ると時計方向に回転(自転)する。頭部撮像カメラ279は、このように自転しながら、矢印246の方向に移動するネジ140の頭部142を、連続的に撮像する。つまり、連続して複数の静止画を撮像する。
なお、頭部全周撮像カメラ279による撮像範囲(たとえば、70mmの範囲)に頭部142が入ってから、抜けるまでの間に、頭部142が少なくとも1回転するように、ゴムチューブ330の移動速度を設定することが好ましい。これにより、頭部142の全周の静止画を得ることができるからである。なお、この実施形態では、上記撮像範囲において、ほぼ2回転するようにゴムチューブ330の移動速度を設定している。また、この実施形態では、軸体140が2回転する間に、20枚の静止画を撮像するようにしている。
図20Aに示すように、回転するネジ140の頭部142を上から撮像するためのカメラ281が設けられている。
図16に戻って第1回転撮像部に続く第2回転撮像部に、本体全周撮像カメラ280が設けられている。本体全周撮像カメラ280近傍の断面図を、図21Aに示す。本体撮像カメラ280は、ネジ140の本体部144に対し、斜め下方向から撮像を行うように配置されている。図21Aに示す本体撮像カメラ280近傍を、上側から見た図を、図21Bに示す。なお、図21Bにおいては、保持板311を省略している。
ガード部材243の上側には、上部当接第1支持部材であるゴムチューブ320が、頭部142の一方側上部から、頭部142を押さえつけるように設けられている。このゴムチューブ320は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング322、322を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング322、322は、そのフランジによってゴムチューブ320を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング322、322は、ネジ140の頭部142にゴムチューブ320が上側から当接するように、ネジ140に沿って配置されている。
また、フランジ付きベアリング322、322の他に、ネジ140から離れた位置に駆動ローラ323が配置されている。駆動ローラ323は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印249の方向に回転するようにしている。
これらフランジ付きベアリング322、322、駆動ローラ323は、ガード部材243の上部に設けられた保持板311aに固定されている。保持板311aは、軸体保持円盤242の回転と共に回転するものではなく、固定されている。
また、この保持板311aは、図示しない調整機構により、X方向、Y方向に移動調整可能に構成されている。ネジ140の種類により、頭部142の大きさや高さが変わるので、これに対応して、適切な位置にゴムチューブ320を当接させるためである。
軸体保持円盤242の上側には、上部当接第2移動部材であるゴムチューブ310が設けられている。このゴムチューブ310は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング312、312、駆動ローラ314を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング312、312、駆動ローラ314は、そのフランジによってゴムチューブ310を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング312、312は、ネジ140の頭部142にゴムチューブ310が上側から圧接するように、ネジ140に沿って配置されている。なお、ゴムチューブ310は、頭部142において、ゴムチューブ320と反対側に設けられている。
駆動ローラ314は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印247の方向に回転するようにしている。なお、図21Bの駆動ローラ314と、図20Bの駆動ローラ334は、同じ回転方向であるが、図20Bが下側から見た図、図21Bが上側から見た図となっているため、図面上では逆方向の矢印となっている。上記駆動ローラ314の回転により、頭部142に接するゴムチューブ310は、軸体保持円盤242の回転方向246と同じ方向に移動する。
以上のように、ゴムチューブ320が矢印249の方向に回転し、ゴムチューブ310が矢印247の方向に回転するので、ネジ140は矢印249の方向に回転することになる。
これらフランジ付きベアリング312、312、駆動ローラ314は、軸体保持円盤242の上部に設けられた保持板311bに固定されている。保持板311bは、軸体保持円盤242の回転と共に回転するものではなく、固定されている。
また、この保持板311bは、図示しない調整機構により、保持板311aと独立して、X方向、Y方向に移動調整可能に構成されている。ネジ140の種類により、頭部142の大きさや高さが変わるので、これに対応して、適切な位置にゴムチューブ310を当接させるためである。
この実施形態では、ゴムチューブ310、320の移動速度を、軸体保持円盤242の回転による移動速度よりも速くしている。したがって、ネジ140は、図21Bの図面において時計方向249に回転(自転)する。本体部撮像カメラ280は、このように自転しながら、矢印246の方向に移動するネジ140の本体部144を、連続的に撮像する。つまり、連続して複数の静止画を撮像する。撮像するタイミングは、たとえば、90度回転する毎に撮像するようにすればよい。
なお、本体部撮像カメラ280による撮像範囲(たとえば、70mmの範囲)に本体部144が入ってから、抜けるまでの間に、本体部144が少なくとも1回転するように、ゴムチューブ310、320の移動速度を設定することが好ましい。これにより、本体部144の全周の静止画を得ることができるからである。なお、この実施形態では、上記撮像範囲において、ほぼ2回転するようにゴムチューブ310の移動速度を設定している。
また、図21Aに示すように、ネジ140の頭部142を上部から撮像して、回転を確認するためのカメラ283が設けられている。
頭部142が円形であれば、頭部142の側面にゴムチューブ310、320を当接させることで回転させることができる。しかし、この実施形態では、頭部142が六角形であるため、頭部142の側面にゴムチューブ310、320を当接させても、回転しない場合がある。そこで、頭部142の上部から押さえつけるようにしてゴムチューブ310、320を当接させ、双方のゴムチューブ310、320を回転駆動させている。
上記実施形態では、下部当接部材として合成樹脂による受支部材336を用いている。しかし、下部当接部材としてゴムチューブを用いるようにしてもよい。
図16に戻って、第2回転撮像部に続く第1非回転撮像部には、カメラ350、352が設けられている。この第1非回転撮像部においては、ネジ140は自転させられることなく、撮像されて検査される。
カメラ350は、頭部142を上部から撮像し、頭部142の寸法を検査する。
カメラ352の方向から見た図を、図22に示す。第1非回転撮像部においては、ガード部材243が薄く形成されている。ガード部材243は、他の部分においては、軸体保持円盤242と同じ厚さに構成されている。しかし、第1非回転撮像部では、上半分の厚さにされ、軸体保持円盤242の下面の位置をカメラ352によって撮像可能にされている。つまり、軸体保持円盤242の下面よりもガード部材243の下面の方が上になるようにしている。
これは、次のような理由による。第1非回転撮像部では、ネジ140の首下寸法(頭部142の裏面から本体部14の下面までの長さ)を検査する。この際、軸体保持円盤242が、完全に平坦になっていないことがある。つまり、軸体保持円盤242に保持されたそれぞれのネジ140は、この第1非回転撮像部に来た際に、円盤242のうねりにより上下方向の位置が一定しない。このため、カメラ352で撮像したときに、頭部142の下面の位置を特定できず(頭部142の下面の位置がガード部材243に隠れる場合がある)、正確な測定を行うことができない。
そこで、図22のように、円盤242の下面の位置をカメラ352にて撮像すれば、円盤242の厚さ(厚さが一定になるように精密に製造されている)、ワッシャの厚さを考慮して、頭部142の下面の位置を正確に特定することができる。
図16に戻って、第1非回転撮像部に続く第2非回転撮像部には、カメラ354が設けられている。この第2非回転撮像部においては、ネジ140は自転させられることなく、撮像されて検査される。
カメラ354の方向から見た図を、図23に示す。第2非回転撮像部においては、ガード部材243が薄く形成されている。ガード部材243は、他の部分においては、軸体保持円盤242と同じ厚さに構成されている。しかし、第2非回転撮像部では、下半分の厚さにされ、頭部142の下面の位置をカメラ154によって撮像可能にしている。つまり、軸体保持円盤242の上面よりもガード部材243の上面の方が下になるようにしている。
これは、次のような理由による。第2非回転撮像部では、ネジ140の頭部142の厚さ寸法(頭部142の上面から裏面までの長さ)を検査する。この際、軸体保持円盤242が、完全に平坦になっていないことがある。つまり、軸体保持円盤242に保持されたそれぞれのネジ140は、この第2非回転撮像部に来た際に、円盤242のうねりにより上下方向の位置が一定しない。このため、カメラ354で撮像したときに、頭部142の下面の位置を特定できず(頭部142の下面の位置がガード部材243に隠れる場合がある)、正確な測定を行うことができない。
そこで、図23のように、ガード部材243を薄くして、頭部142の下面の位置をカメラ354にて撮像すれば、正確に、頭部142の厚さ寸法を計測することができる。
図24に制御回路の詳細を示す。CPU300には、操作用のタッチパネル302、ハードディスク304、ノズル286、アクチュエータ289、291、センサ270、272、275、インデックス用センサ282、頭部全周撮像カメラ279、回転確認カメラ281、本体部全周撮像カメラ280、回転確認カメラ283、頭部形状検査カメラ350、本体部寸法検査カメラ352、頭部寸法検査カメラ354が接続されている。ハードディスク304には、各部を制御するための制御プログラム306が記録されている。
3.2検査処理
制御プログラム306のフローチャートを図25〜図29に示す。なお、以下では、各処理が順次行われるように記載しているが、並列して処理を行うようにしてもよい。CPU300は、インデックス用センサ282が凹部244を検出したかどうかを判断する(ステップS51)。凹部244を検出すると、当該凹部にインデックスIDを付す(ステップS52)。たとえば、図30に示すように、軸体保持円盤242に30個の凹部244が設けられていた場合、1〜30までのインデックスIDが、各凹部244に付されることになる。
図30に示すように、インデックス用センサ282と、ネジ140が移送ガイド114によって移送される位置、各センサ270、272、275の位置、カメラ279、280、281、283、350、352、354の位置などとの関係は予め定まっている。したがって、インデックス用センサ282に位置する凹部244のインデックスIDを特定することにより、他のセンサなどの位置にある凹部244のインデックスIDも特定することができる。
CPU300は、ノズル286を駆動し、移送ガイド114からのネジ140を凹部244の方向に押す(ステップS53)。なお、フローチャートでは、凹部244にインデックスIDを付与した後に、ノズル286の駆動を行うように示しているが、実際には、インデックス用センサ282が凹部244を検出すると同時に、ノズル286の駆動が行われる(以下の処理において同様である)。
図30に示すように、インデックス用センサ282が凹部244にインデックスIDとして「1」を付与した場合には、インデックスID「29」が付与されている凹部244にネジ140が収納されることになる。
また、CPU300は、センサ270の出力を取得してネジ140の有無を記録する(ステップS54)。ここでは、図30に示すように、インデックスID「26」が付与されている凹部244にネジが収納されているか否かを判断する。本来は、全ての凹部244にネジ140が収納されるが、移送ガイド114からの搬送が遅れるなどの理由によって、ネジ140が収納されない凹部244も存在する。ネジ140の有無は、図31に示すようなテーブルとして、ハードディスク304に記録される。
CPU300は、カメラ279の撮像位置にネジ140が存在するかどうかを判断する(ステップS55)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ279の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「23」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS56〜S59を実行する。なお、ステップS55において、カメラ279の位置にネジ140が存在しない場合、ステップS56〜S59は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
ネジ140が存在する場合、CPU300は、頭部全周撮像カメラ279からの撮像画像を取り込む(ステップS57)。頭部全周撮像カメラ279の撮像領域において、ネジ140は自転させられている。したがって、自転するネジ140の頭部142の全周方向からの複数の画像を取り込むことになる。前述のように、この実施形態では、ネジ140が2回転する間に、20枚の画像を撮像して取り込むようにしているので、約36度の回転ごとの複数の画像が取り込まれることになる。
CPU300は、取り込んだ頭部撮像画像に基づいて、頭部142に、傷やヒビなどの欠陥がないかを解析する(ステップS58)。なお、図20Aに示すように、頭部全周撮像カメラ279は、頭部142の側面を撮像しているので、頭部142の側面の検査を行うことができる。
CPU300は、側面のいずれの方向にも欠陥がなければ、図31のテーブルの対応するインデックスIDの頭部良否欄に、「良」を記録する。側面のいずれかに欠陥があれば、「不良」を記録する。
上記と並行して、CPU300は、頭部142を上から撮像する回転確認カメラ281からの撮像画像を取り込む(ステップS56)。取り込んだ撮像画像に基づき、頭部142が所定角度以上(ここでは、2回転=720度)回転したかどうかを判定する(ステップS59)。
回転角度は、頭部142の特定の辺(または角)の回転を追跡することによって行うことができる。この実施形態では、約36度の回転ごとに画像を撮像するように設定しているので、この角度を基準として追跡を行うことが容易である。
CPU300は、所定角度以上回転していると判断すれば、図31のテーブルの対応するインデックスIDの頭部回転欄に、「適」を記録する。回転角度が不足していると判断すれば、「不適」を記録する。「不適」を記録した場合、当該ネジ140の頭部検査は不十分であるから、仕掛フラグに「1」を記録する。
CPU300は、本体部全周撮像カメラ280の撮像位置にネジ140が存在するかどうかを判断する(ステップS60)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ280の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「19」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS61〜S64を実行する。なお、ステップS60において、カメラ280の位置にネジ140が存在しない場合、ステップS61〜S64は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
ネジ140が存在する場合、CPU300は、本体部全周撮像カメラ280からの撮像画像を取り込む(ステップS62)。本体部全周撮像カメラ280の撮像領域において、ネジ140は自転させられている。したがって、自転するネジ140の本体部144の全周方向からの複数の画像を取り込むことになる。前述のように、この実施形態では、ネジ140が2回転する間に、20枚の画像を撮像して取り込むようにしているので、約36度の回転ごとの複数の画像が取り込まれることになる。
CPU300は、取り込んだ本体部撮像画像に基づいて、本体部144に、傷やヒビなどの欠陥がないかを解析する(ステップS64)。CPU300は、本体部144の側面の全周に欠陥がなければ、図31のテーブルの対応するインデックスIDの本体部良否欄に、「良」を記録する。欠陥があれば、「不良」を記録する。
上記と並行して、CPU300は、頭部142を上から撮像する回転確認カメラ283からの撮像画像を取り込む(ステップS61)。取り込んだ撮像画像に基づき、頭部142が所定角度以上(ここでは、2回転=720度)回転したかどうかを判定する(ステップS63)。
回転角度は、頭部142の特徴形状(たとえば、特定の辺(または角))の回転を追跡することによって行うことができる。この実施形態では、約36度の回転ごとに画像を撮像するように設定しているので、この角度を基準として追跡を行うことが容易である。また、頭部142にマイナス溝、十字溝や六角溝がある場合には、これらの一部を特徴形状として、回転を追跡することができる。
CPU300は、所定角度以上回転していると判断すれば、図31のテーブルの対応するインデックスIDの本体部回転欄に、「適」を記録する。回転角度が不足していると判断すれば、「不適」を記録する。「不適」を記録した場合、当該ネジ140の本体部検査は不十分であるから、仕掛フラグに「1」を記録する。
CPU300は、頭部形状カメラ350、本体部寸法カメラ352の撮像位置にネジ140が存在するかどうかを判断する(ステップS65)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ350、352の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「15」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS66、S67を実行する。なお、ステップS65において、カメラ280の位置にネジ140が存在しない場合、ステップS66、S67は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
CPU100は、頭部形状カメラ350、本体部寸法カメラ352からの画像を取り込む(ステップS66)。頭部形状カメラ350は、自転していないネジ140の頭部142の上面を撮像するものである。CPU300は、撮像画像に基づいて、頭部142の形状寸法が規格内に収まっているかどうか、傷やヒビなどの欠陥がないかどうかを解析する(ステップS67)。形状寸法が規格内であり欠陥がなければ、図31のテーブルの対応するインデックスIDの頭部形状欄に、「良」を記録する。形状寸法が規格外であったり、欠陥がある場合には「不良」を記録する。
本体部寸法カメラ352は、自転していないネジ140の本体部144の側面を撮像するものである。CPU300は、図22に示すように、本体部32bの下面の位置から軸体保持円盤42の下面の位置までの長さLを算出する。これに、軸体保持円盤42の厚さ(L0)、ワッシャの厚さを加算すれば、本体部144の長さを正確に得ることができる。なお、頭部142の下面の位置から、本体部144の下面の位置までの長さを算出して、本体部144の長さを得るようにしてもよい。
CPU300は、算出した本体部144の長さが規格内であるかどうかを解析する(ステップ67)。さらに、ネジのピッチなどが規格内の寸法であるかどうかを解析する(ステップS67)。
CPU300は、上記の形状寸法が規格内であれば、図31のテーブルの対応するインデックスIDの本体部寸法欄に、「良」を記録する。形状寸法が一つでも規格外である場合には「不良」を記録する。
CPU300は、頭部寸法カメラ354の撮像位置にネジ140が存在するかどうかを判断する(ステップS68)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ350、352の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「12」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS69、S70を実行する。なお、ステップS68において、カメラ280の位置にネジ32が存在しない場合、ステップS69、S70は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
CPU300は、頭部寸法カメラ354からの画像を取り込む(ステップS69)。頭部寸法カメラ354は、自転していないネジ140の頭部142を撮像するものである。CPU300は、撮像画像に基づいて、頭部142の厚さ寸法(上面位置から下面位置までの寸法)が規格内に収まっているかどうかを解析する(ステップS70)。形状寸法が規格内であれば、図31のテーブルの対応するインデックスIDの頭部寸法欄に、「良」を記録する。形状寸法が規格外である場合には「不良」を記録する。
CPU300は、ステップS71において、不良品脱落アクチュエータ289の位置に、ネジ140が存在するか否かを判断する。存在すれば、当該ネジ140に異常処理フラグが付されているかどうかを判断する(ステップS72)。なお、平常状態では、異常処理フラグは付されていないので、ステップS73に進む。なお、異常処理フラグについては後述する。
ステップS73において、CPU300は、当該ネジ140が不良であるかどうかを判断する。図31のテーブルにおいて、頭部良否、本体部良否、頭部形状、本体部寸法、頭部寸法のいずれか一つ以上「不良」があれば、全体として「不良」であると判断する。
不良(「否」)であれば、CPU300は、不良品脱落アクチュエータ289を作動し、凹部244からネジ140を脱落させる(ステップS74)。脱落した不良品のネジ140は、不良品回収路292(図16参照)を介して、不良品回収部(図示せず)に回収される。さらに、CPU300は、センサ272の出力により、ネジ140が脱落されたかどうかを判断する(ステップS75)。予定どおり脱落していれば、ステップS78に進む。脱落していない場合には、異常処理を行う。異常処理については、後述する。
ステップS73において、CPU300は、ネジ140が不良でなければ、ステップS78に進む。なお、ここでは、図31に示すように、インデックスID「10」にあるネジ32は、不良品であるので、ステップS74、S75が実行される。
ステップS78において、仕掛品脱落アクチュエータ291の位置に、ネジ140が存在するかどうかを判断する。存在すれば、ステップS79において、当該ネジ140に仕掛フラグが付いているかどうかを判断する(前述のように、回転不足などで検査未了のネジ140は仕掛フラグが付けられている)。仕掛フラグがついていれば、CPU100は、仕掛品脱落アクチュエータ291を作動し、凹部244からネジ140を脱落させる(ステップS85)。脱落した仕掛品のネジ140は、仕掛品回収路293(図16参照)を介して、仕掛品回収部(図示せず)に回収される。
良品のネジ140の場合、ステップS79において、仕掛フラグがついていないので、ステップS80に進む。CPU300は、ステップS80において、良品回収通路294を良品回収箱400に向ける(図32参照)。なお、通常の状態では、進路変更板404は実線の位置にあり、良品回収通路294は良品回収箱400に向いているので、そのままの状態とする。
良品ネジの場合、不良品脱落アクチュエータ289、仕掛品脱落アクチュエータ291によって脱落させられないので、強制脱落ガイド296によって良品回収通路294に脱落させられることになる。これにより、良品のネジ140は、良品回収箱400に回収される。
CPU300は、脱落された良品のネジ140を、センサ275によって検出して計数する(ステップS81)。したがって、良品回収箱400に何個の良品が入っているかを知ることができる。
所定数を超えるまでは、CPU300は、ステップS1以下を繰り返し実行する。
CPU300は、良品が所定数(たとえば、100個)を超えると、つまり、101個目の良品を検出すると、直ちに、良品回収通路294を仕掛品回収部に向ける(ステップS83)。これにより、101個目の良品ネジは、仕掛品回収部に収納されることになる。
さらに、CPU300は、この時点で軸体保持円盤242の上に保持されているネジ32の全てについて、図31のテーブルに仕掛フラグを付ける(ステップS84)。
上記のように、この実施形態では、良品回収箱に所定個数の良品ネジが収納されると、軸体保持円盤242上のネジ140を仕掛品として回収するようにしている。この間に、自動もしくは手動にて、新たな良品回収箱400を載置すれば、装置を停止させることなく連続的に処理を行うことができる。
(異常処理について)
次に、ステップS74において、不良品のネジ140を凹部244から脱落させようとしたにもかかわらず、ネジ140が落ちなかった場合について説明する。これを放置すると、不良品のネジ140は、強制脱落ガイド296によって、良品回収通路294に落とされることになってしまう。これでは、良品の中に不良品が混入してしまうことになる。
そこで、この実施形態では、不良品であると判断したネジ140が、不良品脱落アクチュエータ289によって落ちなかった場合(ステップS75)、次のような異常処理を行うようにしている。CPU300は、図31に示すテーブルの全てのネジ(全てのインデックスID)に対して、異常処理フラグを記録する(ステップS76)。次に、CPU300は、良品回収通路294を仕掛品回収箱402に向ける(ステップS77)。
図32に、良品回収通路294の側断面を示す。良品回収通路294の底部には、軸406を中心として回動可能な進路変更板404が設けられている。進路変更板404は、通常の状態においては、図の実線に示す位置に保持されている。したがって、良品回収通路294に落とされたネジ140は、良品回収箱400に回収される。
CPU300は、ステップS77において、モータなどの駆動手段(図示せず)を制御して、進路変更板404を二点鎖線で示す状態に回動させる。これにより、良品回収通路294に落とされたネジ140は、仕掛品回収箱402に回収されることになる。
したがって、ステップS74において、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部244に残ってしまった不良品のネジ140は、強制脱落ガイド296により、良品回収通路294に落とされるが、仕掛品回収箱402に回収されることになる。
また、この実施形態では、上記の異常が生じた時点で軸体保持円盤242に保持されている全てのネジ140に対して異常フラグを記録している。したがって、以後、CPU300は、良品回収通路294を仕掛品回収部に向け続けるので、これら異常処理フラグが記録されているネジ140は、良品回収通路294に落とされ、仕掛品回収箱402に回収される(ステップS88)。
なお、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部244に残ってしまった不良品のネジ140だけを、仕掛品回収箱402に回収するようにしてもよい。この実施形態では、安全をみて、異常が生じた時点で軸体保持円盤242に保持されている全てのネジ140を仕掛品回収箱402に回収するようにしている。
異常処理フラグの記録されていないネジ140(異常が起こった後に、軸体保持円盤242に保持されたネジ140)が見いだされると、CPU300は、良品回収通路294の進路変更板404を、図32の実線で示す位置に戻す(ステップS80)。これにより、以降は、良品回収通路294に落とされたネジ140は、良品回収箱400に回収されることになる。
上記では、受支部材340の本体部144と当接する面には特別な処理を施していない。しかし、軸体との摩擦による摩耗を防ぐため、対摩耗部材を貼り付けるなどの処理を行ってもよい。
上記では、ネジ140の内側に上部当接駆動部材を設け、ネジ140の外側に上部当接部材を設けている。しかし、ネジ140の内側に上部当接部材を設け、ネジ140の外側に上部当接駆動部材を設けるようにしてもよい。
また、上記では、ネジ140の内側に下部当接駆動部材を設け、ネジ140の外側に下部当接部材を設けている。しかし、ネジ140の内側に下部当接部材を設け、ネジ140の外側に下部当接駆動部材を設けるようにしてもよい。
上記実施形態では、軸体保持部として回転する軸体保持円盤242を用いている。しかしながら、リニアに移動する軸体保持部(たとえば、直線的な無限軌道)を用いてもよい。
上記では、良品と不良品を回収箱に回収している。しかし、不良品を脱落させ、良品をそのまま製造工程に移送して使用するようにしてもよい。
上記では、良品と判断したネジ140について、ノズル290により良品回収通路294に脱落させるようにしている。しかし、ノズル288を制御して不良品と判定したネジ140を不良品回収通路292に脱落させ、それ以外のネジ140は良品であるとして、強制脱落ガイド296によって脱落させるようにしてもよい。この場合、ノズル290を省略しながらも、CPU300により、強制脱落ガイド296まで搬送して良品回収通路294に脱落させるかどうかを制御することができる。
上記では、カメラ279、280の撮像時に、少なくともネジ140を1回転以上させている。しかし、1回転より小さい所定角度だけ回転させるようにしてもよい。
上記では、ゴムチューブ310、320、330を用いている。しかし、可撓性が有り変形可能な部材であれば他の物を用いてもよい。
上記では、ゴムチューブ330(310)の移動速度を軸体保持円盤242の移動速度よりも早くしている。しかし、ゴムチューブ330(310)の移動速度を軸体保持円盤242の移動速度よりも遅くするようにしてもよい。この場合、ネジ140の自転方向は反対方向となる。また、ゴムチューブ330(310)を停止させるようにしてもよい。さらに、ゴムチューブ330(310)を、軸体保持円盤242の移動方向と逆方向にしてもよい。
4.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、処理装置として検査装置を例に説明を行った。しかし、ネジなどの軸体を保持して、塗装を行うなどの処理を行う装置にも適用することができる。
(2)上記実施形態では、垂直回転検査部104、水平回転検査部106の双方を設けている。しかし、いずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、ワッシャ付きネジ140を検査対象としている。しかし、ワッシャのないネジ140を対象としてもよい。また、本体部より頭部の径が大きい形状の軸体全般に適用することができる。たとえば、釘、ピン、頭部付きのシャフトなどにも適用することができる。
(4)上記実施形態では、頭部の外形が六角形のネジについて説明したが、丸形など他の形状の頭部を有するネジについても適用することができる。
(5)上記実施形態では、垂直回転検査部104、水平回転検査部106のそれぞれに対して、制御部200、284を設けている。しかし、両者の制御部を一つにまとめてもよい。