JP6538162B2 - ラップフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ラップフィルムに関し、より詳しくは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有するラップフィルムに関する。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂(以下、「PVDC樹脂」と略す)からなるフィルムは、容器への密着性、透明性、バリア性、耐熱性、保香性等の特性に優れており、家庭用ラップフィルムとして好適なフィルムであることが知られている(例えば、特開2011−168750号公報(特許文献1))。このようなPVDC樹脂製ラップフィルムは、芯材に巻き取られ、ラップフィルム巻回体として専用のカートンに装填される。そして、使用する際に、必要な長さのラップフィルムをカートンから引き出し、カートンに装着されたノコ刃でカットされる。
特開2011−168750号公報
しかしながら、PVDC樹脂製ラップフィルムをカートンから引き出してカートンに装着されたノコ刃でカットする際に、ラップフィルムが縦方向に裂けたり、ノコ刃が劣化したりする場合があった。そこで、これらの不具合の原因を検討したところ、ラップフィルムをカットする際に掛ける強い力が原因であることを本発明者らは見出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、弱い力で容易にカットすることが可能なPVDC樹脂製ラップフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、複屈折度及び面配向度が所定の条件を満たすPVDC樹脂製ラップフィルムが弱い力でカットできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のラップフィルムは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有するラップフィルムであって、
下記式(1):
Δn=n−n=Re/d (1)
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nはフィルム面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率を表し、Reはフィルムの面内レタデーション(単位:nm)を表し、dはフィルムの厚み(単位:nm)を表す)
により求められる複屈折度Δnが下記式(1a):
0.0003≦Δn≦0.0013 (1a)
で表される条件を満たし、
下記式(2):
ΔP=(n+n)/2−n (2)
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nはフィルム面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率を表し、nはフィルムの厚さ方向の屈折率を表す)
により求められる面配向度ΔPが下記式(2a):
−0.0120≦ΔP≦−0.0102 (2a)
で表される条件を満たすものである。
本発明のラップフィルムの厚みとしては5〜15μmが好ましい。また、前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂としては塩化ビニリデンと該塩化ビニリデンと共重合可能なコモノマーとの共重合体が好ましく、前記コモノマーとしては塩化ビニルが好ましい。さらに、フィルム面内の遅相軸方向がラップフィルムの縦方向(MD)であることが好ましい。なお、縦方向(MD)とはインフレーション二軸延伸時のフィルムの流れ方向のことである。
このような本発明のラップフィルムは、その縦方向(MD)が巻方向であり、ノコ刃が装着されたカートンに装填されているラップフィルム巻回体の状態で使用される。
本発明によれば、弱い力で容易にカットすることが可能なPVDC樹脂製ラップフィルムを得ることが可能となる。
実施例及び比較例で使用したラップフィルム製造装置を示す概略図である。 実施例及び比較例で得られたラップフィルムについて、面配向度ΔPに対して複屈折度Δnをプロットした結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のラップフィルムについて説明する。本発明のラップフィルムは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC樹脂)を含有するラップフィルムである。本発明に用いられるPVDC樹脂は、塩化ビニリデン(VD)と、塩化ビニリデンと共重合可能なコモノマーとの共重合体である。前記PVDC樹脂中の塩化ビニリデンの含有量としては、60〜98質量%が好ましく、65〜97質量%がより好ましく、70〜95%が更に好ましく、75〜90質量%が特に好ましく、また、コモノマーの含有量としては、2〜40質量%が好ましく、3〜35質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。コモノマーの含有量が前記下限未満になると、PVDC樹脂の内部可塑化が不十分となり、溶融加工性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ガスバリア性及び水蒸気バリア性が低下する傾向にある。
前記コモノマーとしては、塩化ビニル(VC);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;スチレン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル等の脂肪族カルボン酸(炭素数1〜18)のビニルエステル;アルキルビニルエーテル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和ジカルボン酸のアルキルエステル(部分エステルを含む。アルキル基の炭素数1〜18);アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有ビニル重合性モノマー;ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー;クロロプレン等の塩素化ジエン系モノマー;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールメタクリレート等の分子内に2個以上の重合性二重結合を有する多官能性モノマー等が挙げられる。これらのコモノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このようなコモノマーのうち、塩化ビニル(VC)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリルが好ましく、塩化ビニル(VC)がより好ましい。
前記PVDC樹脂の還元粘度(η)(単位、L/g)としては、溶融加工性、延伸加工性、包装機械適正、耐寒性の観点から、0.030〜0.070が好ましく、0.033〜0.065がより好ましく、0.035〜0.060L/gが特に好ましい。PVDC樹脂の還元粘度が前記下限未満になると、延伸加工性が低下したり、フィルムの強度やカット性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、溶融加工性が低下したり、着色したりする傾向にある。なお、本発明に用いられるPVDC樹脂においては、還元粘度の異なるPVDC樹脂を2種以上混合して還元粘度を前記範囲に調整してもよい。
このようなPVDC樹脂は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の公知の方法により合成することができるが、粉砕処理を施さずに、平均粒径が40〜600μmの粉体樹脂が得られるという観点から、懸濁重合が好ましい。
また、本発明においては、前記PVDC樹脂を単独で使用してもよいし、前記PVDC樹脂に、可塑剤、熱安定剤、抗酸化剤、滑剤、分散助剤、充填剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、pH調整剤等の各種添加剤を添加してPVDC樹脂組成物として使用してもよい。前記添加剤を含有するPVDC樹脂組成物は、PVDC樹脂の合成前、合成中、合成後の少なくともいずれかの時点において、重合反応系に前記添加剤を添加することによって調製することができる。
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、アセチルトリブチルサイトレート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、アセチル化モノグリセライド、アセチル化ジグリセライド、アセチル化トリグリセライド、アジピン酸と1、3−ブタンジオールとの重縮合物、アジピン酸と1、4−ブタンジオールとの重縮合物等が挙げられる。これらの可塑剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。可塑剤の添加量としては、PVDC樹脂100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が特に好ましい。
熱安定剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油、エポキシ化動物油、エポキシ化ステアリン酸オクチル等のエポキシ化脂肪酸エステル、ビスフェノールAグリシジルエーテル等のエポキシ化樹脂プレポリマー等のエポキシ化合物;グリシジル基含有アクリル樹脂、グリシジル基含有メタクリル樹脂等のエポキシ基含有樹脂が挙げられる。これらの熱安定剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。熱安定剤の添加量としては、PVDC樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜4質量部がより好ましく、1〜3質量部が特に好ましい。
抗酸化剤、滑剤、分散助剤、充填剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、pH調整剤としては、例えば、特開2011−94035号公報に記載のものが挙げられる。
また、本発明においては、前記PVDC樹脂にその他の樹脂を混合してもよい。前記その他の樹脂の混合量としては、前記PVDC樹脂100質量部に対して30質量部以下が好ましく、PVDC樹脂との相溶性の観点から、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。また、前記PVDC樹脂と前記その他の樹脂との混合樹脂中の、塩化ビニリデン成分の含有量としては、ガスバリア性及び水蒸気バリア性、耐熱性の観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
前記その他の樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(好ましくは、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数1〜18))、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体(好ましくは、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数1〜18))、エチレン−アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、アクリル酸エステル(好ましくは、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18))の単独重合体及び共重合体(例えば、アクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体)、メタクリル酸エステル(好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18))の単独重合体及び共重合体(例えば、メタアクリル酸メチル−メタアクリル酸ブチル共重合体)、エチレン系アイオノマー、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド等が挙げられる。これらのその他の樹脂は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明のラップフィルムは、前記PVDC樹脂又は前記PVDC樹脂組成物を、例えば、押出機を用いて溶融押出してフィルム状に成形し、冷却した後、延伸(好ましくは二軸延伸)し、さらに緩和処理を施すことによって製造することができ、特に、サーキュラーダイによるインフレーション二軸延伸法により製造することが好ましい。このとき、得られるラップフィルムの複屈折度Δnが下記式(1a):
0.0003≦Δn≦0.0013 (1a)
で表される条件を満たし、面配向度ΔPが下記式(2a):
−0.0120≦ΔP≦−0.0102 (2a)
で表される条件を満たすように、溶融押出したフィルムの冷却温度、延伸温度、延伸倍率、緩和温度、緩和率を調整する。前記複屈折度Δnが0.0003未満、或いは前記面向度ΔPが−0.0120未満になると、インフレーション二軸延伸時の破裂が起きやすくなり、安定製膜が困難となる。また、前記複屈折度Δnが0.0013超過、或いは前記面配向度ΔPが−0.0102超過になると、ラップフィルムが伸びやすくなり、ラップフィルムを弱い力で容易にカットすることが困難となる。こうした観点から、前記複屈折度Δnは下記式(1b):
0.0005≦Δn≦0.0013 (1b)
で表される条件を満たすことが好ましく、また、面配向度ΔPが下記式(2b):
−0.0115≦ΔP≦−0.0102 (2b)
で表される条件を満たすことが好ましい。
なお、前記複屈折度Δnは、下記式(1):
Δn=n−n=Re/d (1)
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nはフィルム面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率を表し、Reはフィルムの面内レタデーション(単位:nm)を表し、dはフィルムの厚み(単位:nm)を表す)
により求められるものであり、面配向度ΔPは、下記式(2):
ΔP=(n+n)/2−n (2)
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nはフィルム面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率を表し、nはフィルムの厚さ方向の屈折率を表す)
により求められるものである。
前記複屈折度Δnは、縦方向(MD)の延伸倍率(分子配向度)が大きくなるにつれて、或いは、縦方向(MD)の緩和率が小さくなるにつれて、小さくなる傾向にあり、また、前記面配向度ΔPは、延伸倍率が大きくなるにつれて、或いは、緩和率が小さくなるにつれて、小さくなる傾向にあるため、これらの傾向に基づいて、延伸倍率及び緩和率を制御することによって、複屈折度Δn及び面配向度ΔPを前記範囲に調整することができる。
溶融押出後のフィルムの冷却温度については一概には決定できないが、例えば、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましい。冷却温度が前記上限を超えると、樹脂の結晶化が進行するため延伸性が悪化する傾向にあり、また、ラップフィルムが白化し、透明性が損なわれる傾向にある。なお、前記冷却温度の下限としては特に制限はないが、経済性(具体的には、冷却能力)の観点から、3℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。
延伸温度についても一概には決定できないが、例えば、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。延伸温度が前記下限未満になると、延伸性が悪化し、インフレーションバブルが破裂しやすい傾向にある。なお、前記延伸温度の上限としては特に制限はないが、作業性や経済性(設備の大型化)の観点から、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。
延伸倍率についても一概には決定できないが、例えば、縦方向(MD)の延伸倍率としては、3.6〜5.0倍が好ましく、3.8〜4.6倍がより好ましい。縦方向(MD)の延伸倍率が前記下限未満になると、インフレーションバブルが弛み、連続製膜が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、エアバックが生じ、バブル形状が不安定となり、幅ムラや厚みムラを起こす傾向にある。また、横方向(TD)の延伸倍率としては、4.0〜5.5倍が好ましく、4.5〜5.1倍がより好ましい。横方向(TD)の延伸倍率が前記下限未満になると、バブル形状が不安定となり、幅ムラや厚みムラを起こす傾向にあり、他方、前記上限を超えると、破裂しやすくなる傾向にある。
緩和温度についても一概には決定できないが、例えば、20〜100℃が好ましく、25〜85℃がより好ましい。緩和温度が前記下限未満になると、十分な緩和率がとれず、巻締まりが発生し、巻芯部の変形等の問題が発生する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フィルムの透明性が損なわれる傾向にある。
緩和率についても一概には決定できないが、例えば、縦方向(MD)の緩和率としては、4.5〜12.0%が好ましく、5.0〜11.0%がより好ましい。縦方向(MD)の緩和率が前記下限未満になると、緩和が不十分であり、ラップフィルム巻回体を作成した際、経時で巻締まりが起きる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フィルムが弛み、巻き取り時にシワが発生しやすい傾向にある。また、横方向(TD)の緩和率としては、2.5〜6.5%が好ましく、3.0〜6.1%がより好ましい。横方向(TD)の緩和率が前記下限未満になると、ラップフィルム巻回体にした後、フィルム幅の変化等が生じる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、巻取り時にシワが発生しやすい傾向にある。
このようにして得られたラップフィルムの厚みとしては5〜15μmが好ましい。ラップフィルムの厚みが前記下限未満になると、十分な強度が得られず、使用時に破れやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、カットする際、大きな力が必要となる傾向にあり、また、剛性が上がり、実用上の密着性が悪化する傾向にある。
また、本発明のラップフィルムにおいては、フィルム面内の遅相軸方向がラップフィルムの縦方向(MD)であることが好ましい。さらに、本発明のラップフィルムは、インフレーション二軸延伸の縦方向(MD)が巻方向である巻回体として得ることが好ましい。これらにより、ラップフィルムの長手方向とインフレーション二軸延伸の縦方向(MD)が一致するため、弱い力で容易にカットすることが可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の還元粘度、ラップフィルムの複屈折度及び面配向度は以下の方法により測定した。
(1)還元粘度
ポリ塩化ビニリデン系樹脂1gを50mlのテトラヒドロフランに添加し、40℃に加熱して溶解した。この溶液をメタノールにを加え、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を析出させ、ろ過により回収した後、乾燥した。乾燥後のポリ塩化ビニリデン系樹脂80mgを秤量し、溶媒として30℃のシクロヘキサノン20mlを添加し、70℃で60分間加熱して溶解した。その後、室温で冷却し、ろ過して試料溶液を得た。
この試料溶液5mlをウベローデ粘度計に注入し、30℃の恒温槽中に5分間静置した後、常法により試料溶液の流下秒数を測定し、次式:
η=(1/4)×{(t/t)−1}
(式中、tは30℃のシクロヘキサノン(溶媒)の流下秒数(単位:秒)を表し、tは30℃の試料溶液の流下秒数(単位:秒)を表す)
により還元粘度(η)を求めた。
(2)複屈折度
ラップフィルムを位相差測定装置(王子計測機器(株)製「KOBRA−WR」)に、フィルムの縦方向(MD)が測定装置の0°方向となるように装着し、波長589nmにおけるラップフィルムの面内レタデーションReを測定し、下記式(1):
Δn=n−n=Re/d (1)
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nはフィルム面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率を表し、Reはフィルムの面内レタデーション(単位:nm)を表し、dはフィルムの厚み(単位:nm)を表す)
によりラップフィルムの複屈折度Δnを求めた。この測定を無作為に抽出した5カ所の測定点について行い、その平均値を求めた。なお、この平均値は、小数点以下5桁目を四捨五入して小数点以下4桁の値として求めた。また、配向角表示範囲を−90度から90度とした。それにより、配向角が−45度から45度の範囲であれば、ポリ塩化ビニリデンは負の固有複屈折を持つため、ラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であることを意味する。すなわち、ラップフィルムの横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことを意味し、また、Δnが小さくなるにつれて縦方向(MD)の配向が強くなっていることを意味する。
(3)面配向度
ラップフィルムを位相差測定装置(王子計測機器(株)製「KOBRA−WR」)に、フィルムの縦方向(MD)が測定装置の0°方向となるように装着し、傾斜中心軸を進相軸として入射角が40°となるようにフィルムを傾斜させ、波長589nmにおけるラップフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率n、面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率n、厚さ方向の屈折率nを、平均屈折率Nave=1.609として、低位相差モードで測定し、下記式(2):
ΔP=(n+n)/2−n (2)
によりラップフィルムの面配向度ΔPを求めた。この測定を無作為に抽出した5カ所の測定点について行い、その平均値を求めた。なお、この平均値は、小数点以下5桁目を四捨五入して小数点以下4桁の値として求めた。
(調製例1)
塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを、VD:VC=82:18(質量比)で混合し、懸濁重合法により、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体(PVDC樹脂、還元粘度(η):0.044L/g)を合成した。このPVDC樹脂100質量部に、添加剤として、アセチルトリブチルサイトレート(ATBC)、ジアセチル化モノグリセライド(DALG)、エポキシ化大豆油及び流動パラフィンを合計8.4質量部となるように添加して混合し、PVDC樹脂組成物を調製した。
(実施例1)
図1に示す製造装置を用いてラップフィルムを作製した。すなわち、調製例1で得られたPVDC樹脂組成物を、直径75cmの単軸押出機1を用いて175℃で環状ダイから溶融押出した後、得られた管状パリソンを10℃の冷却バス(1浴)2で急冷し、次いで、40℃の温水バス(2浴)3中を通過させた。その後、回転速度の異なるピンチローラ4と5の間で管状パリソン内に空気を圧入して膨張させ、延伸温度25℃、縦方向(MD)4.2倍、横方向(TD)5.1倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、さらに、回転速度の異なるピンチローラ5と6の間で、緩和温度25℃、縦方向(MD)10.1%、横方向(TD)4.0%の緩和率で緩和処理を行なった後、巻取りローラ7で巻き取った後、スリットと巻き返しを行い、20m巻のラップフィルム巻回体(幅30cm)を得た。なお、前記延伸温度とは、2浴から取り出した管状パリソンが二軸延伸時に曝される雰囲気の温度(すなわち、ピンチローラ4と5の間の領域の環境温度)であり、前記緩和温度とは、二軸延伸後のフィルムが緩和処理時に曝される雰囲気の温度(すなわち、ピンチローラ5と6の間の領域の環境温度)である。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(実施例2)
延伸温度25℃、縦方向(MD)4.4倍、横方向(TD)5.0倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)10.1%、横方向(TD)4.8%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例1と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(実施例3)
延伸温度25℃、縦方向(MD)4.6倍、横方向(TD)4.7倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)5.0%、横方向(TD)5.1%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例1と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(実施例4)
冷却バス(1浴)の温度を11℃に、温水バス(2浴)の温度を45℃に変更し、延伸温度25℃、縦方向(MD)4.0倍、横方向(TD)5.1倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)5.0%、横方向(TD)5.3%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例1と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(実施例5)
延伸温度25℃、縦方向(MD)4.5倍、横方向(TD)4.8倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)5.0%、横方向(TD)4.0%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例4と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(実施例6)
温水バス(2浴)の温度を30℃に変更し、延伸温度30℃、縦方向(MD)4.2倍、横方向(TD)4.6倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度40℃、縦方向(MD)10.8%、横方向(TD)4.2%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例4と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(実施例7)
延伸温度30℃、縦方向(MD)4.1倍、横方向(TD)4.8倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度40℃、縦方向(MD)10.7%、横方向(TD)6.1%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例6と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(実施例8)
延伸温度30℃、縦方向(MD)4.3倍、横方向(TD)4.5倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度40℃、縦方向(MD)10.7%、横方向(TD)4.3%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例6と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例1)
延伸温度25℃、縦方向(MD)3.2倍、横方向(TD)5.4倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)10.1%、横方向(TD)4.9%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例1と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例2)
延伸温度25℃、縦方向(MD)3.4倍、横方向(TD)3.3倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)10.1%、横方向(TD)3.5%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例1と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例3)
延伸温度25℃、縦方向(MD)3.4倍、横方向(TD)4.4倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)10.1%、横方向(TD)3.5%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例1と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例4)
冷却バス(1浴)の温度を12℃に、温水バス(2浴)の温度を30℃に変更し、延伸温度25℃、縦方向(MD)4.0倍、横方向(TD)5.1倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)10.1%、横方向(TD)3.9%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例1と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例5)
延伸温度25℃、縦方向(MD)3.5倍、横方向(TD)5.3倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)5.0%、横方向(TD)5.2%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例4と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例6)
延伸温度25℃、縦方向(MD)4.0倍、横方向(TD)4.7倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度25℃、縦方向(MD)5.0%、横方向(TD)5.8%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例4と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例7)
延伸温度30℃、縦方向(MD)4.0倍、横方向(TD)4.7倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行ない、緩和温度40℃、縦方向(MD)10.8%、横方向(TD)4.2%の緩和率で緩和処理を行った以外は実施例6と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
(比較例8)
延伸温度30℃、縦方向(MD)4.0倍、横方向(TD)4.7倍の延伸倍率でインフレーション二軸延伸を行い、緩和温度40℃、縦方向(MD)10.7%、横方向(TD)4.6%の緩和率で緩和処理を行なった以外は実施例6と同様にしてラップフィルム巻回体を作製した。得られたラップフィルムについて、厚みを測定し、複屈折度Δn(平均値)及び面配向度ΔP(平均値)を求めた。その結果を表1に示す。また、得られたラップフィルムの配向角は−45度から45度の範囲であった。このことから、得られたラップフィルムの遅相軸方向が縦方向(MD)であり、横方向(TD)の配向が縦方向(MD)よりも強いことがわかった。
<カット性(官能試験)>
実施例及び比較例で得られたラップフィルム巻回体を樹脂製のノコ刃が装着された市販の新品のNEWクレラップ(登録商標)用カートン(30cm幅用)に装填した。カートンからラップフィルムを約30cm引き出し、カートンの蓋を確実に閉め、親指が所定の位置にくるようにカートンを持ち、カートンを内側に回転させてラップフィルムを中央部から横方向(TD)外側に向かって切断した。このラップフィルムの切断を10人のモニターを対象に実施し、下記基準で判定した。その結果を表1に示す。
A:弱い力でカットしやすいもの。
B:弱い力でカットできるが、カットしにくいもの。
C:弱い力でカットできず、比較的強い力が必要なもの。
<カット性(カット試験)>
実施例及び比較例で得られたラップフィルムを横方向(TD)に40mm、縦方向(MD)に140mmに裁断して試験用ラップフィルムを作製した。樹脂製のノコ刃が装着された市販の新品のNEWクレラップ(登録商標)用カートン(30cm幅用)の内部に試験用ラップフィルムの縦方向(MD)の一端をテープで固定し、専用の冶具に装着した。その際、カートンからはみ出している試験用ラップフィルムの中央部がカートンのノコ刃のV字部先端に接触するように固定した。次に、試験用ラップフィルムの縦方向(MD)の他端をテンシロン万能材料試験機((株)オリエンテック製「RTC−210A」)のチャック部分で挟持し、ノコ刃と試験用ラップフィルムとの角度が80°となるように治具の角度を調整した。その後、試験用ラップフィルムを上方へ引張速度1000mm/分で引っ張り、ラップフィルムがカットされた時の強さ(ピーク値(単位:N))を測定し、実施例1で得られたラップフィルムのカット力を各実施例で得られたラップフィルムのカット力で除して、実施例1で得られたラップフィルムのカット力を基準とする相対点数を求めた。その結果を表1に示す。なお、相対点数が1.00以上のラップフィルムは、実施例1で得られたラップフィルムと同等以下の弱い力で容易にカットできるラップフィルムであることを意味し、他方、相対点数が1.00未満のラップフィルムは、実施例1で得られたラップフィルムに比べて強い力を必要とするカットしにくいラップフィルムであることを意味する。
表1に示した、実施例7と比較例4の面配向度ΔPと複屈折度Δnを比較すると、ΔPは同等であるが、Δnは実施例7の方が小さいため、縦方向(MD)の分子配向が大きいことを示唆している。本発明のラップフィルムのカット性は、ノコ刃に対して垂直方向にフィルムを引っ張った時の破断し易さを評価していることから、引張方向(ラップフィルムの長手方向)とインフレーション二軸延伸の縦方向(MD)を一致させた場合に、縦方向(MD)の分子配向が大きい実施例7の方が破断し易くなったと考えられる。一方、比較例6のΔnは実施例7よりも小さいが、ΔPが大きいため、破断し難かったと考えられる。
表1に示した結果に基づいて、複屈折度Δnに対して面配向度ΔPをプロットした。その結果を図2に示す。
表1及び図2に示した結果から明らかなように、複屈折度Δnが下記式(1a):
0.0003≦Δn≦0.0013 (1a)
で表される条件を満たし、面配向度ΔPが下記式(2a):
−0.0120≦ΔP≦−0.0102 (2a)
で表される条件を満たすラップフィルム(実施例1〜8、図2の点線枠内)は、弱い力で容易にカットできるものであり、実施例2〜8で得られたラップフィルムは実施例1で得られたラップフィルムに対する相対点数が1.00以上であった。
一方、複屈折度Δnが前記式(1a)で表される条件を満たさないラップフィルム(比較例1、4〜5)並びに面配向度ΔPが前記式(2a)で表される条件を満たさないラップフィルム(比較例1〜3、5〜8)は、弱い力ではカットしにくいもの或いはカットできないものであり、実施例1で得られたラップフィルムに対する相対点数が1.00未満であった。特に、面配向度ΔPが−0.0093以上のラップフィルム(比較例1〜3)は、弱い力ではカットできず、強い力が必要なものであり、実施例1で得られたラップフィルムに対する相対点数が0.68以下であった。
以上説明したように、本発明によれば、弱い力で容易にカットすることが可能なPVDC樹脂製ラップフィルムを得ることが可能となる。
したがって、本発明のラップフィルムは、縦方向に裂けにくく、また、カートンのノコ刃の劣化を抑制することができるため、家庭用ラップフィルム等の各種包装用ラップフィルムとして有用である。
1:押出機
2:冷却バス
3:温水バス
4〜6:ピンチローラ
7:巻取りローラ

Claims (6)

  1. ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有する単層のラップフィルムであって、
    下記式(1):
    Δn=n−n=Re/d (1)
    (式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nはフィルム面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率を表し、Reはフィルムの面内レタデーション(単位:nm)を表し、dはフィルムの厚み(単位:nm)を表す)
    により求められる複屈折度Δnが下記式(1a):
    0.0003≦Δn≦0.0013 (1a)
    で表される条件を満たし、
    下記式(2):
    ΔP=(n+n)/2−n (2)
    (式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nはフィルム面内の前記遅相軸方向に垂直な方向の屈折率を表し、nはフィルムの厚さ方向の屈折率を表す)
    により求められる面配向度ΔPが下記式(2a):
    −0.0120≦ΔP≦−0.0102 (2a)
    で表される条件を満たす、単層のラップフィルム。
  2. 厚みが5〜15μmである、請求項1に記載の単層のラップフィルム。
  3. 前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂が塩化ビニリデンと該塩化ビニリデンと共重合可能なコモノマーとの共重合体である、請求項1又は2に記載の単層のラップフィルム。
  4. 前記コモノマーが塩化ビニルである、請求項3に記載の単層のラップフィルム。
  5. フィルム面内の遅相軸方向がラップフィルムの縦方向(MD)である、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の単層のラップフィルム。
  6. 請求項5に記載の単層のラップフィルムからなる巻回体であって、該単層のラップフィルムの縦方向(MD)が巻方向であり、ノコ刃が装着されたカートンに装填されている単層のラップフィルム巻回体。
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