以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 振動子
まず、本実施形態に係る振動子について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る振動子100を模式的に示す平面図である。図2は、本実施形態に係る振動子100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。図3は、本実施形態に係る振動子100を模式的に示す図1のIII−III線断面図である。
なお、図1〜図3および以下に示す図4〜図21では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y´軸、およびZ´軸を図示している。ここで、水晶の結晶軸である、電気軸をX軸、機械軸をY軸、光学軸をZ軸とし、X軸を回転軸としたとき、Y´軸は、Y軸を、+Y側をZ軸の+側に傾けるように回転させてなる軸であり、Z´軸は、Z軸を、+Z側をY軸の−側に傾けるように回転させてなる軸である。なお、温度変化による共振周波数変化を小さくする観点から、前記回転させる傾きは−5度以上15度以下の範囲で行われる。
振動子100は、図1および図2に示すように、振動片110と、ベース122およびリッド(蓋)124を有するパッケージ(容器)120と、を含む。なお、図1では、便宜上、リッド124の図示を省略している。
(1)振動片
振動片110は、図1〜図3に示すように、Z´軸と直交する主面(互いに表裏の関係にある主面)101a,101bを有する水晶基板(圧電基板)101を含む。水晶基板101は、例えば、Zカット水晶基板で構成されている。振動片110は、基部10と、振動腕20a,20bと、を有している。基部10および振動腕20a,20bは、水晶基板101を構成している。
基部10は、略平板状の形状を有している。基部10は、本体部12と、連結部14と、基端部16と、を有している。本体部12は、基部10の−Y´軸方向側に位置している。連結部14は、本体部12と基端部16とを接続している。連結部14のX軸方向の長さは、本体部12および基端部16のX軸方向の長さよりも小さい。これにより、振動腕20a,20bの振動による振動漏れを低減させることができる。
基端部16は、基部10の+Y´軸方向側に位置している。基端部16は、取付け部(マウント部)18を有している。取付け部18は、接合部材130a,130bによりベース122に取り付けられている。取付け部18は、平面視で(Z´軸方向からみて)、基部10の、接合部材130a,130bと振動片110との接触部分と重なる部分である。具体的には、図示の例では、取付け部18は、基部10の、電極パッド30a,30bが設けられている部分である。図示の例では、取付け部18は2つ設けられており、一方は基端部16の+X軸方向側の端部に設けられており、他方は基端部16の−X軸方向側の端部に設けられている。なお、取付け部18の数は特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。取付け部18には、貫通孔19が設けられている。図示の例では、貫通孔19は、2つ設けられている。なお、貫通孔19の数は特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。取付け部18の詳細については後述する「(3) 取付け部」で説明する。
振動腕20a,20bは、互いに並んで、基部10の本体部12から−Y´軸方向に延出している。振動腕20a,20bは、基部10の本体部12に接続された腕部22と、腕部22に接続された錘部24と、を有している。
振動腕20a,20bの腕部22の、Z´軸と直交する主面(互いに表裏の関係にある主面)22a,22bには、有底の溝部23が設けられている。腕部22の主面22a,22bは、それぞれ水晶基板101の主面101a,101bに対応している。溝部23は、平面視で、Y´軸に沿って延出している。図示の例では、溝部23の先端は、腕部22と錘部24との境に位置し、溝部23の基端は、基部10(本体部12)に位置している。このように振動腕20a,20bに溝部23が設けられることにより、屈曲振動によって発生する熱の経路が狭められるため、熱が拡散(熱伝導)することを抑制することができ、断熱的領域において熱弾性損失(屈曲振動する振動片の圧縮部と伸張部との間で発生する熱伝導により生じる振動エネルギーの損失)を低減させることができる。
腕部22は、図3に示すように、略H字状の断面形状を有している。溝部23と、振動腕20a,20bの側面22c,22d(内側面22c,外側面22d)と、の間の距離Wは、6μm以下であることが好ましい。さらに、溝部23の最大の深さをt、振動腕20a,20bの厚さ(Z´軸に沿った長さ)をTとしたとき、2t/Tで表されるηが0.6以上であることが好ましい。これにより、振動片110の等価直列抵抗、CI(Crystal Impedance)値を小さくすることができ、低消費電力化を図ることができる。なお、溝部23のY´軸に沿った長さは特に限定されず、溝部23の基端は、基部10(本体部12)に位置していなくてもよく、溝部23は、錘部24にも設けられていてもよい。
振動腕20a,20bの錘部24は、略平板状の形状を有している。図示の例では、錘部24の幅(X軸に沿った長さ)W1は、腕部22の幅W2よりも大きい。幅W2に対する幅W1の比(W1/W2)は、2以上10以下であり、好ましくは5以上7以下である。これにより、熱弾性損失を低減させつつ、錘部24が捻じれることによる振動漏れを低減させることができる。
なお、錘部24は、腕部22よりも単位長さあたりの質量が大きければ、その形状は特
に限定されない。例えば、錘部24は、腕部22の幅と同じ大きさの幅を有しており、腕部22よりも厚い形状であってもよい。また、錘部24は、錘部24に該当する振動腕20a,20bの表面や、凹部を形成してそこに金などの金属を設けることによって構成されていてもよい。さらに、錘部24は、腕部22よりも質量密度の高い物質から構成されていてもよい。すなわち、腕部と錘部における単位長さ(Y´軸方向長さ)当たりの質量を夫々Ma、Mbとした場合、総ての腕部、或いは総ての錘部においてMa<Mbの関係を満たしていればよい。
振動腕20a,20bのそれぞれには、図示しない一対の励振電極が形成され、基部10(取付け部18)には、該励振電極と電気的に接続された一対の電極パッド30a,30bが形成されている。励振電極および電極パッド30a,30bは、例えば、クロム、ニッケルを下地層とし、その上に金、銀が積層された金属膜である。
振動片110の基部10、および振動腕20a,20b(以下、「振動腕20a,20b等ともいう」)は、一体的に設けられている。具体的には、振動腕20a,20b等は、水晶の原石(ランバード)から所定の角度で切り出された(例えば、水晶のZ軸(光軸)を厚さ方向とするZ板を、X軸(電気軸)に関して0度から15度の範囲で回転させたものなど)1枚の水晶ウェハーに、フォトリソグラフィーやエッチングなどの技術を用いて形成される。
なお、振動腕20a,20b等は、水晶ウェハーに限定されず、例えば、窒化アルミニウム(AlN)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)などの酸化物基板、ガラス基板上に窒化アルミニウムや五酸化タンタル(Ta2O5)などの圧電体材料を積層させて構成された積層圧電体基板、あるいは圧電セラミックス基板から形成されてもよい。また、シリコン半導体材料などを用いて、振動腕20a,20b等を形成してもよい。
次に、振動片110の動作について説明する。
振動片110には、外部から電極パッド30a,30bを介して励振電極に印加される駆動信号(交番電圧)により電界が生じる。そして、水晶の逆圧電効果によって、振動腕20a,20bの根元部を支点として図1に示す矢印A方向(振動腕20a,20bが互いに離れる方向)と矢印B方向(振動腕20a,20bが互いに近づく方向)とに交互に撓むように変位する屈曲振動が発生する(X軸方向において逆相の屈曲振動モードで振動腕20a,20bが振動する)。
なお、振動片110の振動(駆動)方式は、圧電駆動に限定されない。例えば、振動片110は、圧電基板を用いた圧電駆動型のもの以外に、静電気力を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動片であってもよい。
(2)パッケージ
パッケージ120は、ベース122と、リッド124と、を有している。ベース122は、凹部121を有している。この凹部121の開口を塞ぐように板状のリッド124がベース122に接合されている。このようなパッケージ120は、凹部121がリッド124にて塞がれることにより形成された収納空間を有しており、該収納空間に、振動片110が気密に収納、設置されている。すなわち、パッケージ120には、振動片110が収容されている。これにより、振動片110を保護することができる。
なお、振動片110が収容される収納空間(凹部121)内は、例えば、減圧状態とな
っていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。これにより、振動片110の振動特性が向上する。
ベース122の材質は、例えば、セラミックグリーンシートを成形して積層し焼成した酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体などのセラミックス系の絶縁性材料、水晶、ガラス、シリコン(高抵抗シリコン)などである。リッド124の材質は、ベース122と同じ材料、または、コバール、42アロイなどの金属である。
ベース122とリッド124の接合は、ベース122上にシールリング125を設け、シールリング125上にリッド124を載置して、例えば抵抗溶接機を用いて、ベース122にシールリング125を溶接することによって行われる。なお、ベース122とリッド124の接合は、特に限定されず、接着剤を用いて行われてもよいし、シーム溶接によって行われてもよい。
ベース122の主面123aには、振動片110の電極パッド30a,30bに対向する位置に、内部端子140a,140bが設けられている。図示の例では、ベース122の主面123aは、凹部121の内底面(内側の底面)であり、振動片110が搭載される搭載面である。振動片110の電極パッド30aは、接合部材130aを介して内部端子140aに接合され、電極パッド30bは、接合部材130bを介して内部端子140bに接合されている。
ベース122の主面123aと反対側の主面(外底面)123bには、電極端子142a,142bが設けられている。電極端子142aは、図示しない内部配線により内部端子140aと電気的に接続されている。また、電極端子142bは、図示しない内部配線により内部端子140bと電気的に接続されている。内部端子140a,140bおよび電極端子142a,142bは、例えば、タングステン、モリブデンなどのメタライズ層に、ニッケル、金などの被膜がめっきなどにより積層された金属被膜である。
なお、図示はしないが、パッケージ120は、平板状のベース122と、凹部を有するリッド124と、を有していてもよい。また、パッケージ120は、ベース122およびリッド124の両方に凹部が設けられていてもよい。
接合部材130a,130bは、ベース122に設けられた内部端子140a,140bと、振動片110の電極パッド30a,30bと、を電気的、機械的に接続している。接合部材130a,130bは、例えば、導電性接着剤である。
(3)取付け部
図4は、本実施形態に係る振動子100の取付け部18を模式的に示す断面図である。図5は、本実施形態に係る振動子100の取付け部18を模式的に示す平面図である。なお、図4は、図1のIV−IV線断面図である。
取付け部18には、貫通孔19が設けられている。貫通孔19は、取付け部18の第1主面18aと第2主面18bとの間を貫通している。取付け部18の第1主面18aおよび第2主面18bは表裏の関係にあり、取付け部18の第1主面18aは、ベース122の主面123aと対向している。取付け部18の第1主面18aは−Z´軸方向を向いており、ベース122の主面123aは+Z´軸方向を向いている。取付け部18の第1主面18aは、水晶基板101の主面101aに対応し、取付け部18の第2主面18bは、水晶基板101の主面101bに対応している。
貫通孔19は、第1主面18a側の第1開口部19aと、第2主面18b側の第2開口部19bと、括れ部19cと、を有している。
括れ部19cは、第1開口部19aと第2開口部19bの間に位置している。括れ部19cは、貫通孔19の括れた部分であり、例えば、貫通孔19において開口部19a,19bを除いて貫通孔19の狭まっている部分をいう。貫通孔19は、+X軸方向側に位置している内壁(壁面)2と−X軸方向側に位置している内壁(壁面)3とを有しており、内壁2,3は互いに対向している。内壁2は内壁3に向かって(−X軸方向に向かって)突出している部分を有し、内壁3は内壁2に向かって(+X軸方向に向かって)突出している部分を有している。このように対向する内壁2,3が突出する部分を有することで、貫通孔19に狭まった部分、すなわち、括れ部19cが形成される。
括れ部19cは、図示の例では、取付け部18の厚さ方向(Z´軸方向)において、第1開口部19aと第2開口部19bの中間に位置している。すなわち、括れ部19cと第1開口部19aとの間の距離と、括れ部19cと第2開口部19bとの間の距離とは、等しい。
括れ部19cの幅(X軸に沿った大きさ)W3は、第1開口部19aの幅W4および第2開口部19bの幅W5よりも小さい。貫通孔19は、第1開口部19aから括れ部19cに向かって徐々に幅が小さくなり、括れ部19cにおいて最も幅が小さくなっている。そして、括れ部19cから第2開口部19bに向かって徐々に幅が大きくなっている。
貫通孔19の平面形状、すなわち、開口部19a,19bの平面形状は、例えば図5に示すように、Y´軸に沿った長辺を有する長方形である。貫通孔19の第1開口部19aの幅W4および第2開口部19bの幅W5は、振動腕20a,20bの溝部23の開口部の幅(X軸に沿った長さ)W6(図3参照)よりも大きい。そのため、溝部23を形成するためのウエットエッチングで、貫通孔19を形成することが可能になる。すなわち、溝部23と貫通孔19とを同時に形成することが可能になる。これは、水晶基板をウエットエッチングして溝部23を形成する際に、開口部19a,19bの幅W4,W5を溝部23の開口部の幅W6よりも大きくすることで、水晶基板を貫通しないように有底の溝部23を形成しつつ、水晶基板を貫通させて貫通孔19を形成することができるためである。
なお、溝部23の開口部の幅W6および開口部19a,19bの幅W4,W5が一定ではなく場所により大きさが異なる場合、第1開口部19aの幅W4の最小値および第2開口部19bの幅W5の最小値が、溝部23の開口部の幅W6の最大値よりも大きければ、上述のように溝部23と貫通孔19とを同時に形成することが可能になる。
接合部材130aは、図4に示すように、樹脂(樹脂成分)132と、導電性フィラー134と、金属材料136と、で構成されている。
樹脂132としては、例えば、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系、アクリル系、ビスマレイミド系などの樹脂を用いることができる。導電性フィラー134は、銀粒子や表面が銀メッキされた銅粉などをフレーク状、球状、針状にした粉末を用いることができる。金属材料136は、導電性フィラー134の界面における樹脂の硬化速度に比べて、界面における樹脂の硬化速度が遅くなる材料で構成されている。例えば、導電性フィラー134が銀粒子である場合、金属材料136としては、電極パッド30aの表層と同じ材料である金を、細粒状、あるいはフレーク状にしたものを用いることができる。接合部材130aが金属材料136を含むことにより、樹脂成分132を加熱し硬化させて接合部材130aを形成する際に、導電性フィラー134のまわりで樹脂成分132が硬化・収縮しても、金属材料136の界面に樹脂成分132がまわりこもうとするため、電極パ
ッド30aの界面にまわる樹脂成分132の量を減少させることができる。そのため、接合部材130aと電極パッド30aとの導通性を向上させることができる。
接合部材130aは、括れ部19cに跨っている。すなわち、接合部材130aは、貫通孔19の第1開口部19a側と第2開口部19b側とに位置している。図示の例では、接合部材130aは、取付け部18の第1主面18aと内部端子140aとの間の空間、および貫通孔19に跨って設けられている。また、接合部材130aは、取付け部18の第2主面18b上には設けられていない。そのため、例えば第2主面18b上に接合部材130aが設けられている場合と比べて、装置の小型化(薄型化)を図ることができる。
電極パッド30aは、貫通孔19の内壁2,3および取付け部18の第1主面18aに跨って形成されている。電極パッド30aは、貫通孔19の、括れ部19cよりも第1主面18a側の内壁2,3に形成されている。
なお、上記では、基部10の+X軸方向側に位置している取付け部18、電極パッド30a、および接合部材130aについて説明したが、基部10の−X軸方向側に位置している取付け部18、電極パッド30b、および接合部材130bも同様の構成でありその説明を省略する。
次に、振動子100における振動片110の取り付け方法について説明する。まず、内部端子140a,140b上に、樹脂132、導電性フィラー134、金属材料136を含む導電性接着剤を塗布し、塗布された導電性接着剤上に振動片110の取付け部18を載置する。このとき、導電性接着剤の量や、括れ部19cの大きさ、振動片110を押しつける強さ等を適宜設定することで、導電性接着剤を貫通孔19の第1開口部19aから括れ部19cを超えて第2開口部19b側まで充填することができる。次に、導電性接着剤を硬化させて接合部材130a,130bを形成する。これにより、振動片110をベース122に取り付ける(接合する)ことができる。
振動子100では、例えば、電子機器のICチップ内に集積化された発振回路から、電極端子142a,142bを介して印加される駆動信号によって、振動片110が屈曲振動を励振されて所定の周波数で共振(発振)し、電極端子142a,142bから共振信号(発振信号)を出力する。
振動子100は、例えば、以下の特長を有する。
振動子100では、取付け部18には貫通孔19が設けられ、貫通孔19は第1開口部19aよりも幅が狭い括れ部19cを有し、接合部材130aは、括れ部19cに跨って、第1開口部19a側と第2開口部19b側とに位置している。これにより、接合部材130aが括れ部19cに引っ掛かるため、例えば貫通孔に括れ部がない場合と比べて、接合強度(引きはがし強度)を向上させることができる。
振動子100では、電極パッド30a,30bは、貫通孔19の内壁2,3および取付け部18の第1主面18aに跨って設けられている。そのため、電極パッド30a,30bと接合部材130a,130bとの接触面積を大きくすることができ、導電性を高めることができる。
振動子100では、貫通孔19の第1開口部19aおよび第2開口部19bのX軸に沿った幅(振動腕20a,20bと延出する方向と直交する方向の幅)W4,W5は、溝部23の開口部のX軸に沿った幅W6よりも大きい。そのため、上述したように、溝部23と貫通孔19とを同時に形成することが可能になる。したがって、製造工程の簡略化を図
ることができる。
2. 振動子の変形例
次に、本実施形態に係る振動子の変形例について説明する。以下、本実施形態の各変形例に係る振動子において、本実施形態に係る振動子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を伏し、その詳細な説明を省略する。
(1)第1変形例
まず、本実施形態の第1変形例に係る振動子について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の第1変形例に係る振動子200を模式的に示す平面図である。なお、図6では、便宜上、リッド124の図示を省略している。
上述した振動子100では、図1に示すように、基部10が取付け部18を有していた。
これに対して、振動子200では、図6に示すように、基部10から延出している支持腕210が取付け部18を有している。
振動子200では、基部10は、+Y軸方向に向かうに従って幅(X軸方向の長さ)が連続的、あるいは断続的に漸減する縮幅部13を有している。縮幅部13は、基部10の+Y軸方向側に設けられている。図示の例では、平面視で、縮幅部13の(基部10の)+Y軸方向側の端は、ドーム状の曲線によって構成されている。縮幅部13によって、振動腕20a,20bの屈曲振動に起因して基部10に生じる変形を抑えることができる。
支持腕210は、基部10から−Y軸方向に延出している。支持腕210は、一対の振動腕20a,20bの間に配置されている。支持腕210のY軸に沿った長さは、振動腕20a,20bのY軸に沿った長さよりも小さい。
支持腕210は、例えば、基部10側の根元に設けられた括れ部212と、括れ部212に接続され平板状の形状を有する幅広部214と、を有している。括れ部212は、基部10と幅広部214との間に設けられ、幅広部214の幅の大きさより小さい幅を有する部分である。支持腕210は括れ部212を有するため、振動腕20a,20bの振動により発生する振動漏れを低減させることができる。取付け部18は、幅広部214に設けられている。取付け部18は、Y軸に沿って2つ設けられている。
接合部材130a,130bと振動腕20a,20bとの間の距離は、例えば、5μm以上200μm以下であり、好ましくは20μm以上100μm以下である。当該距離が5μmより小さいと、振動腕に接合部材が付着してしまい、短絡や振動減衰の可能性がある。当該距離が200μmより大きいと、小型化を図ることが困難になる場合がある。
振動子200では、取付け部18が支持腕210に設けられているため、取付け部18と振動腕20a,20bとの間の振動の伝搬経路を長くすることができ、取付け部18において振動腕20a,20bの振動を十分に減衰させることができる。そのため、振動子200では、振動漏れを低減させることができる。また、振動子200では、上述した振動子100と同様の作用効果を奏することができる。
(2)第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る振動子について、図面を参照しながら説明する。図7は、本実施形態の第2変形例に係る振動子300を模式的に示す平面図である。なお、図7では、便宜上、リッド124の図示を省略している。
上述した振動子100では、図1に示すように、基部10が取付け部18を有していた。
これに対して、振動子300では、図7に示すように、基部10から延出している支持腕310a,310bが、取付け部18を有している。
支持腕310a,310bは、基部10の基端部16から延出している。支持腕310aは、基端部16から+X軸方向に延びるとともに屈曲してさらに−Y軸方向に延びるように設けられている。支持腕310bは、基端部16から−X軸方向に延びるとともに屈曲してさらに−Y軸方向に延びるように設けられている。一対の支持腕310a,310bは、基部10および振動腕20a,20bの一部を間に挟むようにして対となっている。
一対の支持腕310a,310bには、それぞれ取付け部18が設けられている。取付け部18は、支持腕310a,310bの先端部に設けられている。なお、取付け部18は、支持腕310a,310bの先端部以外の場所に設けられていてもよい。
振動子300では、取付け部18が支持腕310a,310bに設けられているため、取付け部18と振動腕20a,20bとの間の振動の伝搬経路を長くすることができ、取付け部18において振動腕20a,20bの振動を十分に減衰させることができる。そのため、振動子300では、振動漏れを低減させることができる。また、振動子300では、上述した振動子100と同様の作用効果を奏することができる。
(3)第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る振動子について、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態の第3変形例に係る振動子400を模式的に示す平面図である。なお、図8では、便宜上、リッド124の図示を省略している。
上述した振動子100では、図1に示すように、基部10が取付け部18を有していた。また、振動子100では、貫通孔19の平面形状は、Y´軸に沿った長辺を有する長方形であった。
これに対して、振動子400では、図8に示すように、基部10から延出している支持腕410が取付け部18を有している。また、振動子400では、貫通孔19の平面形状は、X軸に沿った長辺を有する長方形である。
基部10は、+Y軸方向に向かうに従って幅(X軸方向の長さ)が連続的、あるいは断続的に漸減する縮幅部13を有している。これにより、振動漏れを低減させることができる。
支持腕410は、基部10から+Y軸方向に延出している第1部分412と、第1部分412の+Y軸方向の端部に接続され−X軸方向に延出している第2部分414と、から構成されている。すなわち、支持腕410は、平面視で略L字状に形成されている。支持腕410の第2部分414には、2つの取付け部18が設けられている。
振動子400では、貫通孔19の平面形状は、X軸に沿った長辺を有する長方形である。そのため、貫通孔19は、例えば、水晶基板101の外形をエッチングする工程で形成される。
振動子400では、振動片100に比べて、2つの固定される場所が互いに近接しているため、スプリアスモード(X軸方向における同相の屈曲振動モード)におけるパッケージへの固定負荷が弱くなるので、スプリアスモードの共振周波数は、メインモード(X軸方向における逆相の屈曲振動モード)の共振周波数に対して離れるように低下する。これにより、両モードの結合を低減することができるので、振動片400のメインモードにおける振動漏れを抑制することができる。また、振動子400では、上述した振動子100と同様の作用効果を奏することができる。
(4)第4変形例
次に、本実施形態の第4変形例に係る振動子について、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態の第4変形例に係る振動子500を模式的に示す平面図である。図10は、本実施形態の第4変形例に係る振動子500の取付け部18を模式的に示す断面図である。図11は、本実施形態の第4変形例に係る振動子500の取付け部18を模式的に示す平面図である。なお、図10は、図9のX−X線断面図である。また、図9では、便宜上、リッド124の図示を省略している。
上述した振動子100では、図1および図5に示すように、貫通孔19の平面形状は、長方形であった。
これに対して、振動子500では、図9〜図11に示すように、貫通孔19の平面形状は、略正多角形である。
貫通孔19の平面形状(開口部19a,19bの平面形状)は、図11に示す例では、6つの円弧状の稜辺により形成されている略正六角形であり、6つの稜辺のうちの対向する2つの稜辺4a,4bがX軸に沿って配置されている。
貫通孔19の内壁は、図11に示すように、複数の壁面Sからなり、これらの複数の壁面Sにより貫通孔19の内部の壁面が螺旋状に形成されている。また、貫通孔19は、図10に示すように、開口部19a,19bから括れ部19cに向かって漸次、貫通孔19の面積(Z´軸に平行な面における面積)が小さくなる。
貫通孔19は、例えば、水晶基板等の異方性のある結晶材料からなる基板に対して、貫通孔19をウエットエッチングで形成する際に、オーバーエッチングしないようにエッチング液の温度や濃度を設定するとともに、エッチング時間を制御することにより形成することができる。
なお、ここでは、貫通孔19の平面形状が略正六角形である例について説明したが、これに限定されず、略正五角形以上の略正多角形であればよく、例えば略正八角形、略正十角形等であってもよい。
振動子500では、貫通孔19が螺旋状に配置された複数の壁面Sによって構成されているため、外部からの応力を螺旋状に配置された複数の壁面Sに沿って徐々に弱めながら分散させることができる。さらに、貫通孔19の内壁に設けられた電極パッド30a,30bと接合部材130a,130bの接触面積を大きくすることができ、導電性を高めることができる。
また、振動子500では、上述した振動子100と同様の作用効果を奏することができる。
(5)第5変形例
次に、本実施形態の第5変形例に係る振動子について、図面を参照しながら説明する。図12は、本実施形態の第5変形例に係る振動子600を模式的に示す平面図である。図13は、本実施形態の第5変形例に係る振動子600の取付け部18を模式的に示す断面図である。なお、図13は、図12のXIII−XIII線断面図である。また、図12では、便宜上、リッド124の図示を省略している。
上述した振動子100では、図4および図5に示すように、接合部材130aは、取付け部18の第1主面18aと内部端子140aとの間の空間、および貫通孔19に跨って設けられていた。
これに対して、振動子600では、図12および図13に示すように、接合部材130aは、取付け部18の第1主面18aと内部端子140aとの間の空間、貫通孔19、および第2主面18b上に跨って設けられている。そのため、振動片110とベース122との接合強度をより向上させることができる。
また、接合部材130aは、取付け部18の第1主面18aと内部端子140aとの間の空間、2つの貫通孔19のうちの一方の貫通孔19−1、取付け部18の第2主面18b、および2つの貫通孔19のうちの他方の貫通孔19−2に跨って設けられている部分を有する。そのため、振動片110とベース122との接合強度をより向上させることができる。
なお、上記では、基部10の+X軸方向側に位置している取付け部18、電極パッド30a、および接合部材130aについて説明したが、基部10の−X軸方向側に位置している取付け部18、電極パッド30b、および接合部材130bも同様の構成でありその説明を省略する。
次に、振動子600における振動片110の取り付け方法の一例を説明する。まず、内部端子140a,140b上に、樹脂132、導電性フィラー134、金属材料136を含む導電性接着剤を塗布し、塗布された導電性接着剤上に振動片110の取付け部18を載置する。次に、取付け部18の第2主面18b側から、樹脂134を含む接着剤を塗布する。次に、導電性接着剤および第2主面18b側から塗布された接着剤を硬化させて接合部材130a,130bを形成する。これにより、振動片110をベース122に取り付ける(接合する)ことができる。上記のように、取付け部18の第2主面18b側から塗布される接着剤は、導電性を有していなくてもよい。すなわち、導電性フィラーを含んでいなくてもよい。
なお、あらかじめ振動片110の取付け部18の第2主面18bに上記接着剤を硬化させた後に、内部端子140a,140b上に塗布された導電性接着剤上に取付け部18を載置し、当該導電性接着剤を硬化させることで、振動片110をベース122に取り付けてもよい。この場合、あらかじめ第2主面18b側の接着剤が硬化しているため、電極パッド30a,30bとの界面に導電性フィラー134の密度が小さい部分(樹脂層)が形成され難く、導電性が低下するおそれを低減させることができる。
振動子600では、接合部材130a,130bは、取付け部18の第1主面18aと内部端子140a,140bとの間の空間、貫通孔19、および第2主面18b上に跨って設けられているため、振動片110とベース122との接合強度をより向上させることができる。
なお、図14に示すように、電極パッド30a(電極パッド30b)を括れ部19cよりも第2開口部19b側の内壁2,3まで設けてもよい。図14に示す例では、電極パッ
ド30aは、取付け部18の第1主面18a、貫通孔19の内壁2,3、および取付け部18の第2主面18bに跨って設けられている。この場合、取付け部18の第2主面18b側から塗布される接着剤は導電性フィラー134を含む導電性接着剤であってもよい。このような振動子では、振動片110とベース122との接合強度をより向上させることができるとともに、導電性をより向上させることができる。
(6)第6変形例
次に、本実施形態の第6変形例に係る振動子について説明する。上述した振動子100では、貫通孔19は、図4および図5に示すように、括れ部19cが取付け部18の厚さ方向において、第1開口部19aと第2開口部19bとの中間に位置していた。また、上述した振動子500では、貫通孔19は、図10および図11に示すように、貫通孔19が螺旋状に配置された複数の壁面Sによって構成されていた。本変形例に係る振動子では、貫通孔19はこれらの例に限定されず、様々な形態をとることができる。以下、本変形例に係る振動子の貫通孔19の変形例について図面を参照しながら説明する。
図15〜図19は、本変形例に係る振動子の貫通孔19の一例を模式的に示す断面図である。なお、図16〜図19では、便宜上、取付け部18および電極パッド30a以外の部材の図示を省略している。
図15に示す例では、貫通孔19の括れ部19cは、取付け部18の厚さ方向(Z´軸方向)において、貫通孔19の中間よりも第2開口部19b側に設けられている。すなわち、括れ部19cと第2開口部19bとの間の距離は、括れ部19cと第1開口部19aとの間の距離よりも小さい。
導電性フィラー134は括れ部19cを超えて第2開口部19b側に到達し難い。そのため、本変形例によれば、括れ部19cを貫通孔19の中間よりも第2開口部19b側に設けることで、導電性を向上させることができる。
なお、図示はしないが、貫通孔19の括れ部19cは、取付け部18の厚さ方向において、貫通孔19の中間よりも第1開口部19a側に設けられていてもよい。これにより、括れ部19cよりも第2開口部19b側の接合部材130a,130bの量を増やすことで引っ掛かりを強くすることができ、振動片110とベース122との接合強度を向上させることができる。
図16に示す例では、貫通孔19の第1開口部19aの幅(X軸方向の長さ)と、第2開口部19bの幅が異なっている。図示の例では、第1開口部19aの幅が第2開口部19bの幅よりも小さい。また、貫通孔19では、開口部19a,19bから括れ部19cに向かって内壁2,3はX軸に対して垂直である。すなわち、内壁2,3は、開口部19a,19bから括れ部19cまで平行でありこの間では貫通孔19の幅が一定である。また、括れ部19cでは、内壁2,3はX軸に対して垂直である。すなわち、内壁2,3は、括れ部19cにおいて平行であり幅が一定である。
図17に示す例では、貫通孔19は、第1開口部19aから括れ部19cに向かって徐々に幅が減少し、括れ部19cと第2開口部19bとの間は一定の幅を有している。
図18に示す例では、貫通孔19の内壁2が内壁3に向かって突出し、内壁3は内壁2に向かって突出している。また、内壁2の頂点(最も内壁3に向かって突出している部分)と、内壁3の頂点(最も内壁3に向かって突出している部分)とは、取付け部18の厚さ方向において、ずれている。図示の例では、内壁2の頂点が内壁3の頂点よりも第1開口部19a側に位置している。括れ部19cは、取付け部18の厚さ方向において、内壁
2の頂点と内壁3の頂点との間の領域である。
図19に示す例では、貫通孔19の内壁2のみが内壁3に向かって突出して括れ部19cを形成している。内壁3は、X軸に対して垂直である。
(7)第7変形例
次に、本実施形態の第7変形例に係る振動片について、図面を参照しながら説明する。図20は、本実施形態の第7変形例に係る振動子700を模式的に示す断面図であって、振動子100を模式的に示す図3と同じ断面を示している。
上述した振動子100では、図3に示すように、振動腕20a,20bの主面22a,22bには、各々1つの溝部23が設けられていた。これに対し、振動子700では、図20に示すように、主面22a,22bには、各々2つの溝部23が設けられている。主面22a,22bの各々に設けられた2つの溝部23は、X軸に沿って並んで設けられている。なお、図示はしないが、主面22a,22bの各々には、3つ以上の溝部23が設けられていてもよい。このような溝部23の構成においても、熱弾性損失を低減させることができる。
3. 発振器
次に、本実施形態に係る発振器について、図面を参照しながら説明する。図21は、本実施形態に係る発振器1000を模式的に示す断面図である。以下、本実施形態に係る発振器1000において、上述した振動子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
発振器1000は、本発明に係る振動子を備えている。以下では、本発明に係る振動子として、振動子100を備えている発振器1000について説明する。発振器1000は、図21に示すように、振動子100と、ICチップ1010と、を備えている。
ベース122の主面123aには、凹状に形成された収容部1012が設けられている。ICチップ1010は、収容部1012に収容されている。ICチップ1010は、発振回路を内蔵している。ICチップ1010は、収容部1012の底面に、図示しない接着剤などによって固定されている。
ICチップ1010は、金やアルミニウムなどのワイヤー1014によって、収容部1012の底面に設けられた内部接続端子1016a,1016bと接続されている。内部接続端子1016a,1016bは、例えば、タングステン、モリブデンなどのメタライズ層に、ニッケル、金などの被膜がめっきなどにより積層された金属被膜である。内部接続端子1016a,1016bは、図示しない内部配線を介して、電極端子142a,142bや内部端子140a,140bに接続されている。すなわち、ICチップ(発振回路)1010は、振動片110と電気的に接続されている。
なお、図示はしないが、ICチップ1010と内部接続端子1016a,1016bとの接続には、ワイヤー1014を用いたワイヤーボンディングによる接続方向以外に、ICチップ1010を反転させてフリップチップ実装による接続方法などを用いてもよい。また、ICチップ1010は、ベース122の外底面123bに設けられた凹部内に実装され、モールド材により封止されていてもよい。
発振器1000では、ICチップ1010から内部接続端子1016a,1016b、内部端子140a,140bなどを介して印加される駆動信号によって、振動片110が屈曲振動を励振されて所定の周波数で共振(発振)する。そして、発振器1000は、こ
の発振に伴って生じる発振信号をICチップ1010、電極端子142a,142bなどを介して外部に出力する。
発振器1000では、振動子100を備えているため、耐衝撃性を向上させることができる。
4. リアルタイムクロック
次に、本実施形態に係るリアルタイムクロックについて、図面を参照しながら説明する。図22は、本実施形態に係るリアルタイムクロック1100の機能ブロック図である。
リアルタイムクロック1100は、本発明に係る発振器を備えている。以下では、本発明に係る発振器として、発振器1000を備えているリアルタイムクロック1100について説明する。リアルタイムクロック1100は、図22に示すように、発振器1000と、計時回路1110と、イベント検出回路1120と、メモリー1130と、制御回路1140と、を備えている。
発振器1000は、振動子100と、振動子100と電気的に接続されている発振回路(ICチップ)1010と、を有しており、振動子100は、発振回路1010を介して電気信号が入力されることにより所定の周波数で振動する。そして、発振回路1010は、振動子100から出力された信号を増幅して出力する。
計時回路1110には、発振器1000が接続されており、発振器1000から出力された信号を分周して1[Hz]の周波数を得ると、この1[Hz]の信号を利用して年、月、日、時、分、および秒の計時を各計時レジスタ(図示せず)で行っている。すなわち、計時回路1110は、発振器1000の発振回路1010から出力される信号に基づいて、日時データを生成する。このような計時回路1110を持つことにより、時刻データを得ることができ、イベントが生じた際(イベント検出周期毎)の日時等をメモリー1130に記録することが可能となる。なお計時回路1110は設定により、上記年、月、日、時、分、および秒の他に、曜日についてのデータも記憶させるようにすることができる。
イベント検出回路1120は、リアルタイムクロック1100の外部端子であるイベント入力端子1122に接続されている。イベント検出回路1120は、イベント入力端子1122に対してイベントが発生した旨の電気信号が入力されると、イベント発生フラグを立てるように構成されている。このように、イベントの発生をフラグにより示すことで、当該フラグに基づいてイベントの有無を判断することができる。
メモリー1130は、上述した時刻データやイベント発生に関するデータを記録する記憶手段である。
制御回路1140には、上述した計時回路1110、イベント検出回路1120、メモリー1130、および外部端子としての割り込み出力端子1142が接続されている。制御回路1140は、イベント検出回路1120から入力されたフラグ情報に基づいて、フラグが立てられている事を検出した時刻データを計時回路1110から読み出すことが可能に構成されている。
なお、割り込み出力端子1142は、任意のイベント入力の発生時に、時刻データやイベント発生に関するデータの記録と同時に、CPUに対して信号を割り込み出力させる役割を担う。
リアルタイムクロック1100では、振動子100を備えているため、耐衝撃性を向上
させることができる。
5. 電子機器
次に、本実施形態に係る電子機器について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子機器は、本発明に係る振動子を備える。以下では、本発明に係る振動子として、振動子100を備える電子機器について、説明する。
図23は、本実施形態に係る電子機器として、スマートフォン1300を模式的に示す平面図である。スマートフォン1300は、図23に示すように、振動子100を有する発振器1000を備えている。
スマートフォン1300は、発振器1000を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用いる。スマートフォン1300は、さらに、表示部(液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)1310、操作部1320、および音出力部1330(マイクロフォン等)を有することができる。スマートフォン1300は、表示部1310に対する接触検出機構を設けることで表示部1310を操作部として兼用してもよい。
なお、スマートフォン1300に代表される電子機器は、振動子100を駆動する発振回路と、振動子100の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路と、を備えていることが好ましい。
これによれば、スマートフォン1300に代表される電子機器は、振動子100を駆動する発振回路と共に、振動子100の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることから、発振回路が発振する共振周波数を温度補償することができ、温度特性に優れた電子機器を提供することができる。
図24は、本実施形態に係る電子機器として、モバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1400を模式的に示す斜視図である。パーソナルコンピューター1400は、図24に示すように、キーボード1402を備えた本体部1404と、表示部1405を備えた表示ユニット1406と、により構成され、表示ユニット1406は、本体部1404に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1400には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子100が内蔵されている。
図25は、本実施形態に係る電子機器として、携帯電話機(PHSも含む)1500を模式的に示す斜視図である。携帯電話機1500は、複数の操作ボタン1502、受話口1504および送話口1506を備え、操作ボタン1502と受話口1504との間には、表示部1508が配置されている。このような携帯電話機1500には、フィルター、共振器等として機能する振動子100が内蔵されている。
図26は、本実施形態に係る電子機器として、デジタルスチルカメラ1600を模式的に示す斜視図である。なお、図26には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチルカメラ1600は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチルカメラ1600におけるケース(ボディー)1602の背面には、表示部1603が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、
表示部1603は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1602の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1604が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1606を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1608に転送・格納される。また、デジタルスチルカメラ1600においては、ケース1602の側面に、ビデオ信号出力端子1612と、データ通信用の入出力端子1614とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1612にはテレビモニター1630が、データ通信用の入出力端子1614にはパーソナルコンピューター1640が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1608に格納された撮像信号が、テレビモニター1630や、パーソナルコンピューター1640に出力される構成になっている。このようなデジタルスチルカメラ1600には、フィルター、共振器等として機能する振動子100が内蔵されている。
電子機器1300,1400,1500,1600は、振動子100を備えているため、耐衝撃性を向上させることができる。
なお、本発明の振動子を備えている電子機器は、上記の例に限定されず、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
6. 移動体
次に、本実施形態に係る移動体について、図面を参照しながら説明する。図27は、本実施形態に係る移動体1700として、自動車を模式的に示す斜視図である。
本実施形態に係る移動体は、本発明に係る振動子を備えている。以下では、本発明に係る振動子として、振動子100を備えている移動体について、説明する。
本実施形態に係る移動体1700は、さらに、エンジンシステム、ブレーキシステム、キーレスエントリーシステム等の各種の制御を行うコントローラー1720、コントローラー1730、コントローラー1740、バッテリー1750、およびバックアップ用バッテリー1760を含んで構成されている。なお、本実施形態に係る移動体1700は、図27に示される構成要素(各部)の一部を省略または変更してもよいし、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
このような移動体1700としては種々の移動体が考えられ、例えば、自動車(電気自動車も含む)、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
移動体1700は、振動子100を備えているため、耐衝撃性を向上させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上記の各実施形態および各変形例では、振動片110は、一対の振動腕20a,20bを有する音叉型の振動片である例について説明したが、本発明に係る振動子では振動片は音叉型の振動片に限定されず、例えば厚みすべり振動モードで振動する振動片であってもよい。また、本発明に係る振動子では、振動片は、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子であってもよい。
また、上記の各実施形態および各変形例では、接合部材130a,130bは導電性であり、接合部材130a,130bがベース122と振動片110とを電気的、機械的に接合している例について説明したが、本発明に係る振動子では接合部材は絶縁性であってもよい。すなわち、接合部材はベースと振動片とを機械的に接合していればよく、電気的な接続は例えばワイヤーボンディング等で行ってもよい。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。