以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 振動片
まず、本実施形態に係る振動片について、図面を参照しながら説明する。図1および図2は、本実施形態に係る振動片100を模式的に示す平面図である。図3は、本実施形態に係る振動片100を模式的に示す図1のIII−III線断面図である。
なお、図1〜図3および以下に示す図4〜図13では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y´軸、およびZ´軸を図示している。ここで、水晶の結晶軸である、電気軸をX軸、機械軸をY軸、光学軸をZ軸とし、X軸を回転軸としたとき、Y´軸は、Y軸を、+Y側をZ軸の+側に傾けるように回転させてなる軸であり、Z´軸は、Z軸を、+Z側をY軸の−側に傾けるように回転させてなる軸である。なお、温度変化による共振周波数変化を小さくする観点から、前記回転させる傾きは−5度以上15度以下の範囲で行われる。
振動片100は、図1〜図3に示すように、Z´軸と直交する主面(互いに表裏の関係にある主面)101a,101bを有する水晶基板(圧電基板)101を含む。なお、図1は、振動片100を主面101a側から見た図であって、振動片100の主面101a側の構成を説明するための図である。図2は、振動片100を主面101a側から透かして見た図であって、振動片100の主面101b側の構成を説明するための図である。
振動片100は、図1〜図3に示すように、基部10と、一対の振動腕20a,20bと、支持腕30と、励振電極40a,40bと、引出電極50a,50bと、電極パッド60a,60bと、を含む。基部10、振動腕20a,20b、および支持腕30は、水晶基板101を構成している。
基部10は、略平板状の形状を有している。基部10のY´軸方向に沿う長さは、例えば、50μm以上300μm以下である。
振動腕20a,20bは、互いに並んで、基部10から−Y´軸方向に延出している。図示の例では、支持腕30の+X軸方向側に第1振動腕20aが設けられ、支持腕30の−X軸方向側に第2振動腕20bが設けられている。振動腕20a,20bは、基部10に接続された腕部22と、腕部22に接続された錘部24と、を有している。
振動腕20a,20bの腕部22の主面101a,101bには、有底の溝部23が設けられている。溝部23は、平面視で(Z´軸方向からみて)、Y´軸に沿って延出している。図示の例では、溝部23の先端は、腕部22と錘部24との境に位置し、溝部23の基端は、基部10と腕部22との境界に位置している。腕部22は、図3に示すように、略H字状の断面形状を有している。溝部23と、振動腕20a,20bの側面22a,22b(内側面22a,外側面22b)と、の間の距離Wは、6μm以下であることが好ましい。さらに、溝部23の最大の深さをt、振動腕20a,20bの厚さ(Z´軸方向に沿う長さ)をTとしたとき、2t/Tで表されるηが0.6以上であることが好ましい。これにより、振動片100の等価直列抵抗、CI(Crystal Impedance)値を小さくすることができ、低消費電力化を図ることができる。図3に示す例では、側面22a,22bは、主面101a,101bに対して傾斜しているが、垂直であってもよい。
なお、溝部23のY´軸に沿った長さは特に限定されない。例えば、溝部23は、錘部24にも設けられていてもよいし、基部10にも設けられていてもよい。
振動腕20a,20bの錘部24は、図1および図2に示すように、略平板状の形状を有している。図示の例では、錘部24のX軸方向に沿う幅W1は、腕部22のX軸方向に沿う幅W2よりも大きい。幅W1に対する幅W2の比(W1/W2)は、2以上10以下であり、好ましくは5以上7以下である。これにより、熱弾性損失(屈曲振動する振動片の圧縮部と伸張部との間で発生する熱伝導により生じる振動エネルギーの損失)を低減させつつ、錘部24が捻じれることによる振動漏れを抑制することができる。
振動腕20a,20bの錘部24の幅W1は、例えば、100μm以上400μm以下である。錘部24のY´軸に沿う長さは、例えば、50μm以上600μm以下である。第1振動腕20aの錘部24と第2振動腕20bの錘部24との間の距離は、例えば、20μm以上200μm以下である。腕部22の幅W2は、例えば、20μm以上150μm以下である。錘部24のY´軸に沿う長さは、例えば、300μm以上1000μm以下である。
なお、本発明に係る錘部は、腕部よりも単位長さ当たりの質量が大きければ、その形状は特に限定されない。例えば、錘部は、腕部の幅と同じ大きさの幅を有しており、腕部よりも厚い形状であってもよい。また、錘部は、錘部に該当する振動腕の表面や、凹部を形成してそこに金などの金属を設けることによって構成されていてもよい。さらに、錘部は、腕部よりも質量密度の高い物質から構成されていてもよい。すなわち、腕部と錘部における単位長さ(Y´軸方向長さ)当たりの質量を夫々Ma、Mbとした場合、総ての腕部、あるいは総ての錘部においてMa<Mbの関係を満たしていればよい。
支持腕30は、一対の振動腕20a,20bの間に設けられている。支持腕30は、基部10の−Y´軸方向側の(平面視で−Y´軸方向を向く)側面10aから−Y´軸方向(第1方向)に延出している。すなわち、支持腕30は、基部10から振動腕20a,20bと同じ方向に延出している。支持腕30のY´軸に沿った長さは、振動腕20a,20bのY´軸に沿った長さよりも小さい。支持腕30の先端は、平面視で、振動腕20a,20bの先端よりも基部10側に位置している。図示の例では、第1振動腕20aの錘部24と、第2振動腕20bの錘部24と、の間には、支持腕30は設けられていない。
支持腕30と錘部24との間の距離Lgは、例えば、振動腕20a,20bの厚さをT(μm)としたとき、例えば、T×50/130≦Lg≦200μmの関係を満たし、好ましくは、T×70/130≦Lg≦100μmの関係を満たす。距離LgがT×50/130より小さいと、第2電極パッド60bに設けられた導電性接合部材(図示せず)と錘部24に設けられている励振電極40a,40bが接触してしまう場合がある。さらに、平面視でY´軸と直交する面は主面101a,101bに対して傾斜しているため、距離LgがT×50/130より小さいと、ウェットエッチングによって振動腕20a,20bおよび支持腕30の外形を形成する際に、錘部24と支持腕30とがつながってしまう場合がある。距離Lgが200μmより大きいと、振動片の小型化を図ることが困難な場合がある。
支持腕30と腕部22との間の距離は、例えば、10μm以上200μm以下であり、好ましくは、50μm以上100μm以下である。支持腕30と腕部22との間の距離が10μmより小さいと、電極パッド60a,60bに設けられた導電性接合部材(図示せず)が腕部22に接触し腕部22の振動が阻害される場合がある。特に、導電性接合部材として樹脂バンプを用いる場合は、支持腕30と腕部22との間の距離は、50μm以上であることが好ましい。支持腕30と腕部22との間の距離が200μmより大きいと、振動片の小型化を図ることが困難な場合がある。
支持腕30は、例えば、基部10に接続されている括れ部32と、括れ部32に接続されている幅広部34と、を有している。括れ部32は、基部10と幅広部34との間に設けられ、幅広部34のX軸に沿う幅より小さい幅を有する部分である。括れ部32によって、振動片100では、X軸方向における同相の屈曲振動モード(一対の振動腕が同時に+X軸方向に変位し、次に−X軸方向に変位することを順次繰り返す屈曲振動モード)の共振周波数と、X軸方向における逆相の屈曲振動モード(一対の振動腕の一方が+X軸方向に変位し、他方が−X軸方向に変位し、次に一方が−X軸方向に変位し、他方が+X軸方向に変位することを順次繰り返す屈曲振動モード)の共振周波数と、を離すことができる。これにより、同相の屈曲振動モードと逆相の屈曲振動モードとの結合を抑制して、逆相の屈曲振動モードの振動姿態に同相の屈曲振動モードの振動姿態が混在することを低減することができ、振動漏れを低減することができる。
なお、電極パッド60a,60bに設けられる導電性接合部材のヤング率が小さい場合等には支持腕30に括れ部32を設けないことも可能であるが、導電性接合部材のヤング率が1GPa以上である場合、すなわち例えば導電性接合部材が金からなる金属バンプ(金のヤング率は80GPa)である場合等には、支持腕30に括れ部32が設けられていることが好ましい。導電性接合部材のヤング率が1GPa以上である場合、上述した同相の屈曲振動モードと逆相の屈曲振動モードとの結合が強いためである。また、導電性接合部材のヤング率は300GPa以下であることが好ましい。導電性接合部材のヤング率が300GPaより大きい場合、落下等により振動片に衝撃が加わった際に振動片に大きな応力が加わってしまうためである。
支持腕30の幅広部34は、例えば、平面視において、矩形形である。幅広部34は、−X軸方向側の側面(平面視で−X軸方向を向く面)34aと、+X軸方向側の側面(平面視で+X軸方向を向く面)34bと、を有している。図3に示す例では、側面34a,34bは、主面101a,101bに対して傾斜しているが、垂直であってもよい。支持腕30の幅広部34のY´軸に沿う長さは、例えば、100μm以上900μm以下である。幅広部34の幅(X軸に沿う幅)は、例えば、30μm以上300μm以下である。
振動片100の基部10、振動腕20a,20b、および支持腕30(以下、「振動腕20a,20b等ともいう」)は、一体的に設けられている。具体的には、振動腕20a,20b等は、水晶の原石(ランバード)から所定の角度で切り出された(例えば、水晶のZ軸(光軸)を厚さ方向とするZ板を、X軸(電気軸)に関して0度から15度の範囲で回転させたものなど)1枚の水晶ウェハーに、フォトリソグラフィーやエッチングなどの技術を用いて形成される。
なお、振動腕20a,20b等は、水晶ウェハーに限定されず、例えば、窒化アルミニウム(AlN)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)などの酸化物基板や、ガラス基板上に窒化アルミニウムや五酸化タンタル(Ta2O5)などの圧電体材料を積層させて構成された積層圧電体基板、あるいは圧電セラミックス基板から形成されてもよい。また、シリコン半導体材料などを用いて、振動腕20a,20b等を形成してもよい。
第1励振電極40aおよび第2励振電極40bは、図1および図2に示すように、振動腕20a,20bに設けられている。具体的には、第1励振電極40aは、第1振動腕20aの側面22a,22b、第1振動腕20aの錘部24、および第2振動腕20bの主面101a,101bに設けられた溝部23内に設けられている。第2励振電極40bは、第1振動腕20aの主面101a,101bに設けられた溝部23、第2振動腕20bの側面22a,22b、および第2振動腕20bの錘部24に設けられている。
なお、図1および図2では、第1励振電極40a、第1引出電極50a、および第1電極パッド60aを斜線で示し、第2励振電極40b、第2引出電極50b、および第2電極パッド60bを横線で示している。また、図1および図2では、基部10、振動腕20a,20b、および支持腕30の側面に設けられている励振電極40a,40b、引出電極50a,50b、第2電極パッド60bを、太線で示している。
第1引出電極50aおよび第2引出電極50bは、基部10および支持腕30に設けられている。第1引出電極50aは、第1振動腕20aに設けられた第1励振電極40aと、第2振動腕20bに設けられた第1励振電極40aと、を接続している。さらに、第1引出電極50aは、第1励振電極40aと第1電極パッド60aとを接続している。第2引出電極50bは、第1振動腕20aに設けられた第2励振電極40bと、第2振動腕20bに設けられた第2励振電極40bと、を接続している。さらに、第2引出電極50bは、第2励振電極40bと第2電極パッド60bとを接続している。
支持腕30において、第1引出電極50aは第1主面101a側に設けられ、第2引出電極50bは第2主面101b側に設けられている。支持腕30において、第1引出電極50aおよび第2引出電極50bは、支持腕30の延出方向に(Y´軸に沿って)直線状に設けられている。
第1電極パッド60aおよび第2電極パッド60bは、図1に示すように、支持腕30の第1主面101aに設けられている。図示はしないが電極パッド60a,60bが設けられている第1主面101aの表面には少なくとも1つの非貫通孔(凹部)が形成されていてもよい。これにより、導電性接合部材との接着面積を大きくすることができ、接合強度を向上させることができる。また、導電性接合部材が導電性フィラーを有している場合、環境温度の上昇に伴う導電性接合部材の熱膨張によって電極パッド60a,60bに電気的に接続されている導電性フィラーの数を所定の数以上に維持することができるため、環境温度が上昇しても振動片の電気抵抗が増大するおそれを低減することができる。
第1電極パッド60aおよび第2電極パッド60bは、Y´軸に沿って並んでいる。第1電極パッド60aは、第2電極パッド60bよりも支持腕30の基端部(基部10側)に位置し、第2電極パッド60bは、第1電極パッド60aよりも支持腕30の先端側に位置している。第1電極パッド60aは、第1引出電極50aを介して、第1励振電極40aと電気的に接続されている。第2電極パッド60bは、第2引出電極50bを介して、第2励振電極40bと電気的に接続されている。第1電極パッド60aと第2電極パッド60bには、印加電位が互いに異なる駆動信号が外部から印加される。
第1電極パッド60aと第2電極パッド60bとの間の距離は、例えば、5μm以上400μm以下である。第1電極パッド60aと第2電極パッド60bとの間の距離が5μmより小さい場合、各電極パッド60a,60bに設けられる導電性接合部材(図示せず)が電極パッド60a,60b間に跨り、第1電極パッド60aと第2電極パッド60bとが電気的に短絡してしまうおそれが大きい。また、第1電極パッド60aと第2電極パッド60bとの間の距離が400μmより大きい場合、振動片の小型化を図ることが困難な場合がある。なお、ここでは、電極パッド60a,60b間の距離について説明したが、例えば支持腕の同一主面に電極パッドと引出電極とが設けられている場合には、電極パッドと引出電極との間の距離についても同様である。
図4は、本実施形態に係る振動片100の支持腕30の一部を模式的に示す平面図である。
第1電極パッド60aには、切欠き部62が設けられている。第1電極パッド60aは、平面視で、矩形が切欠き部62によって切り取られた形状を有している。切欠き部62は、平面視で、第1電極パッド60aの外縁を構成している−Y´軸方向側の辺に設けられている。切欠き部62の平面形状は、例えば、Y´軸に沿った長辺を有する長方形である。
なお、切欠き部62は平面視で第2引出電極50bと重なっていればその位置や形状は限定されない。例えば、図示はしないが、切欠き部62は、平面視で第1電極パッド60aの外縁を構成しているその他の辺に設けられていてもよい。また、切欠き部62の平面形状は、例えば、半円状、三角形状等であってもよい。
第1電極パッド60aは、平面視で、X軸に沿って延びる第1延出部64aと、第1延出部64aの+X軸方向側の端部から−Y´軸に沿って延びる第2延出部64bと、第1延出部64aの−X軸方向側の端部から−Y´軸に沿って延びる第3延出部64cと、を有している。第1延出部64aは、第1引出電極50aに接続されている。第2延出部64bと第3延出部64cとの間に切欠き部62が位置している。すなわち,切欠き部62は、第2延出部64bと第3延出部64cとに挟まれている。第1電極パッド60aは、例えば、平面視で、支持腕30(幅広部34)の、−Y´軸方向(支持腕30の延出方向)に延びる仮想中心線C30に関して対称な形状を有している。支持腕30の仮想中心線C30は、平面視で支持腕30の中心を通る仮想直線であって、支持腕30の延出方向に延びる仮想直線である。
延出部64b,64cのX軸に沿う幅W3は、例えば、5μm以上50μm以下である。切欠き部62のX軸に沿う幅W4は、例えば、3μm以上40μm以下である。第1延出部64aのY´軸に沿う幅W5は、例えば、5μm以上50μm以下である。第1電極パッド60aのY´軸に沿う長さ(切欠き部62が設けられていない部分)Lは、例えば、70μm以上200μm以下である。
支持腕30は、平面視で、第1電極パッド60aの−Y´軸方向の第1端部65aを通り支持腕30の延出方向と直交する方向に延びる仮想直線D1と、第1電極パッド60aの第1端部65aとは反対側の第2端部65bを通り支持腕30の延出方向と直交する方向に延びる仮想直線D2と、の間に領域Pを有している。仮想直線D1および仮想直線D2は、図示の例ではX軸に沿って延びる仮想直線である。
支持腕30の領域Pでは、第1引出電極50aは主面101a側に設けられており、第2引出電極50bは主面101b側に設けられている。また、支持腕30の領域Pにおいて、第2引出電極50bの少なくとも一部は第1電極パッド60aと重なっていない。図示の例では、支持腕30の領域Pにおいて、第2引出電極50bの一部が平面視で切欠き部62と重なっていることにより、第2引出電極50bの一部が平面視で第1電極パッド60aと重なっていない。
支持腕30の領域Pにおいて、第2引出電極50bは、平面視で支持腕30の仮想中心線C30上に設けられている。また、同様に、支持腕30の領域Pにおいて、切欠き部62は、平面視で支持腕30の仮想中心線C30上に設けられている。そのため、支持腕30の領域Pにおいて、第2引出電極50bは、平面視で切欠き部62と重なっている。
第2電極パッド60bの平面形状は、例えば、矩形である。なお、第2電極パッド60bの平面形状は特に限定されない。第2電極パッド60bのX軸方向に沿う幅は、例えば、30μm以上300μm以下である。
励振電極40a,40b、引出電極50a,50b、および電極パッド60a,60bとしては、例えば、クロムやニッケルを下地層とし、該下地層の上に金や銀などの金属層を積層したものを用いる。
次に、振動片100の動作について説明する。
振動片100には、外部から電極パッド60a,60bを介して励振電極40a,40bに印加される駆動信号(交番電圧)により電界が生じる。そして、水晶の逆圧電効果によって、振動腕20a,20bの根元部を支点として図1および図2に示す矢印A方向(振動腕20a,20bが互いに離れる方向)と矢印B方向(振動腕20a,20bが互いに近づく方向)とに交互に撓むように変位する屈曲振動が発生する(X軸方向において逆相の屈曲振動モードで振動腕20a,20bが振動する)。
なお、本発明に係る振動片の振動(駆動)方式は、圧電駆動に限定されない。例えば、本発明に係る振動片は、圧電基板を用いた圧電駆動型のもの以外に、静電気力を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動片であってもよい。
振動片100は、例えば、以下の特徴を有する。
振動片100では、支持腕30の領域Pにおいて、第2引出電極50bの少なくとも一部は、平面視で、第1電極パッド60aと重ならない。そのため、振動片100では、例えば支持腕の領域Pにおいて第2引出電極の全部が第1電極パッドと重なる場合と比べて、水晶基板101を挟んで第2引出電極50bと第1電極パッド60aとが重なる領域を小さくすることができる。これにより、第2引出電極50bと第1電極パッド60aとの間が誘電体であることに起因して発生する分の静電容量を低減することができ、振動片の静電容量C0を低減することができる。したがって、振動片100では、実効抵抗Reを低減することができ、振動片が発振器として動作する際の消費電力を低減することができる。また、発振余裕度が低下することを抑制することができる。
振動片100では、第2引出電極50bと第1電極パッド60aとが平面視で重なる面積をA1、第1電極パッド60aの面積をA2とした場合、A1とA2との比(A1/A2)は、0%≦A1/A2≦50%の関係を満たし、好ましくは0%≦A1/A2≦10%の関係を満たす。これにより、振動片の静電容量C0の増大を抑制することができる。特に、振動子の薄型化が求められ、振動片100の厚さ(Z´軸方向の長さ)が70μm以下となる場合に、振動片の静電容量C0の増大を抑制する効果は大きく、振動片100の厚さが50μm以下となる場合に、振動片の静電容量C0の増大を抑制する効果はさらに大きい。
振動片100では、第1電極パッド60aには切欠き部62が設けられ、支持腕30の領域Pにおいて、平面視で、第2引出電極50bの少なくとも一部は、切欠き部62と重なっている。そのため、振動片100では、第2引出電極50bは第1電極パッド60aと少なくとも一部が重ならない。したがって、上述のように振動片の静電容量C0を低減することができる。
このように振動片100では、切欠き部62を設けることによって第2引出電極50bが第1電極パッド60aと重ならないようにしているため、例えば、図2に示すように、支持腕30において第2引出電極50bをY´軸に沿った直線状に設けることができる。これにより、例えば支持腕30において第2引出電極が屈曲している部分を有する場合と比べて、支持腕30における第2引出電極50bの全長を短くすることができ、電気抵抗を低減することができる。
振動片100では、腕部22に接続された錘部24を有している。そのため、逆相の屈曲振動モードの共振周波数を高くすることなく、腕部22の幅(X軸方向の長さ)を広くすることができるので、屈曲振動時の屈曲変形に起因して発生する、腕部22における幅方向の熱伝導の経路を長くすることができる。したがって、振動片100では、断熱的領域において熱弾性損失を低減することができる。
振動片100では、振動腕20a,20bには、溝部23が設けられている。そのため、振動片100では、屈曲振動によって発生する熱の経路が狭められるため、熱が拡散(熱伝導)することを抑制することができる。これにより、振動片100では、断熱的領域において熱弾性損失を低減することができる。
2. 振動片の変形例
次に、本実施形態に係る振動片の変形例について説明する。以下、本実施形態の各変形例に係る振動片において、本実施形態に係る振動片100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を伏し、その詳細な説明を省略する。
(1)第1変形例
まず、本実施形態の第1変形例に係る振動片について、図面を参照しながら説明する。図5および図6は、本実施形態の第1変形例に係る振動片200を模式的に示す平面図である。図7は、本実施形態の第1変形例に係る振動片200の支持腕30の一部を模式的に示す平面図である。なお、図5は、振動片200を主面101a側から見た図であり、図6は、振動片200を主面101a側から透かして見た図である。
上述した振動片100では、図1〜図4に示すように、平面視で第2引出電極50bの一部が切欠き部62と重なることにより、支持腕30の領域Pにおいて第2引出電極50bの一部が第1電極パッド60aと重なっていなかった。
これに対して、振動片200では、図5〜図7に示すように、平面視で、第1電極パッド60aの中心Oは、支持腕30の仮想中心線C30の一方側(+X軸方向側)に位置し、領域Pにおいて、第2引出電極50bは、支持腕30の仮想中心線C30の他方側(−X軸方向側)に位置している。これにより、第2引出電極50bの少なくとも一部は、第1電極パッド60aと重なっていない。言い換えると、支持腕30の領域Pにおいて、第1電極パッド60aの−X軸方向側に非電極領域(第1電極パッド60aが設けられていない領域)Qが設けられており、第2引出電極50bは、平面視で非電極領域Qに重なっている。
第2引出電極50bは、括れ部32から非電極領域Qと重なる領域を通って支持腕30の先端側の第2電極パッド60bに接続される。第2引出電極50bは、括れ部32と非電極領域Qとの間において、平面視で第1電極パッド60aと重なる領域を避けるように屈曲している。
振動片200では、上述したように第2引出電極50bの少なくとも一部が第1電極パッド60aと重なっていない。したがって、振動片200では、上述した振動片100と同様に、第2引出電極50bと第1電極パッド60aとの間の静電容量を低減することができ、振動片の静電容量C0を低減することができる。
(2)第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る振動片について、図面を参照しながら説明する。図8および図9は、本実施形態の第2変形例に係る振動片300を模式的に示す平面図である。図10は、本実施形態の第2変形例に係る振動片300の支持腕30の一部を模式的に示す平面図である。なお、図8は、振動片300を主面101a側から見た図であり、図9は、振動片300を主面101a側から透かして見た図である。
上述した振動片100では、支持腕30の括れ部32において、第2引出電極50bは、平面視で、第1引出電極50aと重なっていた。
これに対して、振動片300では、図8〜図10に示すように、支持腕30の括れ部32において、第2引出電極50bの少なくとも一部は、平面視で、第1引出電極50aと重なっていない。図示の例では、括れ部32において、第2引出電極50bの全部が、平面視で、第1引出電極50aと重なっていない。
振動片300では、例えば、括れ部32のX軸方向の幅を大きくすることにより、第2引出電極50bが平面視で第1引出電極50aと重ならないようにしている。第2引出電極50bが平面視で第1引出電極50aと重ならないことにより、第2引出電極50bと第1引出電極50aとの間の静電容量を低減することができる。
括れ部32には、平面視で、+X軸方向側の辺にのみ切り込み部33が設けられ、−X軸方向側の辺には切り込み部が設けられていない。そのため、括れ部32はY´軸に平行な軸に関して非対称な形状を有している。また、括れ部32のY´軸方向に延びる仮想中心線C32は、平面視で、支持腕30の仮想中心線C30の−X軸方向側、すなわち、第1電極パッド60aの中心Oとは反対側に位置している。すなわち、括れ部32は非電極領域Q側に設けられている。したがって、例えば、支持腕30の根元と第2電極パッド60bとの間において、第2引出電極50bを直線状に設けることができる。これにより、第2引出電極50bが屈曲している場合と比べて、振動片の電気抵抗を低減することができる。なお、括れ部32の仮想中心線C32は、平面視で括れ部32の中心を通る仮想直線であって、支持腕30の延出方向に延びる仮想直線である。
振動片300では、括れ部32は非対称であるが上述した括れ部32としての効果(振動漏れの低減)を有している。
なお、図示はしないが、電極パッド60a,60bに設けられた導電性接合部材が導電性樹脂であり、そのヤング率が0.05GPa以上1GPa以下、特に0.05GPa以上0.5GPa以下の場合には、支持腕30は括れ部32を有していなくてもよい。導電性接合部材のヤング率が上記の範囲である場合には、同相の屈曲振動モードと逆相の屈曲振動モードとの結合が弱く、括れ部がない場合でも振動漏れが小さいためである。なお、導電性接合部材のヤング率が0.05GPaよりも小さい場合、落下等により振動片に衝撃が加わった際に振動片がパッケージに接触してしまうおそれがある。このように支持腕30に括れ部32を設けないことにより、引出電極50a,50bのX軸に沿った幅を大きくすることができ、振動片の電気抵抗をより低減することができると共に、括れ部32の形状に起因した応力集中がなくなるので耐衝撃性も向上する。
(3)第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る振動片について、図面を参照しながら説明する。図11および図12は、本実施形態の第3変形例に係る振動片400を模式的に示す平面図である。なお、図11は、振動片400を主面101a側から見た図であり、図12は、振動片400を主面101a側から透かして見た図である。
振動片400では、図11および図12に示すように、平面視で、第1電極パッド60aの外縁および第2電極パッド60bの外縁は、角部を含まない曲線である。角部とは、2つの辺(線分)が交わるところをいう。図11に示す例では、電極パッド60a,60bは、平面視で、図1に示す振動片100の電極パッド60a,60bの角部を面取りした形状を有している。なお、図示はしないが、図5に示す振動片200の電極パッド60a,60bの角部を面取りした形状を有していてもよい。
振動片400では、さらに、図12に示すように、支持腕30の先端側に位置している第2引出電極50bの外縁も、角部を含まない曲線で構成されている。
振動片400では、平面視で電極パッド60a,60bの外縁は角部を含まない曲線で構成されているため、静電気が角部を起点に放電するおそれを低減することができ、振動片の静電耐性を向上させることができる。
(4)第4変形例
次に、本実施形態の第4変形例に係る振動片について、図面を参照しながら説明する。図13は、本実施形態の第4変形例に係る振動片500を模式的に示す断面図であって、振動片100を模式的に示す図3と同じ断面を示している。なお、便宜上、図13では、振動腕20a,20b以外の部材の図示を省略している。
上述した振動片100では、図3に示すように、振動腕20a,20bの主面101a,101bには、各々1つの溝部23が設けられていた。これに対し、振動片500では、図13に示すように、主面101a,101bには、各々2つの溝部23が設けられている。主面101a,101bの各々に設けられた2つの溝部23は、X軸に沿って並んで設けられている。なお、図示はしないが、主面101a,101bの各々には、3つ以上の溝部23が設けられていてもよい。
3. 振動子
次に、本実施形態に係る振動子について、図面を参照しながら説明する。図14は、本実施形態に係る振動子800を模式的に示す平面図である。図15は、本実施形態に係る振動子800を模式的に示す図14のXV−XV線断面図である。なお、便宜上、図14では、リッド814を省略して図示している。また、図14および図15では、振動片100を簡略化して図示している。
振動子800は、本発明に係る振動片を備えている。以下では、本発明に係る振動片として、振動片100を備えている振動子800について説明する。振動子800は、図14および図15に示すように、振動片100と、パッケージ(容器)810と、を備えている。
パッケージ810は、上面に開放する凹部811を有する箱状のベース812と、凹部811の開口を塞ぐようにベース812に接合されている板状のリッド814と、を有している。このようなパッケージ810は、凹部811がリッド814にて塞がれることにより形成された収納空間を有しており、該収納空間に、振動片100が気密的に収納、設置されている。すなわち、パッケージ810には、振動片100が収容されている。
なお、振動片100が収容される収納空間(凹部811)内は、例えば、減圧(真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。これにより、振動片100の振動特性が向上する。
ベース812の材質は、例えば、セラミックグリーンシートを成形して積層し焼成した酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体などのセラミックス系の絶縁性材料、水晶、ガラス、シリコン(高抵抗シリコン)などである。リッド814の材質は、ベース812と同じ材料、または、コバール、42アロイなどの金属である。
ベース812とリッド814の接合は、ベース812上にシールリング813を設け、シールリング813上にリッド814を載置して、例えば抵抗溶接機を用いて、ベース812にシールリング813を溶接することによって行われる。なお、ベース812とリッド814の接合は、特に限定されず、接着剤を用いて行われてもよいし、シーム溶接によって行われてもよい。
ベース812の凹部811の内底面(内側の底面)815には、振動片100の電極パッド60a,60bに対向する位置に、内部端子816a,816bが設けられている。第1電極パッド60aは、第1導電性接合部材90aを介して内部端子816aに接合され、第2電極パッド60bは、第2導電性接合部材90bを介して内部端子816bに接合されている。
なお、導電性接合部材90a,90bは、例えば、金属フィラーなどの導電性物質が混合された、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系、アクリル系、ビスマレイミド系などの導電性接着剤や、金、アルミニウム、半田バンプなどの金属バンプや、金属層や樹脂製のコア上に金属配線を形成した樹脂バンプである。
ベース812の内底面815と反対側の外底面(外側の底面)817には、電極端子818a,818bが設けられている。電極端子818a,818bは、図示しない内部配線により内部端子816a,816bと電気的に接続されている。具体的には、電極端子818aは内部端子816aと電気的に接続され、電極端子818bは内部端子816bと電気的に接続されている。内部端子816a,816bおよび電極端子818a,818bは、例えば、タングステン、モリブデンなどのメタライズ層に、ニッケル、金などの被膜がめっきなどにより積層された金属被膜である。
なお、図示はしないが、パッケージ810は、平板状のベース812と、凹部を有するリッド814と、を有していてもよい。また、パッケージ810は、ベース812およびリッド814の両方に凹部が設けられていてもよい。
振動子800では、例えば、電子機器のICチップ内に集積化された発振回路から、電極端子818a,818bを介して印加される駆動信号によって、振動片100が屈曲振動を励振されて所定の周波数で共振(発振)し、電極端子818a,818bから共振信号(発振信号)を出力する。
振動子800では、振動片100を備えているため、低消費電力化を図ることができる。
4. 発振器
次に、本実施形態に係る発振器について、図面を参照しながら説明する。図16は、本実施形態に係る発振器900を模式的に示す断面図である。
以下、本実施形態に係る発振器900において、本実施形態に係る振動子800の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
発振器900は、本発明に係る振動片を備えている。以下では、本発明に係る振動片として、振動片100を備えている発振器900について説明する。発振器900は、図16に示すように、振動片100と、パッケージ810と、ICチップ910と、を備えている。
ベース812の内底面815には、凹状に形成された収容部912が設けられている。ICチップ910は、収容部912に収容されている。ICチップ910は、発振回路を内蔵している。ICチップ910は、収容部912の底面に、図示しない接着剤などによって固定されている。
ICチップ910は、金やアルミニウムなどのワイヤー914によって、収容部912の底面に設けられた内部接続端子916a,916bと接続されている。内部接続端子916a,916bは、例えば、タングステン、モリブデンなどのメタライズ層に、ニッケル、金などの被膜がめっきなどにより積層された金属被膜である。内部接続端子916a,916bは、図示しない内部配線を介して、電極端子818a,818bや内部端子816a,816bに接続されている。すなわち、ICチップ(発振回路)910は、振動片100と電気的に接続されている。
なお、図示はしないが、ICチップ910と内部接続端子916a,916bとの接続には、ワイヤー914を用いたワイヤーボンディングによる接続方向以外に、ICチップ910を反転させてフリップチップ実装による接続方法などを用いてもよい。また、ICチップ910は、ベース812の外底面817に設けられた凹部内に実装され、モールド材により封止されていてもよい。
発振器900では、ICチップ910から内部接続端子916a,916b、内部端子816a,816bなどを介して印加される駆動信号によって、振動片100が屈曲振動を励振されて所定の周波数で共振(発振)する。そして、発振器900は、この発振に伴って生じる発振信号をICチップ910、電極端子818a,818bなどを介して外部に出力する。
発振器900では、振動片100を備えているため、低消費電力化を図ることができる。
5. リアルタイムクロック
次に、本実施形態に係るリアルタイムクロックについて、図面を参照しながら説明する。図17は、本実施形態に係るリアルタイムクロック1000の機能ブロック図である。
リアルタイムクロック1000は、本発明に係る発振器を備えている。以下では、本発明に係る発振器として、発振器900を備えているリアルタイムクロック1000について説明する。リアルタイムクロック1000は、図17に示すように、発振器900と、計時回路1010と、イベント検出回路1020と、メモリー1030と、制御回路1040と、を備えている。
発振器900は、振動片100と、振動片100と電気的に接続されている発振回路(ICチップ)910と、を有しており、振動片100は、発振回路910を介して電気信号が入力されることにより所定の周波数で振動する。そして、発振回路910は、振動片100から出力された信号を増幅して出力する。
計時回路1010には、発振器900が接続されており、発振器900から出力された信号を分周して1[Hz]の周波数を得ると、この1[Hz]の信号を利用して年、月、日、時、分、および秒の計時を各計時レジスタ(不図示)で行っている。すなわち、計時回路1010は、発振器900の発振回路910から出力される信号に基づいて、日時データを生成する。このような計時回路1010を持つことにより、時刻データを得ることができ、イベントが生じた際(イベント検出周期毎)の日時等をメモリー1030に記録することが可能となる。なお計時回路1010は設定により、上記年、月、日、時、分、および秒の他に、曜日についてのデータも記憶させるようにすることができる。
イベント検出回路1020は、リアルタイムクロック1000の外部端子であるイベント入力端子1022に接続されている。イベント検出回路1020は、イベント入力端子1022に対してイベントが発生した旨の電気信号が入力されると、イベント発生フラグを立てるように構成されている。このように、イベントの発生をフラグにより示すことで、当該フラグに基づいてイベントの有無を判断することができる。
メモリー1030は、上述した時刻データやイベント発生に関するデータを記録する記憶手段である。
制御回路1040には、上述した計時回路1010、イベント検出回路1020、メモリー1030、および外部端子としての割り込み出力端子1042が接続されている。制御回路1040は、イベント検出回路1020から入力されたフラグ情報に基づいて、フラグが立てられている事を検出した時刻データを計時回路1010から読み出すことが可能に構成されている。
なお、割り込み出力端子1042は、任意のイベント入力の発生時に、時刻データやイベント発生に関するデータの記録と同時に、CPUに対して信号を割り込み出力させる役割を担う。
リアルタイムクロック1000では、振動片100を備えているため、低消費電力化を図ることができる。
6. 電子機器
次に、本実施形態に係る電子機器について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子機器は、本発明に係る振動片を備える。以下では、本発明に係る振動片として、振動片100を備える電子機器について、説明する。
図18は、本実施形態に係る電子機器として、スマートフォン1300を模式的に示す平面図である。スマートフォン1300は、図18に示すように、振動片100を有する発振器900を備えている。
スマートフォン1300は、発振器900を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用いる。スマートフォン1300は、さらに、表示部(液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)1310、操作部1320、および音出力部1330(マイクロフォン等)を有することができる。スマートフォン1300は、表示部1310に対する接触検出機構を設けることで表示部1310を操作部として兼用してもよい。
なお、スマートフォン1300に代表される電子機器は、振動片100を駆動する発振回路と、振動片100の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路と、を備えていることが好ましい。
これによれば、スマートフォン1300に代表される電子機器は、振動片100を駆動する発振回路と共に、振動片100の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることから、発振回路が発振する共振周波数を温度補償することができ、温度特性に優れた電子機器を提供することができる。
図19は、本実施形態に係る電子機器として、モバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1400を模式的に示す斜視図である。パーソナルコンピューター1400は、図19に示すように、キーボード1402を備えた本体部1404と、表示部1405を備えた表示ユニット1406と、により構成され、表示ユニット1406は、本体部1404に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1400には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動片100が内蔵されている。
図20は、本実施形態に係る電子機器として、携帯電話機(PHSも含む)1500を模式的に示す斜視図である。携帯電話機1500は、複数の操作ボタン1502、受話口1504および送話口1506を備え、操作ボタン1502と受話口1504との間には、表示部1508が配置されている。このような携帯電話機1500には、フィルター、共振器等として機能する振動片100が内蔵されている。
図21は、本実施形態に係る電子機器として、デジタルスチルカメラ1600を模式的に示す斜視図である。なお、図21には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチルカメラ1600は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチルカメラ1600におけるケース(ボディー)1602の背面には、表示部1603が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1603は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1602の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1604が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1606を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1608に転送・格納される。また、デジタルスチルカメラ1600においては、ケース1602の側面に、ビデオ信号出力端子1612と、データ通信用の入出力端子1614とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1612にはテレビモニター1630が、データ通信用の入出力端子1614にはパーソナルコンピューター1640が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1608に格納された撮像信号が、テレビモニター1630や、パーソナルコンピューター1640に出力される構成になっている。このようなデジタルスチルカメラ1600には、フィルター、共振器等として機能する振動片100が内蔵されている。
電子機器1300,1400,1500,1600は、振動片100を備えているため、低消費電力化を図ることができる。
なお、本発明の振動片を備えている電子機器は、上記の例に限定されず、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
7. 移動体
次に、本実施形態に係る移動体について、図面を参照しながら説明する。図22は、本実施形態に係る移動体1700として、自動車を模式的に示す平面図である。
本実施形態に係る移動体は、本発明に係る振動片を備えている。以下では、本発明に係る振動片として、振動片100を備えている移動体について、説明する。
本実施形態に係る移動体1700は、さらに、エンジンシステム、ブレーキシステム、キーレスエントリーシステム等の各種の制御を行うコントローラー1720、コントローラー1730、コントローラー1740、バッテリー1750、およびバックアップ用バッテリー1760を含んで構成されている。なお、本実施形態に係る移動体1700は、図22に示される構成要素(各部)の一部を省略または変更してもよいし、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
このような移動体1700としては種々の移動体が考えられ、例えば、自動車(電気自動車も含む)、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
移動体1700は、振動片100を備えているため、低消費電力化を図ることができる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。