(第1実施形態)
図1は、受取装置としてのシート積載装置(以下「スタッカ」という)101および供給装置としてのプリント装置(以下「プリンタ」という)100の内部構成を示す断面図である。プリンタ100とスタッカ101とによって、物品であるシートを受け渡す受け渡しシステムが構成されている。
この例ではプリンタ100はインクジェットプリンタであるが、電子写真など別方式のプリンタであってもよい。プリンタ100はプリンタユニット107およびスタンドユニット105を含んでいる。プリンタユニット107はスタンドユニット105に支持されている。プリンタユニット107は、搬送ローラ3、ピンチローラ4、記録ヘッド5、プラテン6、カッタ8、およびプリンタ開口部(供給口)109を備えている。また、プリンタ100は、操作部(不図示)を備えている。操作部には各種スイッチ等が設けられている。ユーザは、操作部に設けられた各種スイッチを用いて、シート1のサイズ指定、オンライン/オフラインの切り替えなど、プリンタ100に対する各種コマンドの入力を行う。
スタッカ101は、スタッカユニット106、トレイユニット103、およびスタンドユニット104を含んでいる。スタッカユニット106およびトレイユニット103は、スタンドユニット104に支持されている。スタッカユニット106は、スタッカ開口部(受取口)108、搬送ローラ12、およびピンチローラ13を備えている。トレイユニット103は、シート1を載置可能に構成されたトレイ(載置部)16を備えている。スタッカ開口部108は、プリンタ開口部109の開口方向と対向する方向へ向かって開口している。プリンタ100とスタッカ101とが接合している状態において、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108とによってジョイント部10が形成される。
プリンタユニット107にはロール状に保持されているロール紙がセットされている。プリンタ100では、シートのロール状の部分からシートの先端が引き出され、引き出されたシート1は搬送ローラ3とピンチローラ4とに挟持され、搬送ローラ3の回転およびこれに伴うピンチローラ4の回転によって、搬送方向(図中y方向)へ搬送される。記録ヘッド5とプラテン6との間に搬送されたシート1に対して、記録ヘッド5の吐出口(不図示)から重力方向(図中z方向)下方へ向けてインクを吐出させることによって、シート1に画像が記録される。プラテン6の記録ヘッド5に対向する面には吸引孔(不図示)が形成されており、吸引ファン(不図示)を作動させ吸引孔から空気を吸引することによって、プラテン6にシート1を吸着させ、記録ヘッド5側へのシート1の浮き上がりを防止している。
図1に示す場合、記録されたシート1は、搬送ローラ3およびピンチローラ4の回転による搬送力によってy方向下流側に搬送されプリンタ開口部109から排出され、ジョイント部10を通過し、スタッカ開口部108からスタッカ101の内部に向かう。搬送ローラ12およびピンチローラ13の間の位置までシート1が到達し、これらに挟持されると、搬送ローラ12の回転およびこの回転に伴うピンチローラ13の回転によって、さらにy方向下流側へ向かってシート1は搬送される。シート1は、これらのローラよりもy方向下流側に配置されているトレイユニット103に向かって搬送される。シート1に対する画像の記録が終了すると、カッタ8によって、所定の長さにシート1が切断される。切断されたシート1は、搬送ローラ12およびピンチローラ13の回転によって、y方向下流側に搬送され、トレイ16に載置される。なお、本例ではシートとしてロールシートを用いているが、予め所定のサイズにカットされているカットシートを用いてもよい。
図2はスタッカ101の外観を示す斜視図である。スタンドユニット104は、レッグ60、フット61、キャスタ62、およびコロ(係合部)63を備えている。図2に示す状態において、レッグ60は、z方向に延在しており且つy方向と交差するx方向の両端部に設けられている。以下において「右」および「左」とは、y方向上流側から下流側の方向を見た状態におけるx方向両端部の「右」側部分および「左」側部分を夫々示すものとする。レッグ60は、プリンタ100とスタッカ101とを接合させた際にプリンタ開口部109の位置とスタッカ開口部108の位置とが同じ高さになるように、サイズが設定されている。各レッグ60の底面(z方向下方を向いた面)には、y方向に延在するフット61が設けられている。フット61のy方向における長さは、スタッカ101の移動の安定性を確保する長さに設定されている。フット61の底面のy方向の両端部には支持部材66が配置されており、支持部材66の底面にはキャスタ62が回転可能に取り付けられている。この例では、4つのキャスタ62が床面116に当接している。ユーザの操作によって、スタッカ101は床面に対して移動可能となる。このように、プリンタ100と接合していない状態においては、全てのキャスタ62が床面に当接するため、床面の状態(例えば凹凸等)による影響に受け、z方向の上下方向における位置などスタッカ101の姿勢が変動することがある。
また、y方向上流側の支持部材66の外面(左右の支持部材66が互いに対向する面の裏面)には、コロ63が回転可能に取り付けられている。コロ63は、スタッカ開口部108の略直下に配置されている。なお、コロ63は、キャスタ62の位置よりもz方向上方に配置されており床面と当接しないため、床面の状態による影響を受けないようになっている。
図3はプリンタ100の外観を示す斜視図である。スタンドユニット105は、レッグ110、フット111、キャスタ112、およびコロ受け台(係合部)113を備えている。レッグ110はプリンタユニット107の左右に配置されており、レッグ110の高さ(z方向における長さ)はプリンタユニット107の操作性を考慮した高さに設定されている。フット111およびキャスタ112の基本的な構成は、フット61およびキャスタ62と同様であるので、その説明を省略する。ユーザの操作によって、プリンタ100は床面に対して移動可能となる。プリンタ100においては、スタッカ101との接合に関わらず、4つのキャスタ112が床面に当接するため、床面の状態によってプリンタ100の姿勢が変動することがある。
また、各フット111のy方向下流側の内面(左右のフット111が互いに対向する面)にはコロ受け台113が設けられている。コロ受け台113はプリンタ開口部109の略直下に配置されている。コロ受け台113は、キャスタ112の位置よりもz方向上方に設けられており床面と接触しないため、床面の状態による影響を受けないようになっている。コロ受け台113は、スタッカ101とプリンタ100とが接合した際に、スタッカ101に取り付けられているコロ63を受けるための部材である。なお、プリンタ100およびスタッカ101のキャスタには不図示のストッパが設けられており、プリンタ100およびスタッカ101を所望の位置に固定できるようになっている。
図4はスタッカ101およびプリンタ100を示す側面図であり、スタッカ101とプリンタ100とが離間している状態(以下「第3状態」ともいう)を示している。コロ63の床面116に最も近い箇所をコロの最下点64とし、最下点64から床面116までの距離をコロ高さ65とする。また、コロ受け台113の上面(z方向上方に向いた面)114から床面116までの距離を受け台高さ115とする。第3状態においては、コロ高さ65<受け台高さ115という関係が成立している。換言すると、第3状態においてコロ高さ65<受け台高さ115という関係が成立するように、コロ63および受け台113の高さは設定されている。
スタッカ101とプリンタ100とが離間している状態から接合する状態にするために、ユーザはプリンタ開口部109とスタッカ開口部108とを互いに対向させ、何れか一方または両方を他方に近付ける方向へ移動させる。このように、プリンタ100およびスタッカ101は接合可能となっている。次に、スタッカ101とプリンタ100とが接合している接合状態(以下「第1状態」ともいう)について説明する。
図5〜図7はスタッカ101およびプリンタ100の第1状態を説明するための図であり、図5は斜視図であり、図6はz方向上方から下方を見た際のフット61およびフット111を示す上面図であり、図7は側面図である。図5〜図7に示す第1状態においては、プリンタ開口部109からスタッカ開口部108へ、シート1の受け渡しが的確にできるようになっている。「第1状態」とは、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108とが係合している状態をいうものとする。
図5および図6に示すように、スタッカ101の左右のフット61間隔は、プリンタ100の左右のフット111間隔よりも狭くなっており、左右のフット111の間にフット61の一部が収まるようになっている。フット111とこれに近接するフット61との間には、フット間隔118が設けられており、このフット間隔118にて、コロ63とコロ受け台113とが係合している。
図7に示すように、コロ受け台113にコロ63が乗り上げた状態にて、スタッカ101とプリンタ100とが接合するようになっている。そのため、コロ受け台113にコロ63が乗り上げた状態においてプリンタ開口部109の位置と同じ高さになるように、スタッカ開口部108の位置は設定されている。また、図4を参照して説明したように、第3状態においてコロ高さ65<受け台高さ115という関係が成立しているため、図7に示すように、コロ受け台113にコロ63が乗り上げることによって、y方向上流側のキャスタ62が床面116から離間する。そのため、y方向上流側のキャスタ62は床面116の状態による影響を受けないこととなる。つまり、第1状態においては、y方向下流側の左右のキャスタ62、y方向下流側の左右のキャスタ112、およびy方向上流側の左右のy方向上流側のキャスタ112が、床面116と当接する。
ここで、床面116に凸部117があり、この凸部117にy方向下流側のキャスタ112が乗り上げた場合について図8を参照して説明する。図8はスタッカおよびプリンタの第1状態を説明するための側面図であり、凸部117にy方向下流側のキャスタ112が乗り上げている状態を示す側面図である。凸部117にy方向下流側のキャスタ112が乗り上げているため、この凸部117の高さ分だけキャスタ62の床面116からの高さは高くなる。
上述のように、プリンタ100のコロ受け台113にスタッカ101のコロ63が乗り上げて、プリンタ100とスタッカ101とが接合されるようになっている。また、プリンタ開口部109の略直下にコロ受け台113が、スタッカ開口部108の略直下にコロ63が、夫々配置されている。そのため、床面116が平面でない場合(例えば図8に示すように凸部がある場合)であっても、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108との位置関係は略変動せず、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108とは略同じ高さとなる。これによって、床面116が平面でない場合であっても、シート1の受け渡しを的確に行うことができる。
以上は、床面116に凸部117がある場合を例にして説明したが、床面116に凹部がある場合であっても、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108との位置関係は略変動しないため、シート1の受け渡しを的確に行うことができる。また、以上は、プリンタ100にスタッカ101が乗り上げる構成について説明したが、スタッカ101にプリンタ100が乗り上げる構成とした場合であっても同様の効果を得ることができる。
プリンタ100において紙であるシートを用いる場合、多種のシートが用いられる。例えば、プリンタ100において光沢紙等を用いる場合、プリンタ100から排出されたシートをスタッカ101に積載すると、シート同士が接触することによって、シートに傷が生じたり、インクが転写したりすることがある。そのため、シートの種類によっては、スタッカ101に積載することが望ましくないことがある。そこで、シートの種類等に応じて、プリンタ100からのシートの排出先(排紙方法)を切り替える。即ち、積載されることによる影響(傷や転写等)を受けることが比較的少ないシートを用いる場合は、スタッカ101にシートを排出する。一方、積載されることによる影響が比較的大きいシートを用いる場合は、後述するバスケット123(収容部)にシートを落下させるように排出する。
図9はスタッカ101とプリンタ100とが接合しておりバスケット123が収納されている状態を示す側面図である。図10はスタッカ101とプリンタ100とが離間しておりバスケット123が開放されている状態を示す側面図である。プリンタ100の使用の際には、図9に示すケーブル200(信号接続部)を用いて、プリンタ100とスタッカ101とを電気的に接続して、両方の電源を入れる。その後、スタッカ101とプリンタ100とを接合または離間させることによって、スタッカ101またはバスケット123へ排出するようにする。なお、図9以外の図面においては、ケーブル200の図示を省略している。ケーブル200はUSBケーブル、LANケーブル、またはその他の電気ケーブルであり、物理的に信号接続する。ケーブル200はフレキシブルであり、スタッカ101とプリンタ100とが近接しても離間してもケーブルの接続は維持される。なお、接続方法はケーブルに限定されるものではなく、無線インタフェースにより非接触に電気的に接続してもよい。
図9および図10に示すように、バスケット123は、スタッカ101とプリンタ100との間に配置されており、開放された際にその内部に、落下したシート1を収容可能な構成となっている。また、バスケット123は、スタッカ101に保持されている。ここでは、バスケット123をスタッカ101にて保持する構成について説明するが、バスケット123をプリンタ100にて保持してもよい。バスケット123は布やプラスチックなどの柔軟な帯状部材により形成される。帯状部材の一方の端部は上流ロッド124によって支持され、他方の端部は下流ロッド125によって支持されており、中央を自重で弛ませた状態でバスケットを形成している。図9および図10に示すように、上流ロッド124は下流ロッド125よりもy方向上流側に、下流ロッド125は上流ロッド124よりもy方向下流側に、配置されている。
スタッカ101において、スタッカ開口部108の位置よりもz方向下方には、x方向に延在する下流ロッド125が取り付けられている。スタッカ101のプリンタ100との対向面には下流ロッド125が取り付けられている。下流ロッド125の位置の略直下の位置には、x方向に延在するサイドロッド軸127が設けられている。サイドロッド軸127は、フット61に回転可能に取り付けられており、上方に向かって延在するサイドロッド126を支持している。2つのサイドロッド126が用いられ、サイドロッド軸127の一方の端部に1つのサイドロッド126が、他方の端部に他のサイドロッド126が、夫々支持されている。各サイドロッド126の一端部はサイドロッド軸127に支持されており、各サイドロッド126の他端部は上流ロッド124の端部を夫々支持している。
プリンタ100において、プリンタ開口部109の位置よりもz方向下方の位置には、z方向下方へ向かって傾斜する排紙ガイド9が設けられている。排紙ガイド9は、ガイドバー軸93およびガイドバー92を有している。ガイドバー92は、バスケット123を用いる場合に、プリンタ開口部109からバスケット123に向かうシート1の移動をガイドする。ガイドバー92は、プリンタ100とスタッカ101との間の距離が比較的広くなった場合であっても、プリンタ開口部109からバスケット123に向かってシート1が落下できるようなサイズに設定されている。ガイドバー92は、ガイドバー軸93を有しており、ガイドバー軸93を中心に回動可能となっている。ガイドバー92は、x方向(シート1の幅)に沿って複数設けられている。
プリンタ100からスタッカ101へシート1を排紙する場合、図9に示すようにバスケット123はプリンタ開口部109とスタッカ開口部108とによって形成されたジョイント部10の搬送経路の下方の空間に収容される。ここでは、図9に示すバスケット123が収容される位置を第1のポジションという。また、図9に示すようにスタッカ101を用いる状態をスタッカモードという。
スタッカ101を用いる場合、ユーザは、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108とを互いに対向させ、何れか一方または両方を他方に近付ける方向へ移動させてプリンタ開口部109とスタッカ開口部108とを接合して搬送経路を確保する。
バスケット123を用いる場合、ユーザはプリンタ100およびスタッカ101の何れか一方または両方を一方から離れる方向へ移動させ、プリンタ100およびスタッカ101を離間させ、これらの間にバスケット123を開く空間を設ける。また、ユーザは、サイドロッド軸127を中心として、図面正面視から反時計回りにサイドロッド126を回動させ、バスケット123を開く。そして、ユーザは、ガイドバー軸93を中心として、ガイドバー92を回動させ、上流ロッド124にガイドバー92を載せ、図10に示す状態とする。ここでは、図10に示すバスケット123が開放されている状態を第2のポジションという。また、図10に示すようにバスケット123を用いる状態をバスケットモードという。
次に、プリンタ100とスタッカ101との位置関係ごとの給紙状態を説明する。図11(a)〜(c)はスタッカ101とプリンタ100との位置関係を示す側面図である。図11(a)はスタッカ101とプリンタ100とが離間している第3状態、図11(b)はスタッカ101とプリンタ100とが近接している状態(以下「第2状態」ともいう)、を示している。図11(c)はスタッカ101とプリンタ100とが接合している第1状態を示している。
プリンタ100とスタッカ101との位置関係は、図11(a)〜(c)に示す3つの状態に分類される。ここで、「第2状態」とは、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108との間に隙間がある近接状態をいう。また、「第3状態」とは、プリンタ開口部109とスタッカ開口部108との間の隙間の間隔が、第2状態におけるプリンタ開口部109とスタッカ開口部108との間の隙間よりも離れている状態をいう。
上述のように、バスケット123へ排紙する際、プリンタ100とスタッカ101とを離間させる動作、これらの間にバスケット123を開く動作、および上流ロッド124上にガイドバー92を載せる動作は、ユーザによって行われる。そのため、例えば上流ロッド124上にガイドバー92が載る位置までバスケット123が開いていない場合、ユーザはシート1を受けるためにバスケット123が十分に開いていないと判断することができる。その際、ユーザは、上流ロッド124上にガイドバー92が載る位置までバスケット123をさらに開き、バスケット123を所望の開放状態とし、上流ロッド124上にガイドバー92を載せ、バスケット123への排紙が可能な状態にすることができる。即ち、図11(a)に示すように、プリンタ100とスタッカ101とを、その間にバスケット123を開きバスケット123への排紙を可能とする空間を設けるように、離間させる第3状態とすることができる。
スタッカ101へ排紙する際、プリンタ100とスタッカ101とを接合させる動作もユーザによって行われるが、その際にユーザの認識と実際の状態とにずれが生じることがある。即ち、プリンタ100とスタッカ101とが接合している図11(c)に示す状態であるとユーザが認識していても、実際には図11(b)に示すようにプリンタ100とスタッカ101とが近接しているが接合していない場合がある。図11(b)に示すようにプリンタ開口部109とスタッカ開口部108とが接合していない場合、スタッカ開口部108の開口端部にシート1の先端が引っ掛かりシート1に折れ(シート詰まり)が生じ、シート1を適切に排紙することができないことがある。
そこで、プリンタ100とスタッカ101との位置関係を検知することによって、スタッカ101またはバスケット123へ排紙可能である状態と何れにも排紙可能でない状態とを判別し、記録動作を制御する。
図12(a)は図11(a)に示す破線領域12aを、図12は図11(b)に示す破線領域12bを、図12(c)は図11(c)に示す破線領域12cを、夫々拡大して示す拡大側面図である。なお、図12(a)〜(c)においては、y方向上流側のキャスタ62の図示を省略している。
図12(a)〜(c)に示すように、スタッカ101のフット61にはセンサ(検知部の第1センサ)69が、プリンタ100のフット111にはセンサ70(検知部の第2センサ)が、夫々設けられている。より具体的には、センサ69は左の支持部材66の外面に配置されており、センサ70は、左のフット111の内面側に配置されている。センサ69、70としては、物体と接触した際に検知信号を出力する接触式のセンサを用いる。センサ69は後述するコロガイド71を検知し、センサ70はコロ受け台113を検知する。
コロ受け台113の上面114の裏面と接触可能な位置にセンサ70が配置されている。フット111のコロ受け台113の位置よりもy方向下流側には、コロガイド71が設けられている。コロガイド71は、その上面を通過するコロ63の移動を案内する。コロガイド71は、ガイド軸72を有しておりガイド軸72を中心として回動可能となっており、不図示の押圧バネによって図面正面視から反時計回りに付勢されている。この状態において、図12(a)に示すように、コロガイド71はy方向下流側に下る傾斜を形成しており、コロガイド71へのコロ63の乗り上げを容易にするためにコロガイド71の先端はコロ63を受けることができる位置に配置されている。コロ受け台113は、受け台軸74を中心として回動可能となっており、不図示の押圧バネによって時計回りに付勢されている。また、コロ受け台113は、コロガイド71の回動に伴って回動可能なようにコロガイド71と係合している。
プリンタ100とスタッカ101とが図11(a)に示す第3状態にある場合には、図12(a)に示すように、センサ69はコロガイド71と接触していないため、コロガイド71を検知しない。また、センサ70もコロ受け台113と接触していないため、コロ受け台113を検知しない。したがって、第3状態においては、何れのセンサからも検知信号は出力されない。
図12(a)に示す状態からプリンタ100とスタッカ101とをさらに近付けると、コロ63がコロガイド71に乗り上げ、これによってコロガイド71が図面正面視から時計回りに回動し、これに伴ってコロ受け台113が反時計回りに回動する。そうすると、図12(b)に示す状態となる。プリンタ100とスタッカ101とが図11(b)に示す第2状態にある場合、図12(b)に示すように、コロ63はコロガイド71上に位置している。この場合、センサ70にコロ受け台113が接触しているため、センサ70は検知信号を出力する。他方、センサ69にはコロガイド71が接触していないため、センサ69からは検出信号が出力されない。
図12(b)に示す状態からプリンタ100とスタッカ101とをさらに近付けると、コロ63は、コロガイド71に案内されy方向上流側へさらに移動し、コロ受け台113に到達する。コロガイド71からコロ受け台113へコロ63が移動すると、コロガイド71が図面正面視から反時計回りに回動し、図12(c)に示す状態となる。プリンタ100とスタッカ101とが図11(c)に示す第1状態にある場合、図12(c)に示すように、センサ69はコロガイド71と接触し、センサ70はコロ受け台113と接触している。したがって、第1状態にある場合、センサ69、70の両方から検知信号が出力される。このように、コロ63およびコロ受け台113等の係合状態を検知することによって、スタッカ101とプリンタ100との位置関係を判別する。
図11(b)を参照して説明したように、プリンタ100とスタッカ101とが近接している場合、プリンタ100からスタッカ101へシート1を適切に受け渡すことができないことがある。そのため、プリンタ100とスタッカ101とが第3状態および第1状態の何れの状態でもない場合、つまり第2状態の場合は記録動作が行われないようにプリンタ100を制御する。これにより、記録が済んで排出されたシートが、第2状態のような状態の供給口と受取口の間でシート詰まり(図11(b)参照)が起きることが未然に防止される。
また、センサ69から検知信号が出力され且つセンサ70から検知信号が出力されない場合、プリンタ100とスタッカ101との位置関係が不明である。この位置関係が不明な状態(以下「第4状態」ともいう)である場合も記録動作が行われないようにプリンタ100を制御する。コロガイド71以外の物体と接触したことによってセンサ69から検知信号が出力された場合やコロ受け台113と接触しているのにも関わらずセンサ70から検知信号が出力されない場合等において、ユーザにセンサの状態を確認させることができる。ユーザは、前者の場合センサ69が検知している物体を取り除く処理、後者の場合センサ70の機能を回復させる処理等をすることによって、センサに所望の機能を発揮させるようにする。
図13は全体の制御システム構成を示すブロック図である。図9を参照して説明したように、プリンタ100を使用する際、プリンタ100とスタッカ101とはケーブル200によって電気的に接続される。これによって、スタッカ101のセンサ69とプリンタ100のプリンタコントローラ201とが接続される。プリンタコントローラ201は、センサ69、センサ70、搬送ローラモータ202、表示部203、および記録ヘッド5と接続されている。プリンタコントローラ201は、プリンタ100の各種動作の制御を司る制御部であり、センサ69、70からの検知結果を取得し、これに応じて、搬送ローラモータ202および記録ヘッド5を制御して、記録動作を制御する。搬送ローラモータ202はプリンタ100の搬送ローラ3を駆動させるためのモータである。また、詳細は図14を参照して後述するが、プリンタコントローラ201は、センサ69、70からの検知結果を取得し、これに応じて、プリンタ100とスタッカ101との位置関係に関する情報等を表示部203に表示する。表示部203はユーザに対して各種情報を報知する報知部として機能する。なお、報知部として表示部を用いる場合について説明するが、報知部としてスピーカ等の音声出力部を用いてもよい。
図14は記録動作開始までの処理を示すフローチャートである。図15はセンサ69、70の検知結果と記録動作との関係を示す表である。ユーザによって、プリンタ100とスタッカ101とがケーブル200によって接続され、プリンタ100およびスタッカ101の電源が入れられると、図14に示すようにプリンタ100は記録ジョブの入力を待つスタンバイ状態となる(S108)。プリンタコントローラ201は、記録ジョブを受信したか否かを判断する(S109)。記録ジョブを受信していない場合(S109にてNO)、記録ジョブを受信するまで確認処理を繰り返す(S109)。記録ジョブを受信した場合(S109にてYES)、プリンタコントローラ201はセンサ69、70の検知状況をチェックする(S110)。プリンタコントローラ201は、センサ69からの検知信号が入力されたか否かを判断し(S111)、センサ70からの検知信号が入力されたか否かを判断する(S112、S113)。
センサ69、70の両方から検知信号が入力された場合(S111にてYESであり且つS113にてYES)、図15に示すようにプリンタ100とスタッカ101とは第1状態であるので、プリンタコントローラ201は記録動作を開始させる(S114)。センサ69、70の両方から検知信号が入力されていない場合(S111にてNOであり且つS112にてNO)、図15に示すようにプリンタ100とスタッカ101とは第3状態であるので、プリンタコントローラ201は記録動作を開始させる(S114)。
センサ69から検知信号が入力されておらず且つセンサ70から検知信号が入力された場合(S111にてNOであり且つS112にてYES)、図15に示すようにプリンタ100とスタッカ101とは第2状態である。この場合、プリンタコントローラ201は、記録動作を開始させず、表示部203にエラーを表示する(S116)。これによって、ユーザにプリンタ100とスタッカ101との位置関係を確認させ、第1状態または第3状態とするように促す。そして、センサ69、70の検知状態を再びチェックする(S110)。
センサ69から検知信号が入力されており且つセンサ70から検知信号が入力されていない場合(S111にてYESであり且つS113にてNO)、図15に示すようにプリンタ100とスタッカ101との位置関係が不明な第4状態である。第4状態となる原因としては、第1状態であるのにも関わらずセンサ70から検知信号が入力されない場合や第2、3状態であるのにも関わらずセンサ69から検知信号が入力された場合などが想定される。この場合、プリンタコントローラ201は、記録動作を開始させず、表示部203にエラーを表示し(S115)、ユーザにセンサ69、70の状態などを確認するように促す。そして、センサ69、70の検知状況を再びチェックする(S110)。なお、第2、第4状態である場合に、表示部203にエラーを表示してからセンサ69、70の検知状態を再びチェックする方法について説明したが、エラーを表示せずにセンサ69、70の検知状態を再びチェックしてもよい。即ち、プリンタ100とスタッカ101との位置関係に関する情報等を報知せずに、センサ69、70の検知状態を再びチェックし、プリンタ100を制御してもよい。
このように、プリンタコントローラ201は、センサからの検知結果から、スタッカモードであるか、バスケットモードであるか、または何れのモードでもないことを判断する。これに応じて、記録動作を制御し、プリンタ100からスタッカ101またはバスケット123へシート1を的確に排紙させる。第2、第4状態である場合、記録動作を開始させずに、ユーザに報知することによって、供給口と受取口との間におけるシートの詰まりなどを防止することができる。また、第4状態の場合をも判別することによって、ユーザにセンサの状態の確認を促すことが可能となる。
以上はセンサの検知結果に基づいて、プリンタコントローラ201がプリンタ100を制御して記録動作を開始させる構成について説明した。しかしながら、センサの検知結果をユーザに対して報知し、ユーザに排紙方法を確認させてから、ユーザの操作によって記録動作を開始させるようにしてもよい。また、スタッカ101にプリンタコントローラ201に相当する制御部を設け、この制御部によってプリンタ100の動作を制御してもよい。
また接触式のセンサを用いる場合について説明したが、センサの検知方法はこの方法に限定されるものではない。例えば、色を判別可能な色判別センサを用いてもよい。この場合、検知対象となる部分にセンサにて識別可能な着色などを施す。また2つのセンサを用いる場合について説明したが、センサの個数は2つに限定されるものではない。また、左側のフットにセンサを配置する構成について説明したが、右側のフットにセンサを配置してもよい。即ち、左右何れかにセンサが配置されていればよい。またプリンタおよびスタッカの両方にセンサを設ける構成について説明したが、センサは何れか一方にのみ設けられていてもよい。
また、バスケット123の状態(収納または開放状態)を判断するためにサイドロッド126の傾きを検知するセンサを設け、そのセンサの検知結果に応じて、記録動作を制御してもよい。
なお、本実施形態においては、スタッカ101以外への排紙先としてバスケット123を用いる場合について説明したが、バスケット123以外、例えば作業台などへ排紙するようにしてもよい。
また、プリンタ100から供給される物品は、プリント用シートに限らず、シート以外の物品であってもよい。供給装置は上述したプリンタや後述する第3実施形態における給紙装置等に限定されるものではなく、受取装置は上述したスタッカや後述する第3実施形態におけるカット装置等に限定されるものではない。
以上説明したように、第2状態および第3状態では、受取装置のフットの一部が供給装置のフットの一部に乗り上げるようになっている。そして検知部は、受取装置のフットに設けられ供給装置のフットとの位置関係を検知する第1センサ、および供給装置のフットに設けられ受取装置のフットとの位置関係を検知する第2センサを含み、第1センサおよび第2センサの出力から状態を検知する。第2状態においては、シートを搬送しないように制御し、供給口と受取口との間におけるシートの詰まりを防止する。また、第4状態においても、シートを搬送しないように制御し、センサの状態を確認させる。こうしてシートを受取装置やバスケットなど所望の供給先に適切に供給させることができるとともに、シートの詰まり等を防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態においては、左右両方のフットにセンサを設ける。そしてプリンタ100とスタッカ101との位置関係に関する情報等を報知せずに、プリンタ100を制御する。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。本実施形態においては、第1実施形態においてスタッカ101の左側のフット61のみに配置されていたセンサを、右側のフット61のy方向上流側の支持部材66の外面にも配置する。また、第1実施形態においてプリンタ100の左側のフット111のみに配置されていたセンサを、右側のフット111のy方向下流側の内面側にも配置する。
図16は制御システム構成を示すブロック図である。図16に示すように、センサ69.70に加えて、センサ67、68がプリンタコントローラ201に接続されている。センサ67はスタッカ101の右側のフット61に配置されているセンサであり、センサ68はプリンタ100の右側のフット111に配置されているセンサである。プリンタコントローラ201は、センサ67〜70からの検知結果に応じて、記録動作を制御する。
プリンタ100とスタッカ101とを接合させる際に、プリンタ100に対してスタッカ101が斜めに配置される状況が想定される。この場合、左右の何れか一方のフットにセンサが設けられている構成では、センサが設けられている側だけが接合し、センサが設けられていない側は接合していない場合であっても、第1状態であると判断され、記録動作が開始されてしまうことがある。そこで、左右両方のフットにセンサを設け、プリンタ開口部109およびスタッカ開口部108の左右の第1状態を判断する。左右両方が接合しているときに記録動作を開始させ、プリンタ100からスタッカ101またはバスケット123へシート1を的確に排紙する。
図17は記録動作開始までの処理を示すフローチャートである。図18は各センサの検知結果と記録動作との関係を示す表である。図17に示すS208およびS209の処理は、図14に示すS108およびS109の処理と同様であるので、その説明を省略する。プリンタコントローラ201はセンサ67〜70の検知状況をチェックする(S210)。プリンタコントローラ201は、センサ69からの検知信号が入力されたか否か(S211)、センサ70からの検知信号が入力されたか否か(S212、S213)、を判断する。また、プリンタコントローラ201は、センサ67からの検知信号が入力されたか否か(S213、216)、センサ68からの検知信号が入力されたか否か(S214、S217)、を判断する。
センサ67〜70の全てから検知信号が入力された場合(S211にてYESであり且つS215〜S217にてYES)、図18に示すようにプリンタ100とスタッカ101とは第1状態である。この場合、プリンタコントローラ201は記録動作を開始させる(S218)。センサ67〜70の何れからも検知信号が入力されていない場合(S211にてNOであり且つS212〜S214にてNO)、図18に示すようにプリンタ100とスタッカ101とは第3状態である。この場合、プリンタコントローラ201は記録動作を開始させる(S218)。
センサ67〜70の何れかから検知信号が入力された場合(S211にてNOであり且つS212〜S214の少なくとも何れかにてYES、またはS211にてYESであり且つS215〜S217の少なくとも何れかにてNO)、第2状態か第4状態である。そのため、プリンタコントローラ201は記録動作を開始させず、センサ67〜70の検知状況を再びチェックする(S210)。
このように、第2状態または第4状態においては記録動作が開始されない。そのため、装置の電源を入れ記録指示を出してからある程度の時間待っても記録動作が開始されない場合、ユーザはプリンタ100とスタッカ101との位置関係やセンサの状態等を確認して、所望の処理が実行されるように対応することができる。
プリンタ100およびスタッカ101の幅(x方向における長さ)が比較的大きい場合、幅方向の両端部を接合させることはより難しく、プリンタ100に対してスタッカ101が斜めに配置されてしまうことがある。これに対して、左右の第1状態を検知して、左右の両方が接合または離間しているときに記録動作を開始させることによって、何れか一方のみが接合または離間しているときに起こりうるシート1が適切に排紙されない事態を防止することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態においては、カット装置120および給紙装置122を用いる場合について説明する。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。ここでは、受取装置としてスタッカに代えてカット装置120を、供給装置としてプリンタに代えて給紙装置122を用いる。
図19はカット装置120および給紙装置122を示す側面図である。図19に示すように、給紙装置122は、パス部材22、搬送ローラ23、ピンチローラ24、および開口部25を有している。カット装置120は、カッタ32、搬送ローラ33、ピンチローラ34、および開口部35を有している。給紙装置122からカット装置120へシート21を受け渡す。
給紙装置122のy方向上流側には、ロール状に保持されたシート21が配置されている。給紙装置122においては、シート21のロール状の部分から先端を引き出して、パス部材22を通過させ、搬送ローラ23およびピンチローラ24によってシート21を挟持させる。搬送ローラ23の回転に伴ってピンチローラ24を回転させることによって、シート21をy方向下流側へ搬送し、開口部25から給紙装置122外に排出し、カット装置120へシート21を供給する。
開口部25と開口部35とが接合しており、これらによってジョイント部30が形成されている。給紙装置122から供給されたシート21は、搬送ローラ23の回転によって、開口部35からカット装置120内に搬入される。カット装置120にシート21が搬入されると、搬送ローラ33が回転させられる。搬送ローラ33とピンチローラ34との間に到達したシート21は、これらに挟持され、y方向下流側に搬送される。所定の長さ分搬送されると、シート21はカッタ32によって切断される。切断されたシート21は、カット装置120外へ排出されまたはカット装置120にトレイが設けられている場合はトレイに載置される。このように、カット装置120を用いる場合は、カット装置120と給紙装置122とを接合させることによって、給紙装置122からカット装置120へシート21を供給する。
シート21の材質およびカット装置120のカッタ32の刃の種類等によっては、シート21の切断にカット装置120のカッタ32が適さないことがある。その場合、カット装置120を用いずにシート21を切断することがある。カット装置120を用いない場合、給紙装置122からカット装置120を離間させ、給紙装置122のy方向下流側に設けられたガイド29に沿ってシート21を排出させる。排出されたシート21は、カット装置以外の他の手段例えばはさみ等の切断手段を用いてユーザによって、切断される。
本実施形態においては、カット装置120と給紙装置122とが接合または離間している場合に給紙動作を開始させる。このように、プリンタおよびスタッカ以外の装置を用いる場合であっても、2つの装置の接合または離間の状態を判別し、物品を適切に受け渡しまたは排出することができる。給紙装置122のコントローラは、センサの検知結果に応じて、搬送ローラを駆動するためのモータを制御する。給紙装置122のコントローラは、センサの検知結果から、第1状態であると判断した場合、即ちカット装置120を用いる場合、給紙装置122の搬送ローラ23およびカット装置120の搬送ローラ33を回転させるようにモータを制御する。給紙装置122のコントローラは、センサの検知結果から、第3状態であると判断した場合、即ちカット装置120を用いない場合、給紙装置122の搬送ローラ23のみを回転させるようにモータを制御する。 なお、本実施形態においても第2実施形態と同様に左右にセンサを設けてもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態においては、バスケット123を支持する構成が第1実施形態と異なる。また、バスケット123が所定の位置に保持されていることを検知するセンサを用いる。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
図20はスタッカ101およびプリンタ100を示す側面図である。図20に示すように、バスケット123のy方向下流側の一端は下流ロッド125に支持されており、y方向上流側の他端は上流ロッド124に支持されている。下流ロッド125は、第1実施形態と同様にスタッカ101のプリンタ100との対向面に取り付けられている。これに対して、上流ロッド124は保持部材128に保持されている。保持部材128は、プリンタ100の排紙ガイド9の位置よりも下方であるy方向下流側の底面にて、x方向の両端側に設けられている。また、保持部材128は、上流ロッド124を着脱可能に保持することができるように図面正面視から略J字型の形状を有している。ユーザは、保持部材128に上流ロッド124を引っ掛けることによって、バスケット123をセットする。スタッカ101へ排紙する場合およびバスケット123へ排紙する場合の何れにおいても、上流ロッド124は保持部材128に保持されているものとする。
この構成において、保持部材128から上流ロッド124を一旦取り外した場合、保持部材128に上流ロッド124を再び引っ掛けることをユーザが忘れてしまうことがある。また、何らかの原因によって、保持部材128から上流ロッド124が外れてしまうこともある。そこで、保持部材128に上流ロッド124が保持されているか否か即ちバスケット123がセットされているか否かを検知するセンサを用い、このセンサの検知結果に応じて記録動作を制御する。
図21は図20における破線領域21aを拡大して示す拡大図である。図21に示すように、プリンタ100の底面にはセンサ129が設けられている。センサ129は、保持部材128に保持されている上流ロッド124を検知可能な位置に配置されており、上流ロッド124が保持部材128に保持されているか否かを検知する。なお、プリンタ100の左側の底面に設けられたセンサ129は、上流ロッド124を検知可能な位置であれば、プリンタ100の右側の底面に設けられてもよいし、左右両方の底面に設けられてもよい。
プリンタコントローラ201は、センサ69、70からの検知結果に基づいて第3状態であると判断した場合に、センサ129の検知結果に応じて記録動作を制御する。具体的には、プリンタコントローラ201は、保持部材128に上流ロッド124が保持されている場合に記録動作を開始させ、保持部材128に上流ロッド124が保持されていない場合に記録動作を開始させない。これによって、第3状態においてバスケット123が適切にセットされていない場合に生じうるシート1の床への落下等を防止することができる。なお、保持部材128に上流ロッド124が保持されていない場合、プリンタコントローラ201は、ユーザに対して、上流ロッド124が保持されていないことを報知してもよい。
このように、センサ69、70に加えて、センサ129を用いることによって、第3状態においてシート1をバスケット123へ適切に排紙させることができる。
以上、プリンタ100側にロッドを保持する保持部材を設ける構成について説明したが、スタッカ101側に保持部材を設けてもよい。この場合、プリンタ100に上流ロッド124を取り付け、スタッカ101に保持部材を設けてこれに下流ロッド125を着脱可能に引っ掛けて、バスケット123をセットする。また、この場合、保持部材に下流ロッド125が保持されているか否かを検知するセンサをスタッカ101側に設ける。なお、第2実施形態と同様に左右両方のフットにセンサを設けてもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態においては、第1状態である場合にスタッカ101の状態およびシートの切断方法を確認する。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
図22は制御システム構成を示すブロック図である。図13に示す構成に加えて、シート検知センサ204、搬送ローラモータ205、および搬送ローラモータ回転検出センサ(以下「回転検出センサ」という)206が、プリンタコントローラ201に接続されている。プリンタコントローラ201には、これらのセンサからの信号も入力されるようになっている。シート検知センサ204は、スタッカ101に設けられており、スタッカ101におけるシートの有無を検知する。搬送ローラモータ205は、スタッカ101の搬送ローラ12を駆動させるためのモータである。回転検出センサ206は、搬送ローラモータ205の回転を検出する。
図23は記録動作開始までの処理を示すフローチャートである。図23に示すS308〜S316の処理は、図13にて説明したS108〜S116の処理と同様であるので、その説明を省略する。センサ69、70から検知信号が入力された場合(S311にてYESであり且つS313にてYES)、プリンタ100とスタッカ101とは第1状態であるため、プリンタ100からのシートはスタッカ101へ排出される。そのため、プリンタコントローラ201は、スタッカ101が動作可能な状態であるか否かを判断する(S317)。
ここで、スタッカ101が動作可能な状態であるとは、スタッカ101にシートが載置されておらず且つスタッカ101の搬送ローラ12が回転可能な状態にあることをいうものとする。スタッカ101にシートが載置されたままの状態にて、プリンタ100からスタッカ101へ次のシートが排出されると、トレイ16に載置されているシートに次のシートが引っ掛かり、供給口と受取口との間にてシートが詰まってしまうことがある。また、トレイ16に載置されているシートと次のシートとが接触し、シートに付与されているインクが擦れて、画像品質が低下してしまうことがある。搬送ローラ12が何らかの原因によって回転できなくなっている場合、プリンタ100から排出されたシートをトレイ16へ向けて搬送できず、シートの詰まり等が発生してしまうことがある。そのため、スタッカ101におけるシートの有無および搬送ローラ12が回転可能であるか否かを検知することによって、スタッカ101が動作可能な状態であるか否かを判断する。具体的には、プリンタコントローラ201は、シート検知センサ204および回転検出センサ206から出力される信号に基づいて、スタッカ101が動作可能な状態であるか否かを判断する。
スタッカ101が動作可能な状態でない場合(S317にてNO)、表示部203にエラーを表示し(S318)、ユーザにスタッカ101の動作状態を確認するように促す。これによって、スタッカ101にシートが載置されている場合はこれを取り除く作業、搬送ローラ12が回転しない場合は排出先をバスケット123へ切り替える作業等をユーザに実行させる。そして、センサ69、70の検知状況を再びチェックする(S310)。
スタッカ101が動作可能な状態である場合(S317にてYES)、プリンタコントローラ201は、カッタ8によってシートを切断する自動カットモードがユーザによって選択されているか否かを判断する(S319)。自動カットモードは、プリンタ100の操作部に設けられた各種スイッチを用いること等によってユーザによって選択される。第1状態においては、プリンタ100とスタッカ101とが接合しており、カッタ8以外の切断手段を用いてユーザによってシートを切断するための空間を確保することは困難であるため、カッタ8を用いてシートを切断する。そのため、プリンタコントローラ201は自動カットモードが選択されているか否かを判断する。
自動カットモードが選択されていない場合(S319にてNO)、表示部203にエラーを表示し(S320)、ユーザに自動カットモードを選択するように促す。これによって、ユーザはカッタ8によってシートを切断したい場合は自動カットモードを選択する。他方、ユーザはカッタ8以外の切断手段を用いてシートを切断したい場合、プリンタ100とスタッカ101とを離間させる作業等を実行する。そして、プリンタコントローラ201はセンサ69、70の検知状況を再びチェックする(S310)。自動カットモードが選択されている場合(S319にてYES)、プリンタコントローラ201は記録動作を開始させる(S314)。
以上のように、本実施形態においては、プリンタ100とスタッカ101とが第1状態である場合、スタッカ101が動作可能な状態であるかおよび自動カットモードが選択されているかを判別する。これによって、シートの詰まり等を防止することができる。なお、カットシートを用いる場合、自動カットモードが選択されているか否かを判断する処理は省略される。
(第6実施形態)
第6実施形態においては、スタッカ101にもコントローラが設けられており、プリンタ100からスタッカ101へ電気ケーブルを通して制御信号とともに電力も供給される。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
図24は制御システム構成を示すブロック図である。スタッカコントローラ211は、スタッカ101全体を制御するコントローラであり、センサ69、搬送ローラモータ205、回転検出センサ206、シート検知センサ204、およびモータ電源供給部207と接続されている。また、プリンタコントローラ201は、センサ70、記録ヘッド5、搬送ローラモータ202、表示部203、および電源供給部210と接続されている。
電源が入っているプリンタ100に対してスタッカ101が接続されるとまたはプリンタ100とスタッカ101とが接続されている状態においてプリンタ100の電源が入れられると、プリンタコントローラ201へ接続信号208が入力される。接続信号208が入力されると、プリンタコントローラ201は、スタッカコントローラ211およびモータ電源供給部207へ電力を供給するように、電源供給部210を制御する。
センサ69から検知信号が入力されると、スタッカコントローラ211は、シート検知センサ204からの検知信号に基づいて、モータ電源供給部207を介して搬送ローラモータ205を制御する。シート検知センサ204はシートを検知した際に検知信号を出力するように構成されている。シート検知センサ204から検知信号が出力された場合、即ちスタッカ101にシートが載置されている状態の場合、スタッカコントローラ211は、シートが取り除かれるまで搬送ローラモータ205を駆動させないように、モータ電源供給部207を制御する。この場合、スタッカ101が動作可能な状態でないことを示す動作確認信号209が、スタッカコントローラ211からプリンタコントローラ201へ入力される。他方、シート検知センサ204から検知信号が出力されない場合、即ちスタッカ101にシートが載置されていない状態の場合、スタッカコントローラ211はモータ電源供給部207を介して搬送ローラモータ205を駆動させる。搬送ローラモータ205が回転し、この回転を回転検出センサ206が検出すると、回転検出センサ206からスタッカコントローラ211へ、搬送ローラモータ205の回転を検出した信号が入力される。この場合、スタッカ101が動作可能な状態であることを示す動作確認信号209が、スタッカコントローラ211からプリンタコントローラ201へ入力される。動作確認信号209には、センサ69の検知結果に関する情報も含まれている。 図25はプリンタスタンバイ状態となるまでの処理の流れを示すフローチャートである。ユーザによってプリンタ100の電源が入れられると(S400)、プリンタコントローラ201はプリンタ100の各部材に電力を供給する。次に、プリンタコントローラ201は、プリンタ100とスタッカ101とがケーブル200によって接続されているか否かを判断する(S401)。より具体的には、プリンタコントローラ201は、接続信号208が入力されたか否かによって、プリンタ100とスタッカ101とがケーブル200によって接続されているか否かを判断する。
スタッカ接続信号が入力されておらずプリンタ100にスタッカ101が接続されていない場合(S401にてNO)、接続されるまで確認処理を繰り返す。スタッカ接続信号が入力されておりプリンタ100にスタッカ101が接続されている場合(S401にてYES)、プリンタコントローラ201は、スタッカ101の電源を入れる。より具体的には、プリンタコントローラ201は、電源供給部210を制御し、スタッカコントローラ211およびモータ電源供給部207へ電力を供給する。プリンタコントローラ201は、スタッカコントローラ211から入力される動作確認信号209からスタッカ101側のセンサの検知結果等を取得し、これに基づいて各部材を制御する。このように、プリンタ100とスタッカ101とが接続されているか否かを確認し、接続されている場合にスタッカ101の電源を入れる。
なお、プリンタ100とスタッカ101とがケーブル200によって接続されているか否かの判断は、スタンバイ状態となった後においても所定のタイミングにて実行されるものとする。スタンバイ状態となった後において、プリンタ100とスタッカ101とが接続されていないと判断された場合、プリンタコントローラ201は、電源供給部210を制御することによって、スタッカ101への電力の供給を停止する。プリンタ100とスタッカ101とが接続された後に、ケーブル200が外れる等してプリンタ100とスタッカ101とが接続されなくなった場合、スタッカ101への電力の供給を停止する。
図26は記録動作開始までの処理を示すフローチャートである。図27はセンサ69、70の検知結果およびスタッカ101の動作状態と記録動作との関係を示す表である。図26に示すS508、S509は図23に示すS308、309と、図26に示すS512からS516、S518からS520は、図23に示すS412からS416、S418からS420と、夫々同様の処理であるので、説明を省略する。
記録ジョブを受信した場合(S509にてYES)、プリンタコントローラ201はセンサ69、70の検知状況をチェックする(S510)。ここで、プリンタコントローラ201は、動作確認信号209に基づいて、センサ69からの検知信号が入力されたか否かを判断する(S511)。センサ69、70の両方から検知信号が入力されている場合(S511にてYESであり且つS513にてYES)、プリンタコントローラ201は、動作確認信号209に基づいてスタッカ101が動作可能な状態であるか否かを判断する(S517)。
このように、プリンタコントローラ201は、動作確認信号209によって、スタッカ101側のセンサの検知結果に関する情報を取得する。これによって、図22に示す構成と比較して、プリンタコントローラ201に直接接続される部材の個数を削減し、プリンタ100における信号線の複雑化を抑制することができる。また、プリンタコントローラ201は、接続信号208が入力されたか否かによって、プリンタ100とスタッカ101とが接続されているか否かを判断する。プリンタ100とスタッカ101とが接続されていない場合は、プリンタ100からスタッカ101への電力の供給を停止する。
なお、プリンタ100からスタッカ101へケーブル200を通して電力を供給する形態に限らず、逆に、スタッカ101からプリンタ100へケーブル200を通して電力を供給する構成であってもよい。ケーブル200はフレキシブルであり、スタッカ101とプリンタ100とが近接しても離間してもケーブルの接続は維持されるのは、上述した他の実施形態と同様である。