JP6525594B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関し、特に現像器内のトナー濃度を目標濃度に維持するための補給制御に関する。
トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を使用する現像器はトナー濃度を目標濃度に維持するためにトナー濃度をセンサにより検出する(特許文献1)。画像の形成にトナーが使用されると、トナータンクからトナーが現像器に補給され、攪拌機によりトナーとキャリアとが攪拌される。
特開平8−110696号公報
近年、現像器の小型化や低容量化が求められている。現像器を小型化すると、現像器の容量に対して一回あたりに補給されるトナーの量が増加するため、トナーとキャリアとが十分に攪拌されないことがある。とりわけ、トナーを補給した直後ではセンサが出力するトナー濃度が変動しやすい。これは特に小型の現像器で顕著である。センサの出力値は増減を繰り返しながら、やがて実際のトナー濃度に収束する。したがって、トナーとキャリアとが十分に攪拌されていないときにセンサにより取得されたトナー濃度を用いてトナーを補給すると、トナー濃度を目標濃度に制御できなくなってしまう。とりわけ、複数の画像形成速度(プロセス速度)を有する画像形成装置では、プロセス速度が変化することによって撹拌スクリューの回転速度が変化する。そのため、第1プロセス速度でのセンサの出力値の推移と、第1プロセス速度と異なる第2プロセス速度でのセンサの出力値の推移とが異なってしまう。そこで、本発明は、複数のプロセス速度を有する画像形成装置においても、現像器へのトナーの補給を高精度に制御することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明に記載の画像形成装置は、
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
トナーとキャリアとを含む現像剤を蓄積し、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像する現像器であって、隔壁によって第1室と第2室とに分かれており、前記隔壁の一部は前記第1室と前記第2室とが連通するような形状になっている前記現像器と、
前記現像器の前記第1室に設けられ、前記第1室の現像剤を第1方向へ搬送するために回転する第1スクリューと、前記現像器の前記第2室に設けられ、前記第2室の現像剤を前記第1方向と異なる第2方向へ搬送するために回転する第2スクリューとを備え、前記現像器内の現像剤を循環させる循環手段と、
画像が形成される記録媒体に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記情報に基づいて、前記循環手段を駆動させる駆動手段と、
前記現像器にトナーを補給する補給手段と、
前記現像器の前記第1室に蓄積された現像剤のトナー濃度に応じて変化する出力値を出力する出力手段と、
前記取得手段により取得された前記情報に基づいて、前記現像器内の前記現像剤が前記第1室と前記第2室とを循環することによって前記出力値に生じるリップルの影響を抑制するための演算条件を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記演算条件に基づいて、前記出力手段から出力された前記出力値から、前記現像器へのトナーの補給量を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された前記補給量に基づいて前記補給手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば現像器へのトナーの補給を高精度に制御することが可能となる。
画像形成装置の一例を示す図 現像器の一例を示す概略断面図 補給コントローラの一例を示すブロック図 補給制御の一例を示すフローチャート バンドストップフィルタの特性の一例を示す図 トナー消費量に基づき補給量の決定方法の一例を示すフローチャート 平均化部の効果を説明する図 平均化及びマスク処理の一例を示すフローチャート 比較例1の補給コントローラを示すブロック図 実施例の効果を説明する図 実施例の効果を説明する図 プロセス速度に応じて阻止帯域を調整するための機能を示すブロック図 プロセス速度に応じて阻止帯域を調整する方法を示すフローチャート プロセス速度に応じて阻止帯域を調整する方法を示すフローチャート
<画像形成装置について>
本実施例は、たとえば感光体や誘電体等を用いた像担持体上に電子写真方式や静電記録方式等により画像を形成する画像形成装置に適用できる。画像形成装置は、画像信号に対応した潜像を像担持体上に形成し、二成分現像剤を用いた現像装置によって潜像を現像して可視画像(トナー像)を形成する。二成分現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子を主成分としている。画像形成装置は、可視画像を紙等の転写材に転写し、定着装置にて転写材に定着させる。また、画像形成装置は、プリンタや複写機、複合機、ファクシミリなどのいずれの製品でもよい。
図1において、複写されるべき原稿31の画像はレンズ32によってCCD等の撮像素子33に投影される。撮像素子33は原稿31の画像を多数の画素に分解し、各画素の濃度に対応した光電変換信号を発生する。撮像素子33から出力されるアナログ画像信号は画像処理回路34に送られる。画像処理回路34は画素毎にその画素の濃度に対応した出力レベルを有する画素画像信号にアナログ画像信号を変換し、パルス幅変調回路35に送る。パルス幅変調回路35は入力される画素画像信号毎に、そのレベルに対応した幅(時間長)のレーザ駆動パルスを形成して出力する。高濃度の画素画像信号に対してはより幅の広い駆動パルスが生成され、低濃度の画素画像信号に対してはより幅の狭い駆動パルスが生成される。パルス幅変調回路35から出力されたレーザ駆動パルスは潜像形成手段である半導体レーザ36に供給される。半導体レーザ36はパルス幅に対応する時間だけ発光する。従って、半導体レーザ36は高濃度画素に対してはより長い時間駆動され、低濃度画素に対してはより短い時間駆動される。
回転多面鏡37は半導体レーザ36から放射されたレーザ光81を偏向および走査する。f/θレンズ等のレンズ38および固定ミラー39は感光ドラム40上にレーザ光81をスポット結像させる。かくして、レーザ光81は感光ドラム40の回転軸とほぼ平行な方向(主走査方向)に感光ドラム40上を走査し、静電潜像を形成する。なお、潜像形成手段としては本実施例のような半導体レーザ36以外にもLEDアレイ等の光源を用いるものもあり、それらについても本発明は好適に適用される。
感光ドラム40は像担持体の一例である。感光ドラム40は、たとえば、アモルファスシリコン、セレン、OPC等の感光層を表面に有し、矢印方向に回転する。感光ドラム40は除電器41で均一に除電された後で一次帯電器42により均一に帯電する。その後、画像信号に対応して変調されたレーザ光81で露光走査される。これによって画像信号に対応した静電潜像が形成される。現像手段である現像器44はトナー粒子とキャリア粒子が混合された二成分現像剤(現像剤43)を使用して静電潜像を反転現像し、可視画像(トナー像)を形成する。反転現像とは、感光ドラム40の表面のうちレーザ光81で露光された領域に、潜像と同極性に帯電したトナーを付着させてこれを可視化する現像方法である。転写帯電器49は担持ベルト47上に保持された転写材48に対してトナー像を転写する。無端状の担持ベルト47はローラ45およびローラ46に架張され、矢印方向に駆動される。
なお、説明を簡単にするために1つの画像形成ステーション(感光ドラム40、除電器41、一次帯電器42、現像器44等を含む)のみを図示している。カラー画像形成装置では、たとえばシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色に対する4つの画像形成ステーションが担持ベルト47上にその移動方向に沿って順次に配列される。各画像形成ステーションの感光ドラム上に原稿の画像を色分解した各色毎の静電潜像が順次に形成され、それぞれ対応する色のトナーを有する現像器で現像され、担持ベルト47によって保持および搬送される転写材48に順次に転写される。トナー像が転写された転写材48は担持ベルト47から分離されて図示しない定着器に搬送され、トナー像を定着される。また、転写後に感光ドラム40上に残った残留トナーはクリーナ50によって除去される。
図1にはさらに画像形成に使用されたトナー量を推定するためのクロックパルスを発生する発振器65、ANDゲート64、カウンタ66が示されている。また、現像器44内のトナー濃度を検出する濃度センサ20、増幅器21なども示されている。補給コントローラ110はCPU67や記憶部68を備え、トナーの補給量を制御する。
図1および図2を参照し、現像器44の一例を説明する。現像器44は感光ドラム40に対向して配置されており、その内部は垂直方向に延在する隔壁51によって第1室(現像室)52と第2室(撹拌室)53とに区画されている。第1室52には矢印方向に回転する非磁性の現像スリーブ54が配置されている。現像スリーブ54は像担持体へ現像剤を搬送する搬送手段として機能する。現像スリーブ54内にはマグネット55が固定されている。現像スリーブ54は二成分現像剤を担持搬送し、感光ドラム40と対向する現像領域で現像剤を感光ドラム40に供給して静電潜像を現像する。現像スリーブ54上のトナーの層はブレード56によって層厚を規制される。現像効率、即ち潜像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ54には電源57から直流電圧を交流電圧に重畳した現像電圧が印加される。
第1室52にはスクリュー58が設けられている。スクリュー58は、第1室52に存在する二成分現像剤を攪拌するともに、二成分現像剤を第1室52と第2室5との間で循環させる第1循環手段として機能する。第2室53にはスクリュー59が設けられている。スクリュー59は、第2室53に存在していた現像剤43とトナー補給槽60により供給されたトナー63とを攪拌するともに、現像剤43を第1室52と第2室53との間で循環させる第2循環手段として機能する。また、スクリュー58、59は、現像器44の内部で二成分現像剤を撹拌する攪拌手段としても機能する。搬送スクリュー62はトナー補給槽60のトナーを回転しながら搬送し、トナー排出口61から第2室53へトナーを供給する。スクリュー59がトナー補給槽60から供給されたトナー63と既に現像器44に存在していた現像剤43とを撹拌することで、現像剤43におけるトナー粒子の濃度(トナー濃度)均一になる。隔壁51には図2における手前側と奥側の端部において第1室52と第2室53とを相互に連通させる通路(図示せず)が形成されている。第1室52内の現像剤43は現像によってトナーが消費されてトナー濃度が低下する。第1室52内の現像剤43はスクリュー58により一方の通路から第2室53内へ移動する。第2室53内でトナー濃度の回復した現像剤43がスクリュー59により他方の通路から第1室52内へ移動する。
現像器44の第1室(現像室)52の底壁にはトナー濃度検知手段である濃度センサ20が設置されている。濃度センサ20は現像器44の第1現像室52の内部に存在する現像剤43のトナー濃度を検知する検知手段である。濃度センサ20は現像剤43の透磁率を検知するインダクタンスセンサなどである。濃度センサ20はトナー濃度に対応した検出値を補給コントローラ110に出力する。補給コントローラ110は、濃度センサ20により検知されたトナー濃度が目標濃度に近づくように現像器44へのトナーの補給量を制御する制御手段として機能する。
カウンタ66はビデオカウント方式による消費トナーの算出手段であり、画像処理回路34の出力信号のレベルを画素毎にカウントする。パルス幅変調回路35の出力信号がANDゲート64の一方の入力に供給され、ANDゲート64の他方の入力には発振器65からのクロックパルスが供給される。従って、ANDゲート64はレーザ駆動パルスのパルス幅に対応した数のクロックパルス、即ち、各画素の濃度に対応した数のクロックパルスを出力する。カウンタ66は画像(原稿)毎にクロックパルス数を積算してビデオカウント値を求める(A4原稿での最大ビデオカウント値は3707×106である)。しかして、カウンタ66からの画像毎のパルス積算信号(ビデオカウント値)は、原稿31のトナー像を1つ形成するために現像器44で消費されるトナー量に対応している。カウンタ66のようなビデオカウンタはレーザ駆動パルスに同期したもの以外にも、画像データから直接的にカウントするカウンタ等様々であり、どのカウンタであっても本発明には適用できる。
補給コントローラ110は濃度センサ20の出力とビデオカウント値に基づいてトナー63の補給量を決定し、補給ドライバ69を通じてトナー補給手段であるモータ70を制御する。モータ70の駆動時間や駆動回数は基本的に補給量に比例する。モータ70の駆動力はギア列71を介して搬送スクリュー62に伝達される。搬送スクリュー62はトナー補給槽60内のトナー63を搬送して現像器44に補給する。
<補給制御について>
図3は実施例の補給コントローラ110のブロック図である。補給コントローラ110は、とりわけ、バンドストップフィルタ113と第1決定部114を有している。バンドストップフィルタ113は、濃度センサ20により検知されるトナー濃度においてスクリュー58、59による現像剤の循環周期に応じて発生する長周期のリップルを低減するフィルタ手段の一例である。第1決定部114は、バンドストップフィルタ113により長周期のリップルを低減されたトナー濃度に基づき補給量のうち第1補給量を決定する第1決定手段の一例である。図3が示すその他の機能については図4を参照しながら説明する。現像剤の循環周期に応じて発生するリップルの周期は、たとえば、30secや60secなどである。一方で、スクリュー58、59の回転周期(攪拌周期)に応じてトナー濃度には短周期のリップルが生じする。このリップルの周期は、たとえば、0.1secや0.2sec程度である。短周期のリップルについては平均化部121によって低減される。
図4はCPU67の動作を示すフローチャートである。画像形成装置に外部電源から電力が供給されて起動すると、CPU67は記憶部68のROMから制御プログラムを読み出して実行することで図3に示したような様々な機能を実現する。なお、各機能は論理回路によってハードウエア化されてもよい。
S201でCPU67は待機状態に入り、操作部や外部のコンピュータから画像形成の要求を受信したかどうかを判定する。画像形成の要求がなければS215に進む。S215でCPU67は操作部から電源OFFを指示されたかどうかを判定する。電源OFFを指示されていなければS201に戻る。電源OFFを指示されれば、CPU67は画像形成装置のシャットダウンを実行する。S201で画像形成の要求があればS202に進む。
S202でCPU67は記憶部68のRAMに記憶されている前回の遅延演算変数を読み出し、現像コントローラ120にスクリュー58、59の回転を指示する。現像コントローラ120はスクリュードライバ122にモータ72を駆動させる。モータ72はスクリュー58、59を回転させる。
S203でCPU67(差分部111)は、平均化部121の出力値と目標値決定部112により設定された目標値との差分を演算して求める。平均化部121は濃度センサ20の出力を平滑化する機能である。平均化部121は、攪拌周期に応じてトナー濃度に発生する短周期のリップルを低減する低減手段として機能する。
S204でCPU67(バンドストップフィルタ113)は差分部111から出力される差分Xnに対して次式を用いてフィルタ演算を実行し、Ynを求める。
Yn=b0×Xn+Pn−1 ・・・(1)
Pn=b1×Xn−a1×Yn+Qn−1 ・・・(2)
Qn=b2×Xn−a2×Yn ・・・(3)
ここで、Xnは差分部111の現在の出力値である。Ynはバンドストップフィルタ113の今回の出力値である。Pn、Qnは今回の遅延演算変数である。Pn−1、Qn−1は前回の遅延演算変数であり、記憶部68から読み出されたものである。CPU67は今回の演算で求めた遅延演算変数Pn、Qnを記憶部68に記憶し、次回の演算時に利用する。係数a1、a2、b0、b1、b2は画像形成装置の設計時や工場出荷時に予め決定されるフィルタ係数である。本実施例では、Ynが0.1secごとに演算される。
図5(A)はバンドストップフィルタ113について周波数とゲインとの関係を示すボード線図である。図5(B)はバンドストップフィルタ113について周波数と位相との関係を示すボード線図である。実線は30secの周期のリップルを低減するように設定されたバンドストップフィルタ113の特性を示している。破線は60secの周期のリップルを低減するように設定されたバンドストップフィルタ113の特性を示している。とりわけ、実線で示した特性のバンドストップフィルタ113を構成するためのフィルタ係数は以下のとおりである。
a1=−1.97723・・・(4)
a2=0.977668・・・(5)
b0=0.990025・・・(6)
b1=−1.97723・・・(7)
b2=0.987643・・・(8)
このようにこれらのフィルタ係数は低減すべきリップルの周期に応じて予め決定される。なお、フィルタ係数を変更せずに、Ynの演算を実行する間隔(演算実行間隔)を変更してもバンドストップフィルタ113の特性を変えることができる。
S205でCPU67(第1決定部114)はバンドストップフィルタ113の出力値Ynに基づき第1補給量を決定する。第1決定部114は、PIコントローラ(比例・積分コントローラ)であり、現在の出力値Ynと前回までの出力値の累積値Tnとを加算して第1補給量R1nを決定する。
R1n=g1×Yn + g2×Tn・・・(9)
Tn=Tn−1+Yn・・・(10)
g1、g2はゲインであり、予め設定される係数である。
S206でCPU67(第2決定部116)はカウンタ66からビデオカウント値を入力する。S207でCPU67(第2決定部116)はビデオカウント値に後述する演算を適用して第2補給量R2nを決定する。S208でCPU67(合算部117)は第1補給量R1nと第2補給量R2nを合算して合算値Rnを求める(Rn=R1n+R2n)。S209でCPU67(演算部118)は補給量のバッファ値Bnに合算値Rnを加算する(Bn=Bn−1+Rn)。なお、バッファ値Bnの初期値は、たとえば、ゼロである。
S210でCPU67は補給ドライバ69に対して前回補給を指示してからの経過時間が所定時間を超えたかどうかを判定する。CPU67はタイマーやカウンタを用いて補給を指示してからの経過時間を計時しているものとする。CPU67は補給を指示するとタイマーをゼロにリセットする。補給が指示されると、補給ドライバ69はモータ70を駆動し、スクリュー58、59を回転させ、トナー63を現像器44に補給する。経過時間が所定時間を超えていなければS211に進む。経過時間が所定時間を超えていればS213に進む。所定時間は、現像器44におけるトナー濃度の均一化を図るための時間であり、実験やシミュレーションによって予め決定される。現像器44において現像剤43とトナー63の撹拌が不十分な状態で次の補給を実行してしまうと、現像器44には局所的にトナー濃度の濃い部分ができてしまう。そこで、補給開始から所定時間にわたって攪拌を継続し、その後に補給を許可することで、トナー濃度の均一化が達成される。
S211でCPU67(演算部118)はバッファ値Bnが所定の単位補給量r以上に達したかどうかを判定する。バッファ値Bnが単位補給量r以上であれば、S212に進む。バッファ値Bnが単位補給量r以上でなければ、S213に進む。
S212でCPU67(演算部118)は補給ドライバ69に補給を指示するとともに、バッファ値Bnから単位補給量rを減算する。補給ドライバ69は指示にしたがってモータ70を駆動して現像器にトナー63を補給する。
S213でCPU67はスクリュー58、59による攪拌を継続するかどうかを判定する。たとえば、CPU67は、S201で検知された画像形成要求による画像形成が継続していれば、攪拌を継続すべきと判定する。また、CPU67は画像形成が終了すれば、攪拌も停止すべきと判定する。攪拌を継続すべき場合はS203に戻り、CPU67は次の差分を算出する。攪拌を停止すべき場合はS214に進む。S214でCPU67は各種の演算値(例:遅延演算変数Pn、Qn、Bnなど)を記憶部68に記憶させる。なお、バッファ値Bnや第1補給量R1n、第2補給量R2nなどはゼロにリセットされる。その後、S201に戻る。このようにS203ないしS213までの一連の処理は、たとえば、0.1secごとに行われるものとする。そのため、単位補給量rは0.1secごとに補給されるトナー量に対応している。
<第2補給量の決定方法>
本実施例では濃度センサ20の出力値をフィードバックする補給量の決定処理はスクリュー58、59の動作中に0.1sec間隔で実行される。ただし、ビデオカウント値は1枚の画像あたりの積算値である。積算値をそのまま補給量に換算してしまうと、0.1secごとの補給量が過剰になってしまう。これは第1補給量R1nが0.1secごとに出力される濃度センサ20の出力値に基づいて決定されるからである。よって、ビデオカウント値に基づいて決定される第2補給量R2nも0.1secごとに分散された補給量とされる。そこで、第2決定部116はビデオカウント値に基づく補給量を所定回数に分割して出力する。
図7はCPU67(第2決定部116)の動作を示すフローチャートである。第2決定部116はスクリュー58、59が回転を開始すると同時に補給量決定の演算を開始する。
S301で第2決定部116は記憶部68から前回の演算値を読み出す。S302で第2決定部116はカウンタ66からビデオカウント値(積算値)を入力する。S302はスクリュー58、59が回転している間にわたり、0.1secごとに行われるが、画像1枚あたりのビデオカウント値の積算が終了するまでは、ビデオカウント値として0が入力される。積算が終了した時点で積算値が1回で入力される。
S303で第2決定部116は入力されたビデオカウント値が0かどうかを判定する。ビデオカウント値が0の場合、第2決定部116は現在の第2補給量を変更せずにS307に進む。ビデオカウント値が0でなければS305に進む。
S305で第2決定部116は第2補給量U2kを決定する。第2補給量U2kは、たとえば、以下の式で決定される。
U2k=g2×(U2k−1×C+V)÷D・・・(11)
ここでU2kは今回決定された第2補給量である。U2k−1は前回決定された第2補給量である。Vは入力されたビデオカウント値(積算値)である。Dは分割数である。Cは分割カウンタの現在値である。分割カウンタCは0以上の整数であり、初期値は分割数Dである。分割カウンタCは0になるまでS308において0.1secごとに1ずつ減算される。
なお、U2kはS305を実行する度に更新される。つまり、U2kはS305を実行するか、または、カウント値Cがゼロになるまで更新されず、R2nとして使用される。ところで、1つ目のビデオカウント値が入力されてそれに対応する補給量のトナーを補給し終わる前に、次のビデオカウント値が入力されてしまうことがある。つまり、1つ目のビデオカウント値についての総補給量のうちの残量を次のビデオカウント値についての補給量に対して繰り越す必要がある。U2k−1×Cは、この繰り越される補給量を意味している。たとえば、1つ目のビデオカウント値に対して次のビデオカウント値がすぐに入力されると、Cはまだ大きな値であり、1つ目のビデオカウント値に対応する補給量の大部分が繰り越される。Cがゼロであれば、1つ目のビデオカウント値に対応する補給量が繰り越されることはない。
このように分割カウンタCが0でない場合、前回のビデオカウント値に対する分割補給量の出力が終了してない。そのため、(11)式が示すように、第2決定部116は残補給数(U2k−1×C)と新規に入力されたビデオカウント値Vとを合算することで、再度、第2補給量U2kを求める。分割カウンタCが0の場合、第2決定部116は今回のビデオカウント値Vから第2補給量U2kを決定する。ここで決定された第2補給量がそれ以降、第2補給量R2nとして用いられる(R2n=U2k)。
S306で第2決定部116は分割カウンタCに分割数Dを設定する。
C=D ・・・(12)
S307で第2決定部116は分割カウンタCが0かどうかを判定する。分割カウンタCが0でなければビデオカウント値Vに基づく分割補給が完了していないため、S308に進む。S308で第2決定部116は分割カウンタCから1を減算する。一方で、分割カウンタCが0であれば分割補給が完了しているため、S309に進む。S309で第2決定部116は第2補給量R2nに0を設定する。
S310で第2決定部116は第2補給量R2nを合算部117に出力する。S311で第2決定部116は攪拌を継続すべきかどうかを判定する。S311の判断手法はS213と同様である。攪拌を継続すべき場合、S302に戻る。攪拌を停止すべき場合、S312に進む。S312で第2決定部116は記憶部68に分割カウンタCと第2補給量R2nを記憶させる。
<バンドストップフィルタの導入に伴う処理>
スクリュー58が回転している間、濃度センサ20の検出値には特定の周波数のリップルが生じる。長周期のリップルの周波数はトナーの循環周期の逆数である。バンドストップフィルタ113は、この長周期のリップルを濃度センサ20の検出値から低減するために設けられている。さらに、スクリュー58の攪拌周期(回転周期)に応じた短周期のリップルも発生する。トナーの循環に伴うリップルの周期は30sec程度であるのに対して、回転周期に伴うリップルの周期は0.1sec程度である。これらの周期の数値は例示にすぎない。よって、短周期のリップルを低減するための手段も必要となる。なお、スクリュー58が回転している間、濃度センサ20の検出値は所定間隔で取得される。
図7(A)は濃度センサ20の検出値D1と、検出値の移動平均D2と、初期マスクを伴う平均値D3とを例示している。図7(B)は図7(A)のうち初期マスクが適用される期間の部分を拡大した図である。図7(A)および図7(B)において実線は濃度センサ20の検出値D1を示している。破線は検出値の移動平均D2を示している。一点鎖線は初期マスクを伴う平均値D3を示している。
図7(A)および図7(B)の実線が示すように、スクリュー58の回転に伴い、濃度センサ20の検出値D1は脈動する。これは、濃度センサ20によって検出される現像剤43のトナー濃度がスクリュー58の回転周期に応じて変動するからである。そこで、平均化部121はスクリュー58の回転周期に応じて検出値D1を平均化し、平均値を差分部111に出力している。
ページごとに補給量を演算する場合、スクリュー58が回転し始めてから十分に余裕をもって平均化が実行されれば、短周期のリップルは小さくなる。しかし、バンドストップフィルタ113は、スクリュー58が回転している間は所定間隔で濃度センサ20の検出値を必要とする。つまり、スクリュー58が回転し始めてすぐに平均値が必要になる。
図7(A)および図7(B)の破線が示すように、単純に濃度センサ20の検出値D1に対して移動平均D2を求めると、スクリュー58の回転し始めのところでは移動平均D2が収束しない。そこで、平均化部121は図8に示すフローによって平均化処理を行っている。とりわけ、平均化部121は、スクリュー58の回転を開始した直後の所定期間にわたって発生する不安定領域をマスクして平均化を実行する。これは、演算に必要となるメモリ容量を削減できる効果ももたらす。このように、平均化部121は、スクリュー58、59が作動を開始してから所定期間にわたって濃度センサ20から出力されるトナー濃度についてはマスクして第1補給量R1nに反映させないマスク手段の一例である。
図8を用いて平均化部121が実行する平均化演算について説明する。平均化部121はスクリュー58、59が回転を開始すると平均化の演算を開始する。
S401で平均化部121は、前回、スクリュー58、59が停止したときに保存した最後の平均化出力値(平均値)を記憶部68から読み出す。S402で平均化部121はマスクカウンタCmと累積カウンタCaに0を設定する。マスクカウンタCmは、濃度センサ20の検出値D1のうちマスク対象となるものを管理するためのカウンタである。累積カウンタCaは、検出値D1を何回累積したかをカウントするためのカウンタである。S403で平均化部121は累積カウンタCaに1を加算する。S404で平均化部121はマスクカウンタCmが所定値Cmxに達しているかどうかを判定する。所定値Cmxは、マスクされる平均値の総数を示している。マスクカウンタCmが所定値CmxであればS406に進む。マスクカウンタCmが所定値でなければ、S405に進む。S405で平均化部121はマスクカウンタCmに1を加算する。
S406で平均化部121は検出値D1の累積値Daに現在の濃度センサ20の検出値D1を加算(累積演算)する。S407で平均化部121は累積カウンタCaが所定値Caxに達したかどうかを判定する。累積カウンタCaが所定値Caxに達していなければS408およびS409をスキップしてS410に進む。所定値Caxは検出値D1の累積総数であり、予め定められている。累積カウンタCaが所定値Caxに達していればS408に進む。
S408で平均化部121は累積カウンタCaを0に設定する。S409でマスクカウンタCmが所定値Cmx達しているかどうかを判定する。所定値Cmxの値は、図7(B)が示すようにスクリュー58の回転を開始したタイミングから、移動平均D2が最終的な平均値D3に収束するタイミングまでの時間に対応している。マスクカウンタCmが所定値Cmxに達していなければ、検出値D1には初期の変動成分が残存しているため、マスクされるべきである。よって、S410に進む。なお、マスクカウンタCmが所定値Cmxに達していれば、検出値D1には初期の変動成分が残存していないため、マスクは不要である。よって、S411に進む。
S410で平均化部121は差分部111へ出力する平均値D3として記憶部68に記憶しておいた前回の平均値D3’を設定する。S411で平均化部121は累積値Daを累積数である所定値Caxで除算して平均値D3を求める。S412で平均化部121は平均値D3を差分部111に出力する。S413で平均化部121は撹拌を継続すべきかどうかを判定する。これはS213やS311と同様の判定処理である。撹拌を継続すべきであればS403に戻る。撹拌を停止すべきであればS414に進む。S414で平均化部121は記憶部68に最後の平均値D3を記憶させる。
このように本実施例によればバンドストップフィルタ113を採用することで、トナーの循環周期に依存してトナー濃度に生じる長周期のリップルを低減できるようになる。さらに平均化部121を採用することでスクリュー58、59の攪拌周期に依存してトナー濃度に生じる短周期のリップルを低減できるようになる。さらに、トナー濃度の検出値のうち、スクリュー58、59の回転を開始してからの所定期間において取得されたトナー濃度をマスクすることで、回転初期の変動成分の影響を削減できる。なお、所定期間においては過去の検出値の平均値D3’を用いることで、バンドストップフィルタ113にとって必要なデータを用意することが可能となる。
<比較例1について>
実施例の効果を説明するために比較例1について説明する。比較例1は実施例から平均化部121とバンドストップフィルタ113を省略したものである。
図9は比較例1の補給コントローラのブロック図である。平均化部121が省略されるため、差分部111は、濃度センサ20からの検出値D1nと目標値決定部112により決定された目標値Dtとの差分Xnを算出する。またバンドストップフィルタ113が省略されるため、第1決定部114は今回の差分Xnに所定のゲインg1を乗じたものと、前回までの差分の累積値Tnに所定のゲインg2を乗じたものとの和を第1補給量R1nとして決定する。
R1n=g1×Xn + g2×Tn・・・(13)
Tn=Tn−1 + Xn・・・(14)
なお、比較例1の第2補給量R2nは実施例のものと同じである。比較例1のフローチャートは実施例のフローチャートから平均化部121とバンドストップフィルタ113に関連したステップを省略したものとなる。つまり、省略されるステップは、S202の変数の読み出しやS204のフィルタ演算などである。
<比較例2について>
比較例2は、実施例1のS207で、図6に示すビデオカウント値に基づく補給量を所定回数に分割して出力する処理を省略したものである。つまり、ビデオカウント値(1枚の画像あたりの積算値)から換算される補給量が一度に合算値に反映されることになる。比較例2において実施例のS207および図6に示した処理を除くその他の処理は実施例と同じである。つまり、比較例2のブロック図は図3と同じものとなる。また、図8に示したマスク処理も使用される。第2の補給量R2nはゼロでないVが入力されたときは(15)式で算出される。Vがゼロのときは、第2の補給量R2nもゼロとなる
R2n=g2×V・・・(15)
<実施例の補給制御の効果の説明>
実施例を比較例1と比較例2と比較することで実施例の効果を説明する。図10(A)は実施例における濃度センサ20の出力値を示している。図10(B)は比較例1の濃度センサ20の出力値を示している。なお、実施例の出力値と比較例1の出力値にはそれぞれ等価なフィードバックゲインが設定されている。図10(C)は比較例1のゲインを実施例よりも低下させたときの出力値を示している。
図10(A)と図10(B)を比較すると、実施例は平均化処理とフィルタによって周期の異なる複数のリップルを十分に低減できていることがわかる。つまり実施例では出力値が目標値に素早く収束している。比較例1では実施例と等価なフィードバックゲインが設定されているため、出力値に大きなリップルが生じてしまう。これは、現像器44の小型化によりトナーが十分に撹拌できていないからである。つまり、比較例1では濃度センサ20の検知部分にはトナー濃度が均一でない現像剤が押し寄せる。その影響がトナーの補給量にフィードバックされてしまい、制御発振が発生する。この発振を防ぐために、フィードバックゲインを下げることが考えられる。しかし、フィードバックゲインを下げると図10(C)が示すように、出力値が目標値に戻る能力が低下してしまう。よって、外乱によって出力値が一旦目標値から乖離すると、乖離した状態が長く続くようになってしまう。
これに対し、実施例では、トナーの循環周期に依存した濃度センサ20の出力値の変動をバンドストップフィルタ113により低減できている。また、攪拌周期に応じた濃度センサ20の出力値の変動を平均化部121により低減できている。よって、実施例は、フィードバック制御への変動の影響も小さくなり、目標値への良好な追従性と良好な収束性を実現できる。
また、実施例ではバンドストップフィルタ113の演算周期をスクリューの動作に同期させてもよい。これはバンドストップフィルタ113の演算周期が画像サイズの影響を受けないことを意味する。
図10(D)は比較例2の濃度センサの出力値を示している。図10(D)を図10(A)と比較すると、図10(D)では所々、波形のリップルが大きくなっているところがある。図11(A)は実施例の合算部117が出力する合算値を示している。図11(B)は実施例の演算部118における補給バッファ値を示している。図11(C)は比較例2の合算部117が出力する合算値を示している。図11(D)は比較例2の演算部118の補給バッファ値を示している。
比較例2では実施例のようにスクリューの動作に同期して、細かいステップで補給量の演算が実行される。そのため、図11(C)が示すように、離散的に入力されるビデオカウント値が相対的に大きな値になってしまうことがある。つまり比較例2では過剰な補給量となることがある。これが、図10(D)に示したリップルの原因になっていた。
これに対して実施例では図11(A)が示すようにバランスよくビデオカウント値が分散されて補給量に反映される。そのため、実施例では図10(A)が示すように濃度センサ20の出力値が良好に推移する。
<プロセス速度に応じた阻止帯域の調整>
画像形成装置は、複数のプロセス速度(画像形成速度や搬送速度と呼ばれることもある)を有し、転写材48などの記録媒体の特性(厚みや素材など)に応じてプロセス速度を切り替える。たとえば、厚紙に画像を形成するときのプロセス速度は普通紙のプロセス速度よりも遅い。厚紙にトナーを定着させるには、定着器においてより多くの熱を厚紙に加える必要があるからである。そのため、プロセス速度を遅くすることで厚紙が定着器を通過する時間を長くし、厚紙への熱量を増加させている。
上述したようにスクリュー58、59はモータ72によって駆動されるが、スクリュー58、59の回転速度はプロセス速度(画像形成速度)に比例している。これはトナーが消費されるスピードはプロセス速度に比例するため、トナーを循環させるスピードもプロセス速度に比例させる必要があるからである。
このようにCPU67は記録媒体の種類が指定されると、その種類に応じてプロセス速度を変更する。つまり、CPU67はスクリュー58、59の回転速度も変更し、現像剤の循環周期も変化する。上述したように、長周期のリップルは現像剤の循環周期に対応しているため、循環周期が変更されると、リップルの周期(周波数)も変化してしまう。したがって、CPU67が記録媒体の種類やプロセス速度に応じてバンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整すれば、複数のプロセス速度を有する画像形成装置においても、現像器へのトナーの補給を高精度に制御できるであろう。
ここで、バンドストップフィルタ113の阻止帯域は、一般にはフィルタ係数を変更することで調整可能である。ただし、バンドストップフィルタ113をディジタルフィルタによって実現する場合、上述したフィルタ演算の演算実行間隔を変更することでも、阻止帯域を変更することができる。たとえば、普通紙用のプロセス速度に対するリップルの周期が30secであり、普通紙用のプロセス速度に対する演算実行間隔が0.1secであると仮定する。厚紙用のプロセス速度に対するリップルの周期が60secであったと仮定すると、厚紙用のプロセス速度に対する演算実行間隔を0.2secに変更すれば、リップルを低減できるようになる。なお、演算実行間隔は、S203ないしS213から構成される1つの演算ループを実行する時間的な間隔のことである。演算実行間隔が0.1secであれば、0.1secごとにこの演算ループが1回実行されることを意味する。
図12はCPU67が実行する機能として追加される機能の一例を示すブロック図である。種類特定部151は、操作部やホストコンピュータ、センサから入力される情報に基づき記録媒体の種類を特定する。センサとしては、たとえば、記録媒体の透過光量に基づき坪量を検知する光学式のセンサや超音波の透過量に基づきと坪量を検知する超音波センサなどがある。種類特定部151は、記録媒体の種類を示す情報を速度決定部152に出力する。速度決定部152は、記録媒体の種類を示す情報(例:普通紙、厚紙など)に基づきプロセス速度を決定し、プロセス速度を帯域調整部153に出力する。また、速度決定部152は、プロセス速度に基づきスクリュー58、59の回転速度を決定し、現像コントローラ120に設定する。なお、記憶部68は、記録媒体の種類を示す情報とプロセス速度との対応関係を示すテーブルやデータベースなどの情報を保持していてもよい。また、記憶部68は、プロセス速度とスクリュー58、59の回転速度との対応関係を示すテーブルやデータベース、換算関数などを保持していてもよい。これにより、速度決定部152は、記憶部68に記憶されている情報を参照し、プロセス速度や回転速度を決定してもよい。帯域調整部153は、プロセス速度に応じてバンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整する。帯域調整部153は、たとえば、プロセス速度が第1プロセス速度V1であれば、30secの周期のリップルを低減するように阻止帯域を調整する。また、帯域調整部153は、たとえば、プロセス速度が第2プロセス速度V2であれば、60secの周期のリップルを低減するように阻止帯域を調整する。第1プロセス速度V1は普通紙用のプロセス速度であり、第2プロセス速度V2は厚紙用のプロセス速度である。なお、上述したフィルタ演算を実行する場合、帯域調整部153は、演算実行間隔を設定することで阻止帯域を調整してもよい。バンドストップフィルタ113は帯域調整部153により設定された阻止帯域にしたがって動作し、長周期リップルを低減する。記憶部68は、プロセス速度と阻止帯域との対応関係を示すテーブルやデータベース、換算関数などを記憶していてもよい。帯域調整部153はプロセス速度に基づき記憶部68に記憶されている情報を参照し、阻止帯域を取得してもよい。タイマー154は、トナー濃度のサンプリングから補給量の演算までの一連のフィルタ演算を実行する間隔を管理するためのタイマーである。演算実行間隔を変更することで、阻止帯域を調整する場合、帯域調整部153は、プロセス速度に応じた演算実行間隔をタイマー154に設定する。記憶部68は、プロセス速度と演算実行間隔との対応関係を示すテーブルやデータベース、換算関数などを記憶していてもよい。帯域調整部153はプロセス速度に基づき記憶部68に記憶されている情報を参照し、演算実行間隔を取得してもよい。なお、帯域調整部153は、プロセス速度に対応するフィルタ係数を記憶部68から取得してバンドストップフィルタ113に設定してもよい。
図13は、図4に示したフィルタ演算処理に追加されるステップを示すフローチャートである。図4に示したS202とS203との間にS501ないしS503が追加される。S501でCPU67(種類特定部151)は、操作部やホストコンピュータ、センサから入力される情報に基づき記録媒体の種類を特定する。S502でCPU67(速度決定部)は記録媒体の種類に応じたプロセス速度を決定する。S503でCPU67(帯域調整部153)はプロセス速度に応じてバンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整する。阻止帯域を調整する方法は、フィルタ係数を調整する方法と演算実行間隔を調整する方法とがある。
図14は、フィルタ演算処理に追加されるステップを示すフローチャートである。ここでは、S503の阻止帯域の調整ステップをS601ないしS603により構成している。S601でCPU67(帯域調整部153)はプロセス速度に応じて演算実行間隔を決定する。S602でCPU67はタイマー154をゼロにリセットする。S603でCPU67はタイマー154により計時された時間と演算実行間隔に基づき演算タイミングが到来したかどうかを判定する。演算タイミングは、演算実行間隔ごとに定期的に到来する。たとえば、演算実行間隔が0.2secであれば、演算タイミングは0.2secごとに到来する。演算タイミングが到来すると、CPU67は上述したS203ないしS213を実行する。ただし、S213で攪拌を継続すべきと判定すると、CPU67はS602に戻ってタイマー154をリセットし、次の演算タイミングを待つ。
このようにプロセス速度に応じてバンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整することで、プロセス速度に応じて周期が変化する長周期リップルを低減できるようになる。これにより、複数のプロセス速度を有する画像形成装置においても、現像器へのトナーの補給を高精度に制御することが可能となる。
ところで、搬送路に設けられた搬送ローラや担持ベルト47、感光ドラム40、定着器はプロセス速度に一致した周速度で回転する。上述したようにスクリュー58、59はプロセス速度に比例した回転速度で回転する。つまり、モータ72は、スクリュー58、59だけでなく、他の回転体を駆動してもよい。また、他の回転体は別のモータによって駆動されてもよい。いずれにしてもスクリュー58、59はプロセス速度に比例した回転速度で回転する。そのため、長周期のリップルの周波数はプロセス速度に応じて変化する。
<まとめ>
本実施例によれば、補給制御手段110はバンドストップフィルタ113と第1決定部114を備えている。バンドストップフィルタ113は濃度センサ20により検知されるトナー濃度においてスクリュー58、59によるトナーの循環周期に応じて発生する長周期のリップルを低減する。第1決定部114はバンドストップフィルタ113により長周期のリップルを低減されたトナー濃度に基づき第1補給量R1nを決定する。これにより現像器44へのトナーの補給を高精度に制御することが可能となる。とりわけ、現像器44の小型化や低容量化を図ろうとすると、長周期のリップルが目立つようになる。よって、この長周期のリップルを低減することで、現像器44へのトナーの補給高精度になる。つまり、これまでは両立の難しかった補給の高精度化と現像器44の小型化や低容量化とを両立できるようになる。
図4を用いて説明したように、バンドストップフィルタ113は、たとえば、スクリュー58、59の作動中に所定間隔でフィルタ演算を実行するように構成されている。S214などに関して説明したように、補給コントローラ110は、スクリュー58、59が停止したときにバンドストップフィルタ113により使用されていた演算変数を記憶する記憶部68を有している。S202やS204に関して説明したように、バンドストップフィルタ113は、スクリュー58、59が作動を開始すると、記憶部68から読み出した演算変数Pn、Qnなどを用いてフィルタ演算を実行するように構成されている。これにより、前回の演算変数Pn、Qnを引き続き用いて精度よくリップルを低減できるようになる。
補給コントローラ110は、スクリュー58、59が作動を開始してから所定期間にわたって濃度センサ20から出力されるトナー濃度についてはマスクして第1補給量R1nに反映させない平均化部121をさらに有していてもよい。図7に関して説明したように、濃度センサ20の検出値D1について移動平均D2を求めたとしても、スクリュー58、59が作動を開始してから所定期間では、移動平均D2が実際の値に収束しない。そこで、スクリュー58、59が作動を開始してから所定期間について、検出値D1について移動平均D2をマスクすることで、さらに、現像器44へのトナーの補給を高精度に制御することが可能となる。
また、平均化部121は、スクリュー58、59の攪拌周期に応じてトナー濃度に発生する短周期のリップルを低減する低減手段として機能してもよい。上述したように、スクリュー58、59はモータによって駆動されて回転し、トナーを攪拌しながら搬送する。よって、スクリュー58、59の回転周期に応じた短周期のリップルが発生する。よって、平均化部121が短周期のリップルを低減することで、現像器44へのトナーの補給を高精度に制御することが可能となる。
図8に関して説明したように、平均化部121は、スクリュー58、59が停止したときのトナー濃度(例:検出値D1や平均値D3など)を記憶部68に保持しておいてもよい。平均化部121は、スクリュー58、59が作動を再開すると所定期間においては、マスクされたトナー濃度に代えて記憶部68に保持しておいたトナー濃度を第1補給量R1nに反映させてもよい。バンドストップフィルタ113は、スクリュー58、59が作動を再開するとすぐにトナー濃度のデータが必要となる。しかし、マスク期間においてはトナー濃度が提供されない。そこで、記憶部68はスクリュー58、59が停止するときにトナー濃度を記憶し、スクリュー58、59の回転を再開するときに平均化部121がそれを読み出して使用する。これにより、スクリュー58、59が作動を再開するとすぐにトナー濃度(平均値)をバンドストップフィルタ113に供給できるようになる。スクリュー58、59が停止している間は、トナー63が補給されることはないため、現像剤43のトナー濃度も変化しない。よって、前回の補給時のトナー濃度を今回の補給時のトナー濃度として活用しても、補給量の演算精度はそれほど低下しないだろう。
平均化部121は、濃度センサ20が出力するトナー濃度の平均値を求める平均化手段として機能してもよい。この場合、補給コントローラ110はトナー濃度の平均値を用いて補給量を制御する。平均化部121は、濃度センサ20が出力するトナー濃度の移動平均値を求めてもよい。移動平均値を求めるにはそれほど多くのトナー濃度の検出値を必要としないため、トナー濃度の検出値を保持するための記憶容量を削減できるようになる。なお、移動平均値を算出するために使用されるサンプル数(トナー濃度の検出値の数)は、短周期のリップルを低減できる程度の数に設定される。
図3を用いて説明したように、差分部111はトナー濃度(平均値)と目標濃度との差分Xnを算出してもよい。この場合、バンドストップフィルタ113はトナー濃度についての差分Xnに対してフィルタ演算を施して差分に含まれている周波数成分のうちリップルの周波数成分を低減する。このようなバンドストップフィルタ113の周波数通過特性は図5(A)に示したように、リップルの周波数成分を低減するような周波数通過特性となる。このように、フィルタ演算に必要となる係数はリップルの周波数に依存して決定される。
図3を用いて説明したように、トナー濃度だけでなく、画像信号から求められるトナー消費量も加味して補給量を決定することで、トナーの補給量を安定的に制御できるようになる。この場合、カウンタ66は画像信号に基づき静電潜像を現像するために消費されるトナー量をカウントする。第2決定部116は、カウンタ66のカウント値に基づき第2補給量R2nを決定する。合算部117は、第1決定部114が決定した第1補給量R1nと第2決定部116が決定した第2補給量R2nとを合算する。CPU67、現像コントローラ120およびトナー補給槽60は合算部117の合算値に基づきトナーを現像器44に補給する。これにより、トナーの補給量を安定的に制御できるようになる。なお、第2決定部116は、カウント値を換算して得られる補給量を複数に分割して第2補給量R2nを決定してもよい。1つの画像あたりのトナー消費量はカウントが終了するまで判明しない。このトナー消費量を一度に補給量に反映すると、図11(C)や図11(D)を用いて説明したように補給量が安定しない。これはリップルの増加をもたらす。そこで、1つの画像あたりのトナー消費量を時間的に分散して補給量に反映させることで、図11(A)や図11(B)を用いて説明したように補給量が安定する。つまり、トナー濃度のリップルも低減される。
現像室と攪拌室とに分かれているような現像器44ではリップルが発生することがある。よって、本実施例を適用することで、現像器44へのトナーの補給を高精度に制御することが可能となる。
図12ないし図14を用いて説明したように、バンドストップフィルタ113や帯域調整部153は、現像剤の循環周期が変更されると、変更された循環周期に応じて長周期のリップルの阻止帯域を調整する。このように循環周期に応じてバンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整することで、循環周期に応じて周期が変化する長周期リップルを低減できるようになる。上述したように循環周期とプロセス速度は相関しているため、プロセス速度に応じて阻止帯域を調整することは、搬送速度や循環周期など、プロセス速度に相関するパラメータに応じて素子帯域を調整することに等しい。これにより、複数のプロセス速度を有する画像形成装置においても現像器へのトナーの補給を高精度に制御することが可能となる。
搬送路に設けられた搬送ローラや担持ベルト47、感光ドラム40、定着器の加圧ローラなどは記録媒体を搬送する搬送手段として機能する。上述したように、現像剤の循環周期は搬送手段の搬送速度であるプロセス速度に連動している。よって、搬送速度が変更されると循環周期も変更される。循環周期が変更されると、長周期リップルの周期(周波数)も変化するため、バンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整する必要がある。本実施例では、プロセス速度が変更されると、バンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整することで、プロセス速度に応じて周期が変化する長周期リップルを精度よく低減できるようになる。
バンドストップフィルタ113や帯域調整部153は、循環周期が変更されるとバンドストップフィルタ113のフィルタ演算の実行間隔を循環周期に応じて変更する。このように循環周期はプロセス速度と相関しているため、図14を用いて説明したように、循環周期に応じてフィルタ演算の実行間隔を調整することで、バンドストップフィルタ113の阻止帯域が調整される。つまり、バンドストップフィルタ113は、循環周期に応じた周波数成分を有する長周期リップルを低減する。
記録媒体の搬送速度(プロセス速度)は、記録媒体の種類に応じて第1搬送速度と、当該第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度とのうちから選択されてもよい。たとえば、第1搬送速度は普通紙用のプロセス速度V1であり、第2搬送速度は厚紙用のプロセス速度V2である。バンドストップフィルタ113は、担持ベルト47に対して第1搬送速度が選択されているときは第1搬送速度に対応する循環周期に応じた周波数成分のリップルを低減するように予め決定された第1フィルタ係数を用いてフィルタ演算を実行してもよい。また、バンドストップフィルタ113は、担持ベルト47に対して第2搬送速度が選択されているときは第2搬送速度に対応する循環周期に応じた周波数成分のリップルを低減するように予め決定された第2フィルタ係数を用いてフィルタ演算を実行してもよい。このようにバンドストップフィルタ113の阻止帯域は、演算実行間隔を変更せずにフィルタ係数を変更することで調整可能である。またバンドストップフィルタ113の阻止帯域は、フィルタ係数を変更せずに演算実行間隔を変更することでも調整可能である。
長周期リップルは現像剤の循環周期に相関しているため、帯域調整部153は循環周期に応じてバンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整するものとして説明した。上述したように循環周期に相関するパラメータとしてはプロセス速度(記録媒体の搬送速度)などがある。よって、帯域調整部153はプロセス速度に応じてバンドストップフィルタ113の阻止帯域を調整してもよい。また、プロセス速度と記録媒体の種類との間にも相関関係がある。よって、帯域調整部153は記録媒体の種類に応じて阻止帯域を調整してもよい。いずれの場合もリップルの周期や周波数に応じて適切に阻止帯域が調整されることになる。
20…濃度センサ、44…現像器、60…トナー補給槽、67…CPU、68…記憶部、110…補給コントローラ、113…バンドストップフィルタ、114…第1決定部、116…第2決定部、117…合算部、121…平均化部

Claims (9)

  1. 記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
    感光体と、
    前記感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    トナーとキャリアとを含む現像剤を蓄積し、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像する現像器であって、隔壁によって第1室と第2室とに分かれており、前記隔壁の一部は前記第1室と前記第2室とが連通するような形状になっている前記現像器と、
    前記現像器の前記第1室に設けられ、前記第1室の現像剤を第1方向へ搬送するために回転する第1スクリューと、前記現像器の前記第2室に設けられ、前記第2室の現像剤を前記第1方向と異なる第2方向へ搬送するために回転する第2スクリューとを備え、前記現像器内の現像剤を循環させる循環手段と、
    画像が形成される記録媒体に関する情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記情報に基づいて、前記循環手段を駆動させる駆動手段と、
    前記現像器にトナーを補給する補給手段と、
    前記現像器の前記第1室に蓄積された現像剤のトナー濃度に応じて変化する出力値を出力する出力手段と、
    前記取得手段により取得された前記情報に基づいて、前記現像器内の前記現像剤が前記第1室と前記第2室とを循環することによって前記出力値に生じるリップルの影響を抑制するための演算条件を決定する決定手段と、
    前記決定手段により決定された前記演算条件に基づいて、前記出力手段から出力された前記出力値から、前記現像器へのトナーの補給量を演算する演算手段と、
    前記演算手段により演算された前記補給量に基づいて前記補給手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記演算手段は、前記出力手段から出力された前記出力値を平均し、前記決定手段により決定された前記演算条件に基づいて前記出力値の平均値から前記補給量を演算することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記感光体は前記取得手段により取得された前記情報に応じた回転速度に基づ回転駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記情報は、前記画像形成装置が画像を形成する前記記録媒体の種類に関する情報であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、前記補給手段により前回補給が実施されてから所定時間が経過していなければ、前記補給手段に、前記現像器へトナーを補給させることを禁止する、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 入力された画像データに基づいて、前記現像器からのトナーの消費量を予測する予測手段を更に有し、
    前記制御手段は、前記予測手段により予測された前記消費量と、前記演算手段により演算された前記補給量とに基づいて、前記補給手段を制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御手段は、前記予測手段により予測された前記消費量を前記演算手段により前記補給量が演算される時間間隔に基づいて分割し、前記分割された消費量と前記演算手段により演算された前記補給量とに基づいて、前記補給手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記演算条件は、前記演算手段が前記補給量の演算を実行する時間間隔であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記演算条件は、補給量を演算するために用いるデジタルフィルタのフィルタ係数であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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