JP2005031327A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像剤量を容易に検知することができ、これにより良好な画質を維持するための処理を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像器4に設けられたATCセンサ8の検出領域内の現像剤の量が周期的に増減するように、現像剤をオーガー43a及びパドル44により変動させる。これによりATCセンサ8の出力値が周期的に増減する。このATCセンサ8の出力波形における上限近傍値の平均値をトナー濃度を示す値として算出する。更にATCセンサ8の出力波形における下限近傍値に依存する値、例えば、上限近傍値と下限近傍値との差分(ATC振幅値)を、現像剤量を示す値として算出する。算出されたATC振幅値に基づいて、ATC出力平均値の補正量を算出する。算出した補正量を用いてATC出力平均値の検出誤差を補正する。
【選択図】 図4
【解決手段】現像器4に設けられたATCセンサ8の検出領域内の現像剤の量が周期的に増減するように、現像剤をオーガー43a及びパドル44により変動させる。これによりATCセンサ8の出力値が周期的に増減する。このATCセンサ8の出力波形における上限近傍値の平均値をトナー濃度を示す値として算出する。更にATCセンサ8の出力波形における下限近傍値に依存する値、例えば、上限近傍値と下限近傍値との差分(ATC振幅値)を、現像剤量を示す値として算出する。算出されたATC振幅値に基づいて、ATC出力平均値の補正量を算出する。算出した補正量を用いてATC出力平均値の検出誤差を補正する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、像担持体上に形成された静電潜像を、収容されたトナーとキャリアを含有する現像剤を用いて現像することにより画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乾式複写機等の画像形成装置においては、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する現像装置が多用されている。このような画像形成装置においては、現像装置内のキャリアの磁力(透磁率)を検知する磁気センサによって二成分現像剤のトナー濃度(キャリアに対するトナーの比率)を検出し、この検出値に基づいてトナーを補給することによりトナー濃度が一定に保たれるように制御している。
【0003】
ところが、この磁気センサでは、現像装置内の現像剤量により検出値に誤差が生じるため、トナー濃度を精度高く制御できない、という問題がある。特に、現像動作によって消費されるトナーの補給とは別に、キャリアを補給することにより帯電性能の低下を抑制できるようにした画像形成装置においては、キャリアを徐々に補給し且つ排出するため、現像装置内の現像剤量が変動しやすい。このため検出値の精度が低下してトナー濃度制御が不正確となり、良好な画質を維持できない虞がある。
【0004】
一方、キャリアとトナーからなる二成分現像剤を用いた現像方法では、正常動作中にはキャリアの量(現像剤量)は一定以上の量が保持されるが、キャリア現像による急激なキャリアの減少といった異常動作時には、キャリアが感光体ドラムに移行して感光体ドラムが傷ついたり、感光体ドラム上の傷により画像上に筋が発生したり、搬送されたキャリアが感光体ドラムや中間転写ベルトのクリーニング装置を傷つけたり、といった問題が発生する。また、キャリアが極端に減少したことでマグロール(現像ロール)上に十分なトナーを供給することができず、結果として画像濃度が極端に低くなる、という問題も発生する。
【0005】
現像剤量を検出して、トナー濃度を制御する装置としては、トナー濃度センサとは別に現像剤量検出手段を設け、現像剤量検出手段により検出した現像剤量により、トナー濃度を制御する現像装置(例えば、特許文献1参照。)が知られている。また、磁気検知手段の出力値の振動の振幅値及び平均値、或いは振幅値及び最大値、或いは振幅値及び最小値の組み合わせを使って、現像剤の劣化具合及び現像剤の劣化により生じたトナー濃度の変化を判断してトナー濃度を制御する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−348134公報
【特許文献2】
特開平8−202138号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の現像装置では、現像剤量検出手段とトナー濃度センサの二つのセンサを用いるため、コストがかかる、という問題がある。また、この現像剤量検出手段は、現像漕から溢れ出た現像剤量により、現像漕内の現像剤量を検知するため、現像漕内の現像剤量が減少して現像漕から溢れ出なくなった場合には検知できない、という問題もある。また、上述した従来の画像形成装置では、現像剤量の劣化により生じるトナー濃度の変化に対しては対応することができるが、現像剤量の変動により生じるトナー濃度の検出誤差については全く考慮されておらず、検出誤差を補正することはできない。また、これら従来の装置では、キャリア(現像剤量)が急激に減少した場合についても何ら考慮されていない。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、現像剤量を容易に検知することができ、これにより良好な画質を維持するための処理を行うことができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、像担持体上に形成された静電潜像を、収容されたトナーとキャリアを含有する現像剤を用いて現像する現像器と、前記現像器内の現像剤の透磁率を検出する磁気センサと、前記磁気センサの検出領域内の現像剤の量が周期的に増減するように前記現像剤を変動させる変動手段と、前記現像剤の変動に応じて変化する前記磁気センサの出力波形における下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値を、前記現像器内の現像剤の量として算出する現像剤量算出手段と、前記算出された現像剤の量に基づいて、所定の処理を行う処理手段と、を含んで構成されている。
【0010】
磁気センサは、現像器内に収容されたトナーとキャリアを含有する現像剤の透磁率を検出する。変動手段は、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が周期的に増減するように現像剤を変動させる。このため、磁気センサの出力波形は周期的に変化する。
【0011】
出力波形の上限値は、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が最大、すなわち、キャリアの量が最大となるときの磁気センサの出力値である。出力波形の下限値は、検出領域内の現像剤の量が最小、すなわち、キャリアの量が最小となるときの磁気センサの出力値である。
【0012】
現像剤量算出手段は、現像剤の変動に応じて変化する磁気センサの出力波形における下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値を、現像剤の量として算出する。
【0013】
ここで、下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値について簡単に説明する。
【0014】
空気は、磁気センサが透磁率を検出する上で阻害要因となることが知られている。すなわち、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が少なく(検出領域内の空気量が多く)なると、磁気センサの検出が大きく阻害されることとなる。
【0015】
特に、現像器内の現像剤の全体量が減少したときには、磁気センサの検出がより大きく阻害されることとなる。このことから、磁気センサの出力波形の下限値は、現像剤の量の変化に対してより大きく変動する。
【0016】
また、相対的には、下限値だけでなく下限値を含む所定の範囲内の値も、現像剤の量の変化に対する変動は大きい。
【0017】
一方、現像剤の透磁率の変化は、磁気センサの出力値を変動させることから、下限値を含む所定の範囲内の値は、現像剤の量の変化だけでなく、透磁率の変化によっても変動する。このため、下限値を含む所定の範囲内の値そのものを現像器内の現像剤の量として用いることはできない。
【0018】
従って、下限値を含む所定の範囲内の値から透磁率の変化による変動を除いた値、すなわち下限値を含む所定範囲内の値に依存する値を、現像器内の現像剤の量として算出することにより、現像器内の現像剤の量を検知できる。
【0019】
下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値は、前述のとおり現像剤の量の変化に対して変動する値であるため、この値を現像剤の量として扱うこともできるし、また、下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値と、現像剤の実際の量との関係を予め求めておき、算出した値から現像剤の量を求めることもできる。
【0020】
なお、下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値は、例えば、上限値と下限値との差分であってもよいし、上限値を含む所定の範囲内の値の平均値と、下限値を含む所定の範囲内の値の平均値と、の差分であってもよい。また、例えば、下限値を含む所定の範囲内の値の、全出力値の平均値に対する相対値であってもよい。
【0021】
また、下限値を含む所定の範囲内の値は、該所定の範囲内にある値のいずれかであればよく、該値に下限値自体が含まれていなくともよい。例えば、ノイズなどの影響を除去するため、下限値や下限値の次に低い値は用いずに、3番目あるいは4番目に低い値を用いて処理することもできる。
【0022】
処理手段は、算出された現像剤の量に基づいて、所定の処理を行う。
【0023】
上述の画像形成装置は、前記磁気センサの出力値に基づいて、トナー濃度を算出するトナー濃度算出手段を更に含み、前記処理手段は、前記算出された現像剤の量に基づいて前記算出されたトナー濃度の補正量を算出し、算出した補正量を用いて前記算出されたトナー濃度を補正する処理を行うことができる。
【0024】
磁気センサの出力値に基づいて算出されたトナー濃度には、現像剤の量の変動による誤差があるが、処理手段は、前述の現像剤量算出手段により算出された現像剤の量に基づいて誤差(補正量)を算出し、この補正量を用いて、トナー濃度を補正することができるため、精度高くトナー濃度を算出することができ、トナー濃度を適正に制御することができる。
【0025】
前記処理手段は、前記変動手段の前記現像剤を変動させる周期に基づいて前記算出した補正量を変更し、変更した補正量を用いて前記トナー濃度を補正する処理を行うこともできる。
【0026】
すなわち、変動手段の現像剤を変動させる周期が変化することにより、上述の、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が変動し、磁気センサの検出領域の空気の量も変動する。従って、変動手段の現像剤を変動させる周期が変化にすることにより、磁気センサの検出値に誤差が生じることとなる。例えば、その周期が長いほど、その誤差は大きくなる傾向がある。
【0027】
従って、前述の補正量を変動手段の現像剤を変動させる周期に基づいて変更し、変更した補正量を用いてトナー濃度を補正することにより、精度高くトナー濃度を算出することができる。
【0028】
なお、変動手段の現像剤を変動させる周期が、画像の形成を行う際のプロセススピードの変化に連動して変化する場合には、該周期はプロセススピードと相関関係があるため、変動手段の現像剤を変動させる周期の代わりにプロセススピードに基づいて前記算出した補正量を変更し、変更した補正量を用いて前記トナー濃度を補正する処理を行うこともできる。
【0029】
前記処理手段は、前記算出された現像剤の量と、所定の閾値とを比較することにより前記現像剤の量が不足しているか否かを判断することもできる。
【0030】
このように、現像剤の量が不足しているか否かを判断することができれば、現像剤の量の不足により生じる問題、画像形成装置の構成部材の劣化や画質の異常等を未然に防ぐように適切な処理を行うことができる。
【0031】
前記処理手段は、前記現像剤の量が不足していると判断した場合には、現像剤の量が不足していることを示す情報を外部装置に送信するための処理、現像剤の量が不足していることを示す情報を報知するための処理、画像の形成を停止するための処理、及び、キャリアを補給するための処理、の少なくともいずれかの処理を行うこともできる。
【0032】
現像剤の量が不足していると判断されたときに、このような処理を行うことにより、画質の異常を未然に防ぎ、画像形成装置の構成部材の劣化を抑えることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態の画像形成装置を示す概略構成図である。
【0035】
図示される画像形成装置は、帯電器で感光体ドラム表面を帯電した後、レーザ光線の照射により静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー及びキャリアを含有する二成分現像剤により現像する現像器をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎に備えたタンデム型のカラー電子写真方式のフルカラー画像形成装置である。
【0036】
具体的には、画像形成装置は、Y、M、C、Kの各色毎のトナー像を形成する4つのユニット10Y,10M,10C,10Kと、4つのユニットに接触するとともに循環移動し、トナー像が1次転写される中間転写ベルト20と、4つのユニット10Y,10M,10C,10Kそれぞれで形成された各色のトナー像を中間転写ベルト20に1次転写する1次転写ロール5Y,5M,5C,5Kと、中間転写ベルト20上に1次転写されたトナー像を、図示しない搬送ロールにより搬送された用紙Pに2次転写する2次転写ロール15と、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧することにより用紙上に定着させる図示しない定着器とを備えている。
【0037】
中間転写ベルト20は、ベルトを駆動する図示しない駆動ロールと、従動ロール22と、ベルトに張力を加えるテンションロール23とに張架されて循環移動し、Y色トナー像が形成されるユニット10Yの上流側に、図示しないベルトクリーニング装置を備えている。
【0038】
4つの各ユニットは、トナー像が形成される感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを帯電する帯電器2Y,2M,2C,2Kと、帯電した感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに、外部から入力された画像データを画像処理し、YMCK色に分解された画像信号に基づいて変調された露光光を照射して静電潜像を形成する露光部3と、静電潜像にYMCK各色のトナーを付与して各色のトナー像を形成する現像器4Y,4M,4C,4Kと、中間転写ベルト20にトナー像を1次転写した後に感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に残留するトナーをクリーニングする図示しないクリーニング装置とを備えている。
【0039】
また、現像器4Y,4M,4C,4Kには、オーガーが内蔵されたパイプを経由してトナーボックス7Y,7M,7C,7Kが接続されている。トナーボックス7Y,7M,7C,7Kから現像器4Y,4M,4C,4Kに供給されるトナーの供給量は、ディスペンスモータ9Y,9M,9C,9Kの回転時間により調整される。このように、本実施の形態では、現像器4Y,4M,4C,4Kには、キャリアは補給されず、トナーのみが補給される構成となっている。また、現像器4Y,4M,4C,4Kには、現像器4Y,4M,4C,4K内の現像剤のトナー濃度を測定するATCセンサ8Y,8M,8C,8Kがそれぞれ設けられている。
【0040】
以下、画像形成装置のY、M、C、Kの各色毎に設けられた各構成要素について、いずれか一色を代表させて説明する場合には、符号の添え字Y、M、C、Kを省略する。
【0041】
図2は、現像器4の構成と、該現像器4とトナーボックス7との関係を模式的に示した図である。
【0042】
現像器4は、現像剤を収容する現像漕41と、現像ロール42と、2本のスパイラル状のオーガー43a、43bとを備えている。現像ロール42は、感光体ドラム1に隣接するように配設され、軸線周りに回転して現像漕41内の現像剤のキャリアに吸着したトナーを感光体ドラム1に供給する。これにより、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を顕像化する。2本のオーガー43a、43bは、現像漕41内の現像剤を攪拌しながら現像ロール42方向へ現像剤を搬送する。
【0043】
また、現像漕41の底面近傍における現像ロール8の反対側には、現像漕41内の現像剤の透磁率を検出するATCセンサ8が配設されている。ATCセンサ8は、一定時間間隔で現像剤の透磁率を検出し、検出結果として透磁率に相当する電圧値を後述するTC制御部35に出力する。
【0044】
図3は、現像器4内のATCセンサ8に近い側に設けられたオーガー43aを模式的に示した図である。板状のパドル44が、オーガー43aのATCセンサ8(図示せず)手前付近の部位に設けられている。
【0045】
オーガー43aは軸線周りに周期的に回転することにより、現像剤を攪拌すると共に現像剤を現像ロール42方向に搬送する。パドル44は、オーガー43aの周期的な回転に連動して回転する。これにより、ATCセンサ8の検出領域(センサ面手前)の現像剤が周期的に変動する。この結果、ATCセンサ8により検出されるセンサ面手前の現像剤の量が周期的に増減し、ATCセンサ8の出力値が周期的に変動する。
【0046】
画像形成装置は、更に、複写する原稿画像を読み取る画像読取部(IIT)30と、画像読取部30で読み取られた画像信号に基づいて画像処理を行い画像データを出力する画像処理部31と、画像処理部31で画像処理された画像データ、あるいはパーソナルコンピュータなどの外部から入力された画像データに、色変換を行なってYMCK色に分解しパルス幅変調を施すと共にプロセススピードを決定するコントローラ32と、を備えている。なお、プロセススピードは、画像を形成する速さ(一般には用紙を搬送する速度)をいう。
【0047】
画像形成装置には、更に、TC(TC:Toner Concentration、トナー濃度)制御部35が設けられている。
【0048】
TC制御部35は、図示されないCPU、ROM、及びRAMを備えたマイクロコンピュータで構成されており、トナー濃度及び現像剤量を検知して現像剤のトナー濃度の制御を行う。ROMには、ATCセンサ8からの出力波形に基づいてATCセンサ8の検出誤差を補正すると共に、補正した検出結果に基づいて現像剤のトナー濃度を制御するための処理を行う処理ルーチンのプログラムが記憶されている。また、図示されるディスペンス積算時間演算部37は、TC制御部35のCPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能であり、ATCセンサ8の検出結果に基いてディスペンスモータ9の回転時間を積算する処理を行う。
【0049】
また、TC制御部35のROMには、基準となる現像剤の量(基準現像剤量)で現像器が駆動したときのATC振幅値(後述)と、トナー濃度の補正量が記憶されたトナー濃度補正量テーブル(後述)とが予め記憶されている。
【0050】
TC制御部35には、UI(ユーザインタフェース)36、および通信インタフェース38が接続されている。
【0051】
UI36は、例えばディスプレイ上にタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報を表示したり、ユーザが操作することにより所望の情報や指示を入力したりすることができる。
【0052】
通信インタフェース38は、外部のコンピュータとネットワークを介して接続するためのインタフェースである。
【0053】
ここで、図1を参照しながら、画像形成装置の画像形成処理について、簡単に説明する。
【0054】
先ず、画像読取部(IIT)30で原稿から読み取られた画像データが画像処理部31に入力され、適切な画像処理が行われる。こうして得られた画像データはコントローラ32で各色毎に分解され、パルス変調が施される。また、このときコントローラ32は、画像を形成する際のプロセススピードを決定する。例えば、厚紙に画像を形成する場合には、プロセススピードを遅くするようにする。
【0055】
コントローラ32でパルス幅変調が施され、YMCK色に分解された画像データは、露光部3に送られレーザを駆動する。これにより、4つのユニット10Y,10M,10C,10Kそれぞれに対応した感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに露光光が照射される。露光光が照射された各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには、静電潜像が形成され、静電潜像は各現像器4Y,4M,4C,4Kで現像されて各色トナー像が形成される。各色トナー像は、1次転写ロール5Y,5M,5C,5Kにより中間転写ベルト20に重ね合わされて転写される。中間転写ベルト20上に転写されたトナー像は、2次転写ロール15により図示しない搬送ロールにより搬送された用紙に転写され、さらに図示しない定着器により加熱および加圧されて用紙上に定着する。以上の動作により1回の画像形成処理が終了する。
【0056】
現像器4Y,4M,4C,4Kの駆動中は、上述したATCセンサ8Y,8M,8C,8Kが所定の時間間隔で現像漕41内の現像剤の透磁率を検出する。この検出結果は、上述したTC制御部35に出力される。TC制御部35は、検出結果に基づいて現像器4Y,4M,4C,4K内の現像剤のトナー濃度を判断し、トナー濃度が適正に維持されるように制御する。なお、ここで、トナー濃度とは、現像剤のキャリアに対するトナーの比率をいう。
【0057】
次に、本実施の形態のTC制御部35により実行される処理ルーチンについて図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
ステップ100では、TC制御部35は、現像器4が駆動しているか否かを判断する。現像器4が駆動していないと判断した場合には、本処理ルーチンを終了する。現像器4が駆動していると判断した場合には、ステップ102で、ATCセンサ8の検出結果が入力されたか否かを判断する。
【0059】
ステップ102で、TC制御部35が、ATCセンサ8の検出結果が入力されたと判断した場合には、ステップ104に移行し、入力された検出結果に基づいて、ATC平均出力値及びATC振幅値を算出する。
【0060】
ここで、算出されるATC平均出力値及びATC振幅値について、具体的に説明する。
【0061】
図5は、ATCセンサ8の出力波形の一例を示した図である。ここでは、現像漕41内のATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤は、上述したオーガー43a及びオーガーに設けられたパドル44により周期的に変動するため、現像剤の透磁率を検出するATCセンサ8の出力波形は上下限を有する波形となる。
【0062】
ここで、図6(A)、(B)、(C)を用いて、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤の状態と比較しながら、図5の出力波形について説明する。
【0063】
図6(A)は、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤がパドル44により掻き集められた状態を示した図である。この状態のときには、センサ面手前の現像剤量が最大、すなわち、キャリアの量が最大となるため、このときのATCセンサ8の出力値は、図5における出力波形の上限値となる(図5のa)。
【0064】
図6(B)は、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤がオーガー43aのスクリュにより掻き集められた状態を示した図である。オーガー43aにより掻き集められる現像剤の量は、図6(A)のパドル44による量ほど多くないため、ATCセンサ8の出力値は、図5における出力波形の上限値より低くなる(図5のb)。
【0065】
図6(C)は、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤がパドル44により掻き取られた状態を示した図である。この状態のときには、センサ面手前の現像剤量が最小、すなわち、キャリアの量が最小となるため、このときのATCセンサ8の出力値は、図5における出力波形の下限値となる(図5のc)。
【0066】
図示されるように、図6(C)の状態のときは、他の状態と比べセンサ面手前に大きな空隙ができる。空気はキャリアの透磁率を検出する上での阻害要因となることから、空隙が大きくなるほど、磁気センサの透磁率の検出が阻害される。
特に、現像漕41内に現像剤量が少ない時に現像剤が掻き取られた後は、より空隙が大きくなるため、ATCセンサ8の検出に大きく影響する。従って、パドル44により現像剤が掻き取られた状態における出力値(下限値)は、現像剤量の変動に対してより大きく変動することとなる。
【0067】
逆に、図6(A)にように現像剤を掻き集めた状態のときの出力値(上限値)は、空隙が小さく、現像漕41内の現像剤量が変化しても下限値ほどの変動は持たない。
【0068】
すなわち、現像剤量の変化に対して、上限値の変動は小さく、下限値の変動は大きい。
【0069】
また、相対的には、上限値を含む所定範囲内の値(例えば、出力値の高い順に上位からN番目までの値(Nはサンプリングした出力値の個数以下の整数)、全体の平均値以上の値、予め定められた値以上の値、など)も、現像剤量の変化に対する変動は小さい。以下、上限値を含む所定の範囲内の値を上限近傍値と呼称する。なお、上限値を含む所定の範囲内の値は、該所定の範囲内にある値のいずれかであればよく、該値に上限値自体が含まれていなくともよい。
【0070】
一方、下限値を含む所定の範囲内の値(例えば、出力値の低い順に下位からN番目までの値、全体の平均値以下の値、予め定められた値以下の値、など)も、同様に現像剤量の変化に対する変動は大きい。以下、下限値を含む所定の範囲内の値を下限近傍値と呼称する。なお、下限値を含む所定の範囲内の値は、該所定の範囲内にある値のいずれかであればよく、該値に下限値自体が含まれていなくともよい。
【0071】
以上のことから、現像剤量による変動の少ない上限近傍値を用いてトナー濃度を算出することが好ましい。本実施の形態では、ノイズや読取り精度の向上を考慮して、上限近傍値の平均値(以下、ATC出力平均値と呼称する)をトナー濃度を示す値として算出する。例えば、サンプリングした出力値の上位からN番目までの値の平均値を算出してもよいし、出力波形の4周期中の、上位から8番目の出力値のうち、下位の出力値2つを除いた6つの出力値の平均値を算出してもよいし、上位から8番目までの出力値のうち上位4つの出力値を除いた4つの出力値の平均値であってもよく、特に限定されない。
【0072】
図7は、ATC出力平均値とトナー濃度(TC)との関係を示した図であり、図8は、あるトナー濃度(TC)におけるATC出力平均値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。
【0073】
図7に示されるように、ATC出力平均値によりトナー濃度が一意に定まるため、ATC出力平均値はトナー濃度を示す値として用いることができる。なお、ATC出力平均値とトナー濃度との関係は、予め実験などにより求めておくことができる。
【0074】
しかしながら、図8に示されるように、現像器4内の現像剤量が基準とする現像剤量から変動すると、上限近傍値を用いて算出したトナー濃度(ATC平均出力値)であっても、検出誤差が発生するため、その精度は充分でない。従って、本実施の形態では、現像剤量に応じてATC平均出力値の補正量を算出し、算出した補正量を用いてトナー濃度を補正する処理を行う。
【0075】
現像剤量は、現像剤量の変化による変動の大きい下限近傍値を用いて算出すればよい。ただし、現像剤の透磁率(トナー濃度)の変化は、上限近傍値だけでなく下限近傍値も変動させることから、下限近傍値そのものを現像剤量を示す値として用いることはできない。
【0076】
そこで、本実施の形態では、上限近傍値と下限近傍値の差分(以下、ATC振幅値と呼称する)を、現像剤量を示す値として算出する。
【0077】
上述したように、現像剤量に変化に対する上限近傍値の変動は下限近傍値に比べて小さいが、現像剤の透磁率(トナー濃度)の変化に対する上限近傍値の変動と下限近傍値の変動は同じである。従って、上限近傍値から下限近傍値を差し引くことにより、トナー濃度の影響が取り除かれ、その結果、現像剤量には依存するがトナー濃度には依存しない値が算出される。
【0078】
具体的には、単に上限値と下限値との差分を算出するようにしてもよいが、例えば、10ms毎に100点サンプリングした出力値の中で上位から8番目までの出力値のうち上位4つの出力値を除いた4つの出力値の平均値と、下位から8番目までの出力値のうち下位4つの出力値を除いた4つの出力値の平均値と、の差分を算出するようにしてもよい。このように、上限値自体や下限値自体を用いずに、下限近傍値に依存する値、すなわち、現像財量を示す値、を算出することにより、ノイズ等の影響を除去することができる。
【0079】
図9は、ATC振幅値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。図示されるように、ATC振幅値により現像剤量が一意に定まるため、ATC振幅値は現像剤量を示す値として用いることができる。なお、ATC振幅値と現像剤量との関係は、予め実験などにより求めておくことができる。
【0080】
なお、以下では、ステップ104で求めたATC平均出力値を、ATC平均出力値の検出値と呼称し、同じくステップ104で求めたATC振幅値をATC振幅値の検出値と呼称する。
【0081】
ステップ106では、TC制御部35は、ATC振幅値の検出値を用いて、ATC平均出力値の検出値の補正量を算出する。
【0082】
ここで、補正量の算出処理について具体的な例を説明する。
【0083】
前述したように、TC制御部35のROMには、基準現像剤量で現像器4が駆動したときのATC振幅値が予め記憶されているため、まず、この値が読み出される。
【0084】
基準現像剤量におけるATC振幅値は、例えば、画像形成装置の出荷時に最初に投入された現像剤量(例えば、300g)で現像器4を駆動したときに検出されたATC振幅値(例えば、0.15V)とすることができる。この場合には、最初に投入された現像剤量が基準現像剤量となる。また、基準現像剤量に対するATC振幅値は、出荷時に求めた値ではなくとも、予め定められた固定値であってもよい。
【0085】
TC制御部35は、ROMから読み出した基準現像剤量に対するATC振幅値と、ATC振幅値の検出値(例えば、0.50V)との差分(例えば、0.35V)を算出する。
【0086】
算出した差分から、予めROMに記憶されているトナー濃度補正量テーブルに基づき、トナー濃度補正量、ここでは、ATC平均出力値の補正量を取得する。
【0087】
図10は、トナー濃度補正量テーブルの一例を示した図である。トナー濃度補正量テーブルには、ΔATC振幅値(V)に対する補正量が記憶されている。
【0088】
ここで、ΔATC振幅値(V)は、ATC振幅値の基準値と検出値との差分を示しており、補正量(V)は、ΔATC振幅値に対応するATC平均出力値の補正量を示している。ここでは、差分がΔ0.35Vであるため、補正量は+0.06となる。
【0089】
図8を用いて説明すると、基準現像剤量と検出時の量との差分がΔATC振幅値に相当する。従って、図示されるATC平均出力値の基準値と検出値との誤差が補正量に相当する。
【0090】
なお、前述したとおり、ATC振幅値は、現像剤量には依存するがトナー濃度には依存しない値であるため、補正量も現像剤量には依存するがトナー濃度には依存しない値である。換言すれば、図8の変化率はトナー濃度に依存しない。このため、現像漕41内の現像剤のトナー濃度がどのような状態であっても、同一のトナー濃度補正量テーブルを用いて補正量を算出することができる。なお、ΔATC振幅値に対する補正量は、予め実験等により求めておくことができる。
【0091】
また、トナー濃度補正量テーブルを用いて補正量の代わりに、例えば、補正量とΔATC振幅値との関係式を用いて補正量を求めるようにしてもよい。
【0092】
ステップ108では、TC制御部35は、ATC平均出力値の補正量を、ATC平均出力値の検出値に加算する。これにより、ATC平均出力値の検出値が補正される。
【0093】
この補正計算により、常に、基準現像剤量におけるATC平均出力値が求められるので、現像剤量の変動に起因するATC平均出力値の誤差分を補正して、正確なATC平均出力値を得ることができる。
【0094】
ステップ110では、TC制御部35は、補正されたATC平均出力値の検出値が予め定められた目標値以上であるか否かを判断する。例えば、トナー濃度(TC)を4%に維持する場合には、基準現像剤量におけるTC4%に相当するATC平均出力値を目標値として予め設定しておき、該目標値と補正したATC平均出力値とを比較することにより、現在のトナー濃度の状態を判断することができる。
【0095】
補正したATC平均出力値の検出値が目標値以上の場合には、現在のトナー濃度は標準或いは標準より高い状態であると判断でき、トナーが補給されないように制御することができる。また、補正したATC平均出力値が目標値より小さい場合には、現在のトナー濃度が標準より低い状態であると判断でき、トナーを補給するように制御することができる。
【0096】
これにより、ステップ110で、補正されたATC平均出力値の検出値が目標値以上であると判断した場合には、トナーの補給はせずにステップ100に戻る。
【0097】
逆に、TC制御部35が、補正されたATC平均出力値が目標値より小さいと判断した場合には、ステップ112で、必要な量のトナーが補給されるように制御する。具体的には、まず、ディスペンス積算時間演算部37によりディスペンスモータ9の回転時間が演算される。TC制御部35は、演算された時間だけディスペンスモータ9が回転するように駆動制御する。これにより、現像器4に必要なだけトナーが補給される。この制御の後は、ステップ100に戻る。
【0098】
このように、ATCセンサ8の出力波形の下限近傍値に依存する値、ここではATC振幅値、を現像剤量を示す値として算出するようにしたため、トナー濃度を検出するためのセンサ1つで、トナー濃度及び現像剤量の双方を検出することができる。これにより、現像剤量を検出するためのセンサをATCセンサ8とは別に設ける場合に比してコストの削減を図ることができる。
【0099】
また、算出したATC振幅値を用いて、ATCセンサ8の検出誤差を補正するようにしたため、トナー濃度を精度高く制御することができる。
【0100】
ところで、上述したATC振幅値とATC平均出力値の補正量との関係は、画像を形成する際のプロセススピード(PS)により変動する。図11に示されるように、プロセススピードが遅いほど、検出誤差(補正量)は大きくなり、プロセススピードが速いほど、検出誤差(補正量)は小さくなる。
【0101】
ここで、プロセススピードと検出誤差との関係について詳述する。
【0102】
プロセススピードが変わると、現像ロール42、オーガー43a、43bの回転スピードも変わる。特に、ATCセンサ8のセンサ面手前に位置する、パドル44を備えたオーガー43aの回転スピードが変わると、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤の搬送状態も変わるため、結果として、検出誤差が生じることとなる。
【0103】
例えば、オーガー43aの回転スピードが遅い場合には、ATCセンサ8のセンサ面手前に、現像剤が流れ込みやすくなるため、図6(C)の状態での空隙が小さくなる。また、オーガー43aの回転スピードの変化によるATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤量の変動は、現像漕41内の現像剤量が多いほど顕著になる。
【0104】
このことから、図11に示されるように、オーガー43aの回転スピード(プロセススピード)が遅い、すなわち、現像剤量を変動させる周期が長いほど、検出誤差(補正量)は大きくなり、逆に、オーガー43aの回転スピード(プロセススピード)が速い、すなわち、現像剤量を変動させる周期が短いほど、検出誤差(補正量)は小さくなる。更に、この検出誤差(補正量)は、現像剤量が多いほど大きくなる。
【0105】
従って、ATC振幅値に基づいて算出された補正量を、プロセススピードに基づいて変更するようにしてもよい。
【0106】
この場合には、上述の処理ルーチンのステップ100の前に、図12に示されるステップ90を実行する。
【0107】
ステップ90では、TC制御部35は、コントローラ32によりプロセススピードが決定されたか否かを判断する。コントローラ32によりプロセススピードが決定された場合には、上述したステップ100以下の処理を実行する。
【0108】
なお、ここでは、ステップ106の補正量算出処理では、上述のようにATC振幅値に基づいた補正量を算出した後、算出した補正量をコントローラ32により決定されたプロセススピードに応じて変更する。このときの変更量は、予め実験などで求めておいた量とすることができる。具体的には、例えば、変更量をATC振幅値及びプロセススピードの組み合わせに応じて所定のテーブルに格納しておき、これを参照することにより補正量を変更するようにしてもよい。また、変更量とプロセススピードとの関係式から変更量を求めるようにしてもよい。
【0109】
このように変更した補正量を用いて、ステップ108で、ATC平均出力値の検出値を補正する。
【0110】
ATC平均出力値の検出値を補正した後の処理は、上述と同様であるため説明を省略する。
【0111】
このように、プロセススピードを考慮して、ATC平均出力値の検出値を補正するようにしたため、正確なトナー濃度を算出することが可能となる。
【0112】
なお、現像剤量を示す値は、上述のような方法により求めた振幅値に限定されず、例えば、上限からN番目までの出力値の平均値と、下限からN番目までの平均値との差分や、サンプリングした4周期分の振幅値(上下限値の差分)の4つの平均値であってもよい。また、振幅値でなくとも、下限近傍値の平均値の、全体の出力値の平均値に対する相対値であってもよい。
【0113】
また、予め定められた基準現像剤量における、トナー濃度毎の下限近傍値の出力値を予め記憶しておき、実際の現像処理中に検出された上限近傍値からATC出力平均値を算出して仮トナー濃度を求め、算出した仮トナー濃度における下限近傍値の記憶値と、検出された下限近傍値との差分を、現像剤量に対応する値として算出するようにしてもよい。これによっても、仮トナー濃度を補正して正確なトナー濃度を算出することができる。
【0114】
また、本発明は、トナーのみを補給する上述した画像形成装置に限定されるものではなく、例えば、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置であってもよい。以下、後者の画像形成装置について説明する。ただし、画像形成装置の概略構成は、図1と同様であるため、説明を省略する。
【0115】
図13は、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置の現像器4と、トナーボックス7及びキャリアボックス12との関係を模式的に示した図である。本図では、図2と同一の構成要素については同一の符号が付されている。
【0116】
キャリアボックス12からは、キャリア補給用の図示されないディスペンスモータが駆動することにより現像器4にキャリアが供給される。
【0117】
図14は、現像漕41及びATCセンサ8に近い側に設けられたオーガー43aを模式的に示した図である。本図においても、図3と同一の構成要素については同一の符号が付されている。本画像形成装置においても、オーガー43aに板状のパドル44が設けられている。
【0118】
また、現像漕41には、オーバーフローした現像剤を回収する現像剤回収容器45が設けられている。
【0119】
プリント動作が繰り返し行われると、キャリアは徐々に劣化し帯電性能が低下する。この劣化したキャリアを新しいキャリアに置換するため、キャリアボックス12からキャリアが補給される。キャリアの補給により過剰になった現像剤は開口部46からオーバーフローする。オーバーフローした現像剤は回収オーガー47の回転により搬送され、現像剤回収容器45に回収される。
【0120】
このように、キャリアを徐々に補給し且つ排出するシステムでは、キャリアを補給しないシステムに比べて現像器4内の現像剤量が変動しやすいため、ATCセンサ8の検出精度が低下する。しかしながら、上述したように現像剤量をすれば、トナー濃度の検出誤差を補正することができ、トナー濃度を適正に維持することができる。
【0121】
更にまた、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置は、以下のような特徴を有している。
【0122】
図15は、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置における、現像剤量(体積)とトナー濃度(TC)との関係を示した図である。例えば、図示されるように、トナー濃度を4%から12%の範囲に維持しながらプリント動作を行う場合には、現像剤量は、図15の50及び52の斜線により示される範囲でばらつきが発生する。しかしながら、前述したように、過剰な現像剤は、オーバーフローして現像剤回収容器45に回収されるため、現像剤量は一定の体積量(図ではTH)以上にはならない。従って、TH以下の範囲50が、実使用範囲であり、THを越える範囲52は実際には存在しない範囲となる。
【0123】
範囲50から明らかなように、TCが低下するほど現像剤量のばらつきが大きくなり、現像剤量が少なくなる可能性が高いことがわかる。図9に示されるように、現像剤量が少ないほど現像剤量に対するATC振幅の感度が上がるため、TCが低くく現像剤量のばらつきが大きい範囲に対して、特に本発明の効果は大きい。
【0124】
なお、キャリアを補給する画像形成装置の構成は、上述したようにトナーとキャリアとを分けて、各々補給する構成であってもよいし、トナーとキャリアとが混在した現像剤を補給する構成であってもよい。この場合には、例えば、トナーボックスの中に補給用のトナーと所定の量のキャリアを混ぜた現像剤(補給用現像剤)を入れておき、この現像剤を補給するようにする。
【0125】
いずれの場合であっても、現像剤量を検出してトナー濃度の検出誤差を補正でき、精度高くトナー濃度を制御することができる。
【0126】
[第2の実施の形態]
上述した第1の実施の形態では、ATCセンサ8の検出結果から、現像剤量を示す、下限近傍値に依存する値(ATC振幅値)を算出し、この値を用いて、同じATCセンサ8により検出されたトナー濃度を示す値(ATC平均出力値)を補正し、補正した値に基づいて現像器4内の現像剤のトナー濃度の制御を行う例について説明したが、本実施の形態では、下限近傍値に依存する値の閾値を予め記憶しておき、ATCセンサ8の検出結果から得られる下限近傍値に依存する値と閾値とを比較して現像剤量の不足を判断し、所定の処理を行う例について説明する。
【0127】
本実施の形態の画像形成装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施の形態では、TC制御部35のROMには、現像剤量の不足を判断して所定の処理を行う処理ルーチンのプログラムが記憶されている。
【0128】
図16は、現像剤量が不足していると判断したときに、現像剤量不足を表示する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。
【0129】
以下、図16を参照しながら、本実施の形態のTC制御部35により実行される処理ルーチンについて説明する。
【0130】
ステップ98で、TC制御部35は、フラグFに0をセットする。このフラグFは、現像剤量の不足が判断された場合に行われる表示処理が、現像剤量の不足が判断されてから現像剤量の不足が解消されるまでの間に、繰り返し行われることを防止するためのフラグである。
【0131】
続いて、TC制御部35は、第1の実施の形態と同様にステップ100及びステップ102の処理を行う。ここで、現像器4の駆動中であると判断し、ATCセンサ8の検出結果が入力されると、ステップ200で、入力された検出結果に基づいてATC振幅値を算出する。ATC振幅値の算出方法は、第1の実施の形態と同様に下限近傍値に依存する値であればよく、特に限定されない。
【0132】
ステップ202では、TC制御部35は、算出したATC振幅値(以下、ATC振幅値の検出値と呼称する)が予め設定された閾値以上であるか否かを判断する。この閾値は、問題が生じる可能性の高いATC振幅値として予め設定しておくことができる。
【0133】
なお、現像剤量の不足により生じる問題には、例えば、キャリアが感光体ドラムへ移行して感光体ドラム1が傷ついたり、感光体ドラム1上の傷により画像上に筋が発生したり、搬送されたキャリアが感光体ドラム1や中間転写ベルト20のクリーニング装置を傷つけたり、といった問題や、キャリアの極端な減少でトナーが供給不足となり、画質が悪化する、といった問題がある。
【0134】
ステップ202で、TC制御部35が、ATC振幅値の検出値は、予め設定された閾値未満であると判断した場合には、現在の現像剤量は、問題が生じるほどには不足していない、或いは充分な量であると判断できる。この場合には、ステップ204に移行し、フラグFに0をセットする。
【0135】
また、ステップ202で、ATC振幅値の検出値は、予め設定された閾値以上であると判断した場合には、現在の現像剤量は不足していると判断することができる。
【0136】
この場合には、ステップ206に移行し、フラグFが0であるか否かを判断する。フラグFが0であると判断した場合には、ステップ208で、現像剤量不足情報をUI36に表示する。これにより、異常が発生(現像剤量が不足)していることをユーザーに認識させ、異常の改善を促すことができ、画像形成装置の構成部材(感光体ドラム1や中間転写ベルト20のクリーニング装置など)へのダメージを最小限に抑えることができる。
【0137】
ステップ210では、フラグFに1をセットする。このように、ここでフラグFに1をセットすることにより、現像剤量の不足が解消されない間(すなわち、ステップ202で、連続的にATC振幅値の検出値が閾値以上となる場合)は、フラグFが0になることはないため、ステップ208の処理が繰り返して行われることはない。
【0138】
なお、現像剤量の不足の判断は上述した例に限定されず、例えば、誤検知を防止するためにFailカウンタを設け、ATC振幅値の検出値が閾値以上になったときにFailカウンタを1カウントアップし、例えば、Failカウンタが5カウントに到達したときに現像剤量が不足していると判断するようにしてもよい。
【0139】
また、現像剤量が不足していることを示す情報を通信インタフェース38を介して外部のコンピュータ、例えば画像形成装置のメーカのホストコンピュータなどに転送する処理を行うようにしてもよい。この場合には、上述したステップ208の処理に代えて、この転送処理を実行する。これによっても、迅速な異常の改善を促すことができる。
【0140】
また、現像剤量が不足していると判断したときに、画像形成装置側で自動的にプリントを停止する処理を行うようにすることもできる。
【0141】
図17は、現像剤量が不足していると判断したときに、プリントを停止する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。図17において、図4及び図16で説明した処理ルーチンと同様の処理ステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0142】
ステップ202で、ATC振幅値の検出値が予め設定された閾値以上であると判断した場合には、ステップ220に移行し、プリント動作を強制的に停止するための処理を行う。プリント動作停止後、本処理ルーチンは終了する。
【0143】
このような処理を実行することにより、現像剤量が不足していると判断したときに、プリント動作を強制的に停止させることができるため、画像に異常が発生することを未然に防ぐと共に、画像形成装置の構成部材へのダメージを最小限に抑えることができる。
【0144】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、トナーとキャリアを補給する画像形成装置において、現像剤量が不足していると判断した場合に、キャリアを補給する処理を行う例について説明する。
【0145】
本実施の形態における画像形成装置の構成は、第1の実施の形態の図1、図13、及び図14を用いて説明したトナー及びキャリアを補給する画像形成装置と同様であるため、説明を省略する。
【0146】
図18は、本実施の形態において実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。図18において、図4及び図16で説明した処理ルーチンと同様の処理ステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0147】
ステップ202で、ATC振幅値の検出値が予め設定された閾値以上であると判断した場合には、現像剤量が不足している状態、すなわち
、キャリアが不足している状態であるので、ステップ230に移行し、キャリアを補給するように制御する。
【0148】
この際、補給するキャリアの量は予め定められた量であってもよいし、ATC振幅値(現像剤量)に応じた最適量を算出して補給してもよい。また、キャリアのみを補給することでトナー濃度(TC)が低下するのを防ぐため、トナーも補給してもよい。
【0149】
キャリア補給後、ステップ100に戻り、現像器4の駆動中は、本処理ルーチンを継続する。
【0150】
このような処理を実行することにより、現像剤量が不足していると判断したときに、キャリアを補給することができるため、画質の異常を未然に防ぎ、画像形成装置の構成部材の劣化を抑えることができる。
【0151】
なお、本発明は、上述した第1、第2、及び第3の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で様々な設計上の変更を行うことができる。
【0152】
例えば、上述した各実施の形態では、ATCセンサ8により検出する現像剤の量が周期的に増減するように現像剤を変動させる手段として、オーガー43a及びオーガー43aに設けられたパドル44を用いる例について説明したが、例えば、パドル44を設けずにオーガー43aだけで現像剤を周期的に変動させるような構成としてもよい。
【0153】
また、上述した各実施の形態では、ATC振幅値を現像剤量を示す値として用いて、トナー濃度(ATC出力平均値)の誤差を補正したり、現像剤量の不足を判断したりする例について説明したが、図8の関係を用いて、ATC振幅値から現像剤の実際の量を求め、求めた現像剤の量を用いて、トナー濃度の誤差を補正したり、現像剤量の不足を判断するようにしてもよい。
【0154】
また、上述した各実施の形態では、ATC平均出力値として、上限近傍値の平均値を算出する例について説明したが、全体の平均値を算出してもよい。
【0155】
また、本発明の画像形成装置はタンデム構成のものに限定する必要はなく、複数サイクル構成のものであってもよい。さらに、画像形成装置は、中間転写方式に限定されず、用紙搬送ベルトに担持された記録媒体、あるいはロールで搬送される記録媒体に直接転写する方式であってもよい。
【0156】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、磁気センサの出力波形の下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値を、現像剤の量として算出するようにしたため、容易に現像剤の量を検知することができると共に、検知した現像剤量に基づいて良好な画質を維持するための処理を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。。
【図2】現像器の構成と、該現像器とトナーボックスとの関係を模式的に示した図である。
【図3】現像器内のATCセンサに近い側に設けられたオーガーを模式的に示した図である。
【図4】第1の実施の形態に係る、TC制御部により実行される処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図5】ATCセンサの出力波形の一例を示した図である。
【図6】図6(A)は、ATCセンサのセンサ面手前の現像剤がパドルにより掻き集められた状態を示した図であり、図6(B)は、ATCセンサのセンサ面手前の現像剤がオーガーのスクリュにより掻き集められた状態を示した図であり、図6(C)は、ATCセンサのセンサ面手前の現像剤がパドルにより掻き取られた状態を示した図である。
【図7】ATC出力平均値とトナー濃度(TC)との関係を示した図である。
【図8】あるトナー濃度(TC)におけるATC出力平均値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。
【図9】ATC振幅値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。
【図10】トナー濃度補正量テーブルの一例を示した図である。
【図11】プロセススピードと、ATC平均出力値の関係を示した図である。
【図12】プロセススピードを用いてATC平均出力値を補正する場合に、図4の処理ルーチンのステップ100の前に実行される処理ステップを示した図である。
【図13】トナー及びキャリアを補給する画像形成装置の現像器の構成と、該現像器と、トナーボックス及びキャリアボックスとの関係を模式的に示した図である。
【図14】現像漕及びATCセンサに近い側に設けられたオーガーを模式的に示した図である。
【図15】トナー及びキャリアを補給する画像形成装置における、現像剤量(体積)とトナー濃度(TC)との関係を示した図である。
【図16】第2の実施の形態に係る、現像剤量が不足していると判断したときに現像剤量不足を表示する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図17】第2の実施の形態に係る、現像剤量が不足していると判断したときにプリントを停止する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図18】第3の実施の形態に係る、現像剤量が不足していると判断したときにキャリアを補給する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフロー茶とである。
【符号の説明】
4 現像器
7 トナーボックス
8 ATCセンサ
9 ディスペンスモータ
12 キャリアボックス
32 コントローラ
35 TC制御部
36 ユーザインタフェース
37 ディスペンス積算時間演算部
41 現像漕
43a、43b オーガー
44 パドル
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、像担持体上に形成された静電潜像を、収容されたトナーとキャリアを含有する現像剤を用いて現像することにより画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乾式複写機等の画像形成装置においては、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する現像装置が多用されている。このような画像形成装置においては、現像装置内のキャリアの磁力(透磁率)を検知する磁気センサによって二成分現像剤のトナー濃度(キャリアに対するトナーの比率)を検出し、この検出値に基づいてトナーを補給することによりトナー濃度が一定に保たれるように制御している。
【0003】
ところが、この磁気センサでは、現像装置内の現像剤量により検出値に誤差が生じるため、トナー濃度を精度高く制御できない、という問題がある。特に、現像動作によって消費されるトナーの補給とは別に、キャリアを補給することにより帯電性能の低下を抑制できるようにした画像形成装置においては、キャリアを徐々に補給し且つ排出するため、現像装置内の現像剤量が変動しやすい。このため検出値の精度が低下してトナー濃度制御が不正確となり、良好な画質を維持できない虞がある。
【0004】
一方、キャリアとトナーからなる二成分現像剤を用いた現像方法では、正常動作中にはキャリアの量(現像剤量)は一定以上の量が保持されるが、キャリア現像による急激なキャリアの減少といった異常動作時には、キャリアが感光体ドラムに移行して感光体ドラムが傷ついたり、感光体ドラム上の傷により画像上に筋が発生したり、搬送されたキャリアが感光体ドラムや中間転写ベルトのクリーニング装置を傷つけたり、といった問題が発生する。また、キャリアが極端に減少したことでマグロール(現像ロール)上に十分なトナーを供給することができず、結果として画像濃度が極端に低くなる、という問題も発生する。
【0005】
現像剤量を検出して、トナー濃度を制御する装置としては、トナー濃度センサとは別に現像剤量検出手段を設け、現像剤量検出手段により検出した現像剤量により、トナー濃度を制御する現像装置(例えば、特許文献1参照。)が知られている。また、磁気検知手段の出力値の振動の振幅値及び平均値、或いは振幅値及び最大値、或いは振幅値及び最小値の組み合わせを使って、現像剤の劣化具合及び現像剤の劣化により生じたトナー濃度の変化を判断してトナー濃度を制御する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−348134公報
【特許文献2】
特開平8−202138号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の現像装置では、現像剤量検出手段とトナー濃度センサの二つのセンサを用いるため、コストがかかる、という問題がある。また、この現像剤量検出手段は、現像漕から溢れ出た現像剤量により、現像漕内の現像剤量を検知するため、現像漕内の現像剤量が減少して現像漕から溢れ出なくなった場合には検知できない、という問題もある。また、上述した従来の画像形成装置では、現像剤量の劣化により生じるトナー濃度の変化に対しては対応することができるが、現像剤量の変動により生じるトナー濃度の検出誤差については全く考慮されておらず、検出誤差を補正することはできない。また、これら従来の装置では、キャリア(現像剤量)が急激に減少した場合についても何ら考慮されていない。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、現像剤量を容易に検知することができ、これにより良好な画質を維持するための処理を行うことができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、像担持体上に形成された静電潜像を、収容されたトナーとキャリアを含有する現像剤を用いて現像する現像器と、前記現像器内の現像剤の透磁率を検出する磁気センサと、前記磁気センサの検出領域内の現像剤の量が周期的に増減するように前記現像剤を変動させる変動手段と、前記現像剤の変動に応じて変化する前記磁気センサの出力波形における下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値を、前記現像器内の現像剤の量として算出する現像剤量算出手段と、前記算出された現像剤の量に基づいて、所定の処理を行う処理手段と、を含んで構成されている。
【0010】
磁気センサは、現像器内に収容されたトナーとキャリアを含有する現像剤の透磁率を検出する。変動手段は、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が周期的に増減するように現像剤を変動させる。このため、磁気センサの出力波形は周期的に変化する。
【0011】
出力波形の上限値は、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が最大、すなわち、キャリアの量が最大となるときの磁気センサの出力値である。出力波形の下限値は、検出領域内の現像剤の量が最小、すなわち、キャリアの量が最小となるときの磁気センサの出力値である。
【0012】
現像剤量算出手段は、現像剤の変動に応じて変化する磁気センサの出力波形における下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値を、現像剤の量として算出する。
【0013】
ここで、下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値について簡単に説明する。
【0014】
空気は、磁気センサが透磁率を検出する上で阻害要因となることが知られている。すなわち、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が少なく(検出領域内の空気量が多く)なると、磁気センサの検出が大きく阻害されることとなる。
【0015】
特に、現像器内の現像剤の全体量が減少したときには、磁気センサの検出がより大きく阻害されることとなる。このことから、磁気センサの出力波形の下限値は、現像剤の量の変化に対してより大きく変動する。
【0016】
また、相対的には、下限値だけでなく下限値を含む所定の範囲内の値も、現像剤の量の変化に対する変動は大きい。
【0017】
一方、現像剤の透磁率の変化は、磁気センサの出力値を変動させることから、下限値を含む所定の範囲内の値は、現像剤の量の変化だけでなく、透磁率の変化によっても変動する。このため、下限値を含む所定の範囲内の値そのものを現像器内の現像剤の量として用いることはできない。
【0018】
従って、下限値を含む所定の範囲内の値から透磁率の変化による変動を除いた値、すなわち下限値を含む所定範囲内の値に依存する値を、現像器内の現像剤の量として算出することにより、現像器内の現像剤の量を検知できる。
【0019】
下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値は、前述のとおり現像剤の量の変化に対して変動する値であるため、この値を現像剤の量として扱うこともできるし、また、下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値と、現像剤の実際の量との関係を予め求めておき、算出した値から現像剤の量を求めることもできる。
【0020】
なお、下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値は、例えば、上限値と下限値との差分であってもよいし、上限値を含む所定の範囲内の値の平均値と、下限値を含む所定の範囲内の値の平均値と、の差分であってもよい。また、例えば、下限値を含む所定の範囲内の値の、全出力値の平均値に対する相対値であってもよい。
【0021】
また、下限値を含む所定の範囲内の値は、該所定の範囲内にある値のいずれかであればよく、該値に下限値自体が含まれていなくともよい。例えば、ノイズなどの影響を除去するため、下限値や下限値の次に低い値は用いずに、3番目あるいは4番目に低い値を用いて処理することもできる。
【0022】
処理手段は、算出された現像剤の量に基づいて、所定の処理を行う。
【0023】
上述の画像形成装置は、前記磁気センサの出力値に基づいて、トナー濃度を算出するトナー濃度算出手段を更に含み、前記処理手段は、前記算出された現像剤の量に基づいて前記算出されたトナー濃度の補正量を算出し、算出した補正量を用いて前記算出されたトナー濃度を補正する処理を行うことができる。
【0024】
磁気センサの出力値に基づいて算出されたトナー濃度には、現像剤の量の変動による誤差があるが、処理手段は、前述の現像剤量算出手段により算出された現像剤の量に基づいて誤差(補正量)を算出し、この補正量を用いて、トナー濃度を補正することができるため、精度高くトナー濃度を算出することができ、トナー濃度を適正に制御することができる。
【0025】
前記処理手段は、前記変動手段の前記現像剤を変動させる周期に基づいて前記算出した補正量を変更し、変更した補正量を用いて前記トナー濃度を補正する処理を行うこともできる。
【0026】
すなわち、変動手段の現像剤を変動させる周期が変化することにより、上述の、磁気センサの検出領域内の現像剤の量が変動し、磁気センサの検出領域の空気の量も変動する。従って、変動手段の現像剤を変動させる周期が変化にすることにより、磁気センサの検出値に誤差が生じることとなる。例えば、その周期が長いほど、その誤差は大きくなる傾向がある。
【0027】
従って、前述の補正量を変動手段の現像剤を変動させる周期に基づいて変更し、変更した補正量を用いてトナー濃度を補正することにより、精度高くトナー濃度を算出することができる。
【0028】
なお、変動手段の現像剤を変動させる周期が、画像の形成を行う際のプロセススピードの変化に連動して変化する場合には、該周期はプロセススピードと相関関係があるため、変動手段の現像剤を変動させる周期の代わりにプロセススピードに基づいて前記算出した補正量を変更し、変更した補正量を用いて前記トナー濃度を補正する処理を行うこともできる。
【0029】
前記処理手段は、前記算出された現像剤の量と、所定の閾値とを比較することにより前記現像剤の量が不足しているか否かを判断することもできる。
【0030】
このように、現像剤の量が不足しているか否かを判断することができれば、現像剤の量の不足により生じる問題、画像形成装置の構成部材の劣化や画質の異常等を未然に防ぐように適切な処理を行うことができる。
【0031】
前記処理手段は、前記現像剤の量が不足していると判断した場合には、現像剤の量が不足していることを示す情報を外部装置に送信するための処理、現像剤の量が不足していることを示す情報を報知するための処理、画像の形成を停止するための処理、及び、キャリアを補給するための処理、の少なくともいずれかの処理を行うこともできる。
【0032】
現像剤の量が不足していると判断されたときに、このような処理を行うことにより、画質の異常を未然に防ぎ、画像形成装置の構成部材の劣化を抑えることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態の画像形成装置を示す概略構成図である。
【0035】
図示される画像形成装置は、帯電器で感光体ドラム表面を帯電した後、レーザ光線の照射により静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー及びキャリアを含有する二成分現像剤により現像する現像器をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎に備えたタンデム型のカラー電子写真方式のフルカラー画像形成装置である。
【0036】
具体的には、画像形成装置は、Y、M、C、Kの各色毎のトナー像を形成する4つのユニット10Y,10M,10C,10Kと、4つのユニットに接触するとともに循環移動し、トナー像が1次転写される中間転写ベルト20と、4つのユニット10Y,10M,10C,10Kそれぞれで形成された各色のトナー像を中間転写ベルト20に1次転写する1次転写ロール5Y,5M,5C,5Kと、中間転写ベルト20上に1次転写されたトナー像を、図示しない搬送ロールにより搬送された用紙Pに2次転写する2次転写ロール15と、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧することにより用紙上に定着させる図示しない定着器とを備えている。
【0037】
中間転写ベルト20は、ベルトを駆動する図示しない駆動ロールと、従動ロール22と、ベルトに張力を加えるテンションロール23とに張架されて循環移動し、Y色トナー像が形成されるユニット10Yの上流側に、図示しないベルトクリーニング装置を備えている。
【0038】
4つの各ユニットは、トナー像が形成される感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを帯電する帯電器2Y,2M,2C,2Kと、帯電した感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに、外部から入力された画像データを画像処理し、YMCK色に分解された画像信号に基づいて変調された露光光を照射して静電潜像を形成する露光部3と、静電潜像にYMCK各色のトナーを付与して各色のトナー像を形成する現像器4Y,4M,4C,4Kと、中間転写ベルト20にトナー像を1次転写した後に感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に残留するトナーをクリーニングする図示しないクリーニング装置とを備えている。
【0039】
また、現像器4Y,4M,4C,4Kには、オーガーが内蔵されたパイプを経由してトナーボックス7Y,7M,7C,7Kが接続されている。トナーボックス7Y,7M,7C,7Kから現像器4Y,4M,4C,4Kに供給されるトナーの供給量は、ディスペンスモータ9Y,9M,9C,9Kの回転時間により調整される。このように、本実施の形態では、現像器4Y,4M,4C,4Kには、キャリアは補給されず、トナーのみが補給される構成となっている。また、現像器4Y,4M,4C,4Kには、現像器4Y,4M,4C,4K内の現像剤のトナー濃度を測定するATCセンサ8Y,8M,8C,8Kがそれぞれ設けられている。
【0040】
以下、画像形成装置のY、M、C、Kの各色毎に設けられた各構成要素について、いずれか一色を代表させて説明する場合には、符号の添え字Y、M、C、Kを省略する。
【0041】
図2は、現像器4の構成と、該現像器4とトナーボックス7との関係を模式的に示した図である。
【0042】
現像器4は、現像剤を収容する現像漕41と、現像ロール42と、2本のスパイラル状のオーガー43a、43bとを備えている。現像ロール42は、感光体ドラム1に隣接するように配設され、軸線周りに回転して現像漕41内の現像剤のキャリアに吸着したトナーを感光体ドラム1に供給する。これにより、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を顕像化する。2本のオーガー43a、43bは、現像漕41内の現像剤を攪拌しながら現像ロール42方向へ現像剤を搬送する。
【0043】
また、現像漕41の底面近傍における現像ロール8の反対側には、現像漕41内の現像剤の透磁率を検出するATCセンサ8が配設されている。ATCセンサ8は、一定時間間隔で現像剤の透磁率を検出し、検出結果として透磁率に相当する電圧値を後述するTC制御部35に出力する。
【0044】
図3は、現像器4内のATCセンサ8に近い側に設けられたオーガー43aを模式的に示した図である。板状のパドル44が、オーガー43aのATCセンサ8(図示せず)手前付近の部位に設けられている。
【0045】
オーガー43aは軸線周りに周期的に回転することにより、現像剤を攪拌すると共に現像剤を現像ロール42方向に搬送する。パドル44は、オーガー43aの周期的な回転に連動して回転する。これにより、ATCセンサ8の検出領域(センサ面手前)の現像剤が周期的に変動する。この結果、ATCセンサ8により検出されるセンサ面手前の現像剤の量が周期的に増減し、ATCセンサ8の出力値が周期的に変動する。
【0046】
画像形成装置は、更に、複写する原稿画像を読み取る画像読取部(IIT)30と、画像読取部30で読み取られた画像信号に基づいて画像処理を行い画像データを出力する画像処理部31と、画像処理部31で画像処理された画像データ、あるいはパーソナルコンピュータなどの外部から入力された画像データに、色変換を行なってYMCK色に分解しパルス幅変調を施すと共にプロセススピードを決定するコントローラ32と、を備えている。なお、プロセススピードは、画像を形成する速さ(一般には用紙を搬送する速度)をいう。
【0047】
画像形成装置には、更に、TC(TC:Toner Concentration、トナー濃度)制御部35が設けられている。
【0048】
TC制御部35は、図示されないCPU、ROM、及びRAMを備えたマイクロコンピュータで構成されており、トナー濃度及び現像剤量を検知して現像剤のトナー濃度の制御を行う。ROMには、ATCセンサ8からの出力波形に基づいてATCセンサ8の検出誤差を補正すると共に、補正した検出結果に基づいて現像剤のトナー濃度を制御するための処理を行う処理ルーチンのプログラムが記憶されている。また、図示されるディスペンス積算時間演算部37は、TC制御部35のCPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能であり、ATCセンサ8の検出結果に基いてディスペンスモータ9の回転時間を積算する処理を行う。
【0049】
また、TC制御部35のROMには、基準となる現像剤の量(基準現像剤量)で現像器が駆動したときのATC振幅値(後述)と、トナー濃度の補正量が記憶されたトナー濃度補正量テーブル(後述)とが予め記憶されている。
【0050】
TC制御部35には、UI(ユーザインタフェース)36、および通信インタフェース38が接続されている。
【0051】
UI36は、例えばディスプレイ上にタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報を表示したり、ユーザが操作することにより所望の情報や指示を入力したりすることができる。
【0052】
通信インタフェース38は、外部のコンピュータとネットワークを介して接続するためのインタフェースである。
【0053】
ここで、図1を参照しながら、画像形成装置の画像形成処理について、簡単に説明する。
【0054】
先ず、画像読取部(IIT)30で原稿から読み取られた画像データが画像処理部31に入力され、適切な画像処理が行われる。こうして得られた画像データはコントローラ32で各色毎に分解され、パルス変調が施される。また、このときコントローラ32は、画像を形成する際のプロセススピードを決定する。例えば、厚紙に画像を形成する場合には、プロセススピードを遅くするようにする。
【0055】
コントローラ32でパルス幅変調が施され、YMCK色に分解された画像データは、露光部3に送られレーザを駆動する。これにより、4つのユニット10Y,10M,10C,10Kそれぞれに対応した感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに露光光が照射される。露光光が照射された各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには、静電潜像が形成され、静電潜像は各現像器4Y,4M,4C,4Kで現像されて各色トナー像が形成される。各色トナー像は、1次転写ロール5Y,5M,5C,5Kにより中間転写ベルト20に重ね合わされて転写される。中間転写ベルト20上に転写されたトナー像は、2次転写ロール15により図示しない搬送ロールにより搬送された用紙に転写され、さらに図示しない定着器により加熱および加圧されて用紙上に定着する。以上の動作により1回の画像形成処理が終了する。
【0056】
現像器4Y,4M,4C,4Kの駆動中は、上述したATCセンサ8Y,8M,8C,8Kが所定の時間間隔で現像漕41内の現像剤の透磁率を検出する。この検出結果は、上述したTC制御部35に出力される。TC制御部35は、検出結果に基づいて現像器4Y,4M,4C,4K内の現像剤のトナー濃度を判断し、トナー濃度が適正に維持されるように制御する。なお、ここで、トナー濃度とは、現像剤のキャリアに対するトナーの比率をいう。
【0057】
次に、本実施の形態のTC制御部35により実行される処理ルーチンについて図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
ステップ100では、TC制御部35は、現像器4が駆動しているか否かを判断する。現像器4が駆動していないと判断した場合には、本処理ルーチンを終了する。現像器4が駆動していると判断した場合には、ステップ102で、ATCセンサ8の検出結果が入力されたか否かを判断する。
【0059】
ステップ102で、TC制御部35が、ATCセンサ8の検出結果が入力されたと判断した場合には、ステップ104に移行し、入力された検出結果に基づいて、ATC平均出力値及びATC振幅値を算出する。
【0060】
ここで、算出されるATC平均出力値及びATC振幅値について、具体的に説明する。
【0061】
図5は、ATCセンサ8の出力波形の一例を示した図である。ここでは、現像漕41内のATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤は、上述したオーガー43a及びオーガーに設けられたパドル44により周期的に変動するため、現像剤の透磁率を検出するATCセンサ8の出力波形は上下限を有する波形となる。
【0062】
ここで、図6(A)、(B)、(C)を用いて、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤の状態と比較しながら、図5の出力波形について説明する。
【0063】
図6(A)は、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤がパドル44により掻き集められた状態を示した図である。この状態のときには、センサ面手前の現像剤量が最大、すなわち、キャリアの量が最大となるため、このときのATCセンサ8の出力値は、図5における出力波形の上限値となる(図5のa)。
【0064】
図6(B)は、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤がオーガー43aのスクリュにより掻き集められた状態を示した図である。オーガー43aにより掻き集められる現像剤の量は、図6(A)のパドル44による量ほど多くないため、ATCセンサ8の出力値は、図5における出力波形の上限値より低くなる(図5のb)。
【0065】
図6(C)は、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤がパドル44により掻き取られた状態を示した図である。この状態のときには、センサ面手前の現像剤量が最小、すなわち、キャリアの量が最小となるため、このときのATCセンサ8の出力値は、図5における出力波形の下限値となる(図5のc)。
【0066】
図示されるように、図6(C)の状態のときは、他の状態と比べセンサ面手前に大きな空隙ができる。空気はキャリアの透磁率を検出する上での阻害要因となることから、空隙が大きくなるほど、磁気センサの透磁率の検出が阻害される。
特に、現像漕41内に現像剤量が少ない時に現像剤が掻き取られた後は、より空隙が大きくなるため、ATCセンサ8の検出に大きく影響する。従って、パドル44により現像剤が掻き取られた状態における出力値(下限値)は、現像剤量の変動に対してより大きく変動することとなる。
【0067】
逆に、図6(A)にように現像剤を掻き集めた状態のときの出力値(上限値)は、空隙が小さく、現像漕41内の現像剤量が変化しても下限値ほどの変動は持たない。
【0068】
すなわち、現像剤量の変化に対して、上限値の変動は小さく、下限値の変動は大きい。
【0069】
また、相対的には、上限値を含む所定範囲内の値(例えば、出力値の高い順に上位からN番目までの値(Nはサンプリングした出力値の個数以下の整数)、全体の平均値以上の値、予め定められた値以上の値、など)も、現像剤量の変化に対する変動は小さい。以下、上限値を含む所定の範囲内の値を上限近傍値と呼称する。なお、上限値を含む所定の範囲内の値は、該所定の範囲内にある値のいずれかであればよく、該値に上限値自体が含まれていなくともよい。
【0070】
一方、下限値を含む所定の範囲内の値(例えば、出力値の低い順に下位からN番目までの値、全体の平均値以下の値、予め定められた値以下の値、など)も、同様に現像剤量の変化に対する変動は大きい。以下、下限値を含む所定の範囲内の値を下限近傍値と呼称する。なお、下限値を含む所定の範囲内の値は、該所定の範囲内にある値のいずれかであればよく、該値に下限値自体が含まれていなくともよい。
【0071】
以上のことから、現像剤量による変動の少ない上限近傍値を用いてトナー濃度を算出することが好ましい。本実施の形態では、ノイズや読取り精度の向上を考慮して、上限近傍値の平均値(以下、ATC出力平均値と呼称する)をトナー濃度を示す値として算出する。例えば、サンプリングした出力値の上位からN番目までの値の平均値を算出してもよいし、出力波形の4周期中の、上位から8番目の出力値のうち、下位の出力値2つを除いた6つの出力値の平均値を算出してもよいし、上位から8番目までの出力値のうち上位4つの出力値を除いた4つの出力値の平均値であってもよく、特に限定されない。
【0072】
図7は、ATC出力平均値とトナー濃度(TC)との関係を示した図であり、図8は、あるトナー濃度(TC)におけるATC出力平均値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。
【0073】
図7に示されるように、ATC出力平均値によりトナー濃度が一意に定まるため、ATC出力平均値はトナー濃度を示す値として用いることができる。なお、ATC出力平均値とトナー濃度との関係は、予め実験などにより求めておくことができる。
【0074】
しかしながら、図8に示されるように、現像器4内の現像剤量が基準とする現像剤量から変動すると、上限近傍値を用いて算出したトナー濃度(ATC平均出力値)であっても、検出誤差が発生するため、その精度は充分でない。従って、本実施の形態では、現像剤量に応じてATC平均出力値の補正量を算出し、算出した補正量を用いてトナー濃度を補正する処理を行う。
【0075】
現像剤量は、現像剤量の変化による変動の大きい下限近傍値を用いて算出すればよい。ただし、現像剤の透磁率(トナー濃度)の変化は、上限近傍値だけでなく下限近傍値も変動させることから、下限近傍値そのものを現像剤量を示す値として用いることはできない。
【0076】
そこで、本実施の形態では、上限近傍値と下限近傍値の差分(以下、ATC振幅値と呼称する)を、現像剤量を示す値として算出する。
【0077】
上述したように、現像剤量に変化に対する上限近傍値の変動は下限近傍値に比べて小さいが、現像剤の透磁率(トナー濃度)の変化に対する上限近傍値の変動と下限近傍値の変動は同じである。従って、上限近傍値から下限近傍値を差し引くことにより、トナー濃度の影響が取り除かれ、その結果、現像剤量には依存するがトナー濃度には依存しない値が算出される。
【0078】
具体的には、単に上限値と下限値との差分を算出するようにしてもよいが、例えば、10ms毎に100点サンプリングした出力値の中で上位から8番目までの出力値のうち上位4つの出力値を除いた4つの出力値の平均値と、下位から8番目までの出力値のうち下位4つの出力値を除いた4つの出力値の平均値と、の差分を算出するようにしてもよい。このように、上限値自体や下限値自体を用いずに、下限近傍値に依存する値、すなわち、現像財量を示す値、を算出することにより、ノイズ等の影響を除去することができる。
【0079】
図9は、ATC振幅値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。図示されるように、ATC振幅値により現像剤量が一意に定まるため、ATC振幅値は現像剤量を示す値として用いることができる。なお、ATC振幅値と現像剤量との関係は、予め実験などにより求めておくことができる。
【0080】
なお、以下では、ステップ104で求めたATC平均出力値を、ATC平均出力値の検出値と呼称し、同じくステップ104で求めたATC振幅値をATC振幅値の検出値と呼称する。
【0081】
ステップ106では、TC制御部35は、ATC振幅値の検出値を用いて、ATC平均出力値の検出値の補正量を算出する。
【0082】
ここで、補正量の算出処理について具体的な例を説明する。
【0083】
前述したように、TC制御部35のROMには、基準現像剤量で現像器4が駆動したときのATC振幅値が予め記憶されているため、まず、この値が読み出される。
【0084】
基準現像剤量におけるATC振幅値は、例えば、画像形成装置の出荷時に最初に投入された現像剤量(例えば、300g)で現像器4を駆動したときに検出されたATC振幅値(例えば、0.15V)とすることができる。この場合には、最初に投入された現像剤量が基準現像剤量となる。また、基準現像剤量に対するATC振幅値は、出荷時に求めた値ではなくとも、予め定められた固定値であってもよい。
【0085】
TC制御部35は、ROMから読み出した基準現像剤量に対するATC振幅値と、ATC振幅値の検出値(例えば、0.50V)との差分(例えば、0.35V)を算出する。
【0086】
算出した差分から、予めROMに記憶されているトナー濃度補正量テーブルに基づき、トナー濃度補正量、ここでは、ATC平均出力値の補正量を取得する。
【0087】
図10は、トナー濃度補正量テーブルの一例を示した図である。トナー濃度補正量テーブルには、ΔATC振幅値(V)に対する補正量が記憶されている。
【0088】
ここで、ΔATC振幅値(V)は、ATC振幅値の基準値と検出値との差分を示しており、補正量(V)は、ΔATC振幅値に対応するATC平均出力値の補正量を示している。ここでは、差分がΔ0.35Vであるため、補正量は+0.06となる。
【0089】
図8を用いて説明すると、基準現像剤量と検出時の量との差分がΔATC振幅値に相当する。従って、図示されるATC平均出力値の基準値と検出値との誤差が補正量に相当する。
【0090】
なお、前述したとおり、ATC振幅値は、現像剤量には依存するがトナー濃度には依存しない値であるため、補正量も現像剤量には依存するがトナー濃度には依存しない値である。換言すれば、図8の変化率はトナー濃度に依存しない。このため、現像漕41内の現像剤のトナー濃度がどのような状態であっても、同一のトナー濃度補正量テーブルを用いて補正量を算出することができる。なお、ΔATC振幅値に対する補正量は、予め実験等により求めておくことができる。
【0091】
また、トナー濃度補正量テーブルを用いて補正量の代わりに、例えば、補正量とΔATC振幅値との関係式を用いて補正量を求めるようにしてもよい。
【0092】
ステップ108では、TC制御部35は、ATC平均出力値の補正量を、ATC平均出力値の検出値に加算する。これにより、ATC平均出力値の検出値が補正される。
【0093】
この補正計算により、常に、基準現像剤量におけるATC平均出力値が求められるので、現像剤量の変動に起因するATC平均出力値の誤差分を補正して、正確なATC平均出力値を得ることができる。
【0094】
ステップ110では、TC制御部35は、補正されたATC平均出力値の検出値が予め定められた目標値以上であるか否かを判断する。例えば、トナー濃度(TC)を4%に維持する場合には、基準現像剤量におけるTC4%に相当するATC平均出力値を目標値として予め設定しておき、該目標値と補正したATC平均出力値とを比較することにより、現在のトナー濃度の状態を判断することができる。
【0095】
補正したATC平均出力値の検出値が目標値以上の場合には、現在のトナー濃度は標準或いは標準より高い状態であると判断でき、トナーが補給されないように制御することができる。また、補正したATC平均出力値が目標値より小さい場合には、現在のトナー濃度が標準より低い状態であると判断でき、トナーを補給するように制御することができる。
【0096】
これにより、ステップ110で、補正されたATC平均出力値の検出値が目標値以上であると判断した場合には、トナーの補給はせずにステップ100に戻る。
【0097】
逆に、TC制御部35が、補正されたATC平均出力値が目標値より小さいと判断した場合には、ステップ112で、必要な量のトナーが補給されるように制御する。具体的には、まず、ディスペンス積算時間演算部37によりディスペンスモータ9の回転時間が演算される。TC制御部35は、演算された時間だけディスペンスモータ9が回転するように駆動制御する。これにより、現像器4に必要なだけトナーが補給される。この制御の後は、ステップ100に戻る。
【0098】
このように、ATCセンサ8の出力波形の下限近傍値に依存する値、ここではATC振幅値、を現像剤量を示す値として算出するようにしたため、トナー濃度を検出するためのセンサ1つで、トナー濃度及び現像剤量の双方を検出することができる。これにより、現像剤量を検出するためのセンサをATCセンサ8とは別に設ける場合に比してコストの削減を図ることができる。
【0099】
また、算出したATC振幅値を用いて、ATCセンサ8の検出誤差を補正するようにしたため、トナー濃度を精度高く制御することができる。
【0100】
ところで、上述したATC振幅値とATC平均出力値の補正量との関係は、画像を形成する際のプロセススピード(PS)により変動する。図11に示されるように、プロセススピードが遅いほど、検出誤差(補正量)は大きくなり、プロセススピードが速いほど、検出誤差(補正量)は小さくなる。
【0101】
ここで、プロセススピードと検出誤差との関係について詳述する。
【0102】
プロセススピードが変わると、現像ロール42、オーガー43a、43bの回転スピードも変わる。特に、ATCセンサ8のセンサ面手前に位置する、パドル44を備えたオーガー43aの回転スピードが変わると、ATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤の搬送状態も変わるため、結果として、検出誤差が生じることとなる。
【0103】
例えば、オーガー43aの回転スピードが遅い場合には、ATCセンサ8のセンサ面手前に、現像剤が流れ込みやすくなるため、図6(C)の状態での空隙が小さくなる。また、オーガー43aの回転スピードの変化によるATCセンサ8のセンサ面手前の現像剤量の変動は、現像漕41内の現像剤量が多いほど顕著になる。
【0104】
このことから、図11に示されるように、オーガー43aの回転スピード(プロセススピード)が遅い、すなわち、現像剤量を変動させる周期が長いほど、検出誤差(補正量)は大きくなり、逆に、オーガー43aの回転スピード(プロセススピード)が速い、すなわち、現像剤量を変動させる周期が短いほど、検出誤差(補正量)は小さくなる。更に、この検出誤差(補正量)は、現像剤量が多いほど大きくなる。
【0105】
従って、ATC振幅値に基づいて算出された補正量を、プロセススピードに基づいて変更するようにしてもよい。
【0106】
この場合には、上述の処理ルーチンのステップ100の前に、図12に示されるステップ90を実行する。
【0107】
ステップ90では、TC制御部35は、コントローラ32によりプロセススピードが決定されたか否かを判断する。コントローラ32によりプロセススピードが決定された場合には、上述したステップ100以下の処理を実行する。
【0108】
なお、ここでは、ステップ106の補正量算出処理では、上述のようにATC振幅値に基づいた補正量を算出した後、算出した補正量をコントローラ32により決定されたプロセススピードに応じて変更する。このときの変更量は、予め実験などで求めておいた量とすることができる。具体的には、例えば、変更量をATC振幅値及びプロセススピードの組み合わせに応じて所定のテーブルに格納しておき、これを参照することにより補正量を変更するようにしてもよい。また、変更量とプロセススピードとの関係式から変更量を求めるようにしてもよい。
【0109】
このように変更した補正量を用いて、ステップ108で、ATC平均出力値の検出値を補正する。
【0110】
ATC平均出力値の検出値を補正した後の処理は、上述と同様であるため説明を省略する。
【0111】
このように、プロセススピードを考慮して、ATC平均出力値の検出値を補正するようにしたため、正確なトナー濃度を算出することが可能となる。
【0112】
なお、現像剤量を示す値は、上述のような方法により求めた振幅値に限定されず、例えば、上限からN番目までの出力値の平均値と、下限からN番目までの平均値との差分や、サンプリングした4周期分の振幅値(上下限値の差分)の4つの平均値であってもよい。また、振幅値でなくとも、下限近傍値の平均値の、全体の出力値の平均値に対する相対値であってもよい。
【0113】
また、予め定められた基準現像剤量における、トナー濃度毎の下限近傍値の出力値を予め記憶しておき、実際の現像処理中に検出された上限近傍値からATC出力平均値を算出して仮トナー濃度を求め、算出した仮トナー濃度における下限近傍値の記憶値と、検出された下限近傍値との差分を、現像剤量に対応する値として算出するようにしてもよい。これによっても、仮トナー濃度を補正して正確なトナー濃度を算出することができる。
【0114】
また、本発明は、トナーのみを補給する上述した画像形成装置に限定されるものではなく、例えば、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置であってもよい。以下、後者の画像形成装置について説明する。ただし、画像形成装置の概略構成は、図1と同様であるため、説明を省略する。
【0115】
図13は、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置の現像器4と、トナーボックス7及びキャリアボックス12との関係を模式的に示した図である。本図では、図2と同一の構成要素については同一の符号が付されている。
【0116】
キャリアボックス12からは、キャリア補給用の図示されないディスペンスモータが駆動することにより現像器4にキャリアが供給される。
【0117】
図14は、現像漕41及びATCセンサ8に近い側に設けられたオーガー43aを模式的に示した図である。本図においても、図3と同一の構成要素については同一の符号が付されている。本画像形成装置においても、オーガー43aに板状のパドル44が設けられている。
【0118】
また、現像漕41には、オーバーフローした現像剤を回収する現像剤回収容器45が設けられている。
【0119】
プリント動作が繰り返し行われると、キャリアは徐々に劣化し帯電性能が低下する。この劣化したキャリアを新しいキャリアに置換するため、キャリアボックス12からキャリアが補給される。キャリアの補給により過剰になった現像剤は開口部46からオーバーフローする。オーバーフローした現像剤は回収オーガー47の回転により搬送され、現像剤回収容器45に回収される。
【0120】
このように、キャリアを徐々に補給し且つ排出するシステムでは、キャリアを補給しないシステムに比べて現像器4内の現像剤量が変動しやすいため、ATCセンサ8の検出精度が低下する。しかしながら、上述したように現像剤量をすれば、トナー濃度の検出誤差を補正することができ、トナー濃度を適正に維持することができる。
【0121】
更にまた、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置は、以下のような特徴を有している。
【0122】
図15は、トナー及びキャリアを補給する画像形成装置における、現像剤量(体積)とトナー濃度(TC)との関係を示した図である。例えば、図示されるように、トナー濃度を4%から12%の範囲に維持しながらプリント動作を行う場合には、現像剤量は、図15の50及び52の斜線により示される範囲でばらつきが発生する。しかしながら、前述したように、過剰な現像剤は、オーバーフローして現像剤回収容器45に回収されるため、現像剤量は一定の体積量(図ではTH)以上にはならない。従って、TH以下の範囲50が、実使用範囲であり、THを越える範囲52は実際には存在しない範囲となる。
【0123】
範囲50から明らかなように、TCが低下するほど現像剤量のばらつきが大きくなり、現像剤量が少なくなる可能性が高いことがわかる。図9に示されるように、現像剤量が少ないほど現像剤量に対するATC振幅の感度が上がるため、TCが低くく現像剤量のばらつきが大きい範囲に対して、特に本発明の効果は大きい。
【0124】
なお、キャリアを補給する画像形成装置の構成は、上述したようにトナーとキャリアとを分けて、各々補給する構成であってもよいし、トナーとキャリアとが混在した現像剤を補給する構成であってもよい。この場合には、例えば、トナーボックスの中に補給用のトナーと所定の量のキャリアを混ぜた現像剤(補給用現像剤)を入れておき、この現像剤を補給するようにする。
【0125】
いずれの場合であっても、現像剤量を検出してトナー濃度の検出誤差を補正でき、精度高くトナー濃度を制御することができる。
【0126】
[第2の実施の形態]
上述した第1の実施の形態では、ATCセンサ8の検出結果から、現像剤量を示す、下限近傍値に依存する値(ATC振幅値)を算出し、この値を用いて、同じATCセンサ8により検出されたトナー濃度を示す値(ATC平均出力値)を補正し、補正した値に基づいて現像器4内の現像剤のトナー濃度の制御を行う例について説明したが、本実施の形態では、下限近傍値に依存する値の閾値を予め記憶しておき、ATCセンサ8の検出結果から得られる下限近傍値に依存する値と閾値とを比較して現像剤量の不足を判断し、所定の処理を行う例について説明する。
【0127】
本実施の形態の画像形成装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施の形態では、TC制御部35のROMには、現像剤量の不足を判断して所定の処理を行う処理ルーチンのプログラムが記憶されている。
【0128】
図16は、現像剤量が不足していると判断したときに、現像剤量不足を表示する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。
【0129】
以下、図16を参照しながら、本実施の形態のTC制御部35により実行される処理ルーチンについて説明する。
【0130】
ステップ98で、TC制御部35は、フラグFに0をセットする。このフラグFは、現像剤量の不足が判断された場合に行われる表示処理が、現像剤量の不足が判断されてから現像剤量の不足が解消されるまでの間に、繰り返し行われることを防止するためのフラグである。
【0131】
続いて、TC制御部35は、第1の実施の形態と同様にステップ100及びステップ102の処理を行う。ここで、現像器4の駆動中であると判断し、ATCセンサ8の検出結果が入力されると、ステップ200で、入力された検出結果に基づいてATC振幅値を算出する。ATC振幅値の算出方法は、第1の実施の形態と同様に下限近傍値に依存する値であればよく、特に限定されない。
【0132】
ステップ202では、TC制御部35は、算出したATC振幅値(以下、ATC振幅値の検出値と呼称する)が予め設定された閾値以上であるか否かを判断する。この閾値は、問題が生じる可能性の高いATC振幅値として予め設定しておくことができる。
【0133】
なお、現像剤量の不足により生じる問題には、例えば、キャリアが感光体ドラムへ移行して感光体ドラム1が傷ついたり、感光体ドラム1上の傷により画像上に筋が発生したり、搬送されたキャリアが感光体ドラム1や中間転写ベルト20のクリーニング装置を傷つけたり、といった問題や、キャリアの極端な減少でトナーが供給不足となり、画質が悪化する、といった問題がある。
【0134】
ステップ202で、TC制御部35が、ATC振幅値の検出値は、予め設定された閾値未満であると判断した場合には、現在の現像剤量は、問題が生じるほどには不足していない、或いは充分な量であると判断できる。この場合には、ステップ204に移行し、フラグFに0をセットする。
【0135】
また、ステップ202で、ATC振幅値の検出値は、予め設定された閾値以上であると判断した場合には、現在の現像剤量は不足していると判断することができる。
【0136】
この場合には、ステップ206に移行し、フラグFが0であるか否かを判断する。フラグFが0であると判断した場合には、ステップ208で、現像剤量不足情報をUI36に表示する。これにより、異常が発生(現像剤量が不足)していることをユーザーに認識させ、異常の改善を促すことができ、画像形成装置の構成部材(感光体ドラム1や中間転写ベルト20のクリーニング装置など)へのダメージを最小限に抑えることができる。
【0137】
ステップ210では、フラグFに1をセットする。このように、ここでフラグFに1をセットすることにより、現像剤量の不足が解消されない間(すなわち、ステップ202で、連続的にATC振幅値の検出値が閾値以上となる場合)は、フラグFが0になることはないため、ステップ208の処理が繰り返して行われることはない。
【0138】
なお、現像剤量の不足の判断は上述した例に限定されず、例えば、誤検知を防止するためにFailカウンタを設け、ATC振幅値の検出値が閾値以上になったときにFailカウンタを1カウントアップし、例えば、Failカウンタが5カウントに到達したときに現像剤量が不足していると判断するようにしてもよい。
【0139】
また、現像剤量が不足していることを示す情報を通信インタフェース38を介して外部のコンピュータ、例えば画像形成装置のメーカのホストコンピュータなどに転送する処理を行うようにしてもよい。この場合には、上述したステップ208の処理に代えて、この転送処理を実行する。これによっても、迅速な異常の改善を促すことができる。
【0140】
また、現像剤量が不足していると判断したときに、画像形成装置側で自動的にプリントを停止する処理を行うようにすることもできる。
【0141】
図17は、現像剤量が不足していると判断したときに、プリントを停止する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。図17において、図4及び図16で説明した処理ルーチンと同様の処理ステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0142】
ステップ202で、ATC振幅値の検出値が予め設定された閾値以上であると判断した場合には、ステップ220に移行し、プリント動作を強制的に停止するための処理を行う。プリント動作停止後、本処理ルーチンは終了する。
【0143】
このような処理を実行することにより、現像剤量が不足していると判断したときに、プリント動作を強制的に停止させることができるため、画像に異常が発生することを未然に防ぐと共に、画像形成装置の構成部材へのダメージを最小限に抑えることができる。
【0144】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、トナーとキャリアを補給する画像形成装置において、現像剤量が不足していると判断した場合に、キャリアを補給する処理を行う例について説明する。
【0145】
本実施の形態における画像形成装置の構成は、第1の実施の形態の図1、図13、及び図14を用いて説明したトナー及びキャリアを補給する画像形成装置と同様であるため、説明を省略する。
【0146】
図18は、本実施の形態において実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。図18において、図4及び図16で説明した処理ルーチンと同様の処理ステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0147】
ステップ202で、ATC振幅値の検出値が予め設定された閾値以上であると判断した場合には、現像剤量が不足している状態、すなわち
、キャリアが不足している状態であるので、ステップ230に移行し、キャリアを補給するように制御する。
【0148】
この際、補給するキャリアの量は予め定められた量であってもよいし、ATC振幅値(現像剤量)に応じた最適量を算出して補給してもよい。また、キャリアのみを補給することでトナー濃度(TC)が低下するのを防ぐため、トナーも補給してもよい。
【0149】
キャリア補給後、ステップ100に戻り、現像器4の駆動中は、本処理ルーチンを継続する。
【0150】
このような処理を実行することにより、現像剤量が不足していると判断したときに、キャリアを補給することができるため、画質の異常を未然に防ぎ、画像形成装置の構成部材の劣化を抑えることができる。
【0151】
なお、本発明は、上述した第1、第2、及び第3の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で様々な設計上の変更を行うことができる。
【0152】
例えば、上述した各実施の形態では、ATCセンサ8により検出する現像剤の量が周期的に増減するように現像剤を変動させる手段として、オーガー43a及びオーガー43aに設けられたパドル44を用いる例について説明したが、例えば、パドル44を設けずにオーガー43aだけで現像剤を周期的に変動させるような構成としてもよい。
【0153】
また、上述した各実施の形態では、ATC振幅値を現像剤量を示す値として用いて、トナー濃度(ATC出力平均値)の誤差を補正したり、現像剤量の不足を判断したりする例について説明したが、図8の関係を用いて、ATC振幅値から現像剤の実際の量を求め、求めた現像剤の量を用いて、トナー濃度の誤差を補正したり、現像剤量の不足を判断するようにしてもよい。
【0154】
また、上述した各実施の形態では、ATC平均出力値として、上限近傍値の平均値を算出する例について説明したが、全体の平均値を算出してもよい。
【0155】
また、本発明の画像形成装置はタンデム構成のものに限定する必要はなく、複数サイクル構成のものであってもよい。さらに、画像形成装置は、中間転写方式に限定されず、用紙搬送ベルトに担持された記録媒体、あるいはロールで搬送される記録媒体に直接転写する方式であってもよい。
【0156】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、磁気センサの出力波形の下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値を、現像剤の量として算出するようにしたため、容易に現像剤の量を検知することができると共に、検知した現像剤量に基づいて良好な画質を維持するための処理を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。。
【図2】現像器の構成と、該現像器とトナーボックスとの関係を模式的に示した図である。
【図3】現像器内のATCセンサに近い側に設けられたオーガーを模式的に示した図である。
【図4】第1の実施の形態に係る、TC制御部により実行される処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図5】ATCセンサの出力波形の一例を示した図である。
【図6】図6(A)は、ATCセンサのセンサ面手前の現像剤がパドルにより掻き集められた状態を示した図であり、図6(B)は、ATCセンサのセンサ面手前の現像剤がオーガーのスクリュにより掻き集められた状態を示した図であり、図6(C)は、ATCセンサのセンサ面手前の現像剤がパドルにより掻き取られた状態を示した図である。
【図7】ATC出力平均値とトナー濃度(TC)との関係を示した図である。
【図8】あるトナー濃度(TC)におけるATC出力平均値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。
【図9】ATC振幅値と現像剤量(体積)との関係を示した図である。
【図10】トナー濃度補正量テーブルの一例を示した図である。
【図11】プロセススピードと、ATC平均出力値の関係を示した図である。
【図12】プロセススピードを用いてATC平均出力値を補正する場合に、図4の処理ルーチンのステップ100の前に実行される処理ステップを示した図である。
【図13】トナー及びキャリアを補給する画像形成装置の現像器の構成と、該現像器と、トナーボックス及びキャリアボックスとの関係を模式的に示した図である。
【図14】現像漕及びATCセンサに近い側に設けられたオーガーを模式的に示した図である。
【図15】トナー及びキャリアを補給する画像形成装置における、現像剤量(体積)とトナー濃度(TC)との関係を示した図である。
【図16】第2の実施の形態に係る、現像剤量が不足していると判断したときに現像剤量不足を表示する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図17】第2の実施の形態に係る、現像剤量が不足していると判断したときにプリントを停止する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図18】第3の実施の形態に係る、現像剤量が不足していると判断したときにキャリアを補給する処理を行う場合の処理ルーチンを示したフロー茶とである。
【符号の説明】
4 現像器
7 トナーボックス
8 ATCセンサ
9 ディスペンスモータ
12 キャリアボックス
32 コントローラ
35 TC制御部
36 ユーザインタフェース
37 ディスペンス積算時間演算部
41 現像漕
43a、43b オーガー
44 パドル
Claims (5)
- 像担持体上に形成された静電潜像を、収容されたトナーとキャリアを含有する現像剤を用いて現像する現像器と、
前記現像器内の現像剤の透磁率を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの検出領域内の現像剤の量が周期的に増減するように前記現像剤を変動させる変動手段と、
前記現像剤の変動に応じて変化する前記磁気センサの出力波形における下限値を含む所定の範囲内の値に依存する値を、前記現像器内の現像剤の量として算出する現像剤量算出手段と、
前記算出された現像剤の量に基づいて、所定の処理を行う処理手段と、を含む画像形成装置。 - 前記磁気センサの出力値に基づいて、トナー濃度を算出するトナー濃度算出手段を更に含み、
前記処理手段は、前記算出された現像剤の量に基づいて前記算出されたトナー濃度の補正量を算出し、算出した補正量を用いて前記算出されたトナー濃度を補正する処理を行う請求項1記載の画像形成装置。 - 前記処理手段は、前記変動手段の前記現像剤を変動させる周期に基づいて前記算出した補正量を変更し、変更した補正量を用いて前記トナー濃度を補正する処理を行う請求項2記載の画像形成装置。
- 前記処理手段は、前記算出された現像剤の量と、所定の閾値とを比較することにより前記現像剤の量が不足しているか否かを判断する請求項1記載の画像形成装置。
- 前記処理手段は、前記現像剤の量が不足していると判断した場合には、現像剤の量が不足していることを示す情報を外部装置に送信するための処理、現像剤の量が不足していることを示す情報を報知するための処理、画像の形成を停止するための処理、及び、キャリアを補給するための処理、の少なくともいずれかの処理を行う請求項4記載の画像形成装置。
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