JP6523527B2 - 浴室構造 - Google Patents

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Description

本発明は、要介護者を対象とした入浴設備に用いて好適な浴室構造に関する。
高齢者等の身体機能が低下した要介護者の入浴設備としては、広く介護施設等に採用されているものとして、大浴場に複数の個人用浴槽を設置し、多数の要介護者を同時に各浴槽に入浴させるようにしたものが知られている。
しかし、このような入浴設備においては、大浴場において多数の要介護者を同時に入浴させるものであるから、入浴する者のプライバシーを保護することができないことに起因して要介護者が入浴をためらう傾向があり、結果として別途設けられた個別浴室の利用者が増えて、付き添いの介護者も多人数必要となり、介護の効率低下を来たして介護費用の増加を招くと共に、大浴場の利用率も低下するという問題を生じていた。
一方、この種の入浴設備として、設備コストを低減させる観点から、介護設備を備えたユニットバスが提案されている。
下記特許文献1に記載されたユニットバスはその一例であり、洗い場床と、この洗い場床に隣接配置された浴槽と、これら洗い場床及び浴槽を囲む壁パネルと、これら壁パネルの上端間に設けられた天井パネルとを備えて構成されたものである。
このユニットバスは、各構成部品の製造について、特に形状が入り組んだ浴槽や洗い場床部分の製造を例えばハンドレイアップ成形法により行い、単純な形状を有する壁パネルや天井パネルの製造をプレス成形法やロール成形法によって行う。
特開平8−117306号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載されたユニットバスは、一般的なユニットバスと同様に、洗い場床と浴槽とがそれぞれ1つずつ1組とされた構成であり、このユニットバスに要介護者が入浴する場合には、要介護者を見守り、かつ介護する介護者が付き添う必要があり、人員配置上の介護効率が悪いという問題があった。
また、ユニットバスを用いて例えば2名の要介護者を1人の介護者で介護する方法として、ユニットバスを大型に形成して浴室内に2つの浴槽を配置することも考えられるが、ユニットバスの構成要素について専用の大型の製造装置が必要となり、特に浴槽や洗い場床をハンドレイアップ法により製造する場合には大型の成形型が必要となり、ユニットバス全体の製造コストが割高になるという問題があった。
本発明に係る浴室構造は、上記した課題を解決するべく下記の特徴を有する。
本発明の第1の態様は、少なくとも2つの防水パンが端縁同士で連結され、前記各防水パンの上方に形成された空間どうしが、前記各防水パンの端縁同士が連結されている連結部を跨いで連通することで、前記少なくとも2つの防水パンの上方に浴室空間が形成され、前記少なくとも2つの防水パンとして、浴槽設置部と洗い場部とを備える第1の防水パンおよび第2の防水パンを備え、前記浴室空間を、前記第1の防水パンの上方に形成された第1の空間と、前記第2の防水パンの上方に形成された第2の空間と、に仕切る仕切り部材が、介護者が両空間を移動可能に設けられている。
本発明の第2の態様は、前記両空間それぞれに出入口が設けられている。
本発明にかかる浴室構造によれば、上記した解決手段によって下記の効果を奏する。
すなわち、本願の請求項1に係る浴室構造によれば、防水パン上の浴室空間内に少なくとも2つの浴槽が設置されるので、同時に少なくとも2人の要介護者の入浴が可能であると共に、各要介護者を共通の介護者が介護することができ、介護者の人員配置上の効率を高めることができるという効果を奏する。
は、本発明の第1の実施形態として示した浴室構造の一部断面視した平面図である。 は、図1のS−S線から視た正断面図である。 は、図1のT−T線から視た側断面図である。 は、図1のP0で示す矢視部分における防水パンの途中から下方を見た拡大平断面図である。 は、図4のY−Y線から視た縦断面図である。 は、図4のZ−Z線から視た縦断面図である。 は、本発明の第1の実施形態における排水通路部分の分解斜視図である。 は、本発明の第2の実施形態として示した浴室構造の防水パンの連結部を示す拡大縦断面図である。 は、本発明の第3の実施形態として示した浴室構造の防水パンの連結部を示す拡大縦断面図である。 は、本発明の第4の実施形態として示した浴室構造の一部を断面視した平面図である。 は、本発明の第5の実施形態として示した浴室構造の防水パンの連結部を示す拡大縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1から図7は、本発明の第1の実施形態を示す図である。
図1から図3は、本発明に係る浴室構造1を示しており、この浴室構造1は、一般的なユニットバスの構成要素を用いて、2名の要介護者が同時に入浴できるよう構成されたものである。
図1,図2に示すように、この浴室構造1に用いる構成要素を備えた一般的なユニットバスは、浴槽設置部2a及び洗い場部2bを備えた一つの略矩形の防水パン2と、この防水パン2の浴槽設置部2a上に設置される1つの浴槽3と、防水パン2の端縁に立設される4つの壁パネル5A〜5Cと、各壁パネル5A〜5Cの上端間に設けられる天井パネル7、7とを備えたものである。4つの壁パネル5A〜5Cのうち、壁パネル5C、5Cには出入扉が設けられている。
浴室構造1は、上記の一般的なユニットバスの構成要素から必要とされる要素を選択し、かつ、一部の要素について部分的な変更を加えて組み立てられたものである。
浴室構造1には2つの防水パン2、2が使用されている。
2つの防水パン2、2は互いに連結され、その上面の一部には浴槽3、3が設置されている。
各防水パン2、2の端縁15a、15b同士が連結されている部分(以下「連結部P」という)を除く端縁上には壁パネル5A〜5Cが立設され、これら壁パネル5A〜5Cの上端間に図3に示すように天井パネル7が設けられている。
防水パン2は、上方から見て矩形に形成されたものであって、図3に示すように浴槽3を設置する浴槽設置部2aと、この浴槽設置部2aに連結された洗い場部2bとを備えたものである。
浴槽設置部2a、洗い場部2bは、浴槽設置部2a及び洗い場部2bを折曲して形成した連結端部8、9により連結されている。
浴槽設置部2aは、図2、図3に示すように、浴槽3を設置する部分が周縁部より窪んだ盆形状に形成されたものである。
浴槽設置部2a及び洗い場部2bの下面には脚フレーム11、12が取り付けられており、脚フレーム11、12はアジャスタボルト13、13を介して床面14上に支持されている。
図1、図2に示すように、2つの防水パン2、2は、それぞれ一辺を構成する端縁15a、15b同士を一方向に向けて隣接配置され、端縁15a、15bが互いに連結されている(詳細は後述する)。
これらの防水パン2の浴槽設置部2a上には、図3に示すように台座17、17を介して浴槽3が設置されている。
壁パネル5A〜5Cのうち、壁パネル5Cは、浴室空間23、23に出入りするための出入扉16を備えている。
壁パネル5A〜5Cは、防水パン2、浴槽3と組み合わされてユニットバスを構成するものが使用されるので、図1に示すように、壁パネル5A、5Cの幅寸法は1つの防水パン2の幅寸法と一致し、壁パネルBの幅寸法は防水パン2の奥行き寸法と一致している。
なお、以下の説明では、図1に示す防水パン2において、出入扉16が備えられた端縁側を前側といい、該前側に対向する浴槽3が備えられた端縁側を奥側という。
これらの壁パネル5A〜5Cは、壁パネル5A、5Aが防水パン2の奥側の各端縁上に立設され、壁パネル5B、5Bが防水パン2、2の左右両端の端縁上に立設され、壁パネル5C、5Cが防水パン2、2の前側の端縁上に立設されている。
また、天井パネル7は、図2、図3に示すように、各壁パネル5A〜5Cの上端間に設けられている。
この場合、防水パン2、2、壁パネル5A〜5C、天井パネル7の各接合部分は、それぞれ水密構造をもって固定されている。
また、図1、図2に示すように、防水パン2、2の連結部P上には、各防水パン2、2の上方空間を仕切る仕切り部材20が設けられている。
仕切り部材20は、連結部Pの奥行き方向略2分の1の奥側に設けられた仕切り壁21と、連結部Pの奥行き方向2分の1の前側に設けられたカーテン22とからなっている。
仕切り壁21は、主に浴槽3、3間を仕切るために設けられた壁であり、連結部Pの上面から天井パネル7、7の連結部に達するように設けられている。
カーテン22は、各防水パン2、2の洗い場部2b、2bの上方空間を仕切るもので、開閉自在である。
上記の構成の下に、各防水パン2、2、壁パネル5A〜5C、天井パネル7により形成された浴室空間23は、一方の浴槽設置部2a及び洗い場部2bの上方に形成された空間23aと、他方の浴槽設置部2a及び洗い場部2bの上方に形成された空間23bとに仕切られている。
この浴室構造1は、要介護者の入浴を快適、かつスムーズに行えるようにすることを目的としているので、そのための設備として、各浴槽3の左右両側に、入浴者の浴槽3への移動を容易にするための移乗台24、24が設置されている。この場合、移乗台24は、防水パン2の浴槽設置部2a上に支持された図示しない支持板台に設置されている。
また浴槽3の奥側に位置する壁パネル5Aには、手摺り26が設けられている。また、左右両側方に設置された壁パネル5Bには、シャワーカウンタ27が設けられている。
図4は、図1のP0で示す矢視部分における防水パン2、2の連結部Pの拡大平断面図である。
図5は、図4のY−Y線から視た縦断面図であり、これら図4、図5に防水パン2、2の連結部Pの詳細が示されている。
これらの図に示す防水パン2の端縁15a(15b)は、図2に示す浴槽設置部2aの端縁であり、図1に示す洗い場部2bの端縁と同一の構成をもって該洗い場部2bの端縁に連設されたものである。
図5において、一方の端縁15a(図において左側に位置する端縁)には、その下面側に、端縁15aの長手方向全域(浴槽設置部2aと洗い場部2bとの端縁の奥行き方向全域)に亘って突出壁部31aが形成されている。突出壁部31aは、端縁15aから鉛直方向下方へ突出する垂下壁部32aと、この垂下壁部32aから他方の端縁15b側へ向けて湾曲し、更に水平方向に突出する張出壁部33aと、この張出壁部33aの突出先端に鉛直方向を向くように形成された先端壁部34aとを備えている。
また、他方の端縁15bには、その下面側に突出壁部31bが形成されている。この突出壁部31bは、前記突出壁部31aと左右対称の形状を有するものであり、垂下壁部32b、張出壁部33b、先端壁部34bを備えている。
これらの突出壁部31a、31bは、張出壁部33a、33bを同一高さに位置させて、先端壁部34a、34bが一定寸法離間して対向するように配置されている。
そして、これら突出壁部31a、31bは、連結部材35によって連結されている。
連結部材35は、一定間隔を隔てて水平方向に延在する2つの水平壁部36、36と、これら水平壁部36、36の内端から下方へ延出する側壁部37、37と、これら側壁部37、37間に架設された底壁部38とを備えている。
この連結部材35は、前記突出壁部31a、31bの長手方向全域間を連結するものであり、底壁部38の長手方向の一部に、図4、図6に示すように開口部39が形成されている。
底壁部38は、その上面38aが図1に示す浴室空間23の前側Aから開口部39に向けて僅かな傾斜角をもって下る傾斜面とされており、また、浴室空間23の奥側Bから開口部39に向かって同様に下る傾斜面とされている。
この連結部材35の底壁部38と、突出壁部31a、31bとは、後述する溝部70を形成し、入浴時に洗い場部2b上に落下する温水等の排出を後述する排水配管に導く排水通路Rを構成している。
上記の連結部材35は、水平壁部36、36を前記張出壁部33a、33bの下方に位置させ、水平壁部36、36と張出壁部33a、33bとの間にゴム等の水密性を確保するための弾性部材40、40を介在させ、水平壁部36、36の下面側に桟部材41、41を配置し、張出壁部33a、33bの上方から弾性部材40、40、水平壁部36、36、桟部材41、41にタッピングネジ42、42を螺入することによって、水平壁部36、36の上面を先端壁部34a、34bの下端に当接させて突出壁部31a、31bに固定されている。
ここで弾性部材40は、断面矩形の形状をもって突出壁部31a(31b)の長手方向に配置された部材であって、前記張出壁部33a(33b)、先端壁部34a(34b)、水平壁部36により囲まれた空間内に密に嵌着し、突出壁部31a(31b)と連結部材35との間を水密構造とする。
また、桟部材41は、合成樹脂製の部材であって、断面矩形の形状をもって突出壁部31a(31b)の長手方向に配置された部材である。
連結部材35の下方には、突出壁部31a(31b)の長手方向に延在させて連結部材35を下方から受けるフレーム45が配置されている。
フレーム45は、水平方向に位置する支持壁部46の左右両端に立上り壁部47、47が形成されたもので、支持壁部46の上面と立上り壁部47、47の内面に当接させて桟部材48、48を配置し、桟部材48、48と前記水平壁部36、36との間にスペーサ49、49を介在させ、水平壁部36、36の上方からスペーサ49、49、桟部材48、48にタッピングネジ50、50を螺入し、更に立上り壁部47、47の外方から桟部材48、48にタッピングネジ50、50を螺入することによって連結部材35に固定されている。
上記のスペーサ49、及び桟部材48も、合成樹脂製の部材であって、突出壁部31a(31b)の長手方向に向けて配置されたものである。
このフレーム45は、アジャスタボルト51によって床面14上に支持されている。
上記のアジャスタボルト51は、フレーム45の長手方向(紙面に直交する方向)において、所定間隔おきに設けられており、フレーム45が長手方向の複数個所で支持される構造となっている。
図4、図6に示すように、連結部材35の開口部39が形成された部分の下方には、トラップ構造体60が設けられている。
トラップ構造体60は、浴室内の排水を開口部39から排水配管61に導く経路において、排水の逆流や臭気の侵入を防ぐ目的で設置されたものである。
このトラップ構造体60は、合成樹脂材料により一体に成形されたものであって、上方に開口する流入口62を有する取付部63と、この取付部63の下方に連続して設けられた排水の通路空間64をU字状に形成したトラップ部65と、このトラップ部65の一側部上端のトラップ出口66に連続して設けられ、トラップ出口66から流出する排水を排水配管61方向へ導く排水部67とを備えており、排水部67に形成された排水出口68に排水配管61が接続されている。
このトラップ構造体60は、取付部63の上面を桟部材41の下面に当接させ、取付部63の下方から桟部材41にタッピング螺子50を螺入することによって連結部材35に固定されている。
上記の構成において、突出壁部31a、31bと連結部材35とにより形成される空間は上方が開口する溝部70となっているが、この溝部70内には上方に開口する部分を塞ぐ蓋部材71が配設されている。
蓋部材71は、金属板をプレス成形により折曲かつ穴開け加工して形成されたものであって、図6、図7に示すように、水平方向に延在する上壁部72と、この上壁部72の両端部から下方へ延出する中壁部73、73と、これら中壁部73、73の下端部から水平方向に互いに接近する方向へ延び、さらに下方へ折曲されて延びる下壁部74、74と、これら下壁部74、74の下端部から互いに水平方向へ接近するように延びる係合壁75、75とを備えている。
上壁部72には、洗い場部2b、移乗台24を支持する図示しない支持台上の排水を下方へ導くスリット76、76・・が形成されている。
この蓋部材71は、図6に示すように、その係合壁75、75を先端壁部34a、34bの上面に載置することにより溝部70内に設置されている。
この場合、蓋部材71の高さ寸法は、上壁部72が浴槽設置部2a及び洗い場部2bの各縁部15a、15b(図5参照)の上面と略面一状態となるように設定されている。
次に、上記のように構成された浴室構造1の使用方法について説明する。
上記の浴室構造1は、浴槽3、3を2つ備えているので、同時に2人の要介護者の入浴が可能であり、かつ、各浴槽3、3の位置する空間23a、23b間がカーテン22を配した連結部Pの奥行き方向2分の1の前側において連通しているので、1人の介護者がカーテン22を移動させ両空間23a、23bを連通させた状態で移動することによって2人の要介護者の介護を行うことが出来る。
すなわち、要介護者の入浴時の介護は、要介護者の身体特性によって介護者が要介護者に付き添う状況が異なってくるものであるが、介護が浴槽3と洗い場部2bとの間移動時等、特定の場合にのみ必要となる要介護者については、同時に2人の要介護者を入浴させ、1人の介護者が必要に応じて各空間23a、23b間を移動し、各要介護者の介護を行えばよい。
この場合、介護者は、カーテン22を開閉操作することによって各空間23a、23b間を移動することが出来る。
以上説明したように、上記の浴室構造1によれば、1名の介護者により要介護者2名を同時に入浴させ、介護することができ、介護施設等に用いた場合に介護者の人員配置の点で介護効率の向上が図れるという効果が得られる。
また、浴槽3、3が設けられている空間が仕切り壁21及びカーテン22で仕切られているので、要介護者のプライバシーを確保することができ、要介護者が入浴を快適に行うことができるという効果が得られる。
また、浴室構造1は、2つの防水パン2、2と2つの浴槽3、3とを用い、更に壁パネル5A〜5C、天井パネル7を用いて浴室空間23を形成したものであり、これら浴室構造1の主な構成要素として一般的なユニットバスの構成要素を利用して組み立てられたものであるから、2人入浴用の浴室構造1の構成要素について新たな大型の製造装置を必要とすることがなく、従来の一般の製造装置を用いて製作することができるので、浴室構造1全体を安価に提供することができる。
浴室構造1の構成要素のうち、特に防水パン2及び浴槽3は、強度を十分に確保する必要性がありかつ形状が複雑に入り組んでいることから、一般的にハンドレイアップ成形法により製作される。
このハンドレイアップ成形法においては、成形に用いる成形型の製作コストが成形製品の大きなコストアップ要因となる。したがって、浴室構造1において防水パン2及び浴槽3を一般的な成形型を用いて製造できることは、浴室構造1のコストを抑える点で大きな利点である。
なお、一般的なユニットバスの防水パンは、端縁に設ける突出壁部31a、31bを、そこに壁パネルを設置する関係から端縁の上面側に設けるようにしている。
したがって、上記の実施形態において防水パン2をハンドレイアップ成形法により成形するには、一般的な成形型を使用するものの、成形型の連結部P部分における突出壁部成形部に「中子」を配置して端縁の上面側に突出壁部31a、31bを成形しないこととし、当該成形型に補助型を設けて図6に示すように端縁の下面側に突出壁部31a、31bを形成するようにする。
また、介護者は、洗い場部2b、2bの連結部Pの近傍に位置することによって、カーテン22を操作しつつ両空間23a、23bの各要介護者を見守ることが出来る。
一方、要介護者の入浴時に洗い場部2b、2b及び移乗台24の図示しない支持台上に流された湯水等の排水は、蓋部材71のスリット76から落下し、連結部材35の底壁部38上の排水通路Rを通って開口部39に至り、この開口部39からトラップ構造体60に流入する。
トラップ構造体60に流入した排水は、その一定量がトラップ部65に貯留され、一定量を超えた排水が溢流水としてトラップ出口66から排水部67に流入する。排水部67内の排水は、排水配管61を通って下水道に放出される。
かくして、浴室内の排水経路Rに上記のトラップ構造体60のトラップ部65が介装されることにより、排水の逆流、浴室内への臭気の侵入等が防止できる。
また、防水パン2、2の連結部Pに形成される溝部70内に蓋部材71を配置したから、各洗い場部2b、2b上面を凹凸部のないバリアフリー構造とすることができ、安全な入浴が可能となるという効果が得られる。
また、洗い場部2b及び前記支持台の排水を蓋部材71のスリット76、排水通路R、トラップ構造体60を介して排水配管61へ導くことができ、排水をスムーズに行うことが出来るという効果が得られる。
図8は、本発明の第2の実施形態を示す図である。
この実施形態が上述した第1の実施形態と異なる点は、防水パン2、2の連結部P2の構成である。
すなわち、この実施形態においては、防水パン2、2の連結部P2に形成された溝部70内に蓋部材71が配置され、蓋部材71と防水パン2、2の端縁15a、15bとの間にシリコンコーキングがなされている。蓋部材71は、上述した第1の実施形態とは異なり、スリット76を備えていない。したがって、この実施形態では、防水パン2、2の連結部P2が水密構造とされ、洗い場部2b等からの排水が別途設けられた図示しない流路を経て排出されるように構成されたものである。
なお、防水パン2、2の端縁15a、15bに形成された突出壁部31a、31bは、連結部材35に固定され、連結部材35は桟部材48を介してフレーム45に固定され、フレーム45はアジャスタボルト51により床面14上に支持されている。
この実施の形態によれば、防水パン2、2の連結部P2に湯水の排水路を設けてないので、連結部P2を簡単な構成とすることが出来る。
図9は、本発明の第3の実施形態を示す図である。
図9は、図1のP0部分における防水パン2、2の連結部に対応する連結部P3の拡大縦断面図である。
この実施形態は、防水パン2、2の連結部に排水を行うための構造を備えていない点で上記の第2の実施形態と同一である。
この実施形態においては、一方の防水パン2の端縁15a上に図1の仕切り壁21に対応する仕切り壁80が固定状態で設置されており、蓋部材71の上面にレール81が設置されている。
レール81は、蓋部材71上において図1に示す洗い場部2b、2bが設けられた浴室空間23の手前側まで敷設されている。
レール81上には、引き戸82が走行自在に設けられている。引き戸82は、図1に示すカーテン22の代わりに設けられたものであって、その下桟83に設けられた車輪84がレール81上を走行し上桟がガイド部材(いずれも図示せず)に案内されることによって空間23a、23bを開閉するものである。
この実施形態によれば空間23a、23bを引き戸82により仕切る構成であるため、各空間23a、23bをより確実に独立した空間とすることができ、要介護者のプライバシー確保がより確実なものとなるという効果が得られる。
図10は、本発明の第4の実施形態を示す図である。
この実施形態は、図1に示す実施形態において一方の浴槽4に入浴者の移動装置を設けたものである。
すなわち、図10に示す浴室構造1においては、一方の浴槽4に昇降装置90が備えられている。
昇降装置90は、駆動機構(図示せず)を備えて浴槽4に固定される基枠91と、この基枠91に固定された支持プレート92及び手摺り93と、支持プレート92上を移動可能な座部94とを備えてなるものであり、要介護者が座部94に座った状態で、駆動機構を動作させることにより要介護者が浴槽4の湯の内外へ移動できるように構成されたものである。
この実施形態においては、一方の浴槽4に座位を維持できるレベルの一の介護者が入浴し、他方の浴槽4に自立して入浴動作が可能な二の要介護者が入浴し、この際要介護者が一の要介護者を介助入浴させながら二の要介護者の入浴を見守ることが出来るため、それぞれ身体能力に即した入浴介助をしながら効率的な入浴が可能となる。
図11は、本発明の第5の実施形態を示す図である。
上述した図1から図5に示す実施形態は、防水パン2、2、端縁15a、15bに形成される突出壁部31a、31bが下方に突出するよう形成されたものである。
しかしながら、これらの実施形態においては、前述したように防水パン2の製造に際して成形型の一部の修正が必要である。
そこで、この第5の実施形態においては、防水パン2の成形に際して、一般的な成形型をそのまま使用できるようにしたものである。
すなわち、この実施形態においては、図11に示すように、防水パン2、2の端縁15a、15bには、それぞれ上方へ向けて突出壁部100a、100bが形成されている。
この実施形態は、突出壁部100a、100bを対向配置し、これら突出壁部100a、100bにこれらを覆うように断面逆U字形に形成されたカバー101を被覆したものである。
この実施形態によれば、防水パン2の成形型として一般的なユニットバスの成形型をそのまま使用することが出来るので、より浴室設備全体の製造コストの低減を図ることが出来る。
1 浴室構造,2 防水パン,2a 浴槽設置部,2b 洗い場部,3 浴槽,15a、15b 端縁,P 連結部,5A 壁パネル,5B 壁パネル,5C 壁パネル,7 天井パネル,20 仕切り部材,23 浴室空間,31a、31b 突出壁部,35 連結部材,61 排水配管,70 溝部,100a、100b 突出壁部,R 排水通路

Claims (2)

  1. 少なくとも2つの防水パンが端縁同士で連結され、
    前記各防水パンの上方に形成された空間どうしが、前記各防水パンの端縁同士が連結されている連結部を跨いで連通することで、前記少なくとも2つの防水パンの上方に浴室空間が形成され、
    前記少なくとも2つの防水パンとして、浴槽設置部と洗い場部とを備える第1の防水パンおよび第2の防水パンを備え、
    前記浴室空間を、前記第1の防水パンの上方に形成された第1の空間と、前記第2の防水パンの上方に形成された第2の空間と、に仕切る仕切り部材が、介護者が両空間を移動可能に設けられている浴室構造。
  2. 前記両空間それぞれに出入口が設けられている請求項1に記載の浴室構造。
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