JP6518356B1 - 冷凍球状食品及び冷凍球状食品の製造方法 - Google Patents

冷凍球状食品及び冷凍球状食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水分の層に覆われているようなつややかな外観を有する冷凍球状食品及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の冷凍球状食品は、内包物を被覆する皮膜を有する冷凍球状食品であって、前記皮膜が、アルギン酸カルシウムと、所定の増粘多糖類とを含み、所定の解凍条件で解凍した後に、前記冷凍球状食品を平板上に静置し、所定の撮像条件の下、デジタルマイクロスコープで前記皮膜の表面全体を区画して撮像した複数の画像各々から、ビジュアルアナライザーを用いて所定の解析条件で「形状情報」処理により算出されたつやの塊のうち、最も大きいつやの塊のピクセル数が20000ピクセル以上であり、前記平板上に静置された前記冷凍球状食品を、前記平板に略平行な投影面に投影した投影面積が面積144mm2以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、アルギン酸カルシウム皮膜を有する冷凍球状食品及びその製造方法に関する。
従来より、アルギン酸カルシウム皮膜を用いて球状の食品を作成する技術が知られている。アルギン酸カルシウム皮膜は、保水性を有して弾力があり、かつ歯で噛み切れる程度の適度な破断応力を有するため、魚卵様食品や生卵黄様加工食品などに用いられてきた。
特許文献1には、塩化カルシウムを含むゾル状体をアルギン酸アルカリ金属水溶液中に滴下し、アルギン酸カルシウム皮膜を製して魚卵様食品を得る方法が記載されている。
特許文献2には、アルギン酸カルシウム皮膜からなる卵黄膜相当部を有する生卵黄様加工食品が記載されている。
特開2004−215536号公報 特開2009−131215号公報
アルギン酸カルシウム皮膜としては、新鮮な魚卵の卵膜や生卵の卵黄膜のように、冷凍及び解凍後であってもまるで水分の層に覆われているようなつややかな外観を有するものが求められている。しかしながら、従来の技術では、冷凍及び解凍後のアルギン酸カルシウム皮膜に対して好ましい潤いやつややかさを安定して発現させることが難しかった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、水分の層に覆われているようなつややかな外観を有する冷凍球状食品及びその製造方法を提供することである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、冷凍球状食品のアルギン酸カルシウムを含む皮膜に、所定の増粘多糖類を加えることにより、解凍後でも潤沢な水分を感じさせるつややかな好ましい外観を有する冷凍球状食品が安定して得られることを見出した。
さらに、本発明者らは、アルギン酸カルシウムを含む皮膜において、表面に水の膜が張っているような特有の質感を安定して発現させるために適した増粘多糖類を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)内包物を被覆する皮膜を有する冷凍球状食品であって、
前記皮膜が、アルギン酸カルシウムと、増粘多糖類とを含み、(但し、未加工澱粉のみ、架橋澱粉のみ、並びに未加工澱粉及び架橋澱粉のみを含む皮膜は除く)とを含み、
前記冷凍球状食品を室温(25℃)に移して3時間静置して解凍した後に、前記冷凍球状食品を平板上に静置し、下記(1−1)〜(1−5)を満たす撮像条件(1)の下、デジタルマイクロスコープで前記皮膜の表面全体を区画して撮像した複数の画像各々から、ビジュアルアナライザーを用いて下記(2−1)〜(2−3)の解析条件(2)で抽出されたつやの塊のうち、最も大きいつやの塊のピクセル数が20000ピクセル以上であり、
前記平板上に静置された前記冷凍球状食品を、前記平板に略平行な投影面に投影した投影面積が面積144mm以上である
冷凍球状食品。
[撮像条件(1)]
(1−1)使用レンズ:超小型高性能ズームレンズ(倍率20〜200) 型番VH−Z20R(株式会社キーエンス製)
(1−2)前記レンズにおける倍率:20倍
(1−3)シャッタースピード:1/120sec
(1−4)ゲイン:6db
(1−5)ホワイトバランス:2700K
[解析条件(2)]
(2−1)解析に用いられる色空間:HSV色空間
(2−2)HSV色空間における前記つやの数値範囲
・H(色相):0〜180(選択可能な最大数値範囲:0〜180)
・S(鮮やかさ):0〜65(選択可能な最大数値範囲:0〜255)
・V(明るさ):110〜255(選択可能な最大数値範囲:0〜255)
(2−3)前記つやとして抽出されたピクセルにおいて、各ピクセルが前記つやの塊から除外されるための他のピクセルとの間の最短距離:1ピクセル以上
(2)(1)に記載の冷凍球状食品であって、
前記増粘多糖類がヒドロキシプロピル澱粉である
冷凍球状食品。
(3)内包物を被覆する皮膜を有する冷凍球状食品の製造方法であって、
アルギン酸アルカリ金属及び増粘多糖類を含む皮膜形成用水溶液(但し、未加工澱粉のみ、架橋澱粉のみ、並びに未加工澱粉及び架橋澱粉のみを含む皮膜形成用水溶液は除く)を調製する工程と、
カルシウムイオンを含有する内包物形成用充填物が充填された半球状カップを、前記皮膜形成用水溶液中に浸漬させる工程と、
前記半球状カップを前記皮膜形成用水溶液中に保持することで、前記内包物形成用充填物の表面に、アルギン酸カルシウム及び前記増粘多糖類を含む前記皮膜を形成させる工程と、
を含む冷凍球状食品の製造方法。
(4)(3)に記載の冷凍球状食品の製造方法であって、
前記皮膜形成用水溶液中の増粘多糖類の含有量が0.5%以上である
冷凍球状食品の製造方法、
である。
本発明により、水分の層に覆われているようなつややかな外観を有する冷凍球状食品及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明において、「%」は質量%を示し、「部」は質量部を示す。
<冷凍球状食品>
本発明の冷凍球状食品とは、内包物を被覆するアルギン酸カルシウム皮膜により球状に成型された球状食品であって、−15℃以下で冷凍及び保管されたものをいう。本発明の球状とは、球形のみならず、生卵黄のような球形に近い楕円球形、扁平球形等も含む。
本発明の球状食品は、アルギン酸カルシウム皮膜と、当該皮膜の内部に形成された内腔と、当該内腔の内部に充填された液状又はゾル状の内包物とを含む。本発明のアルギン酸カルシウム皮膜は、解凍後でもまるで水分の層に覆われているようなつややかな外観を有し、水分を豊富に含んでいる。このため、弾力があり、口に含んだときに容易に皮膜が破れ、内包物が口の中に広がる、独特の食感を有する。また、当該球状食品は、皮膜の柔軟性により、皿などに盛りつけたときに自重によって扁平球形状を呈する。このような食感や外観から、本発明の球状食品は、後述する生卵黄様食品や、目を引く外観及び食感を楽しめる調味料及びデザート等として利用することができる。
<皮膜>
本発明の皮膜は、アルギン酸カルシウムと、所定の増粘多糖類と、を含み、内包物の外縁に形成された薄膜である。皮膜の厚さは特に限定されないが、例えば50μm〜3mm、さらに80μm〜2mmであるとよい。
<アルギン酸カルシウム>
本発明のアルギン酸カルシウムは、上記皮膜の主成分であり、アルギン酸アルカリ金属とカルシウムイオンとの接触反応により形成される。アルギン酸カルシウムは、三次元網目構造を有し、保水性を有する。
なお、アルギン酸カルシウムは、本発明の増粘多糖類には含まないものとする。
<増粘多糖類>
本発明の増粘多糖類とは、皮膜に含まれる増粘多糖類をいうが、未加工澱粉のみ、架橋澱粉のみ、並びに未加工澱粉及び架橋澱粉のみ、のいずれでもない。さらに、本発明の増粘多糖類は、他の増粘多糖類を含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、未加工澱粉及び架橋澱粉を含んでもよい。本発明の増粘多糖類により、アルギン酸カルシウム皮膜に対し、解凍後でも水分の層に覆われているようなつややかな光沢を安定して発現させることができる。
本発明の増粘多糖類は、「未加工澱粉のみ、架橋澱粉のみ、並びに未加工澱粉及び架橋澱粉のみは除く」という条件の下、下記に挙げる1種又は2種以上を用いることができる。
例えば、当該増粘多糖類としては、澱粉、ガム質、ペクチン、カードラン、プルラン、マンナン等が挙げられる。
澱粉としては、未加工澱粉と、未加工澱粉を加工した加工澱粉とが挙げられる。澱粉の具体例については、後述する。
ガム質としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、タラガム、グアガム、アラビアガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム等が挙げられる。
<増粘多糖類/未加工澱粉>
本発明の未加工澱粉とは、イモ、コーン、タピオカ、小麦、米等の原料から精製された澱粉であり、下記の加工澱粉を除くものをいう。具体的に、未加工澱粉としては、米澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉等が挙げられる。
ここで、本発明者らは、上記皮膜に添加される増粘多糖類として、未加工澱粉を単独で、又は架橋澱粉とともに用いると、つややかな外観が得られないという知見を得た。このため、本発明の増粘多糖類では、未加工澱粉を単独で、又は架橋澱粉と2種で用いる態様は除外される。
<増粘多糖類/加工澱粉>
本発明の加工澱粉とは、未加工澱粉に物理的、酵素的、及び化学的な加工を加えたものをいう。具体的に、加工澱粉としては、ヒドロキシプロピル澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉等が挙げられる。
<増粘多糖類/架橋澱粉>
本発明の架橋澱粉は、加工澱粉の一種であり、未加工澱粉に対し、複数の水酸基間を架橋する処理が施されたものをいう。本発明の架橋澱粉として、具体的には、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等が挙げられる。
架橋澱粉は、一般に、安定性及び保水性を高める増粘多糖類として知られている。しかしながら、本発明者らは、アルギン酸カルシウム皮膜に架橋澱粉を単独、あるいは未加工澱粉と組み合わせて用いた場合には、つややかな外観が得られないという意外な知見を得た。このため、本発明の増粘多糖類では、架橋澱粉を単独、あるいは未加工澱粉と2種で用いる態様は除外される。
<増粘多糖類/ヒドロキシプロピル澱粉>
本発明の増粘多糖類は、例えばヒドロキシプロピル澱粉であるとよい。ヒドロキシプロピル澱粉とは、上記未加工澱粉にヒドロキシプロピル基が付加された加工澱粉である。本発明の皮膜では、増粘多糖類としてヒドロキシプロピル澱粉を用いることにより、アルギン酸カルシウム皮膜に対し、特に大きな塊のつやを安定して発現させることができる。
<皮膜/その他の成分>
なお、本発明における皮膜は、アルギン酸カルシウム及び上記増粘多糖類の他、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含むとよい。当該他の成分としては、アルギン酸のカルシウム塩以外の多価金属塩、例えば、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
<内包物>
本発明の内包物とは、上記皮膜により内包される、冷凍球状食品の原料をいう。本発明の内包物は、例えば、流動性を有する液状物やゾル状物であるとよい。これにより、口に含んで皮膜が破れると内包物が流れ出るような特有の食感を付与することができる。
内包物の成分は、冷凍球状食品の用途に応じて選定されるとよい。例えば、球状食品が生卵黄様食品の場合には、内包物を卵黄様液とするとよい。また、調味料の場合には、内包物として公知の調味料が含まれるとよく、一例としてドレッシング類、マヨネーズ類等が挙げられる。また、野菜や果物のペースト状物を内包物として用いることで、略球形のゼリー様のデザートを製することもできる。
<内包物の粘度>
内包物の粘度は、20℃において、500mPa・s以上30000以下mPa・sであるとよく、1000mPa・s以上20000mPa・s以下であるとよく、さらに1500mPa・s以上15000mPa・s以下であるとよい。
内包物の粘度を上記範囲とすることで、後述する製造方法において、内包物が皮膜に内包されやすくなる。また、上記粘度を1000mPa・s以上20000mPa・s以下、特に1000mPa・s以上20000mPa・s以下とすることで、球状食品を口に含んで皮膜が破れると内包物がとろっと流れ出るような、良好な食感を付与することができる。
<内包物の比重>
内包物の比重は、20℃において、1.02〜1.30であるとよく、1.04〜1.20であるとよく、さらに1.05〜1.15であるとよい。内包物の比重をこのような範囲とすることで、後述する製造方法において、内包物が皮膜に内包されやすくなる。
内包物の比重は、例えば以下のように測定できる。まず、重量及び容量が既知の容器に卵白加工液を充填する。このとき、内包物が当該容器から表面張力でぎりぎりこぼれない程度の満杯となるように充填し、当該容器から溢れた分は摺り切るようにする。続いて、内包物が充填された容器の重量を測定し、当該重量から容器の重量を減じることで、内包物の重量を求める。さらに、内包物の重量を水の重さ(容器の容量)で除することで、比重を求めることができる。比重の測定時における内包物の温度は、20〜40℃とすることができ、例えば20℃とすることができる。
<生卵黄様食品>
本発明の冷凍球状食品は、生卵黄様食品が冷凍処理されたものでもよい。
本発明の生卵黄様食品とは、上述のように卵黄様液を内包物とする球状食品をいい、鶏卵等の卵黄膜に包まれたままの生卵黄を模した球状食品をいう。卵黄様液とは、生液卵黄を模した、生液卵黄に近い粘度及び色調を有する液状物をいう。卵黄様液は、適量の生液卵黄を含んでいるとよい。
本発明の生卵黄様食品は、上記皮膜が卵黄膜と同様の弾力性及び破断応力を有するため、生卵黄の代替物として好ましく用いることができる。さらに、本発明によれば、解凍後であってもつややかな光沢のある外観が維持できるため、冷凍食品として、流通性や保存性を高めた、より利用しやすい生卵黄様食品を提供することができる。
<冷凍球状食品の外観>
本発明の冷凍球状食品は、大きなつやの塊を有することを特徴とする。すなわち、本発明の冷凍球状食品は、冷凍球状食品を室温(25℃)に移して、乾燥を防ぐため、少なくとも冷凍球状食品の上面が、ナイロンパウチやラップ等の包装フィルムによって覆われた状態で3時間静置して解凍する。この際、球状食品と包装フィルムが接触していても、非接触でもよい。また、球状食品を覆う包装フィルムの状態は、密封状態でも、非密封状態でもよい。解凍を行った後に、平板上に静置した冷凍球状食品の表面全体を区画してデジタルマイクロスコープで撮像した複数の画像各々から、ビジュアルアナライザーを用いて所定の解析条件の下、後述する「形状情報」処理をすることにより算出されたつやの塊のうち、最も大きいつやの塊のピクセル(pixel)数が所定の値以上となることを特徴とする。
<デジタルマイクロスコープ>
本発明の撮像で用いるデジタルマイクロスコープとは、光源(照明)を備えた撮像レンズと、撮像素子とを有し、対象物を拡大し、下記の撮像条件で撮像できるデジタル撮像装置をいう。
本発明では、上記デジタルマイクロスコープを用いて、解凍後の冷凍球状食品を平板(試料台)に静置し、平板の垂直方向上方から当該球状食品の表面全体の画像を撮像する。詳細には、解凍後の冷凍球状食品を上方から見たときの皮膜の表面全体を区画して、複数の画像を撮像する。各画像は、撮像領域が重複していないことが好ましいが、撮像領域の一部が重複していてもよい。これにより、冷凍球状食品の皮膜の表面全体のつやを適切に撮像することができる。各画像のサイズは、下記使用レンズ及び倍率に基づき、12mm×16mmの領域が撮像できるサイズとなる。
<撮像条件(1)>
本発明では、上記デジタルマイクロスコープを用いてつやを適切に撮像するために、下記の撮像条件(1)を用いる。当該撮像条件(1)は、次の通りである。
(1−1)使用レンズ:超小型高性能ズームレンズ(倍率20〜200) 型番VH−Z20R(株式会社キーエンス製)
(1−2)上記レンズにおける倍率:20倍
(1−3)シャッタースピード:1/120sec
(1−4)ゲイン:6db
(1−5)ホワイトバランス:2700K
これにより、解析に用いる画像サイズを規定できるとともに、つやの塊の解析に適した画質の画像を撮像することができる。
<ビジュアルアナライザー>
本発明で用いるビジュアルアナライザーは、上記デジタルマイクロスコープで撮像された上記皮膜表面の画像に対して下記解析条件(2)下で解析処理を行い、つやの塊の大きさを規定することが可能な画像処理装置である。本発明で用いられるビジュアルアナライザーは、アルファ・モス・ジャパン株式会社製の「IRIS」である。
<解析条件(2)>
本発明の解析条件(2)は次の通りである。
(2−1)解析に用いられる色空間:HSV色空間
(2−2)HSV色空間における上記つやの数値範囲
・H(色相):0〜180(選択可能な最大数値範囲:0〜180)
・S(鮮やかさ):0〜65(選択可能な最大数値範囲:0〜255)
・V(明るさ):110〜255(選択可能な最大数値範囲:0〜255)
(2−3)上記つやとして抽出されたピクセルにおいて、各ピクセルが前記つやの塊から除外されるための他のピクセルとの間の最短距離:1ピクセル以上
解析条件(2−2)は、アルギン酸カルシウム皮膜特有のつやとしてふさわしい色の範囲を規定する。
解析条件(2−3)は、つやの塊として抽出される条件を規定する。詳細な抽出処理方法については、以下で説明する。
<ビジュアルアナライザーによる解析処理>
ビジュアルアナライザーでは、上記解析条件(2)の下で「形状情報(Shape Descriptors)」処理をすることにより、各画像が自動的に解析される。
「形状情報」とは、上記ビジュアルアナライザーにおいて、各画像から上記解析条件(2−3)を満たすとして抽出されたつやの塊の形状に関する情報をいう。
「形状情報」処理とは、上記ビジュアルアナライザーにおいて、各画像のつやの塊を抽出し、抽出された各つやの塊のピクセル数を自動的に算出する処理をいう。具体的には、上記ビジュアルアナライザーに対して、「形状情報」を表示させるように入力操作を行う。これにより、上記ビジュアルアナライザーと接続されたディスプレイ等に、各サンプルの「形状情報」データが表示され、算出されたつやの塊のピクセル数が「面積値(Area)」として表示される。
より詳細には、ビジュアルアナライザーでは以下の処理が行われる。
まず、画像内において上記解析条件(2−2)を満たすピクセルを、「つやピクセル」として抽出する。
続いて、上記つやとして抽出されたつやピクセルのうち、上記解析条件(2−3)を満たす範囲をつやの塊として抽出する。具体的には、各つやピクセルが他のつやピクセルと縦横斜めのいずれかに隣接しているか否か判定する。他のつやピクセルと隣接していると判定されたつやピクセルは、つやの塊の一部と判定される。一方、他のつやピクセルと隣接していない、つまり他のつやピクセルと1ピクセル以上離れていると判定されたつやピクセルは、つやの塊から除外される。
そして、抽出された各つやの塊のピクセル数を算出する。
本発明の冷凍球状食品では、潤いのある所望の外観を有する場合、つやとして抽出されるピクセルが密集し、大きな塊状に抽出される。一方で、表面が乾燥していたり所望の外観を有さない球状食品の場合は、これらのピクセルが点在していたり、密集度が低かったりして、後述するピクセル数以上の大きさの領域が抽出されない。
<皮膜の表面のつやの塊の最大ピクセル数>
本発明の皮膜の表面のつやの塊の最大ピクセル数とは、1つの球状食品を撮像した各画像から上記解析条件下で抽出され、算出されたつやの塊のピクセル数のうち、最も大きいものをいう。上記最大ピクセル数は、20000ピクセル以上であり、30000ピクセル以上であるとよく、32000ピクセル以上であるとさらによい。下記サイズの冷凍球状食品においてつやの塊をこのように規定することで、潤いのあるつややかな光沢を有する冷凍球状食品を提供することができる。
<冷凍球状食品のサイズ>
本発明の冷凍球状食品のサイズは、平板上に静置された冷凍球状食品を、平板に略平行な投影面に投影した投影面積で規定される。当該投影面積は、144mm2以上であり、さらに400mm2以上であるとよい。例えば当該投影面積は、2500mm2以下であるとよい。このような大きさの冷凍球状食品としては、上述の生卵黄様食品が挙げられる。当該投影面積を算出する方法としては、例えば、デジタルマイクロスコープや他の撮像装置で冷凍球状食品を撮像し、自動面積測定機能を使って測定することができる。
<冷凍球状食品の製造方法>
本発明の冷凍球状食品の製造方法は、内包物を被覆する皮膜を有する冷凍球状食品の製造方法である。
本発明の冷凍球状食品の製造方法は、アルギン酸アルカリ金属及び増粘多糖類(但し、未加工澱粉のみ、架橋澱粉のみ、並びに未加工澱粉及び架橋澱粉のみは除く)を含む水溶液を調製する工程と、内包物形成用充填物が充填された半球状カップを上記皮膜形成用水溶液中に浸漬させる工程と、内包液の表面にアルギン酸カルシウム及び増粘多糖類を含む皮膜を形成させる工程と、を含む。
<調製工程>
まず、アルギン酸アルカリ金属及び増粘多糖類(但し、未加工澱粉のみ、架橋澱粉のみ、並びに未加工澱粉及び架橋澱粉のみは除く)を含む皮膜形成用水溶液を調製する。
本発明に用いられるアルギン酸アルカリ金属とは、多糖類として褐藻類に多く含まれるアルギン酸の塩類をいい、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等をいう。
本工程に用いられる増粘多糖類は、上記のものを用いることができる。
<皮膜形成用水溶液中の増粘多糖類の含有量>
本発明の皮膜形成用水溶液中の増粘多糖類の含有量は、0.5%以上であるとよく、1%以上であるとよく、さらに2%以上であるとよい。これにより、上述のような好ましい光沢を安定して発現させることができる。また、当該増粘多糖類の含有量の上限は特にないが、例えば15%以下であるとよく、10%以下であるとよい。これにより、原料コストを抑えつつ、皮膜に光沢を発現させることができる。
<浸漬工程>
次に、内包物形成用充填物が充填された半球状カップを、上記皮膜形成用水溶液中に浸漬させる。本工程により、皮膜形成用水溶液中のアルギン酸アルカリ金属とカルシウムイオンとが接触し、後述するように皮膜が形成される。
本工程では、例えば半球状カップの底部に少量の上記皮膜形成用水溶液を充填し、かつ当該水溶液上に上記充填物を充填した後、当該半球状カップを皮膜形成用水溶液中に浸漬してもよい。あるいは、皮膜形成用水溶液中に浸漬させた半球状カップ内に、上記充填物を充填してもよい。充填は、自動的に所定量の充填物を充填可能な充填機や、注射器等を用いて、常法により行うことができる。
<内包物形成用充填物>
本発明の内包物形成用充填物とは、上記冷凍球状食品の皮膜に被覆される内包物となり得る液状物又はゲル状物であって、カルシウムイオンを含有するものをいう。内包物形成用充填物を、以下、単に「充填物」とも称する。内包物形成用充填物は、浸漬工程及び皮膜形成工程において皮膜を形成するためのカルシウムイオンを供給することができる。
当該内包物形成用充填物は、カルシウムイオンとして、水溶性カルシウム塩を含んでいてもよい。水溶性カルシウム塩としては、食用可能な水に溶解する性質を有するカルシウム塩であれば特に制限は無く、例えば、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム或いはこれらの化合物の水和物等が挙げられる。
上記内包物形成用充填物のカルシウムイオン濃度は、皮膜が適度な柔軟性を有するように調整されるとよく、例えば0.1〜1.7%であるとよく、さらに0.3〜1.5%であるとよい。
また、上記内包物形成用充填物は、成型のしやすさ等から、粘度や比重が調整されるとよい。
<内包物形成用充填物の粘度>
内包物形成用充填物の粘度は、20℃において、500mPa・s以上30000以下mPa・sであるとよく、1000mPa・s以上20000mPa・s以下であるとよく、さらに1500mPa・s以上15000mPa・s以下であるとよい。
内包物形成用充填物の粘度を上記範囲とすることで、皮膜の成型が容易になる。また、上記粘度を1000mPa・s以上20000mPa・s以下、特に1000mPa・s以上20000mPa・s以下とすることで、上述のように、球状食品の食感を良好にすることができる。
内包物形成用充填物の粘度は、内包物形成用充填物の原料の配合量や増粘剤の種類及び量等により調整可能である。
<内包物形成用充填物の比重>
内包物形成用充填物の比重は、20℃において、1.02〜1.30であるとよく、1.04〜1.20であるとよく、さらに1.05〜1.15であるとよい。内包物形成用充填物の比重をこのような範囲とすることで、皮膜の成型が容易になる。
内包物形成用充填物の比重は、例えば20℃において、上述の内包物と同様の方法で測定することができる。
上記比重の調整には、例えば、水飴、シュクロース、トレハロース、デキストリン、還元デキストリン等の糖類が用いられる。
<半球状カップ>
本発明の半球状カップとは、半球状に窪ませた凹部を有するカップである。半球状カップを用いることで、上記サイズの球状食品を成型することができる。その形状や材質等は特に制限されないが、例えば、樹脂製のものや、ステンレス製のものが用いられる。また、半球状カップは、連続的に形成された曲面を有するものでもよい。あるいは、浸漬工程における充填及び浸漬の方法によっては、底部及び側壁面に1個以上100個以下の小孔が形成されたものでもよい。半球状カップは、製造する冷凍球状食品のサイズに合わせて、その半球状に窪ませた凹部の大きさを決定可能である。
<皮膜形成工程>
次に、上記半球状カップを上記皮膜形成用水溶液中に保持することで、上記充填物の表面にアルギン酸カルシウム及び上記増粘多糖類を含む皮膜を形成させる。
より詳細には、皮膜形成用水溶液中のアルギン酸アルカリ金属及び充填物のカルシウムイオンが接触することにより、アルギン酸アルカリ金属のカルボキシル基2分子がカルシウムイオンを介して架橋結合し、アルギン酸カルシウムが生成される。これにより、アルギン酸カルシウムを主成分とする皮膜が形成される。
半球状カップの上記皮膜形成用水溶液中での保持時間は、適切な厚みの皮膜が形成されるとよく、例えば、1〜10分程度であるとよい。
また、保持方法も限定されず、例えば皮膜形成用水溶液中で半球状カップを揺動させてもよい。これにより、皮膜形成用水溶液と上記充填物との反応を促すとともに、球状に成型しやすくなる。
この皮膜形成工程により、アルギン酸カルシウム及び上記増粘多糖類を含む皮膜が内包物を覆う球状食品が得られる。
<冷凍工程>
上記球状食品に対して冷凍処理を行うことで、冷凍球状食品が得られる。
本工程の冷凍処理は、例えば、包装袋や容器に充填密封された球状食品を、−15℃〜−40℃以下の冷凍庫や冷凍室で凍結させることにより行われる。冷凍処理に要する時間は特に限定されない。冷凍処理後の冷凍球状食品は、例えば−30℃以下の冷凍庫や冷凍室で保存される。
<本発明の作用効果>
本発明の冷凍球状食品は、所定の増粘多糖類を含むアルギン酸カルシウム皮膜を有することで、大きな塊のつやを撮像することができ、水分の層に覆われているようなつややかな光沢を有する。
従来より、生卵黄様食品や魚卵様食品としてアルギン酸カルシウムを含有する皮膜を有する球状食品が知られていた。このような球状食品は、つややかで弾力性及び保水性のある皮膜により、口に含んだ際に当該皮膜が容易に破れ内包物が口の中に広がり、生卵黄や魚卵に近い特有の食感を有する。
ここで、アルギン酸カルシウム皮膜から弾力のある特有の食感を想起させるためには、当該皮膜の表面に水の膜が張っているような潤いのあるつややかな質感を有することが好ましい。そこで、本発明者らは、冷凍及び解凍後でもこのような特有の質感を安定して発現できる冷凍球状食品について鋭意研究し、アルギン酸カルシウム皮膜に所定の増粘多糖類を加えることに想到した。
以下の実施例でも示すように、本発明の増粘多糖類としては、未加工澱粉、及び架橋澱粉は、単独及びこれらの2種のみでの使用においては、所望のつややかな外観が得られない。特に、架橋澱粉を単独で用いた場合、皮膜表面のつやが失われる。これに対し、当該皮膜では、加工澱粉の中でも特にヒドロキシプロピル澱粉を用いた場合、特につややかな光沢のある外観が得られる。
未加工澱粉及び架橋澱粉は、いずれも汎用されている増粘多糖類であり、特に架橋澱粉は保水性や安定性の高いものとして知られている。したがって、これらが十分な効果を奏さないということは従来の技術常識に鑑みて意外な結果でもあり、アルギン酸カルシウム皮膜に特有の現象が生じているとも捉えられる。つまり、本発明の皮膜に含まれる増粘多糖類は、三次元網目構造を形成するアルギン酸カルシウムと何らかの相互作用をすることによって、上記皮膜に特有の機序で表面の保水機能が高まり、冷凍及び解凍後でもつややかな潤いのある外観が安定的に得られるものと考えられる。
特に、魚卵よりも大きい生卵黄程度のサイズでは、各球状食品の表面の質感が目立つことになる。本発明によれば、アルギン酸カルシウムを含む皮膜を有する、生卵黄程度のサイズの大きな球状食品においても、潤いのあるつややかな光沢を有し、新鮮な印象を与え好ましい食感を想起させる良好な外観を実現できる。したがって、本発明により、生卵黄様食品は勿論、さらには球状で目を引く外観及び特有の食感を有する調味料、デザート等にまで、当該球状食品の可能性を広げることができる。
以下、本発明を実施例等に基づき、さらに説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[実施例1]
実施例1では、本発明の冷凍球状食品として、冷凍卵黄様加工品を製した。
(内包物形成用充填物の調製)
まず、冷凍卵黄様加工品の内包物形成用充填物(充填物)として卵黄様液を製した。下記配合表に従って、卵黄様液の原料を配合し、ミキサーで均一になるまで撹拌した。攪拌後、90℃まで加温し、脱気した後、5〜10℃まで冷却し、卵黄様液を得た。得られた卵黄様液は、使用時まで冷蔵保存された。
(卵黄様液の配合)
卵黄 10%
水飴 10%
デキストリン 10%
乳酸カルシウム 1%
加工澱粉 5%
増粘多糖類 1%
清水 残余
――――――――――――――――――――――
合計 100.0%
(卵黄様液の粘度及び比重の測定)
卵黄様液の粘度を、BH型粘度計(東機産業(株)製)により、品温20℃、回転数10rpm、ローターNo.4の条件で測定した。卵黄様液の粘度は、12000mPa・sであった。
また、以下の方法により、各卵黄様液の比重を測定した。まず、プラスチック製カップ(容量230ml)に各卵黄様液を充填した。このとき、各卵黄様液が当該カップから表面張力でぎりぎりこぼれない程度の満杯となるように充填し、当該カップから溢れた分は摺り切った。続いて、カップに充填された各卵黄様液の重量を測り、当該重量を水の重さ(230g)で除することで、比重を求めた。卵黄様液の比重は、20℃において1.10であった。
(アルギン酸水溶液の調整)
次に、皮膜形成用水溶液として、アルギン酸水溶液を調整した。下記配合表に従って、アルギン酸水溶液を配合し、ミキサーで均一になるまで撹拌した。攪拌後、冷蔵保存した。
(アルギン酸水溶液の配合)
アルギン酸Na 1%
タピオカ由来ヒドロキシプロピル澱粉 10%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
合計 100%
(冷凍処理された卵黄様加工品の製造)
続いて、上記調整された卵黄様液が充填された半球状カップをアルギン酸水溶液に浸漬した。具体的には、少量のアルギン酸水溶液を半球状カップの底部に注入した後、卵黄様液10gを半球状カップ内のアルギン酸水溶液上に充填した。半球状カップは、小孔がなく連続的な曲面で構成され、カップ上部の長径が50mm、短径が30mm、深さが30mmのものを用いた。卵黄様液が充填された半球状カップをアルギン酸水溶液中に浸漬させた。半球状カップの水溶液中での保持時間は、4〜5分間であった。その後、アルギン酸水溶液から半球状カップを引き上げ、半球状カップから卵黄様加工品を取り出し、水洗いをした。これを包装袋に充填密封後、−30℃以下で冷凍した。
[実施例2〜7及び比較例1〜6]
実施例2〜7及び比較例1〜6において、増粘多糖類の種類とその配合比を表1に示すものとした以外は、実施例1と同様にして冷凍卵黄様加工品を製した。
Figure 0006518356
[実施例8]
実施例8では、本発明の冷凍球状食品として、ブルーベリーソースが内包された冷凍球状食品を製した。
(ブルーベリーソースの調製)
まず、実施例8の内包物形成用充填物としてブルーベリーソースを作製した。下記配合表に従って、ブルーベリーソースの原料を配合し、ミキサーで均一になるまで撹拌混合した。攪拌後、脱気し、ブルーベリーソースを得た。得られたブルーベリーソースは、使用時まで冷蔵保存された。
(ブルーベリーソースの配合)
市販ブルーベリーソース 90%
乳酸カルシウム 1%
水飴 9%
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
(ブルーベリーソースの粘度及び比重の測定)
卵黄様液の粘度及び比重の測定と同様に、ブルーベリーソースの粘度及び比重を測定した。
ブルーベリーソースの粘度(20℃)は、1590mPa・sであった。
ブルーベリーソースの比重は、20℃で1.10であった。
(ブルーベリーソース入り冷凍球状食品の作製)
実施例8では、充填物をブルーベリーソースとした以外は、実施例1と同様にして冷凍球状食品を製した。
[成型性の確認]
作製された実施例1〜9の冷凍球状食品(以下、サンプルとも称する)の成型性について確認するため、半球状カップから取り出した後の冷凍処理前の形状について目視で確認した。
いずれの球状食品も、皮膜を滑らかな表面の略球状に成型することができた。このことから、充填物(内包物)の粘度を500mPa・s以上30000mPa・s以下の範囲内であり(例えば1590mPa・s(実施例8)、12000mPa・s(実施例1〜7))、比重を1.02以上1.30以下(例えば1.10)とすることで、きれいな略球状に成型できることが確認された。
[冷凍球状食品の解凍及びサイズの確認]
続いて、実施例1〜8及び比較例1〜6のサンプルを解凍し、平板上に静置して、サイズについて確認した。
具体的には、まず−30℃で凍結した各サンプルを包装袋ごと室温(25℃)に移して、袋の口を開けた状態で3時間静置して解凍し、当該袋から出して平板上に静置した。静置された各サンプルの表面を、デジタルマイクロスコープ(「VHX−20000」、株式会社キーエンス製)を用いて、平板の垂直方向上方から撮像した。レンズは、超小型高性能ズームレンズ(倍率20〜200) 「VH−Z20R」(株式会社キーエンス製)を用いた。そして、自動面積測定機能を使って各サンプルのサイズ(投影面積)を算出した。
この結果、各サンプルとも、平面形状は短径約30mm、長径約30mmの略楕円球状であり、投影面積は約900mmであった。
[冷凍球状食品の解凍後の皮膜表面のつやの評価]
(冷凍球状食品の撮像)
続いて、解凍後平板上に静置された実施例1〜8及び比較例1〜6のサンプルの皮膜の表面のつやについて解析し、評価した。
具体的には、まず上述のように解凍し平板上に静置された冷凍球状食品の表面全体を、上記デジタルマイクロスコープを用いて撮像した。撮像には、以下の条件を用いた。すなわち、倍率が20×20(400倍)、シャッタースピードが1/120sec、ゲインが6db、ホワイトバランスは2700Kとした。撮像レンズとして、超小型高性能ズームレンズ 型番VH−Z20R(株式会社キーエンス製)を使用した。撮像レンズは、撮像レンズの周囲に環状に配置された光源を備え、光源は、12Vで100Wのハロゲンランプであり、撮像レンズの上下移動に伴って移動するものであった。
平板上に静置された冷凍球状食品を、上記撮像条件の下、平板の垂直方向上方から撮像した。このとき、各サンプル表面について12mm×16mmの区画ごとに撮像し、各サンプルに対して6枚程度の画像を得た。
(つやの塊の最大値の解析)
続いて、撮像した画像に対し、つやの塊の大きさを評価するため、ビジュアルアナライザー(「IRIS」、アルファ・モス・ジャパン株式会社製)を用いて解析した。
具体的には、まず抽出する色の閾値を、HSV色空間において、H(色相)が0〜180、S(鮮やかさ)が0〜65、V(明るさ)が110〜255と設定した。そして、ビジュアルアナライザーに対して「形状情報」を表示するように入力操作することで、「形状情報」処理が行われ、塊ごとのピクセル数が算出された。
そして、各サンプルを撮像した画像に対して出力されたつやの塊のピクセル数のうち、最も大きなものを、そのサンプルの「つやの塊の最大値」とした。その結果を表1に示す。
(評価基準)
以上のつやの塊の最大値の解析結果から、以下の評価基準に基づいて各サンプルのつやの評価を行った。表1に、各サンプルの結果を示す。
(評価基準)
A:32000ピクセル以上の非常に大きなつやの塊を有し、非常にきれいな光沢のある良好な外観を有する。
B:30000ピクセル以上32000ピクセル未満の大きなつやの塊を有し、きれいな光沢のある良好な外観を有する。
C:20000ピクセル以上30000ピクセル未満のやや大きなつやの塊を有し、光沢のある外観を有する。
D:つやの塊が20000ピクセル未満であり、つやの塊が小さいか又はほとんど見られず、光沢がない印象を受ける。
(つやの塊の解析結果)
表1に示すように、実施例1〜8では、つやの塊の最大値(以下、単に「つやの塊」とも称する)が20000ピクセル以上であり、凍結解凍後でも皮膜の表面につやがあった。
具体的には、表1に示すように、アルギン酸水溶液が増粘多糖類を含まない比較例2のつやの塊が18120ピクセルだったのに対し、実施例1〜8のつやの塊はいずれもそれより大きく、20000ピクセル以上であった。実施例のつやの塊は、26657ピクセル(実施例7)以上であり、41459ピクセル(実施例1)以下であった。このように、所定の増粘多糖類を用いることにより、つやの塊のサイズが大きくなり、マイクロスコープで撮像した画像でも、皮膜の表面がつややかでみずみずしい外観を有することが確認された。
特に、ヒドロキシプロピル澱粉を用いている実施例1〜6,8は、いずれもつやの塊が30000ピクセル以上であり、実際の画像でも、非常につややかで光沢ある外観を有することが確認された。
また、アルギン酸水溶液における増粘多糖類の量が多いとつやの塊の大きさも大きくなる傾向が見られた。
一方で、アルギン酸水溶液が増粘多糖類を含むサンプルであっても、未加工澱粉を用いている比較例1は、つやの塊が5077ピクセルしかなく、実際の画像でも表面が乾燥して細かい凹凸があり、粗い状態であることが確認された。同様に、架橋澱粉を用いている比較例3〜6は、いずれもつやの塊が150ピクセル以下であった。このため、これらの皮膜の表面は目視でも非常に粗い様子が確認され、光沢はほぼなかった。このように、アルギン酸水溶液における増粘多糖類として未加工澱粉のみを用いた場合や、架橋澱粉のみを用いた場合には、皮膜に所望の光沢を付与できないことが確認された。また、表1には示していないが、アルギン酸水溶液における増粘多糖類として未加工澱粉及び架橋澱粉の2種のみを用いた場合も、同様につやの塊が150ピクセル以下であり、皮膜に所望の光沢を付与できないことが確認された。
[まとめ]
以上のようにして、得られた冷凍球状食品は、いずれも略球形状を呈し、表面が水分の層に覆われたような潤いのある質感のつややかな外観を有していた。
また、比較例1〜6のサンプルは、いずれもつやの塊のサイズが小さく、表面が粗い様子が確認されたのに対して、実施例1〜8は、つやの塊のサイズが大きく、良好であった。
特に、ヒドロキシプロピル澱粉を用いている実施例1〜6及び8に関しては、いずれもつやの塊も十分な大きさであり、上記好ましい質感の光沢のある良好な外観を有していた。
また、ガム類であるキサンタンガムを用いた実施例7については、他の実施例と比較してつやの塊の大きさが若干小さかったものの、つややかで潤いのある印象を与える外観を有していた。
加えて、実施例8の結果から、本発明によれば、内包物によらず、生卵黄様食品と同等のサイズであって、上記好ましい質感の光沢がある外観を有する冷凍球状食品を製することができると確認された。これにより、本発明の冷凍球状食品は、内包物を工夫することで、デザートや、他の食品に添えられる調味料としても活用できることが確認された。

Claims (2)

  1. 内包物を被覆する皮膜を有する冷凍球状食品であって、
    前記皮膜が、アルギン酸カルシウムと、ヒドロキシプロピル澱粉と、を含み、
    平板上に静置された前記冷凍球状食品を、前記平板に略平行な投影面に投影した投影面積が面積144mm以上である
    冷凍球状食品。
  2. 内包物を被覆する皮膜を有する冷凍球状食品の製造方法であって、
    アルギン酸アルカリ金属及びヒドロキシプロピル澱粉を含む皮膜形成用水溶液を調製する工程と、
    カルシウムイオンを含有する内包物形成用充填物が充填された半球状カップを、前記皮膜形成用水溶液中に浸漬させる工程と、
    前記半球状カップを前記皮膜形成用水溶液中に保持することで、前記内包物形成用充填物の表面に、アルギン酸カルシウム及びヒドロキシプロピル澱粉を含む前記皮膜を形成させる工程と、
    を含み、
    平板上に静置された前記冷凍球状食品を、前記平板に略平行な投影面に投影した投影面積が面積144mm以上である
    冷凍球状食品の製造方法。
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