JP2001275620A - 調味液をゼリー化した魚介類のレトルト食品 - Google Patents

調味液をゼリー化した魚介類のレトルト食品

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JP2001275620A JP2000092630A JP2000092630A JP2001275620A JP 2001275620 A JP2001275620 A JP 2001275620A JP 2000092630 A JP2000092630 A JP 2000092630A JP 2000092630 A JP2000092630 A JP 2000092630A JP 2001275620 A JP2001275620 A JP 2001275620A
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retort
shellfish
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Keiji Yoshimatsu
啓司 吉松
Fumio Suzaki
文夫 須崎
Fumitoshi Sudo
文敏 須藤
Atsushi Wakameda
篤 若目田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 魚介類が持つ不飽和脂肪酸などの有用成分が
流出している調味液も喫食し易いように、調味液をゼリ
ー化し、該調味液が煮凝り様の良好な食感を有するよう
にして、レトルト食品の具材に含まれる有用成分が全て
美味しく喫食できる魚介類のレトルト食品を提供するこ
と。 【解決手段】 魚介類のレトルト食品に用いられる調味
液に、κカラギ−ナン0.5〜0.8質量%およびロ−
カストビ−ンガム0.1〜0.5質量%を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚介類が持つ不飽
和脂肪酸などの有用成分が流出している調味液も喫食し
易いように、調味液をゼリー化した魚介類のレトルト食
品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】イワ
シ・サバ・サンマ・マグロ・アジ・カツオにはDHA
(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン
酸)などの不飽和脂肪酸が、カレイのような白身魚には
良質のタンパク質が、イカ・タコ・エビ・カニ・貝類に
はタウリンといった有用成分がそれぞれ豊富に含まれて
いる。これらの魚介類を原料に用いた缶詰やレトルトパ
ウチは、それぞれの魚介類に含まれる有用成分を手軽に
摂取できる優れた食品であるが、100℃以上の過度の
加熱により、有用成分の一部が調味液に流出してしま
い、その全てが摂取されているわけではない。例えば、
サバの水煮缶の場合、可食部(固形部)に残っているD
HAおよびEPAは、缶詰全体に含まれるDHAおよび
EPAの約80質量%であり、調味液に含まれる残りの
DHAおよびEPAは破棄されている。
【0003】従来、調味液も利用できるように粘性の少
ないドレッシング状の調味液を利用した魚畜肉あるいは
野菜・果実などのドレッシングソース漬缶詰(特開昭4
9−4156号公報を参照)や、レトルト時の硬化防止
を目的としてλカラゲナンなどのゲル化しない増粘多糖
類を添加した畜肉や魚介類の缶詰およびレトルト食品の
製造法(特開平9−5175号公報を参照)は知られて
いたが、調味液をゼリー化したレトルト食品はない。
【0004】従って、本発明の目的は、魚介類が持つ不
飽和脂肪酸などの有用成分が流出している調味液も喫食
し易いように、調味液をゼリー化し、該調味液が煮凝り
様の良好な食感を有するようにして、レトルト食品の具
材に含まれる有用成分が全て美味しく喫食できる魚介類
のレトルト食品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々検討
した結果、特定の2種類の凝固剤を魚介類のレトルト食
品の調味液に添加することにより、上記目的が達成され
ることを知見した。本発明は、上記知見に基づいてなさ
れたもので、調味液にκカラギ−ナン0.5〜0.8質
量%およびロ−カストビ−ンガム0.1〜0.5質量%
を含むことを特徴とする魚介類のレトルト食品を提供す
るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の魚介類のレトルト
食品について詳細に説明する。
【0007】本発明で調味液に添加されるκカラギ−ナ
ンおよびロ−カストビ−ンガムは、レトルト耐性を有
し、調味液を常温ではゼリー状に保持し且つ喫食時に煮
凝りに類似する良好な口溶け感を付与するものである。
上記κカラギーナンの添加量は、0.5〜0.8質量%
であり、上記ローカストビーンガムの添加量は、0.1
〜0.5質量%である。また、上記κカラギーナンと上
記ローカストビーンガムとは、両者の添加質量比(κカ
ラギーナン/ローカストビーンガム)が1.0〜8.
0、特に1.5〜3.5の範囲内になるように併用する
ことが好ましい。
【0008】また、本発明で用いられる調味液には、上
記のκカラギ−ナンおよびロ−カストビ−ンガムに加え
て、さらにキサンタンガムを0.05〜0.1質量%添
加することが好ましい。このキサンタンガムを添加する
ことにより、調味液の食感などがさらに向上する。
【0009】また、本発明で用いられる調味液には、κ
カラギーナンをゲル化させるための助剤としてカルシウ
ム塩(乳酸カルシウムなど)やカリウム塩(塩化カリウ
ムなど)を0.05〜0.2質量%添加することが好ま
しい。κカラギ−ナンおよびロ−カストビ−ンガムをCa
2+・K + などのカチオンと共存させることにより、レト
ルト耐性や口溶け感がさらに向上する。
【0010】本発明で用いられる調味液には、さらに必
要に応じ乳化剤を適当量(通常0.1〜0.3質量%程
度)添加することができる。斯かる乳化剤としては、例
えばグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。ま
た、本発明で用いられる調味液は、必要に応じてpHをpH
調整剤で調整することができ、好ましくはクエン酸ナト
リウムなどで調味液のpHを5.5〜7.5程度に調整す
るとよい。
【0011】本発明で用いられる調味液の上述した成分
以外の他の成分としては、この種の魚介類のレトルト食
品に用いられている調味液と同様の成分を配合すること
ができる。本発明で用いられる調味液の調製は、例え
ば、凝固剤(κカラギ−ナンおよびロ−カストビ−ンガ
ム)以外の配合成分を混合し、この混合物に凝固剤を添
加し、凝固剤を加熱溶解するか、または非加熱で凝固剤
を上記混合物に懸濁させレトルト殺菌中に凝固剤を完全
溶解させることにより行うことができる。
【0012】本発明のレトルト食品の具材である魚介類
としては、特に制限はなく、具体的には、イワシ・サン
マ・サバ・アジなどの青魚、マグロ・カツオなどの大型
回遊魚、カレイなどの白身魚、イカタコ類、エビカニ
類、貝類などが含まれる。これらの魚介類の処理は、例
えば魚の場合、頭・尾・内臓を除去し、必要に応じ適当
な大きさにカットすればよい。魚介類の種類によって
は、調味液に移行したカードがゼリー化した調味液の外
観を大きく阻害することがある。そのような場合は、例
えば、魚介類を1.0〜5.0質量%の食塩水で5〜2
0分間塩漬を行ったり、あるいは魚介類を90〜100
℃で10〜30分間ほど蒸煮し、析出したカードを除く
などの前処理を行うとよい。
【0013】本発明の魚介類のレトルト食品は、予め調
味液に凝固剤を添加しておく以外は魚介類のレトルト食
品の通常の製造方法により製造することができ、好まし
くは、例えば、上記魚介類を詰めた缶に上記調味液を充
填し、巻締後100℃以上の加熱殺菌を行い、その後冷
却することにより製造するとよい。加熱殺菌後の冷却
は、調味液が完全にゼリー化するまで缶を静置させて十
分に行うことが内容物の外観の面から好ましい。レトル
ト殺菌の条件にも特に制限はなく、殺菌の程度はF0値で
言うと4〜30程度、好ましくは4〜20である。ここ
で述べるF0値=4とは120℃で4分間相当の殺菌価で
ある。
【0014】
【実施例】以下、本発明を試験例および実施例に基づい
て更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0015】試験例1 下記表1に示す凝固剤を従来の味付け缶の調味液にそれ
ぞれ下記表1に示す濃度になるように溶解し、これを1
20℃で15分間レトルト殺菌し、冷却後、調味液の状
態(凝固能および離水)および食感を調べた。その結果
を下記表1に示す。下記表1に示す結果から次のことが
明らかである。ゼラチン・ローカストビーンガム・キサ
ンタンガムはいずれも、レトルト殺菌後には凝固しなか
った。また、寒天・κカラギーナン(+乳酸カルシウ
ム)・ジェランガム・カードランはいずれも、しなやか
さが欠けたもろい食感のゼリーを形成し、好ましくなか
った。また、マンナンは、粘性が高いゼリーを形成し、
やはり食感は好ましくなかった。
【0016】
【表1】
【0017】試験例2 κカラギーナン・ローカストビーン・キサンタンガムを
従来の味付け缶の調味液にそれぞれ下記表2に示す濃度
になるように溶解し、これを120℃で15分間レトル
ト殺菌し、冷却後、調味液の状態(凝固能および離水)
および食感を調べた。その結果を下記表2に示す。下記
表2に示す結果から次のことが明らかである。κカラギ
ーナン0.5〜0.8質量%およびローカストビーンガ
ム0.1〜0.5質量%を併用することにより、レトル
ト耐性を持つ良好な食感のゼリー化した調味液が得られ
た。なお、ローカストビーンガムを0.5質量%越えて
使用するとゼリー化した調味液の透明度が失われた。
【0018】
【表2】
【0019】実施例1(調味液の調製) 下記表3に示す配合の味付け調味液および下記表4に示
す配合のトマトソース調味液を下記のようにして調製し
た。凝固剤(κカラギーナン・ローカストビーン・キサ
ンタンガム)および乳酸カルシウム以外の材料を混合し
均一にした。均一になったらpHを測定し、必要があれば
クエン酸ナトリウムでpHを5.5〜7.5に調整した。
pH調整後、凝固剤と乳酸カルシウムを加え高剪断ブレン
ダーで撹拌した。凝固剤が均一に懸濁したら水で重量を
調整し、調味液を得た。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】実施例2(イワシ味付け缶詰の製造) 原料となるイワシの頭尾内臓を除去し、2.5cmの筒
切りにした。これを5質量%食塩水で10分間塩漬し、
水切り後、T−3号缶に50g詰め、また実施例1で調
製した味付け調味液を同量充填した。これを巻き締めた
後、115℃で40分間レトルト殺菌し、常温まで十分
に冷却し、本発明のレトルト食品(イワシ味付け缶詰)
を得た。得られた本発明のレトルト食品(試験区)につ
いて、凝固剤として1.0質量%の寒天を含有する調味
液を使用した缶詰(対照区)を対照として、5名のパネ
リストで官能評価を行った。評価の結果を下記表5に示
す。下記表5に示す結果から明らかなように、κカラギ
ーナン、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムを
併用した試験区では、調味液は煮こごり様に凝固し、良
好な口溶け感を有したが、対照の寒天添加区では、調味
液は口溶け感がなく、いつまでもゼリーが口内に残こ
り、もろい食感であった。
【0023】
【表5】
【0024】実施例3 実施例2で得られた本発明のレトルト食品(イワシ味付
け缶詰)を4℃、20℃、および37℃で1ヶ月間貯蔵
したサンプルを5名のパネリストで官能評価に供した
(官能評価時には室温に戻して評価に供している)。そ
の結果を下記表6に示す。下記表6に示す結果から明ら
かなように、5名中3人のパネリストが貯蔵温度の差は
感じないと答え、本発明のレトルト食品は貯蔵性にも優
れていることが判った。
【0025】
【表6】
【0026】実施例4(エビ・イカのトマトソース煮の
レトルトパウチ食品の製造) 冷凍原料のエビ・イカを解凍後ブランチングし、レトル
トパウチに各40g肉詰めした。これに実施例1で調製
したトマトソース調味液80gを充填し、シール後、1
20℃で20分間レトルト殺菌し、常温まで十分に冷却
し、本発明のレトルト食品(エビ・イカのトマトソース
煮のレトルトパウチ食品)を得た。得られた本発明のレ
トルト食品について、5名のパネリストによる官能評価
を行った。その結果、得られた本発明のレトルト食品
は、口溶けが良く、非常に高い評価が得られた。
【0027】
【発明の効果】本発明の魚介類のレトルト食品は、魚介
類が持つ不飽和脂肪酸などの有用成分が流出している調
味液も喫食し易いように、調味液をゼリー化し、該調味
液が煮凝り様の良好な食感を有するようにしたもので、
レトルト食品の具材に含まれる有用成分を全て美味しく
喫食することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須藤 文敏 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 若目田 篤 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 Fターム(参考) 4B041 LC10 LD01 LH07 LH10 LH16 LK36 LK50 4B042 AC04 AD39 AG27 AG68 AG72 AK20 AP30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調味液にκカラギ−ナン0.5〜0.8
    質量%およびロ−カストビ−ンガム0.1〜0.5質量
    %を含むことを特徴とする魚介類のレトルト食品。
  2. 【請求項2】 調味液にキサンタンガム0.05〜0.
    1質量%をさらに含む請求項1記載の魚介類のレトルト
    食品。
  3. 【請求項3】 調味液のpHが5.5〜7.5である請
    求項1または2記載の魚介類のレトルト食品。
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