JP6800662B2 - 具材用卵黄加圧ゲル - Google Patents

具材用卵黄加圧ゲル Download PDF

Info

Publication number
JP6800662B2
JP6800662B2 JP2016172908A JP2016172908A JP6800662B2 JP 6800662 B2 JP6800662 B2 JP 6800662B2 JP 2016172908 A JP2016172908 A JP 2016172908A JP 2016172908 A JP2016172908 A JP 2016172908A JP 6800662 B2 JP6800662 B2 JP 6800662B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
egg yolk
pressure
ingredients
gel
rice
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016172908A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018038287A (ja
Inventor
武 大西
武 大西
望 衛藤
望 衛藤
Original Assignee
マリンフーズ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=61624216&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6800662(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by マリンフーズ株式会社 filed Critical マリンフーズ株式会社
Priority to JP2016172908A priority Critical patent/JP6800662B2/ja
Publication of JP2018038287A publication Critical patent/JP2018038287A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6800662B2 publication Critical patent/JP6800662B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cereal-Derived Products (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Description

この発明は、具材用卵黄加圧ゲル及びその製造方法並びに前記具材用卵黄加圧ゲルを用いた卵かけごはん風味おにぎりに関する。
我が国では、米飯等(ごはん)に非加熱の鶏卵を掛けて醤油で調味して食する料理、いわゆる「卵かけごはん」と称されるご飯料理が周知である。
また、わが国では、近年様々な食品がコンビニエンスストア等で販売されており、中でも「おにぎり」は、販売量も具材の種類も多く、多様性のある商品である。
このようなおにぎりは、適量の米飯を手や製造機械で比較的弱い圧力で加圧成形したものであるため、飯粒の粒子形状が保たれていて多孔質性の食品であり、その内部にはあまり低粘度の液状物を保持できるものではない。すなわち、上述の「卵かけごはん」のように非加熱で液状の鶏卵を具材とし、おにぎりの内部に保持するためには、加熱して液状卵の粘性を適度に高める必要性がある。
このような観点から、工夫された食品として、生卵黄90%に醤油10%を配合した混合物を加熱によって適度に変性させ、ごはんに染み込まない程度(10〜150Pa・s)の粘度に加熱調整した卵黄混合物を具材として内部に保持した卵かけごはん風味のおにぎりが知られている(特許文献1)。
また、おにぎり以外の食品ではあるが、卵黄を含む原料に対して周知の超高圧加工技術を適用し、卵黄(または全卵、粉末または液状卵)などの卵類と牛乳と糖類との混合物を、加熱調理せずに、500MPaで10分間程度の高圧処理することによってプリン状ゲル食品を得ることが知られている(特許文献2)。
この特許文献2には、卵黄と牛乳の混合物に、砂糖を所定量添加することが、加圧ゲルの形成に有効であることが記載されている(特許文献2の段落[0019])。
特開2012−105641号公報 特開平7−115929号公報
しかし、上記した従来の卵かけごはん風味おにぎりに使用する具材は、卵黄が加熱によって変性し、生卵の黄身の色から白っぽく変色しており、生卵とは少し異なった色や形態になることは避けられなかった。
そして、加熱変性した卵には、生卵と少し異なる香りがあり、そのような香りの生じる理由は、蛋白質の加熱変性によってアミノ酸が分解して硫黄臭が生じたためであると考えられた。
また、高圧処理技術を利用して、卵類と牛乳等の混合物を加圧して液状卵の粘性を高めたプリン状ゲル食品(特許文献2)は、卵黄だけでなく複数の蛋白質が混ざり合ったものであるから、生卵や生の卵黄を主要成分とする場合には、加圧変性による粘度変化の特性を予想できるものではなかった。
例えば、加熱による卵黄の加熱変性温度は、65〜70℃であり、また卵白中のトランスフェリンの加熱変性温度は60〜65℃であり、同じく卵白中の卵白アルブミンの加熱変性温度は75〜78℃であるので、卵白だけをゲル化するためには60〜65℃に加熱すればよいが、例えば4000気圧程度の超高圧下で10分加圧すると、卵黄は加圧変性してゲル化または固化するが、卵白はゲル化または固化しないという加熱変性とは異なる特性が加圧ゲルにはある。
このように加熱変性と加圧変性は異なる機序で起こる可能性があり、また生卵や卵黄の加圧によるゲル形成性は、塩分、糖分などの調味料の種類や添加量によっても変化する場合があることから、所要の調味料を卵黄に添加した状態で所要粘度の加圧ゲルを確実に調製可能な条件を予想することは容易なことではなかった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、生卵の風味が損なわれていない、存在感がある具材を得ることである。なお、この発明において「存在感」とは、具材の食感として好ましく感じられる粘度や風味があることをいう。
上記の課題を解決するために、この発明では、卵黄を主成分とし、25℃における粘度1.6〜390Pa・sの加圧ゲルからなる具材用卵黄加圧ゲルとし、さらにこの発明の下位概念の発明として、おにぎり具材用卵黄加圧ゲルとしたのである。
上記加圧ゲルは、調味料を含有する加圧ゲルであってもよい。
上記調味料としては、醤油、白だし、味噌、砂糖及び食塩から選ばれる1種以上の調味料を採用することが好ましい。
また、この発明でいう「具材」とは、食品において、米飯、パン、麺類などの穀物から調製される主材料に対し、それに添えて、または混ぜて用いられる副材料をいう。
加圧変性により所定範囲の粘度に調整されている卵黄加圧ゲルは、米飯、パン、麺類などの主材料が食べやすい適当な形状に成形され、または皿などの容器に盛られもしくは集合した状態にある場合、そのような主材料となる食品の内部に注入されるか、または表面に適当量をかけられた状態で、食品の表面や内部に保持されやすい粘度を有するものであり、特におにぎりのように、多孔質性の隙間を有している米飯等(以下、米以外の穀物が含まれる場合も含めて「米飯等」という。)の食品に対しては、注入作業性及び保持性が適当なものである。
特に、このような卵黄加圧ゲルは、米飯等への染み込みが適度に抑制されていて半熟卵状の粘性であり流動性があるので、滑らかな食感があると共におにぎり等への注入作業性が良く、しかもアミノ酸の熱分解によって生じる臭気が無く、非加熱状態と同じように生卵としての風味がある。そのため、卵かけごはんの風味と食感を充分に感じさせるおにぎり具材になる。
より好ましい上記のおにぎり等の具材用卵黄加圧ゲルとしては、卵黄85〜97質量%を主成分とし、調味料3〜15質量%を含有し、かつ塩分濃度が4質量%以下の組成物からなる。
上記したように所定成分で構成されるこの発明のおにぎり等の具材用卵黄加圧ゲルは、調味料の配合量および塩分濃度が調整されたものであり、上述したように加圧変性によっておにぎり等に用いられる具材として、米飯等に対する保持性および食感及びおにぎり等への充填作業性が適当であるように、25℃における粘度1.6〜390Pa・sに粘度調整されており、しかも混ざり合った醤油などの調味料も熱変性することなく存在するから、良質の風味のある卵黄加圧ゲルになる。
調味料および塩分濃度が、前記した所定配合量未満では、調味料に特有の風味が不足するので好ましくない。また、調味料または塩分の量が、前記配合量を超える多量では、適度な風味が得られず、加圧加工で粘度を適度に上げることも困難になり、米飯等への染み込みが過剰になって、おにぎり等の具材として好ましくない低粘度のゲルになる。
また、上記のようなこの発明の具材用卵黄加圧ゲルは、冷凍状態で袋状容器に収容した状態で流通させることが、その後に適宜に解凍し、袋に適宜に形成した開口部から適量を押し出して具材として用いる態様が便利であって、そのような袋状容器入り卵黄加圧ゲルとすることが好ましい。
また、上記した具材用卵黄加圧ゲルは、調味料3〜15質量%を必須成分として調味する場合、卵黄85〜97質量%、塩分濃度が4質量%以下である卵黄組成物を、25℃における粘度が1.6〜390Pa・sになるように、卵黄の熱変性温度の70℃未満で300〜550MPaでの1〜10分間の超高圧加工をすることによって効率よく製造することができる。
後述する試験結果からも明らかなように、上記所定の圧力または時間の範囲未満の加圧加工では、かなり低粘度になるから、米飯等への染み込み速度が速く、おにぎり等の内部具材として適当な量を保持することが困難になる。
また、上記所定の圧力または時間の範囲を超える加圧加工では、かなり高粘度になるので、おにぎり等の内部に注入するための適度に流動性を示す粘度でなくなり、製造作業効率を低下させたり、さらには米飯の粒を覆うような流動性もなくなり、食感が低下し、生卵の風味は感じにくくなるので好ましくない。
特に、上記したように適切な態様で得られるおにぎり具材用卵黄加圧ゲルは、米飯等の加圧成形体であるおにぎりの内部に具材として保持することにより、生卵を用いた卵かけごはんに極めて近い風味の卵かけごはん風味おにぎりになる。
この発明は、おにぎり等に用いる所定成分で構成される具材用卵黄加圧ゲルとしたので、米飯等への染み込みが適度に抑制されていて、適度な流動性のある半熟卵状であり、しかも卵黄のアミノ酸が熱分解していないので、非加熱状態の生卵の風味があり、また卵かけごはんに極めて適切な風味と米飯等への染み込みが適度に抑えられた粘性特性がある。
また、おにぎり等に用いる醤油等の調味料を含有する具材用卵黄加圧ゲルは、上記利点に加えて非加熱の調味料の香りが高く、卵かけごはん風味のおにぎり等の具材用卵黄加圧ゲルになる利点がある。
また、具材用卵黄加圧ゲルの製造方法の発明では、適度な風味が備わる調味料を含有して、所定粘度の加圧ゲルが得られるように所定圧力で所定時間加圧するから、上記利点のある具材用卵黄加圧ゲルが効率よく製造できる。
また、卵かけごはん風味おにぎりの発明では、上記利点を有する卵黄加圧ゲルをおにぎりの内部に具材として保持するので、生の卵黄と醤油等の調味料の風味が充分に感じられて、卵かけごはんに極めて近い風味を有するおにぎりになる。
実施形態のおにぎり具材用袋状容器入り卵黄加圧ゲルおよびそれを注入したおにぎりを示す斜視図 (a)比較例7のおにぎり具材用卵黄加圧ゲルを用いたおにぎりの切割面を示す斜視図、(b)実施例10のおにぎり具材用卵黄加圧ゲルを用いたおにぎりの切割面を示す斜視図、(c)比較例9のおにぎり具材用卵黄加圧ゲルを用いたおにぎりの切割面を示す斜視図
この発明の実施形態であるおにぎり等に用いる具材用卵黄加圧ゲル、具材用袋状容器入り卵黄加圧ゲルおよびそれを注入したおにぎりについて、以下に説明する。
この発明のおにぎり等に用いる具材用卵黄加圧ゲルは、卵黄を主成分とし、25℃における粘度1.6〜390Pa・sの卵黄加圧ゲルからなり、敢えて調味料を含有せずに加水されたものであっても良いが、例えば卵黄85〜97質量%、調味料3〜15質量%を含有し、塩分濃度4質量%以下であり、かつ25℃における粘度1.6〜390Pa・sの加圧ゲルからなるものは、嗜好性を高めた実施形態である。
この発明において、具材用卵黄加圧ゲルの粘度が1.6Pa・s未満の低粘度では、米飯等への染み込み速度が速く、おにぎり等の具材として適当な量を内部に保持したり、少なくとも食品を食するための適当な時間だけ染み込ませず表面に留めておくことが困難になる。また、具材用卵黄加圧ゲルの粘度が390Pa・sを超える高粘度では、おにぎり等の食品の内部に注入するための適度に流動性を示さなくなり、製造作業効率を低下させたり、さらには米飯等の粒を覆うような流動性もなくなり、食感が低下し、生卵の風味は感じにくくなるので好ましくない。より好ましい具材用卵黄加圧ゲルの粘度は、7.1〜320Pa・sである。これは、生卵の風味をより強く感じることができるためである。
この発明に用いる卵黄は、鳥類卵から得られる食用の卵黄であり、食用卵を採取する鳥類の例としては、ニワトリ、ウズラ、アヒルなどが挙げられ、大量に生産可能な鶏卵から卵白を分離して得られる卵黄を用いることが好ましい。
このような卵黄は、生産効率の観点から加工卵を用いることが好ましく、また入手の容易性に鑑みて、鶏卵の液卵から卵白を取り除いた液状卵黄が適用できる。
この発明に用いる調味料は、需要者の嗜好に合わせて使用され、食品に適用できる周知の調味料であれば、特に限定されるものではないが、例えば醤油、白だし、味噌、砂糖及び食塩から選ばれる1種以上の調味料は、卵黄加圧ゲルをおにぎり具材に適した風味を有したものである。
このような調味料は、具材用卵黄加圧ゲル中に3〜15質量%配合されていることが好ましい。卵黄の加圧変性の特性を大きく変化させずに、しかも充分に調味できる濃度範囲に配合できるからである。調味料のより好ましい配合割合としては、5〜10質量%である。
この発明に用いる調味料のうち、醤油は、大豆の他、小麦などの穀物と塩を原料とし、発酵過程を経て得られる液体調味料であり、醤油の種類別に、濃口(こいくち)、薄口(うすくち)、たまり、再仕込み(さいしこみ)、白(しろ)のいずれでも使用できる。ちなみに、JAS規格からも周知な醤油は、アミノ酸量の指標となる窒素分が、0.4〜3.0質量%、無塩可用性固形分(エキス)14〜31室質量%、食塩分12〜19質量%が含まれている。
醤油の成分とその配合割合から換算すると、醤油3〜15質量%を必須成分とする具材用卵黄加圧ゲルには、少なくとも食塩が0.36〜2.9質量%含まれており、さらに食塩分を加減調整して、具材用卵黄加圧ゲル中の塩分濃度を4質量%以下、好ましくは0.36〜4質量%に調整する。このような塩分濃度は、0.6〜1.0質量%に調整すれば、低塩分で健康的であり、また好ましい食味も得られるので、より好ましい。
このような調整を積極的にしなくても所定塩分濃度の醤油を使用すれば良い場合もあるが、さらに他の調味料を添加する場合には、塩分濃度が増加することになり、具材用卵黄加圧ゲル中の食塩分が総量として4質量%を超えることは適切ではない。なぜなら、4質量%を超える過量の塩分濃度では、後述する比較例の結果からも明らかなように、300〜550MPaで1〜10分間の超高圧加工で粘度を上昇させることが困難になり、25℃における粘度1.6〜390Pa・sの粘度に調整できないからである。
この発明に用いる白だしは、白醤油や淡口醤油に鰹節などから取った出汁に、みりん等の発酵調味料、食塩などを加えたものであり、素材の色を損なわずに調味できる調味料として周知なものであり、市販品を使用できる。
味噌は、大豆や米などに、塩と麹を加えて発酵させて作られた周知の発酵食品であり、市販品を使用できる。
また、砂糖、食塩についても特に限定された種類のものではなく、甘藷糖、ビート糖等の料理に使用可能な砂糖を使用でき、また食塩については、食用可能な塩であれば良く、食用の岩塩などの自然塩やその精製塩、化学合成塩または成分調整された塩なども使用できる。
超高圧加工をするときの温度条件(品温)は、卵黄の熱変性温度の70℃未満であれば良いが、加工時にはできるだけ低温で衛生環境を保つ必要もあることから、0℃を超え20℃以下の温度条件で超高圧処理することが好ましい。
また、具材用卵黄加圧ゲルは、調味料として砂糖を使用した場合、または醤油等の砂糖以外の調味料を使用した場合などにおいて、糖分量を2〜8質量%に調整することが好ましい。
糖分としては、ショ糖、果糖、オリゴ糖、乳糖、澱粉、デキストリン、グルコース、フルクトース、トレハロースなどの糖類、に醤油や味噌、その他のだし(出汁)に含まれる糖類であっても良く、また別途添加される増粘多糖類などであっても良い。周知の増粘多糖類としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、ジェランガム、カラギーナンなどが挙げられる。
上記のように組成される具材用卵黄加圧ゲルは、上記所定の粘度の加圧ゲルとするために、300〜550MPaで1〜10分間の超高圧加工をすることが製造効率が良く適切である。また、上記所定粘度の加圧ゲルが、品質および食感により優れたものに加工できるより好ましい条件は、350〜450MPaで1〜10分間の超高圧加工である。
この発明における超高圧加工は、水を圧力媒体とし静水圧を発生させる周知の高圧処理装置を用いることができ、その方式は直接加圧方式であっても良く、間接加圧方式であっても良い。食品用の高圧処理装置としては、株式会社神戸製鋼所社製、株式会社IHI社製、東洋高圧株式会社製などの各種仕様製品が周知である。
後述する実施例および比較例の結果からも明らかなように、超高圧加工の条件が、300MPaという所定範囲未満の低圧では、10分加圧しても粘度が充分に上がらず、ごはんの粒同士の隙間から流れ出し、卵黄の具材としての存在感が希薄となる。また、おにぎりの中心付近へ限定的に充填する(良い品質の)おにぎりを製造するための作業が困難になり、また手で持って食べるときのおにぎりの保形性(強度)が得られなくなるからである。
また、超高圧加工の条件が、550MPaを超える高圧では、1分またはそれ以下の短時間で加圧しても粘度が上がり過ぎて、充填作業が容易でなく、また、おにぎりの内部に小さいかたまりとなって保持されてしまい、生卵の風味が得られない。
図1に示すように、米飯の加圧成形体であるおにぎり1の内部に上記した卵黄加圧ゲル2を具材として保持させるには、特に限定されるものではないが、例えばポリオレフィン樹脂その他の樹脂製フィルム、好ましくは液密性および気密性に優れたラミネートフィルムを用いた三角形状チューブ3または周知の「絞り袋状」の容器に封入した具材用袋状容器入り卵黄加圧ゲルを準備する。
三角形状チューブ3の先端部分3aは、注入作業時にカットし、先端開口から適量の卵黄加圧ゲルをおにぎりの中心部へ手などで加圧しながら絞り出して注入し、充填する。
卵黄加圧ゲルは、パンやうどん等の他の食品にかけて食することも可能であり、また三角形状チューブ3等の袋状容器に収容した具材用袋状容器入り卵黄加圧ゲルについては、少しずつ絞り出して使用することができるので、おにぎりの具材としてだけでなく、適宜に様々な食品や料理にかけたり添えたりして食する態様で使用できるものであり、汎用性があって実用上も極めて便利なものである。
なお、おにぎりの形状は、図示した略三角形状のものばかりでなく、俵型や球形状、中心部を凹ませた椀状、巻きずし形(円柱状)等、他の周知形状であって良い。また、卵黄加圧ゲルは、その一部が積極的に外部から見えるように盛り付けても良く、海苔を巻くことによって形態の補強されたおにぎりとすることもできる。
このようなおにぎりに代表される米飯、前述したパンや麺類などは、予め調味料で味付けされていても良く、例えば米飯の場合に、酢飯や醤油味米飯を採用することもできる。
そして、上記充填作業の前には、袋状容器に収容した具材用袋状容器入り卵黄加圧ゲルを冷凍状態で保存しておき、その後、必要に応じて適宜に解凍して使用することができる。
この発明でいう冷凍状態は、卵黄の凍結温度から勘案して−15℃以下、好ましくは−18℃以下であることが好ましく、また氷晶成長を抑制するために急速凍結することが好ましい。
[実施例1〜18、比較例1〜14]
プロペラ式の攪拌機付きの混合容器内に、液状卵黄90質量%、白醤油(100g当たり食塩相当量14.8g)10質量%を配合し、充分に攪拌して塩分濃度1.48質量%の液状卵黄組成物を調製した。
この液状卵黄組成物を、前記したように図1に示した三角形状チューブ3に充填し封した。これを品温5℃にて、以下に仕様(1)、(2)を示す高圧処理装置を用いて、表1に示す加工圧力である所定静水圧(MPa)および所定圧力での加工(維持)時間の条件で超高圧加工処理を行ない、実施例1〜18、比較例1〜14の卵黄加圧ゲルを得た。
[高圧処理装置仕様(1)]
圧力容器内径 250mm
圧力容器内長 2040mm
圧力容器容積 100L
加圧圧力 最大400MPa
圧力媒体 水道水
昇圧時間 最大加圧圧力まで約3分
処理温度 5〜50℃
[高圧処理装置仕様(2)]
圧力容器内径 250mm
圧力容器内長 1020mm
圧力容器容積 50L
加圧圧力 最大600MPa
圧力媒体 水道水
昇圧時間 最大加圧圧力まで約3分
処理温度 5〜50℃
そして、これらを−20℃に急速冷凍したものを3日間保持し、その後、常温解凍したものを開封し、実施例1、5、10、18については、単一円筒形回転粘度計(東機産業社製:RB型粘度計)を用いてローターM3(6.35mm)、回転数12rpmで25℃での粘度を測定し、その結果を表1中に併記した。
次に、実施例1〜18、比較例1〜14の卵黄加圧ゲルを三角形状チューブの鋭角部の先端開口から適量の卵黄加圧ゲルを絞り出しながら、図1、2に示したおにぎり(各90g)の内部へ10gずつ充填し、卵かけごはん風味おにぎりを製造した。
得られたおにぎりの実施例1〜18、比較例1〜14に対し、25℃の室内で2時間静置した後、以下の基準で品質および食感について評価し、品質については、その結果を表中に記号(○、×)で二段階に評価し、食感については、その結果を表中に記号(○、△、×)で三段階に評価した。
[品質評価基準]
○:おにぎり中心部へ注入された卵黄加圧ゲルが適度に広がるが、表面にまでは至らない。
×:おにぎり中心部へ注入された卵黄加圧ゲルが硬くて全く広がらないか、または柔らか過ぎて表面近くにまで染み出す。
[食感評価基準]
○:半熟卵のようにとろりとした流動性のある食感であり、生卵の風味が強く感じられる。
△:低圧加工では半熟卵としては少し柔らかすぎる食感であり、生卵の風味がやや感じにくい。また、高圧加工では半熟卵としては少し硬目の食感であり、生卵の風味がやや感じにくい。
×:低圧加工では低粘度でごはんに染み込んでしまい流動性のある食感がない、また高圧加工では高粘度で硬すぎて固形物が含まれるような食感である。
Figure 0006800662
表1の結果からも明らかなように、加圧ゲルとして1.6Pa・s未満の粘度であり、300MPa以下の低圧で5分以下で加圧された比較例1〜6および比較例7(図2(a)参照)の卵黄加圧ゲル2aは、おにぎり1の中心部へ注入された卵黄加圧ゲル2aが柔らかくておにぎり1の表面近くにまで染み出す状態で品質は不良であり、また食感は低粘度であって、卵黄加圧ゲル2aは、ごはんに短時間で染み込んでしまい流動性ある食感が得られなかった。
また、390Pa・sを超える粘度になるように、550MPa以上の高圧で5分以上加圧された比較例8、比較例9(図2(c)参照)および比較例10〜14の卵黄加圧ゲルは、おにぎり1の中心部へ注入された卵黄加圧ゲル2cが硬くて全く広がらない品質であり、または高粘度で硬すぎて固形物が含まれるような食感であった。
これに対して、加圧ゲルとして1.6Pa・s以上で7.1Pa・s未満の粘度であるように、300MPaで10分又は350MPaで1〜5分加圧された実施例1〜4の卵黄加圧ゲルは、おにぎりの中心部へ注入された卵黄加圧ゲルが表面近くまで広がっているが、表面にまでは至らず品質は良好であるが、半熟卵としては低粘度過ぎて、注入物が分散し、卵黄の具材としての存在感が希薄であった。
また320Pa・sを超える粘度になるように、450MPa以上の高圧で3分以上で加圧された実施例11〜18の卵黄加圧ゲルは、おにぎりの中心部へ注入された卵黄加圧ゲルが適度に広がっていて品質は良好であるが、半熟卵としては若干硬いが、まずまず満足できる食感になった。
特に、7.1〜320Pa・sの粘度であり、350〜450MPaで10〜1分加圧された実施例5〜9および実施例10(図2(b)参照)の卵黄加圧ゲル2bは、おにぎり1の中心部へ注入された卵黄加圧ゲル2bが適度に広がり、表面近くにまでは至らないという良い品質のものであり、また半熟卵のようにとろりとした流動性があり極めて好ましい食感があった。
[実施例19〜23、比較例15]
次に、実施例9において、表2に示すように白醤油に代えて他の調味料を使用するか、または全く使用しない条件で液状卵黄組成物を調製し、実施例9と同様に品温5℃にて400MPaで維持時間10分(昇圧時間は2.5分)の条件で超高圧加工処理を行ない、実施例9〜23、比較例15の卵黄加圧ゲルを得た。
得られた卵黄加圧ゲルの粘度を、実施例9と同程度の100〜300Pa・sである場合を粘度良好(表中に○)と評価し、1.6Pa・s未満の低粘度である場合を粘度不良(表中に×)と評価した。
Figure 0006800662
表2の結果からも明らかなように、醤油ばかりでなく、砂糖、味噌などの調味料の添加により、またはそのような調味料を添加しないで加水し、400MPaで10分の加圧処理をした実施例9〜23の卵黄加圧ゲルは、適正粘度に調整されていた。また、調味料として食塩を5%添加した比較例15の卵黄加圧ゲルは、1.6Pa・s未満の低粘度であり、所期した粘度に増粘する調整ができなかった。
1 おにぎり
2、2a、2b、2c 卵黄加圧ゲル
3 三角形状チューブ
3a 先端部分

Claims (7)

  1. 卵黄を主成分とし、25℃における粘度1.6〜390Pa・sの加圧ゲルからなるおにぎりの具材用卵黄加圧ゲル。
  2. 上記加圧ゲルが、調味料を含有する加圧ゲルである請求項1に記載のおにぎりの具材用卵黄加圧ゲル。
  3. 上記調味料が、醤油、白だし、味噌、砂糖及び食塩から選ばれる1種以上の調味料である請求項2に記載のおにぎりの具材用卵黄加圧ゲル。
  4. 卵黄85〜97質量%を主成分とし、調味料3〜15質量%を含有し、かつ塩分濃度が4質量%以下の組成物である請求項2または3に記載のおにぎりの具材用卵黄加圧ゲル。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のおにぎりの具材用卵黄加圧ゲルを、冷凍状態で袋状容器に収容したおにぎりの具材用袋状容器入り卵黄加圧ゲル。
  6. 卵黄85〜97質量%、調味料3〜15質量%を必須成分とし、かつ塩分濃度が4質量%以下である卵黄組成物を、25℃における粘度が1.6〜390Pa・sになるように、70℃未満で300〜550MPaでの1〜10分間の超高圧加工をするおにぎりの具材用卵黄加圧ゲルの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のおにぎりの具材用卵黄加圧ゲルを、米飯の加圧成形体であるおにぎりの内部に具材として保持する卵かけごはん風味おにぎり。
JP2016172908A 2016-09-05 2016-09-05 具材用卵黄加圧ゲル Active JP6800662B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016172908A JP6800662B2 (ja) 2016-09-05 2016-09-05 具材用卵黄加圧ゲル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016172908A JP6800662B2 (ja) 2016-09-05 2016-09-05 具材用卵黄加圧ゲル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018038287A JP2018038287A (ja) 2018-03-15
JP6800662B2 true JP6800662B2 (ja) 2020-12-16

Family

ID=61624216

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016172908A Active JP6800662B2 (ja) 2016-09-05 2016-09-05 具材用卵黄加圧ゲル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6800662B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018038287A (ja) 2018-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108366592A (zh) 食品改良剂
KR20150016488A (ko) 냉동 면류의 제조 방법, 및 냉동상 방지용 조성물
JP6490593B2 (ja) 酸性水中油型乳化調味料
AU2021450710A1 (en) Scrambled-egg-like food product and cooked-egg-like food product
JP5100499B2 (ja) 凍結真空乾燥カレー
KR101706991B1 (ko) 용기에 들어있는 고형 식품 및 그 제조 방법
CN107353664A (zh) 一种基于马尾藻多糖的可食性包装膜
JP2009219469A (ja) サラダの製造方法
JP2017042164A (ja) 食品の離水抑制方法
KR101395071B1 (ko) 가공고형식품의 제조방법
JP6800662B2 (ja) 具材用卵黄加圧ゲル
KR20190046778A (ko) 전분 함유 식품용 풀림 개량제
JP2009213471A (ja) ゲル化剤、白玉または餅用改質剤、白玉、餅、練り製品用ゲル化剤、練り製品およびフィリング
CN107495124A (zh) 一种利用禽蛋加工副产品制备布丁的方法
JPH11225714A (ja) バジルソース及びその製法
TW201633929A (zh) 穀類加工食品用鬆散改良劑及穀類加工食品
JP2017038530A (ja) 耐熱性を有するゲル状食品
JP6833586B2 (ja) 乳化ソース及び容器詰ソース
KR101593021B1 (ko) 겔형 육수 조성물 및 그 제조 방법
KR102649407B1 (ko) 즉석 식품 및 그 제조방법
JP7082205B2 (ja) ヨーグルトからの食品の製造方法
WO2021025048A1 (ja) 流動性食品の製造方法
JP6533849B1 (ja) 加工卵黄組成物及びその製造方法
JP6739610B1 (ja) 卵黄様加工食品
JP5149774B2 (ja) 気泡入り加工食品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200728

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6800662

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150