JP6517172B2 - 織物の製造方法 - Google Patents
織物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6517172B2 JP6517172B2 JP2016143437A JP2016143437A JP6517172B2 JP 6517172 B2 JP6517172 B2 JP 6517172B2 JP 2016143437 A JP2016143437 A JP 2016143437A JP 2016143437 A JP2016143437 A JP 2016143437A JP 6517172 B2 JP6517172 B2 JP 6517172B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fabric
- cross
- single yarn
- yarn
- section
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Treatment Of Fiber Materials (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
Description
(1)以下の(i)〜(iii)の条件を満足する合成マルチフィラメントを用いてカバーファクターが1450〜2100の織物を製織した後、染色または捺染を施し、次いで撥水仕上げを施した後、片面または両面にカレンダー加工を施し、合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の凸部が、隣接する単糸の横断面の多葉形状の凹部に噛み合うように接するようにしたことを特徴とする織物の製造方法。
(i)単糸繊度が0.5〜2.0dtexであり、総繊度が6〜67dtexである;
(ii)単糸は、略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面を持ち、多葉形状における凸部の数が6〜10個である;
(iii)単糸の横断面の多葉形状の異形度(外接円の半径D/内接円の半径d)が1.3以上1.9以下である;
(iv)単糸の横断面の多葉形状の直線率L/Dが0以上0.30以下である、ここで直線率L/Dは、単糸の横断面の多葉形状における凸部の円弧と凹部の円弧を結ぶ直線の長さLと単糸の外接円の半径Dの比率を指す。
(2)用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状における凸部の数が6〜8個であることを特徴とする(1)に記載の織物の製造方法。
(3)用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の直線率が0以上0.28以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の織物の製造方法。
(4)織物が、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、及び布団からなる群から選択されるいずれかの側地に使用されるものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の織物の製造方法。
(i)単糸繊度が0.5〜2.0dtexであり、総繊度が6〜67dtexである;
(ii)単糸は、略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面を持ち、多葉形状における凸部の数が5〜10個である;
(iii)単糸の横断面の多葉形状の異形度(外接円の半径D/内接円の半径d)が1.3以上2.0未満である;
(iv)単糸の横断面の多葉形状の直線率L/Dが0以上0.30以下である、ここで直線率L/Dは、単糸の横断面の多葉形状における凸部の円弧と凹部の円弧を結ぶ直線の長さLと単糸の外接円の半径Dの比率を指す。
VH−Z450型顕微鏡及びVH−6300型測定機(KEYENCE社製)を用い、1500倍の倍率で単糸の断面形状の長径D(最も長い部分の径)と短径d(最も短い部分の径)をそれぞれ測定した(図1参照)。そして、単糸の断面形状の(長径D)/(短径d)を算出し)、単糸5本の平均値を単糸の異形度とした。
<直線率>
異形度測定の測定機、倍率で単糸の凸部の弧と凹部の弧を結ぶ直線の長さLを測定し(図1)、長さLを単糸の外接円の半径Dで割った値。単糸5本の平均値を単糸の直線率とした。
これらの評価項目は、JIS−L−1096に記載の方法に準拠して測定した。
この評価項目は、JIS−L−1013(ボイル15分処理)に記載の方法に準拠して測定した。
96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸中にポリマー濃度が10mg/mlになるように試薬を溶解させてサンプル溶液を調製した。20℃±0.05℃の温度で水落下秒数が6から7秒のオストワルド粘度計を用い、20℃±0.05℃の温度で、調製したサンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)、及び試料を溶解するに用いた96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸20mlの落下時間T0(秒)をそれぞれ測定した。使用する素材の相対粘度(RV)は下記の式で算出された。
RV=T1/T0
織物のカバーファクターは、ヒラ部における経糸の√繊度T×仕上密度(本/吋)+緯糸の√繊度×仕上密度(本/吋)の式によって算出した。リップストップ組織もヒラ部の密度を測定した。
織物の通気度は、JIS−L−1096 8.27.1(フラジール形法)に記載の方法に準拠して測定した。
織物の滑脱抵抗力は、JIS−L−1096 8.23 B法に記載の方法に準拠して荷重117N下で測定した。
織物の洗濯は、JIS−L−0217 103法に準拠して実施した。洗濯10回は洗濯―脱水―乾燥を10回繰り返した場合である。乾燥方法はライン乾燥で行った。織物の洗濯耐久性は、洗濯10回後の通気度及び滑脱抵抗力により評価した。
織物の伸び率は、JIS−L−1096 8.16.1B法に記載の方法に準拠して測定した。
図7aの品位を以下で示すAとし、図7bの品位を以下で示すDとし、5人のベテランの評価者が織物を目視して以下の4段階の評価を行った。
Aイラツキがない Bややイラツキがある Cややイラツキが目立つ
Dイラツキが目立つ
5人のベテランの評価者が織物を触り、以下の4段階の評価を行った。
A非常にソフト Bややソフト Cやや硬い D非常に硬い
織物品位がB以上であり、風合がB以上であり、洗濯10回後の通気度が1.5cc以下であり、滑脱抵抗力が経、緯とも3.0mm以下である糸、織物を合格とし、この範囲を外れる糸、織物を不合格とした。
図2aに示すような五葉断面形状のブライト6ナイロン22T20f(相対粘度RV3.5、単糸繊度1.1dtex(T)、異形度1.9、直線率0.22、破断強度5.8cN/dtex、破断伸度48%)の経糸、緯糸を用い、カバーファクター1578のタフタを製織し、染色仕上げ加工を行った。生機を連続精練で糊抜きした後に脱水乾燥し、濃紺酸性染料を用いて液流染色を行った。乾燥セット後、非フッ素系(パラフィン系)撥水剤を用いて撥水処理を行い、温度160℃、圧力2.5MPa、速度20m/分の条件で2回のカレンダー加工(2本の金属製ロールを使用)を行い、カバーファクターを1689に仕上げ、滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.0mm、目付37.4g/m2の織物を得た。参考例1の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。表1に示すように、初期だけでなく10回洗濯後の低通気度保持性も良く、織物品位、風合とも満足できるものであった。
参考例1において、単糸の異形度を1.9から1.6に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例2の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.0mm、緯2.1mmで問題なく、表1に示すように、洗濯10回後の通気度保持性、織物品位、風合は参考例1より優れ、十分満足できるものであった。
参考例1において、単糸の異形度を1.9から1.4に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例3の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.3mmで問題なく、表1に示すように、洗濯10回後の通気度保持性、織物品位、風合とも優れる織物が得られた。特に、風合は参考例2より僅かであるがソフトであった。
参考例1において、糸の断面形状を五葉から図2bに示すような六葉(異形度1.9)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例4の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.2mmで問題なく、表1に示すように、参考例1と同様の性能を有する織物が得られた。
実施例4において、異形度を1.9から1.6に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例4と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例5の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.0mmで問題なく、表1に示すように、全ての評価項目を満足する織物が得られた。
実施例4において、異形度を1.9から1.3に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例4と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例6の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.2mmで問題なく、表1に示すように、実施例5と同様に全ての評価項目を満足する織物が得られた。特に、風合は僅かであるが実施例5よりソフトであった。
参考例1において、断面形状を五葉から図2cに示すような八葉に変え、異形度を1.9から1.8に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例7の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.8mm、緯1.9mmで問題なく、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、織物品位、風合とも優れた織物が得られた。
実施例7において、異形度を1.8から1.6に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例7と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例8の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.2mmで問題なく、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、発色性、織物品位、風合とも実施例7と同様に優れた織物が得られた。
実施例7において、異形度を1.8から1.3に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例7と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例9の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.1mm、緯2.2mmで表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、織物品位、風合とも実施例7と同様に優れた織物が得られた。特に、風合は実施例7、8より僅かであるがソフトであった。
参考例1において、断面形状を五葉から図2dに示すような十葉に変え、異形度を1.9から1.7に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例10の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.0mm、緯2.1mmで表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、発色性、織物品位、風合とも優れた織物が得られた。
実施例10において、異形度を1.7から1.5に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例10と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例11の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.1mm、緯2.1mmで問題なく、表1に示すように、実施例10と同様に全ての評価項目を満足する織物が得られた。
実施例10において、異形度を1.7から1.3に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例10と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例12の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.4mmで問題なく、表1に示すように、実施例10と同様に全ての評価項目を満足する織物が得られた。特に、風合は実施例10より僅かであるがソフトなものであった。
参考例1において、異形度3.0のY型断面形状(図3a参照)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例1の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.8mm、緯2.0mmで問題なかったが、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性に優れたものの、イラツキのある品位であり、かつ風合が硬く、上記実施例群に比較し、劣るものであった。これらの欠点はシャープな異形度と直線率の高さに起因するものと考えられる。
参考例1において、異形度を3.0の十字型断面形状(図3b参照)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例2の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯1.9mmで問題なかったが、表1に示すように、比較例1と同様に洗濯後の低通気度保持性に優れるものの、織物品位、風合に劣るものであった。織物品位、風合の悪さは比較例1と同様の理由によるものと考えられる。
参考例1において、異形度を2.5の五葉型断面形状(図3c参照)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例3の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.8mm、緯1.9mmで問題はなかったが、表1に示すように、比較例1と同様に洗濯後の低通気度保持性に優れたものの、比較例1、2に比べ、織物品位は若干改善されたものの、風合を含め不満足なものであった。
参考例1において、形状を図3dのようにして直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例4の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯1.9mmで問題はなかったが、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性に優れ、比較例1、2に比べて織物品位、風合は若干改善されているものの合格レベルではなく、不満足なものであった。低異形度であるが、直線率が高いことが原因と考えられる。このことから参考例1〜3、実施例4〜12のように低異形度であり、直線率も低くないと品位と風合を満足する織物は得られないことがわかる。
参考例1において、糸の形状を五葉から丸断面(異形度1.0)に変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例5の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.0mm、緯2.2mmで問題はなく、表1に示すように、織物品位、風合とも優れていたが、洗濯後の低通気度保持性が不良であった。洗濯中の揉みや擦れにより、織物中で拘束されていた単糸が分離して動き、洗濯前の構造形態を保てず、通気度が高くなったものと考えられる。比較例5のように単糸同士の噛合い構造を持たない形状は低通気度性織物には不適であることがわかる。
参考例2において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から22T36f(単糸繊度0.6dtex(T))に変えた以外は、参考例2と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例13の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.0mmで問題はなく、表2に示すように、性能は参考例2と同様に満足すべきもので、特に、風合はよりソフトな織物となった。
参考例2において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から11T10f(単糸繊度1.1dtex(T))に変え、仕上げ後の織物のカバーファクターを参考例2に合わせ、カレンダー温度を160℃から180℃に、カレンダー回数2回から1回に変えた以外は、参考例2と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例14の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.1mm、緯2.0mmで問題はなく、目付が26.2g/m2と軽量で、表2に示すように全ての性能を満足するものであった。
実施例5において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から22T12f(単糸繊度1.8dtex(T))に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例15の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.3mmで問題はなく、表2に示すように、実施例5より風合が若干硬めになったものの、満足する性能を有する織物が得られた。
実施例5において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から56T48f(単糸繊度1.2dtex(T))に変え、カバーファクターを表2に示すように変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例16の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.4mm、緯2.3mmで問題はなく、目付が68.9g/m2になったが、表2に示すように、実施例5より風合が若干硬めになったものの、満足する性能を有する織物が得られた。
実施例5において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から22T8f(単糸繊度2.8dtex(T))に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例6の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。表2に示すように、実施例5より品位が若干劣り、風合は明瞭に硬く、不満足な織物であった。これらの欠点は単糸繊度の太さに起因するものと考えられる。
実施例5において、生機のカバーファクターを1578から1495に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例17の糸、及び織物の評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは1595、目付は35.2g/m2、織物の滑脱抵抗力が経2.3mm、緯2.4mmで問題はなく、表3に示すように、実施例5より軽量で、洗濯後の低通気度保持性と滑脱抵抗力がやや減じたものの性能として十分であり、織物品位、風合は実施例5並に良いものであった。
実施例5において、生機のカバーファクターを1578から2075に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例18の糸、及び織物の評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは2204、目付は48.9g/m2、織物の滑脱抵抗力が経1.1mm、緯1.2mmで問題はなく、表3に示すように、風合は実施例5より劣るが、織物品位と洗濯後の低通気度保持性を十分満足する織物であった。
実施例5において、生機のカバーファクターを1578から1315に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例7の糸、織物及び評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは1407、目付は31.2g/m2、滑脱抵抗力が経5.2mm、緯5.6mmで不合格で、表3に示すように、織物品位、風合は良いものの、洗濯前の通気度が未達で、実用性に欠ける不満足な織物であった。
実施例5において、カバーファクターを1578から2200に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例8の糸、及び織物の評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは2290、目付は51.0g/m2、滑脱抵抗力が経1.2mm、緯1.0mmで問題はないものの、表3に示すように、織物品位、低通気度保持性に優れるものの、風合が硬く、不満足な織物であった。
実施例5のナイロン6原糸(異形度1.6)を用いて、ピン仮撚加工糸を作成した。仮撚条件は、断面変形が少なく、捲縮性が得られ易いように仮撚数4200tpm、仮撚温度165℃、仮撚速度70m分、オーバーフィード率−3.33スピナー捲数1回とした。仮撚加工糸の伸縮復元率は34.2%であった。該仮撚加工糸の単糸は、断面が楕円状に変形し、異形度が1.8を呈していた。該仮撚加工糸を経糸、及び緯糸に用い、カバーファクター1672のヒラ織物を製織した。その後、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。その後、温度160℃、加工速度20m分のシュリンクサーファーを通し、織物中の拘束力を緩和する処理を施した。実施例19の原糸、及び織物の評価結果の詳細を表4に示す。得た織物のカバーファクターは1923、目付は42.5g/m2、滑脱抵抗力が経1.3mm、緯1.5mmで問題はなく、表4に示すように、織物の織物品位、風合、初期、及び洗濯10回後の低通気度保持性が良好な織物が得られた。また、織物の緯方向の伸び率は11.4%であった。捲縮性があって、低通気度が得られにくい仮撚加工糸織物にあって、実施例19が比較的低いカレンダー加工条件で低通気度と洗濯後の低通気度保持性が良いのは、仮撚加工糸段階で単糸間の噛合いが図6aに示されるより促進され、単糸が比較的分離し難い構造を形成しているためと考えられる。
比較例1のナイロン6原糸(断面形状Y字、異形度3.0)を用いて、実施例19と同条件でピン仮撚加工糸を作成した。仮撚加工糸の伸縮復元率は22.6%であった。該仮撚加工糸の単糸は、異形度が3.3に変形していた。実施例19より低い伸縮復元率は異形度が高く、仮撚時の捩れに対する回復性が弱い単糸形状によるものと考えられる。また、高異形度に起因すると考えられる仮撚時の糸切れと毛羽が多く、操業性は好ましくなかった。次いで経緯に該仮撚加工糸を用い、実施例19と同様の織物とし、同様の加工工程を経て織物を得た。比較例9の原糸、及び織物の評価結果の詳細を表4に示す。得た織物の目付は39.5g/m2、織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.2mmで問題はないものの、カバーファクターは1880で加工収縮が不十分であった。表4に示すように、織物の洗濯後の低通気度保持性は良いが、イラツキを呈する品位で、風合はやや硬く、織物の緯方向の伸び率は7.2%で少なく、不満足な織物であった。イラツキ品位は仮撚加工で捲縮性が付与し難く、仮撚加工前の高異形度、高直線率の影響が反映されたことによるものと推測される。
比較例5のナイロン6原糸(異形度1.0)を用いて、実施例19と同条件でピン仮撚加工糸を作成した。仮撚加工糸の伸縮復元率は38.2%であった。該仮撚加工糸の単糸は、断面が細長い六角形状に変形し、異形度が1.2を呈していた。次いで経緯に該仮撚加工糸を用い、実施例19と同様の織物とし、同様の加工工程を経て織物を得た。比較例10の原糸、及び織物の評価結果の詳細を表4に示す。織物の緯方向の伸び率は13.9%で織物品位、風合に優れるものの、表4に示すように初期通気度が多めで、洗濯後の通気度が更に増し、実用性に欠け、不満足な織物であった。これは、揉みや擦過に対して分離しにくく作用する単糸同士の噛合いがないためと考えられる。
・丸断面形状の糸は発色性、織物品位、風合とも優れるが、洗濯後の低通気度維持性に欠ける。また、異形度の高い断面形状の糸は洗濯後の低通気度保持性は良いが、イラツキのある品位を呈し、風合が硬い。
・単糸の断面を低異形度にし、形状を5〜10個の凸部のある多葉形にすることで低通気度保持性を保ちながら織物品位、風合を改善できる。
・多葉断面形状でも異形度が高いと織物品位が悪化し、風合も硬くなる。
・多葉断面の凸部数が多いと織物品位と風合が良い傾向を示す。
・仮撚加工糸においても同様である。
Claims (4)
- 以下の(i)〜(iii)の条件を満足する合成マルチフィラメントを用いてカバーファクターが1450〜2100の織物を製織した後、染色または捺染を施し、次いで撥水仕上げを施した後、片面または両面にカレンダー加工を施し、合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の凸部が、隣接する単糸の横断面の多葉形状の凹部に噛み合うように接するようにしたことを特徴とする織物の製造方法。
(i)単糸繊度が0.5〜2.0dtexであり、総繊度が6〜67dtexである;
(ii)単糸は、略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面を持ち、多葉形状における凸部の数が6〜10個である;
(iii)単糸の横断面の多葉形状の異形度(外接円の半径D/内接円の半径d)が1.3以上1.9以下である;
(iv)単糸の横断面の多葉形状の直線率L/Dが0以上0.30以下である、ここで直線率L/Dは、単糸の横断面の多葉形状における凸部の円弧と凹部の円弧を結ぶ直線の長さLと単糸の外接円の半径Dの比率を指す。 - 用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状における凸部の数が6〜8個であることを特徴とする請求項1に記載の織物の製造方法。
- 用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の直線率が0以上0.28以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の織物の製造方法。
- 織物が、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、及び布団からなる群から選択されるいずれかの側地に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の織物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016143437A JP6517172B2 (ja) | 2016-07-21 | 2016-07-21 | 織物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016143437A JP6517172B2 (ja) | 2016-07-21 | 2016-07-21 | 織物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018012899A JP2018012899A (ja) | 2018-01-25 |
JP6517172B2 true JP6517172B2 (ja) | 2019-05-22 |
Family
ID=61019078
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016143437A Active JP6517172B2 (ja) | 2016-07-21 | 2016-07-21 | 織物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6517172B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7101027B2 (ja) * | 2018-04-09 | 2022-07-14 | 帝人フロンティア株式会社 | 織物および衣料 |
CN111118623B (zh) * | 2019-12-29 | 2021-05-14 | 江苏恒力化纤股份有限公司 | 一种仿棉聚酯纤维及其制备方法 |
US20230250563A1 (en) * | 2020-06-16 | 2023-08-10 | Teijin Frontier Co., Ltd. | Low-air-permeability fabric and textile product |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3953455B2 (ja) * | 2003-11-06 | 2007-08-08 | 旭化成せんい株式会社 | ふとん側地用織物 |
TWI613338B (zh) * | 2012-08-02 | 2018-02-01 | 東麗股份有限公司 | 使用扁平多葉形斷面纖維之織物、及使用其之縫製品 |
TWI535904B (zh) * | 2013-01-30 | 2016-06-01 | 勝隆纖維股份有限公司 | 具有五角星形斷面長纖之織物 |
JP6060030B2 (ja) * | 2013-04-23 | 2017-01-11 | 東洋紡Stc株式会社 | 薄地織物 |
-
2016
- 2016-07-21 JP JP2016143437A patent/JP6517172B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018012899A (ja) | 2018-01-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4563487B2 (ja) | 織物 | |
US9670605B2 (en) | High-density fabric | |
JP6160486B2 (ja) | 扁平多葉形断面繊維を用いた織物 | |
KR100517043B1 (ko) | 스트레치성 고밀도 직물 | |
KR100386006B1 (ko) | 안감 및 그 제조방법 | |
WO2009131207A1 (ja) | 薄地織物 | |
JP6517172B2 (ja) | 織物の製造方法 | |
JP6346363B1 (ja) | 織物 | |
JP4058693B2 (ja) | 織物の製造方法 | |
JP6652900B2 (ja) | 織物 | |
JP6128984B2 (ja) | ポリエステル仮撚低融着糸および多層構造織編物 | |
JP3676645B2 (ja) | 抄紙用ドライヤーカンバス | |
JP6615731B2 (ja) | 多葉型単糸を有する高密度織物 | |
JP5815450B2 (ja) | ポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸とその製造方法、および濃染性布帛とその製造方法 | |
JP6599844B2 (ja) | 洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 | |
JP7439960B2 (ja) | 複合繊維、マルチフィラメントおよび繊維製品 | |
JP7483658B2 (ja) | 織物および織物の製造方法 | |
JP6171337B2 (ja) | 高光沢織物 | |
JP3379196B2 (ja) | 混繊複合糸およびそれを用いてなる織編物 | |
JP7376436B2 (ja) | 織物 | |
JPH11350222A (ja) | 裏地及びその製造方法 | |
JP5036649B2 (ja) | 芯地用織物およびその製法 | |
JPH0457936A (ja) | 高透明性ナイロン織物の製造方法 | |
JP2022006743A (ja) | 織物 | |
JP2016164318A (ja) | 衣料用織物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180111 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20181112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181120 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190111 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190402 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190417 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6517172 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |