JP6517172B2 - 織物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イラツキ(光沢斑)がなく、ソフトで、洗濯後も低通気度を維持可能な織物であって、特に繰返しの着用や洗濯によるダウンや中ワタの吹き出しを抑制するダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、布団の側地に最適な織物の製造方法に関する。
保温性を得るためのダウンウェアや寝袋、布団の側地は、軽量であることのほか、着用や洗濯によってダウンや中ワタの飛び出しのないことが求められる。この特性の評価方法には通気度があり、かかる用途の側地織物は1.5cm/cm・s以下の通気度であることが必要である。また、この通気度の値は、繰り返しの着用や洗濯に対しても保持されないと実用性に欠けることになる。これらの要件を満足するため一般には織物を高密度化するが、その結果、目付が増し、硬くなり、軽量性が得られにくくなり、またブライト糸を使用した織物の外観でもダル化し、発色性が得られにくくなるという不都合が生じる。
このような高密度化織物にすることなく、低通気度を維持するため、本発明者らは、織物に使用する単糸を、異形度2.0〜6.0でY字型断面或いは十字型断面を有する異形断面糸にすることを提案した(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の織物は、断面形状の反射に起因するイラツキと、高い異形度からの曲げ剛性の硬さに起因する風合の硬さを有しており、それらの問題を解消する必要性があった。
特開2010−196213号公報
本発明は、かかる従来技術の問題を解消するために創案されたものであり、その目的は、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、布団などの側地に好適な織物の製造方法であって、繰り返しの着用後や洗濯後においても低通気度を保持しながら、イラツキがなく、ソフトな風合の織物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、特に特許文献1の織物が有する洗濯後の低通気度の保持性を失うことなく、イラツキと風合の硬さを改善するために、鋭意検討した結果、特許文献1の織物のイラツキの発生や風合の硬さの原因が主に単糸の高い異形度と断面形状の凸部の数の少なさにあることを見出した。
即ち、イラツキについては、特許文献1では、カレンダー後の織物表面の単糸は、例えばY字型の断面の場合には3個の凸部のうち2個の凸部が押圧でほぼ平坦になり、正反射が増す形状に変化している(特許文献1の図2.図3参照)。このことから、平坦部は、単糸の異形度が高く、即ち凸部と凹部間の距離が長く、直線的であるほど異形度が増すことが認識される。織物中の糸の長さ方向の配置状態は、単糸間の乱れ、捩れ、組織点での屈曲、また、組織点間での糸の拘束力の強弱等により一様ではなく、平坦部の多い単糸形状ほど正反射部と乱反射部の箇所が多くなり、イラツキのある品位を呈するようになる。断面形状が丸くなっていくと、このような現象が殆ど伴わず、品位の良好な織物外観を呈する。
風合については、特許文献1では、単糸の異形度が高いほど凸部と凹部間の距離が長くなるため、単糸間の噛み合い構造が深く、堅固な構造になっている(特許文献1の図3参照)。この構造が洗濯後でも低通気度を保持する大きな理由であるが、噛み合いが堅固過ぎると、外力に抗する力として作用するため、硬さを感じさせる大きな要因になっている。単糸の断面形状を丸くし、細い繊度の織物にすると、この硬さがなくなりソフトな風合になる。
上記の検討結果から、本発明者は、まず使用する単糸を略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面とし、凸部の数を多くして5〜10個、好ましくは5〜8個の凸部のある多葉断面にし、単糸同士が凸部と凹部で噛み合い易くし、さらに単糸の異形度を1.3以上2.0未満、好ましくは1.3以上1.9以下の低い値にすることによって凸部、凹部間の長さを短くし、更に必要により単糸の横断面の多葉形状の直線率を0以上0.30以下にして、カレンダー加工後の単糸の光の正反射を減少させてイラツキを解消した。そして、単糸間の噛み合いを浅くし、外力に対して噛み合い構造を失うことなく柔軟に動き易くすることによってソフト化し、風合の硬さを解消した。このような織物構造とすることで上記課題を解決するに至った。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであり、以下の(1)〜()の構成を有するものである。
(1)以下の(i)〜(iii)の条件を満足する合成マルチフィラメントを用いてカバーファクターが1450〜2100の織物を製織した後、染色または捺染を施し、次いで撥水仕上げを施した後、片面または両面にカレンダー加工を施し、合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の凸部が、隣接する単糸の横断面の多葉形状の凹部に噛み合うように接するようにしたことを特徴とする織物の製造方法。
(i)単糸繊度が0.5〜2.0dtexであり、総繊度が6〜67dtexである;
(ii)単糸は、略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面を持ち、多葉形状における凸部の数が〜10個である;
(iii)単糸の横断面の多葉形状の異形度(外接円の半径D/内接円の半径d)が1.3以上1.9以下である
iv)単糸の横断面の多葉形状の直線率L/Dが0以上0.30以下である、ここで直線率L/Dは、単糸の横断面の多葉形状における凸部の円弧と凹部の円弧を結ぶ直線の長さLと単糸の外接円の半径Dの比率を指す。
)用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状における凸部の数が〜8個であることを特徴とする(1)に記載の織物の製造方法。
)用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の直線率が0以上0.28以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の織物の製造方法。
)織物が、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、及び布団からなる群から選択されるいずれかの側地に使用されるものであることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の織物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、イラツキがなくソフトな風合で、過度な織物密度にしなくても繰返しの着用や洗濯でダウン漏れしにくい耐久性の良い織物が得られる。この織物は、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、布団等の側地に好適に用いることができる。
図1は、単糸の横断面の凹凸の存在状態、異形度、直線率を説明する図である。 図2a−2dは、本発明の単糸の横断面の形状例を示す。 図3a−3eは、本発明の範囲から外れる単糸の横断面の形状例(カレンダー加工後に平面的反射の多い横断面形状を呈する糸の例)を示す。 図4a−4dは、本発明の製造方法のカレンダー加工前の織物中での一部の単糸の横断面の噛合い状態を示す。 図5a−5eは、本発明の製造方法の範囲から外れるカレンダー加工前の織物中での一部の単糸の横断面の噛合い状態を示す。 図6aは、カレンダー加工前の織物中での一部の単糸の横断面の噛合い状態を示し、図6bは、図6aをカレンダー加工した後の織物中での一部の単糸の横断面の潰れ、噛合い状態を示し、表層と裏層の表面の単糸の横断面の凸部が潰れ、内層の単糸にそのような潰れがない状態を示す。 図7aは、織物のイラツキのない品位を示す。 図7bは、織物のイラツキのある品位を示す。
本発明の織物の製造方法は、特定の合成マルチフィラメントを用いてカバーファクターが1450〜2100の織物を製織した後、染色または捺染を施し、次いで撥水仕上げを施した後、片面または両面にカレンダー加工を施し、単糸の横断面の多葉形状の凸部が、隣接する単糸の横断面の多葉形状の凹部に噛み合うように接することを特徴とする。
特に、本発明の製造方法で使用する合成マルチフィラメントは、以下の(i)〜(iii)、さらに所望により(iv)の条件を満足することを特徴とする。
(i)単糸繊度が0.5〜2.0dtexであり、総繊度が6〜67dtexである;
(ii)単糸は、略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面を持ち、多葉形状における凸部の数が5〜10個である;
(iii)単糸の横断面の多葉形状の異形度(外接円の半径D/内接円の半径d)が1.3以上2.0未満である;
(iv)単糸の横断面の多葉形状の直線率L/Dが0以上0.30以下である、ここで直線率L/Dは、単糸の横断面の多葉形状における凸部の円弧と凹部の円弧を結ぶ直線の長さLと単糸の外接円の半径Dの比率を指す。
本発明で使用する合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の異形度はカレンダー加工前で1.3以上1.9以下であることを特徴とする。異形度は、単糸の横断面の長径/短径(外接円の半径D/内接円の半径d)で表し、この値が小さいほど断面形状の凹部、凸部間の長さが短い。異形度が上記範囲未満では、断面形状が円形に近くなり、隣接する単糸同士の噛み合いが弱くなり、洗濯後の低通気度保持性が悪化し、好ましくない。異形度が上記範囲を越えると、断面形状において凸部と凹部を結ぶ線が直線的になり易く、正反射する平面部が増し、イラツキ(光沢斑)が発生し易くなる。また、曲げに対する剛性が強くなり、ソフトさが得られにくくなり、好ましくない。異形度を上記の範囲に設定することにより、断面形状において凸部と凹部を結ぶ線が直線的になるのを避け、イラツキの原因になる正反射を少なくすることができる。同時に単糸間の噛み合いを浅くし、外力に対して噛み合いが外れない程度に柔軟に動き易くすることができ、風合をソフトにすることができる。
本発明で使用する合成マルチフィラメントの単糸は、略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面を持ち、多葉形状における凸部の数が〜10個であることを特徴とする。より好ましくは、多葉断面形状の凸部の数は〜8個である。凹部の丸みは、凸部の丸みより大きいことが好ましい。凸部の数が上記範囲より少ない場合、隣接する単糸の噛み合い効果が弱くなり、その効果を高めようとすると高い異形度にする必要があり、結果として丸みの少ない直線的な形状になり、イラツキを生じさせてしまうため好ましくない。凸部の数が上記範囲より多い場合、断面形状が円形に近くなり、凹部、凸部の噛み合い効果が弱くなる。噛み合い効果を増すためにより高い異形度にすると紡糸性が困難となり、好ましくない。なお、楕円形が2個結合した繭型のような断面形状の場合には、凸部の数が少ないと凹凸の噛み合い効果が弱く、矩形型に凸部がある場合には、イラツキが解消せず、扁平型に複数個の凸部がある場合には、経筋状の織物品位となり、かつ強度の高い糸が得られにくく、本発明には適さない。また、丸みが凸部のみにあり、凹部に丸みがなく、直線的な形状をとる場合は、凹部凸部を結ぶ線が直線的かつ平面的になり、イラツキ軽減効果は得られにくい。
本発明のように、単糸の断面形状を低異形度で凸部の数を多めにした丸みのある凹凸からなる多葉断面形状にすることにより、光の乱反射部を多くすることができ、イラツキ品位を解消することができる。さらに、同時に凹部の丸みを凸部より大きくすると、単糸同士が噛み合い易く、低異形度のためにカレンダー加工後の単糸同士の噛み合いは深くならず、外力に対して噛み合い構造を失うことなく柔軟に動き易くなる。このため、洗濯後でも低通気度を保持し易く、ソフトな風合が得られ易くなる。
ここで、イラツキの現象は、単糸に平坦部があると光が正反射し、平坦部の巾不同や単糸の長さ方向の捩れや屈曲、交絡の強弱があると光の反射の度合が不規則に変わり、それに伴って生地全体の光沢感が均一ではなくなり、光沢斑状になりイラついたように見える現象を指す。図7aは、イラツキがなく品位の良好な織物例を示し、図7bは、イラツキがあり、品位不良な織物例を示す。両図において、上下方向が経糸で、左右方向が緯糸を示す。図7aでは経糸と緯糸の単糸が整然と配置されているのが読み取れるが、図7bでは経緯の単糸の読み取りは困難である。このような経糸、緯糸に見られる数多くの単糸の微細な乱れがイラツキ品位の原因である。本発明の織物は、単糸の異形度と断面形状の範囲を特定のものにすることによって、単糸側面に曲面部を多くすることで乱反射の度合を増すようにし、このようなイラツキのない高い品位を達成したものである。
本発明の製造方法では、織物の片面または両面にカレンダー加工を施した結果、合成マルチフィラメントの単糸の多葉断面形状の凸部が、隣接する単糸の多葉断面形状の凹部に噛み合うように接することを特徴とする。ダウンウェア、ダウンジャケットなどの織物は、着用時や洗濯時の揉み、擦れに対して織物中の糸が動きにくいことが必要で、一般にハイマルチフィラメントを使用した低密度織物ではメヨレし易い。これを防ぐ方法として、本発明の製造方法で使用する合成マルチフィラメントを構成する単糸の断面形状を、前述したように従来より低い異形度で多めの数の凸部を有する丸い凸部と凹部からなる多葉断面形状とし、単糸の断面形状の凸部が隣接する単糸の断面形状の凹部に噛み合う構造とすることが必要である。但し、過度な噛み合い構造とすることは、外力に抗する力が強く作用して曲げ硬くなり、風合のソフト化の障害になる。本発明の織物では、外力に対し、柔軟に動くが噛み合いが外れない程度の構造を実現することが好ましい。本発明の製造方法におけるカレンダー加工前の織物の好ましい単糸同士の横断面の噛み合い状態例を図4a−4dに示す。図4aは実施例2、図4bは実施例5、図4cは実施例8、図4dは実施例11の単糸同士の噛合い状態を示す。また、不適正な単糸同士の噛合い状態を図5a−5eに示す。図5a−5cは高異形度で直線率が高く、イラツキ品位を呈し、単糸同士の噛み合いが深く、硬風合となる形状例である。図5aは比較例1、図5bは比較例2、図5cは比較例3の単糸同士の噛合い状態を示す。図5dは低異形度であるが、直線率が高く、カレンダー加工で潰れ易く、イラツキ品位を呈し易い形状例である(比較例4)。図5eは丸断面であり、品位は良く、ソフトであるが、織物が揉まれると単糸同士が分離し易く、洗濯後の低通気度保持性が芳しくない形状例(比較例5)である。
本発明で使用する合成マルチフィラメントの単糸繊度は0.5〜2.0dtexであることを特徴とする。より好ましくは、単糸繊度は0.6〜1.9dtexである。単糸繊度が上記範囲未満では、低異形度であっても、紡糸で糸切れし、毛羽を生じ易く、製糸が困難になる。上記範囲超では、風合が硬くなり、好ましくない。単糸繊度と低異形度、凸部の数の相乗効果で低通気度とその耐久性が得られると同時に、イラツキの解消とソフトな風合が得られる。単糸が5〜6葉からなる断面形状の場合、凹部、凸部、及びそれを結ぶ線上部に曲面を多く設けることができるため、異形度は前述の範囲の中でも1.4〜2.0、好ましくは1.4〜1.9と大きくすることができる。異形度を大きくすることで曲面部は平坦になり易く、その結果生じる正反射を抑制するため、単糸繊度は0.5〜1.3dtexと細くすることが好ましい。単糸が8〜10葉からなる断面形状の場合、曲面部は5〜6葉からなる断面形状より多くなるため乱反射が得られ易くなり、単糸繊度の範囲を0.5〜2.0dtexまで広げることができる。8〜10葉からなる断面形状の場合、乱反射が6〜8葉からなる断面形状より得られ易いため、異形度を1.3〜1.7に下げることができる。この場合、単糸繊度は0.5〜2.0dtexとすることが好ましい。
本発明で使用する合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の直線率L/Dは0以上0.30以下であることが好ましい。ここで直線率L/Dは、単糸の横断面の多葉形状における凸部の円弧と凹部の円弧を結ぶ直線の長さLと単糸の外接円の半径Dの比率を指す(図1参照)。直線率は0であることが最善である。つまり、単糸の横断面の凸部と凹部が曲線で繋がっているのが最善であり、0.3以下であることが好ましく、より好ましくは0.28以下である。上記範囲を超えると、直線部が増えて正反射が増し、イラツキを生じ易い。カレンダー加工で潰された後の単糸の横断面の多葉形状は、凸部と凹部の繋がりが曲線的であるほど直線的になりにくく、乱反射を得やすく、イラツキ品位を解消し易い。直線率は異形度を低くすると下がる傾向にあるが、低異形度でも直線率が高い形状もあり(比較例4)、本発明の範囲の形状とすることが好ましい。
本発明で使用する合成マルチフィラメントの単糸の素材は、特に限定されないが、ナイロンまたはポリエステルが好適に用いられる。ナイロンは、6ナイロン、66ナイロンでよく、ポリエステルは、モノポリマーまたはコポリマーであってもよい。また、ケミカルリサイクル糸やマテリアルリサイクル糸であってもよい。ナイロンの相対粘度(RV)は、2.5〜3.5が好ましい。より好ましくは2.8〜3.5であり、更には好ましくは3.0〜3.5である。ポリエステルの相対粘度(RV)は、0.6〜1.0が好ましい。より好ましくは、0.6〜0.9である。相対粘度が上記範囲未満では、糸のシャープな断面形状が得られにくく、強力が弱くなりやすい。上記範囲超では、紡糸性が得られにくい。本発明で使用する合成マルチフィラメントの単糸は、低異形度であり、高異形度用に必要な高RVでなくても多葉断面形状は得られやすく、またカレンダー加工における変形性や噛み合い効果が促進され易く、温度、加圧条件を強くしなくても、少ないカレンダー回数で低通気度とその安定耐久性が得られやすい。弱いカレンダー条件によって織物の引裂き強力の低下も軽減でき、また撥水剤に柔軟剤を併用することで織物の引裂き強力を増すことが可能である。
単糸には、必要に応じて、ブライト糸、または酸化チタン、カオリン、カーボンブラック等の顔料等を含有していてもよい。
本発明で使用する合成マルチフィラメントは、上述の特徴を有する単糸からなるものである。合成マルチフィラメントの総繊度は、6〜67dtexである。より好ましくは、8〜56dtexである。総繊度が上記範囲未満では、紡糸が困難となり、上記範囲超では、目付が増し、軽量性に欠け、用途的に相応しなくなる。
合成マルチフィラメントの特性としては、製織性や製品の引裂き強力等を考慮し、破断強度が4.2〜6.0cN/dtex、破断伸度が28〜50%であることが好ましい。破断強度がその範囲を超えると糸の配向、結晶化が進み、風合が硬化し、好ましくない。それ以下では織物の引裂き強力が得られにくくなり、好ましくない。破断伸度はその範囲を超えると整経、製織時の張力で簡単に伸ばされて回復が弱くなり、経筋や緯引け、緯ムラの原因になり好ましくない。それ以下では特に経糸では製織時の張力変動を吸収できず糸切れしやすくなり、好ましくない。交絡度は、5〜30ヶ/mが好ましく、更には5〜20ヶ/mであることが好ましい。交絡度が多過ぎると織物に交絡が残り、交絡のない所と光の反射の差を生じ、イラツキ(光沢斑)の原因となりうる。それ以下では整経時の扱きで開繊し易く、毛羽立ち易く、製織性を悪化させ、好ましくない。
本発明の織物は、上述のように合成マルチフィラメントで製織されるが、その形態は、フィラメント糸または仮撚加工糸である。仮撚加工糸は、POYを延伸仮撚するDTY、及びSDY(スピンドロー糸)をフリクション仮撚り、またはピン仮撚して得られる加工糸の形態で用いることができる。シャープな異形度や断面形状を得る目的で仮撚り温度を通常より10〜20℃低く、また仮撚数を10〜30%少なくした仮撚条件で得た加工糸(ハーフテクスチャードヤーン)を使用することも可能である。その際、仮撚速度を通常より10〜30%遅くして捲縮性を付与することも可能である。仮撚加工糸は捲縮保持性に優れることから、ナイロンでは66ナイロンの使用が好ましく、ポリエステルではホモポリマーポリエステルの使用が好ましい。
本発明で使用する合成マルチフィラメントの単糸は、仮撚加撚工程を経ることで単糸同士の噛合いが強制的に行われるため、仮撚前より単糸同士の噛合いの多い単糸構造になる。しかしながら、その度合は、高異形度の糸の場合より堅固ではないため捲縮性やソフト風合を得易く、好ましい構造になる。仮撚加工糸の伸縮復元率は15〜40%であることが好ましく、更には20〜35%が好ましい。この範囲を外れると仮撚数が多いため多葉断面の形状が大きく変形し過ぎ、仮撚工程で毛羽や糸切れが多発し、生産に適さず、かつ単糸同士の凹凸の噛合いが堅固になり、硬風合の原因になりうる。
本発明の織物の目付は、18〜70g/mであることが好ましい。より好ましくは、20〜60g/mである。目付が上記範囲未満では、細い繊度の糸を用いる必要があり、実用的な引裂強力を有する織物が得られにくい。上記範囲超では、軽量性に欠き、登山、トレッキング等ではリュック梱包には嵩張り、好ましくない。
本発明の織物の組織としては、無地感と軽量性からヒラ組織が好ましく、柄感と引裂き強力に優れることからリップストップ等が好ましい。また、本発明の織物の生機のヒラ部(リップストップ組織においても)のカバーファクターは、1450〜2100である。より好ましくは1500〜2000である。ここで、カバーファクターは、実施例に記載の方法で測定される。カバーファクターが上記範囲未満では、メヨレし易くなり好ましくない。上記範囲超では、風合が硬くなり好ましくなく、また、ブライト糸においては過度の密度では光の透過が妨げられてダル化し、鮮明色を失いやすい。本発明においては、使用する合成マルチフィラメントの単糸の断面形状が丸断面糸とは異なり滑脱しにくく、過度に高密度とする必要がない。リップストップ組織においては、リップ部を除いたヒラ部のカバーファクターが上記の範囲内にあることが好ましい。製織は、細繊度のダウンプルーフ高密度織物用に一般的なウォータージェットによることが好ましいが、エアジェット、レピア等でもよい。仕上げ後の織物のカバーファクターはソフト風合を得る目的から1500〜2200とすることが好ましい。
本発明の織物の染色仕上げは、ダウンプルーフ織物の一般的な工程で行えばよく、例えば連続糊抜き精練した後、乾燥セット、液流染色機やジッガー染色機による染色、捺染を行い、撥水剤等の仕上げ剤を付与し、カレンダー加工を行って仕上げる。いずれの形態の織物も同様の工程が採用され、染色条件は素材に応じたものを選択すればよい。但し、仮撚加工糸織物のジッガー染色は、伸縮性を失うため避けて、液流染色で染色することが好ましい。織物には、フッ素系、シリコン系やパラフィン系の撥水剤のほか、柔軟剤、帯電防止剤、吸水(親水)剤や抗菌防臭剤等の仕上げ剤が付与されていてもよい。
本発明の織物は、その片面又は両面にカレンダー加工を施される。カレンダー加工の回数は、1回のみでも複数回でもよい。カレンダー加工の温度や圧力の条件は、従来公知の条件を採用すればよい。例えば、カレンダー条件は、ナイロン織物では200℃を上限に、ポリエステル織物では220℃を上限に、織物構成(単糸の形状や繊度、総繊度、織物のカバーファクターや組織)、通気度、引裂き強力、風合等を考慮して、加圧力、加工速度、回数等を調整しながら設定する。
ナイロン6織物やコポリエステル織物の好ましいカレンダー加工条件は、温度が190〜130℃、加圧力が0.98MPa〜4.90MPa、速度が10〜30m/分であり、ナイロン66やホモポリエステル織物では上述条件のうち加工温度のみ220℃まで範囲を広げて加工することが可能である。カレンダーの材質は片方のロールは金属製で、もう一方のロールを金属製、ペーパー製、コットン製、樹脂製のいずれかとすることが好ましい。本発明においては、加圧力が過度になり過ぎると単糸形状が平坦になり過ぎ、イラツキや引裂き強力低下の要因になるため、穏やかな条件で回数を増やして目標の低通気度、風合を得るようにすることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる織物の滑脱抵抗力は、JIS1096 8.23B法により、荷重117N下で0.8mm以上、3mm以下であり、更には1.0mm以上、2.5mm以下であることができる。上記範囲超ではリュックの重さ、岩等による擦れ、洗濯中の絡み等でメヨレが生じ易くなる。上記範囲未満はカバーファクターを増す、また、硬め仕上げ剤付与等で得られるが、このことにより硬風合化、鮮明色を喪失することになりうる。
また、本発明の製造方法で得られる織物は、フラジール形法で、洗濯前の初期値で、1.5cc/cm・s以下、好ましくは1.0cc/cm/s以下の通気度を達成することができる。洗濯前の通気度が上記範囲以下であれば、ダウンプルーフの側地として好適である。また、本発明の織物は、フラジール形法で、洗濯10回後で、2.0cc/cm・s以下、好ましくは1.5cc/cm・s以下の通気度を達成することができる。洗濯10回後の通気度が上記範囲であれば、洗濯中の織物からのダウン抜けが起こることがなく、洗濯耐久性に優れていると言える。
さらに、本発明の織物は、前述したように特許文献1が持つ単糸の断面形状に起因するイラツキや高い異形度に起因する曲げ剛性の硬さを解消しており、繰り返しの着用や洗濯でも低通気度を保持しながら、イラツキがなく、ソフトな風合の軽量織物を達成している。従って、本発明の織物は、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、及び布団の側地として極めて適している。
以下の実施例によって本発明の効果を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の特性値の評価は以下の方法で行なった。
<異形度>
VH−Z450型顕微鏡及びVH−6300型測定機(KEYENCE社製)を用い、1500倍の倍率で単糸の断面形状の長径D(最も長い部分の径)と短径d(最も短い部分の径)をそれぞれ測定した(図1参照)。そして、単糸の断面形状の(長径D)/(短径d)を算出し)、単糸5本の平均値を単糸の異形度とした。
<直線率>
異形度測定の測定機、倍率で単糸の凸部の弧と凹部の弧を結ぶ直線の長さLを測定し(図1)、長さLを単糸の外接円の半径Dで割った値。単糸5本の平均値を単糸の直線率とした。
<繊度、破断強度、破断伸度、密度、目付>
これらの評価項目は、JIS−L−1096に記載の方法に準拠して測定した。
<伸縮復元率>
この評価項目は、JIS−L−1013(ボイル15分処理)に記載の方法に準拠して測定した。
<相対粘度RV>
96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸中にポリマー濃度が10mg/mlになるように試薬を溶解させてサンプル溶液を調製した。20℃±0.05℃の温度で水落下秒数が6から7秒のオストワルド粘度計を用い、20℃±0.05℃の温度で、調製したサンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)、及び試料を溶解するに用いた96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸20mlの落下時間T0(秒)をそれぞれ測定した。使用する素材の相対粘度(RV)は下記の式で算出された。
RV=T1/T0
<カバーファクター>
織物のカバーファクターは、ヒラ部における経糸の√繊度T×仕上密度(本/吋)+緯糸の√繊度×仕上密度(本/吋)の式によって算出した。リップストップ組織もヒラ部の密度を測定した。
<通気度>
織物の通気度は、JIS−L−1096 8.27.1(フラジール形法)に記載の方法に準拠して測定した。
<滑脱抵抗力>
織物の滑脱抵抗力は、JIS−L−1096 8.23 B法に記載の方法に準拠して荷重117N下で測定した。
<洗濯耐久性>
織物の洗濯は、JIS−L−0217 103法に準拠して実施した。洗濯10回は洗濯―脱水―乾燥を10回繰り返した場合である。乾燥方法はライン乾燥で行った。織物の洗濯耐久性は、洗濯10回後の通気度及び滑脱抵抗力により評価した。
<織物の伸び率>
織物の伸び率は、JIS−L−1096 8.16.1B法に記載の方法に準拠して測定した。
<織物品位(イラツキ程度)>
図7aの品位を以下で示すAとし、図7bの品位を以下で示すDとし、5人のベテランの評価者が織物を目視して以下の4段階の評価を行った。
Aイラツキがない Bややイラツキがある Cややイラツキが目立つ
Dイラツキが目立つ
<風合>
5人のベテランの評価者が織物を触り、以下の4段階の評価を行った。
A非常にソフト Bややソフト Cやや硬い D非常に硬い
<総合評価>
織物品位がB以上であり、風合がB以上であり、洗濯10回後の通気度が1.5cc以下であり、滑脱抵抗力が経、緯とも3.0mm以下である糸、織物を合格とし、この範囲を外れる糸、織物を不合格とした。
参考例
図2aに示すような五葉断面形状のブライト6ナイロン22T20f(相対粘度RV3.5、単糸繊度1.1dtex(T)、異形度1.9、直線率0.22、破断強度5.8cN/dtex、破断伸度48%)の経糸、緯糸を用い、カバーファクター1578のタフタを製織し、染色仕上げ加工を行った。生機を連続精練で糊抜きした後に脱水乾燥し、濃紺酸性染料を用いて液流染色を行った。乾燥セット後、非フッ素系(パラフィン系)撥水剤を用いて撥水処理を行い、温度160℃、圧力2.5MPa、速度20m/分の条件で2回のカレンダー加工(2本の金属製ロールを使用)を行い、カバーファクターを1689に仕上げ、滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.0mm、目付37.4g/mの織物を得た。参考例1の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。表1に示すように、初期だけでなく10回洗濯後の低通気度保持性も良く、織物品位、風合とも満足できるものであった。
参考例
参考例1において、単糸の異形度を1.9から1.6に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例2の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.0mm、緯2.1mmで問題なく、表1に示すように、洗濯10回後の通気度保持性、織物品位、風合は参考例1より優れ、十分満足できるものであった。
参考例
参考例1において、単糸の異形度を1.9から1.4に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例3の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.3mmで問題なく、表1に示すように、洗濯10回後の通気度保持性、織物品位、風合とも優れる織物が得られた。特に、風合は参考例2より僅かであるがソフトであった。
実施例4
参考例1において、糸の断面形状を五葉から図2bに示すような六葉(異形度1.9)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例4の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.2mmで問題なく、表1に示すように、参考例1と同様の性能を有する織物が得られた。
実施例5
実施例4において、異形度を1.9から1.6に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例4と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例5の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.0mmで問題なく、表1に示すように、全ての評価項目を満足する織物が得られた。
実施例6
実施例4において、異形度を1.9から1.3に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例4と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例6の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.2mmで問題なく、表1に示すように、実施例5と同様に全ての評価項目を満足する織物が得られた。特に、風合は僅かであるが実施例5よりソフトであった。
実施例7
参考例1において、断面形状を五葉から図2cに示すような八葉に変え、異形度を1.9から1.8に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例7の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.8mm、緯1.9mmで問題なく、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、織物品位、風合とも優れた織物が得られた。
実施例8
実施例7において、異形度を1.8から1.6に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例7と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例8の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.2mmで問題なく、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、発色性、織物品位、風合とも実施例7と同様に優れた織物が得られた。
実施例9
実施例7において、異形度を1.8から1.3に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例7と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例9の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.1mm、緯2.2mmで表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、織物品位、風合とも実施例7と同様に優れた織物が得られた。特に、風合は実施例7、8より僅かであるがソフトであった。
実施例10
参考例1において、断面形状を五葉から図2dに示すような十葉に変え、異形度を1.9から1.7に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例10の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.0mm、緯2.1mmで表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性、発色性、織物品位、風合とも優れた織物が得られた。
実施例11
実施例10において、異形度を1.7から1.5に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例10と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例11の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.1mm、緯2.1mmで問題なく、表1に示すように、実施例10と同様に全ての評価項目を満足する織物が得られた。
実施例12
実施例10において、異形度を1.7から1.3に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、実施例10と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例12の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.4mmで問題なく、表1に示すように、実施例10と同様に全ての評価項目を満足する織物が得られた。特に、風合は実施例10より僅かであるがソフトなものであった。
比較例1
参考例1において、異形度3.0のY型断面形状(図3a参照)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例1の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.8mm、緯2.0mmで問題なかったが、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性に優れたものの、イラツキのある品位であり、かつ風合が硬く、上記実施例群に比較し、劣るものであった。これらの欠点はシャープな異形度と直線率の高さに起因するものと考えられる。
比較例2
参考例1において、異形度を3.0の十字型断面形状(図3b参照)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例2の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯1.9mmで問題なかったが、表1に示すように、比較例1と同様に洗濯後の低通気度保持性に優れるものの、織物品位、風合に劣るものであった。織物品位、風合の悪さは比較例1と同様の理由によるものと考えられる。
比較例3
参考例1において、異形度を2.5の五葉型断面形状(図3c参照)に変え、直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例3の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.8mm、緯1.9mmで問題はなかったが、表1に示すように、比較例1と同様に洗濯後の低通気度保持性に優れたものの、比較例1、2に比べ、織物品位は若干改善されたものの、風合を含め不満足なものであった。
比較例1、2、3の欠点は高異形度による断面形状のシャープさと直線率の高さに起因し、カレンダー加工により同一単糸の断面形状における凸部と凸部の間が広げられて平坦部が増えてイラツキの原因になり、また単糸間の噛み合いが深いため、揉まれても単糸間が動きにくくなり、硬風合の原因になっていることが理由と考えられる。
比較例4
参考例1において、形状を図3dのようにして直線率を表1記載のように変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例4の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯1.9mmで問題はなかったが、表1に示すように、洗濯後の低通気度保持性に優れ、比較例1、2に比べて織物品位、風合は若干改善されているものの合格レベルではなく、不満足なものであった。低異形度であるが、直線率が高いことが原因と考えられる。このことから参考例1〜3、実施例〜12のように低異形度であり、直線率も低くないと品位と風合を満足する織物は得られないことがわかる。
比較例5
参考例1において、糸の形状を五葉から丸断面(異形度1.0)に変えた以外は、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例5の糸、及び織物の評価結果の詳細を表1に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.0mm、緯2.2mmで問題はなく、表1に示すように、織物品位、風合とも優れていたが、洗濯後の低通気度保持性が不良であった。洗濯中の揉みや擦れにより、織物中で拘束されていた単糸が分離して動き、洗濯前の構造形態を保てず、通気度が高くなったものと考えられる。比較例5のように単糸同士の噛合い構造を持たない形状は低通気度性織物には不適であることがわかる。
参考例13
参考例2において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から22T36f(単糸繊度0.6dtex(T))に変えた以外は、参考例2と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例13の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.0mmで問題はなく、表2に示すように、性能は参考例2と同様に満足すべきもので、特に、風合はよりソフトな織物となった。
参考例14
参考例2において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から11T10f(単糸繊度1.1dtex(T))に変え、仕上げ後の織物のカバーファクターを参考例2に合わせ、カレンダー温度を160℃から180℃に、カレンダー回数2回から1回に変えた以外は、参考例2と同様の加工工程を経て織物を得た。参考例14の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.1mm、緯2.0mmで問題はなく、目付が26.2g/mと軽量で、表2に示すように全ての性能を満足するものであった。
実施例15
実施例5において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から22T12f(単糸繊度1.8dtex(T))に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例15の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.2mm、緯2.3mmで問題はなく、表2に示すように、実施例5より風合が若干硬めになったものの、満足する性能を有する織物が得られた。
実施例16
実施例5において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から56T48f(単糸繊度1.2dtex(T))に変え、カバーファクターを表2に示すように変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例16の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。織物の滑脱抵抗力が経2.4mm、緯2.3mmで問題はなく、目付が68.9g/mになったが、表2に示すように、実施例5より風合が若干硬めになったものの、満足する性能を有する織物が得られた。
比較例6
実施例5において、糸を22T20f(単糸繊度1.1dtex(T))から22T8f(単糸繊度2.8dtex(T))に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例6の糸、及び織物の評価結果の詳細を表2に示す。表2に示すように、実施例5より品位が若干劣り、風合は明瞭に硬く、不満足な織物であった。これらの欠点は単糸繊度の太さに起因するものと考えられる。
実施例17
実施例5において、生機のカバーファクターを1578から1495に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例17の糸、及び織物の評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは1595、目付は35.2g/m、織物の滑脱抵抗力が経2.3mm、緯2.4mmで問題はなく、表3に示すように、実施例5より軽量で、洗濯後の低通気度保持性と滑脱抵抗力がやや減じたものの性能として十分であり、織物品位、風合は実施例5並に良いものであった。
実施例18
実施例5において、生機のカバーファクターを1578から2075に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。実施例18の糸、及び織物の評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは2204、目付は48.9g/m、織物の滑脱抵抗力が経1.1mm、緯1.2mmで問題はなく、表3に示すように、風合は実施例5より劣るが、織物品位と洗濯後の低通気度保持性を十分満足する織物であった。
比較例7
実施例5において、生機のカバーファクターを1578から1315に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例7の糸、織物及び評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは1407、目付は31.2g/m、滑脱抵抗力が経5.2mm、緯5.6mmで不合格で、表3に示すように、織物品位、風合は良いものの、洗濯前の通気度が未達で、実用性に欠ける不満足な織物であった。
比較例8
実施例5において、カバーファクターを1578から2200に変え、カレンダー温度を160℃から180℃に変えた以外は、実施例5と同様の加工工程を経て織物を得た。比較例8の糸、及び織物の評価結果の詳細を表3に示す。得た織物のカバーファクターは2290、目付は51.0g/m、滑脱抵抗力が経1.2mm、緯1.0mmで問題はないものの、表3に示すように、織物品位、低通気度保持性に優れるものの、風合が硬く、不満足な織物であった。
実施例19
実施例5のナイロン6原糸(異形度1.6)を用いて、ピン仮撚加工糸を作成した。仮撚条件は、断面変形が少なく、捲縮性が得られ易いように仮撚数4200tpm、仮撚温度165℃、仮撚速度70m分、オーバーフィード率−3.33スピナー捲数1回とした。仮撚加工糸の伸縮復元率は34.2%であった。該仮撚加工糸の単糸は、断面が楕円状に変形し、異形度が1.8を呈していた。該仮撚加工糸を経糸、及び緯糸に用い、カバーファクター1672のヒラ織物を製織した。その後、参考例1と同様の加工工程を経て織物を得た。その後、温度160℃、加工速度20m分のシュリンクサーファーを通し、織物中の拘束力を緩和する処理を施した。実施例19の原糸、及び織物の評価結果の詳細を表4に示す。得た織物のカバーファクターは1923、目付は42.5g/m、滑脱抵抗力が経1.3mm、緯1.5mmで問題はなく、表4に示すように、織物の織物品位、風合、初期、及び洗濯10回後の低通気度保持性が良好な織物が得られた。また、織物の緯方向の伸び率は11.4%であった。捲縮性があって、低通気度が得られにくい仮撚加工糸織物にあって、実施例19が比較的低いカレンダー加工条件で低通気度と洗濯後の低通気度保持性が良いのは、仮撚加工糸段階で単糸間の噛合いが図6aに示されるより促進され、単糸が比較的分離し難い構造を形成しているためと考えられる。
比較例9
比較例1のナイロン6原糸(断面形状Y字、異形度3.0)を用いて、実施例19と同条件でピン仮撚加工糸を作成した。仮撚加工糸の伸縮復元率は22.6%であった。該仮撚加工糸の単糸は、異形度が3.3に変形していた。実施例19より低い伸縮復元率は異形度が高く、仮撚時の捩れに対する回復性が弱い単糸形状によるものと考えられる。また、高異形度に起因すると考えられる仮撚時の糸切れと毛羽が多く、操業性は好ましくなかった。次いで経緯に該仮撚加工糸を用い、実施例19と同様の織物とし、同様の加工工程を経て織物を得た。比較例9の原糸、及び織物の評価結果の詳細を表4に示す。得た織物の目付は39.5g/m、織物の滑脱抵抗力が経1.9mm、緯2.2mmで問題はないものの、カバーファクターは1880で加工収縮が不十分であった。表4に示すように、織物の洗濯後の低通気度保持性は良いが、イラツキを呈する品位で、風合はやや硬く、織物の緯方向の伸び率は7.2%で少なく、不満足な織物であった。イラツキ品位は仮撚加工で捲縮性が付与し難く、仮撚加工前の高異形度、高直線率の影響が反映されたことによるものと推測される。
比較例10
比較例5のナイロン6原糸(異形度1.0)を用いて、実施例19と同条件でピン仮撚加工糸を作成した。仮撚加工糸の伸縮復元率は38.2%であった。該仮撚加工糸の単糸は、断面が細長い六角形状に変形し、異形度が1.2を呈していた。次いで経緯に該仮撚加工糸を用い、実施例19と同様の織物とし、同様の加工工程を経て織物を得た。比較例10の原糸、及び織物の評価結果の詳細を表4に示す。織物の緯方向の伸び率は13.9%で織物品位、風合に優れるものの、表4に示すように初期通気度が多めで、洗濯後の通気度が更に増し、実用性に欠け、不満足な織物であった。これは、揉みや擦過に対して分離しにくく作用する単糸同士の噛合いがないためと考えられる。
表1〜4から、本発明の条件を満足する織物は、洗濯後の低通気度保持性と織物品位、ソフトな風合を兼ね備えていることが確認できた。また、以下のことも確認できた。
・丸断面形状の糸は発色性、織物品位、風合とも優れるが、洗濯後の低通気度維持性に欠ける。また、異形度の高い断面形状の糸は洗濯後の低通気度保持性は良いが、イラツキのある品位を呈し、風合が硬い。
・単糸の断面を低異形度にし、形状を5〜10個の凸部のある多葉形にすることで低通気度保持性を保ちながら織物品位、風合を改善できる。
・多葉断面形状でも異形度が高いと織物品位が悪化し、風合も硬くなる。
・多葉断面の凸部数が多いと織物品位と風合が良い傾向を示す。
・仮撚加工糸においても同様である。
本発明の製造方法によれば、繰り返しの着用後や洗濯後においても低通気度を保持しながら、イラツキがなく、ソフトな風合の軽量織物を提供することができ、この織物は、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、布団などの側地に極めて好適である。
図1aにおいて、Dは外接円の半径を示し、dは内接円の半径を示す。Lは凸部の弧と凹部の弧を結ぶ直線部の長さを示す。

Claims (4)

  1. 以下の(i)〜(iii)の条件を満足する合成マルチフィラメントを用いてカバーファクターが1450〜2100の織物を製織した後、染色または捺染を施し、次いで撥水仕上げを施した後、片面または両面にカレンダー加工を施し、合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の凸部が、隣接する単糸の横断面の多葉形状の凹部に噛み合うように接するようにしたことを特徴とする織物の製造方法。
    (i)単糸繊度が0.5〜2.0dtexであり、総繊度が6〜67dtexである;
    (ii)単糸は、略同形状の丸みのある凸部と略同形状の丸みのある凹部が交互に連続して形成される多葉形状の横断面を持ち、多葉形状における凸部の数が〜10個である;
    (iii)単糸の横断面の多葉形状の異形度(外接円の半径D/内接円の半径d)が1.3以上1.9以下である
    iv)単糸の横断面の多葉形状の直線率L/Dが0以上0.30以下である、ここで直線率L/Dは、単糸の横断面の多葉形状における凸部の円弧と凹部の円弧を結ぶ直線の長さLと単糸の外接円の半径Dの比率を指す。
  2. 用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状における凸部の数が〜8個であることを特徴とする請求項1に記載の織物の製造方法。
  3. 用いる合成マルチフィラメントの単糸の横断面の多葉形状の直線率が0以上0.28以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の織物の製造方法。
  4. 織物が、ダウンウェア、ダウンジャケット、寝袋、及び布団からなる群から選択されるいずれかの側地に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の織物の製造方法。
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