JP6599844B2 - 洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 - Google Patents

洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 Download PDF

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Description

本発明はスポーツウェア、ダウンウェア、アウトドアウェア、カジュアルウェア、寝袋、布団等の側地、並びにウィンドブレーカー、カバン地用の膜加工用表地に適した織物に関するものである。更に詳しくは、本発明は、洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物に関する。
羽毛等のダウンフェザーやポリエステル製の中綿を詰め物として用いるダウンジャケットは、保温性を有する防寒衣料として、アウトドア用途やタウン用途に広く使用されている。また雨天時であっても、屋外での作業やアウトドアを可能にするため、防水性に優れた雨衣等も広く利用されている。これらダウンジャケット等の側地や雨衣に使用される織物は、防風・防水性を有し、繰り返しの着用や洗濯によるダウン漏れを防止するため、一般的に1.5cm3/cm2・s以下、多くは0.8cm3/cm2・s以下の低通気に構成されている。
しかしながら、発汗時にはこの低通気の構成が逆効果となり、側地の織物が、体外への蒸気の流れを遮断し、ムレ感のある不快な衣服内空間を作り出してしまう。特に詰め物としてポリエステル製の中綿が使用されている場合等においては、詰め物自体に吸湿性が無いため、この問題は顕著である。そのため、前記織物にはある程度の吸水性・吸汗性も要求される。
低通気の織物に、吸水性・吸汗性を付与した例として、特許文献1には、フィラメントの断面形状が2個所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面であるマルチフィラメント(A)で経糸または緯糸を構成してなる織物が開示されている。また特許文献2には、単糸断面形状が周囲に4葉の突起物を有したX型断面であり、その一つの交差角度が95〜140度であって、空隙率が10〜35%であることを特徴とするポリエステルX型断面繊維を含む織物が開示されている。
特開2004−52191号公報 特開2002−105755号公報
本発明者らは、織物によるムレ感低減のため、織物に通気性を付与してはどうかと考えた。しかし、従来品の構成を維持しながら、織物の通気度を上げると、洗濯後の通気度が大幅に上昇するという新たな問題が生じた。本発明者らが考える洗濯後に織物の通気度が大幅に増大する理由は以下の通りである。
〔理由1〕ダウンジャケットや雨衣に用いられる低通気織物は、一般的に、織物を高密度化できるよう丸断面の単糸から構成される。これらの織物を高通気化する場合、取りうる手法としては、カバーファクターを小さくするか、或いは、カレンダー加工条件を弱くすることが考えられる。しかしカバーファクターを小さくしたり、カレンダー加工条件を弱くすることにより、単糸間の拘束力が弱まり、洗濯時の揉みにより織物中の丸断面単糸が動いてしまい、洗濯後には通気度が大幅に上昇するものと推察される。
〔理由2〕織物が、特にナイロン製の場合には、洗濯時に単糸が膨潤し、その後の乾燥により単糸が収縮することで、単糸間に隙間が生じるものと推察される。
〔理由3〕織物が、特に仮撚加工糸から構成されている場合には、仮撚加工糸の捲縮により単糸間に隙間の多い構成となっており、洗濯前の通気度も高いが、洗濯による通気度変化率も高くなるものと推察される。
そこで、特許文献1〜2に記載される異形断面単糸を、織物に適用することを考えた。しかし、特許文献1に開示される扁平断面の単糸では、単糸間の隙間が小さく、織物を高通気化することが難しい。また特許文献2に開示されるX型断面を有する単糸では、4葉の突起が大きく、単糸同士が点接触状態となり、洗濯時の揉みによって容易に単糸が分離してしまう。
このような状況下、本発明は、高通気であって、洗濯による通気度変化率の小さな織物の提供を課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、異型度が1.2以上2.0以下、繊維横断面の外形に3〜12個ずつの凸部と凹部を有する多葉型単糸を用い、隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する単糸群Aと、隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない単糸群Bとを存在させ、単糸群Aが、単糸群A及び単糸群Bに含まれる多葉型単糸の総本数のうち、20%以上95%以下となるように調整した織物であれば、多葉型単糸の凹部と凸部の噛合いがしっかりしている領域と、そうでない領域を適度に混在させることができるため、高通気でありながら、洗濯による通気度変化率の小さい織物が提供されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る織物は、以下の点に要旨を有する。
[1]合繊マルチフィラメントから構成される織物であって、前記合繊マルチフィラメントが、異型度が1.2以上2.0以下であり、繊維横断面の外形に3〜12個ずつの凸部と凹部を有する多葉型単糸を含み、隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する単糸群A、及び隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない単糸群Bを有し、前記単糸群Aが、単糸群A及び単糸群Bに含まれる多葉型単糸の総本数のうち、20%以上95%以下であることを特徴とする織物。
[2]前記多葉型単糸は、隣り合う多葉型単糸と、凸部及び/又は凹部で、曲線的及び/又は直線的に接している[1]に記載の織物。
[3]カバーファクターが1450以上2200以下である[1]または[2]に記載の織物。
[4]前記多葉型単糸の単糸繊度が0.5dtex以上2.5dtex以下、前記合繊マルチフィラメントの総繊度が6dtex以上67dtex以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の織物。
[5]洗濯前の通気度L0が1.5cm3/cm2・s以上30cm3/cm2・s以下であり、洗濯前の通気度L0に対する洗濯3回後の通気度L3の比率(L3/L0)が0.8以上1.8以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の織物。
[6]前記多葉型単糸の凸部高さが1.0μm以上4.5μm以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の織物。
[7]凹部における丸み部分の直径(R2)に対する凸部における丸み部分の直径(R1)の比率(R1/R2)が0.5以上2.0以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の織物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の織物を含む衣料。
[9][1]〜[7]のいずれかに記載の織物を含む寝具。
本発明によれば、高通気であって、洗濯による通気度変化率の小さな織物が提供される。
図1は、多葉型断面の凹凸形状、並びに各部分についての説明図である。 図2は、3葉の多葉型単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図である。 図3は、4葉の多葉型単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図である。 図4は、5葉の多葉型単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図である。 図5は、6葉の多葉型単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図である。 図6は、8葉の多葉型単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図である。 図7は、10葉の多葉型単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図である。 図8(a)は、丸断面の単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図であり、図8(b)は、扁平断面の単糸を配置した際の一例を示す織物の概略断面図である。 図9(a)〜(e)は、本発明に相応しくない多葉型単糸の一例を示す該単糸の概略断面図である。
<単糸群A・単糸群B>
本発明では、隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する多葉型単糸の群を単糸群Aとして定義する。接触長とは、具体的には、図1に示すL1及びL2のように、繊維横断面において隣接する多葉型単糸同士が接触する部分の長さを言う。単糸群Aに分類される多葉型単糸は、隣接する多葉型単糸との接触長が長いため、織物における空気の通過を阻害でき、織物の低通気化に寄与する。また隣接する多葉型単糸との接触長が長くなることは、換言すれば、隣接する多葉型単糸の凹部と凸部の噛合いが深いことを意味する。そのため、単糸群Aの存在により、洗濯しても、多葉型単糸が移動しにくい構造が維持され、結果として、織物の洗濯後の通気度変化率を小さくすることができる。単糸群Aにおける隣接する多葉型単糸との接触長の上限は、好ましくは7μm以下である。
多葉型単糸は、合繊マルチフィラメントにおいて隣接する多葉型単糸と2箇所以上で接触することが可能であるが、多葉型単糸同士の接触箇所が複数存在する場合には、接触箇所の少なくとも1箇所以上において接触長が2μm以上である多葉型単糸は、単糸群Aに分類することとする。
一方、隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない多葉型単糸の群を単糸群Bとして定義する。「隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない」とは、例えば、隣接する多葉型単糸同士が全く接していないか、或いは隣接する多葉型単糸と接していても接触長が2μm未満であることをいう。単糸群Bに分類される多葉型単糸は、隣接する多葉型単糸との接触長が短いため、織物の高通気化に寄与する。
図2には、3葉の多葉型単糸を配置した際の一例を示す。図2には、1本の合繊マルチフィラメントに含まれる多葉型単糸a〜iを例示しているが、このうち多葉型単糸fは、多葉型単糸a、b、gと隣合っているが、多葉型単糸bとは単糸同士が全く接しておらず(円2)、更には、隣接する多葉型単糸と接していても接触長が2μm未満(円1、3)であるから、多葉型単糸fは単糸群Bに分類される。同様に、多葉型単糸gも、隣接する多葉型単糸と接していても接触長が2μm未満であるから(円4〜7)、多葉型単糸gは単糸群Bに分類される。一方、多葉型単糸a〜e、h〜iは、隣接する多葉型単糸同士の接触箇所のうち、少なくとも1箇所以上において接触長が2μm以上であるから、これらの多葉型単糸は単糸群Aに分類することとする。
同様に、図3〜図7に示す織物の概略断面図においても、多葉型単糸を単糸群A及び単糸群Bにそれぞれ分類すると以下の通りとなる。
Figure 0006599844
単糸群Aは、単糸群A及び単糸群Bに含まれる多葉型単糸の総本数のうち、20%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは55%以上であり、95%以下、好ましくは90%以下である。単糸群Aの比率を前記範囲内に調整することにより、単糸群Aと単糸群Bの存在比率が適切なものとなり、高通気でありながらも、洗濯による通気度変化率の小さな織物を得ることが可能となる。単糸群Aの比率の求め方は、実施例の欄に詳述する。
なお本発明では、単糸群Aの比率の測定に際して、測定した5本の合繊マルチフィラメント全てにおいて、単糸群Aの比率が前記範囲を満足していることが好ましい。測定した全ての合繊マルチフィラメントで単糸群Aの比率が前記範囲内であれば、織物全体に亘って単糸群Aと単糸群Bが適切な割合で略均一に存在していると言えるため、洗濯時の揉みにより多少多葉型単糸が移動しても、通気度が大きく変化する場所の発生を抑制することができる。これはダウンプルーフ性の観点からは非常に有効である。
<多葉型単糸の接触状態>
多葉型単糸は、隣り合う多葉型単糸と、凸部及び/又は凹部で、曲線的及び/又は直線的に(より好ましくは曲線的に)接していることが好ましい。多葉型単糸の接触状態をこのような構成とすることで、洗濯後であっても通気度変化率が小さい織物を得やすくなる。特に、隣り合う多葉型単糸が曲線的に接していれば、多葉型単糸が、外力に対して単糸同士の拘束を維持したまま動き易くなるため、織物をソフトに仕上げる際には有効である。一方、隣り合う多葉型単糸が直線的に接することは、一般的にカレンダー加工条件が過酷すぎる場合に生じる現象であるので、直線的な接触部は、織物の一部に存在していてもよいが、全体に亘って存在することは、織物の低通気化に繋がるため好ましくない。
合繊マルチフィラメント中の多葉型単糸同士の最大接触長は、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは4.0μm以上、更に好ましくは4.5μm以上であり、好ましくは9.5μm以下、より好ましくは8.5μm以下、更に好ましくは8.0μm以下である。接触長が前記範囲内であれば、洗濯による揉み作用を受けても隣り合う多葉型単糸同士が分離しにくく、織物の低通気度が維持され、洗濯による通気度変化率を小さくすることができる。最大接触長の求め方は、実施例の欄に詳述する。
<多葉型単糸>
多葉型単糸とは、繊維横断面の外形に3〜12個ずつの凸部と凹部を有するモノフィラメントである。多葉型単糸であれば、隣接する単糸同士の凹部と凸部が噛合い、凹部と凸部が面接触できるため、織物における空気の通過を阻害できる。また隣接する多葉型単糸の凹部と凸部が噛合えば、洗濯しても、多葉型単糸が移動しにくくその噛合い構造が維持されるため、洗濯後の通気度変化率を小さくすることができる。
凸部及び凹部の数は、3個以上であり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、12個以下、好ましくは10個以下、より好ましくは8個以下である。凸部及び凹部が2個以下になると(円形の0も含む)、単糸同士の十分な接触長が得られず、洗濯時の揉み作用で単糸同士が分離し易くなるため、洗濯後の通気度変化率を小さくすることが難しい。一方、凸部及び凹部が13個以上になると、凸部及び凹部が小さくなり、隣接する多葉型単糸同士の接触長が短くなってしまい、洗濯後の通気度変化率を小さくすることが難しくなる。更に、凸部及び凹部の個数が増えると、ドライ感のある手触りとなってしまうため好ましくない。
なお本発明において凸部とは、繊維横断面の外形に最短周路(ここで最短周路とは、多葉型単糸の繊維横断面を最短で周回する仮想路を意味する)を形成した場合に、該最短周路に接触する多葉型単糸の部分をいう。織物にカレンダー加工が施されている場合、凸部の数を数える際には、カレンダー加工により一部が平坦化している凸部も含めることとする。例えば、図1に示す3本の多葉型単糸は、繊維横断面の外形に6個の凸部と6個の凹部を有するため、いずれも6葉とみなす。
また凹部とは、繊維横断面の外形に最短周路を形成した場合に、該最短周路に接触しない多葉型単糸の部分をいう。凹部の数は好ましくは凸部と同数である。また凸部や凹部は、任意のカレンダー加工により変形する場合があるが、カレンダー加工前において凸部と凹部は、交互に連続していることが好ましい。
多葉型単糸の異型度は、2.0以下、より好ましくは1.9以下、更に好ましくは1.8以下であり、1.2以上、より好ましくは1.3以上である。異型度が前記範囲を下回ると、多葉型単糸の繊維横断面が円形に近づき、単糸群Aを構成する多葉型単糸同士の噛合いが浅くなってしまう。これにより、接触長が不十分となり、洗濯後の通気度変化率が大きくなってしまうため好ましくない。一方、異型度が前記範囲を上回ると、凸部高さが高くなってしまい、多葉型単糸間の隙間が増大するため、単糸間の拘束力が減じ、単糸洗濯時の揉み作用で単糸同士が分離し易くなる。また異型度が高くなると、織物にざらつきの触感が生じ、更に織物にカレンダー加工を施すと、多葉型単糸の凸部が潰れて平坦化しイラツキが生じ易く、また風合が固くなってしまうため好ましくない。
凸部及び凹部は、先端が丸みを有していることが好ましい。凸部及び凹部が丸みを有していれば、隣接する多葉型単糸の凸部と凹部が噛合いやすく、接触長が長くなり、結果として多葉型単糸の移動の抑制に繋がり、洗濯後の通気度変化率を小さくできるため好ましい。また隣接する多葉型単糸の凸部と凹部が深く噛合うようになれば、カレンダー加工条件を弱く或いはカレンダー加工自体を省略することが可能となるため、多葉型単糸の乱反射の多い形状を維持でき、イラツキ品位の少ない織物を得やすくなる。
凸部における丸み部分の直径(R1)は、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは2.0μm以上、更に好ましくは2.5μm以上であり、好ましくは7.5μm以下、より好ましくは7.0μm以下、更に好ましくは6.5μm以下である。直径(R1)を前記範囲内に調整することにより、擦過による織物からの多葉型単糸の引き出しを抑制して、織物の耐摩耗性の悪化を防ぐことが可能となる。また直径(R1)が前記範囲内であれば、隣接する多葉型単糸の凹部と面接触しやすくなる。なお直径(R1)を大きくするには、多葉型単糸の繊度を上げ、凸部の数を減らすことが有効である。また本発明では凸部の径が大きいため、仮に織物にカレンダー加工を施しても、カレンダー加工前に存在していた凸部の丸み形状は失われにくい。
凹部における丸み部分の直径(R2)は、好ましくは1.2μm以上、より好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは1.8μm以上であり、好ましくは6.5μm以下、より好ましくは6.0μm以下、更に好ましくは5.5μm以下である。直径(R2)を前記範囲内に調整することにより、隣接する多葉型単糸の凸部と面接触しやすくなり、洗濯による通気度変化率を小さくすることが可能となる。
凹部における丸み部分の直径(R2)に対する凸部における丸み部分の直径(R1)の比率(R1/R2)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上であり、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.7以下、更に好ましくは1.5以下、より更に好ましくは1.3以下である。直径の比率(R1/R2)を前記範囲内に調整することにより、凸部における丸み部分と凹部における丸み部分とが同程度の大きさとなるため、凸部と凹部とが面で接触し、多葉型単糸同士の拘束力が強くなるため、洗濯による多葉型単糸の分離を防ぎ、洗濯による通気度変化率を小さくできる。また、直径の比率(R1/R2)が前記範囲内であれば、織物の風合が柔らかく仕上がるようになる。直径の比率(R1/R2)は、カレンダー加工前にあっても、カレンダー加工後にあっても、この範囲内であることがより好ましい。
多葉型単糸の凸部高さは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.2μm以上、更に好ましくは1.5μm以上であり、好ましくは4.5μm以下、より好ましくは4.0μm以下、更に好ましくは3.5μm以下である。多葉型単糸の凸部高さを前記範囲内に調整することにより、凸部と凹部を噛合いやすくし、洗濯後の通気度変化率を小さくできるため好ましい。
多葉型単糸の凹部深さは、多葉型単糸の凸部高さと同等(例えば、多葉型単糸の凸部高さに対し0.5〜1.2倍、より好ましくは0.6〜1.1倍、更に好ましくは0.7〜1.0倍)であることが好ましい。多葉型単糸の凹部深さを凸部高さと同等にすることで、隣接する単糸同士の凹部と凸部を噛合いやすくし、接触長を長くできるため好ましい。凹部深さとは、凹部両隣に存在する2つの凸部の共通接線から凹部底部までの垂直最長距離を意味する。凹部深さは、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて織物に垂直な方向の断面SEM写真を撮影し、撮影したSEM写真から変形の少ない任意の多葉型単糸を5本選定して単糸毎に凹部深さの最大値を求め、これら5本の平均値を以って評価できる。
多葉型単糸の繊維横断面は略円状であることが好ましい。ここで略円状とは、多葉型単糸の繊維横断面の外形に外接する長方形を描いた時に、長辺に対する短辺の比率(短辺/長辺)が、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.90以上、更に好ましくは0.95以上、好ましくは1.00以下であることをいう。繊維横断面が略円状であれば、曲げに対する剛性が弱く、織物の風合が柔らかくなるため好ましい。一方、国際公開第2014/021013号に開示される多葉型単糸や、図8(b)に示す単糸のように、繊維横断面が扁平状(すなわち、長辺に対する短辺の比率が0.80未満)の単糸では、織物の厚さ方向に単糸が積層される傾向にあるため、積層された扁平状の単糸により、織物の厚さ方向の通気が阻害されやすく、織物を高通気化することが難しくなる。
多葉型単糸の単糸繊度は、好ましくは0.5dtex以上、より好ましくは0.6dtex以上、更に好ましくは0.7dtex以上であり、好ましくは2.5dtex以下、より好ましくは2.0dtex以下、更に好ましくは1.8dtex以下である。単糸繊度を前記範囲内に調整することにより、紡糸時における毛羽、糸切れ、弱糸の発生を抑制し、やわらかな風合を有する織物を得ることが可能となる。
多葉型単糸は、樹脂からなる合成繊維であることが望ましい。前記樹脂は、特に限定されないが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612或いはその共重合体などのポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート或いはその共重合体などのポリエステル類;などの合成ポリマーが挙げられる。ポリアミド類ではナイロン6及びナイロン66、ポリエステル類ではポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらの合成繊維は、ケミカルリサイクル糸やマテリアルリサイクル糸であってもよい。
前記ポリアミド類の樹脂の相対粘度は、好ましくは2.5以上、より好ましくは2.8以上、更に好ましくは3.0以上であり、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.2以下、更に好ましくは4.0以下である。
前記ポリエステル類の樹脂の相対粘度は、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.70以上であり、好ましくは1.00以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.90以下である。
本発明では低異型度の多葉型単糸を使用するため、高異型度の単糸の製造に用いられる相対粘度の高い樹脂を採用しなくても、相対粘度が前記範囲内であれば、繊維横断面が明瞭な多葉型である単糸を製糸できる。また相対粘度が前記範囲内であれば、適当な破断強度と破断伸度を有する多葉型単糸を製造でき、単糸の破断強度不足に起因する製品の引裂強力及び破断強度の低下、並びに、単糸の破断伸度不足に起因する加工操業性の悪化及び製品耐久性の悪化を回避できる。加えて、相対粘度が前記範囲内であれば、カレンダー加工を施したとしても、カレンダー加工による多葉型単糸の変形が抑制され、多葉型単糸同士の噛み合いが促進されやすく、カレンダー条件(例えば、温度や圧力)を過酷にしなくても、少ないカレンダー回数で耐久性が高く低通気度の織物を得やすくなるため好ましい。
多葉型単糸は、必要に応じて、顔料(例えば、酸化チタン、カオリン、カーボンブラック等)を含んでいてもよい。また多葉型単糸は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウム等から選ばれる少なくとも一種の無機微粒子を、多葉型単糸100質量%中、1.5質量%以上含むフルダルであっても(上限は7.0質量%以下が好ましい)、1.5質量%未満のセミダルまたはブライトであってもよい。
多葉型単糸は、必要に応じて、吸湿性物質、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等が、単独または複合して添加されてもよい。多葉型単糸の沸水収縮率、熱応力、複屈折率、太さ斑などは、特に限定されず適宜設定すればよい。
<合繊マルチフィラメント>
合繊マルチフィラメントは、本発明に係る織物の経糸及び/又は緯糸として用いられ、前記多葉型単糸を複数含有する。合繊マルチフィラメントの総繊度は、好ましくは6dtex以上、より好ましくは8dtex以上、更に好ましくは10dtex以上、より更に好ましくは15dtex以上であり、好ましくは67dtex以下、より好ましくは56dtex以下、更に好ましくは45dtex以下、より更に好ましくは35dtex以下である。合繊マルチフィラメントの総繊度を前記範囲内に調整することにより、製糸がスムーズなものとなり、また低目付の織物を得易くなるため好ましい。
合繊マルチフィラメントに含まれる多葉型単糸の本数は、総繊度や単糸繊度により適宜決定されるが、好ましくは3本以上、より好ましくは10本以上、更に好ましくは15本以上であり、好ましくは68本以下、より好ましくは58本以下、更に好ましくは40本以下、より更に好ましくは30本以下である。多葉型単糸の本数を前記範囲内に調整することにより、風合面から総繊度を小さくする必要がなくなり、合繊マルチフィラメントを製糸しやすくなると共に、単糸繊度も小さくなりすぎないため、織物の耐摩耗性の悪化を抑制できる。なお、織物中の単糸の配置は、合繊マルチフィラメントの総繊度、これに含まれる多葉型単糸の本数、織密度や織組織に依存するが、一般的に、多葉型単糸の本数が少ない時には、合繊マルチフィラメントに含まれる多葉型単糸は織物の水平方向に1層に並び、多葉型単糸の本数が多い時には、合繊マルチフィラメントに含まれる多葉型単糸は織物の水平方向に2層以上に並ぶ傾向にある。
合繊マルチフィラメントの破断強度は、特に限定されないが、好ましくは4.2cN/dtex以上、より好ましくは4.5cN/dtex以上であり、好ましくは7.0cN/dtex以下、より好ましくは6.6cN/dtex以下である。破断強度が前記範囲内であれば、強度を保つ為に糸の配向や結晶化をそれほど進行させる必要がなく、織物の風合を柔らかく保つことが可能となる。また、破断強度を前記範囲内にすることで、擦過による糸切れを防止し、織物の耐摩耗性を高めつつ、織物の引裂強力を高く維持できるため好ましい。
合繊マルチフィラメントの破断伸度は、好ましくは28%以上、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは32%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下である。破断伸度を前記範囲内に調整することにより、合繊マルチフィラメントを経糸に用いても製織時の張力による糸切れを抑制できる。また、製織時における合繊マルチフィラメントの回復力の低下を抑制し、経筋、緯引け、緯ムラを防止できるため好ましい。
合繊マルチフィラメントの形態は、フィラメント糸(SDYスピンドローヤーン)、仮撚加工糸、及びタスラン糸が好ましい。フィラメント糸では、色が鮮明で、且つ、軽量・薄地の織物が得られる。仮撚加工糸では、膨らみを有し、ストレッチ性に優れ、自然な光沢感を持つ織物が得られる。タスラン糸では、膨らみ及びスパン調の外観を有する織物が得られる。
仮撚加工糸としては、POYをフリクション仮撚りまたはエア仮撚して得られるDTY、SDYをピン仮撚りして得られる加工糸、シャープな異型度や断面形状を得る目的で仮撚温度を通常より10〜20℃低く、また仮撚数を10〜30%少なくした仮撚条件で得た加工糸(ハーフテクスチャードヤーン)等が好ましい。仮撚加工においては、高捲縮性・高伸縮性織物を得る目的で、仮撚速度を通常より10〜30%遅くすることも可能である。仮撚加工糸は捲縮保持性に優れることから、ナイロンではナイロン66の使用が好ましく、ポリエステルではホモポリマーポリエステルの使用が好ましい。
一般に仮撚加工糸織物では、その捲縮により、織物中に隙間が多く形成される傾向にある。本発明の多葉型単糸は、仮撚加工工程を経ることにより、単糸同士の噛合いが強制的に行われるため、仮撚前より単糸同士の凸部と凹部が密着しながら接触する単糸構造となる。そのため仮撚加工糸織物でありながら、洗濯後でも単糸同士が分離され難く、通気度変化率を小さくすることが可能となる。加えて、仮撚加工糸の単糸同士の噛合いの度合は、多葉型単糸の異型度が低いためそれほど堅固ではなく、捲縮性やソフトな風合を得やすくなる。更に好ましいことに、仮撚加工糸の捲縮が乱反射を生み、織物品位を改善させるとともに、フィラメント織物ではカレンダー加工表面にテカリを生じるのに対し、仮撚加工織物ではナチュラルな外観を示し、アウトドア用途等に適した織物となる。
仮撚加工糸の伸縮復元率は10〜30%であることが好ましく、更には15〜28%が好ましい。この範囲を超えると仮撚数が多いため多葉断面の形状が大きく変形し過ぎ、仮撚工程で毛羽や糸切れが多発し、生産に適さず、かつ単糸同士の凹凸の密着が堅固になり、硬風合の原因になり好ましくない。これ未満では織物の伸縮性が不足し、好ましくない。
合繊マルチフィラメントは実質的に多葉型単糸から形成されており、多葉型単糸の凸部と凹部の噛合いが促進されるようになっている。合繊マルチフィラメント中、多葉型単糸の含有率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは100%である。
多葉型単糸を含む合繊マルチフィラメントの含有率は、織物100質量%中、好ましくは45質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、特に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、上限は特に限定されないが、100質量%が好ましく、95質量%以下であってもよい。多葉型単糸を含む合繊マルチフィラメントの含有率を前記範囲内にすることで、耐摩耗性が高く、低通気保持性を有し、イラツキが少なく、やわらかな織物を得ることができる。
また本発明の織物は、その効果を阻害しない限り、多葉型単糸を含まない他の合繊マルチフィラメント糸を含んでいてもよい。他の合繊マルチフィラメント糸の形態としては、フィラメント糸、仮撚加工糸、タスラン加工糸、混繊糸、合撚糸等が例示される。
<製造方法>
織物の織組織は特に限定されるものではなく、平組織、綾組織、朱子組織など任意の組織を用いることができ、中でも無地感と軽量性の観点から、平組織が好ましく用いられる。さらに、優れたデザイン性及び高引裂強力の観点からは、織組織はリップストップタフタが好ましい。
また、前記織物の製造に使用する織機も特に限定されず、ウオータージェットルーム織機、エアージェット織機、レピア織機が好ましく使用される。
織物の経密度は、例えば、80本/2.54cm以上が好ましく、100本/2.54cm以上がより好ましく、450本/2.54cm以下が好ましく、350本/2.54cm以下がより好ましく、250本/2.54cm以下が更に好ましい。
また織物の緯密度は、例えば、80本/2.54cm以上が好ましく、100本/2.54cm以上がより好ましく、400本/2.54cm以下が好ましく、350本/2.54cm以下がより好ましく、250本/2.54cm以下が更に好ましい。なお、生機密度と仕上密度は同一であっても異なっていてもよい。
織密度を前記範囲内に調整することにより、単糸群A及び単糸群Bの存在比率を適切な範囲に調整することが可能となる。
製織した織物は、一般的な織物の加工機械を使って、精錬、リラックス、プリセット染色、仕上げ加工をするとよい。染色は、ダウンプルーフ織物の一般的な方法で行えばよく、例えば、連続糊抜き精練した後、乾燥セット、液流染色機またはジッガー染色機による染色、捺染を行うとよい。染色条件は素材に応じて適宜選択すればよい。但し、仮撚加工糸を含む織物では、伸縮性を失わないよう液流染色での染色が好ましい。
また、本発明に係る織物には、必要に応じて、撥水処理、帯電防止処理、吸水処理、抗菌・防臭処理、コーティング加工、ラミネート加工等の各種機能加工や、風合や織物の強力を調整するために柔軟加工、樹脂加工、シリコーン加工を行うことも可能である。撥水処理においては、フッ素系、シリコーン系、パラフィン系等の撥水剤を使用するとよい。柔軟加工においては、例えば、柔軟剤として、アミノ変性シリコーンやポリエチレン系、ポリエステル系、パラフィン系柔軟剤などを使用するとよい。また、樹脂加工においては、例えば、樹脂加工剤として、メラミン樹脂、グリオキザール樹脂、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等の各種樹脂を使用するとよい。また撥水処理と柔軟加工の併用により、織物の引裂強力を向上させることも可能である。
また、織物の少なくとも一方面にはカレンダー加工が施されていてもよい。カレンダー加工により、織物の通気度をコントロールしながら、多葉型単糸の凸部と凹部の噛合いを促進し、単糸群Aの比率を向上させることができる。しかしカレンダー加工条件が厳しすぎると、単糸群Aの比率が高くなりすぎてしまい、織物が低通気化するため、カレンダー加工は、多葉型単糸の凹凸形状が残る程度の弱い条件下で実施されることが好ましい。すなわちカレンダー加工条件を調整することで、カレンダー加工による押圧作用を強く受ける部分には単糸群Aが形成されやすくなり、弱く受ける部分には単糸群Bが形成されやすくなる。なお、カレンダー加工を実施しなくても、本発明の要件を満たす織物であれば、必ずしもカレンダー加工は必須ではない。
カレンダー加工は、製織した織物を染色した後に実施されることが好ましい。染色工程により織物に膨らみを与えた後にカレンダー加工を実施することで、織物を高通気化しやすくなる。
本発明の織物は、カレンダー加工により、表面及び裏面の少なくとも一方にカレンダー加工面が形成されていてもよいが、カレンダー加工は主として片面にのみ施され、必要に応じて両面に施してもよい。カレンダー加工の回数は、1回のみでも複数回でもよいが、単糸群Bを一定割合存在させるため、好ましくは1回である。
カレンダー加工の条件は、例えば、ナイロン織物では200℃を上限に、ポリエステル織物では220℃を上限に、織物構成、通気度、引裂強力、風合等を考慮して、加圧力、加工速度、回数等を適宜調整しながら設定することが好ましい。カレンダー加工条件として好ましくは、温度は130〜190℃、加圧力は0.98MPa〜4.90MPa(より好ましくは1.50MPa〜4.00MPa)、速度は10〜30m/分である。なおカレンダー加工温度を上げると織物表面の変形が進み、表面がテカリやすくなるため、カレンダー加工条件を厳しくする場合は加圧力を調整する方がよい。一方、加圧力が過度になり過ぎると単糸形状が平坦になり過ぎ、イラツキや引裂強力低下の要因になるため、穏やかな条件で回数を増やして目標の低通気度、風合を得るようにすることが好ましい。
カレンダー加工により、カレンダー加工面に含まれる多葉型単糸の凸部には平坦部が形成される。前記平坦部は、カレンダー加工により多葉型単糸に形成される押圧部に相当し、その痕跡は合繊マルチフィラメントに垂直な断面写真(SEM写真)で明瞭に確認される。本発明では、カレンダー加工の条件を調節する等して、多葉型単糸の凹部には平坦部が形成されないようにすることが好ましい。すなわち、カレンダー加工がされても、隣接する凸部と凸部を結ぶ外周は直線にはならず、一つの平坦部は一つの凸部のみに形成されることが好ましい。カレンダー加工を織物の片面にのみ施す場合には、カレンダー加工面の方が、他面よりも平坦部の幅が広くなりやすい。平坦部は、好ましくは3個以下、より好ましくは2個以下の凸部に形成される。
なお前記平坦部は、具体的には、織物表面に形成される押圧部であるから、織物中の隣り合う多葉型単糸同士が直線的に接している部分は平坦部には数えない。
多葉型単糸の凸部に形成される平坦部の幅は、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは4.0μm以上であり、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下である。平坦部の幅が前記範囲を超えると、正反射部が増え、イラツキが生じやすくなるため好ましくない。平坦部の幅の調整には、カレンダー加工条件を適宜変更することが有効であり、多葉型単糸の凹部には平坦部が形成されず、凸部を単独で潰した状態に留めることが好ましい。
平坦部の幅は、例えば、走査型電子顕微鏡を使い、織物表面に存在する任意の2本の多葉型単糸を選定し、凸部に形成された平坦部の幅の最大値を以って評価できる。
カレンダーの材質は特に限定されず、金属製、ペーパー製、コットン製、樹脂製のロールのいずれであってもよいが、少なくとも一方のロールが金属製であることが好ましい。金属製ロールを用いるとカレンダー加工の跡が明確なものとなりやすいため、一方に金属製ロール、他方に金属製以外のロールを用いると、金属製ロールが当たる面において多葉型単糸に形成される平坦部が広くなる傾向にある。また2つのロールの両方に金属製ロールを用いると、織物の両面に似たような幅の平坦部が形成されやすい。
<織物>
織物のカバーファクターは、好ましくは1450以上、より好ましくは1500以上、更に好ましくは1550以上であり、好ましくは2200以下、より好ましくは2100以下、更に好ましくは2000以下、より更に好ましくは1900以下である。カバーファクターを前記範囲内に調整することにより、滑脱抵抗力が高く、メヨレがなく、更には軽量で柔らかな風合を有する高通気性の織物を得やすくなる。
織物の目付は、好ましくは18g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上であり、好ましくは70g/m2以下、より好ましくは60g/m2以下である。目付を前記範囲内に調整することにより、軽量・薄地でありながら、実用的な引裂強力を有する織物となる。
本発明に係る織物は、単糸群Bの存在により高通気性を有している。該織物の洗濯前の通気度L0は、好ましくは1.5cm3/cm2・s以上、より好ましくは2.0cm3/cm2・s以上、更に好ましくは5.0cm3/cm2・s以上であり、好ましくは30cm3/cm2・s以下、より好ましくは25cm3/cm2・s以下、更に好ましくは20cm3/cm2・s以下である。通気度L0が前記範囲を超えると、保温性の乏しい織物となるため好ましくない。
また本発明に係る織物は、洗濯による通気度変化率が小さく、該織物の洗濯3回後の通気度L3は、好ましくは1.5cm3/cm2・s以上、より好ましくは5.0cm3/cm2・s以上、更に好ましくは8.0cm3/cm2・s以上であり、好ましくは30cm3/cm2・s以下、より好ましくは28cm3/cm2・s以下、更に好ましくは26cm3/cm2・s以下である。
一般的に、織物は洗濯1回後から高通気化し、およそ3回で最大化するため、織物の洗濯による通気度変化率は、織物の洗濯前の通気度L0に対する洗濯3回後の通気度L3の比率(L3/L0)によって評価できる。該洗濯による通気度変化率は、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.4以下であり、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、更に好ましくは1.0以上である。本発明では、隣接する多葉型単糸の凹部と凸部が噛合うことにより、洗濯しても、多葉型単糸の移動が制限されているため、洗濯による通気度変化率を前記範囲に調整することが可能となる。特に、通気度L0が20〜30cm3/cm2・sの高通気織物の場合には、洗濯による通気度変化率は、好ましくは1.0以上1.5以下である。通気度変化率が前記範囲内であれば、洗濯により過度に織物が高通気になることを抑制でき、これにより保温性やダウンプルーフ性が維持されるため好ましい。
本発明に係る織物のペンジュラム法による引裂強力は特に限定されないが、経方向及び緯方向のいずれも6N以上であることが好ましく、7N以上であることがより好ましく、10N以上であることが更に好ましく、50N以下であることが好ましく、40N以下であることがより好ましく、30N以下であることが更に好ましい。織物の引裂強力を前記範囲にすることにより、軽量薄地で必要な引裂強力を有する織物が得られる。一方、引裂強力が6Nより小さいと、用途によっては織物の引裂強力が不足する場合がある。また、50Nを超えると繊度を大きくする必要があり、それに伴って、生地が分厚く硬いものになりやすいため好ましくない。
なお、織物の引裂強力は、JIS L 1096 8.17.4に規定されている引裂強さD法(ペンジュラム法)に準拠して測定できる。
JIS L1096 8.23.1(B法)による12kg(117.6N)荷重下での織物の滑脱抵抗値は、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。滑脱抵抗値を前記範囲内に調整することにより、メヨレのない織物が得られるようになる。
<用途>
本発明によれば、高通気であって、洗濯による通気度変化率の小さな織物が提供される。このため本発明の織物を含む製品としては、実用性に優れた、スポーツウェア、ダウンウェア、アウトドアウェア、カジュアルウェア、コーティングまたはラミネート加工されていてもよい雨衣、コーティングまたはラミネート加工されていてもよいウィンドブレーカー等の衣料(好ましくは上着);寝袋、布団等の寝具;コーティングまたはラミネート加工されていてもよい鞄等;等が例示される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<各種測定方法>
繊度;JIS L 1013 8.3.1A法に準拠する。
切断強度(破断強度);JIS L 1013 8.5.1法に準拠する。
切断伸度(破断伸度);JIS L 1013 8.5.1法に準拠する。
伸縮伸張率;JIS L 1013 8.11A法に準拠する。
織物の目付;JIS L 1096 8.3.2A法に準拠する。
織物の密度;JIS L 1096 8.6.1A法に準拠する。
織物の伸び率;JIS L 1096 8.16.1B法に準拠する。
<相対粘度(RV)>
96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸中にポリマー濃度が10mg/mlになるように試料を溶解させてサンプル溶液を調製した。20℃±0.05℃の温度で水落下秒数が6秒から7秒のオストワルド粘度計を用い、20℃±0.05℃の温度で、調製したサンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)及び試料を溶解するのに用いた96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸20mlの落下時間T0(秒)を、それぞれ測定した。使用する樹脂の相対粘度(RV)は下記の式により算出する。
相対粘度(RV)=T1/T0
<単糸群Aの比率>
(1)走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を使い、織物中の経方向或いは緯方向に含まれる合繊マルチフィラメントに垂直な断面を撮影する。撮影したSEM写真から、任意の5本の合繊マルチフィラメントを選定する。
(2)各合繊マルチフィラメントにおいて、1本の合繊マルチフィラメントに含まれる多葉型単糸を、単糸群Aまたは単糸群Bに分類する。
〔単糸群A〕
隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する多葉型単糸
〔単糸群B〕
隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない多葉型単糸
(3)5本の合繊マルチフィラメントそれぞれにおいて、単糸群Aに分類された多葉型単糸の総本数(nA)及び単糸群Bに分類された多葉型単糸の総本数(nB)から、下記式に基づき、1本の合繊マルチフィラメント中の単糸群Aの比率を測定する。
単糸群Aの比率(%)=nA/(nA+nB)×100
なお図2において、1本の合繊マルチフィラメント中の単糸群Aの比率は、77.8%(=7/(7+2)×100)である。
(4)(3)で得られた単糸群Aの比率を、測定した5本の合繊マルチフィラメントで平均して評価する。
<最大接触長>
「単糸群Aの比率」の測定において選定された任意の5本の合繊マルチフィラメントを測定対象とする。各合繊マルチフィラメントの中から、隣接する多葉型単糸との接触長が最大の接触部を選び、各合繊マルチフィラメントにおける接触長の最大値を5本の合繊マルチフィラメントで平均して最大接触長とする。
<異型度>
多葉型単糸の凸部の中心点Pから凸部における丸み部分までの最長距離をD1とし、多葉型単糸の凹部の中心点Qから凹部における丸み部分までの最長距離をD2としたときに、多葉型単糸の異型度はこれらの比D1/D2で定義される。異型度は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を用いて織物に垂直な方向の断面SEM写真を撮影し、撮影したSEM写真から変形の少ない任意の多葉型単糸を5本選定して単糸毎に異型度を求め、これら5本の平均値を以って評価する。
なお凸部の中心点Pは、多葉型単糸の繊維横断面の外部にあって、全ての凸部頂点をその中に内包する円のうち、直径が最小である円Aの中心(すなわち、最長の凸部頂点と次いで長い凸部頂点を通る外接円の直径の中心)である。また、凹部の中心点Qは、多葉型単糸の繊維横断面の内部にあって、多葉型単糸の繊維横断面の外形と交差しない円のうち、直径が最大である円Bの中心(すなわち、最長の凹部低点と次いで長い凹部低点を通る内接円の直径の中心)である。図1の多葉型単糸は、凸部の中心点Pと凹部の中心点Qが同じ位置にある例を示すものであるが、カレンダー加工により、凸部の中心点Pと凹部の中心点Qが異なる位置になる場合もある。
<凸部高さ>
多葉型単糸の凸部高さは、多葉型単糸の凸部の中心点Pから凸部における丸み部分までの最長距離D1と、多葉型単糸の凹部の中心点Qから凹部における丸み部分までの最長距離D2との差(すなわち、D1−D2)で定義する。凸部高さは、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を用いて織物に垂直な方向の断面SEM写真を撮影し、撮影したSEM写真から変形の少ない任意の多葉型単糸を5本選定して単糸毎に凸部高さを求め、これら5本の平均値を以って評価する。
<凸部における丸み部分の直径(R1)と凹部における丸み部分の直径(R2)>
直径(R1)及び直径(R2)はそれぞれ、丸みのある凸部と凹部を測定対象とする。測定に際しては、1本の多葉型単糸に含まれる凸部及び凹部のうち、カレンダー加工により平坦化されていない凸部及び凹部を測定する。
図1の多葉型単糸に、凸部における丸み部分の直径(R1)と凹部における丸み部分の直径(R2)の測定箇所を例示する。直径(R1)は、一個の凸部の外周を出来る限り多く含む最大円の直径とし、直径(R2)は、一個の凹部の外周を出来る限り多く含む最大円の直径とする。直径(R1)及び直径(R2)は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を用いて織物に垂直な方向の断面SEM写真を撮影し、撮影したSEM写真から変形の少ない任意の多葉型単糸を5本選定して単糸毎に直径(R1)及び直径(R2)を求め、これら5本の平均値を以って評価する。
<直径(R2)に対する直径(R1)比>
上記方法により測定された直径(R1)及び直径(R2)を用い、直径(R1)/直径(R2)により評価する。
<カバーファクター>
織物のカバーファクター(CF)は、下記の式により計算した。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
[式中、TおよびWは織物の経密度および緯密度(本/2.54cm)を示し、DTおよびDWは織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。]
<洗濯前の通気度L0及び洗濯3回後の通気度L3
洗濯前及び3回洗濯後の織物の通気度は、JIS L 1096 8.26.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
織物の洗濯は、JIS L 0217 103法に規定される条件に準拠して実施した。「洗濯3回後」とは、洗濯−脱水−乾燥を3回繰り返した後の測定結果である。なお乾燥はライン乾燥で行った。
<織物の風合>
比較例1の風合(柔らかさの程度)を「A」とし、比較例2の風合を「C」としたときに、5人のベテランの評価者が得られた織物を触って、以下の3段階の評価を行った。
A:非常にソフト、B:ややソフト、C:やや硬い
<織物の品位>
比較例1の品位(イラツキの程度)を「A」とし、比較例2の品位を「C」としたときに、5人のベテランの評価者が得られた織物を目視して、以下の3段階の評価を行った。
A:良(イラツキがない)、B:やや良(ややイラツキがある)、
C:不良(イラツキが目立つ)
<総合評価>
各性能評価は、以下を合格の基準とした。
・洗濯3回後の通気度…30cm3/cm2・s以下が合格
・洗濯による通気度変化率…1.8以下が合格
・織物の品位…B以上が合格
・織物の風合…B以上が合格
総合評価では、上記の全てで「合格」だったものを「総合評価の合格」とし、上記のうち一つでも不合格があれば「総合評価の不合格」とした。
実施例1
6葉断面を有する多葉型単糸からなるブライトナイロン6の22dtex、20フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.4cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)を経糸及び緯糸に用いて、生機密度を経170本/2.54cm、緯168本/2.54cm(カバーファクターは1585)としてタフタ組織(平組織)で製織した。
得られた生機を常法に従ってオープンソーパーを用いて精錬、ピンテンターを用いてプレセットし、液流染色機(日阪製作所製:サーキュラーNS)を用い、酸性染料で濃紺に染色した後中間セットした。中間セット後、非フッ素系撥水剤にて撥水処理を行い、その後、速度20m/分でカレンダー加工を織物の片面に1回施した。得られた織物のカバーファクターは1680(経180本/2.54cm、緯178本/2.54cm)、目付は38g/m2であった。織物中の多葉型単糸の形状及び織物の特性を表に示す。多葉型単糸の形状はカレンダー加工により少し変形したものの、カレンダー加工後の数値はカレンダー前と極近似であった。
実施例2〜3
多葉型単糸の形状を変更したこと以外は実施例1と同様にして織物を得た。
実施例4
カレンダー加工条件を変更したこと以外は実施例1と同様にして織物を得た。得られた織物はソフトな風合を有しており、実施例1で得られた織物よりも低通気度であり、通気度変化率も小さかった。
実施例5〜6
8葉断面を有する多葉型単糸からなるブライトナイロン6の22dtex、20フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.4cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)を経糸及び緯糸に用いてタフタ組織(平組織)で製織したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例7〜10
フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.4cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)に含まれる多葉型単糸の断面形状を、実施例7では10葉断面、実施例8では5葉断面、実施例9では4葉断面、実施例10では3葉断面にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例11〜13
フィラメント糸の総繊度、単糸繊度、フィラメント数を表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例14
カバーファクターを変更し、カレンダー加工を省略したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た(経215本/2.54cm、緯190本/2.54cm、目付43.0g/m2)。風合は若干硬くなったものの、カレンダー加工を省略しても、多葉型単糸における凸部と凹部の拘束力により、洗濯後の通気度変化率の小さな織物が得られた。
実施例15〜16
6葉断面を有する多葉型単糸からなるナイロン66の22dtex、20フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.8cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)を、ピン仮撚機(三菱重工社製「ST−6」)にて、下記の条件で仮撚加工し、伸縮伸長率218%の仮撚加工糸を得た。該仮撚加工糸を経糸及び緯糸に用いてタフタ組織(平組織)で製織した。カレンダー加工を表に示す条件で実施したが、それ以外の操作は実施例1と同様にして織物を得た。得られた織物の織密度は、経232本/2.54cm、緯198本/2.54cm(実施例15)、経220本/2.54cm、緯198本/2.54cm(実施例16)、目付は、45.6g/m2(実施例15)、43.3g/m2(実施例16)であり、織物の緯方向の伸び率は、9.6%(実施例15)、7.4%(実施例16)であった。
〔仮撚条件〕
・仮撚数:5100tpm
・仮撚温度:215℃
・仮撚速度:65m/分
・スピナー捲数:1回
比較例1
多葉型単糸の断面形状を図8(a)に示すような丸断面に変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。丸断面単糸を用いたため、風合は最もソフトであったが、単糸群Aの比率が低いため、洗濯後の通気度変化率が高くなった。
比較例2
多葉型単糸の断面形状を図9(c)に極近似の5葉断面としたこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。多葉型単糸の異型度が大きいため、凸部高さが高くなってしまい、多葉型単糸間の隙間が増大したことにより、洗濯後の通気度変化率は大きくなった。またカレンダー加工により、多葉型単糸の凸部が潰れて平坦化したため、織物の風合は固く、イラツキも生じた。
比較例3
多葉型単糸の断面形状を図9(e)に極近似の5葉断面としたこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。この多葉型単糸では、隣接する多葉型単糸の凹部と凸部がうまく噛合うことができなかったため、結果として単糸群Aの比率が0%となった。そのため、洗濯中に多葉型単糸が容易に分離し、洗濯後の通気度変化率は2倍を超えていた。また、この多葉型単糸はごつごつした触感を生じるため、評価者は硬い風合を感じた。
比較例4
カレンダー加工を同一面に2回施したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。カレンダー加工を2回実施したことにより、織物中には単糸群Aのみが形成されたため、低通気の織物となった。
比較例5
多葉型単糸の断面形状を図8(a)に示すような丸断面に変更したこと以外は、実施例15と同様にして織物を得た。丸断面単糸を用いたため、風合はソフトであったが、単糸群Aの比率が低いため、洗濯後の通気度変化率が高くなった。
比較例6
カレンダー加工温度を190℃とし、カレンダー加工を同一面に2回施したこと以外は、比較例1と同様にして織物を得た。カレンダー加工条件を厳しくしたことにより、比較例6の織物は実施例と同等の最大接触長を有した。しかしながら、単糸の断面形状が丸であるため、実施例の織物と比べると、洗濯後の通気度変化率を小さくする効果は不十分であった。
Figure 0006599844
Figure 0006599844
なお実施例1〜16における単糸群Aの比率の測定に際しては、測定した5本の合繊マルチフィラメント全てにおいて、単糸群Aの比率は20%以上95%以下を満足していた。
1、L2:接触長
1:凸部における丸み部分の直径
2:凹部における丸み部分の直径
1:多葉型単糸の凸部の中心点Pから凸部における丸み部分までの最長距離
2:多葉型単糸の凹部の中心点Qから凹部における丸み部分までの最長距離
a、b、c、d、e、f、g、h、i:多葉型単糸
円1〜7:隣接する多葉型単糸と2μm以上の接触長を有さない接触部

Claims (9)

  1. 合繊マルチフィラメントから構成される織物であって、
    前記合繊マルチフィラメントが、異型度が1.2以上2.0以下であり、繊維横断面の外形に3〜12個ずつの凸部と凹部を有する多葉型単糸を含み、
    前記多葉型単糸の単糸繊度が0.5dtex以上2.5dtex以下であり、
    隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する単糸群A、及び
    隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない単糸群Bを有し、
    前記単糸群Aが、単糸群A及び単糸群Bに含まれる多葉型単糸の総本数のうち、20%以上95%以下であり、
    洗濯前の通気度L 0 が1.5cm 3 /cm 2 ・s以上30cm 3 /cm 2 ・s以下であることを特徴とする織物。
  2. 前記多葉型単糸は、隣り合う多葉型単糸と、凸部及び/又は凹部で、曲線的及び/又は直線的に接している請求項1に記載の織物。
  3. カバーファクターが1450以上2200以下である請求項1または2に記載の織物。
  4. 記合繊マルチフィラメントの総繊度が6dtex以上67dtex以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の織物。
  5. 濯前の通気度L0に対する洗濯3回後の通気度L3の比率(L3/L0)が0.8以上1.8以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の織物。
  6. 前記多葉型単糸の凸部高さが1.0μm以上4.5μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の織物。
  7. 凹部における丸み部分の直径(R2)に対する凸部における丸み部分の直径(R1)の比率(R1/R2)が0.5以上2.0以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の織物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の織物を含む衣料。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の織物を含む寝具。
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