JP6599844B2 - 洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 - Google Patents
洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6599844B2 JP6599844B2 JP2016249729A JP2016249729A JP6599844B2 JP 6599844 B2 JP6599844 B2 JP 6599844B2 JP 2016249729 A JP2016249729 A JP 2016249729A JP 2016249729 A JP2016249729 A JP 2016249729A JP 6599844 B2 JP6599844 B2 JP 6599844B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- single yarn
- type single
- leaf type
- less
- fabric
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
Description
〔理由1〕ダウンジャケットや雨衣に用いられる低通気織物は、一般的に、織物を高密度化できるよう丸断面の単糸から構成される。これらの織物を高通気化する場合、取りうる手法としては、カバーファクターを小さくするか、或いは、カレンダー加工条件を弱くすることが考えられる。しかしカバーファクターを小さくしたり、カレンダー加工条件を弱くすることにより、単糸間の拘束力が弱まり、洗濯時の揉みにより織物中の丸断面単糸が動いてしまい、洗濯後には通気度が大幅に上昇するものと推察される。
〔理由2〕織物が、特にナイロン製の場合には、洗濯時に単糸が膨潤し、その後の乾燥により単糸が収縮することで、単糸間に隙間が生じるものと推察される。
〔理由3〕織物が、特に仮撚加工糸から構成されている場合には、仮撚加工糸の捲縮により単糸間に隙間の多い構成となっており、洗濯前の通気度も高いが、洗濯による通気度変化率も高くなるものと推察される。
[1]合繊マルチフィラメントから構成される織物であって、前記合繊マルチフィラメントが、異型度が1.2以上2.0以下であり、繊維横断面の外形に3〜12個ずつの凸部と凹部を有する多葉型単糸を含み、隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する単糸群A、及び隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない単糸群Bを有し、前記単糸群Aが、単糸群A及び単糸群Bに含まれる多葉型単糸の総本数のうち、20%以上95%以下であることを特徴とする織物。
[2]前記多葉型単糸は、隣り合う多葉型単糸と、凸部及び/又は凹部で、曲線的及び/又は直線的に接している[1]に記載の織物。
[3]カバーファクターが1450以上2200以下である[1]または[2]に記載の織物。
[4]前記多葉型単糸の単糸繊度が0.5dtex以上2.5dtex以下、前記合繊マルチフィラメントの総繊度が6dtex以上67dtex以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の織物。
[5]洗濯前の通気度L0が1.5cm3/cm2・s以上30cm3/cm2・s以下であり、洗濯前の通気度L0に対する洗濯3回後の通気度L3の比率(L3/L0)が0.8以上1.8以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の織物。
[6]前記多葉型単糸の凸部高さが1.0μm以上4.5μm以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の織物。
[7]凹部における丸み部分の直径(R2)に対する凸部における丸み部分の直径(R1)の比率(R1/R2)が0.5以上2.0以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の織物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の織物を含む衣料。
[9][1]〜[7]のいずれかに記載の織物を含む寝具。
本発明では、隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する多葉型単糸の群を単糸群Aとして定義する。接触長とは、具体的には、図1に示すL1及びL2のように、繊維横断面において隣接する多葉型単糸同士が接触する部分の長さを言う。単糸群Aに分類される多葉型単糸は、隣接する多葉型単糸との接触長が長いため、織物における空気の通過を阻害でき、織物の低通気化に寄与する。また隣接する多葉型単糸との接触長が長くなることは、換言すれば、隣接する多葉型単糸の凹部と凸部の噛合いが深いことを意味する。そのため、単糸群Aの存在により、洗濯しても、多葉型単糸が移動しにくい構造が維持され、結果として、織物の洗濯後の通気度変化率を小さくすることができる。単糸群Aにおける隣接する多葉型単糸との接触長の上限は、好ましくは7μm以下である。
同様に、図3〜図7に示す織物の概略断面図においても、多葉型単糸を単糸群A及び単糸群Bにそれぞれ分類すると以下の通りとなる。
なお本発明では、単糸群Aの比率の測定に際して、測定した5本の合繊マルチフィラメント全てにおいて、単糸群Aの比率が前記範囲を満足していることが好ましい。測定した全ての合繊マルチフィラメントで単糸群Aの比率が前記範囲内であれば、織物全体に亘って単糸群Aと単糸群Bが適切な割合で略均一に存在していると言えるため、洗濯時の揉みにより多少多葉型単糸が移動しても、通気度が大きく変化する場所の発生を抑制することができる。これはダウンプルーフ性の観点からは非常に有効である。
多葉型単糸は、隣り合う多葉型単糸と、凸部及び/又は凹部で、曲線的及び/又は直線的に(より好ましくは曲線的に)接していることが好ましい。多葉型単糸の接触状態をこのような構成とすることで、洗濯後であっても通気度変化率が小さい織物を得やすくなる。特に、隣り合う多葉型単糸が曲線的に接していれば、多葉型単糸が、外力に対して単糸同士の拘束を維持したまま動き易くなるため、織物をソフトに仕上げる際には有効である。一方、隣り合う多葉型単糸が直線的に接することは、一般的にカレンダー加工条件が過酷すぎる場合に生じる現象であるので、直線的な接触部は、織物の一部に存在していてもよいが、全体に亘って存在することは、織物の低通気化に繋がるため好ましくない。
多葉型単糸とは、繊維横断面の外形に3〜12個ずつの凸部と凹部を有するモノフィラメントである。多葉型単糸であれば、隣接する単糸同士の凹部と凸部が噛合い、凹部と凸部が面接触できるため、織物における空気の通過を阻害できる。また隣接する多葉型単糸の凹部と凸部が噛合えば、洗濯しても、多葉型単糸が移動しにくくその噛合い構造が維持されるため、洗濯後の通気度変化率を小さくすることができる。
前記ポリエステル類の樹脂の相対粘度は、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.70以上であり、好ましくは1.00以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.90以下である。
本発明では低異型度の多葉型単糸を使用するため、高異型度の単糸の製造に用いられる相対粘度の高い樹脂を採用しなくても、相対粘度が前記範囲内であれば、繊維横断面が明瞭な多葉型である単糸を製糸できる。また相対粘度が前記範囲内であれば、適当な破断強度と破断伸度を有する多葉型単糸を製造でき、単糸の破断強度不足に起因する製品の引裂強力及び破断強度の低下、並びに、単糸の破断伸度不足に起因する加工操業性の悪化及び製品耐久性の悪化を回避できる。加えて、相対粘度が前記範囲内であれば、カレンダー加工を施したとしても、カレンダー加工による多葉型単糸の変形が抑制され、多葉型単糸同士の噛み合いが促進されやすく、カレンダー条件(例えば、温度や圧力)を過酷にしなくても、少ないカレンダー回数で耐久性が高く低通気度の織物を得やすくなるため好ましい。
合繊マルチフィラメントは、本発明に係る織物の経糸及び/又は緯糸として用いられ、前記多葉型単糸を複数含有する。合繊マルチフィラメントの総繊度は、好ましくは6dtex以上、より好ましくは8dtex以上、更に好ましくは10dtex以上、より更に好ましくは15dtex以上であり、好ましくは67dtex以下、より好ましくは56dtex以下、更に好ましくは45dtex以下、より更に好ましくは35dtex以下である。合繊マルチフィラメントの総繊度を前記範囲内に調整することにより、製糸がスムーズなものとなり、また低目付の織物を得易くなるため好ましい。
織物の織組織は特に限定されるものではなく、平組織、綾組織、朱子組織など任意の組織を用いることができ、中でも無地感と軽量性の観点から、平組織が好ましく用いられる。さらに、優れたデザイン性及び高引裂強力の観点からは、織組織はリップストップタフタが好ましい。
また織物の緯密度は、例えば、80本/2.54cm以上が好ましく、100本/2.54cm以上がより好ましく、400本/2.54cm以下が好ましく、350本/2.54cm以下がより好ましく、250本/2.54cm以下が更に好ましい。なお、生機密度と仕上密度は同一であっても異なっていてもよい。
織密度を前記範囲内に調整することにより、単糸群A及び単糸群Bの存在比率を適切な範囲に調整することが可能となる。
なお前記平坦部は、具体的には、織物表面に形成される押圧部であるから、織物中の隣り合う多葉型単糸同士が直線的に接している部分は平坦部には数えない。
平坦部の幅は、例えば、走査型電子顕微鏡を使い、織物表面に存在する任意の2本の多葉型単糸を選定し、凸部に形成された平坦部の幅の最大値を以って評価できる。
織物のカバーファクターは、好ましくは1450以上、より好ましくは1500以上、更に好ましくは1550以上であり、好ましくは2200以下、より好ましくは2100以下、更に好ましくは2000以下、より更に好ましくは1900以下である。カバーファクターを前記範囲内に調整することにより、滑脱抵抗力が高く、メヨレがなく、更には軽量で柔らかな風合を有する高通気性の織物を得やすくなる。
なお、織物の引裂強力は、JIS L 1096 8.17.4に規定されている引裂強さD法(ペンジュラム法)に準拠して測定できる。
本発明によれば、高通気であって、洗濯による通気度変化率の小さな織物が提供される。このため本発明の織物を含む製品としては、実用性に優れた、スポーツウェア、ダウンウェア、アウトドアウェア、カジュアルウェア、コーティングまたはラミネート加工されていてもよい雨衣、コーティングまたはラミネート加工されていてもよいウィンドブレーカー等の衣料(好ましくは上着);寝袋、布団等の寝具;コーティングまたはラミネート加工されていてもよい鞄等;等が例示される。
繊度;JIS L 1013 8.3.1A法に準拠する。
切断強度(破断強度);JIS L 1013 8.5.1法に準拠する。
切断伸度(破断伸度);JIS L 1013 8.5.1法に準拠する。
伸縮伸張率;JIS L 1013 8.11A法に準拠する。
織物の目付;JIS L 1096 8.3.2A法に準拠する。
織物の密度;JIS L 1096 8.6.1A法に準拠する。
織物の伸び率;JIS L 1096 8.16.1B法に準拠する。
96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸中にポリマー濃度が10mg/mlになるように試料を溶解させてサンプル溶液を調製した。20℃±0.05℃の温度で水落下秒数が6秒から7秒のオストワルド粘度計を用い、20℃±0.05℃の温度で、調製したサンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)及び試料を溶解するのに用いた96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸20mlの落下時間T0(秒)を、それぞれ測定した。使用する樹脂の相対粘度(RV)は下記の式により算出する。
相対粘度(RV)=T1/T0
(1)走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を使い、織物中の経方向或いは緯方向に含まれる合繊マルチフィラメントに垂直な断面を撮影する。撮影したSEM写真から、任意の5本の合繊マルチフィラメントを選定する。
(2)各合繊マルチフィラメントにおいて、1本の合繊マルチフィラメントに含まれる多葉型単糸を、単糸群Aまたは単糸群Bに分類する。
〔単糸群A〕
隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する多葉型単糸
〔単糸群B〕
隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない多葉型単糸
(3)5本の合繊マルチフィラメントそれぞれにおいて、単糸群Aに分類された多葉型単糸の総本数(nA)及び単糸群Bに分類された多葉型単糸の総本数(nB)から、下記式に基づき、1本の合繊マルチフィラメント中の単糸群Aの比率を測定する。
単糸群Aの比率(%)=nA/(nA+nB)×100
なお図2において、1本の合繊マルチフィラメント中の単糸群Aの比率は、77.8%(=7/(7+2)×100)である。
(4)(3)で得られた単糸群Aの比率を、測定した5本の合繊マルチフィラメントで平均して評価する。
「単糸群Aの比率」の測定において選定された任意の5本の合繊マルチフィラメントを測定対象とする。各合繊マルチフィラメントの中から、隣接する多葉型単糸との接触長が最大の接触部を選び、各合繊マルチフィラメントにおける接触長の最大値を5本の合繊マルチフィラメントで平均して最大接触長とする。
多葉型単糸の凸部の中心点Pから凸部における丸み部分までの最長距離をD1とし、多葉型単糸の凹部の中心点Qから凹部における丸み部分までの最長距離をD2としたときに、多葉型単糸の異型度はこれらの比D1/D2で定義される。異型度は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を用いて織物に垂直な方向の断面SEM写真を撮影し、撮影したSEM写真から変形の少ない任意の多葉型単糸を5本選定して単糸毎に異型度を求め、これら5本の平均値を以って評価する。
なお凸部の中心点Pは、多葉型単糸の繊維横断面の外部にあって、全ての凸部頂点をその中に内包する円のうち、直径が最小である円Aの中心(すなわち、最長の凸部頂点と次いで長い凸部頂点を通る外接円の直径の中心)である。また、凹部の中心点Qは、多葉型単糸の繊維横断面の内部にあって、多葉型単糸の繊維横断面の外形と交差しない円のうち、直径が最大である円Bの中心(すなわち、最長の凹部低点と次いで長い凹部低点を通る内接円の直径の中心)である。図1の多葉型単糸は、凸部の中心点Pと凹部の中心点Qが同じ位置にある例を示すものであるが、カレンダー加工により、凸部の中心点Pと凹部の中心点Qが異なる位置になる場合もある。
多葉型単糸の凸部高さは、多葉型単糸の凸部の中心点Pから凸部における丸み部分までの最長距離D1と、多葉型単糸の凹部の中心点Qから凹部における丸み部分までの最長距離D2との差(すなわち、D1−D2)で定義する。凸部高さは、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を用いて織物に垂直な方向の断面SEM写真を撮影し、撮影したSEM写真から変形の少ない任意の多葉型単糸を5本選定して単糸毎に凸部高さを求め、これら5本の平均値を以って評価する。
直径(R1)及び直径(R2)はそれぞれ、丸みのある凸部と凹部を測定対象とする。測定に際しては、1本の多葉型単糸に含まれる凸部及び凹部のうち、カレンダー加工により平坦化されていない凸部及び凹部を測定する。
図1の多葉型単糸に、凸部における丸み部分の直径(R1)と凹部における丸み部分の直径(R2)の測定箇所を例示する。直径(R1)は、一個の凸部の外周を出来る限り多く含む最大円の直径とし、直径(R2)は、一個の凹部の外周を出来る限り多く含む最大円の直径とする。直径(R1)及び直径(R2)は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−6610型)を用いて織物に垂直な方向の断面SEM写真を撮影し、撮影したSEM写真から変形の少ない任意の多葉型単糸を5本選定して単糸毎に直径(R1)及び直径(R2)を求め、これら5本の平均値を以って評価する。
上記方法により測定された直径(R1)及び直径(R2)を用い、直径(R1)/直径(R2)により評価する。
織物のカバーファクター(CF)は、下記の式により計算した。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
[式中、TおよびWは織物の経密度および緯密度(本/2.54cm)を示し、DTおよびDWは織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。]
洗濯前及び3回洗濯後の織物の通気度は、JIS L 1096 8.26.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
織物の洗濯は、JIS L 0217 103法に規定される条件に準拠して実施した。「洗濯3回後」とは、洗濯−脱水−乾燥を3回繰り返した後の測定結果である。なお乾燥はライン乾燥で行った。
比較例1の風合(柔らかさの程度)を「A」とし、比較例2の風合を「C」としたときに、5人のベテランの評価者が得られた織物を触って、以下の3段階の評価を行った。
A:非常にソフト、B:ややソフト、C:やや硬い
比較例1の品位(イラツキの程度)を「A」とし、比較例2の品位を「C」としたときに、5人のベテランの評価者が得られた織物を目視して、以下の3段階の評価を行った。
A:良(イラツキがない)、B:やや良(ややイラツキがある)、
C:不良(イラツキが目立つ)
各性能評価は、以下を合格の基準とした。
・洗濯3回後の通気度…30cm3/cm2・s以下が合格
・洗濯による通気度変化率…1.8以下が合格
・織物の品位…B以上が合格
・織物の風合…B以上が合格
総合評価では、上記の全てで「合格」だったものを「総合評価の合格」とし、上記のうち一つでも不合格があれば「総合評価の不合格」とした。
6葉断面を有する多葉型単糸からなるブライトナイロン6の22dtex、20フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.4cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)を経糸及び緯糸に用いて、生機密度を経170本/2.54cm、緯168本/2.54cm(カバーファクターは1585)としてタフタ組織(平組織)で製織した。
得られた生機を常法に従ってオープンソーパーを用いて精錬、ピンテンターを用いてプレセットし、液流染色機(日阪製作所製:サーキュラーNS)を用い、酸性染料で濃紺に染色した後中間セットした。中間セット後、非フッ素系撥水剤にて撥水処理を行い、その後、速度20m/分でカレンダー加工を織物の片面に1回施した。得られた織物のカバーファクターは1680(経180本/2.54cm、緯178本/2.54cm)、目付は38g/m2であった。織物中の多葉型単糸の形状及び織物の特性を表に示す。多葉型単糸の形状はカレンダー加工により少し変形したものの、カレンダー加工後の数値はカレンダー前と極近似であった。
多葉型単糸の形状を変更したこと以外は実施例1と同様にして織物を得た。
カレンダー加工条件を変更したこと以外は実施例1と同様にして織物を得た。得られた織物はソフトな風合を有しており、実施例1で得られた織物よりも低通気度であり、通気度変化率も小さかった。
8葉断面を有する多葉型単糸からなるブライトナイロン6の22dtex、20フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.4cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)を経糸及び緯糸に用いてタフタ組織(平組織)で製織したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.4cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)に含まれる多葉型単糸の断面形状を、実施例7では10葉断面、実施例8では5葉断面、実施例9では4葉断面、実施例10では3葉断面にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
フィラメント糸の総繊度、単糸繊度、フィラメント数を表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
カバーファクターを変更し、カレンダー加工を省略したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た(経215本/2.54cm、緯190本/2.54cm、目付43.0g/m2)。風合は若干硬くなったものの、カレンダー加工を省略しても、多葉型単糸における凸部と凹部の拘束力により、洗濯後の通気度変化率の小さな織物が得られた。
6葉断面を有する多葉型単糸からなるナイロン66の22dtex、20フィラメント糸(レジン相対粘度:3.5、単糸の破断強度:5.8cN/dtex、破断伸度:48%、単糸形状は表に示される数字に極近似)を、ピン仮撚機(三菱重工社製「ST−6」)にて、下記の条件で仮撚加工し、伸縮伸長率218%の仮撚加工糸を得た。該仮撚加工糸を経糸及び緯糸に用いてタフタ組織(平組織)で製織した。カレンダー加工を表に示す条件で実施したが、それ以外の操作は実施例1と同様にして織物を得た。得られた織物の織密度は、経232本/2.54cm、緯198本/2.54cm(実施例15)、経220本/2.54cm、緯198本/2.54cm(実施例16)、目付は、45.6g/m2(実施例15)、43.3g/m2(実施例16)であり、織物の緯方向の伸び率は、9.6%(実施例15)、7.4%(実施例16)であった。
〔仮撚条件〕
・仮撚数:5100tpm
・仮撚温度:215℃
・仮撚速度:65m/分
・スピナー捲数:1回
多葉型単糸の断面形状を図8(a)に示すような丸断面に変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。丸断面単糸を用いたため、風合は最もソフトであったが、単糸群Aの比率が低いため、洗濯後の通気度変化率が高くなった。
多葉型単糸の断面形状を図9(c)に極近似の5葉断面としたこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。多葉型単糸の異型度が大きいため、凸部高さが高くなってしまい、多葉型単糸間の隙間が増大したことにより、洗濯後の通気度変化率は大きくなった。またカレンダー加工により、多葉型単糸の凸部が潰れて平坦化したため、織物の風合は固く、イラツキも生じた。
多葉型単糸の断面形状を図9(e)に極近似の5葉断面としたこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。この多葉型単糸では、隣接する多葉型単糸の凹部と凸部がうまく噛合うことができなかったため、結果として単糸群Aの比率が0%となった。そのため、洗濯中に多葉型単糸が容易に分離し、洗濯後の通気度変化率は2倍を超えていた。また、この多葉型単糸はごつごつした触感を生じるため、評価者は硬い風合を感じた。
カレンダー加工を同一面に2回施したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。カレンダー加工を2回実施したことにより、織物中には単糸群Aのみが形成されたため、低通気の織物となった。
多葉型単糸の断面形状を図8(a)に示すような丸断面に変更したこと以外は、実施例15と同様にして織物を得た。丸断面単糸を用いたため、風合はソフトであったが、単糸群Aの比率が低いため、洗濯後の通気度変化率が高くなった。
カレンダー加工温度を190℃とし、カレンダー加工を同一面に2回施したこと以外は、比較例1と同様にして織物を得た。カレンダー加工条件を厳しくしたことにより、比較例6の織物は実施例と同等の最大接触長を有した。しかしながら、単糸の断面形状が丸であるため、実施例の織物と比べると、洗濯後の通気度変化率を小さくする効果は不十分であった。
R1:凸部における丸み部分の直径
R2:凹部における丸み部分の直径
D1:多葉型単糸の凸部の中心点Pから凸部における丸み部分までの最長距離
D2:多葉型単糸の凹部の中心点Qから凹部における丸み部分までの最長距離
a、b、c、d、e、f、g、h、i:多葉型単糸
円1〜7:隣接する多葉型単糸と2μm以上の接触長を有さない接触部
Claims (9)
- 合繊マルチフィラメントから構成される織物であって、
前記合繊マルチフィラメントが、異型度が1.2以上2.0以下であり、繊維横断面の外形に3〜12個ずつの凸部と凹部を有する多葉型単糸を含み、
前記多葉型単糸の単糸繊度が0.5dtex以上2.5dtex以下であり、
隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有する単糸群A、及び
隣接する多葉型単糸との接触長が2μm以上である接触部を有しない単糸群Bを有し、
前記単糸群Aが、単糸群A及び単糸群Bに含まれる多葉型単糸の総本数のうち、20%以上95%以下であり、
洗濯前の通気度L 0 が1.5cm 3 /cm 2 ・s以上30cm 3 /cm 2 ・s以下であることを特徴とする織物。 - 前記多葉型単糸は、隣り合う多葉型単糸と、凸部及び/又は凹部で、曲線的及び/又は直線的に接している請求項1に記載の織物。
- カバーファクターが1450以上2200以下である請求項1または2に記載の織物。
- 前記合繊マルチフィラメントの総繊度が6dtex以上67dtex以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の織物。
- 洗濯前の通気度L0に対する洗濯3回後の通気度L3の比率(L3/L0)が0.8以上1.8以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の織物。
- 前記多葉型単糸の凸部高さが1.0μm以上4.5μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の織物。
- 凹部における丸み部分の直径(R2)に対する凸部における丸み部分の直径(R1)の比率(R1/R2)が0.5以上2.0以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の織物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の織物を含む衣料。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の織物を含む寝具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016249729A JP6599844B2 (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016249729A JP6599844B2 (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018104830A JP2018104830A (ja) | 2018-07-05 |
JP6599844B2 true JP6599844B2 (ja) | 2019-10-30 |
Family
ID=62784532
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016249729A Active JP6599844B2 (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6599844B2 (ja) |
-
2016
- 2016-12-22 JP JP2016249729A patent/JP6599844B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018104830A (ja) | 2018-07-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4563487B2 (ja) | 織物 | |
JP5527897B2 (ja) | 薄地織物 | |
JP5620761B2 (ja) | 高密度織物 | |
KR100386006B1 (ko) | 안감 및 그 제조방법 | |
WO2017104338A1 (ja) | 面ファスナーおよび繊維製品 | |
JP6469950B2 (ja) | しみ防止布帛および繊維製品 | |
JP5272855B2 (ja) | 織物 | |
JP6170028B2 (ja) | ボーダー織物 | |
JP6517172B2 (ja) | 織物の製造方法 | |
JP6346363B1 (ja) | 織物 | |
JP4584762B2 (ja) | 裏地用織物 | |
JP6599844B2 (ja) | 洗濯による通気度変化率が小さい高通気性織物 | |
JP5833269B1 (ja) | 通気性を有する軽量高密度織物 | |
JP5770983B2 (ja) | 側地用織物および繊維製品 | |
JP6615731B2 (ja) | 多葉型単糸を有する高密度織物 | |
JP6454295B2 (ja) | 高密度織物 | |
US10961643B2 (en) | Thin woven fabric having superior comfort | |
JP7483658B2 (ja) | 織物および織物の製造方法 | |
JP7376436B2 (ja) | 織物 | |
JP6171337B2 (ja) | 高光沢織物 | |
JP7238341B2 (ja) | 織物 | |
JP6652900B2 (ja) | 織物 | |
TWI522504B (zh) | Abrasion resistant polyester fiber, its manufacturing method and abrasion resistant knitted fabric | |
JP2023068667A (ja) | 緯二重織物 | |
JP5036649B2 (ja) | 芯地用織物およびその製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180605 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20190530 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190614 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190625 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190808 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191001 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191003 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6599844 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |