JP6170028B2 - ボーダー織物 - Google Patents

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Description

本発明は薄地のボーダー織物に関するものであり、特にダウンジャケット等のアウトドア用衣料、ウィンドブレーカー等のスポーツ用衣料に好ましく用いることのできるものである。更に詳しくは、軽量及び薄地のボーダー織物であって、低通気度を維持しながら、ボーダー柄が入ったデザイン性の高い織物に関するものである。
アウトドアレジャーやスポーツを行う際に着用されるウィンドブレーカーやダウンジャケット用の薄地織物は、近年、タウンユースにも用いられるようになっており、種々の趣向を凝らしたファッション性の高い生地が提案されている。一方で、ダウンジャケット用の薄地織物には、軽量・薄地であり、高いダウンプルーフ性を発揮するという、相反する性能の両立が求められている。
ところで特許文献1には、雨の中の競技やトレーニングの際に着用できる防水衣服に関する発明が開示されている。前身頃をフロントネックポイントから前身バストライン近傍までの任意の部位で上下に切り替え、雨の強くあたる前身頃の上部側と袖部分に高耐水圧素材を使用し、蒸れやすい下部側には高密度織物又は高密度編物を使用することで、通気性や透湿性を有する防水衣服が得られている。
実開平07−009921号公報
一般に、ウィンドブレーカーやダウンジャケット用の薄地織物において、ファッション性とダウンジャケットに要求される性能を両立させることは決して容易なことではなかった。例えば、薄地織物のデザイン性を高めるために、ジャガード等の織柄にしたり、特許文献1に開示されるような性能や色柄の違う生地を身頃や袖で切返して縫製するといった加工を施すと、柄部や縫製部からダウンが漏れてしまっていた。そのため、このような薄地織物に適用できる縫製デザインには制約があった。また、ダウン漏れを抑制するためにシームテープ等で切り返し縫製部を強化しても、その部分だけ分厚くなったり、ドレープ性が悪くなったりするので、縫製部に違和感が生じていた。
この様な状況下、本発明は、軽量・薄地であり、通気度が低く、引裂き強度が高いという性能を有しながら、織組織による柄切り替え部が存在し、しかもシワになりにくい防風性及びダウンプルーフ性に優れた薄地のボーダー織物を提供することを課題として掲げた。
鋭意検討した結果、本発明者らは、薄地織物において織組織の違いによりボーダー柄を形成する場合に、斜子組織とリップストップ組織を組み合わせ、斜子組織とリップストップ組織の緯糸繊度の関係を調整することにより、デザイン性が高くシワになりにくい上、防風性及びダウンプルーフ性に優れたボーダー柄の織物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係るボーダー織物は、以下の点に要旨を有する。
[1]斜子組織とリップストップ組織が、織物の経方向に交互に繰り返されたボーダー織物であり、前記斜子組織及び前記リップストップの平組織を構成する経糸の繊度が、3〜60dtexであり、前記斜子組織の緯糸繊度が、前記リップストップのリップ部の緯糸繊度の0.3〜2.5倍であり、ペンジュラム法に準拠して求められる経緯方向の引裂き強力が5〜50Nであることを特徴とするボーダー織物。
[2]前記斜子組織が、2本斜子及び/又は3本斜子である[1]に記載のボーダー織物。
[3]前記斜子組織のトータルカバーファクターが1500〜4000であり、前記リップストップ組織のトータルカバーファクターが1700〜3500であり、前記斜子組織のトータルカバーファクターが、前記リップストップ組織に対し、0.7〜3倍である[1]又は[2]に記載のボーダー織物。
[4]前記斜子組織及び前記リップストップの平組織を構成する経糸の繊度が5〜20dtexであり、前記リップ部おける糸の引き揃え本数が3本及び/又は4本である[1]〜[3]に記載のボーダー織物。
[4][1]〜[4]に記載のボーダー織物を側地として用いる中綿入り繊維製品。
本発明によれば、ボーダー柄として斜子組織とリップストップ組織を組み合わせ、斜子組織とリップストップ組織の緯糸繊度の関係を調整したことで、薄地であっても、意匠性が高くシワになりにくい上、防風性及びダウンプルーフ性に優れた織物が得られる。
図1は、本発明において好ましい平織の完全組織を示す。 図2は、本発明において好ましいリップストップの完全組織を示す。 図3は、本発明において好ましいリップストップの完全組織を示す。 図4は、本発明において好ましいリップストップの完全組織を示す。 図5は、本発明において好ましいリップストップの完全組織を示す。 図6は、本発明において好ましいリップストップの完全組織を示す。
<ボーダー織物>
本発明に係るボーダー織物は、斜子組織とリップストップ組織が、織物の経方向に交互に繰り返されたものである。本発明において、ボーダー柄を形成するために斜子組織とリップストップ組織を採用した理由は以下の通りである。まず、極めて薄くて軽い織物にしながら、ダウンプルーフ性を維持するためには、リップストップ組織を選択することが望ましい。しかし薄地織物において、リップストップ組織を選択しながら、これとは異なる織組織によりボーダー柄を形成しようとすると、リップストップの平組織が加工で縮みにくく、それにより切替え部にて経方向にシワが生じやすい傾向がある。また、リップストップ組織の浮き糸の存在により、リップ部は縮みやすく、織物の幅が一定しないといった問題も生じていた。また組み合わせる組織によっては、織物全体の通気度が低下したり、織物に所望の強力を付与することが難しく、薄地織物に対する要求性能を満足することができなかった。
本発明者らが検討した結果、リップストップ組織に組み合わせる組織として斜子組織を選択し、リップ部での縮みの程度と斜子組織の縮みの程度が同程度となるように斜子組織の浮き糸の程度を調整すれば、柄切り替え部でのシワを抑制したり、薄地織物の幅を一定にできることがわかった。そこで本発明では、斜子組織とリップストップ組織の2つの組織を選択してボーダー柄の薄地織物を製造している。
また本発明のボーダー織物は、斜子組織及びリップストップの平組織を構成する経糸の繊度が、3〜60dtexであるため、極めて薄地且つ軽量である。
本発明に係るボーダー織物は、薄地でありながらもスポーツ衣料等の実用に耐える必要があるため、適度な引裂き強力を有する必要がある。そのため、ペンジュラム法に準拠して求められるボーダー織物の経緯方向の引裂き強力は、例えば、5〜50Nであり、より好ましくは6〜20Nであり、更に好ましくは7〜15Nである。引裂き強力は高い方が望ましいが、引裂き強力を高くしようとすると、コストが嵩み、生産性が悪くなる虞があるので、生産効率を考慮して、引裂き強力の上限は、50N以下が望ましい。
本発明で得られる薄地のボーダー織物は、斜子組織とリップストップ組織の柄の違いを活かして、斜子組織とリップストップ組織の境界を、製品の目立つ部分のアクセントとして用いるとよい。本発明に係るボーダー織物を、例えばダウンジャケットやウィンドブレーカー等の上衣用の生地に用いる場合は、斜子組織とリップストップ組織の境界線が、着用者の身頃や袖部の切り返しにくるように調整するとよい。そのため、ボーダー織物における斜子組織やリップストップ組織の大きさ、斜子組織・リップストップ組織の長さは、適用する製品のデザイン応じて設定するとよい。本明細書では、以降、ボーダー織物において面積占有率の高い織組織を「地部」、面積占有率の低い織組織を「ボーダー部」と称する場合があるが、本発明においては、斜子組織とリップストップ組織のいずれを地部又はボーダー部としてもよい。本発明のボーダー織物を、上衣用の生地に用いる場合(特に、身頃用生地)は、ボーダー部の経糸方向の長さを1〜70cmに調整することが好ましく、より好ましくは5〜50cmである。また本発明のボーダー織物を、寝具やテント等に用いる場合や、要尺が長いため、ボーダー部の経糸方向の長さを、例えば、1〜200cmに調整するとよい。また地部の長さは、例えば、1〜200cmが好ましく、より好ましくは20〜100cmである。
本発明に係るボーダー織物は、極めて薄地であるため軽量である。ボーダー織物の目付は、例えば、10〜60g/m2が好ましく、より好ましくは15〜40g/m2である。ボーダー織物が軽量であるため、当該織物をアウトドア衣料や布団側地として使用した際には軽量感を感じることができる。
本発明のボーダー織物においては、斜子組織−リップストップ組織−斜子組織−リップストップ組織…と組織を繰り返す際に、繰り返す組織は同一であっても異なっていてもよい。繰り返す組織が異なっている状態とは、例えば、斜子組織1−リップストップ組織1−斜子組織2−リップストップ組織2…と組織を繰り返す際に、斜子組織1と斜子組織2間及び/又はリップストップ組織1とリップストップ組織2間において、経糸及び/又は緯糸の引き揃え本数や、緯糸繊度等が異なっている形態が挙げられる。しかしながら、生産効率やボーダー柄の仕上がりを良くするには、繰り返す組織は同一であることが望ましい。
<斜子組織>
斜子組織とは、直交する経糸と緯糸が上下に交互に組み合わさって形成された平組織において、この平組織を経方向及び緯方向にそれぞれ拡大した変化組織である。斜子組織とは、例えば、2本以上の経糸及び/又は緯糸が互い違いに交差して平織状に織られた組織をいう。斜子組織の緯糸の好ましい形態は、特に限定されるものではないが、アウター用として使用できるレベルの引裂き強力を付与したり、斜子組織における経糸と緯糸のバランスを調整するために、斜子組織の緯糸は、複数本の引き揃えであることが好ましく、より好ましくは2〜4本の引き揃えが好ましく、更に好ましくは2本斜子及び/又は3本斜子である。
好ましい斜子組織は、例えば、経糸及び/又は緯糸を2本又は3本の糸を引き揃えて格子状に製織した組織である。経糸及び/又は緯糸の隣接する糸を、例えば、2本又は3本毎に引き揃えているため、斜子組織は平組織のような格子状の見た目を有する。斜子組織としてより好ましくは、経糸のみ2本毎に引き揃えた組織又は経糸のみ3本毎に引き揃えた組織であり、更に好ましくは経糸と緯糸の両方を2本に引き揃えた組織(石目織やバスケットと呼ばれる)、又は経糸と緯糸の両方を3本毎に引き揃えた組織である。斜子組織の選定は、リップストップの完全組織に基づいて行うとよい。具体的には、1単位のリップストップ組織における平組織の数、リップ組織の数、及び平組織とリップ組織の比率に応じて、斜子織の基本単位を設定したり、斜子組織に用いる緯糸の繊度や引き揃える糸の本数を調整するとよい。
そして本発明では、薄地織物にボーダー柄を付与してもシワが生じないようにするために、斜子組織の緯糸繊度を、リップストップのリップ部の緯糸繊度の0.3〜2.5倍に調整する必要がある。2つの織組織の緯糸繊度を前記範囲内に調整することで、斜子組織は染色後であっても目よれせず、品位の高いボーダー織物が得られるため好ましい。斜子組織の緯糸繊度が前記範囲を下回ると、斜子組織において染色後に目よれが発生し、ボーダー織物の品位が低下する虞がある。また前記範囲を上回ると、斜子組織の目付が重くなり、ボーダー織物を軽く仕上げることが難しくなる。
なおここでいう繊度比は、下記式に基づいて算出される値を用いる。
斜子組織におけるリップ部との繊度比=(X1×N1)/(X2×N2
(式中、X1は斜子組織の緯糸に用いる合成繊維マルチフィラメントの総繊度(dtex)、N1は斜子組織における緯糸の引き揃え本数、X2はリップストップのリップ部の緯糸に用いる合成繊維マルチフィラメントの総繊度(dtex)、N2はリップストップのリップ部における緯糸の引き揃え本数)
斜子組織の緯糸繊度は、例えば、3〜60dtexが好ましく、より好ましくは5〜20dtexであり、更に好ましくは7〜16dtexである。なお経糸繊度は後述する。
斜子組織を構成する緯糸は、リップストップ組織の緯糸を2本以上引き揃えたもの(より好ましくは2〜4本の引き揃え)又はリップストップ組織の緯糸の1.8〜4.2倍程度の繊度を有する1本の糸を使用することができる。すなわち、リップストップ組織の緯糸にXデシテックスの糸を用いるとき、斜子組織の緯糸には、Xデシテックスの糸を2本引き揃えたものを用いてもよく、2Xデシテックスの糸1本を用いてもよい。なおこの例のように、2Xデシテックスの糸を1本打ち込む場合には、ボーダー織物の密度はXデシテックスの糸を2本打ち込んだものと仮定して計算することとする。
また斜子組織の緯糸は、糸がバラバラにならないよう、甘撚りがかかっていてもよい。
斜子組織の経密度は、例えば、80〜500本/インチが好ましく、より好ましくは130〜460本/インチであり、更に好ましくは200〜400本/インチである。経密度を前記範囲内に調整することにより、低通気度のボーダー織物が得られるため好ましい。
また緯密度は、例えば、80〜600本/インチが好ましく、より好ましくは130〜580本/インチであり、更に好ましくは150〜560本/インチである。斜子組織の緯密度は、リップストップ組織の緯密度に対して、0.5〜3倍が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5倍であり、更に好ましくは1〜2.2倍である。斜子組織の緯密度が前記範囲を下回ると、斜子組織において染色後に目よれが発生し、ボーダー織物の品位が低下する虞がある。また前記範囲を上回ると、斜子組織の目付が重くなり、ボーダー織物を軽く仕上げることが難しくなる。なお、生機密度と仕上密度は同一であっても異なっていてもよい。
斜子組織のトータルカバーファクターは、例えば、1500〜4000であることが好ましく、より好ましくは1600〜3600であり、更に好ましくは1750〜3500である。トータルカバーファクターを前記範囲内に調整することにより、低通気度のボーダー織物が得られるため好ましい。なお、斜子組織の経方向のカバーファクターは、例えば、900〜1500が好ましく、より好ましくは1100〜1300である。また斜子組織の緯方向のカバーファクターは、例えば、400〜2200が好ましく、より好ましくは700〜2000である。
緯方向における斜子組織のカバーファクターは、リップストップ組織に対し、0.5〜3倍が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5倍であり、更に好ましくは1〜2.2倍である。また、斜子組織のトータルカバーファクターは、リップストップ組織に対し、0.7〜3倍が好ましく、より好ましくは0.9〜2.5倍であり、更に好ましくは1.05〜2倍である。斜子組織とリップストップ組織のカバーファクターを前記範囲内に調整することで、斜子組織とリップストップ組織の幅を一定に保つことが可能になり、その結果、カレンダー加工後の斜子組織のシワを抑制することができるようになる。
本発明に係るボーダー織物は、薄地でありながらもスポーツ衣料等の実用に耐える必要があるため、適度な引裂き強力を有する必要がある。そのため斜子組織における経緯方向の引裂き強力は、生産性も考慮して、例えば、5〜50Nが好ましく、より好ましくは6〜20Nであり、更に好ましくは7〜15Nである。
ダウンジャケットや羽毛布団等の側地に用いる場合のダウンプルーフ性を満足するため、本発明に係るボーダー織物の通気度は、例えば斜子組織では、0.1〜1.5cc/cm2 ・secであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.2cc/cm2 ・secである。
<リップストップ組織>
リップストップ組織とは、生地の裂け(rip)止め(stop)機能が施された織組織である。リップストップ組織の代表的なものとしては、直交する経糸と緯糸が上下に交互に組み合わさって形成された平組織の織物において、一定間隔毎に格子状に太繊度又は複数本引き揃えた糸を打ち込んだ組織が挙げられる。リップストップ組織における平組織としては、図1に示す完全組織を有するものが好ましい。図1に示す完全組織は、経糸2本と緯糸2本からなるものであり、1本目の緯糸は2本の経糸の上と下の両方を通っており、2本目の緯糸は1本目とは上と下を通る順序を入れ替え、互い違いの状態で2本の経糸の上と下の両方を通っている。図1に示すような経糸2本と緯糸2本からなる平織の完全組織を含む織物は、組織点が多く丈夫であり、また容易に製織できるというメリットを有する。
リップストップ組織において、平組織は図1に示す完全組織を有するものが好ましい。この平組織において、経糸は3〜25本が好ましく、より好ましくは3〜20本であり、更に好ましくは3〜16本である。またこの平組織において、緯糸は3〜20本が好ましく、より好ましくは3〜18本であり、更に好ましくは3〜15本である。すなわち、好ましいリップストップ組織には、図1に示す完全組織(1単位)が、例えば、2〜50単位存在していることが好ましく、より好ましくは2〜45単位である。なお、完全組織の数は、下記式に基づいて算出するものとする。
完全組織の数(単位)=(経糸本数×緯糸本数)/4
またリップストップ組織において、リップ部には、通常太い繊度の糸を用いるが、本発明においてリップ部の糸には、平組織の緯糸を2本以上引き揃えたもの又は平組織の緯糸の1.8〜4.2倍程度の繊度を有する1本の糸を使用することができる。すなわち、リップ部が「2本リップ」のときは、リップ部に、緯糸を2本引き揃えて打ち込んでもよく、緯糸の2倍の太さの糸を1本打ち込んでもよい。同様にして、リップ部が「3本リップ」のときは、リップ部に、緯糸を3本引き揃えて打ち込むことも、緯糸の3倍の太さの糸を1本打ち込むことも可能であり、リップ部が「4本リップ」のときは、リップ部に、緯糸を4本引き揃えて打ち込んでもよく、緯糸の4倍の太さの糸を1本打ち込んでもよい。リップ部における糸の引き揃え本数は、例えば、2〜4本が好ましい。なお、太い繊度の1本の糸によりリップ部を形成する場合には、前記引き揃え本数には、当該太繊度の糸の繊度を、平組織の緯糸繊度で除した値を用いることとする。リップ部における糸の引き揃え本数は3本及び/又は4本がより好ましい。
またリップストップ組織において、リップ部は打ち込み1回のシングルリップでも、打ち込み糸の上下を互い違いとする打ち込み2回のダブルリップでも、打ち込み糸の上下を互い違いとする打ち込み3回のトリプルリップでもよい。
本発明において好ましいリップストップの完全組織を図2〜6に示す。図2のリップストップ組織では、経糸9本及び緯糸7本から図1の完全組織を含む平組織が構成され(完全組織は15.75単位)、リップ部は3本引き揃えのシングルリップとなっている。次に、図3のリップストップ組織では、経糸3本及び緯糸3本から図1の完全組織を含む平組織が構成され(完全組織は2.25単位)、リップ部は2本引き揃えのシングルリップとなっており、図3はいわゆるミニリップ柄の組織を示すものである。そして、図4のリップストップ組織では、経糸14本及び緯糸12本から図1の完全組織を含む平組織が構成され(完全組織は42単位)、リップ部は2本引き揃えのダブルリップとなっている。図5のリップストップ組織では、経糸5本及び緯糸5本から図1の完全組織を含む平組織が構成され(完全組織は6.25単位)、リップ部は2本引き揃えのトリプルリップとなっている。図6のリップストップ組織では、経糸9本及び緯糸7本から図1の完全組織を含む平組織が構成され(完全組織は15.75単位)、リップ部は4本引き揃えのシングルリップとなっている。
リップストップ組織の経密度は、例えば、80〜500本/インチが好ましく、より好ましくは200〜480本/インチであり、更に好ましくは250〜460本/インチである。経密度を前記範囲内に調整することにより、低通気度のボーダー織物が得られるため好ましい。
また緯密度は、例えば、80〜500本/インチが好ましく、より好ましくは130〜450本/インチであり、更に好ましくは150〜420本/インチである。なお、生機密度と仕上密度は同一であっても異なっていてもよい。
リップストップ組織のトータルカバーファクターは、例えば、1700〜3500であることが好ましく、より好ましくは1800〜3300であり、更に好ましくは2000〜3200である。トータルカバーファクターを前記範囲内に調整することにより、低通気度のボーダー織物が得られるため好ましい。なお、リップストップ組織の経方向のカバーファクターは、例えば、900〜1800が好ましく、より好ましくは1000〜1500である。またリップストップ組織の緯方向のカバーファクターは、例えば、400〜1800が好ましく、より好ましくは700〜1600である。
本発明に係るボーダー織物は、薄地でありながらも、スポーツ衣料等の実用に耐える必要があるため、適度な引裂き強力を有する必要があり、リップストップ組織の経緯方向の引裂き強力は、生産性も考慮して、例えば、5〜50Nが好ましく、より好ましくは7〜20Nであり、更に好ましくは9〜15Nである。リップストップ組織の性質上、引裂き強力は斜子組織よりも高くできる。
ダウンジャケットや羽毛布団等の側地に用いる場合のダウンプルーフ性を満足するため、本発明に係るボーダー織物の通気度は、例えばリップストップ組織では、0.1〜1.5cc/cm2 ・secであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2cc/cm2 ・secである。
<斜子組織とリップストップ組織の関係>
前述したように、本発明において斜子組織の選定は、リップストップの完全組織に基づいて行うとよい。好ましい斜子組織とリップストップ組織の関係の一例を、図2〜6の完全組織を参照しながら説明する。
まず、図2、図3及び図6にはシングルリップの例を示している。リップ部がシングルリップの場合は、リップ部における浮き糸の影響が小さいため、リップストップ組織における平組織の大きさに応じて斜子組織を選定するとよい。
図2及び図6のリップストップ組織には、平織の完全組織が15.75単位存在するが、このように平組織が12単位超になると、リップストップ組織において平組織の占める割合が増加し、リップ部の専有割合が相対的に減少する。このため、リップ部における浮き糸の影響は小さくなる傾向にあることから、組み合わせる斜子組織は、浮きの少ない2本斜子が好ましい。
一方、図3のリップストップ組織には、平織の完全組織が2.25単位存在するが、このように平組織が11単位未満になると、リップストップ組織において平組織の占める割合が低下し、リップ部の専有割合が相対的に増加する。このため、リップ部における浮き糸の影響が大きくなることから、組み合わせる斜子組織は、浮きの多い3本斜子が好ましい。
なお図2(及び図6)と図3の中間にある、シングルリップであって、平組織が11〜12単位のリップストップ組織には、2本斜子又は3本斜子のいずれを適用してもよい。
次に、ダブルリップ及びトリプルリップについて説明する。図4にはダブルリップの例を示し、図5にはトリプルリップの例を示しているが、いずれの場合もリップ部の専有割合が高く、リップ部における影響が大きくなることから、組み合わせる斜子組織は、浮きの多い3本斜子が好ましい。
<繊維素材>
本発明に係る薄地のボーダー織物は、合成繊維マルチフィラメントから構成される。本発明のマルチフィラメントの総繊度は、得られる織物にある程度の強度を持たせながらも薄地に仕上げるため、例えば、3〜60dtexであり、より好ましくは5〜20dtexであり、更に好ましくは7〜16dtexである。マルチフィラメントの繊度が前記範囲であれば、軽量薄地で破れ難いボーダー織物が得られる。
特に、斜子組織及びリップストップの平組織を構成する経糸の繊度は、例えば、3〜60dtexが好ましく、より好ましくは5〜45dtexであり、更に好ましくは5〜33dtexであり、特に好ましくは5〜20dtexである。繊度が下限値を下回ると、ボーダー織物を高密度にするために使用する経糸の本数を増やす必要が生じ、作業効率が低下すると共に、製織時に糸切れしやすくなるため好ましくない。また上限値を超えると、ボーダー織物の目付や厚さが高くなりすぎてしまい、生地の風合いが硬くなったり、生地自体が重くなってしまう。
斜子組織とリップストップ組織で使用する経糸は、繊度が同一であっても異なっていてもよいが、生産効率がよいことから、斜子組織とリップストップ組織で用いる経糸は同一であることが好ましい。同様に、リップストップ組織における平組織部とリップ部で使用する経糸は、同一であっても異なっていてもよいが、生産効率がよいことから、平組織部とリップ部で用いる経糸は同一であることが好ましい。
また、斜子組織とリップストップ組織で使用する緯糸は、繊度が同一であっても異なっていてもよいが、生産効率がよいことから、斜子組織とリップストップ組織で用いる緯糸は同一であることが好ましい。同様に、リップストップ組織における平組織部とリップ部で使用する緯糸は、同一であっても異なっていてもよいが、生産効率がよいことから、平組織部とリップ部で用いる緯糸は同一であることが好ましい。
マルチフィラメントを構成するモノフィラメントの繊度(単糸繊度)は、0.5〜3dtexが好ましく、より好ましくは1〜2.5dtexであり、更に好ましくは1.2〜2.2dtexである。モノフィラメントの繊度が前記範囲であれば、ボーダー織物を柔らかな風合いに仕上げられる上、適度な引裂き強力を有し、且つ、通気性の低いボーダー織物が得られる。
1本のマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの数は、マルチフィラメントの繊度(総繊度)と、モノフィラメントの繊度の関係により適宜選定できるが、例えば、2〜60本が好ましく、より好ましくは3〜45本であり、更に好ましくは5〜20本である。フィラメント数が前記範囲内であれば、ボーダー織物に所定の力がかかるときに、この力に対する応力が1本のモノフィラメントに集中することなく、複数のモノフィラメントに応力が分散し、1本のモノフィラメントにかかる応力を軽減することができるため、引裂き強力が向上する。
マルチフィラメントの破断強度は高い程良い。マルチフィラメントの破断強度は、例えば、3.5〜10cN/dtex程度が好ましい。またマルチフィラメントの破断伸度は特に限定されないが、35〜50%程度が好ましい。
モノフィラメントの原料樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612若しくはその共重合体等のポリアミド類;ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、セルロース等の各種ポリマー;等が例示でき、中でも、ポリアミド類は、柔らかな風合いを発現できるため好ましい。
前記モノフィラメントの原料となる樹脂の固有粘度は、ポリエステルを用いる場合は、例えば、0.58〜1.00が好ましく、より好ましくは0.65〜0.8である。樹脂の極限粘度が前記範囲であれば、適当な破断強度を有するモノフィラメントが得られ、且つ、製造コストを低く抑えることができる。一方、前記モノフィラメントの原料となる樹脂の相対粘度は、例えばナイロンの場合、2.0〜4.5が好ましく、より好ましくは2.5〜4である。
本発明で用いるマルチフィラメントの単糸断面の形状は、特に限定されず、丸型断面;丸型以外の異形断面;のいずれも用いることができる。異形断面繊維を用いる場合は、異形度が2〜7の異形断面糸を用いることが好ましい。異型度が2〜7の繊維としては、例えば、Y字断面、十字断面、I型断面、W字型断面、アレイ型断面等の異型断面繊維が挙げられ、異型断面糸を用いる場合は、特に単糸断面に凹部を有するY字断面、十字断面、アレイ型が好ましい。繊維が深い凹部を有する場合、隣接する繊維の凸部が深い凹部にはまり込んで、ボーダー織物の通気性を低下させるとともに、繰り返し洗濯しても、ボーダー織物の低通気度を維持できる。
また、前記モノフィラメントには、必要に応じて、吸湿性物質、酸化防止剤、つや消し剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等を単独または混合して添加することも可能である。
前記マルチフィラメントは、例えば、ポリアミド系マルチフィラメントやポリエステル系マルチフィラメントであれば、スピンドロー方式による紡糸延伸連続装置、または紡糸装置と延伸装置を用いて2工程で行うことによって製糸できる。例えばスピンドロー方式を採用するときは、紡糸引取りゴデットローラの速度を1500m/分〜4000m/分に設定するとよい。
<ボーダー織物の製造方法>
本発明に係る薄地のボーダー織物を製造するにあたり、使用する織機は特に制限されず、ウォータージェットルーム織機、エアージェットルーム織機、レピア織機等を使用することができる。製織後の織物は常法に従って精練、リラックス、プレセット、染色し、必要に応じて、各種の仕上加工、カレンダー加工、コーティング加工等の後加工を行うとよい。なお、染色する行程において、使用される染色機は特に限定されるものではないが、例えばジッカー染色機等を用いる、染めながら巻き上げる染色法では、染色中に折れシワが発生しやすいため、折れシワを発生させないという観点から、液流染色機又はビーム染色機が好ましく用いられる。特にポリエステル織物等のように、染色を高温条件下で実施するものは、高温染色中に折れシワが出来てしまうと最後まで折れシワが取れにくいため、これらの染色機の使用が好ましい。また、柄の切り替わり部では緯糸のわずかな斜行や湾曲が目立ちやすいので、斜行が起こらないよう厳密に管理するべきである。そのためにはカレンダー加工を実施した後に、再セットする工程設計が好ましい。
ボーダー織物の風合いや引裂き強力を向上するために、ボーダー織物を柔軟剤や平滑剤で処理することも可能である。柔軟剤を付与する場合の付着量は、ボーダー織物に対し0.01〜5wt%とすればよい。0.01wt%未満であると、風合い改善や引裂き向上に寄与し難い。本発明の効果を阻害しない程度に、他の仕上剤、例えばシリコーン系樹脂や炭化水素ワックス(鉱物性ワックス、石油系ワックス、動植物性ワックス等)の柔軟剤を併用して用いても良い。また、帯電防止剤、抗菌剤、撥水剤、撥水撥油加工剤等の機能性加工剤を併用してもよい。
また、必要に応じてカレンダー加工を施すことが可能である。カレンダーによる目潰し効果も通気度の低減には有効であり、160℃〜180℃で熱カレンダー加工するとよい。
なお本発明に係る薄地のボーダー織物は、例えば、中綿入りの繊維製品用側地(例えば、ダウンジャケット用側地、布団及びクッション用側地等)、ウィンドブレーカー等衣料用生地として好ましく用いることができる。本発明のボーダー織物を側地として用いる繊維製品に使用される中綿は、例えば、羽毛(ダウン)、羽根(フェザー、スモールフェザー)、綿、ポリエステル等の合成樹脂を原料とする繊維等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例で用いた測定方法は以下の通りである。
<繊度>
マルチフィラメントの繊度(総繊度)は、100m長のマルチフィラメントのカセを3つ作製し、各々の質量(g)を測定し、平均値を求め、100倍して求めた。モノフィラメントの繊度は、マルチフィラメントの繊度をフィラメント数で除したものとした。
なお斜子組織におけるリップ部との繊度比は、下記式に基づいて算出した。
斜子組織におけるリップ部との繊度比=(X1×N1)/(X2×N2
(式中、X1は斜子組織の緯糸に用いる合成繊維マルチフィラメントの総繊度(dtex)、N1は斜子組織における緯糸の引き揃え本数、X2はリップストップのリップ部の緯糸に用いる合成繊維マルチフィラメントの総繊度(dtex)、N2はリップストップのリップ部における緯糸の引き揃え本数)
<密度>
1インチ(2.54センチメートル)間に存在する糸の本数を読む。
<カバーファクター>
織物のカバーファクター(CF)は、下記の式により計算した。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
(式中、TおよびWは織物の経密度および緯密度(本/インチ)を示し、DTおよびDWは織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。)
<ボーダー切替え部のシワ>
斜子組織とリップストップ組織の境界部では、リップストップの平組織が加工で縮みにくく、それにより切替え部にて経方向にシワが生じやすい傾向がある。そこで、仕上がった織物について、ボーダー切替え部にシワが生じているかどうか目視で確認した。
<引裂き強力>
織物の引裂き強力は、JIS L 1096 8.15.5に規定されている引裂強さD法(ペンジュラム法)に準拠して、経緯の両方向において測定した。
<通気度>
織物の通気度は、JIS L 1096 8.27.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
ecである。
<ダウン漏れ評価>
一般財団法人ボーケン品質評価機構にて、ボーケン法で評価した。ボーケン法の試験操作を説明する。
試料:
(1)実施例及び比較例で製造したボーダー織物を用いて、中に5gの中綿(ダウン80%、フェザー20%の混率)が入ったタテ11.5cm×ヨコ13.5cm(縫い代:0.7cm)の座布団型試料を2個作製した。作製した試料を、「洗濯前」の評価に用いた。
(2)実施例及び比較例で製造したボーダー織物を、JIS L 0217 103法に準じて10回洗濯した。洗濯には2槽式電気洗濯機を用い、15分間洗濯し、2回濯ぎ、脱水を行なった後、吊り干し乾燥した。洗濯は、浴比1:30、液温40℃、温水30Lに対する洗剤25g(花王社製「アタック(登録商標)」)で行った。洗濯10回とは、洗濯−濯ぎ−脱水−乾燥の操作を10回繰り返すことをいう。こうして得られた10回洗濯後のボーダー織物を用い、(1)と同様にして座布団型試料を2個作製した。作製した試料を、「10回洗濯後」の評価に用いた。
実験:作製した2個の座布団型試料を、ピリング用ゴム管4本と共にICI型試験機の回転箱に入れ、1分間に60回転の速度で1時間回転させた。
評価:吹き出した中綿(ダウン、フェザー)の状態を観察し、次の区分により2個の座布団型試料を4段階に評価した。なお、2個の試料で中綿の漏れ数が異なる場合は、これらの平均値で評価した。また吹き出しが片面に認められる場合には、「目立たない」〜「著しく目立つ」の評価を用いた。
「なし」 (吹き出しが片面に全く確認されない)
「目立たない」 (吹き出しが片面で4ケ所以内)
「目立つ」 (吹き出しが片面で8ケ所以内)
「著しく目立つ」(吹き出しが片面で9ケ所以上)
<合成繊維マルチフィラメントAの作成>
相対粘度3.5のナイロン6ポリマーチップを紡糸温度288℃で、7個の吐出孔(直径:0.24mm)を備える紡糸口金から溶融紡糸し、2つのゴデットローラのうち、第一ゴデットの速度を2700m/分、第二ゴデットの速度を4000m/分、第二ゴデットの延伸温度を160℃にて延伸し、巻き取り速度を3880m/分にして、11dtex7フィラメントの糸を得た。
<合成繊維マルチフィラメントBの作成>
相対粘度3.5のナイロン6ポリマーチップを紡糸温度288℃で、24個の吐出孔(直径:0.25mm)を備える紡糸口金から溶融紡糸し、2つのゴデットローラのうち、第一ゴデットの速度を2000m/分、第二ゴデットの速度を3400m/分、第二ゴデットの延伸温度を160℃にて延伸し、巻き取り速度を3250m/分にして、33dtex24フィラメントの糸を得た。
<合成繊維マルチフィラメントCの作成>
相対粘度3.5のナイロン6ポリマーチップを紡糸温度288℃で、12個の吐出孔(直径:0.25mm)を備える紡糸口金から溶融紡糸し、2つのゴデットローラのうち、第一ゴデットの速度を2000m/分、第二ゴデットの速度を3400m/分、第二ゴデットの延伸温度を160℃にて延伸し、巻き取り速度を3250m/分にして、17dtex12フィラメントの糸を得た。
<合成繊維マルチフィラメントDの作成>
固有粘度0.75であるポリエステルチップを紡糸温度295℃で、48個の吐出孔(直径:0.15mm)を備える紡糸口金から溶融紡糸し、3つのゴデットローラのうち、第一ゴデットの速度を2600m/分、第二ゴデットの速度を3677m/分、第三ゴデッドの速度を3885m/分、第二・第三ゴデットの延伸温度を125℃にて延伸し、巻き取り速度を3728m/分にして、22dtex24フィラメントの糸を得た。
実施例1
合成繊維マルチフィラメントA(11dtex、7フィラメント)を、リップストップの平織用の経糸と緯糸、及びリップ部の経糸と緯糸に用い、リップ部は経方向及び緯方向のいずれにおいても、3本引き揃えた糸で製織した。リップストップの完全組織は図2のものとした。また斜子組織も、合成繊維マルチフィラメントAを経糸及び緯糸に用い、緯糸は3本引き揃え、2本斜子で製織した。製織には、ドビー織機(津田駒工業社製)にて、表に示す密度及び織上げ長で交互に製織した。製織したボーダー織物の特性を表に示す。
得られた生地を常法に従って、オープンソーパーを用いて精練、ビンテンターを用いて190℃で30秒間プレセットし、液流染色機(日阪製作所製:サーキュラーNS)を用い酸性染料でブルーに染色した後、柔軟仕上げ加工を行って、180℃×30秒で中間セットを行った。その後カレンダー加工(加工条件:シリンダー加工、温度180℃、圧力2.45MPa(25Kgf/cm2)、速度15m/分)をボーダー織物の片面に2回施した。
得られた生地のタフタ部とリップ部の経密度、緯密度、経方向の長さ、引裂き強力、及び通気度を測定し、外観ではシワの有無を確認した。結果を表に示す。
実施例2
斜子組織の緯糸を、合成繊維マルチフィラメントB(33dtex、24フィラメント)に変更し、斜子組織及びリップストップ組織の経・緯密度を表に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にしてボーダー織物を作製し、加工・評価を行った。
実施例3
斜子組織の緯糸を、合成繊維マルチフィラメントC(17dtex、12フィラメント)に変更し、斜子組織及びリップストップ組織の経・緯密度を表に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にしてボーダー織物を作製し、加工・評価を行った。
実施例4
斜子組織の経糸を、3本引き揃え(3本斜子)に変え、斜子組織及びリップストップ組織の経・緯密度を表に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にしてボーダー織物を作製し、加工・評価を行った。
実施例5
斜子組織及びリップストップ組織の経・緯密度を表に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にしてボーダー織物を作製し、加工・評価を行った。
実施例6
合成繊維マルチフィラメントAの代わりに合成繊維マルチフィラメントD(ポリエステル製、22dtex、48フィラメント)を用い、斜子組織及びリップストップ組織の経・緯密度を表に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にしてボーダー織物を作製し、加工・評価を行った。
比較例1
斜子組織をタフタ組織にし、経・緯密度を表に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にしてボーダー織物を作製し、加工・評価を行った。得られたボーダー織物は、引裂き強力が弱く、また斜子組織を採用していないためカレンダー後にシワが出てしまい、品位が低下した。
本発明のボーダー織物は、軽量・薄地でありながらボーダー柄を有しており、ファッション性の求められる衣料、布団用側地、生活資材に好ましく用いられる。

Claims (5)

  1. 斜子組織とリップストップ組織が、織物の経方向に交互に繰り返されたボーダー織物であり、
    斜子組織またはリップストップ組織のいずれかのうち、面積占有率の低い織組織の経糸方向の長さが1〜200cmであり、
    前記斜子組織及び前記リップストップの平組織を構成する経糸の繊度が3〜60dtexであり、
    前記斜子組織の緯糸繊度が、前記リップストップのリップ部の緯糸繊度の0.3〜2.5倍であり、
    ペンジュラム法に準拠して求められる経緯方向の引裂き強力が5〜50Nであることを特徴とするボーダー織物。
  2. 前記斜子組織が、2本斜子及び/又は3本斜子である請求項1に記載のボーダー織物。
  3. 前記斜子組織のトータルカバーファクターが1500〜4000であり、
    前記リップストップ組織のトータルカバーファクターが1700〜3500であり、
    前記斜子組織のトータルカバーファクターが、前記リップストップ組織に対し、0.7〜3倍である請求項1又は2に記載のボーダー織物。
  4. 前記斜子組織及び前記リップストップの平組織を構成する経糸の繊度が5〜20dtexであり、
    前記リップ部における糸の引き揃え本数が3本及び/又は4本である請求項1〜3のいずれか1項に記載のボーダー織物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のボーダー織物を側地として用いる中綿入り繊維製品。
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