JP6510600B2 - エレベータの遠隔診断運転方法、エレベータ制御装置、及びエレベータの遠隔診断運転プログラム - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、エレベータの遠隔診断運転方法、エレベータ制御装置、及びエレベータの遠隔診断運転プログラムに関する。
従来、建物に設置されたエレベータに対し、通信ネットワークを介して遠隔監視センタから遠隔診断運転信号を送信し、エレベータ制御装置内に備えられた診断プログラムを起動させることで、エレベータの遠隔診断運転を実施している。このような遠隔診断運転を所定時間ごとに実施することで、保守員が直接エレベータに出向いて点検作業を行うことなく、保守管理を行うことができる。
上述した遠隔診断運転は、その実行中に利用者によるエレベータ呼びが発生すると、一時中断する。そして、当該呼びに対する応答が完了すると再開し、当該遠隔診断運転を最初から実行し直す。
このように遠隔診断運転を一時中断させ、再開後にまた最初から実行し直すと処理効率が悪くなるため、なるべく中断させることなく遠隔診断運転を実行させることが理想である。しかし、建物が高層化して階床数が多くなると遠隔診断運転の実行時間が長時間化し、利用者によるエレベータの呼びが発生して遠隔診断運転が中断する確率が高くなり、場合によっては所定時間内に完了できない事態も発生し得る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エレベータに対する遠隔診断運転をなるべく中断させずに効率よく実施するためのエレベータの遠隔診断運転方法、エレベータ制御装置、及びエレベータの遠隔診断運転用プログラムの提供を目的とする。
上記目的を達成するための実施形態によれば、エレベータのドア開閉動作を含む、複数項目に関する機器の稼動状態を遠隔から診断するための遠隔診断運転を所定のスケジュールで実行するエレベータ制御装置が、前記遠隔診断運転の開始後、前記複数項目に関する遠隔診断運転を所定の順序で実行し、現在時刻から過去の所定期間以内の通常運転中に、ドア開閉動作が検出されていない階床、および取得されたドア開閉動作に関する情報から異常または異常の予兆があると判定された階床をドア開閉診断の対象階として決定し、決定された対象階に対し、ドア開閉診断を実行する。
以下、本発明の実施形態による遠隔診断システムについて、図面を参照して説明する。本実施形態による遠隔診断システムは、エレベータに自動で診断運転を実行させることにより、当該エレベータ内の各機器の稼動状態を遠隔から診断するためのシステムである。以下、遠隔から各機器の稼動状態を診断するためにエレベータに自動で実行させる診断運転を、「遠隔診断運転」と称して説明する。
以下の実施形態では遠隔診断運転により、昇降路内に設置されたリミットスイッチのON/OFF動作診断、巻上げ機に備えられたブレーキの動作診断や、各階床における乗りかごの着床位置診断、ドアの開閉動作の診断等を実行する。
〈一実施形態によるエレベータの遠隔診断システムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータの遠隔診断システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータの遠隔診断システム1は、建物X内に設置されたエレベータEと、建物Xから遠隔地にある監視センタYに設置された遠隔監視センタ装置10とが、ネットワーク20を介して接続されて構成されている。本実施形態において建物Xは10階建ての建物である。
本発明の第1実施形態によるエレベータの遠隔診断システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータの遠隔診断システム1は、建物X内に設置されたエレベータEと、建物Xから遠隔地にある監視センタYに設置された遠隔監視センタ装置10とが、ネットワーク20を介して接続されて構成されている。本実施形態において建物Xは10階建ての建物である。
遠隔監視センタ装置10は、監視対象のエレベータEの遠隔診断を所定時間間隔で実行するための遠隔診断スケジュール情報を保持し、エレベータE内に当該遠隔診断スケジュール情報を送信する。また遠隔監視センタ装置10は、エレベータEで実行された遠隔診断の結果を受信して出力する。
エレベータEは、昇降路2上部の機械室等に巻上げ機3が設置され、巻き上げ機3にメインロープ4が掛け渡されてその両端部にそれぞれ乗りかご5と釣り合いおもり6とが吊り下げられている。また、乗りかご5には、かごドア51と、かごドア51の開閉動作を駆動するためのドアモータ52と、かごドア51の開閉状態を検知するかごドアセンサ53と、乗りかご5の着床位置を検出する着床位置検出センサ54とが設置されている。着床位置検出センサ54は、乗りかご5の底面が、着床する乗場の床面と同レベルになるように着床する位置を検出する。
建物X内の各階床にはエレベータEの乗場(1階乗場7−1〜10階乗場7−10)があり、乗場7−1〜7−10にはそれぞれ、乗場ドア71−1〜71−10が設置されている。乗場ドア71−1〜71−10にはそれぞれ、該当する乗場ドア71−1〜71−10の開閉を検知する乗場ドアセンサ72−1〜72−10が設置されている。
以下、乗場7−1〜7−10のいずれかを特定する必要がない場合には、「乗場7」と記載する。乗場ドア71−1〜71−10、および乗場ドアセンサ72−1〜72−10についても同様に、「乗場ドア71」、および「乗場ドアセンサ72」と記載する。
また、昇降路2上部には、巻上げ機3に信号線で接続されるとともに、乗りかご5にテールコード8を介して接続されたエレベータ制御装置30が設置されている。エレベータ制御装置30の詳細な構成について、図2を参照して説明する。
エレベータ制御装置30は、運転制御部31と、動作情報取得部32と、異常検出部33と、動作情報記憶部34と、遠隔診断運転指令部35と、診断対象階決定部36と、診断結果記憶部37とを有する。
運転制御部31は、エレベータの通常運転を実行する通常運転制御部311と、遠隔診断運転を実行する遠隔診断運転制御部312とを有する。通常運転制御部311は、当該エレベータE内で発生した乗場呼びまたはかご呼びに応答するように、巻上げ機3等の各機器を制御することで通常運転を行う。遠隔診断運転制御部312は、通常運転中に遠隔診断運転指令部35から出力される遠隔診断運転指令を検知すると、遠隔診断運転を開始する。遠隔診断運転において、ドア開閉診断を実行する際には、後述する診断対象階決定部36で診断対象として判定された階床に対して実行する。
動作情報取得部32は、運転制御部31で通常運転または遠隔診断運転が実行されたときの、エレベータE内の各機器(例えば、ドアモータ52、かごドアセンサ53、着床位置検出センサ54、および乗場ドアセンサ72等)の動作情報を取得する。異常検出部33は、動作情報取得部32で取得された情報に基づいて、各機器の動作に異常または異常の予兆があるか否かを判定し、異常または異常の予兆があると判定した機器について、エラー情報を生成する。動作情報記憶部34は、動作情報取得部32で取得された各機器の動作情報および当該動作情報の取得時刻情報を記憶するとともに、異常検出部33で生成されたエラー情報および当該エラー情報の生成時刻情報を記憶する。
遠隔診断運転指令部35は、遠隔監視センタ装置10から送信された遠隔診断スケジュール情報に基づいて、遠隔診断運転の実行開始時刻情報が到来したか否かを監視する。そして、遠隔診断運転の実行開始時刻情報が到来したと判定すると、遠隔診断運転指令を運転制御部31および診断対象階決定部36に出力する。
診断対象階決定部36は、遠隔診断運転指令部35から遠隔診断運転指令を取得すると、動作情報記憶部34に記憶された情報に基づいて、所定時間内の通常運転中にドア開閉動作の情報が取得されていない階床の情報を取得するとともに、所定時間内の通常運転中にドア開閉動作に関するエラー情報が取得された階床の情報を取得する。そして、取得した階床を、ドア開閉診断の対象階として決定する。
診断結果記憶部37は、遠隔診断運転の実行中に動作情報取得部32取得された各機器の動作情報および異常検出部33で生成されたエラー情報を診断結果情報として記憶し、遠隔監視センタ装置10に送信する。
〈一実施形態によるエレベータの遠隔診断システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータの遠隔診断システム1の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、予め、遠隔監視センタ装置10に保持されているエレベータEの遠隔診断スケジュール情報が、エレベータ制御装置30に送信される。送信されたエレベータEの遠隔診断スケジュール情報は、エレベータ制御装置30の遠隔診断運転指令部35で取得される。
次に、本実施形態によるエレベータの遠隔診断システム1の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、予め、遠隔監視センタ装置10に保持されているエレベータEの遠隔診断スケジュール情報が、エレベータ制御装置30に送信される。送信されたエレベータEの遠隔診断スケジュール情報は、エレベータ制御装置30の遠隔診断運転指令部35で取得される。
エレベータEでは、通常運転中は(S1)、エレベータ制御装置30の運転制御部31の通常運転制御部311により、登録された乗場呼びまたはかご呼びに応答するように、巻上げ機3等のエレベータE内の機器が制御される。通常運転が行われている間、巻上げ機3や乗りかご5内の各機器の動作情報が、所定時間間隔でエレベータ制御装置30の動作情報取得部32で取得される。ここで取得される各機器の動作情報には、いずれかの階床においてかごドア51および該当する乗場ドア71が開閉動作した際のドアモータ52の動作情報や、かごドアセンサ53、着床位置検出センサ54、および乗場ドアセンサ72−1〜72−10等の検出情報が含まれる。そして、動作情報取得部32で取得された動作情報および当該動作情報の取得時刻情報が、動作情報記憶部34に記憶される。
また、通常運転中に、動作情報取得部32で取得された動作情報に基づいて、異常検出部33において、各機器の動作に異常または異常の予兆があるか否かが判定される。例えば、かごドア51および該当する乗場ドア71の開閉に関する機器の動作に基づいて、ドアモータ52が過負荷状態になったか、かごドア51または乗場ドア71の異常反転動作があったか、かごドア51の開閉位置にずれがあったか、かごドアセンサ53および乗場ドアセンサ72−1〜72−10による検出情報に異常があったか、あるいはこれらの状態になる予兆があったかが判定される。判定の結果、動作に異常または異常の予兆があると判定された機器があった場合には、該当する機器のエラー情報が生成され、生成されたエラー情報および当該エラー情報の生成時刻情報が動作情報記憶部34に記憶される(S2)。
その間、遠隔診断運転指令部35では、取得したエレベータEの遠隔診断スケジュール情報に基づいて、遠隔診断運転の実行開始時刻情報が到来したか否かが監視されている(S3)。そして、遠隔診断運転の実行開始時刻情報が到来したと判定されると(S3の「YES」)、遠隔診断運転指令が運転制御部31に出力される。
運転制御部31では、遠隔診断運転指令を取得すると、遠隔診断運転制御部312により、遠隔診断運転が開始される(S4)。遠隔診断運転では、昇降路2内に設置されたリミットスイッチのON/OFF動作診断、巻上げ機3に備えられたブレーキの動作診断や、各階床における着床位置診断、ドアの開閉診断等が所定の順序で実行される。これらのうち、各階床におけるドア開閉診断の実行タイミングになると(S5の「YES」)、診断対象階決定部36により、動作情報記憶部34に記憶された情報に基づいて、ドア開閉診断の対象階が決定される(S6)。ドア開閉診断の対象階の決定処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、動作情報記憶部34に記憶された情報に基づいて、所定期間(例えば、現在時刻から過去24時間)以内に、かごドア51と該当する乗場ドア71の開閉動作が検出されていない階床があるか否かが判定される(S21)。ここで、所定期間以内にドア開閉動作が検出されていない階床があると判定されると(S21の「YES」)、所定期間(例えば、現在時刻から過去24時間)以内に、ドア開閉動作に関するエラー情報が生成された階床があるか否かが判定される(S22)。ここで、所定時間以内にドア開閉動作に関するエラー情報が取得された階床があると判定されると(S22の「YES」)、当該ドア開閉動作が検出されていない階床および当該エラー情報が取得された階床を、ドア開閉診断の対象階として決定する(S23)。ステップS22において所定時間以内にドア開閉動作に関するエラー情報が取得された階床がないと判定されると(S22の「NO」)、当該ドア開閉動作が検出されていない階床を、ドア開閉診断の対象階として決定する(S24)。
また、ステップS21において、所定期間以内にドア開閉動作が検出されていない階床がないと判定されたときにも(S21の「NO」)、所定期間(例えば、現在時刻から過去24時間)以内に、ドア開閉動作に関するエラー情報が生成された階床があるか否かが判定される(S25)。ここで、所定時間以内にドア開閉動作に関するエラー情報が取得された階床があると判定されると(S25の「YES」)、当該エラー情報が取得された階床を、ドア開閉診断の対象階として決定する(S26)。また、ステップS25において、所定時間以内にドア開閉動作に関するエラー情報が取得された階床がないと判定されると(S25の「NO」)、ドア開閉診断の対象階なしとして決定する(S27)。
図3のフローチャートに戻り、上述したドア開閉診断の対象階決定処理により、ステップS23、S24、またはS26により決定された対象階があった場合(S7の「YES」)には、当該決定された対象階に対し、ドア開閉診断処理が実行される(S8)。ドア開閉診断においては、ドアモータ52が過負荷状態になったか、かごドア51または乗場ドア71の異常反転動作があったか、かごドア51の開閉位置にずれがあったか、かごドアセンサ53および乗場ドアセンサ72−1〜72−10による検出情報に異常があったか、あるいはこれらの状態になる予兆があったか等を確認する処理が実行される。これらが確認されることで、ドア開閉動作が正常に行われたか否かが診断される。診断処理の結果情報は、診断結果記憶部37に記憶される。ドア開閉診断が終了し(S9の「YES」)、遠隔診断運転の他の項目に関する診断も終了したことにより遠隔診断運転が終了すると(S10の「YES」)、ステップS1に戻り通常運転が行われる。診断結果記憶部37で取得された遠隔診断の診断結果情報は、遠隔監視センタ装置10に送信され、表示または音声により出力される。
ステップS7において、ドア開閉診断の対象階決定処理により、ステップS27で対象階なしと決定された場合(S7の「NO」)には、ドア開閉診断は実行せずに(S11)ステップS10に移行する。
以上の実施形態によれば、遠隔診断運転のドア開閉診断において、通常運転で取得されたエレベータ内の機器の動作状況に基づいてドア開閉診断が必要と判断された階床にのみドア開閉診断を実行することにより、遠隔診断運転の実行時間を短縮させて効率よく実施することができる。
上述した実施形態において、異常検出部33で、通常運転中には、ドア開閉動作に関する情報の中に第1の閾値を超える情報があるときに異常または異常の予兆があると判定し、遠隔診断運転のドア開閉診断では、ドア開閉動作に関する情報の中に当該第1の閾値よりも低い第2の閾値を超える情報があるときに異常があると判定するようにしてもよい。このように運転内容ごとに異なる閾値を設定しておくことで、遠隔診断運転のドア開閉診断では、通常運転時よりも高い精度で異常を検出することができる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…遠隔診断システム、2…昇降路、3…巻上げ機、4…メインロープ、5…乗りかご、6…釣り合いおもり、7,7−1〜7−10…乗場、8…テールコード、10…遠隔監視センタ装置、20…ネットワーク、30…エレベータ制御装置、31…運転制御部、32…動作情報取得部、33…異常検出部、34…動作情報記憶部、35…遠隔診断運転指令部、36…診断対象階決定部、37…診断結果記憶部、51…かごドア、52…ドアモータ、53…かごドアセンサ、54…着床位置検出センサ、71,71−1〜71−10…乗場ドア、72,72−1〜72−10…乗場ドアセンサ、311…通常運転制御部、312…遠隔診断運転制御部
Claims (4)
- エレベータのドア開閉動作を含む、複数項目に関する機器の稼動状態を遠隔から診断するための遠隔診断運転を所定のスケジュールで実行するエレベータ制御装置が、
前記遠隔診断運転の開始後、前記複数項目に関する遠隔診断運転を所定の順序で実行し、
現在時刻から過去の所定期間以内の通常運転中に、ドア開閉動作が検出されていない階床、および取得されたドア開閉動作に関する情報から異常または異常の予兆があると判定された階床をドア開閉診断の対象階として決定し、決定された対象階に対し、ドア開閉診断を実行する
ことを特徴とするエレベータの遠隔診断運転方法。 - 前記エレベータ制御装置は、通常運転中には、ドア開閉動作に関する情報の中に第1の閾値を超える情報があるときに異常または異常の予兆があると判定し、前記遠隔診断運転のドア開閉診断では、ドア開閉動作に関する情報の中に前記第1の閾値よりも低い第2の閾値を超える情報があるときに異常があると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの遠隔診断運転方法。 - 請求項1または2に記載のエレベータの遠隔診断運転方法を実行することを特徴とするエレベータ制御装置。
- 請求項1または2に記載のエレベータの遠隔診断運転方法をエレベータ制御装置に実行させるためのエレベータの遠隔診断運転用プログラム。
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