JP6497516B2 - 筐体 - Google Patents
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Description
従来の筐体は、開口を有し、地下構造物を内部に収納する本体と、この本体に着脱可能に取り付けて、基端側を中心とする回動により開口を開閉する蓋体とを備える。また、本体は、横向き円柱状をなす一対の蝶着ピンを有している。蓋体は、僅かに横長な円形状の第1窪部と、僅かに横長な円形状であって連通部を形成する第2窪部とを有している。
そして、蓋体を本体に取り付ける場合には、蓋体の第1窪部内に一方の蝶着ピンを挿入した後、蓋体の第2窪部を他方の蝶着ピンに臨ませ、次いで、その他方の蝶着ピンを連通部から第2窪部内に挿入する。なお、蓋体を本体から取り外す際には、上記の取り付け作業とは逆の取外作業を行う。
以下に本発明の第1実施形態の筐体1について図面を参照して説明する。
図1(a)は、第1実施形態の筐体1の分解斜視図である。本実施形態の筐体1は、蓋体3を上部に備える平面視矩形の箱型である。以下の説明において、筐体1の平面視において長辺が延びる方向を左右方向、短辺が延びる方向を前後方向として各部の説明を行う説明する。また、特に説明がない場合、蓋体3は本体2に取り付け閉状態とした姿勢で各方向(前後、左右、上下)を規定する。
なお本明細書における遊嵌とは、第1の蝶着ピン26Aおよび第2の蝶着ピン26Bと基端側凹状部32および先端側凹状部34との間に間隔(遊び)がある状態で嵌めることである。また、遊嵌は、第1の蝶着ピン26Aおよび第2の蝶着ピン26Bが、基端側凹状部32および先端側凹状部34に緩く係合するような緩合を含む。
以下、各部について詳細に説明する。
本体2は、底板6と枠体4と上枠5とを有し、これらを下側から順に組み立てて構成する有底筒状の箱である。本体2を構成する底板6、枠体4および上枠5は、例えば合成樹脂で形成するが、一部又はすべてを金属で形成してもよい。
底面6aには、複数の貫通孔11を形成する。貫通孔11は、筐体1に侵入する水などの液体を筐体1外に逃がす水抜き孔である。また、貫通孔11は、筐体1に設置する量水器などの地下構造物の設置に用いる台座の位置決めに使用できる。
周縁突出部6bの上面には、底板6上に枠体4が組み付く。周縁突出部6bの上面には、凸部6cを形成する。凸部6cは、枠体4の下面に形成する凹部(図示略)と嵌合する。これにより、底板6上に枠体4が組み付く。4つの周縁突出部6bのうち、左右に位置する2つの周縁突出部6bの略中央の上部には、半円状の管挿通用凹部12を形成する。
枠体4の上面には、凸部4cを形成する。凸部4cは、上枠5の下面に形成する凹部(図示略)と嵌合する。これにより、上枠5が組み付く。
上枠5は、内側面にからせり出す4つの棚部21、22、23、23と、左右の対向する内側面から突出する一対の第1の蝶着ピン(第1の突状軸)26Aおよび一対の第2の蝶着ピン(第2の突状軸)26Bとを有する。第1の蝶着ピン26Aは、第1の基準軸J1に沿って突出し、第2の蝶着ピン26Bは、第2の基準軸J2に沿って突出する。
図1(b)に示すように、第1の蝶着ピン26Aおよび第2の蝶着ピン26Bは、基準軸J1、J2方向から見て、円形状(又は略円形状)を有する。第1の蝶着ピン26Aは、先端面26cと上側斜面26aと下側斜面26bとを有する。上側斜面26aは、第1の蝶着ピン26Aの先端上部に位置する面であって、第1の蝶着ピン26Aの根元側から先端側に向かって、斜め下方に傾斜する。下側斜面26bは、第1の蝶着ピン26Aの先端下部に位置する面であって、第1の蝶着ピン26Aの根元側から先端側に向かって、斜め上方に傾斜する。上側斜面26aおよび下側斜面26bは、ともに、第1の蝶着ピン26Aを先端側に向かって細める傾斜面である。なお、上側斜面26aは、下側斜面26bと比較して傾斜角度が大きい。言い換えると、図1(c)に示すように、上側斜面26aの水平方向に対する傾斜角度αは、下側斜面26bの基準軸J1、J2(本実施形態において水平方向)に対する傾斜角度βよりも大きい。
一方で、下側斜面26bは、蓋体3を本体2に取り外す際に、基端側係合部51又は先端側係合部52と当接する面である。
次に、蓋体3について具体的に説明する。図4は、蓋体3を斜め下方から見た斜視図である。図5(a)は、蓋体3を斜め上方から見た斜視図であり、図5(b)、(c)は、それぞれ蓋体3の先端側凹状部(先端側軸孔)34および基端側凹状部(基端側軸孔)32の拡大図である。蓋体3は、板部材45と一対の基端側係合部51と一対の先端側係合部52とを有する。
係合突起38は、蓋体3が閉状態において後方に向かって延び、上枠5の係合受け部29が係合突起38を収容する。閉状態の蓋体3は、係合受け部29が係合突起38を収容するため、自動車等の通過などによる衝撃が加わる場合でも、基端3b側の跳ね上がりを防止できる。
また、係合突起38は、蓋体3が開状態において下方に向かって延びる。したがって、蓋体3を開状態とする際には、係合受け部29が係合突起38を収容しない。このため、筐体1は、本体2から蓋体3を開状態で取り外しできる。
蓋体3は、一対の基端側凹状部32が一対の第1の蝶着ピン26A又は一対の第2の蝶着ピン26Bのうち何れか一方を収容して、本体2に取り付く。蓋体3を本体2に取り付けた状態で、一対の基端側凹状部32は、第1の基準軸J1又は第2の基準軸J2に沿って形成する。
図6(a)に示すように、閉状態の蓋体3において、基端側凹状部32は、抜け防止面40が上側を向く姿勢となる。また、図6(b)に示すように、開状態の蓋体3において、基端側凹状部32は、取外抵抗低減面37が上側を向く姿勢となる。
なお、本実施形態において、取外抵抗低減面37は、所定の曲率で湾曲した傾斜面であるが、直線的に面取りした傾斜面であってもよい。
芯出しガイド9は、蓋体3を本体2に取り付けるとき、本体2に対して蓋体3がいかなる角度で進行しても、第1の蝶着ピン26A(又は第2の蝶着ピン26B)が基端側凹状部32に係合する前に本体2の内側面5aに接する。言い換えると、蓋体3の取り付け工程において、芯出しガイド9は、基端側凹状部32と第1の蝶着ピン26A(又は第2の蝶着ピン26B)とが当接する前に、本体2の開口部7の内側面5aに当接して蓋体3を本体2の開口部7に案内する。
また、芯出しガイド9は、本体2に対して蓋体3が開閉するときに、本体2の内側面5aに当接して摺動する。つまり、芯出しガイド9は、蓋体3と本体2との隙間を少なくし、ガタツキを少なくして、回転する蓋体3の回転を安定する役割を果たす。
上述したように蓋体3は、一対の基端側凹状部32が一対の第1の蝶着ピン26A又は一対の第2の蝶着ピン26Bのうち何れか一方の蝶着ピンを収容して、本体2に取り付く。また、蓋体3は、基端3b側を中心に回転し開閉する。これに対して、一対の先端側凹状部34は、蓋体3の閉状態で、一対の第1の蝶着ピン26A又は一対の第2の蝶着ピン26Bのうち他方の蝶着ピンを収容する。また、一対の先端側凹状部34は、蓋体3の開状態では、他方の蝶着ピンを収容しない。すなわち、一対の先端側凹状部34は、開閉に伴って蝶着ピンが出入りする(図8(a)〜(c)、図9(a)〜(c))。
次に、筐体1の作用等を説明する。以下の説明において、第1の蝶着ピン26Aを基端側凹状部32に収容したものとして説明する。なお、第2の蝶着ピン26Bを基端側凹状部32に収容した場合であっても、同様の作用を奏する。
まず、蓋体3を本体2に対して回動する場合について、図7を参照して説明する。図7(a)、(b)は、第1の基準軸J1と直交し、基端側係合部51を横切る面で断面を取った断面図である。図7(a)、(b)は、それぞれ第1の蝶着ピン26Aを中心として拡大した図である。図7(a)は、蓋体3の閉状態を示し、図7(b)は、蓋体3の開状態を示す。
閉状態から開状態の移行において、基端側凹状部32の寸法は、第1の蝶着ピン26Aが遊嵌可能であるため、第1の蝶着ピン26Aは基端側凹状部32と当接することがなく、第1の蝶着ピン26Aに負荷が掛からない。
また、第1の蝶着ピン26Aの突出高さによっては、第1の蝶着ピン26Aの先端面26cが基端側凹状部32の奥行面に当接する場合がある。この場合には、支持部8の中間部分8bが撓んで第1の蝶着ピン26Aが第1の基準軸J1に沿って左右方向に移動するため、第1の蝶着ピン26Aへの負荷は軽減する。このように、蓋体3は、閉状態から開状態への移行においても、第1の蝶着ピン26Aに掛かる負荷を低減できる。
また、図6(a)、(b)に示すように、閉状態から開状態の移行(又は閉状態から開状態の移行)において、芯出しガイド9は、本体2の内側面5aと摺動する。これにより、開閉時の本体2に対する蓋体3のガタツキを少なくして安定した開閉を実現でき、不用意な蓋体3の外れを防止できる。
なお、蓋体3を図7(a)の閉状態から図7(b)の開状態まで回動する際或いはその開状態からその閉状態まで回動する際の回動角度θは、例えば110度(略110度を含む)である。
このように、蓋体3の開状態時および閉状態時の何れにおいても、基端側凹状部32の収容する第1の蝶着ピン26Aは遊嵌状態である。これにより、第1の蝶着ピン26Aには負荷が掛かり難く、第1の蝶着ピン26Aのクリープの発生を抑制できる。また、基端側凹状部32と第1の蝶着ピン26Aとは、蓋体3の回動時においてもほとんど非接触であり回動時の第1の蝶着ピン26Aの損傷も抑制できる。
次いで、蓋体3の開閉に伴う、先端側凹状部34の作用について図8および図9を参照して説明する。なお、ここでは第1の蝶着ピン26Aを基端側凹状部32に収容し、第1の蝶着ピン26Aを中心として蓋体3が回転し開閉する場合について説明する。したがって、蓋体3が閉状態において、先端側凹状部34は、第2の蝶着ピン26Bを収容する。なお、蓋体3が第2の蝶着ピン26Bを中心として回転して開閉する場合も同様の作用を奏する。
図8(a)〜(c)および図9(a)〜(c)は、先端側凹状部34に第1の蝶着ピン26A又は第2の蝶着ピン26Bを収容した状態の断面図である。
作業者は、蓋体3の先端3a側を下側に押し込むことで蓋体3を閉じることができる。
図8(a)、(b)に示すように、蓋体3が開状態から閉状態に移行する際に、先端側係合部52は、下降して第2の蝶着ピン26Bに近づく。作業者は、蓋体3の先端3a側を下側に向けて押し込む。
作業者は、蓋体3の先端3a側を持ち上げることで蓋体3を開くことができる。
図9(a)、(b)に示すように、閉状態から開状態に移行する際に、先端側係合部52が上方に移動する。
図9(b)に示すように、蓋体3の先端3aを上方に持ち上げる途中で、蓋体3の先端側係合部52と本体2の第2の蝶着ピン26Bとが当接する。より具体的には、先端側係合部52の先端側凹状部34の内周面に設ける開抵抗低減面(第4の傾斜面)41と第2の蝶着ピン26Bの下側斜面26bとが当接する。開抵抗低減面41と下側斜面26bとは、互いに同方向に傾いている。開抵抗低減面41と下側斜面26bとが当接する状態で蓋体3がさらに持ち上がることにより、開抵抗低減面41と第2の蝶着ピン26Bとは、円滑に滑り合って第2の蝶着ピン26Bが外側に向かって移動する力を与える。これにより、第2の蝶着ピン26Bは、支持部8の中間部分8bを撓ませて外側に移動する。すなわち、第2の蝶着ピン26Bは、中間部分8bの弾性力に抗して本体2の左右方向外側へ移動する。このように、開抵抗低減面41は、第2の蝶着ピン26Bを先端側凹状部34の外側に案内する。
開抵抗低減面41と下側斜面26bとは、第2の蝶着ピン26Bを円滑に移動して第2の蝶着ピン26Bに加わる負荷を低減する機能を果たす。なお、開抵抗低減面41と下側斜面26bとをともに設けることが好ましいが、少なくとも開抵抗低減面41を設ければ、この機能を発揮できる。
次いで、蓋体3を本体2に対して取り付ける場合について、図10を参照して説明する。
図10(a)〜(c)は、蓋体3を本体2に取り付ける手順を示す図である。
取付抵抗低減面36と上側斜面26aとは、第1の蝶着ピン26Aを円滑に移動して、第1の蝶着ピン26Aに加わる負荷を低減する機能を果たす。なお、取付抵抗低減面36と上側斜面26aとをともに設けることが好ましいが、少なくとも取付抵抗低減面36を設ければ、この機能を発揮できる。
なお、蓋体3に係合突起38を設けず、本体2に係合受け部29を設けない場合は、取り付けに際して、蓋体3を開方向に傾ける必要がない。したがって、この場合には、作業者は、蓋体3の姿勢を気にすることなく、蓋体3を本体2の開口部7に押し下げるのみで、蓋体3の基端側凹状部32に本体2の第1の蝶着ピン26A又は第2の蝶着ピン26Bを挿入できる。
次に、上述した蓋体3の取り付け時の芯出しガイド9の作用について、図11〜図14を基に説明する。図11〜図14は、水平方向に対する蓋体3の角度を0°〜90°の間で様々に変えた場合の本体2に取り付ける様子を示す説明図である。また、図11〜図14の(a)は、蓋体3および本体2の断面図であり、(b)は、側面図である。
図11は、蓋体3を本体2に対して傾けずに(水平方向に対して0°として)取り付ける場合を示す。また、図12は、蓋体3を水平方向に対して30°傾けて取り付ける場合を示す。これらの場合、蓋体3を本体2に向かって降下させると、基端側係合部51が第1の蝶着ピン26Aと接触する前に、本体2の上面30より下方に芯出しガイド9の連続部9bが侵入する。図11(a)、図12(a)に示すように、第1の蝶着ピン26Aの上側斜面26aは、基端側係合部51との間にクリアランスを形成する。これにより、芯出しガイド9の開口部7への侵入が、基端側係合部51と第1の蝶着ピン26Aとの接触より先に生じる。蓋体3の姿勢が、本体2の開口部7の形状に対して傾いたり、一方の内側面5aに偏った状態で蓋体3が本体2に向かって降下した場合に、芯出しガイド9の連続部9bが、本体2の内側面5aに接触して、蓋体3の姿勢を開口部7に沿った方向に修正する。
図13は、蓋体3を水平方向に対して60°傾けて取り付ける場合を示す。また、図14は、蓋体3を水平方向に対して90°傾けて取り付ける場合を示す。これらの場合、蓋体3を本体2に向かって降下させると、基端側係合部51が第1の蝶着ピン26Aと接触する前に、本体2の上面30より下方に芯出しガイド9の直線部9aが侵入する。図13(a)、図14(a)に示すように、第1の蝶着ピン26Aの上側斜面26aは、基端側係合部51との間にクリアランスを形成する。したがって、水平方向に対して0°又は30°傾ける場合と同様に、芯出しガイド9の直線部9aが、本体2の内側面5aに接触して、本体2の開口部7に蓋体3を円滑に案内する。
次いで、蓋体3を本体2から取り外す場合について、図15を参照して説明する。なお、ここでは、基端側凹状部32が第1の蝶着ピン26Aを収容した状態からの取り外しについて説明するが、基端側凹状部32が第2の蝶着ピン26Bを収容した状態からの取り外しについても同様の作用を奏する。図15(a)〜(c)は、蓋体3を本体2から取り外す手順を示す図である。
取外抵抗低減面37と下側斜面26bとは、第1の蝶着ピン26Aを円滑に移動して第1の蝶着ピン26Aに加わる負荷を低減する機能を果たす。なお、取外抵抗低減面37と下側斜面26bとをともに設けることが好ましいが、少なくとも取外抵抗低減面37を設ければ、この機能を発揮できる。
このように、取外抵抗低減面37と抜け防止面40とは、蓋体3が、本体2に対して一定の角度で開状態にする場合にのみ、蓋体3の取り外しを許容する。
また、蓋体3の取り外しにおいても、取り付け時と同様に、芯出しガイド9が、蓋体3の内側面5aに接触し第1の基準軸J1に対する蓋体3の姿勢を維持する。これにより、蓋体3が不用意な姿勢とならず、第1の蝶着ピン26Aに無理な力が掛かることを抑制できる。
次いで、大雨時の洪水等により、冠水が発生した場合の筐体1の状態について、図16(a)、(b)を参照して説明する。冠水が発生し筐体1が水没すると蓋体3に浮力が生じる場合がある。ここでは、蓋体3に浮力が生じた場合の蓋体3の基端側係合部51における外れ防止機能および先端側係合部52における簡易ロック機能について説明する。なお、以下の説明において、第1の蝶着ピン26Aを基端側凹状部32に収容するものとして説明するが、第2の蝶着ピン26Bを基端側凹状部32に収容した場合であっても、同様の作用効果を奏する。
筐体1が水没すると、蓋体3には浮上しようとする浮力が掛かる。この場合には、本体2の第1の蝶着ピン26Aと蓋体3の抜け防止面40とが互いに当接する。基端側凹状部32の内周面の抜け防止面40は、取外抵抗低減面37に比べて曲率半径がかなり小さい。このため、筐体1は、第1の蝶着ピン26Aと基端側凹状部32の抜け防止面40との当接によって、本体2から蓋体3の抜け出しを防止できる。また、蓋体3は、蓋体3の係合突起38が本体2の係合受け部29に係合しているので、閉状態の蓋体3の離脱をさらに確実に防止できる。
蓋体3に浮力が掛かると、上述したように基端側係合部51が蓋体3の基端3b側を係止しているために、蓋体3が開方向に回動しようとする力が生じる。この場合には、本体2の第2の蝶着ピン26Bと蓋体3の開抵抗低減面41が互いに当接する。先端側係合部52の開抵抗低減面41は傾斜しているために、上述の抜け防止面40と比較して、第2の蝶着ピン26Bが抜け出しやすい。そのため、開抵抗低減面41の傾斜角度は、蓋体3の浮力に対し、中間部分8bが撓んで第2の蝶着ピン26Bが左右方向外側に移動するための応力が大きくなるように設定することが好ましい。これにより、浮力により蓋体3が開くことを抑制できる。また、蓋体3が開かないことで、蓋体3の係合突起38が本体2の係合受け部29から離れることがなく、蓋体3の離脱をさらに確実に防止できる。
以上に説明したように、本実施形態の筐体1によれば、蓋体3を本体2に取り付けるとき、蓋体3を水平面に対していかなる角度で傾けて取り付ける場合でも、芯出しガイド9が蓋体3の内側面5aに接触し第1の基準軸J1に対する蓋体3の姿勢を維持して、基端側係合部51が第1の蝶着ピン26Aと接触する。これにより、芯出しガイド9は、本体2の開口部7に蓋体3を円滑に案内する。基端側凹状部32と第1の蝶着ピン26A(又は第2の蝶着ピン26B)とを、望ましい姿勢で係合できて、第1の蝶着ピン26A(又は第2の蝶着ピン26B)に無理な力が掛からずに破損を防止できる。加えて、芯出しガイド9は、開閉時に本体2の内側面5aと摺動するため、本体2に対する蓋体3のガタツキを少なくして安定した開閉を実現でき、不用意な蓋体3の外れを防止できる。
また、蓋体3の取付時には、取付抵抗低減面36と第1の蝶着ピン26A(又は第2の蝶着ピン26B)とが当接し、蓋体3の取外時には、取外抵抗低減面37と第1の蝶着ピン26A(又は第2の蝶着ピン26B)とが当接する。このため、蓋体3の取り付け作業および取り外し作業が容易である。
また、蓋体3の閉状態時および開状態時に基端側係合部51と第1の蝶着ピン26Aとが接触しても、左右方向に第1の基準軸J1に沿って第1の蝶着ピン26Aが移動するので互いに強く接触しない。このため、蓋体3の閉状態時および開状態時における第1の蝶着ピン26Aの損傷を防止できる。
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態として、図17(a)〜(c)を基に説明する。上述の第1実施形態では、本体2の蝶着ピン26A、26Bが基準軸J1、J2に沿って移動可能な構成であった。これに対して第2実施形態では、本体102の蝶着ピン126に対して、基端側係合部171Aおよび先端側係合部171Bが左右方向内側に移動する構成を有する。第1実施形態の芯出しガイド9に相当する芯出しガイド109は、基端側係合部171Aに形成する。なお、上述の第1実施形態と同一態様の機能を有する構成要素については、同一名称を付し詳細な説明を省略する。
カバー部材173は、板状の一対の基板173aと、基板173a同士を繋ぐ断面円弧状の壁部173bと、を有する。
一対の基板173aには、板部材165のねじ穴183に取り付けるねじ191を挿通する合計2つの孔174を形成する。また、一対の基板173aには、カバー部材173を固定板169に取り付けるねじ192が挿通する合計2つの孔175を形成する。
壁部173bの外周面には、本体102側の係合受け部29(図1(a)参照)と係合する係合突起106を形成する。また、壁部173bの内周面には、摺動溝176を形成する。壁部173bは、左右方向外側から内側に向かって延びる切欠部177を形成する。
基端側係合部171Aは、有底筒形状であり、左右方向外側に向かって開口する凹状部(基端側軸孔)171aを有する。また、基端側係合部171Aには、凹状部171aの周囲から外側に突出する芯出しガイド109を設ける。加えて、基端側係合部171Aは、第1実施形態と同様に、取付抵抗低減面36、取外抵抗低減面37および抜け防止面40を形成する(図5(c)参照)。基端側係合部171Aの外周面には、一対のスライドリブ171bを形成する。スライドリブ171bは、カバー部材173の摺動溝176に嵌り、基端側係合部171Aの移動方向を、左右方向のみに制限する。
固定板169は突出壁169aを有する。板部材165の取付部168に固定するためのねじ191が挿通する孔169bを4つ形成する。また、固定板169には、カバー部材173を固定するねじ192をねじ止めするためのねじ孔169cを2つ形成する。
弾性部材172は、基端側係合部171Aと突出壁169aとの間に、適度に圧縮した状態で、介在する。弾性部材172は、基端側係合部171Aを左右方向外側に付勢する。
カバー部材173は、ねじ192によって固定板169に固定する。また、基端側係合部構造体166Aおよび先端側係合部構造体166Bは、ねじ191によって、板部材165に固定する。
また、第2実施形態の蓋体104は、係合突起106をカバー部材173に設けるので、係合突起106と本体102の係合受け部29(図1(a)参照)との係合が安定して蓋体104の跳ね上がりを防止できる。
以下に第1実施形態および第2実施形態が含む発明について述べる。
第1実施形態および第2実施形態の筐体は、上側に開口部を有し開口部に第1の基準軸を設定した箱状の本体と、第1の基準軸の周りを回転し開口部を開閉する板状の蓋体とを備え、本体は、内側面からせり出して閉状態の蓋体を下側から支持する棚部と、第1の基準軸に沿って内側面から突出し互いに対向する一対の第1の突状軸とを有し、蓋体は、基端側に位置し蓋体の外周の互いに逆側に開口する一対の基端側軸孔を形成する一対の基端側係合部を有し、基端側軸孔は、第1の突状軸を収容して蓋体の開閉を案内し、基端側係合部には、基端側軸孔の周囲から第1の基準軸に沿って本体の内側面側に突出して本体の内側面と基端側係合部と間の隙間を狭くする芯出しガイドを設け、蓋体を本体に取り付けるとき、芯出しガイドが本体の内側面に接触して蓋体と本体との接触を維持する状態で、基端側係合部が第1の突状軸と接触する。この構成によれば、芯出しガイドは、本体の開口部に蓋体を円滑に案内できる。また、基端側軸孔に対し第1の突状軸を基準軸に沿った姿勢とした後に係合させることができるため、第1の突状軸に無理な力が加わることを抑制して破損を防止できる。加えて、芯出しガイドは、本体の開口の内周面側に突出して内周面と摺動するため、開閉時の蓋体のガタつきを少なくして安定した開閉を実現できる。これにより、蓋体の不用意な外れを防止できる。
また、第1実施形態および第2実施形態の筐体において、基準軸方向から見て、芯出しガイドは、基端側軸孔の上側に位置し蓋体の上面と平行に延びる直線部と、直線部の一端から下側に延び基端側軸孔に対して蓋体の先端側に位置する連続部と、を有する。この構成によれば、蓋体を水平面に対していかなる角度に傾斜した状態で、本体に取り付けた場合であっても、第1の突状軸が基端側軸孔に係合する前に、芯出しガイドが本体の内側面に接する。これにより、第1の突状軸に無理な力が加わることを抑制して破損を防止できる。
また、第1実施形態および第2実施形態の筐体において、蓋体は、基端側に形成する摺動面を有し、棚部は、摺動面が摺動することで蓋体の回転を案内する案内部を有する。この構成によれば、開閉時においても、本体の突状軸には負担が掛かり難い。
また、第1実施形態および第2実施形態の筐体において、基端側係合部は、基端側軸孔の内周面に、基端側軸孔の縁部に向かって傾斜する第2の傾斜面と第1の基準軸と略平行に延びる抜け防止面とを有し、第2の傾斜面と抜け防止面とは、基端側軸孔の周方向に互いに隣り合い、第2の傾斜面は、蓋体が開状態にあるときに上側を向き、抜け防止面は、蓋体が閉状態にあるときに上側を向く。この構成によれば、蓋体を開状態として持ち上げることで、本体から容易に取り外しできる。また、閉状態においては、蓋体が不要に外れることがない。
また、第1実施形態および第2実施形態の筐体において、第1の突状軸の上部には、根元側から先端側に向かって斜め下方に傾斜する上側斜面を有する。この構成によれば、本体への蓋体の取り付けがより一層、容易となる。
また、第1実施形態および第2実施形態の筐体において、第1の突状軸の下部には、根元側から先端側に向かって斜め上方に傾斜する下側斜面を有する。この構成によれば、蓋体を開状態として持ち上げた際の取り外しが、より一層、容易となる。
また、第1実施形態および第2実施形態の筐体において、蓋体が開状態および閉状態にあるとき、基端側軸孔は、第1の突状軸を遊嵌状態で収容する。この構成によれば、本体の突状軸には負荷が掛かり難い。
また、第1実施形態および第2実施形態の筐体において、蓋体は、本体に取り付けた状態で、基端側に第1の基準軸と直交する方向に延びる係合突起を有し、本体の棚部は、外側に向かって窪む係合受け部を有し、閉状態で係合受け部が、係合突起を収容する。この構成によれば、蓋体が本体から不要に跳ね上がることを防止できる。
Claims (13)
- 上側に開口部を有し前記開口部に第1の基準軸を設定した箱状の本体と、
前記第1の基準軸の周りを回転し前記開口部を開閉する板状の蓋体とを備え、
前記本体は、内側面からせり出して閉状態の前記蓋体を下側から支持する棚部と、前記第1の基準軸に沿って内側面から突出し互いに対向する一対の第1の突状軸とを有し、
前記蓋体は、基端側に位置し前記蓋体の外周の互いに逆側に開口する一対の基端側軸孔を形成する一対の基端側係合部を有し、
前記基端側軸孔は、前記第1の突状軸を収容して前記蓋体の開閉を案内し、
前記基端側係合部には、前記基端側軸孔の周囲から前記第1の基準軸に沿って前記本体の内側面側に突出して前記本体の内側面と前記基端側係合部と間の隙間を狭くする芯出しガイドを設け、
前記蓋体を前記本体に取り付けるとき、前記芯出しガイドが前記本体の内側面に接触して前記蓋体と前記本体との接触を維持する状態で、前記基端側係合部が前記第1の突状軸と接触する、筐体。 - 前記基端側軸孔は、前記蓋体の上面と平行な直径線を有する半円状に形成する、請求項1に記載の筐体。
- 基準軸方向から見て、前記芯出しガイドは、前記基端側軸孔の上側に位置し前記蓋体の上面と平行に延びる直線部と、前記直線部の一端から下側に延び前記基端側軸孔に対して前記蓋体の先端側に位置する連続部と、を有する、請求項1又は2に記載の筐体。
- 前記蓋体は、前記基端側に形成する摺動面を有し、
前記棚部は、前記摺動面が摺動することで前記蓋体の回転を案内する案内部を有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の筐体。 - 前記第1の突状軸は、前記本体の内側面から一体的に延びる支持部の先端に位置し、
前記支持部は、根元側に位置する基端側部分と前記基端側部分より先端側に位置する弾性変形可能な中間部分とを有し、
前記第1の突状軸は、前記中間部分が弾性変形することで前記第1の基準軸に沿って移動可能であり、かつ前記中間部分が前記第1の突状軸を前記基端側係合部に向かって付勢する、請求項1〜4の何れか一項に記載の筐体。 - 前記基端側係合部は、前記第1の基準軸に沿って前記蓋体の外周と略同一の面まで移動可能であり、かつ付勢手段を設けて前記第1の突状軸に向かって付勢する、請求項1〜4の何れか一項に記載の筐体。
- 前記基端側係合部は、前記基端側軸孔の外側から縁部に向かって傾斜する第1の傾斜面を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の筐体。
- 前記基端側係合部は、前記基端側軸孔の内周面に、前記基端側軸孔の縁部に向かって傾斜する第2の傾斜面と前記第1の基準軸と略平行に延びる抜け防止面とを有し、
前記第2の傾斜面と前記抜け防止面とは、前記基端側軸孔の周方向に互いに隣り合い、
前記第2の傾斜面は、前記蓋体が開状態にあるときに上側を向き、前記抜け防止面は、前記蓋体が閉状態にあるときに上側を向く、請求項1〜7の何れか一項に記載の筐体。 - 前記第1の突状軸の上部には、根元側から先端側に向かって斜め下方に傾斜する上側斜面を有する、請求項1〜8の何れか一項に記載の筐体。
- 前記第1の突状軸の下部には、根元側から先端側に向かって斜め上方に傾斜する下側斜面を有する、請求項1〜9の何れか一項に記載の筐体。
- 前記蓋体が開状態および閉状態にあるとき、前記基端側軸孔は、前記第1の突状軸を遊嵌状態で収容する、請求項1〜10の何れか一項に記載の筐体。
- 前記蓋体は、前記本体に取り付けた状態で、前記基端側に前記第1の基準軸と直交する方向に延びる係合突起を有し、
前記本体の前記棚部は、外側に向かって窪む係合受け部を有し、
閉状態で前記係合受け部が、前記係合突起を収容する、請求項1〜11の何れか一項に記載の筐体。 - 前記本体の前記開口部に第2の基準軸を設定し、
前記本体は、前記第2の基準軸に沿って内側面から突出し互いに対向する第2の突状軸を有し、
前記基端側軸孔は、前記第1の突状軸および前記第2の突状軸のうち何れか一方を選択的に収容する、請求項1〜12の何れか一項に記載の筐体。
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