以下、この発明に係る配線器具収容函およびケーブルの引出構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図12は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、配線器具収容函であって、例えば、ブレーカーとかコンセント等の配線器具(図示せず)が収容される。10は、その配線器具収容函1を用いたケーブルの引出構造である。
配線器具収容函1は、配線器具が据え付けられる基板部2aと、その基板部2aから立設する周壁2bとを備え、内部に配線器具を収容する収容空間2cを形成するとともに、その収容空間2cの基板部2aとは反対側が開放されて開口部2dとなる、函本体2と、開口部2dを開閉すべく函本体2に回動可能に取り付けられる蓋体3と、を有する。蓋体3は、基板部2aと対向して開口部2dを閉塞する閉塞板部3aと、その閉塞板部3aから基板部2a側へ延出する延設壁3bとを備える。ここで、周壁2bまたは/および延設壁3b(図示実施の形態においては、延設壁3b)には、収容空間2cに収容されてなる配線器具に接続されたケーブル11を外部に引き出すための引出口1aを構成する、切欠部4が、周壁2bまたは/および延設壁3b(図示実施の形態においては、延設壁3b)の先端から基端側に向かって切り欠かれるようにして設けられている。この引出口1aは、蓋体3が、開口部2dの全体を外部に開放する回動位置(図10参照)と、開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置(図6〜図9参照)との間の、途中の回動位置(図1〜図5および図12参照)に位置した状態で、前記ケーブル11を外部に引き出し可能に開口する。そして、周壁2bおよび延設壁3bには、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3の回動を規制する、規制手段5を構成する、規制部5aが設けられている。なお、前記途中の回動位置は、例えば、函本体2と蓋体3との間(詳細には、周壁2bと延設壁3bとの間)から収容空間2c内に手を差し入れてケーブル11の抜き差しをしたりあるいは前記配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりすることができない位置(好ましくは、収容空間2c内に手を差し入れて前記配線器具に触れることができない位置、より好ましくは、収容空間2c内に手を差し入れることができない位置)であるのが、いたずらを防止するという点において望ましいが、上述の位置に限定されるわけではない。
具体的には、配線器具収容函1は、略直方体形状に形成されている。そして、函本体2においては、基板部2aは、正面視略方形状(詳しくは、正面視略長方形状)に形成されており、周壁2bは、その基板部2aの各辺から略垂直に起立して収容空間2cの四方を囲むようにして、方形枠状(詳しくは、長方形枠状)に形成されている(図2および図4等参照)。また、蓋体3においては、閉塞板部3aは、正面視略方形状(詳しくは、正面視略長方形状)であって、短手方向における中央側ほど外方に若干膨らむ湾曲板状に形成されており(図7等参照)、延設壁3bは、周壁2bに対応して閉塞板部3aの各辺から延出するようにして、方形枠状(詳しくは、長方形枠状)に形成されている(図2、図4および図10等参照)。そして、蓋体3は、前記四方における一方側(詳しくは、閉塞板部3aの長手方向における一方側)を回動軸1bとして、函本体2に回動可能に取り付けられている。なお、符号2eは、延設壁3b(詳しくは、前記短手方向における両側の延設壁3b)の内側に形成された連結筒部(図示せず)が嵌まってヒンジを形成する、連結軸部である。また、符号2fおよび3cは、蓋体3が所定の回動位置に位置した状態を仮保持するための仮保持手段を構成する突起部である。また、符号2gは、蓋体3の回動を案内する案内曲面を備えた案内部である。
ここで、蓋体3における前記一方側とは反対側(すなわち、回動軸1bとは反対側)となる他方側の延設壁3bに、前記切欠部4が設けられている。そして、この切欠部4と、函本体2における前記他方側の周壁2bの先端とで、引出口1aが形成される(図1〜図3、図5および図12参照)。詳細には、切欠部4は、略逆T字形状に切り欠かれており、前記他方側の延設壁3bの先端から基端側に向かって略方形状(詳しくは、略長方形状)に切り欠かれた第1切欠部4aと、その第1切欠部4aの中央部分からさらに基端側に向かって幅狭に延びるように切り欠かれた(詳しくは、半円形と方形とを接合した形状に切り欠かれた)第2切欠部4bとからなる。また、切欠部4は、その周縁部4cが外方に突き出るように形成されている。なお、図示実施の形態においては、引出口1aは、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態で、完全に塞がれ、これにより、ケーブル11の外部への引き出しが不能となる(図7等参照)。
また、函本体2における前記他方側の周壁2bには、ノックアウト部6が複数設けられている(図1〜図3等参照)。詳細には、前記他方側の周壁2bの先端側に、略台形板状に形成された第1ノックアウト部6aが、周壁2bの先端から基端側に向かって延びるように、かつ、その周縁が外方に突き出るように設けられている。また、前記他方側の周壁2bの基端側に、円板状に形成された第2ノックアウト部6b、6bが設けられている。さらに、函本体2の周壁2bの先端側には、外方に突き出るフランジ部2hが、周壁2bの全周に渡って連続するように設けられている(図2および図11等参照)。また、このフランジ部2hは、函本体2における前記他方側の周壁2b以外の周壁2bにおいて、二重に形成されている。さらに、前記一方側の周壁2bには、フランジ部2hより外方に大きく突き出た他のフランジ部2iが、フランジ部2hより基板部2a側に位置するように設けられている(図4および図11等参照)。
また、この配線器具収容函1にあっては、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、周壁2bと延設壁3bとが、引出口1aを除く全周に渡って互いに重なり合っている(図1〜図5および図12参照)。詳細には、蓋体3の前記短手方向における両側の延設壁3b、3bは、その先端に、前記他方側ほど閉塞板部3aから離れるように傾斜する(言い換えれば、前記他方側ほど壁の延出長が大きくなるように傾斜する)傾斜辺を備えており、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、前記短手方向における両側の延設壁3b、3bの先端が、対応する周壁2bの先端(詳しくは、フランジ部2h)よりも、基板部2a側に位置するようになっている。また、前記一方側の延設壁3bの先端、および、前記他方側の延設壁3bの引出口1aを除いた先端についても、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、対応する周壁2bの先端(詳しくは、フランジ部2h)よりも、基板部2a側に位置するようになっている。このため、この配線器具収容函1にあっては、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、引出口1aを除く全周に渡って、函本体2と蓋体3との間(詳しくは、周壁2bと延設壁3bとの間)から収容空間2c内に手を差し入れることができないようになっている(言い換えれば、前記途中の回動位置は、引出口1aを除く全周に渡って、周壁2bと延設壁3bとの間から収容空間2c内に手を差し入れることができない位置となっている)。なお、周壁2bと延設壁3bとは、引出口1aを除く全周に渡って、互いに当接するように重なり合ってもよいし、互いに若干離れて重なり合ってもよい。
そして、前記他方側の周壁2bおよび前記他方側の延設壁3bに、前記規制部5aが設けられている。ここで、前記規制手段5としての第1の規制手段は、蓋体3を施錠することでその回動を規制する施錠装置7からなり、規制部5aは、施錠装置7を構成する施錠部7aからなる。この施錠部7aは、施錠装置7を構成する施錠具7b(例えば、南京錠、チェーンロック、ダイヤル錠等)が取り付けられる施錠具取付孔7cを有する(図1〜図5等参照)。
詳細には、施錠具取付孔7cは、前記他方側の周壁2bを貫通するように形成された円形状の第1貫通孔7dと、前記他方側の延設壁3bを貫通するように形成された円形状の第2貫通孔7eとで構成されている。第1貫通孔7dは、第1ノックアウト部6aの先端側の側方にて、フランジ部2hに隣接するようにして設けられており、その周縁は、外方に突き出るように形成されている(図2および図4参照)。一方、第2貫通孔7eは、第1切欠部4aの先端側の側方にて、周縁部4cに隣接するようにして設けられている(図2参照)。そして、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、第1貫通孔7dと第2貫通孔7eとが互いに連通するとともに、施錠具7bを、それら第1貫通孔7dと第2貫通孔7eとを通すように取り付けることで、蓋体3は施錠される(図1〜図5参照)。
また、周壁2bおよび延設壁3bには、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3を施錠することでその回動を規制する、他の施錠装置8を構成する、他の施錠部8aが設けられている。そして、他の施錠部8aは、施錠装置7の構成と他の施錠装置8の構成の双方を兼ねる前記施錠具7bが取り付けられる、他の施錠具取付孔8bを有する。
詳細には、他の施錠具取付孔8bは、前記他方側の周壁2bに形成された楕円形状の第3貫通孔8cと、前記他方側の延設壁3bを貫通するように形成された楕円形状の第4貫通孔8dとで構成されている(図2、図7および図8等参照)。前記他方側の周壁2bには、第1ノックアウト部6aの基端側の側方にて、外方に突出する凸部8eが設けられており、この凸部8eを前記他方側の周壁2bの壁面に沿う方向に貫通するようにして、第3貫通孔8cが設けられている。一方、第4貫通孔8dは、第1切欠部4aの基端側の側方にて、周縁部4cに隣接するようにして設けられており、その周縁は、切欠部4の周縁部4cと面一状に連続して外方に突き出るように形成されている。そして、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態で、第3貫通孔8cの軸心と第4貫通孔8dの軸心とをほぼ直交させて、施錠具7bを、それら第3貫通孔8cと第4貫通孔8dとを通すように取り付けることで、蓋体3は施錠される(図6〜図9参照)。
ところで、この配線器具収容函1にあっては、例えば、施錠具7bの代わりにピン部材等を施錠具取付孔7cに取り付ける(詳しくは、第1貫通孔7dと第2貫通孔7eとを通すように取り付ける)ことで単に蓋体3の回動を規制することもできる。すなわち、図示実施の形態においては、規制部5aは、規制手段5を構成する規制体5b(施錠装置7を構成する施錠具7bを含む)が取り付けられる規制体取付孔5cを有し、この規制体取付孔5cに、施錠具7bが取り付けられることで、規制部5aは、施錠装置7を構成する施錠部7aとして機能する(規制体取付孔5cが施錠具取付孔7cとして機能する)ことになる。
また、函本体2の内側には、規制手段5としての第2の規制手段(施錠装置ではない規制手段)を構成する規制体5bとなる、ピン部材5dが備え付けられている(図11参照)。詳細には、前記他方側の周壁2bには、第1貫通孔7dと同一形状(円形状)からなる孔2jが、第1ノックアウト部6aを間に置いて第1貫通孔7dと対称位置するように設けられており、この孔2jに、略L字形状に形成されたピン部材5dが、函本体2の内側から圧入されるようにして取り付けられている。そして、このピン部材5dを、孔2jから引き抜き、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、函本体2の外側から規制体取付孔5c(第1貫通孔7dおよび第2貫通孔7e)に通すように圧入することで、蓋体3の回動が規制される(図12参照)。
また、引出口1aは、外部に引き出されたケーブル11の、延設壁3bの延出方向と交差する方向(図示実施の形態においては、蓋体3の前記短手方向)へのずれ動きを制限するように、そのケーブル11を支持する、ケーブル支持部1cを有する(図1、図3、図5および図12参照)。そして、ケーブル支持部1cは、延設壁3bの基端側に向かって幅狭に延びるように切欠き形成されていて、そのケーブル支持部1cの両側は、延設壁3bが周壁2b側に向かって延出する壁となっている。具体的には、引出口1aは、前記他方側の延設壁3bの、略逆T字形状に切り欠かれた切欠部4(第1切欠部4aおよび第2切欠部4b)と、前記他方側の周壁2bの先端とで、略逆T字形状に形成されており、この引出口1aの中央に位置する、第2切欠部4bによって囲まれた部分が、ケーブル支持部1cとなっている。なお、引出口1aのケーブル支持部1cを除いた幅広部分1dの、高さ方向の開口寸法である隙間Sは、図5に示されるように、施錠具7bが、例えば南京錠であるような場合において、そのU字状のツル部分を挿入できる程度であるのが、いたずらを防止するという点において望ましいが、これに限定されるわけではない。
また、ケーブルの引出構造10にあっては、配線器具収容函1の収容空間2cに、配線器具が収容され、配線器具に接続されたケーブル11が函本体2と蓋体3との間から(図示実施の形態においては、前記他方側の延設壁3bに設けられた切欠部4と、前記他方側の周壁2bの先端との間から、すなわち引出口1aから)外部に引き出されているとともに、規制手段5により、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3の回動が規制されている(図5および図12参照)。図示実施の形態においては、配線器具収容函1は、例えば、建物の壁とかポール等の被取付体12に、前記他方側(引出口1a側)が下方に位置するように固定されている。そして、ケーブル11は、ケーブル支持部1cによって支持されるようにして、外部に引き出されている。とくに、図5に示す引出構造10にあっては、規制手段5としての第1の規制手段は、前記施錠装置7からなり、その施錠装置7により、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3が施錠されてその回動が規制されている。
次に、以上の構成からなる配線器具収容函1およびケーブルの引出構造10の作用効果について説明する。この配線器具収容函1およびケーブルの引出構造10によれば、蓋体3が、開口部2dの全体を外部に開放する回動位置と、開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置との間の、途中の回動位置に位置した状態で、引出口1aが、ケーブル11を外部に引き出し可能に開口する。そこで、この引出口1aからケーブル11を外部に引き出すことによって、例えば、配線器具に接続されたケーブル11が、剛性を有し、開口部2dに向かって延びるような場合であっても、そのケーブル11を無理に屈曲させることなく外部に引き出すことができる。そして、蓋体3が前記途中の回動位置に位置し、配線器具に接続されたケーブル11が引出口1aから外部に引き出された状態で、規制手段5により蓋体3の回動を規制することによって、人等が誤ってあるいはいたずら目的などで、ケーブル11の抜き差しをしたり、配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりする虞とか、突風等によって、蓋体3が不意に開口部2dを閉じてケーブル11を押し潰したり、蓋体3が不意に開口部2dを開いてヒンジを破壊したりする虞を低減することができ、作業上や保守管理上好ましい。
とくに、蓋体3が前記途中の回動位置に位置し、配線器具に接続されたケーブル11が引出口1aから外部に引き出された状態で、施錠装置7(前記第1の規制手段)により蓋体3を施錠することでその回動を規制することによって、人等がいたずら目的などで、ケーブル11の抜き差しをしたり配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりする虞を確実に低減することができる。
しかも、図示実施の形態においては、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、引出口1aを除く全周に渡って、函本体2と蓋体3との間(詳しくは、周壁2bと延設壁3bとの間)から収容空間2c内に手を差し入れることができないため、人等が誤ってあるいはいたずら目的などで、ケーブル11の抜き差しをしたり、配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりする虞をより一層低減することができる。その上、規制手段5としての第1の規制手段が施錠装置7からなるため、人等がいたずら目的などで、ケーブル11の抜き差しをしたり配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりする虞をより一層確実に低減することができる。
また、周壁2bおよび延設壁3b(詳細には、前記他方側の周壁2bおよび前記他方側の延設壁3b)には、他の施錠装置8を構成する、他の施錠部8aが設けられており、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態で、他の施錠装置8により蓋体3を施錠することでその回動を規制することによって、配線器具を使用しない状態においても、人等が誤ってあるいはいたずら目的などで、配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりする虞とか、突風等によって、蓋体3が不意に開口部2dを開いてヒンジを破壊したりする虞を確実に低減することができる。しかも、他の施錠部8aは、施錠装置7の構成と他の施錠装置8の構成の双方を兼ねる施錠具7bが取り付けられる、他の施錠具取付孔8bを有するため、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態と、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態との双方における、蓋体3の施錠による回動の規制を、共通の施錠具7bを用いて選択的に行うことができる。
また、引出口1aがケーブル支持部1cを有することにより、ケーブル11の、延設壁3bの延出方向と交差する方向(図示実施の形態においては、蓋体3の前記短手方向)へのずれ動きを制限し、ケーブル11を安定して引き出すことができる。しかも、このケーブル支持部1cは、延設壁3bの基端側に向かって幅狭に延びるよう切欠き形成されていて、そのケーブル支持部1cの両側は、延設壁3bが周壁2b側に向かって延出する壁となっているため、すなわち、引出口1aにおいて、外部に引き出されるケーブル11の両脇に延設壁3bの壁を残すため、ケーブル11がケーブル支持部1cによって支持されるようにして引き出された場合に、引出口1aの幅広部分1dの、高さ方向の開口寸法である隙間Sを小さくすることができる。これにより、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、引出口1aから収容空間2c内に手を差し入れ難くなり、人等が誤ってあるいはいたずら目的などで、ケーブル11の抜き差しをしたり、配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりする虞をさらに低減することができる。
また、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、周壁2bと延設壁3bとが、引出口1aを除く全周に渡って互いに重なり合っているため、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態であっても、配線器具収容函1内に雨水や埃などが入り難くなる。とくに、図示実施の形態においては、切欠部4の周縁部4c(および第1ノックアウト部6aの周縁)が外方に突き出るように形成され、また、函本体2の周壁2bに、外方に突き出るフランジ部2hや他のフランジ部2iが設けられているため、配線器具収容函1内に雨水や埃などがより一層入り難くなる。
また、図示実施の形態においては、蓋体3が所定の回動位置に位置した状態を仮保持するための仮保持手段を構成する突起部2f、3cが設けられており、この突起部2f、3cにより、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態や、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態を仮保持することによって、規制体5(施錠具7bとかピン部材5d)を、規制体取付孔5c(施錠具取付孔7c)や他の施錠具取付孔8bに容易に取り付けることができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、引出口1aは、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態で、完全に塞がれなくてもよく、ケーブル11を外部に引き出すことができない範囲で部分的に開口されていてもよい。
また、ケーブル11は、ケーブル支持部1cによって支持されるようにして、外部に引き出されなくてもよく、例えば、前記幅広部分1dを通るようにして、外部に引き出されてもよい。すなわち、ケーブル11は、延設壁3bの延出方向と交差する方向(図示実施の形態においては、蓋体3の前記短手方向)へのずれ動きが可能となるようにして、外部に引き出されてもよい。このとき、複数本のケーブル11、11が、延設壁3bの延出方向と交差する方向(図示実施の形態においては、蓋体3の前記短手方向)に沿って並ぶようにして、外部に引き出されてもよい。
また、図13に示されるように、複数本のケーブル11、11のうちの、一のケーブル11が、ケーブル支持部1cによって支持されるようにして、外部に引き出されるとともに、他のケーブル11、11が、前記幅広部分1dを通るようにして、外部に引き出されても構わない。
ここにおいて、上述の配線器具収容函1にあっては、図14に示すように、図1〜図5、図12および図13に示される回動位置から閉方向に若干回動した回動位置を、前記途中の回動位置としての別の途中の回動位置とし、蓋体3がその別の途中の回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3の回動を規制することもできる。具体的には、この引出口1aは、前記他方側の延設壁3bの第2切欠部4bと、前記他方側の周壁2bの先端とで、幅狭に(詳しくは、半円形と方形とを接合した形状に)形成されている。すなわち、引出口1aは、前記幅広部分を有しておらず、ケーブル支持部1cが引出口1aを形成している。そして、ケーブル支持部1cの両側の、延設壁3bが周壁2b側に向かって延出する壁は、蓋体3が前記別の途中の回動位置に位置した状態で、前記他方側の周壁2bの先端に達している。そこで、蓋体3が前記別の途中の回動位置に位置した状態で、前記他方側の周壁2bに設けられた前記第1貫通孔7dと、前記他方側の延設壁3bに設けられた前記第4貫通孔8dとが、互いに連通するとともに、例えば、上述のピン部材5d等を、それら第1貫通孔7dと第4貫通孔8dとに通すように圧入することで、蓋体3の回動が規制される(すなわち、第1貫通孔7dと第4貫通孔8dは、蓋体3が前記別の途中の回動位置に位置した状態で、規制体取付孔5cを構成することになる)。なお、図示実施の形態においては、蓋体3が前記別の途中の回動位置に位置した状態で、前記短手方向における両側の延設壁3b、3bの先端、前記一方側の延設壁3bの先端、および、引出口1aを除いた前記他方側の延設壁3bの先端が、対応する周壁2bの先端(フランジ部2h)よりも、基板部2a側に位置するようになっている(すなわち、周壁2bと延設壁3bとが、引出口1aを除く全周に渡って互いに重なり合っている)。
ところで、引出口1aから収容空間2c内に手を差し入れ難くしたり、配線器具収容函1内に雨水や埃などが入り難くするという観点においては、引出口1aは、必要以上に大きく形成されることなく、引き出すケーブル11の太さとか本数に対応した大きさに形成される(すなわち、ケーブル11が通る部分以外の部分を極力少なくする)のが望ましい。そこで、上述の配線器具収容函1にあっては、複数本のケーブル11、11を引き出す場合には、それら複数本のケーブル11、11に対応した大きさの引出口1aが形成される前記途中の回動位置(図1〜図5、図12および図13参照)において蓋体3の回動を規制するのが望ましく、また、1本のケーブル11を引き出す場合には、その1本のケーブル11に対応した大きさの引出口1aが形成される前記別の途中の回動位置(図14参照)において蓋体3の回動を規制するのが望ましい。
また、1本のケーブル11を引き出す場合であっても、とくに、ケーブル11の延設壁3bの延出方向と交差する方向(図示実施の形態においては、蓋体3の前記短手方向)へのずれ動きが可能となるように引き出す場合については、ケーブル11の前記ずれ動きが可能となる大きさの引出口1aが形成される前記途中の回動位置(図1〜図5、図12および図13参照)において蓋体3の回動を規制するのが望ましい。
このように、上述の配線器具収容函1にあっては、蓋体3の回動量が異なる2つの途中の回動位置(前記途中の回動位置および前記別の途中の回動位置)での蓋体3の回動の規制を、必要に応じて使い分けることができ、汎用性に優れる。とくに、この配線器具収容函1にあっては、蓋体3の回動量を若干変更するだけで、前記途中の回動位置と前記別の途中の回動位置とを使い分けることができ、使い勝手がよい。これは、切欠部4を略逆T字形状に切り欠くことで、引出口1aに、1本のケーブル11を前記ずれ動きを制限するようにして引き出すことができる部分(ケーブル支持部1c)と、複数本のケーブル11、11を引き出したり、ケーブル11を前記ずれ動きが可能となるように引き出したりすることができる部分(幅広部分1d)とが連続するように形成されることによるものである。もちろん、配線器具収容函1は、蓋体3の回動量が異なる3つ以上の途中の回動位置で蓋体3の回動の規制ができるものであってもよいし、1つの途中の回動位置のみで蓋体3の回動の規制ができるものであってもよい。また、前記仮保持手段が、各途中の回動位置において、蓋体3がその回動位置に位置した状態を仮保持するようにしてもよい。
また、ケーブル支持部1cは、引出口1aの中央に位置しなくてもよく、引出口1aの左右いずれかの側に位置してもよい。また、引出口1aは、複数のケーブル支持部1cを有していてもよい。さらには、図15に示されるように、引出口1aは、ケーブル支持部1cを有していなくてもよい。図示実施の形態においては、切欠部4は、前記第1切欠部4aからなり、前記第2切欠部を有していない。そして、引出口1aは、第1切欠部4aと前記他方側の周壁2bの先端とで、略方形状(詳しくは、略長方形状)に形成される。
また、図16に示されるように、切欠部4は、周壁2bおよび延設壁3bの双方に設けられてもよい。図示実施の形態においては、切欠部4は、前記第1切欠部4aと、前記他方側の周壁2bの先端から基端側に向かって略台形状(詳しくは、前記他方側の周壁2bの先端側ほど幅広となる略台形状)に切り欠かれた他の切欠部4dとで構成されている。具体的には、他の切欠部4dは、上述の第1ノックアウト部6aを打ち抜くことによって形成されている。そして、これら第1切欠部4aと他の切欠部4dとで、引出口1aが形成される。これにより、切欠部4が前記他方側の延設壁3bのみに設けられる場合(例えば、図15等)に比して、前記他方側の延設壁3bの切欠部4(図示実施の形態においては、第1切欠部4a)の開口高寸法を小さくしても、引出口1aは、充分にケーブル11を引き出し可能に開口するため、前記他方側の延設壁3bの切欠部4(図示実施の形態においては、第1切欠部4a)の開口高寸法を小さくすることができ、ひいては、延設壁3bの高さ寸法を小さくすることができる。なお、図16は、図14と同様に、蓋体3が前記別の途中の回動位置に位置した状態(すなわち、第1貫通孔7dと第4貫通孔8dとが互いに連通する状態)を示している。
また、図17に示されるように、切欠部4は、周壁2bのみに設けられてもよい。図示実施の形態においては、切欠部4は、前記他の切欠部4dからなり、前記第1切欠部とか前記第2切欠部を有していない。そして、引出口1aは、他の切欠部4dと前記他方側の延設壁3bの先端とで、略台形状(詳しくは、前記他方側の延設壁3bの先端側ほど幅広となる略台形状)に形成されている。また、周壁2bおよび延設壁3bには、前記他の施錠部(前記他の施錠具取付孔)が設けられていない。なお、図17は、図3等と同様に、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態(すなわち、第1貫通孔7dと第2貫通孔7eとが互いに連通する状態)を示している。
ここで、例えば、ケーブル11の剛性が高く、ケーブル11を引き出す際の屈曲半径を大きくしたい場合には、引出口1aが、周壁2bの先端よりもさらに閉塞板部3a側(図示実施の形態においては、前方側)に形成されるように、切欠部4を延設壁3bに設けるのが望ましい。加えて、例えば、延設壁3bの高さ寸法を小さくしたい場合、すなわち、延設壁3bの延出量を小さくしたい場合には、延設壁3bに設けた切欠部4の開口高寸法を小さくすることができるように、切欠部4を周壁2bおよび延設壁3bの両方に設けるのが望ましい。一方、周壁2bのみに切欠部4が設けられる構成を採用する場合としては、例えば、函本体2の周壁2bの高さ寸法が大きい場合、すなわち、函本体2が深い場合などが望ましい。
なお、他の切欠部4dは、第1切欠部4aや第2切欠部4bのように、予め切り欠かれるようにして設けられるものであってもよい。反対に、第1切欠部4aや第2切欠部4bは、他の切欠部4dのように、必要に応じてノックアウトを打ち抜くことによって設けられるものであってもよい。さらには、切欠部4(第1切欠部4a、第2切欠部4b、他の切欠部4d等)は、不使用時に、別体からなる蓋部材によって塞ぐことができるようにしてもよい。また、切欠部4(第1切欠部4a、第2切欠部4b、他の切欠部4d等)は、前記他方側の周壁2bまたは/および前記他方側の延設壁3bに設けられていなくてもよく、他の周壁2bまたは/および他の延設壁3bに設けられてもよい。
また、蓋体3の前記短手方向における両側の延設壁3b、3bの先端は、前記他方側ほど閉塞板部3aから離れるように傾斜する傾斜辺を備えていなくてもよく、例えば、閉塞板部3aに対して平行に延びる平行辺を備えるものであってもよい。また、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態で、周壁2bと延設壁3bとが、引出口1aを除く全周に渡って互いに重なり合っていなくてもよく、例えば、引出口1aおよびその周辺を除く全周に渡って互いに重なり合っていてもよい。
また、蓋体3が前記途中の回動位置や前記別の途中の回動位置に位置した状態で、前記短手方向における両側の延設壁3b、3bの先端、前記一方側の延設壁3bの先端、および、引出口1aを除いた前記他方側の延設壁3bの先端のうちの一部あるいは全部が、対応する周壁2bの先端(フランジ部2h)に近接することで、蓋体3が前記途中の回動位置や前記別の途中の回動位置に位置した状態で、引出口1aを除く全周に渡って、函本体2と蓋体3との間(詳しくは、周壁2bと延設壁3bとの間)から収容空間2c内に手を差し入れることができない(もしくは手を差し入れることが極めて困難となる)ようになっていてもよい。
また、周壁2bまたは/および延設壁3bには、図示実施の形態のように、切欠部4が設けられていてもよい(すなわち、引出口1aが形成されてもよい)し、切欠部4が設けられなくてもよい(すなわち、引出口1aが形成されなくてもよい)。ここで、例えば、配線器具収容函1は、配線器具が据え付けられる基板部2aと、その基板部2aから立設する周壁2bとを備え、内部に配線器具を収容する収容空間2cを形成するとともに、その収容空間2cの基板部2aとは反対側が開放されて開口部2dとなる、函本体2と、開口部2dを開閉すべく函本体2に回動可能に取り付けられる蓋体3と、を有し、蓋体3は、基板部2aと対向して開口部2dを閉塞する閉塞板部3aと、その閉塞板部3aから基板部2a側へ延出する延設壁3bとを備え、周壁2bおよび延設壁3bには、蓋体3が、開口部2dの全体を外部に開放する回動位置と、開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置との間であって、収容空間2cに収容されてなる配線器具に接続されたケーブル11を函本体2と蓋体3との間(例えば、前記他方側の周壁2bと前記他方側の延設壁3bとの間)から外部に引き出し可能であり、かつ、函本体2と蓋体3との間(例えば、周壁2bと延設壁3bとの間)から収容空間2c内に手を差し入れてケーブル11の抜き差しをしたりあるいは配線器具(ブレーカー等)の操作部に触れたりすることができない位置となる、途中の回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3の回動を規制する、規制手段5を構成する、規制部5aが設けられるものであってもよい。
そして、この場合においても、規制手段5が、蓋体3を施錠することでその回動を規制する施錠装置7からなり、規制部5aは、施錠装置7を構成する施錠部7aからなってもよい。また、この場合においては、例えば、蓋体3には、前記他方側の延設壁3bが設けられておらず、ケーブル11を、前記他方側の周壁2bと閉塞板部3aとの間から引き出し可能であっても構わない。
また、ケーブルの引出構造10についても、図示実施の形態のように、引出口1aが形成されてもよいし、引出口1aが形成されなくてもよい。ここで、例えば、ケーブルの引出構造10は、配線器具収容函1の収容空間2cに、配線器具が収容され、配線器具に接続されたケーブル11が函本体2と蓋体3との間(例えば、前記他方側の周壁2bと前記他方側の延設壁3bとの間)から外部に引き出されているとともに、規制手段5により、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3の回動が規制されてもよい。そして、この場合においても、規制手段5が、蓋体3を施錠することでその回動を規制する施錠装置7からなり、その施錠装置7により、蓋体3が前記途中の回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3が施錠されてその回動が規制されてもよい。
また、配線器具収容函1は、被取付体12に、前記他方側(引出口1a側)が下方に位置するように固定されなくてもよく、例えば、前記他方側(引出口1a側)が斜め下方とか横方に位置するように固定されてもよい。
また、施錠部7aは、施錠装置7を構成する施錠具7bが取り付けられる施錠具取付孔7cを有するものでなくてもよく、例えば、施錠装置7を構成する鍵が挿入される鍵孔を有するもの等、施錠装置7を構成するものであれば、特に限定されない。また、規制部5aは、規制手段5を構成する規制体5bが取り付けられる規制体取付孔5cを有するものでなくてもよく、規制手段5を構成するものであれば、特に限定されない。
同様に、他の施錠部8aは、前記施錠具7bが取り付けられる施錠具取付孔8bを有するものでなくてもよく、例えば、施錠装置7の構成と他の施錠装置8の構成の双方を兼ねる鍵が挿入される鍵孔を有するもの等、他の施錠装置8を構成するものであれば、特に限定されない。
また、図示実施の形態においては、他の施錠装置8によって、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置を保持すべく蓋体3を施錠することでその回動を規制しているが、単に、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置を保持すべく蓋体3の回動を規制するようにしてもよい。すなわち、周壁2bおよび延設壁3bには、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置に位置した状態を保持すべく蓋体3の回動を規制する、他の規制手段を構成する、他の規制部が設けられ、この他の規制部は、規制手段5の構成と他の規制手段の構成の双方を兼ねる規制体(例えば、前記施錠具7bとか前記ピン部材5dなど)が取り付けられる、他の規制体取付孔を有してもよい。また、他の規制部(他の施錠部8aを含む)は、設けられていなくても構わない。
また、必ずしも前記施錠具7bが施錠装置7の構成と他の施錠装置8の構成の双方を兼ねていなくてもよく、例えば、前記施錠具7bが施錠装置7を構成し、前記施錠具7bとは別の施錠具が他の施錠装置8を構成するようにしてもよい。また、施錠部7aが、施錠装置7を構成する鍵が挿入される鍵孔を有し、他の施錠部8aが、施錠装置7を構成する鍵とは別の鍵が挿入される鍵穴を有してもよい。さらには、規制体5b(例えば、ピン部材5d)が規制手段5を構成し、その規制体5bとは別の規制体が前記他の規制手段を構成するようにしてもよい。
また、規制手段5や前記他の規制手段が、蓋体3の開方向の回動を規制するものと、蓋体3の閉方向の回動を規制するものとで、別々に構成されていても構わない。このとき、蓋体3の開方向の回動または閉方向の回動のうちの、いずれか一方については、施錠することでその回動を規制し、いずれか他方については、施錠することなくその回動を規制するようにしてもよい。この場合、蓋体3の開方向の回動については、施錠することでその回動を規制し、蓋体3の閉方向の回動については、施錠することなくその回動を規制するのが望ましい。
また、規制部5a(施錠部7aを含む)や他の規制部(他の施錠部8aを含む)は、前記他方側の周壁2bおよび前記他方側の延設壁3bに設けられなくてもよく、他の周壁2bとか他の延設壁3bに設けられてもよい。
また、図示実施の形態においては、規制手段5(施錠装置7を含む)は、蓋体3が前記途中の回動位置における一の回動位置(図5および図12等参照)からほとんど回動しないようにその回動を規制しているが、規制手段5(施錠装置7を含む)が、遊びをもって蓋体3の回動を規制するようにしてもよい。同様に、図示実施の形態においては、他の施錠装置8は、蓋体3が開口部2dの全体を閉塞板部3aで閉塞する回動位置における一の回動位置(図9参照)からほとんど回動しないようにその回動を規制しているが、前記他の規制手段(他の施錠装置8を含む)が、遊びをもって蓋体3の回動を規制するようにしてもよい。もちろん、規制手段5は、蓋体3が前記別の途中の回動位置における一の回動位置(図14等参照)からほとんど回動しないようにその回動を規制するようにしてもよいし、遊びをもって蓋体3の回動を規制するようにしてもよい。