JP6496275B2 - 洗濯耐久性を有する高通気性織物 - Google Patents

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Description

本発明は適度な防風性を維持しつつ、発汗しても蒸れにくい、アウトドア、スポーツ、カジュアル用に適したウィンドブレーカーやダウン製品の側地として好ましく用いられる織物に関する。特に、洗濯などの外的揉まれに対しても安定した通気性を維持できる織物に関する。
登山やハイキング等のアウトドア用途で使用されるウィンドブレーカー等のジャケットや寝袋、また街着用としてのブルゾンやコートには、防風性、ダウンプルーフ性、保温性、軽量性を備えた織物が使用される。これらの織物は、通常、通気度が1.5cc/cm2/s以下となるように製造されている。
近年、動物愛護や環境保護の観点から、ダウン製品においては、中綿として羽毛が採用されにくくなっており、その代替品として、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリフェニルサルファイド系等の樹脂製中綿が使用されてきている。しかし、これらの素材はそもそも吸湿性に乏しいため、羽毛と比べると発汗時のムレ感が解消されにくい。またこれらの中綿は、羽毛と比べるとダウン抜けしにくいため、羽毛と同程度にまで側地の通気度を下げる必要がない。そのため、樹脂製中綿を含むダウン製品においては、発汗時のムレ感をある程度抑制するため、側地の通気度を上げる必要が生じてきた。
高通気度の織物は、例えば、特許文献1に開示されており、この特許文献1では、繊維表面から裏面に貫通した穴が存在する織物が提案されている。しかしこの穴は、経糸と緯糸との交差部分の少なくとも一部が溶解することにより形成されるため、穴が目視で確認できるほどに大きく、ダウンプルーフ性が十分に発揮されない。しかも、交差部分の一部を溶解することにより穴を形成するため、生産コストが嵩み、工業生産にも適さない。
また洗濯等の揉まれにより、織物を構成する単糸がズレてしまうと、単糸がズレた部分が高通気度となり、防風性やダウンプルーフ性が低下してしまうおそれがある。そのため、上記用途に用いられる織物には、洗濯後でも通気度が上昇しにくい性質が求められる。このような問題に対処した例としては、例えば特許文献2に、布帛の一側の面に対してカレンダー加工が施された後に、前記布帛の少なくとも他側の面に対して、非溶剤系ウレタン樹脂がコーティングされたダウンプルーフ性織物の製造方法が示されている。しかし特許文献2により得られる織物には、樹脂がコーティングされているため、本方法では織物の通気度を上げることができないという問題が存在している。
特許第5714811号公報 特許第5849141号公報
高通気度の側地用織物を提供するため、本発明者らは以下の2つの方法を検討した。
方法1;織密度を下げ、且つ、ハイマルチフィラメントを採用する
方法2;カレンダー加工(圧力、温度、速度等)の条件を緩くする
方法1では、織密度を下げたことで高通気度の織物が得られたものの、織密度が低いため単糸のズレが大きくなり、目寄れが生じてしまったため生地品位が大きく低下した。
方法2は、従来品(低通気度織物)の製造方法にヒントを得ている。カレンダー加工の条件を緩くすることで、単糸間の隙間が完全に潰されなくなったため、製織時に形成された単糸間の隙間が維持され織物の通気度は上昇した。しかしながら、単糸が固定されていないため、洗濯時のもみ等により単糸が容易にズレてしまい、洗濯後において初期通気度を維持することができなかった。特に単糸が丸型断面形状を有する場合には、単糸のズレ(転がり)が顕著であった。またカレンダー加工の条件を緩くすることで、表糸を構成する単糸が織物の厚さ方向に重なりやすくなった。しかしこの第2交差部では、外的な刺激によって単糸が毛羽立ち易く、新たな生地品位低下の問題が懸念されるようになった。
本発明の課題は、高通気度でありながら、繰り返し洗濯後であっても通気度が悪化し難く、良好な生地品位を有する織物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、織物を構成する単糸として略四角形単糸を用い、単糸の配列として第1交差部と第2交差部を混在させかつ、該略四角形単糸の配列状態をコントロールすることにより、高通気度でありながら、繰り返し洗濯後であっても単糸の転がりを抑制し、その転がりに起因する通気度の悪化を抑制し、略四角形単糸の平面性を生かすことにより耐摩耗性にも優れた織物が提供されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る織物は、以下の点に要旨を有する。
[1]複数の略四角形単糸からなる経糸と、複数の略四角形単糸からなる緯糸が表裏に重なり合う交差部を有する織物であって、
表糸を構成する略四角形単糸が一列に並んでいる交差部を第1交差部とし、
表糸を構成する単糸のうち60%以上が一列に並んで形成されている単糸列の上または下に、前記表糸を構成する単糸の残部が織物の厚さ方向に重なっている交差部を第2交差部としたとき、
経糸5本及び緯糸6本からなる組織に含まれる30個の交差部中、第1交差部の合計数が10%以上90%以下であることを特徴とする織物。
[2]前記略四角形単糸が、4本の辺からなる略四角形断面を有する単糸である[1]に記載の織物。
[3]前記略四角形断面が、一組の対角が30°以上90°以下の平行四辺形である[2]に記載の織物。
[4]前記略四角形断面が、4本の辺の長さが全て等しい菱形である[2]または[3]に記載の織物。
[5]前記略四角形単糸の単糸繊度が1.0dtex以上7.0dtex以下であり、
略四角形単糸からなる合成繊維マルチフィラメントの含有率が、織物100質量%中40質量%以上であり、
前記合成繊維マルチフィラメントの総繊度が5.0dtex以上40dtex以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の織物。
[6]カバーファクターが1450以上2400以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の織物。
[7]JIS L1096 8.27.1 A法のフラジール形法で測定される初期通気度が2.0cc/cm/s以上25cc/cm/s以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の織物。
[8]JIS L1096 8.27.1 A法のフラジール形法で測定される初期通気度(L)に対するJIS L0217 103法で測定される洗濯10回後の通気度(L10)の変化率(L10/L)が、0.8以上1.8以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の織物。
[9]JIS L1096 B法による12kg荷重での滑脱抵抗値が、経方向及び緯方向のそれぞれで4.0mm以下である[1]〜[8]のいずれかに記載の織物。
[10]200回磨耗後の磨耗等級が2級以上である[1]〜[9]のいずれかに記載の織物。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載の織物を側地とするウィンドブレーカー。
[12][1]〜[10]のいずれかに記載の織物を側地とするダウン製品。
なお本発明において「表糸」とは、織物表側面において、経糸または緯糸側面の織物表面に露出した部分をいう。
本発明によれば、高通気度でありながら、繰り返し洗濯後であっても通気度が悪化し難く、良好な生地品位を有する織物が提供される。そのため、本発明の織物を用いれば、適度な防風性やダウンプルーフ性を有しながらも発汗によるムレが抑えられ、滑脱悪化、摩耗、毛羽立ち等の懸念が少ないウィンドブレーカーやダウン製品が提供される。
図1は、交差部の説明図である。 図2は、第1交差部の一例を表す。 図3は、第2交差部の一例を表す。 図4は、第1交差部の割合を求める説明図である。 図5は、丸断面の単糸を使用した際の織物の状態を表す。 図6は、本発明で用いる異形モノフィラメントの繊維横断面の説明図である。 図7は、タフタの織組織を模式的に例示する説明図である。 図8−1は、リップストップタフタの一例を示す組織図である。 図8−2は、リップストップタフタの他の例を示す組織図である。 図8−3は、リップストップタフタの他の例を示す組織図である。 図8−4は、リップストップタフタの他の例を示す組織図である。 図9は、菱形の糸を紡糸するのに用いる口金吐出孔の概略断面図である。 図10−1は、摩擦堅牢度試験機II型(学振形)試験機の概略図である。 図10−2は、摩擦子に固定された面ファスナーの側面写真である。 図10−3は、摩擦子に固定された面ファスナーの上面写真である。 図11は、摩耗試験に供する試験片に関する説明図である。 図12は、引きつれの代表例を示す写真である。 図13は、毛羽立ちの代表例を示す写真である。 図14は、穴空きの代表例を示す写真である。
<I.織物の特徴>
本発明に係る織物は、複数の略四角形単糸からなる経糸と、複数の略四角形単糸からなる緯糸が表裏に重なり合う交差部を有する。通常緯糸は、経糸に対し直角に交差しており、織物を表面側からみたとき、前記交差部は、経糸と緯糸が重なる四角形として確認される。
図1には、交差部の説明図を示す。図1(a)は、本発明に係る織物の表面SEM写真であり(倍率:120倍)、この写真の上に交差部を示したものが図1(b)である。図1(b)では、経糸5本及び緯糸6本からなる組織に含まれる30個の交差部が観察される(但し、交差部が一部しか見えていないものは除く)。
そして本発明に係る織物は、表糸を構成する略四角形単糸が一列に並んでいる交差部(第1交差部)と、表糸を構成する単糸のうち60%以上(より好ましくは65%以上、更に好ましくは70%以上、好ましくは100%未満)が一列に並んで形成されている単糸列の上または下に、前記表糸を構成する単糸の残部が織物の厚さ方向に重なっている交差部(第2交差部)を有する。
第1交差部においては、表糸を構成する略四角形単糸が一列に並んでいる。略四角形単糸を一列に配列することにより、織物の厚さ方向に対する空気の通りを阻害できるため、第1交差部は、織物の低通気度化に寄与する。特に略四角形単糸は、隣り合う略四角形単糸と接した状態で配列されていることが好ましい。単糸の断面形状を略四角形としたことにより隣り合う単糸同士は広い面で接することが可能となるため、隣り合う略四角形単糸が密着していれば、略四角形単糸間の隙間が少なくなって織物の通気度が下がるためである。また第1交差部の比率が増えることで、第2交差部で生じていた毛羽立ち問題解消も期待できる。
一方、第2交差部では、表糸を構成する半数以上の略四角形単糸は一列に並んでいるが、残りの略四角形単糸は織物の厚さ方向に重なっている。第2交差部では、略四角形単糸の数本が織物の厚さ方向に重なっている分、第1交差部に比べて表糸の両脇に隙間が出来、空気が通りやすくなるため、第2交差部は織物の高通気度化に寄与することとなる。また第2交差部では、略四角形単糸が織物の厚さ方向に数本重なっていることにより、略四角形単糸同士は、横方向及び上下方向で面接触できるようになるため、単糸間の摩擦力が第1交差部に比べてより強固なものとなる。この単糸間の摩擦力によって単糸がより動きにくくなるため、第2交差部は外的な刺激による単糸のズレ(単糸の転がり)抑制にも寄与する。
「第1交差部」は、より具体的には、交差部において、単糸の露出表面の少なくとも一部が他の単糸で遮られていないと確認される単糸の本数が、表糸に実際に含まれる単糸の本数と一致している配列をいう。図2に第1交差部の一例を示す。図2(a)〜(b)は、第1交差部の表面SEM写真であるが、図2(a)では、表糸を構成する全ての単糸が互いに重なり合うことなく平行に配列されていることが分かる。また図2(b)では、表糸を構成する単糸のうち、上2本の単糸は少し曲がっているものの、写真より観察される単糸の本数(7本)は、表糸に実際に含まれる単糸の本数(7本)と一致しているため、このような例も第1交差部に含まれるものとする。また図2(c)に第1交差部の断面SEM写真を示すが、この写真が示す通り、第1交差部では表糸に含まれる単糸は互いに接触しながら配列されていることがわかる。
一方「第2交差部」は、より具体的には、交差部において、単糸の露出表面の少なくとも一部が他の単糸で遮られていないと確認される単糸の本数が、表糸に実際に含まれる単糸の本数未満の配列をいう。図3(a)〜(b)は、第2交差部の表面SEM写真であるが、共に、表糸を構成する単糸7本のうち2本が織物の厚さ方向に重なっているため、これらの配列は第2交差部に分類される。また図3(c)〜(e)には第2交差部の断面SEM写真を示すが、これらの写真からも、第2交差部では表糸を構成する単糸7本中1〜2本が織物の厚さ方向に重なっていることがわかる。
本発明の織物は、経糸5本及び緯糸6本からなる組織に含まれる30個の交差部中、第1交差部の合計数が10%以上であり、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上であり、90%以下であり、好ましくは85%以下であり、より好ましくは80%以下である。第1交差部が少なすぎると、織物の初期通気度が高くなりすぎてしまい、防風性、ダウンプルーフ性の観点から好ましくない。また第1交差部が多すぎると、織物の初期通気度が低くなってしまうため、発汗時のムレ感を十分に低減することができなくなってしまう。また第1交差部と第2交差部の比率をコントロールすることにより、外的刺激により単糸の転がりを抑制し、毛羽立ちの問題を解消することができる。
また本発明の織物は、経糸5本及び緯糸6本からなる組織に含まれる30個の交差部中、第2交差部の合計数が好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上であり、好ましくは90%以下であり、より好ましくは85%以下であり、更に好ましくは80%以下である。第2交差部が少なすぎると、織物の通気度が下がり過ぎてしまい発汗によるムレを効果的に抑制できなくなる虞があるため好ましくない。また、第2交差部が多すぎると、織物の通気度が上がり過ぎてしまい、防風性やダウンプルーフ性の観点等から好ましくない。
また本発明の織物は、経糸5本及び緯糸6本からなる組織に含まれる30個の交差部中、第1交差部と第2交差部の合計数が90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは98%以上であり、特に好ましくは100%である。織物に含まれる交差部の大部分を第1交差部及び第2交差部から構成することで、初期通気度が1cc/cm2/s以上の高通気性の織物が得られやすくなる。織物の通気性に関しては、具体的には、第2交差部の占有率を上げ、第1交差部の占有率を相対的に下げることで、織物は高通気となり、逆に第1交差部の占有率を上げ、第2交差部の占有率を相対的に下げることで、織物は低通気となる。更に、織物に含まれる交差部の大部分を第1交差部及び第2交差部から構成することで、洗濯による揉まれ等の外的刺激に対しても、通気度上昇(悪化)を抑える効果がある。
第1交差部は、織物中で均一に分散されるのではなく、第1交差部が2〜10個(より好ましくは、2〜4個)隣接する群として存在していることが望ましい。図4(a)には、本発明に係る織物の一例を示す。図4(a)に示される経糸5本及び緯糸6本からなる組織における30個の交差部には、第1交差部が15個、第2交差部が15個存在している。この図4(a)において、第1交差部は第2交差部と交互に存在するのではなく、第1交差部は群として存在していることがわかる(例えば、配列(1)〜(3)、配列(4)〜(5)、配列(7)〜(9)、配列(10)・(12)・(15))。第1交差部が群として存在できれば、中綿の抜けを効果的に抑制することが可能となる。
また第2交差部も、第2交差部が2〜10個(より好ましくは、2〜6個)隣接する群として存在していることが好ましく、第2交差部が群として存在できれば、高い通気度の織物を得やすくなる。
なお本発明において織組織は必ずしも平組織に限定されず、後述するようにリップストップタフタ組織等も採用できる。リップ部のように浮き糸が存在している部分は、単糸が2層配列もしくは2層配列以上になりやすいために低通気度に寄与することから、本発明においてリップ部は第1交差部として計算することとする。リップ部の糸には、平組織の糸を2本以上引き揃えたもの又は平組織の糸の1.8〜4.2倍程度の繊度を有する1本の糸を使用することができるが、リップ部を第1交差部として計算する際には、たとえリップ部が複数本の糸を引き揃えて形成されている場合であっても、1本の糸(経糸または緯糸)が打ち込まれているとみなして計算することとする。
<II.略四角形単糸・合成繊維マルチフィラメント>
本発明に係る織物は、複数の略四角形単糸からなる経糸と、複数の略四角形単糸からなる緯糸から構成される。単糸の断面を略四角形とすることで、隣り合う単糸同士の接触面積を大きくし、洗濯時等の外的刺激による単糸の転がりを抑制することが可能となる。
II−1.略四角形単糸
略四角形単糸とは、断面形状が略四角形の単糸である。ここで「略四角形」とは、4本の辺を有する平面図形を意味する。略四角形(後述する平行四辺形、菱形、長方形を含む)は、理想的には4つの頂点が明確で4つの辺が直線であることが望ましい。しかしながら、略四角形単糸を製造する工程において、樹脂の押し出し速度、吐出量、冷却速度のムラ等により、略四角形は、必ずしも頂点が明確にならなかったり、辺の一部が曲線になる場合がある。しかしながら、製造上の問題を包含するこのような略四角形(すなわち、頂点が明確でない略四角形や、辺の一部が曲線の略四角形)も、本発明の略四角形に含まれるものとする。
前記略四角形としては、例えば、2組の対辺がそれぞれ平行である平行四辺形が好ましい。2組の対辺がそれぞれ平行であれば、隣り合う略四角形単糸同士が接触しやすくなる上に、一列にもなりやすく、また、二列以上に配列された場合でも、略四角形単糸間のずれを高いレベルで抑制することが可能となる。前記平行四辺形には、2組の対角の大きさがそれぞれ等しい、2組の対辺の長さがそれぞれ等しいといった特徴がある。よって本発明における平行四角形には、4本の辺の長さが全て等しい菱形、4つの内角が全て等しい長方形、4本の辺の長さ及び4つの内角が全て等しい正方形なども含まれる。
平行四辺形における一組の対角は、30°以上が好ましく、35°以上がより好ましく、40°以上が更に好ましい。1組の対角が30°を下回ると、略四角形単糸が直線的になり、隣接する略四角形単糸同士が接しにくく、織物の低通気度を保持し難くなるため好ましくない。また平行四辺形における一組の対角は、90°以下が好ましく、85°以下がより好ましく、80°以下が更に好ましい。1組の対角が90°付近の平行四辺形は(例えば、正方形や長方形)、略四角形単糸を並べる際に、略四角形単糸が、長さ方向の中心軸周りに稀に回転する場合があり、隣り合う略四角形単糸が綺麗に辺同士で重ならないことがある。そのため、1組の対角は低い程好ましい。例えば、対角を85°以下にすれば、隣り合う略四角形単糸が綺麗に辺同士で重なりあい、一列に均等に並びやすくなる。
平行四辺形は、特に4本の辺の長さが全て等しい菱形であることがより好ましい。例えば、二対の辺の長さが大きく違う(扁平度が高すぎる)平行四辺形や長方形の場合には、略四角形単糸が長さの違う辺同士で接触する場合に単糸の配列が乱れやすくなり、略四角形単糸が綺麗に一列に並ばない部分が生じやすいが、4本の辺の長さを統一することで、一列により並びやすくなる。
略四角形の一辺の長さは、7μm以上が好ましく、9μm以上がより好ましく、12μm以上が更に好ましく、15μm以上が特に好ましく、40μm以下が好ましく、35μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。辺の長さが短すぎると、略四角形単糸も細くなる傾向にあり、糸が切れやすくなるなどの不具合を生じるおそれがある。また、辺が長すぎると、略四角形単糸が一列に並び難く、生地が厚くなるおそれがある。
また略四角形において、長辺に対する短辺の比率(短辺/長辺)は、0.30〜1.0が好ましく、0.40〜1.0がより好ましく、0.55〜1.0が更に好ましい。
使用中の擦れや引っ掻きなどにより、略四角形単糸が切れて通気度や織物強度が低下しないように、前記略四角形単糸は、比較的太いことが好ましい。また略四角形単糸を比較的太いものとすることで、表糸に含まれる略四角形単糸同士が面で接触しやすくなるため、繰り返し洗濯後であっても単糸の転がりが抑制され、単糸の転がりに起因する通気度の悪化を抑えることが可能となる。また、単糸繊度が太いことで、擦れや引っ掻き等で繊維が引っ張り出され難くなりスナッグ性能が向上する。このような観点から、略四角形単糸の単糸繊度は、1.0dtex以上が好ましく、1.5dtex以上がより好ましく、2.0dtex以上が更に好ましく、2.5dtex以上がより更に好ましい。一方、略四角形単糸が太すぎる場合、織物が硬くなったり、高密度の生地とすることが難しくなることから、略四角形単糸の単糸繊度は、通常7.0dtex以下であり、6.0dtex以下が好ましく、5.5dtex以下が更に好ましい。
略四角形単糸は、樹脂からなる合成繊維であることが望ましい。前記樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612或いはその共重合体などのポリアミド類;ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどの合成ポリマーなどが挙げられ、これらは組み合わせて用いることもできる。
合成繊維マルチフィラメントは、主としてポリエステル類(より好ましくはポリエチレンテレフタレート)またはポリアミド類(より好ましくはナイロン)から形成されることが好ましい。特にポリアミド類は、織物の風合いを柔らかくでき、また織物の引裂き強力も高くできるため好ましい。ポリエステル類製の単糸の含有率は、合成繊維マルチフィラメントを構成する全単糸100質量%中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。ポリアミド類製の単糸の含有率は、合成繊維マルチフィラメントを構成する全単糸100質量%中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
略四角形単糸の原料としてポリエステル類を用いる場合、ポリエステル類樹脂の極限粘度は、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.45以上、更に好ましくは0.48以上であり、上限は特に限られないが、通常、1.5以下である。極限粘度が0.40以上であれば、略四角形単糸が適当な破断強度を有するため好ましい。一方、樹脂の極限粘度が0.40未満であると、異形断面は丸断面に比べて破断強度が弱いこともあり、破断強度不足による製品の引き裂き強力、破断強度の低下、破断伸度不足により加工操業性の悪化、製品耐久性の悪化という問題が生じる場合がある。
略四角形単糸の原料としてポリアミド類を用いる場合、ポリアミド類樹脂(好ましくはナイロン)の相対粘度は、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3.0以上であり、上限は特に限定されないが、通常、4.5以下である。相対粘度が2.0以上であれば、略四角形単糸が適当な破断強度を有するため好ましい。特に相対粘度が2.5以上であれば、略四角形単糸が破断強度に加え、適当な破断伸度を有することができる。更に、相対粘度が3.0以上であれば、略四角形断面の4つの角度を明確に形成することが可能となる。一方、相対粘度が2.0未満になると、異形断面は丸断面に比べて破断強度が弱いこともあり、破断強度不足による製品の引き裂き強力、破断強度の低下、破断伸度不足により加工操業性の悪化、製品耐久性の悪化という問題が生じる場合がある。また、相対粘度が4.5よりも高くなると、目的とする異形度は高くなるものの、糸の強度が高くなりすぎて、布帛にしたときに、風合いの硬すぎる生地になり、薄地ではあるものの使用感が悪くなるという問題が生じる。
前記略四角形単糸には、必要に応じて、吸湿性物質、酸化防止剤、つや消し剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等が、単独または複合して添加されてもよい。また、前記異形単糸の沸水収縮率、熱応力、複屈折率、太さ斑などは、特に限定されず適宜設定すればよい。
II−2.合成繊維マルチフィラメント
合成繊維マルチフィラメントは、前述した略四角形断面を有する略四角形単糸を2本以上含んでいる。1本の合成繊維マルチフィラメントに含まれる略四角形単糸の本数は、3本以上が好ましく、より好ましくは4本以上であり、更に好ましくは5本以上であり、20本以下が好ましく、より好ましくは12本以下であり、更に好ましくは9本以下である。単糸本数を前記範囲内にすることで、第1交差部の存在比率を前記範囲内に調整することができる。また、合成繊維マルチフィラメントの総繊度を一定にした場合には、略四角形単糸の本数を多くし過ぎると、相対的に略四角形単糸の単糸繊度が小さくなるため、糸が切れやすくなる等の不具合が生じるため好ましくない。
合成繊維マルチフィラメントの総繊度は、5.0dtex以上が好ましく、10dtex以上がより好ましく、13dtex以上が更に好ましく、通常40dtex以下であり、35dtex以下がより好ましく、30dtex以下が更に好ましい。合成マルチフィラメントの総繊度を前記範囲に調整することにより、軽量薄地で必要な強度を有する織物が得られる。一方、前記合成マルチフィラメントの繊度が下限値を下回ると必要な強度が得られない場合があり、また上限値を上回ると嵩高の織物となるため軽量薄地の織物が得られにくくなる。
合成繊維マルチフィラメントの破断強度は、特に限定されないが、3.0cN/dtex〜10cN/dtexが好ましく、3.5cN/dtex〜10cN/dtexがより好ましい。前記合成繊維マルチフィラメントの強度が3.0cN/dtex以上であれば、略四角形単糸のように高異形度の単糸を使用していても適当な引き裂き強力の織物が得られる。また10cN/dtex以下であれば、衣料用として風合いのやわらかな布帛が得られやすい。
合成繊維マルチフィラメントの破断伸度は、特に限定されないが、25%〜55%が好ましく、30%〜50%がより好ましく、40%〜45%が更に好ましい。前記範囲内であれば、高異形度繊維を製織する際にも、安定して製織することが可能である。
合成繊維マルチフィラメントは、生糸、仮撚加工糸、撚糸、エアー交絡糸のいずれであってもよいが、織物中において第1交差部を構成しやすくなること、及び、洗濯後においても単糸が転がりにくくなるという利点より、特殊な加工を施さない生糸が好ましい。生糸にエアー交絡を施す場合は、JIS L1013 8.15交絡度(フック法)で1〜35程度にするのがよい。
<III.織物のその他の特性>
以下、本発明に係る織物の特性について具体的に説明する。高通気性を確保しながら、擦れや引っかきに強い織物を得るため、略四角形単糸からなる合成繊維マルチフィラメントの含有率は、織物100質量%中、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、更に好ましくは65質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上であり、より更に好ましくは90質量%以上であり、上限は特に限定されないが、100質量%が好ましく、95質量%以下であってもよい。略四角形単糸からなる合成繊維マルチフィラメントの含有比率を40質量%以上にすることで、高い通気度であっても、揉まれや洗濯などの外的刺激に強く、安定した通気を確保した織物を得ることができる。更には、縫い目滑脱や磨耗性にも耐性を得やすくなる。
本発明に係る織物のカバーファクター(CF)は、1450以上であることが好ましく、より好ましくは1500以上であり、更に好ましくは1550以上であり、特に好ましくは1600以上であり、上限は特に限定されないが、2400以下が好ましく、より好ましくは2200以下であり、更に好ましくは1890以下である。織物のカバーファクターを前記範囲に調整することにより、軽量薄地で、柔らかな高通気織物が得られる。一方、織物のカバーファクターが前記範囲を下回ると、薄くて軽い織物が得られるが、複数回カレンダー加工を施しても、通気性が高くなりすぎ、またカバーファクターが上限値を超えると、低通気のものしか得られなくなると同時に、織物が重くなってしまうため好ましくない。ここで織物のカバーファクター(CF)は、下記式により計算される。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
[式中、T及びWは織物の経密度及び緯密度(本/2.54cm)を示し、DT及びDWは織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。]
本発明に係る織物の目付は、15g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることがより好ましく、25g/m以上であることが更に好ましく、80/m以下であることが好ましく、70g/m以下であることがより好ましく、60g/m以下であることが更に好ましい。織物の目付を前記範囲内に調整することにより、薄地でも高通気度を有する織物が得られる。一方、織物の目付が15g/mより小さいと、薄くて軽い生地に仕上がるが、引き裂き強力の強い織物が得られず、また80g/mを超えると、厚い生地になり軽い織物が得られない。
織物の仕上げ密度は、経方向及び緯方向のそれぞれにおいて、好ましくは130本/2.54cm以上、より好ましくは155本/2.54cm以上、更に好ましくは170本/2.54cm以上であり、好ましくは350本/2.54cm以下、より好ましくは250本/2.54cm以下、更に好ましくは220本/2.54cm以下である。織物の仕上げ密度を前記範囲内に調整することにより、第1交差部の存在比率を適切な範囲にコントロールすることが可能となる。
第1交差部を一定比率形成するためには、合成繊維マルチフィラメントに含まれる単糸を密に一列に並べた長さよりも、仕上げ密度から計算される合成繊維マルチフィラメント1本あたりの幅の方がわずかに長いことが望ましい。すなわち、下記式(i)〜(ii)で求められるKT及びKWの少なくとも一方、より好ましくはこれらの両方が、140%以下(より好ましくは120%以下)を満たすことが望ましい。KT及びKWが100%を下回ると第2交差部が形成されやすくなるため、KT及びKWの下限は、それぞれ50%以上(より好ましくは90%以上)である。
T={1/T}/{L}×100 …(i)
W={1/W}/{L}×100 …(ii)
〔式中、L:1本の合成繊維マルチフィラメントに含まれる単糸を密に一列に並べた長さ(cm)、TおよびWは織物の仕上げ経密度および仕上げ緯密度(本/2.54cm)〕
本発明に係る織物のペンジュラム法による引き裂き強力は特に限定されないが、経方向及び緯方向のそれぞれにおいて、5N〜50Nが好ましく、6N〜40Nがより好ましく、7N〜30Nが更に好ましい。織物の引き裂き強力を前記範囲にすることにより、軽量薄地で必要な引き裂き強力を有する織物が得られる。
織物の初期通気度(JIS L 1096 8.27.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に基づく)は、2.0cc/cm/s以上を発揮でき、3.0cc/cm/s以上であることがより好ましく、3.5cc/cm/s以上であることがより好ましく、25cc/cm/s以下が好ましく、20cc/cm/s以下がより好ましく、15cc/cm/s以下が更に好ましい。初期通気度が前記範囲内であれば、蒸れ感を解消した優れた織物が得られる。
本発明に係る織物であれば、洗濯の外力によってフィラメントが動きにくい織物となるため、織物の洗濯10回後の通気度(JIS L0217 103法に基づく)は、30cc/cm/s以下、好ましくは20cc/cm/s以下、より好ましくは10cc/cm/s以下、下限は限定されないが、通常2.0cc/cm/s以上を達成できる。
本発明に係る織物は、隣り合う略四角形単糸同士の接触面積が大きいため、一列に配列された繊維同士が密に固定されていることと、更に、略四角形単糸同士が2列以上に配列した状態が強固に保たれているために、織物の洗濯前の初期通気度に対する10回洗濯後の通気度の変化率が1.8以下(1.6以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい)を発揮する。下限は特に限定されないが、0.8以上が好ましく、通常1.0以上である。洗濯後の値がこれ以下であれば、通気の悪化を防ぎ、一定の保温性を保ちながら発汗による蒸れ感も抑制した両方の機能を兼ね備えた織物が得られる。
本発明に係る織物は、JIS L1096 B法による12kg荷重での滑脱抵抗値は、経方向及び緯方向のそれぞれで、好ましくは4.0mm以下、更に好ましくは3.0mm以下、特に好ましくは2.5mm以下を達成できる。
本発明に係る織物は、200回磨耗した後であっても、4cm以上の引きつれ、2mm以上の毛羽立ち、1mm以上の穴空きが見られず、磨耗後による生地表面のフィラメント割れも少ないため、実施例の欄で記載する方法により評価される200回磨耗後の磨耗等級は2級以上を達成できる(より好ましくは3級)。そして本発明の織物の最も好ましい態様では、引きつれ、毛羽立ち、穴空きが見られない織物とすることが可能である。その結果、本発明に係る織物は、消費過程における性能の耐久性に優れる織物となる。
<IV.織物の製造方法>
IV−1.略四角形単糸の製造方法
本発明で用いる略四角形単糸を製造するためには、4つの凸部(頂点)を有する口金吐出孔から樹脂を紡糸することが望ましい。具体的には、ノズルの口金吐出孔の形を図9に示すような星型に設計することが好ましい。すなわち、略四角形単糸を形成できる星型の口金吐出孔は、4つの凸部(例えば図9では、P〜S)と4つの凹部(例えば図9では、T〜W)を有しており、凸部の2組の対角はそれぞれ等しく、凸部の対角線は直交していることが望ましい。このような星型の口金吐出孔を通じて原料樹脂を紡糸すると、溶融した樹脂が4つの凹部内を広がるように膨らみ、その結果、4つの凸部を結ぶ略四角形の繊維横断面を有する単糸が製造される。そのため、吐出孔の3つの凸部を結んで形成される角度を調整することにより、略四角形の内角を設計することができる(すなわち、略四角形におけるQの内角は、凸部の3つの頂点P、Q、Rを結んで形成される角度とほぼ等しくなる)。
またこの星型の口金吐出孔において、4つの凸部の先端は鋭角にせず丸めることが好ましい。先端を丸めておくことにより、略四角形の頂点が歪むことなく明確な頂点を形成しやすくなる。
更に略四角形を平行四辺形にするための条件としては、凹部の深さ(図9中のL3)を、4つの凹部で全て等しくすることが好ましい。凹部の深さとしては、0.02mm〜0.14mmが好ましく、より好ましくは0.04mm〜0.12mmである。0.02mm未満であれば、フィラメントが紡出されたときに、ポリマーが外側に膨らみ、綺麗な平行四辺形が形成できない場合があり、また0.14mmよりも深くなると、紡出したポリマーが膨らんでも、膨らみが足りず、星型の繊維横断面となってしまうおそれがある。
更に紡出したポリマーを冷却する際には、図9のP、Q、R、Sの各凸部に冷却風が当たるように、ノズルの孔の位置を設定するのが好ましい。このとき、図9のT、U、V、Wの凹部には冷却風が直接当たらないように、ノズルの孔の位置を設定することが好ましい。このような凹凸に積極的に冷却風を当てる箇所と、冷却風を当てない箇所を設けることにより、均等な平行四辺形を形成しやすくなる。特に略四角形を菱形にするための条件としては、前記の条件を満たしながら、更に4辺の長さを等しくする必要があるため、ポリマーの粘度を、ポリエステルであれば、極限粘度を0.5以上のものにすることが好ましく、ポリアミドであれば、相対粘度を2.5以上のものにすることが好ましい。粘度を調整することで、4辺とも等しい菱形断面を形成しやすくなる。
略四角形単糸からなる合成繊維マルチフィラメントの製造方法は特に限定されないが、ポリアミド系合成繊維マルチフィラメントやポリエステル系合成繊維マルチフィラメントでは、スピンドロー方式による紡糸延伸連続装置、または紡糸装置と延伸装置を用いて2工程で行うことによって製造可能である。スピンドロー方式の場合、紡糸引取りゴデットローラーの速度を1500m/分〜4000m/分に設定することが好ましく、2000m/分〜3000m/分にすることがより好ましい。
IV−2.織物の製造方法
a)製織工程
まず、経糸及び緯糸として、略四角形単糸を2本以上含む合成繊維マルチフィラメントを用いて生機を製織する。製織工程で使用される合成繊維マルチフィラメントは前述した通りである。
織経密度は、50本/2.54cm以上が好ましく、80本/2.54cm以上がより好ましく、100本/2.54cm以上が更に好ましく、400本/2.54cm以下が好ましく、350本/2.54cm以下がより好ましく、250本/2.54cm以下が更に好ましい。経密度を前記範囲内に調整することにより、略四角形単糸が1列配列及び/又は2列配列の状態になりやすいため好ましい。
同様の理由から、織緯密度は、50本/2.54cm以上が好ましく、80本/2.54cm以上がより好ましく、100本/2.54cm以上が更に好ましく、400本/2.54cm以下が好ましく、350本/2.54cm以下がより好ましく、250本/2.54cm以下が更に好ましい。なお、生機密度と仕上密度は同一であっても異なっていてもよい。
また、織組織は特に限定されず、平組織(図7参照)、綾組織、朱子組織など任意の組織を用いることができ、中でもダウン抜けを抑えるために平組織が好ましく用いられる。さらに、薄地織物の引き裂き強力を高めるために、例えば、図8−1〜図8−4の完全組織を有するリップストップタフタが特に好ましく用いられる。
製織工程で使用される織機は特に限定されず、ウォータージェットルーム織機、エアージェット織機、レピア織機、などが例示され、好ましくはウォータージェットルームまたはエアージェット織機である。
また略四角形単糸は、丸断面単糸に比べてヘルドとの接触面積が大きいため、略四角形単糸(例えば、菱形、正方形、平行四辺形)を含む合成繊維マルチフィラメントは、毛羽立ちが誘発されやすい。そのため、織機に使用するヘルドは、糸との摩擦を軽減するために、セラミックの材質を使うことが好ましい。セラミックの材質を使うことで、前記のとおり低摩擦で製織することが可能になるため、毛羽立ちを抑えることが可能となる。また製織工程では、低張力サイジング機が好ましく用いられる。
b)カレンダー工程
次いで、任意の工程として、製織工程で得られた織物の少なくとも片面に、カレンダー加工を実施することが望ましい。カレンダー工程では、織物の少なくとも片面にカレンダー加工を施すとよい。織物にカレンダー加工を施すことにより、織物に含まれる略四角形単糸が圧縮され、単糸間の隙間がなくなり、隣り合う略四角形単糸同士が面で接しやすくなる。これにより、単糸同士の摩擦力により織物を洗濯しても単糸が動きにくくなる。またカレンダー加工により、織物に柔らかさを付与することが可能となる。カレンダー加工は、織物の片面又は両面に施すことができ、特にデザイン性の観点から織物の両方に光沢面が必要な場合には、織物の両面にカレンダー加工を施すとよい。
カレンダー加工の回数は特に限定されるものではないが、1回のみでも複数回でもよい。カレンダー加工を施す場合、加工時の圧力は、100kg/cm以上が好ましく、150kg/cm以上がより好ましく、200kg/cm以上が更に好ましく、300kg/cm以下が好ましく、280kg/cm以下がより好ましく、250kg/cm以下が更に好ましい。カレンダー加工時の圧力を前記範囲内にすることで、単糸を引き揃えやすくなるため好ましい。
カレンダー加工時の温度は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、上限は、織物に使用する素材の融点以下にすることが望ましく、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
カレンダー加工時の加工速度は、5m/分以上が好ましく、10m/分がより好ましく、15m/分が更に好ましく、50m/分以下が好ましく、40m/分以下がより好ましく、35m/分が更に好ましい。カレンダー加工時の加工速度を前記範囲内にすることで、単糸を引き揃えやすくなるため好ましい。
カレンダー加工条件は、形成したい第1交差部の割合や、生産コストを考慮しながら設定すればよいが、いくつか例を示すと以下の通りとなるが、本発明は必ずしも以下に限定されるものではない。例えば、
初期通気度が2.0〜10cc/cm/sの織物を製造する場合には、カレンダー回数:1回、カレンダー圧力:180〜200kg/cm、カレンダー温度:160〜180℃、カレンダー加工速度:30〜50m/分がよい;
初期通気度が10〜20cc/cm/sの織物を製造する場合には、カレンダー回数:1回、カレンダー圧力:150〜180kg/cm、カレンダー温度:70〜100℃、カレンダー加工速度:15〜20m/分がよい;
初期通気度が20〜25cc/cm/sの織物を製造する場合には、カレンダー加工を施さなくてもよい場合がある。
得られた織物には、一般的な織物の加工機械を使って、精錬、リラックス、プリセット染色、仕上げ加工をするとよい。またナチュラルなシワ感を付与するシワ加工の工程を付与してもよい。
また、本発明に係る織物には、必要に応じて、撥水処理、コーティング加工、ラミネート加工等の各種機能加工や、風合いや織物の強力を調整するために柔軟加工、樹脂加工、シリコーン加工を行うことも可能である。柔軟加工においては、柔軟剤として、アミノ変性シリコーンやポリエチレン系、ポリエステル系、パラフィン系柔軟剤などを使用するとよい。また、樹脂加工においては、樹脂加工剤として、メラミン樹脂、グリオキザール樹脂、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等の各種樹脂を使用するとよい。
なお、織物の柔らかさを保つために、合成繊維マルチフィラメントに含まれる隣り合う単糸同士は、互いに固定されていないことが望ましく、隣り合う単糸同士が互いに固定されている単糸の本数は、織物を構成する全単糸本数の30%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。
<V.用途>
このようにして得られる本発明に係る織物は、軽量薄地で高通気度を有する高密度織物でありながら、従来にない磨耗性に優れた特性を有している。そのため、本発明に係る織物は、これを側地とするウィンドブレーカーや、これを側地とするダウン製品(例えば、ダウンジャケット、寝袋、蒲団等)に好ましく適用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<極限粘度>
極限粘度(IV)は、p−クロルフェノールとテトラクロルエタンからなる混合溶媒(p−クロルフェノール/テトラクロルエタン=75/25)を用い、30℃で測定した極限粘度〔η〕を、下記の式によりフェノールとテトラクロルエタンからなる混合溶媒(フェノール/テトラクロルエタン=60/40)の極限粘度(IV)に換算したものである。
IV=0.8325×〔η〕+0.005
<相対粘度>
96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸中にポリマー濃度が10mg/mlになるように試料を溶解させてサンプル溶液を調製した。20℃±0.05℃の温度で水落下秒数が6秒から7秒のオストワルド粘度計を用い、20℃±0.05℃の温度で、調製したサンプル溶液20mlの落下時間T(秒)及び試料を溶解するに用いた96.3±0.1質量%の試薬特級濃硫酸20mlの落下時間T(秒)を、それぞれ測定した。使用する樹脂の相対粘度(RV)は下記の式により算出された。
RV=T/T
<略四角形断面の測定>
(1)辺の長さの測定
VH−Z450型顕微鏡およびVH−6300型測定器(KEYENCE社製)を用い、1500倍の倍率で略四角形単糸の断面をみながら各辺の長さを測定し、単糸3本の平均値を辺の長さとした。
(2)内角の測定
VH−Z450型顕微鏡およびVH−6300型測定器(KEYENCE社製)を用い、1500倍の倍率で略四角形単糸の断面を撮影し、市販(コクヨ社製)の分度器で鋭角と鈍角を測定し、それぞれの単糸3本の平均値を角度とした。
<合成繊維マルチフィラメントの総繊度>
合成繊維マルチフィラメントの繊度(総繊度)は、100m長の合成繊維マルチフィラメントのカセを3つ作製し、各々の質量(g)を測定し、平均値を求め、100倍して求めた。
<単糸繊度(モノフィラメント繊度)>
合成繊維マルチフィラメントの総繊度からフィラメント数を除して求めた。
単糸繊度=合成繊維マルチフィラメントの総繊度/フィラメント本数
<仕上げカバーファクター>
織物の仕上げカバーファクター(CF)は、下記の式により計算した。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
[式中、TおよびWは織物の仕上げ経密度および仕上げ緯密度(本/2.54cm)を示し、DTおよびDWは織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。]
<第1交差部及び第2交差部の占有率>
(1)走査型電子顕微鏡(日本電子社製「JSM−6610型」)を使い、織物の表面を120倍の倍率で生地の上から撮影した。経糸5本及び緯糸6本からなる組織が写真内に収まるようにするために、撮影時には、経糸方向に交差部が5個、緯糸方向に交差部が6個、合計30個の交差部が写真に含まれるように撮影位置を調整した。また撮影時には、リップストップタフタ組織のリップ部が複数本の糸を引き揃えて形成されている場合には、1本の糸(経糸または緯糸)が打ち込まれているとみなして撮影位置を調整した。
(2)撮影された写真を用い、以下の基準に基づいて、30個の交差部を、「第1交差部」または「第2交差部」に分類した。参考例を図4(a)に示す。
「第1交差部」:交差部において、単糸の露出表面の少なくとも一部が他の単糸で遮られていないと確認される単糸の本数が、表糸に実際に含まれる単糸の本数と一致している配列。
「第2交差部」:交差部において、単糸の露出表面の少なくとも一部が他の単糸で遮られていないと確認される単糸の本数が、表糸に実際に含まれる単糸の本数未満の配列。
(3)下記式に基づいて、第1交差部の占有率、第2交差部の占有率、第1交差部と第2交差部の合計占有率を計算する。
第1交差部の占有率(%)=(第1交差部の合計数)/交差部の数(30個)×100
第2交差部の占有率(%)=(第2交差部の合計数)/交差部の数(30個)×100
第1交差部と第2交差部の合計占有率(%)=(第1交差部と第2交差部の合計数)/交差部の数(30個)×100
例えば、図4(a)の場合、図4(b)に示すように、第1交差部の合計数は(1)〜(15)の15個、第2交差部の合計数は(i)〜(xv)の15個であるから、第1交差部の占有率は50%(=15個/30個×100)、第2交差部の占有率は50%(=15個/30個×100)、第1交差部と第2交差部の合計占有率は100%(=30個/30個×100)となる。
(4)上記(1)〜(3)を、織物表面の任意の2箇所及び織物裏面の任意の2箇所について行い、合計4箇所の平均値を以って、第1交差部の占有率、第2交差部の占有率、第1交差部と第2交差部の合計占有率とする。
<通気度>
織物の初期通気度(L)は、JIS L 1096 8.27.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
織物の10回洗濯後の通気度(L10)は、JIS L0217 103法に準拠して測定した。
<洗濯方法>
織物の洗濯は、JIS L 1096織物 寸法変化の103法に規定される条件に準拠して実施した。「洗濯10回後」とは、洗濯−脱水−乾燥を10回繰り返した後の測定結果である。なお乾燥は吊干し乾燥で行った。洗濯10回後においても、通気度は前記方法により測定した。
<滑脱抵抗値>
JIS L1096 B法に準拠して測定した。
<磨耗等級>
1.摩擦試験:図10−1〜図10−3に示されるJIS L0849に用いられる摩擦堅牢度試験機II型(学振形)試験機を用い、市販のベルクロ(登録商標)にクラレ製#A0380オスを使い、織物を幅60mm、縦230mmにカットし、試験片台に両面テープ(TERAOKA ANCHOR BRAND 幅25mm)を貼り、その上に織物を自然な状態でセットする。織物の両端は、試験機の試料止め金具で固定する。上記記載のベルクロ(登録商標)は長さ約60mm、幅約20mmにカットし、試験機の摩擦子に沿って長手方向に固定する。摩擦子に300gの荷重を追加し、合計500gとする。試験片は図11に示す形にカットするが、織物の経方向を測定する場合、織物の経糸を図11の長手方向に平行になるようにカットして試験片台にセットする。また、織物の緯方向を測定する場合は緯糸を図11の長手方向に平行にする。測定長は10cmとし、摩擦速度は、毎分30回往復で、測定回数は200回往復とする。測定一回毎(200回往復毎)に、ベルクロ(登録商標)を新しいものに変更する。
2.磨耗等級の評価:以下の表に基づき摩擦試験後の状態を、引きつれ、毛羽立ち、穴空きの3つの現象について観察及び評価した。経方向・緯方向のそれぞれについて一回ずつ判定を行い、経・緯の評価結果のうち、悪い方の評価結果を「磨耗評価」における評価結果として採用した。すなわち、少なくともいずれかの項目で一つでも「著しく目立つ」ものがあれば、「不可」と判定する(すなわち、毛羽立ち及び穴空きの判定結果が「優」であっても、引きつれが「不可」であれば、磨耗等級は「不可」と判定する)。各状態の評価に際し、引きつれ、毛羽立ち、穴空きが複数生じた場合には、いずれも最も長いものを評価した。判定は優、良、不可の三段階で行い、優を3級、良を2級、不可を1級と数値化した。
実施例1
相対粘度3.5のナイロン6ポリマーチップを紡糸温度282℃で、吐出孔(図9に示す形状で、L1:0.481mm、L2:0.481mm、L3:0.07mm、角a:54°)を7個備える紡糸口金から溶融紡糸した。2つのゴデットローラーのうち、第1ゴデットローラー速度を2800m/分、第2ゴデットローラーの速度を4000m/分に設定し、第2ゴデットローラーのロール温度を160℃として延伸し、図6に示す略四角形において、角a:54°、辺A及びA’:18.7μm、辺B及びB’:18.7μmの菱形断面の単糸7本からなる繊度22dtexの合成繊維マルチフィラメントを得た。該合成繊維マルチフィラメントを経糸及び緯糸に用い、織経密度171本/2.54cm、織緯密度189本/2.54cmに設定し、タフタ組織(平組織)で製織した。
得られた生機を常法に従ってオープンソーパーを用いて精錬、ピンテンターを用いて190℃で30秒間プレセットし、液流染色機(日阪製作所製「ソフトサーキュラー CUT−NS」)を用い、酸性染料でグレーに染色した後、柔軟仕上げ加工を行って180℃で30秒間中間セットを行った。その後、カレンダー加工(カレンダー圧:180kg/cm、カレンダー速度:30m/分、カレンダー温度:160℃)を織物の片面に1回施した。
得られた生地の経密度、緯密度、洗濯前後の通気度変化率、滑脱抵抗値、磨耗等級のそれぞれを評価した。結果を表2に示す。
実施例2〜10
実施例2では、得られた織物にカレンダーを施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例3では、カレンダー加工の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例4では、織密度を変更したこと以外は、実施例2と同様にして織物を得た。
実施例5〜6では、押し出し機での樹脂の吐出量を変更して表に示す合成繊維マルチフィラメントを製造し、得られた合成繊維マルチフィラメントを用いて表に示す条件で織物を作製した。
実施例7では、織組織を図8−1に示すリップストップタフタ組織とし、表に示す条件で織物を作製した。
実施例8では、吐出口の角aを90°に変更し、単糸の断面形状を正方形に変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例9では、単糸の略四角形断面を、平行四辺形(辺a及びa’:18.7μm、辺b及びb’:28.0μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例10では、合成繊維マルチフィラメントの原料として、極限粘度0.50のポリエステルポリマーチップを用い、カレンダー加工の条件を表に示すものとした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例1〜2
比較例1では、口金の孔の直径を0.2mmに変更し、単糸の断面形状を丸形に変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。図5(a)には比較例1で得られた織物の表面SEM写真を、図5(b)には比較例1で得られた織物における第1交差部の断面SEM写真を示し、図5(c)には、比較例1で得られた織物における第2交差部の断面SEM写真を示す。得られた織物は、単糸が丸型断面形状であるため、図5(a)に示すように単糸が転がって隣接する経糸間及び隣接する緯糸間の隙間がそれぞれ大きくなってしまい、織物の目が粗くなった。そのため洗濯10回後の通気度が悪く、また滑脱抵抗値も値が大きくなってしまい、縫製時にメヨレが発生する品位の良くない生地となった。
比較例2では、単糸の断面形状を丸形に、口金の孔数を20に、単糸の本数を20本にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を得た。得られた織物は、単糸の本数が多いため、磨耗等級が悪く、また滑脱抵抗値も値が大きくなってしまい、縫製時にメヨレが発生する品位の良くない生地であった。
A、A’、B、B’、L1、L2:略四角形の辺の長さ
a、a’、b、b’:略四角形の内角
P、Q、R、S:凸部
T、U、V、W:凹部
L3:凹部の深さ

Claims (12)

  1. 複数の略四角形単糸からなる経糸と、複数の略四角形単糸からなる緯糸が表裏に重なり合う交差部を有する織物であって、
    表糸を構成する略四角形単糸が一列に並んでいる交差部を第1交差部とし、
    表糸を構成する単糸のうち60%以上が一列に並んで形成されている単糸列の上または下に、前記表糸を構成する単糸の残部が織物の厚さ方向に重なっている交差部を第2交差部としたとき、
    経糸5本及び緯糸6本からなる組織に含まれる30個の交差部中、第1交差部の合計数が10%以上90%以下であり、
    前記略四角形単糸の単糸繊度が1.0dtex以上3.1dtex以下であり、
    前記略四角形単糸からなる合成繊維マルチフィラメントの総繊度が5.0dtex以上35dtex以下であることを特徴とする織物。
  2. 前記略四角形単糸が、4本の辺からなる略四角形断面を有する単糸である請求項1に記載の織物。
  3. 前記略四角形断面が、一組の対角が30°以上90°以下の平行四辺形である請求項2に記載の織物。
  4. 前記略四角形断面が、4本の辺の長さが全て等しい菱形である請求項2または3に記載の織物。
  5. 記合成繊維マルチフィラメントの含有率が、織物100質量%中40質量%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の織物。
  6. カバーファクターが1450以上2400以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の織物。
  7. JIS L1096 8.27.1 A法のフラジール形法で測定される初期通気度が2.0cc/cm/s以上25cc/cm/s以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の織物。
  8. JIS L1096 8.27.1 A法のフラジール形法で測定される初期通気度(L)に対するJIS L0217 103法で測定される洗濯10回後の通気度(L10)の変化率(L10/L)が、0.8以上1.8以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の織物。
  9. JIS L1096 B法による12kg荷重での滑脱抵抗値が、経方向及び緯方向のそれぞれで4.0mm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の織物。
  10. 200回磨耗後の磨耗等級が2級以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の織物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の織物を側地とするウィンドブレーカー。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の織物を側地とするダウン製品。
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