JP6493256B2 - 電動オイルポンプの駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、オイルパン内の潤滑油を吸引して内燃機関の潤滑に利用するための電動オイルポンプを駆動する電動オイルポンプの駆動制御装置に関する。
たとえば特許文献1には、内燃機関のオイルパン内の潤滑油に吸入口が浸され、吸入口の下流に延びて且つ曲げ部を有する流路における曲げ部の下流に、同流路の延伸方向に直交する断面全域を覆うフィルタを備えたストレーナが記載されている。このストレーナは、フィルタと吸入口との間に、曲げ部における流路の断面であって上記延伸方向に直交する断面を曲げ部の内側と外側とに2分する捕集網を備えている。これは、寒冷地等で内燃機関の停止中に潤滑油に含まれる水が氷となり、内燃機関の始動に伴ってオイルポンプによって吸入口から潤滑油とともに氷を吸い込むことによりフィルタの目詰まりが生じることを抑制することを狙ったものである。すなわち、吸入口から吸い込まれた氷は、遠心力によって捕集網によって分離された流路のうち曲げ部の外側部分に捕捉されるため、フィルタの目詰まりを抑制することができる。
特開2015−161230号公報
上記技術の場合、氷による目詰まりの対策として、オイルパン内の潤滑油を内燃機関の潤滑に利用可能なようにストレーナを構成する必要が生じるものであり、そもそも、目詰まりの要因となる氷がオイルパン内に生じることを抑制できない。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オイルパン内に、潤滑油の流通経路に目詰まりが生じるレベルの氷が生じることを抑制できるようにした電動オイルポンプの駆動制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.オイルパン内の潤滑油に浸された吸入口から前記潤滑油を吸引して内燃機関の潤滑に利用するための電動オイルポンプを駆動する電動オイルポンプの駆動制御装置において、前記内燃機関の停止中に前記電動オイルポンプを駆動して前記オイルパン内の前記潤滑油を撹拌する撹拌処理を実行する撹拌処理部と、前記潤滑油中の水分量を取得する水分量取得処理部と、前記潤滑油が前記内燃機関の潤滑に利用されておらず且つ前記撹拌処理部によって撹拌されていない期間である停止期間を計時する計時処理部と、を備え、前記撹拌処理部は、前記水分量取得処理部によって取得された水分量が規定量以上である場合には、前記計時処理部によって計時された停止期間が閾値に達することを条件に、前記撹拌処理を実行することを特徴とする。
潤滑油に水が含まれるのは、主に、内燃機関の暖機前において燃焼室で燃料が燃焼する際に、燃料中の水素が酸素と結合することによって生成された水が、未だ水の沸点に達していない潤滑油に混入することによって生じる。潤滑油に水が混入した当初は、潤滑油と水とが混ざり合ったエマルジョン状態にある。しかし、エマルジョン状態にある潤滑油と水との混合液は、混合液中の水の量が潤滑油中の界面活性剤の能力を超える場合には、静止状態で放置されると、時間が経つにつれて潤滑油と水とに分離する。そして、潤滑油から分離した水は、低温において凝固し氷となる。
ここで、潤滑油内の水分量が多い場合において、上記停止期間が長くなることで、潤滑油からの水の分離が顕著となるおそれがある。換言すれば、潤滑油の流通経路に目詰まりが生じることによって潤滑処理に支障をきたすレベルの氷となりうる量の水が分離するおそれがある。そこで上記構成では、水分量取得処理部によって取得された水分量が規定量以上である場合には、計時処理部によって計時された停止期間が閾値に達することを条件に、撹拌処理部により撹拌処理を実行するため、潤滑油と水との分離を妨げることができ、また、仮にすでにわずかな水が分離していたとしてもその水を潤滑油と混ぜてエマルジョン状態に戻すことができる。このため、上記構成では、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制できることから、オイルパン内に、潤滑油の流通経路に目詰まりが生じるレベルの氷が生じることを抑制できる。
2.上記1記載の電動オイルポンプの駆動制御装置において、前記水分量取得処理部によって推定された水分量が前記規定量以上であるか否かを判定する規定量判定処理部を備え、前記撹拌処理部は、前記規定量判定処理部によって前記規定量未満と判定される場合、前記撹拌処理を実行しない。
上記構成では、規定量判定処理部によって水分量が規定量未満であると判定される場合に撹拌処理部が撹拌処理を実行しないため、潤滑油から分離する水分量が無視しうる場合において撹拌処理が無駄に実行されることを抑制することができる。したがって、エネルギの浪費を抑制することができる。
3.上記1記載の電動オイルポンプの駆動制御装置において、前記計時処理部によって計時された前記停止期間が判定値に達したか否かを判定する期間判定処理部と、前記水分量が前記規定量以上の場合に前記判定値を前記閾値と同じ値に設定し、前記水分量が前記規定量未満の場合に前記判定値を前記閾値よりも大きい実行抑制値に設定する判定値可変設定処理部と、を備え、前記撹拌処理部は、前記期間判定処理部によって前記停止期間が前記判定値に達したと判定されることを条件に前記撹拌処理を実行するものであり、前記閾値は、前記電動オイルポンプによって前記オイルパンから吸引される潤滑油の流通経路に氷による目詰まりが生じるおそれを抑制するための値に設定されており、前記実行抑制値は、前記電動オイルポンプによって前記オイルパンから吸引される潤滑油の流通経路に氷による目詰まりが生じるおそれを抑制するうえで無力な値に設定されている。
潤滑油の水分量が少ない場合、撹拌処理を実行することは、エネルギの浪費となるおそれがある。ここで、上記実行抑制値は、氷による目詰まりが生じるおそれを抑制するうえで無力な値に設定されている。これは、実行抑制値が、オイルパン内に氷が生じることを抑制する目的によって制約をうけない値であることを意味することから、特に水分量が規定量未満の場合に撹拌処理が実行されることを抑制する値に設定することができる。
なお、水分量が規定量である場合に「期間判定処理部によって停止期間が判定値に達したと判定されることを条件に撹拌処理が実行される」ことは、「停止期間が閾値に達することを条件に撹拌処理が実行される」ことを意味する。
4.上記2または3記載の電動オイルポンプの駆動制御装置において、前記水分量取得処理部によって取得された水分量が前記規定量以上である場合において、該水分量が多い場合に少ない場合よりも前記閾値を小さい値に設定する閾値可変設定処理部を備える。
潤滑油中の水分量が多い場合には少ない場合よりも、潤滑油と水とのエマルジョン状態から、水の分離が顕著となるまでの時間が短くなる。このため、閾値を、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制することが可能な固定値とした場合、水分量が少ないときには必要以上に早期に撹拌処理がなされることが懸念される。この点、上記構成では、水分量に応じて閾値を可変設定することにより、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制しつつも、撹拌処理の実行を極力遅延させることができる。
5.上記2または3記載の電動オイルポンプの駆動制御装置において、前記潤滑油の劣化度合い情報を取得する劣化情報取得処理部と、前記劣化情報取得処理部によって取得された情報に基づき、前記劣化度合いが大きい場合に小さい場合よりも前記閾値を小さい値に設定する閾値可変設定処理部と、を備える。
潤滑油の劣化度合いが大きい場合には小さい場合よりも、潤滑油と水とのエマルジョン状態から、水の分離が顕著となるまでの時間が短くなる。このため、閾値を、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制することが可能な固定値とした場合、劣化度合いが小さいときには必要以上に早期に撹拌処理がなされることが懸念される。この点、上記構成では、劣化度合いに応じて閾値を可変設定することにより、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制しつつも、撹拌処理の実行を極力遅延させることができる。
6.上記2または3記載の電動オイルポンプの駆動制御装置において、気温を取得する気温取得処理部と、前記気温取得処理部によって取得された前記気温が低い場合に高い場合よりも前記閾値を小さい値に設定する閾値可変設定処理部と、を備える。
潤滑油の温度が低い場合には高い場合よりも、潤滑油と水とのエマルジョン状態から、水の分離が顕著となるまでの時間が短くなる。このため、閾値を、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制することが可能な固定値とする場合、潤滑油の温度が高い場合には必要以上に早期に撹拌処理がなされることが懸念される。この点、上記構成では、停止期間における潤滑油の温度と相関を有する気温に応じて閾値を可変設定することにより、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制しつつも、撹拌処理の実行を極力遅延させることができる。
7.上記1〜6のいずれか1つに記載の電動オイルポンプの駆動制御装置において、前記撹拌処理は、前記電動オイルポンプのうち前記内燃機関を潤滑するときの吐出側から吸引した流体を前記電動オイルポンプのうち前記内燃機関を潤滑するときの吸入側から前記オイルパンに吐出させる処理である。
上記構成では、撹拌処理において、電動オイルポンプによって、潤滑処理時の吐出側から吸引した流体を潤滑処理時の吸入側に吐出させる。ここで、停止期間が閾値に達する時点において、潤滑経路内の潤滑油が外部に流出することによって潤滑経路内において潤滑油と空気とが混在する状態となっている場合には、電動オイルポンプが少なくとも空気を吸引して吸引した空気をオイルパンに吐出することとなる。そして、これにより、オイルパン内の潤滑油と水とが撹拌される。一方、停止期間が閾値に達するときであっても潤滑経路が潤滑油で満たされている場合には、少なくとも撹拌処理の開始当初においては、電動オイルポンプが潤滑油を吸引して吸引した潤滑油をオイルパンに吐出することとなる。そして、これにより、オイルパン内の潤滑油と水とが撹拌される。
第1の実施形態にかかる車両の駆動系を示す図。 同実施形態にかかる潤滑油中の水分量を推定する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるタイマの設定処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる撹拌処理およびその実行を判定する処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる潤滑油の劣化パラメータの算出処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる平均気温の推定処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるタイマの設定処理の手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかるタイマの設定処理の手順を示す流れ図。 第4の実施形態にかかるタイマの設定処理の手順を示す流れ図。 第5の実施形態にかかる撹拌処理およびその実行を判定する処理の手順を示す流れ図。
<第1の実施形態>
以下、電動オイルポンプの駆動制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる車両の駆動系を示す。図1に示す駆動系は、シリーズ・パラレルハイブリッドシステムを構成している。図1に示すように、内燃機関40は遊星歯車機構(動力分割機構10)のキャリアCに機械的に連結されており、モータジェネレータ14は、動力分割機構10のサンギアSに機械的に連結されており、モータジェネレータ12は、動力分割機構10のリングギアRに機械的に連結されている。ここで、動力分割機構10を構成する3つの回転体であるサンギアS、キャリアCおよびリングギアRのうち対象物が機械的に連結されている回転体とは、対象物が最初に動力を伝達可能な回転体のことである。また、リングギアRには、駆動輪16が機械的に連結されている。
モータジェネレータ12は、インバータ18、DCDCコンバータ22およびシステムメインリレー(SMR24)を介して電池セルの直列接続体である組電池26に接続されている。また、モータジェネレータ14は、インバータ20、DCDCコンバータ22およびSMR24を介して組電池26に接続されている。SMR24と組電池26との間には、車両の外部の商用電源30の電力を組電池26に充電する充電器28が接続されている。
内燃機関40は、シリンダブロックやシリンダヘッドを備えた機関本体42や、機関本体42の各部の潤滑に用いられる潤滑油を収容するオイルパン44を備えている。オイルパン44には、ストレーナ48が収容されており、ストレーナ48の下流には、電動オイルポンプ46が設けられている。電動オイルポンプ46は、オイルパン44内の潤滑油を吸引して機関本体42側に吐出するものである。電動オイルポンプ46は、電動機46aを備えており、電動機46aが回転することによって、内燃機関40のクランク軸を静止状態に保ったまま、機関本体42に潤滑油を吐出可能なものである。
上記ストレーナ48は、吸入口50が、オイルパン44の底面に対向して配置されている。これは、吸入口50が潤滑油に常時浸されるようにするための設定である。吸入口50は、オイルパン44内の潤滑油に含まれる不純物のうちある程度大きいものが、吸入口50を介して電動オイルポンプ46へと流入することを阻止するためのメッシュ構造を有する。メッシュ構造は、たとえば数ミリメートルの孔が複数形成されて構成されており、それら孔よりも大きいものが吸入口50から電動オイルポンプ46へと流入することを阻止している。
制御装置60は、中央処理装置(CPU62)およびメモリ64を備えたマイクロコンピュータ(マイコン61)と、タイマ66とを備えている。タイマ66は、マイコン61の電源がオフ状態とされているときであっても、計時動作を行うことができて且つ、計時された期間が予め設定された時間になる場合、マイコン61を起動する機能を有したハードウェアである。
制御装置60は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することによって、各種制御を実行する。特に、制御装置60は、内燃機関40を制御対象とし、その制御量(トルク、排気成分)を制御する。制御装置60は、内燃機関40の回転速度NEを検出する回転速度センサ70、内燃機関40の冷却水温THWを検出する水温センサ72、外気温THOを検出する外気温センサ74、電動機46aの回転速度Nmを検出するモータ回転センサ76の出力値を取り込む。また、制御装置60は、内燃機関40の駆動中においては、電動オイルポンプ46を駆動して、オイルパン44内の潤滑油を機関本体42の各箇所に潤滑させる。
HV制御装置80は、インバータ18,20や、DCDCコンバータ22、充電器28等を制御対象とする。HV制御装置80は、電源スイッチ82がオン操作されることを条件に、起動され、SMR24を閉状態として、車両を走行可能な状態とする。HV制御装置80は、内燃機関40を駆動する要求が生じる場合、制御装置60を起動させる。ちなみに、制御装置60を起動させるとは、マイコン61を起動させることとする。
なお、制御装置60や、HV制御装置80、電動機46a等は、補機バッテリ84からの電力によって駆動される。補機バッテリ84は、たとえば12V等の端子電圧を有し、組電池26よりも満充電電荷量が小さい。ちなみに、タイマ66によるマイコン61の起動処理は、たとえば、補機バッテリ84とマイコン61との間にリレーを設けておき、タイマ66がリレーを操作する機能を備えることで実現可能である。
HV制御装置80は、充電器28によって充電された組電池26の電力を極力利用して車両を走行させる。このため、組電池26の充電率が規定値を超え、モータジェネレータ12による動力で駆動輪16に十分な動力を付与することができるときには、内燃機関40やモータジェネレータ14を停止状態とする。これに対し、組電池26の充電率が規定値以下となったにもかかわらず、車両の走行が要求されている場合等には、モータジェネレータ12に加えて、モータジェネレータ14を駆動し、また、制御装置60を介して内燃機関40を駆動する。
このように本実施形態では車両の走行のためのエネルギとして組電池26の電力を極力利用することから、内燃機関40の駆動継続時間が短くなる傾向にある。このため、内燃機関40の駆動中に潤滑油の温度が100°C以上とならない事態が生じやすい。ここで、内燃機関40の駆動中には、燃料の燃焼によって生じた水が潤滑油に混入する。潤滑油に混入した水は、潤滑油の温度が100°C以上となる場合には、気化して潤滑油から取り除かれる。これに対し、潤滑油の温度が十分に上昇しない場合、内燃機関40の停止後においても潤滑油に水が含まれ、潤滑油と水とが混ざり合ったエマルジョン状態となる。エマルジョン状態にある潤滑油と水との混合液は、混合液中の水の量が潤滑油中の界面活性剤の能力を超える場合には、内燃機関40の停止状態が継続されることにより、潤滑油と水とに分離する。分離した水は、水の密度が潤滑油の密度よりも高いために、オイルパン44の底部に留まる。そして、凝縮水が氷点下まで冷却されると、潤滑油内に氷が発生する。
ここで、潤滑油から分離した水の量が多い場合(たとえば10パーセント程度)、吸入口50の全面が氷によって覆われるおそれがある。一方、潤滑油から分離した水の量が吸入口50の全面を覆うほどではない場合であっても、電動オイルポンプ46を駆動することによって、小さな氷の粒によって吸入口50のメッシュ構造に目詰まりが生じるおそれがある。目詰まりが生じると、電動オイルポンプ46によって機関本体42に潤滑油を十分に供給できず、内燃機関40の摺動部に焼き付きが生じるなど、内燃機関40の潤滑処理に支障をきたすおそれがある。
そこで、本実施形態では、潤滑油に水が含まれる場合に、潤滑油から水が分離することを抑制するように以下の処理を実行する。
図2に、潤滑油中の水分量DWの推定処理の手順を示す。図2に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。なお、図2に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
図2に示す一連の処理において、CPU62は、まず、内燃機関40が駆動されているときであるか否かを判定する(S10)。この処理は、水分量DWの算出処理を実行するか否かを判定するためのものである。そして、CPU62は、駆動されているときであると判定する場合(S10:YES)、内燃機関40の噴射量Qを取得し(S12)、冷却水温THWを取得し(S14)、外気温THOを取得し(S16)、回転速度NEを取得する(S18)。そして、CPU62は、回転速度NEおよび冷却水温THWに基づき、潤滑油の温度(油温Toil)を推定する(S20)。ここでは、回転速度NEが高い場合に低い場合よりも油温Toilを高い値に推定する。これは、油温Toilの上昇は、主に機関本体42における摺動部において発生する熱によるものであり、発生する熱量は回転速度NEが高いほど多くなるためである。また、冷却水温THWが高い場合に低い場合よりも油温Toilを高い値に推定する。これは、機関本体42の温度が高いほど機関本体42から潤滑油が受ける熱量が多くなるためである。
そして、CPU62は、油温Toilが閾値温度Toilth以上であるか否かを判定する(S22)。この処理は、潤滑油中に水が含まれるか否かを判定するための処理である。閾値温度Toilthは、水の沸点(100°C)程度に設定されている。そして、CPU62は、閾値温度Toilth以上であると判定する場合(S22:YES)、水分量DWをリセットすべくゼロとする(S24)。一方、CPU62は、閾値温度Toilth未満であると判定する場合(S22:NO)、現在の水分量DW(重量:mg)に、水分更新量ΔDWを加算することによって水分量DWを増量側に更新する(S26)。ここでは、冷却水温THWが低い場合に高い場合よりも水分更新量ΔDWを大きい値に設定する。これは、冷却水温THWが低い場合、高い場合と比較して、燃料の燃焼による燃料中の水素と酸素との結合によって生じた水が液化しやすく、液化した水は排気とともに車両の外に排出されにくいためである。また、噴射量Qが多い場合に少ない場合よりも水分更新量ΔDWを大きい値に設定する。これは、燃料量が多いほど、酸化されて生成される水分子が多くなるためである。なお、噴射量Qがゼロである場合、水分更新量ΔDWをゼロとすればよい。また、外気温THOが低い場合に高い場合よりも水分更新量ΔDWを大きい値に設定する。これは、外気温THOが低い場合、高い場合と比較して、燃料の燃焼による燃料中の水素と酸素との結合によって生じた水が液化しやすいためである。
詳しくは、本実施形態では、冷却水温THW、噴射量Q、および外気温THOと、水分更新量ΔDWとの関係を定めた3次元マップをメモリ64に予め記憶しておき、この3次元マップを利用して水分更新量ΔDWを算出する。なお、マップとは、入力変数(ここでは、冷却水温THW、噴射量Q、および外気温THO)の離散的な複数の値のそれぞれと、出力変数(ここでは、水分更新量ΔDW)の値との組を示すデータのことである。なお、CPU62は、実際の入力変数がマップに定められた入力変数の値のいずれにも該当しない場合、補間演算によって出力変数を算出する。
なお、CPU62は、ステップS24,S26の処理を完了する場合や、ステップS10において否定判定する場合には、図2に示す一連の処理を一旦終了する。
図3に、タイマ66の設定処理の手順を示す。図3に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。なお、図3に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
図3に示す一連の処理において、CPU62は、まず電動オイルポンプ46の駆動中であるか否かを判定する(S30)。そして、CPU62は、電動オイルポンプ46の駆動中ではないと判定する場合(S30:NO)、電動オイルポンプ46が駆動状態から停止状態に切り替わった時であるか否かを判定する(S32)。この処理は、図3に示す処理の前回の制御周期ではステップS30において肯定判定されて且つ、今回の制御周期では否定判定されたか否かの判定処理である。CPU62は、切り替わった時であると判定する場合(S32:YES)、図2の処理によって算出されている水分量DWを取得する(S34)。次に、CPU62は、水分量DWが規定量DWth以上であるか否かを判定する(S36)。この処理は、タイマ66による電動オイルポンプ46の停止期間の計時処理の実行条件が成立したか否かを判定するためのものである。ここで、規定量DWthは、潤滑油から水が分離した後、これが氷となった場合に、吸入口50に目詰まりが生じるおそれがある量の下限値に設定されている。そして、CPU62は、規定量DWth以上であると判定する場合(S36:YES)、計時動作を開始して計時期間が閾値Tthに達することによりCPU62に通知するようにタイマ66を設定する(S38)。ここで、閾値Tthは、潤滑油から分離した水が氷になった場合に吸入口50に目詰まりが生じるおそれがある量だけ潤滑油から水が分離するまでの期間よりも短い期間(たとえば15日)に設定されている。なお、閾値Tthの設定においては、潤滑油に含まれる水が規定量DWth以上であって且つ想定最大量以下であることを前提としている。ここで、想定最大量は、たとえば車両が想定される最も寒い地方のみで使用されて且つ、内燃機関40が様々な仕方で駆動された場合において生じると想定される水分量の最大量である。
一方、CPU62は、電動オイルポンプ46の駆動中であると判定する場合(S30:YES)、タイマ66をリセットする(S40)。換言すれば、CPU62は、タイマ66の計時動作の停止処理およびそれまでの計時期間の記憶の消去処理を実行する。なお、CPU62は、ステップS38,S40の処理が完了する場合や、ステップS32、S36において否定判定する場合には、図3に示す一連の処理を一旦終了する。
図4に、マイコン61の起動時の処理を示す。図4に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。この処理は、マイコン61が起動されることをトリガとして実行される。
図4に示す一連の処理において、CPU62は、まずタイマ66の通知があったか否かを判定する(S50)。すなわち、マイコン61が起動されるのは、タイマ66の計時した期間が閾値Tthに達することによりタイマ66によって起動されるケース以外にも、HV制御装置80によって起動されるケースがある。このため、CPU62は、今回の起動がタイマ66によるものであるか否かを、換言すればタイマ66から停止期間が閾値Tthに達した旨の信号を受け取ったか否かを判定する。
そしてCPU62は、タイマ66から停止期間が閾値Tthに達した旨の信号を受け取る場合には、タイマ66からの通知があると判定し(S50:YES)、電動オイルポンプ46を駆動して、オイルパン44内の潤滑油を吸引して機関本体42側に吐出する処理を実行する(S52)。ここでは、電動機46aの回転速度Nmを目標回転速度にフィードバック制御する処理を実行する。この処理は、所定期間継続される(S54:NO)。ここで、所定期間は、潤滑油と水とを混ぜ合わせ潤滑油から水が分離しにくい状態とするのに要する時間に設定されている。
そして、CPU62は、所定期間が経過する場合(S54:YES)、電動オイルポンプ46を停止させる(S56)。なお、CPU62は、ステップS56の処理が完了する場合や、ステップS50において否定判定する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。ちなみに、マイコン61が起動された後にステップS52〜S56の処理を完了した場合、マイコン61は、図3に示した処理を実行した後に、みずからをオフ状態に切り替える。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
内燃機関40が短時間駆動され、潤滑油の温度が水の沸点に達しないタイミングで停止される場合、潤滑油には水が混入する。CPU62は、内燃機関40が停止すると、水分量DWが規定量DWth以上である場合、タイマ66をセットする。これにより、タイマ66は、電動オイルポンプ46の停止期間の計時動作を開始する。この計時動作は、マイコン61がオフ状態であるかオン状態であるかにかかわらず継続される。また、SMR24が閉操作され、車両が走行可能な状態とされているか否かにかかわらず継続される。そして、タイマ66の計時期間が閾値Tthに達すると、タイマ66はマイコン61を起動して、その旨をCPU62に通知する。これにより、CPU62は、電動オイルポンプ46を駆動させることにより、潤滑油と水とを撹拌する撹拌処理を実行する(S52)。ここで、撹拌処理は、SMR24が閉状態にあるか開状態にあるかにかかわらず実行される。換言すれば、車両が走行可能な状態にあるか否かにかかわらず実行される。さらに、ユーザが乗車しているか否かにかかわらず実行され、特にユーザが乗車しておらず車両のドアがロック状態にある場合であっても実行される。これにより、潤滑油から水が分離することを抑制することができる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下の効果が得られる。
(1)水分量DWが規定量DWth以上であることを条件に、タイマ66をセットしたため、タイマ66が無駄に計時動作を行うことを回避することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、閾値Tthを、水分量DW、潤滑油の劣化度合い、および平均気温Taveに応じて可変設定する。
図5に、潤滑油の劣化度合いを定量化する劣化パラメータDoilの算出処理の手順を示す。図5に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。図5に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、劣化パラメータDoilは、劣化度合いが大きいほど大きい値とされる。
図5に示す一連の処理において、CPU62は、まず、内燃機関40の駆動中であるか否かを判定する(S60)。そして、CPU62は、駆動中であると判定する場合(S60:YES)、回転速度NEを取得し(S62)、冷却水温THWを取得する(S64)。次に、CPU62は、回転速度NEおよび冷却水温THWに応じて劣化更新量ΔDoilを算出し、劣化更新量ΔDoilを劣化パラメータDoilに加算することにより、劣化パラメータDoilを更新する(S66)。
ここで、劣化更新量ΔDoilは、冷却水温THWが同一であっても、回転速度NEが高い場合に低い場合よりも大きい値に設定される。これは、第1に、潤滑油は油温Toilが高いほど劣化が促進されるものであり、回転速度NEが高い場合には低い場合よりも油温Toilが高くなるためである。第2に、回転速度NEが高い場合には低い場合よりも機関本体42の摺動部において潤滑油に及ぼされる剪断力が大きくなるために、潤滑油の劣化が促進されるためである。また、劣化更新量ΔDoilは、回転速度NEが同一であっても、冷却水温THWが高い場合に低い場合よりも大きい値に設定される。これは、潤滑油は油温Toilが高いほど劣化が促進されるものであり、冷却水温THWが高い場合には低い場合よりも油温Toilが高くなるためである。詳しくは、回転速度NEおよび冷却水温THWを入力変数とし、劣化更新量ΔDoilを出力変数とする2次元マップがメモリ64に記憶されており、このマップを用いて劣化更新量ΔDoilを算出する。
なお、CPU62は、ステップS66の処理が完了する場合や、ステップS60において否定判定する場合には、図5に示す一連の処理を一旦終了する。ちなみに、劣化パラメータDoilは、新品の潤滑油に交換される場合、リセットされるものとする。これはたとえば、ディーラで新品の潤滑油に交換する場合、制御装置60にその旨の信号を入力することで実現すればよい。
図6に、平均気温Taveの推定処理の手順を示す。図6に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。図6に示す処理は、マイコン61が起動されることをトリガとして実行される。なお、平均気温Taveは、推定日における1日の平均気温の推定によって、現時点から閾値Tth程度の長さの期間における気温の平均値を大まかに推定した値である。
図6に示す一連の処理において、CPU62は、現在時刻toと、外気温THOとを取得する(S72)。ここで、現在時刻toは、たとえば、マイコン61内に時計を備えることなどで実現すればよい。そして、CPU62は、外気温THOおよび現在時刻toに基づき、平均気温Taveを予測する(S74)。
ここで、CPU62は、外気温THOが低い場合には高い場合よりも平均気温Taveを低い値とし、さらに、外気温THOが同一である場合、現在時刻toが昼に近いほど平均気温Taveをより低い値に設定する。これは、平均気温Taveは、昼の外気温THOよりも低くなると考えられることに鑑みた設定である。なお、ここで、外気温THOが同一であっても平均気温Taveを最も低い値とする現在時刻toは、たとえば正午2時等とすればよい。具体的には、外気温THOおよび現在時刻toを入力変数とし、平均気温Taveを出力変数とする2次元マップがメモリ64に記憶されており、CPU62は、このマップを用いて平均気温Taveを算出する。
なお、CPU62は、ステップS74の処理が完了する場合には、図6に示す一連の処理を一旦終了する。
図7に、タイマ66の設定処理の手順を示す。図7に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。図7に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図7に示す処理のうち、図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
図7に示す一連の処理において、CPU62は、ステップS32において肯定判定する場合、水分量DWの取得(S34)に加えて、劣化パラメータDoilを取得し(S80)、また、平均気温Taveを取得する(S82)。そして、CPU62は、水分量DWが規定量DWth以上であると判定する場合(S36:YES)、閾値Tthを可変設定する(S84)。
ここでCPU62は、平均気温Taveおよび劣化パラメータDoilが同一である場合、水分量DWが多い場合に少ない場合よりも閾値Tthを小さい値に設定する。これは、水分量DWが多い場合には少ない場合よりも、潤滑油から水が分離しやすいことに鑑みた設定である。また、CPU62は、水分量DWおよび平均気温Taveが同一である場合、劣化パラメータDoilの値が大きい場合には小さい場合よりも閾値Tthを小さい値に設定する。これは、劣化度合いが大きい場合には小さい場合よりも、潤滑油から水が分離しやすいことに鑑みた設定である。また、CPU62は、水分量DWおよび劣化パラメータDoilが同一である場合、平均気温Taveが低い場合には高い場合よりも閾値Tthを小さい値に設定する。これは、潤滑油の温度が低い場合には高い場合よりも潤滑油から水が分離しやすい一方、平均気温Taveが低い場合には高い場合よりも内燃機関40の停止状態における潤滑油の温度が低くなると考えられることに鑑みた設定である。具体的には、水分量DW、劣化パラメータDoil、および平均気温Taveを入力変数とし、閾値Tthを出力変数とする3次元マップがメモリ64に記憶されており、CPU62は、このマップを用いて閾値Tthを算出する。ちなみに、マップは、その入力変数の1つである水分量DWに関し、潤滑油に含まれる上記想定最大量以下の値を記憶している。
CPU62は、閾値Tthを設定すると、ステップS38の処理に移行する。
ここで、たとえば水分量DWが規定量DWth以上であって特に多いときに、潤滑油からの水の分離が顕著とならないうちに撹拌処理を実行させるように閾値Tthを固定値として設定する場合、水分量DWが規定量DWth以上ではあるいが少ない場合には、未だ撹拌処理をするには時期尚早であるときに撹拌処理が実行される懸念がある。また、劣化パラメータDoilが大きいときに、潤滑油からの水の分離が顕著とならないうちに撹拌処理を実行させるように閾値Tthを固定値として設定する場合、劣化パラメータDoilが小さい場合には、未だ撹拌処理をするには時期尚早であるときに撹拌処理が実行される懸念がある。さらに、平均気温Taveが低いときに、潤滑油からの水の分離が顕著とならないうちに撹拌処理を実行させるように閾値Tthを固定値として設定する場合、平均気温Taveが高い場合には、未だ撹拌処理をするには時期尚早であるときに撹拌処理が実行される懸念がある。
これに対し、本実施形態では、閾値Tthを可変設定することにより、潤滑油からの水の分離が顕著となることを抑制しつつも、ステップS52の処理の実行を極力遅延させることができ、ひいてはステップS52の処理の実行機会を低減することができる。このため、消費エネルギ量を低減することができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
上記第2の実施形態によれば、ステップS52の処理が実行されるのは、基本的には冬季となると考えられる。なぜなら、夏季のように外気温THOが高い場合には、油温Toilが上昇しやすいため、内燃機関40の駆動時間が短くても、油温Toilが水の沸点に到達しやすいためである。ただし、たとえば、冬季において潤滑油に規定量DWth以上の水が含まれた後、潤滑油から水が分離したとしても吸入口50の目詰まりが生じるおそれがない季節となったときであるにもかかわらず、内燃機関40が長期にわたって停止状態にある場合には、潤滑油中の水分量が規定量DWth以上である状態が継続することが懸念される。そしてその場合、潤滑油から水が分離したとしても吸入口50の目詰まりが生じるおそれがない季節となったときであっても、電動オイルポンプ46の停止期間が閾値Tthに達することにより、電動オイルポンプ46が駆動されることが懸念される。本実施形態では、この懸念に対処する。
図8に、タイマ66の設定処理の手順を示す。図8に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。図8に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図8に示す処理のうち、図7に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示す一連の処理において、CPU62は、平均気温Taveが閾値温度TthL以下であることを条件に(S86:YES)、閾値Tthの可変設定(S84)やタイマ66のセット処理(S38)を実行する。すなわち、閾値温度TthLよりも高い場合には、図8に示す一連の処理を一旦終了して、閾値Tthの可変設定(S84)やタイマ66のセット処理(S38)を実行しない。ここで、閾値温度TthLは、現時点から閾値Tth程度の長さの期間内における最低気温が水の凝固点以下となり得ると想定される平均温度に基づき設定される。
こうした処理によれば、夏季において水分量DWが多いという理由でステップS52の処理が実行されることを抑制できる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
図9に、タイマ66の設定処理の手順を示す。図9に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。図9に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図9に示す処理のうち、図7に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示す一連の処理において、CPU62は、水分量DW、劣化パラメータDoil、および平均気温Taveを取得すると(S34,S80,S82)、判定値Cthを設定し(S84a)、計時動作を開始して計時期間が判定値Cthに達することによりその旨を通知するようにタイマ66をセットする(S38a)。ここで、CPU62は、判定値Cthを、水分量DW、劣化パラメータDoil、および平均気温Taveと判定値Cthとの関係を規定する3次元マップを用いて設定する。ここで、3次元マップは、入力変数としての水分量DWが規定量DWth以上の離散的なそれぞれの値である場合、判定値Cthを、上記第3の実施形態において水分量DW、劣化パラメータDoil、および平均気温Taveに応じて可変設定される閾値Tthと同じ値に定めるものである。一方、3次元マップは、水分量DWが規定量DWth未満である場合、判定値Cthを実行抑制値CLに定めるものである。なお、3次元マップは、入力変数としての水分量DWの値が、図2の処理によって算出される水分量DWの最小単位Δを用いて「DWth−Δ」であるときの値と規定量DWthのときの値との双方を少なくとも保持している。ここで、実行抑制値CLは、水分量DWが規定量DWthであるときの閾値Tthである閾値Tthの最大値よりも大きい値であり、詳しくは、ステップS52の処理が実行されることを意図的に避けるための値である。実行抑制値CLは、本実施形態での車両の使用のされ方として想定される様々なケースにおける内燃機関40の停止期間の想定最大値よりも大きい値に設定される。本実施形態では、たとえば100〜1000日の間のいずれかの値に設定される。
なお、実行抑制値CLには、ストレーナ48の吸入口50に氷による目詰まりが生じるおそれを抑制するうえで無力な値である。実行抑制値CLは、仮に潤滑油に規定量DWth以上の水が混入していたと仮定した場合、水分が凍結し目詰まりが生じることを抑制できない停止期間に設定されている。詳しくは、実行抑制値CLは、ストレーナ48の吸入口50に氷による目詰まりが生じるおそれがあるいかなる量の水が潤滑油に含まれている場合であっても、目詰まりを抑制するうえで無力な値に設定されている。潤滑油から水が分離するまでにかかる時間は、潤滑油の種類等に応じて実験によって求められる。実行抑制値CLは、潤滑油に規定量DWthに等しい水が混入していて且つ氷点(0°C)環境で目詰まりのおそれがある量の水が分離して凍結する時間よりも長い。
ここで、水分量DWが規定量DWth未満である場合には、本実施形態では、潤滑処理に支障をきたすことを想定していない。そして、実行抑制値CLの期間が経過する前には、内燃機関40が駆動されると想定され、タイマ66がリセットされるため、撹拌処理がむやみになされる事態が十分に抑制される。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
図10に、マイコン61(CPU62)の起動時の処理を示す。図10に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、実現される。この処理は、マイコン61が起動されることをトリガとして実行される。なお、図10に示す処理のうち図4に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示す一連の処理において、CPU62は、ステップS50において肯定判定する場合、電動オイルポンプ46の電動機46aを機関本体42の潤滑時とは逆回転させる(S52a)。これにより、CPU62は、電動オイルポンプ46に、機関本体42側の流体を吸引させてオイルパン44に吐出させる。具体的には、CPU62は、逆回転させる際の回転速度Nmを目標回転速度にフィードバック制御する。
ここで、電動オイルポンプ46の停止期間が長くなる場合、機関本体42の軸受部のクリアランス等を介して潤滑油が外部に流出する。このため、停止期間が閾値Tth以上となると、機関本体42の潤滑経路等、電動オイルポンプ46に対しオイルパン44とは逆側に位置する経路内には、その経路内の容積を全て埋めるように潤滑油が充填されているのではなく、潤滑油と空気とが混在する状態となる。このため、吸入口50からオイルパン44に流出する流体は、潤滑油のみならず空気を含んだものとなる。空気がオイルパン44に流出する場合であっても、オイルパン44内の潤滑油は撹拌される。なお、撹拌処理の実行期間の設定によっては、潤滑経路内の潤滑油が全てなくなり撹拌処理の少なくとも後期においては電動オイルポンプ46から吐出される流体が空気のみとなることもあり得る。
このように、電動オイルポンプ46が少なくとも空気を含んだ流体を吐出するために、潤滑油のみを吐出する場合と比較すると、電動機46aを同一の回転速度で駆動する際に必要なトルクが小さくなり、ひいては電動機46aの電力消費量が少なくなる。このため、本実施形態では、上記第1の実施形態と比較すると、電動機46aの回転速度Nmや撹拌処理の継続期間が同一であるなら、必要な電力が小さくなる。
<対応関係>
上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項と、実施形態における事項との対応関係は、次の通りである。なお、以下において、「メモリ64に記憶されたプログラムに従って所定の処理を実行するCPU62」のことを、記載を簡素化するために、「所定の処理を実行するCPU62」と記載する。
1.駆動制御装置は、制御装置60に対応し、撹拌処理部は、ステップS52,S54の処理を実行するCPU62や、ステップS52a,S54の処理を実行するCPU62に対応し、水分量取得処理部は、ステップS34の処理を実行するCPU62に対応し、計時処理部は、タイマ66に対応する。
2.第1〜第3、第5の実施形態に対応し、特に、規定量判定処理部は、ステップS36の処理を実行するCPU62に対応する。
3.第4の実施形態に対応し、特に、期間判定処理部は、ステップS50の処理を実行するCPU62に対応する。すなわち、CPU62がステップS38aの処理を実行すると、タイマ66により停止期間が判定値Cthに達することで、CPU62にその旨が通知され、CPU62は、通知によって判定値Cthに達したと判定する。また、判定値可変設定処理部は、ステップS84aの処理を実行するCPU62に対応する。また、流通経路は、ストレーナ48に対応する。
4.閾値可変設定処理部は、ステップS84の処理を実行するCPU62に対応する。
5.劣化情報取得処理部は、ステップS80の処理を実行するCPU62に対応し、閾値可変設定処理部は、ステップS84の処理を実行するCPU62に対応する。
6.気温取得処理部は、ステップS82の処理を実行するCPU62に対応し、閾値可変設定処理部は、ステップS84の処理を実行するCPU62に対応する。
7.第5の実施形態(図10)に対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
・「規定量判定処理部について」
規定量判定処理部としては、規定量DWth以上であるとの判定が、停止期間の計時動作のトリガとして利用されるものに限らない。たとえば、上記第1の実施形態において、電動オイルポンプ46が駆動状態から停止状態に切り替わることにより、図3のステップS38の処理を実行し、タイマ66による通知によって停止期間が閾値Tthに達したとCPU62が判定した場合に、水分量DWが規定量DWth以上であるか否かを判定するものであってもよい。なお、停止期間が閾値Tthに達したときに水分量DWが規定量DWth以上であるか否かを判定する処理を実行するものとしては、閾値Tthが固定値であるものに限らない。たとえば、下記の「閾値可変設定処理部について」に記載したように、閾値Tthを、劣化パラメータDoilおよび平均気温Taveのみによって可変設定したり、劣化パラメータDoilおよび平均気温Taveのいずれか一方のみによって可変設定したりしてもよい。
・「閾値可変設定処理部について」
水分量DW、劣化パラメータDoil、および平均気温Taveに応じて、閾値Tthを可変設定するものに限らない。たとえば、水分量DW、劣化パラメータDoil、および平均気温Taveのうちのいずれか2つのみ、または1つのみに基づき閾値Tthを可変設定してもよい。
・「撹拌処理について」
電動機46aの回転速度Nmを目標回転速度にフィードバック制御することは必須ではない。たとえば、電動機46aを流れる電流を目標値にフィードバック制御してもよい。この場合、上記第5の実施形態のステップS52aの処理における目標値は、上記第1の実施形態のステップS52の処理における目標値よりも小さい値に設定することが望ましい。これは、第5の実施形態では、電動オイルポンプ46が空気を吸引するために、上記第1の実施形態よりも小さいトルクで同一の回転速度を実現可能なためである。また、フィードバック制御に限らず、電動機46aに印加する電圧を開ループ操作量として、電動機46aの回転速度を開ループ制御してもよい。
たとえば下記の「内燃機関の潤滑について」の欄に記載したように、内燃機関40の停止状態において時間が経過するにつれて機関本体42の潤滑経路内の潤滑油が外部に流出する量が無視できる設定の場合、ステップS52aの処理は、ステップS52の処理と比較してエネルギ消費量を低減しない可能性もありうる。しかし、その場合であっても、ステップS52aの処理を実行することにより、潤滑油が水から分離することを抑制することはできる。なお、内燃機関40の停止状態において時間が経過するにつれて機関本体42の潤滑経路内の潤滑油が外部に流出する量が無視できる設定の場合において、ステップS52aの処理が実現可能なのは、ステップS52aの処理を実行することにより、機関本体42内の潤滑経路が外部から空気を吸い込める場合である。これはたとえば、潤滑経路と外部とを連通させる孔のうち鉛直上方に開口した孔を有して且つ、それ以外の孔については外部から潤滑経路への流体の流動を規制する逆止弁を備えることで実現可能である。
・「撹拌処理の実行条件について」
平均気温Taveが低いことを撹拌処理の実行条件とすることは、第3の実施形態のように閾値Tthを可変設定することとは無関係に採用可能である。すなわち、たとえば第1の実施形態や第4の実施形態、第5の実施形態において採用してもよい。
なお、平均気温Taveが低いことを撹拌処理の実行条件とするための処理としては、平均気温Taveが閾値温度TthL以下となることを条件に、タイマ66の計時動作を実行するものに限らない。たとえば、CPU62が、図4のステップS50において肯定判定する場合、平均気温Taveが閾値温度TthL以下と判定することを条件に、ステップS52の処理を実行するなど、停止期間が閾値Tthとなった時点で平均気温Taveが低いか否かを判定するものであってもよい。
・「規定量について」
上記実施形態では、規定量DWthを、潤滑油から水が分離した後、これが氷となった場合に、吸入口50の目詰まりが生じるおそれがある値に設定したが、これに限らない。たとえば、吸入口50のメッシュ構造を通過することが可能な微小な氷が生じるおそれがある値であってもよい。この場合であっても、たとえば潤滑油の流通経路のうちの吸入口50よりも下流側にメッシュ構造よりも目の細かいフィルタを備え、微小な氷に起因してフィルタが目詰まりするおそれがあり、これにより機関本体42の潤滑処理に支障をきたすおそれがあるなら、撹拌処理によって微小な氷が生成されることを抑制することは有効である。
・「実行抑制値について」
上記実施形態では、実行抑制値CLを、100〜1000日の間の値に設定したが、これに限らない。たとえば、10000日等、1000日よりも大きい値に設定してもよい。もっとも、100日以上であることも必須ではなく、たとえば、下記の「車両について」の欄に記載したように車両の外部の電力を組電池26に充電可能でない車両等にあっては、内燃機関40の停止期間の想定最大値が短くなると考えられるため、たとえば30〜100日の間の値に設定することも可能である。
・「判定値の設定について」
上記実施形態では、判定値Cthを定めるマップの入力変数としての水分量DWが規定量DWthであるときの値を含めたがこれに限らない。たとえば、規定量DWth未満の第1所定値と、規定量DWthより大きい第2所定値とを、規定量DWthに最も近い入力変数の値として、水分量DWが第1所定値よりも大きく第2所定値未満の値であるときについては、判定値Cthを補間演算してもよい。この場合、規定量DWthのときの値が閾値Tthとなり、水分量DWについての上記最小単位Δを用いて、水分量DWが「DWth+Δ」であるときに補間演算によって得られる判定値Cthは実行抑制値CLとなる。
上記第4の実施形態のように、水分量DWが規定量DWth以上の場合に、可変設定される閾値Tthを設定することは必須ではなく、第1の実施形態のように、固定値を設定してもよい。
・「水分量について」
上記実施形態では、重量によって水分量を特定したが、これに限らず、たとえば潤滑油中の含有率としてもよい。ここで、水分が含まれない潤滑油の重量Woilを用いると、含有率は、上記実施形態における水分量DWと、「DW/(DW+Woil)」という関係があり、規定量DWthを、「DWth/(Dwth+Woil)」に変換することにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。ただし、たとえば潤滑油量を検出するセンサを備える場合、含有率によって水分量を表現することは、上記実施形態よりも、潤滑油中の水分が水と分離することなどを把握する上ではより正確なパラメータとなる。
噴射量Q、冷却水温THW、および外気温THOに基づき推定するものに限らない。たとえば、噴射量Qのみから水分更新量ΔDWを算出することにより、噴射量Qのみから水分量DWを算出してもよい。またたとえば、噴射量Qと冷却水温THWまたは外気温THOとから水分更新量ΔDWを算出することにより、噴射量Qと冷却水温THWまたは外気温THOとから水分量DWを算出してもよい。
また、潤滑油に超音波を照射させた際の反射波に基づき水分量を検出するセンサの検出値を利用してもよい。
・「劣化度合い情報について」
劣化パラメータDoilの推定手法としては、上記実施形態において例示した手法に限らない。たとえば、潤滑油の温度を検出するセンサを備えて、センサの検出値から劣化更新量ΔDoilを逐次算出することにより、劣化パラメータDoilを推定してもよい。また、これに代えて、温度の検出値および回転速度から劣化更新量ΔDoilを逐次算出することにより、劣化パラメータDoilを推定してもよい。
劣化度合いの情報としては、劣化しているか否かの2値的な情報であってもよい。これは、たとえば、潤滑油が新品であったときからの車両の走行距離が規定値以上であるか否かに応じて、劣化度合いが大きいか劣化度合いが小さいかを定めることで生成される情報とすればよい。
・「気温について」
上記実施形態で、制御装置60の起動時における外気温THOと、起動時の時刻(現在時刻to)とに基づき、平均気温Taveを推定したが、これに限らない。たとえば、制御装置60の起動時において平均気温を仮に推定し、仮に推定された平均気温と現在保持している平均気温Taveとの加重平均処理によって、最終的な平均気温Taveを推定してもよい。また、たとえば、下記の「駆動制御装置について」に記載したように、所定周期毎の外気温THOのサンプリング値の最新のものから規定数個前のものまでの移動平均処理によって平均気温Taveを逐次算出するようにしてもよい。
また、外気温THOに基づき平均気温を推定するものに限らない。たとえば日付情報を取得して、季節を判定するとともに地域情報に基づき、最終的な平均気温を推定してもよい。また、平均気温の推定に限らず、たとえば、1日で最も気温が低くなると想定される時間帯における気温を推定してもよい。この場合であっても、気温が低いほど閾値Tthを短く設定することは有効である。
さらに、気温を推定するものに限らず、車両の外部から得られる無線信号中の気象情報に含まれる気温を制御装置60に取り込んでもよい。
・「タイマのリセットについて」
上記実施形態では、電動オイルポンプ46が駆動される場合、その駆動時間にかかわらず、タイマをリセットしたが、これに限らない。たとえば、内燃機関40の起動に伴って電動オイルポンプ46が起動された直後に車両が駐車されるなどして内燃機関40が停止する場合には、撹拌が十分でないことに鑑み、タイマ66をリセットする代わりに、それまでに計時されている時間を短縮補正し、タイマ66の計時動作を継続させてもよい。これにより、内燃機関40が起動されなかった場合と比較して、CPU62に閾値Tth以上となった旨の通知がなされるタイミングが遅延される。
・「タイマの設定について」
たとえば、上記第1の実施形態において、タイマ66が、閾値Tthまでの期間を計時可能なものとする代わりに、次のようにしてもよい。すなわち、たとえば、タイマ66の最大計時期間を、たとえば所定値(たとえば5日)とし、タイマ66に所定値をセットして、タイマ66から所定値が経過した旨が通知される場合、CPU62は、撹拌処理を実行することなくタイマ66を再度所定値にセットする。そして、たとえば閾値Tthが14日である場合、再度、タイマ66から所定値が経過した旨が通知される場合、CPU62は、撹拌処理を実行することなくタイマ66を4日にセットする。こうした手法が適用可能なのは第1の実施形態に限らない。特に、第4の実施形態においては判定値Cthが非常に大きくなりうるため、第4の実施形態への適用は有効である。
・「停止期間について」
上記実施形態では、閾値Tthや判定値Cthとの比較対象となる停止期間は、電動オイルポンプ46の停止期間であったが、これに限らない。たとえば、内燃機関が、電動オイルポンプに加えて、内燃機関のクランク軸の回転動力によって駆動される機関駆動式のオイルポンプを備える場合には、停止期間を、潤滑油が内燃機関の潤滑に利用されておらず且つ撹拌処理によって撹拌されていない期間とすべく、機関駆動式のオイルポンプおよび電動オイルポンプの双方が停止している期間とする。
・「内燃機関の潤滑について」
上記実施形態では、内燃機関40の停止状態において時間が経過するにつれて機関本体42の潤滑経路内の潤滑油が外部に流出し、経路内の潤滑油が減少した状態において、機関本体42を潤滑する処理を実行する要求については、特に触れなかった。実際、経路内の潤滑油が減少した状態において内燃機関40が起動されたとしても、内燃機関40の信頼性を高く維持できる設定であるなら、内燃機関40の停止中に機関本体42を潤滑する処理の実行要求が生じないとすることは可能である。ただし、経路内の潤滑油が減少した状態にある場合、内燃機関40の始動要求が生じると、内燃機関40の始動に先立って電動オイルポンプ46を駆動し、潤滑不足を解消してから内燃機関40を始動させることも可能である。この場合、図10のステップS52aの処理が一度実行された後に、内燃機関40の始動に先立って電動オイルポンプ46を駆動する事態が生じる場合には、図4のステップS52の処理が一度実行された後に、電動オイルポンプ46を駆動する事態が生じる場合と比較して、エネルギ消費量が増加することもあり得る。しかし、内燃機関40の始動に先立って電動オイルポンプ46を駆動する事態が生じるに際し、ステップS52aの処理が複数回実行される場合には、ステップS52の処理が複数回実行される場合よりも、エネルギ消費量を低減できると考えられる。
また、内燃機関40の停止状態において時間が経過するにつれて機関本体42の潤滑経路内の潤滑油が外部に流出する量が無視できる設定においても、内燃機関40の停止中に機関本体42を潤滑する処理の実行要求が生じないとすることは可能である。
・「ストレーナについて」
吸入口50がオイルパン44の底に対向して配置されることは必須ではない。たとえば、吸入口50が鉛直上方に向いたものであっても、潤滑油中の水が分離した後、凝固する場合、凝固した氷によって吸入口50が目詰まりするおそれがあることには相違ない。
吸入口50にメッシュ構造を有することは必須ではない。たとえば、吸入口50と電動オイルポンプ46の吸入側との間の通路内にメッシュ構造を有してもよい。また、電動オイルポンプ46の上流側にメッシュ構造を有することなく、濾過部材として、電動オイルポンプ46の吐出口側にフィルタを備える構成であってもよい。
・「駆動制御装置について」
上記実施形態では、マイコン61がオフ状態であるときにおいても計時動作を継続するタイマ66を備え、電動オイルポンプ46の停止期間が閾値Tthや判定値Cthとなる場合、マイコン61を起動させたが、これに限らない。たとえば、内燃機関40の制御量の制御処理を実行するCPUとは別に、制御装置60の主電源がオフ状態であるときであっても、常時オン状態となるCPUを備え、これによって、図2〜図5、図7〜図10の処理に対応する処理を実行してもよい。なお、ここでは、図4や図10に記載の内容の処理の実行条件を、所定周期に変更する。また、この構成の場合、図6の処理に代えて、外気温THOの所定周期毎のサンプリング値の最新のものから規定数個前のものまでの移動平均処理によって、平均気温Taveを算出する処理を実行すればよい。また、この構成の場合には、タイマ66に代えて、CPUが所定周期でカウンタをインクリメントすることによって計時処理部を構成してもよい。
上記実施形態では、制御装置60が、CPU62およびメモリ64を備えて、図2〜図10の処理をソフトウェア処理するものとしたが、これに限らない。たとえば、図2の処理や図7のステップS84の処理を、専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)にて処理するなど、少なくとも一部の処理を実行するASICを備えたものであってもよい。
上記実施形態では、駆動制御装置を、制御装置60によって構成したが、これに限らず、たとえば、図3のステップS32〜S36の処理を、HV制御装置80が実行するなど、制御装置60とHV制御装置80との双方によって、駆動制御装置を構成してもよい。なお、その場合、HV制御装置80がオフ状態にあるときに、タイマ66によってマイコン61が起動する場合、制御装置60がHV制御装置80を起動させる処理を実行し、HV制御装置80は、ステップS36において肯定判定する場合、その旨を制御装置60に通知する。
・「車両について」
ハイブリッド車としては、車両の外部からの電力を組電池26に充電可能ないわゆるプラグインハイブリッド車に限らない。車両の外部の電力の充電が可能でないもの等、組電池26の容量が小さい車両であっても、たとえば寒冷地において内燃機関40を短時間駆動した後停止させて放置される場合などには、潤滑油に水分が含まれたまま放置されることとなるため、撹拌処理を実行することは有効である。
シリーズ・パラレルハイブリッド車に限らない。たとえば、パラレルハイブリッド車やシリーズハイブリッド車であってもよい。
もっともハイブリッド車に限らず、駆動輪に動力を付与する原動機が内燃機関のみである車両であっても、寒冷地において近距離走行した後内燃機関が停止する場合には、潤滑油に水分が含まれることとなり、その後、長時間放置されるという極めてレアなケースが生じる場合には、潤滑油から水が分離するおそれがある。このため、撹拌処理を実行することは有効であり得る。
10…動力分割機構、12,14…モータジェネレータ、16…駆動輪、18,20…インバータ、22…DCDCコンバータ、24…SMR、26…組電池、28…充電器、30…商用電源、40…内燃機関、42…機関本体、44…オイルパン、46…電動オイルポンプ、46a…電動機、48…ストレーナ、50…吸入口、60…制御装置、61…マイコン、62…CPU、64…メモリ、66…タイマ、70…回転速度センサ、72…水温センサ、74…外気温センサ、76…モータ回転センサ、80…HV制御装置、82…電源スイッチ、84…補機バッテリ。

Claims (7)

  1. オイルパン内の潤滑油に浸された吸入口から前記潤滑油を吸引して内燃機関の潤滑に利用するための電動オイルポンプを駆動する電動オイルポンプの駆動制御装置において、
    前記内燃機関の停止中に前記電動オイルポンプを駆動して前記オイルパン内の前記潤滑油を撹拌する撹拌処理を実行する撹拌処理部と、
    前記潤滑油中の水分量を取得する水分量取得処理部と、
    前記潤滑油が前記内燃機関の潤滑に利用されておらず且つ前記撹拌処理部によって撹拌されていない期間である停止期間を計時する計時処理部と、を備え、
    前記撹拌処理部は、前記水分量取得処理部によって取得された水分量が規定量以上である場合には、前記計時処理部によって計時された停止期間が閾値に達することを条件に、前記撹拌処理を実行することを特徴とする電動オイルポンプの駆動制御装置。
  2. 前記水分量取得処理部によって推定された水分量が前記規定量以上であるか否かを判定する規定量判定処理部を備え、
    前記撹拌処理部は、前記規定量判定処理部によって前記規定量未満と判定される場合、前記撹拌処理を実行しない請求項1記載の電動オイルポンプの駆動制御装置。
  3. 前記計時処理部によって計時された前記停止期間が判定値に達したか否かを判定する期間判定処理部と、
    前記水分量が前記規定量以上の場合に前記判定値を前記閾値と同じ値に設定し、前記水分量が前記規定量未満の場合に前記判定値を前記閾値よりも大きい実行抑制値に設定する判定値可変設定処理部と、を備え、
    前記撹拌処理部は、前記期間判定処理部によって前記停止期間が前記判定値に達したと判定されることを条件に前記撹拌処理を実行するものであり、
    前記閾値は、前記電動オイルポンプによって前記オイルパンから吸引される潤滑油の流通経路に氷による目詰まりが生じるおそれを抑制するための値に設定されており、
    前記実行抑制値は、前記電動オイルポンプによって前記オイルパンから吸引される潤滑油の流通経路に氷による目詰まりが生じるおそれを抑制するうえで無力な値に設定されている請求項1記載の電動オイルポンプの駆動制御装置。
  4. 前記水分量取得処理部によって取得された水分量が前記規定量以上である場合において、該水分量が多い場合に少ない場合よりも前記閾値を小さい値に設定する閾値可変設定処理部を備える請求項2または3記載の電動オイルポンプの駆動制御装置。
  5. 前記潤滑油の劣化度合い情報を取得する劣化情報取得処理部と、
    前記劣化情報取得処理部によって取得された情報に基づき、前記劣化度合いが大きい場合に小さい場合よりも前記閾値を小さい値に設定する閾値可変設定処理部と、を備える請求項2または3記載の電動オイルポンプの駆動制御装置。
  6. 気温を取得する気温取得処理部と、
    前記気温取得処理部によって取得された前記気温が低い場合に高い場合よりも前記閾値を小さい値に設定する閾値可変設定処理部と、を備える請求項2または3記載の電動オイルポンプの駆動制御装置。
  7. 前記撹拌処理は、前記電動オイルポンプのうち前記内燃機関を潤滑するときの吐出側から吸引した流体を前記電動オイルポンプのうち前記内燃機関を潤滑するときの吸入側から前記オイルパンに吐出させる処理である請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動オイルポンプの駆動制御装置。
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