JP2007297961A - 内燃機関の潤滑オイル供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑オイルの劣化に伴う潤滑性能の低下を抑制することのできる内燃機関の潤滑オイル供給装置を提供する。
【解決手段】この装置は、内燃機関10の各潤滑部に潤滑オイルを圧送するオイルポンプ18と、各潤滑部およびオイルポンプ18を連通するオイル通路とを備える。潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が小さいときと比較して、オイル通路内の圧力が高くなるようにこれを変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の潤滑オイル供給装置に関するものである。
通常、内燃機関には、その各潤滑部に潤滑オイルを圧送するためのオイルポンプが設けられるとともに、同オイルポンプと各潤滑部とを連通するオイル通路が形成されている。そうした内燃機関の各潤滑部の潤滑に必要な潤滑オイルの総量は、同内燃機関の運転状態に応じて異なる。そして、それら潤滑部に対して必要以上に潤滑オイルが供給されると、これに起因して各潤滑部におけるフリクションの不要な増大を招き、内燃機関の運転効率を低下させてしまう。
そこで従来、特許文献1に記載の装置のように、そうした運転効率の低下を抑制するべく、機関運転状態に応じてオイル通路内の圧力を変更する装置が提案されている。この装置では、具体的には、潤滑オイルの温度および機関回転速度が共に高いときにオイル通路内の圧力を低下させるようにしている。
一方、潤滑オイルは長期間使用されると性状が変化し、やがては本来の機能を果たさなくなるために、定期的に交換する必要がある。これに対しては、例えば特許文献2に記載の装置のように、適宜のタイミングで潤滑オイルの交換を促す装置が提案されている。この装置では、具体的には、内燃機関の稼働履歴や潤滑オイルへの燃料混入度合などに基づいて潤滑オイルの劣化進行が判定されて、同潤滑オイルの交換時期が報知される。
特開平4−17708号公報 特開2006−16988号公報
ここで、潤滑オイルが劣化した場合においてその交換作業が速やかに行われるとは限らず、内燃機関の運転が継続された後に行われることがある。具体的には、例えば車載内燃機関に適用される装置において潤滑オイルの交換時期が報知された場合、潤滑オイルの交換作業を行うことの可能な場所まで車両を自走させる必要があるために、少なくともその自走期間において内燃機関が運転される。
そうした場合、潤滑オイルが劣化した潤滑性能の低い状態で内燃機関が運転されるため、各潤滑部の摩耗などといった種々の不都合を招くおそれがある。そうした不都合を回避するためには、例えば交換時期を報知するタイミングを早くする等して、潤滑オイルを早めに交換するようにすればよいが、これは潤滑オイルの寿命(使用可能期間)を短くすることとなり好ましくない。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑オイルの劣化に伴う潤滑性能の低下を抑制することのできる内燃機関の潤滑オイル供給装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の潤滑部に潤滑オイルを圧送するオイルポンプと、
前記潤滑部および前記オイルポンプを連通するオイル通路と、前記潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が小さいときと比較して、前記オイル通路内の圧力が高くなるようにこれを変更する圧力変更手段とを備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、潤滑オイルが劣化して潤滑性能が低下した際に、その低下分を、オイル通路内の圧力を高くして潤滑性能を向上させることによって補うことができる。したがって、潤滑オイルの劣化に伴う潤滑性能の低下を抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの液面高さを検出する液面センサと、該液面センサによって検出した液面高さが所定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判定する判定手段とを更に備えることをその要旨とする。
内燃機関にあっては潤滑オイルへの燃料の混入が避けられない。そして、そうした燃料による潤滑オイルの希釈が進むと、潤滑オイルの性状が変化して、本来の潤滑性能が発揮されなくなり、潤滑性能の低下を招くこととなる。また、潤滑オイルに燃料が混入すると、その分だけオイルタンク内の潤滑オイルの貯留量が増加するようになる。
上記構成によれば、燃料による潤滑オイルの希釈度合が大きいことをオイルタンク内の潤滑オイルの液面が高いことをもって判断することができ、これをもって潤滑オイルの劣化度合が大きいことを判定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記潤滑オイルの交換直後において前記オイルタンク内に貯留されている同潤滑オイルの液面高さを記憶する記憶手段を更に備え、該記憶手段によって記憶した液面高さに基づいて前記所定値を設定することをその要旨とする。
交換直後におけるオイルタンク内の潤滑オイルの液面高さは、一定ではなく、交換作業が行われる度に異なる。この点、上記構成によれば、交換直後における液面高さを基準に前記所定値を設定することができ、交換後において燃料による潤滑オイルの希釈が進んだことを精度良く判断することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記潤滑オイルの交換後における同潤滑オイルの消費量を推定する推定手段を更に備え、該推定手段によって推定した消費量に基づいて前記所定値を設定することをその要旨とする。
潤滑オイルは内燃機関の運転によって徐々に消費されて減少するために、その減少分だけオイルタンク内の潤滑オイルの液面高さは低くなる。この点、上記構成によれば、機関運転に伴う消費分に応じて前記所定値を設定することができ、潤滑オイルの希釈度合が大きいことを精度良く判断することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、前記判定手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときにおいてそれぞれ前記劣化度合についての判定を実行し、それら判定の少なくとも2つにおいて前記検出した液面高さが前記所定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判定することをその要旨とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、前記判定手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときのうちの2つの条件下において前記劣化度合についての判定を実行し、それら判定において共に前記検出した液面高さが前記所定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判定することをその要旨とする。
車載内燃機関に適用される場合にあって車両走行時には、その加減速に伴ってオイルタンク内の潤滑オイルの液面高さが変動していることが多く、このとき液面高さを検出しても同液面高さがオイルタンク内の潤滑オイルの量に見合う値からずれた値になりやすい。また、液面高さが変動していない場合であっても、車両が傾斜した路面で停止される場合には、オイルタンク内の潤滑オイルの液面も傾斜しているために、やはり検出した液面高さがオイルタンク内の潤滑オイルの量に見合う値からずれた値になりやすい。
請求項5または6に記載の発明の構成では、液面センサによって検出した液面高さと前記所定値との比較に基づく判定が車両停止時における複数の条件下において実行され、複数の判定において上記液面高さが所定値以上であることをもって、燃料による潤滑オイルの希釈度合が大きいと判定される。
そのため請求項5または6に記載の発明の構成によれば、液面高さの変動や傾斜した路面への車両停止に起因して液面高さが誤検出されて同液面高さが所定値以上になった場合であっても、他の条件下において液面高さが所定値以上にならない限り、潤滑オイルの劣化度合が大きいとは判定されなくなる。したがって、同劣化度合が大きいことを高い信頼度で判定することができる。
請求項1に記載の発明における潤滑オイルの劣化度合についての判断は、請求項7によるように、潤滑オイルの劣化度合を算出する算出手段を更に備え、該算出手段によって算出される劣化度合が所定の判定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判断する、といったように行うことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
前記算出手段は、前記劣化度合として、燃料による前記潤滑オイルの希釈が進んだときほど大きい度合を算出することをその要旨とする。
上述のように、内燃機関にあっては潤滑オイルへの燃料の混入が避けられず、そうした燃料による潤滑オイルの希釈が進むと、潤滑性能の低下を招いてしまう。
上記構成によれば、潤滑オイルへの燃料混入に起因する潤滑性能の低下を抑制することができるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの量を検出する検出手段と、前記潤滑オイルの交換直後において前記オイルタンク内に貯留されている同潤滑オイルの量を記憶する記憶手段とを更に備え、前記検出手段によって検出した前記潤滑オイルの量をV1、前記記憶手段によって記憶した前記潤滑オイルの量をV2、燃料による前記潤滑オイルの希釈度合をDとするとき、前記算出手段は、前記希釈度合Dとして次式「D=V1/V2」を満たす値を求めることをその要旨とする。
潤滑オイルに燃料が混入すると、その分だけオイルタンク内の潤滑オイルの貯留量が増加するようになる。また、交換直後におけるオイルタンク内の潤滑オイルの貯留量は、一定ではなく、交換作業が行われる度に異なる。
上記構成によれば、交換直後におけるオイルタンク内の潤滑オイルの貯留量を基準としてその貯留量の増加度合を求め、これを燃料による潤滑オイルの希釈度合とすることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの量を検出する検出手段と、前記潤滑オイルの交換直後において前記オイルタンク内に貯留されている同潤滑オイルの量を記憶する記憶手段と、前記潤滑オイルの交換後における同潤滑オイルの消費量を推定する推定手段とを更に備え、前記検出手段によって検出した前記潤滑オイルの量をV1、前記記憶手段によって記憶した前記潤滑オイルの量をV2、前記推定手段によって推定した消費量をΔV、燃料による前記潤滑オイルの希釈度合をDとするとき、前記算出手段は、前記希釈度合Dとして次式「D=V1/(V2−ΔV)」を満たす値を求めることをその要旨とする。
潤滑オイルは内燃機関の運転によって徐々に消費され減少するために、その減少分だけオイルタンク内の潤滑オイルの貯留量も減少するようになる。
上記構成によれば、交換直後におけるオイルタンク内の潤滑オイルの貯留量から機関運転に伴う消費分を減じた量を基準として、潤滑オイルの貯留量の増加度合を求め、これを燃料による潤滑オイルの希釈度合とすることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、前記検出手段は、前記オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの液面高さに基づいて同潤滑オイルの量を検出するものであり、前記算出手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときにおいてそれぞれ前記希釈度合を求め、それら求めた希釈度合のうちの少なくとも2つが一致したことを条件に、それら一致した希釈度合に基づいて前記劣化度合を算出することをその要旨とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項9または10に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、前記検出手段は、前記オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの液面高さに基づいて同潤滑オイルの量を検出するものであり、前記算出手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときのうちの2つの条件下においてそれぞれ前記希釈度合を求め、それら求めた希釈度合が一致したことを条件に、それら一致した希釈度合に基づいて前記劣化度合を算出することをその要旨とする。
オイルタンク内の潤滑オイルの貯留量については、オイルタンク内の潤滑オイルの液面高さを検出することにより、これを容易に検出することができる。ただし車載内燃機関に適用される場合にあって、車両走行時には、その加減速に伴ってオイルタンク内の潤滑オイルの液面高さが変動していることが多い。そして、このように液面高さが変動しているときには、このとき液面高さを検出しても同液面高さがオイルタンク内の潤滑オイルの貯留量に見合う値からずれた値になりやすい。また、液面高さが変動していない場合であっても、車両が傾斜した路面で停止される場合には、オイルタンク内の潤滑オイルの液面も傾斜しており、やはり検出した液面高さが潤滑オイルの貯留量に見合う値からずれた値になりやすい。
請求項11または12に記載の発明の構成によれば、車両停止時の異なる条件下において各別に求められた前記希釈度合が一致していることをもって、それら一致している希釈度合の信頼度が高いことを確認することができる。そして、その信頼度の高い希釈度合に基づいて潤滑オイルの劣化度合を精度良く算出することができるようになる。
なお、前記一致したことは、前記求めた希釈度合が完全に一致していることに加えて、前記求めた希釈度合がほぼ一致していることを含む。
前述したオイル通路内の圧力が高くなるようにこれを変更するといった構成は、請求項13によるように、オイル通路内の潤滑オイルの圧力が所定の開弁圧より高くなったときに開弁されて同オイル通路の内部から外部に潤滑オイルを排出する制御弁を設け、該制御弁の開弁圧を高い圧力に変更する、ことにより実現することができる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記圧力変更手段は、前記劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて前記開弁圧が高くなるように同開弁圧を変更するものであることをその要旨とする。
潤滑オイルの劣化が進行するほど、潤滑性能を維持するために必要なオイル通路の圧力が高くなる。また、潤滑性能の低下を確実に抑制するべく制御弁の開弁圧を高く設定してオイル通路内の圧力を十分に高くすると、潤滑オイルの劣化度合が比較的小さいときにおいて、内燃機関の潤滑部におけるフリクションの不要な増大を招いてしまう。
この点、上記構成によれば、潤滑オイルの劣化度合に応じて制御弁の開弁圧を設定することができ、上記フリクションの不要な増大を抑えつつ、潤滑性能の低下を抑制することができる。
前述したオイル通路内の圧力が高くなるようにこれを変更するといった構成は、請求項15によるように、開弁制御時においてオイル通路の内部から外部に潤滑オイルを排出する制御弁を設け、前記劣化度合が大きいときに制御弁の開度を縮小する、ことにより実現することができる。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記圧力変更手段は、前記劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて前記制御弁の開度が大きくなるように同開度を変更するものであることをその要旨とする。
上述のように、潤滑オイルの劣化が進行するほど、潤滑性能を維持するために必要なオイル通路の圧力が高くなる。また、潤滑性能の低下を確実に抑制するべく制御弁の開度を小さく設定してオイル通路内の圧力を十分に高くすると、潤滑オイルの劣化度合が比較的小さいときにおいて、内燃機関の潤滑部におけるフリクションの不要な増大を招いてしまう。
この点、上記構成によれば、潤滑オイルの劣化度合に応じて制御弁の開度を制御することができ、上記フリクションの不要な増大を抑えつつ、潤滑性能の低下を抑制することができる。
請求項17に記載の発明は、請求項13〜16のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記オイル通路は、前記内燃機関のシリンダブロックを経て同内燃機関のシリンダヘッドに延設されてなり、前記制御弁は、そのオイル導入口が前記オイル通路の前記シリンダブロック内に形成された部分に連通されるとともに、オイル排出口が、前記オイルポンプの吸入口に潤滑オイルを戻すためのリターン通路と前記オイル通路の前記シリンダヘッドに形成された部分に連通される連通路とにそれぞれ接続されてなり、前記制御弁のオイル排出口は、前記劣化度合が小さいときには前記リターン通路に連通され、前記劣化度合が大きいときには前記連通路に連通されることをその要旨とする。
オイル通路が内燃機関のシリンダブロックを経てシリンダヘッドに延設された装置にあっては、潤滑オイルの流れ方向上流側にあたるシリンダブロックに形成される部分と比較して、潤滑オイルの流れ方向下流側にあたるシリンダヘッドに形成される部分(ヘッド通路)において、オイル通路内の圧力の低下を招き易い。そのため潤滑オイルの劣化が進んだ場合には、上記ヘッド通路において過度の圧力低下を招き易く、同ヘッド通路における過度の圧力低下が潤滑性能を低下させる要因となる。
上記構成によれば、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、制御弁を介して一旦オイル通路の外部に排出された潤滑オイルを上記ヘッド通路に戻すことができる。これにより同ヘッド通路における過度の圧力低下を好適に抑制することができ、潤滑性能の低下を好適に抑制することができる。
請求項18に記載の発明は、請求項1〜17のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、前記劣化度合が大きいときに前記潤滑オイルの交換時期を報知する報知手段を更に備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、潤滑オイルの劣化が進んだときに、これに起因する潤滑性能の低下を抑制しつつ、潤滑オイルの交換を促すことができるようになる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる内燃機関の潤滑オイル供給装置を具体化した第1の実施の形態について説明する。
ここでは先ず、図1を参照して、本実施の形態にかかる内燃機関の潤滑オイル供給装置が適用される車両の概略構成を説明する。
同図1に示すように、車両1には内燃機関10が搭載されている。内燃機関10の燃焼室11には吸気通路12が接続されており、この吸気通路12を通じて燃焼室11に空気が吸入される。一方、内燃機関10の燃焼室11には排気通路13が接続されており、この排気通路13にはフィルタ機能を有する排気浄化触媒14が設けられている。燃焼室11から排気通路13に排出された排気は排気浄化触媒14によって浄化された後、外部に排出される。
内燃機関10は燃料噴射弁15を備えており、この燃料噴射弁15には燃料ポンプ16から高圧の燃料が供給されている。そして、燃料噴射弁15が開弁駆動されることによって燃焼室11内に直接燃料が噴射される。
また、内燃機関10には潤滑オイルを貯留するオイルタンク17と同オイルタンク17の潤滑オイルを圧送するオイルポンプ18とが設けられている。このオイルポンプ18としては、内燃機関10の出力軸に駆動連結された機関駆動式のものが採用されている。オイルポンプ18は、同オイルポンプ18と内燃機関10の各潤滑部とを連通するオイル通路に接続されている。このオイルポンプ18により、オイルタンク17内の潤滑オイルがオイル通路を介して内燃機関10の各潤滑部に供給される。各潤滑部での潤滑に供された後の潤滑オイルは内燃機関10の内壁を伝い落ちる等してオイルタンク17内に貯まるようになっている。
上記オイル通路には、リリーフ弁19が設けられている。このリリーフ弁19は、オイル通路内の潤滑オイルの圧力が所定の開弁圧より高くなったときに開弁されて同オイル通路の内部から外部に潤滑オイルを排出するものである。本実施の形態では、リリーフ弁19として、その開弁圧を変更可能な制御弁が採用されている。
本実施の形態にかかる装置は、例えばマイクロコンピュータ等を中心に構成される電子制御装置30を備えている。この電子制御装置30には、各種センサ類が接続されており、それらの検出信号が取り込まれる。電子制御装置30は、それら検出信号から把握される機関運転状態や操作状態に基づいて、燃料噴射弁15の開閉制御(燃料噴射制御)やリリーフ弁19の開弁圧の設定制御(リリーフ制御)など、機関制御にかかる各種制御を実行する。
各種センサ類としては、例えば内燃機関10に吸入される空気の量(吸入空気量GA)を検出するための吸入空気量センサ31や、機関出力軸の回転速度(機関回転速度NE)を検出するための回転速度センサ32、機関冷却水の温度(水温THW)を検出するための水温センサ33が設けられている。また、車両1の走行速度(車速SPD)を検出するための走行速度センサ34や、オイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さ(実液面レベルLv)を検出するための液面レベルセンサ35、同潤滑オイルの温度(オイル温度THO)を検出するための温度センサ36が設けられている。その他、車両1および内燃機関10の運転開始に際して同内燃機関10およびその周辺機器へのバッテリ20からの給電を開始するべく操作されるメインスイッチ37や、潤滑オイルの交換に際して操作されることにより、後述するマップ切り換え処理に用いられる各種の値を初期化する初期化スイッチ38等も設けられている。
なお本実施の形態では、上記バッテリ20がメインリレー21を介して電子制御装置30および液面レベルセンサ35に接続されている。そして、メインスイッチ37がオフ操作された場合に、その後しばらくの間メインリレー21がオン状態に維持されて、電子制御装置30および液面レベルセンサ35への給電が維持される。
本実施の形態のリリーフ制御では、内燃機関10の各潤滑部におけるフリクションの不要な増大を抑えつつ、それら潤滑部における潤滑性能を十分に発揮させるために、機関負荷およびオイル温度THOに基づいてマップ(図2)から、リリーフ弁19の開弁圧についての目標値(目標開弁圧Pl)が設定される。リリーフ制御では、基本的には、機関負荷が大きいほど、またオイル温度THOが高いほど、目標開弁圧Plとして高い圧力が設定される。なお、機関負荷としては、吸入空気量GAと最大吸入空気量GAmax(そのときの機関回転速度NEにおいて得られる最大の吸入空気量)との比(GA/GAmax)が用いられる。
このように目標開弁圧Plを設定するようにしたのは、次のような理由による。機関負荷が大きいほど、機関出力軸の軸受けにかかる力が大きく、そうした軸受けにおける十分な潤滑性能を確保するために最低限必要な潤滑オイルの圧力が高いためであり、またオイル温度THOが高いほど、潤滑オイルの粘度が低いために、各潤滑部における十分な潤滑性能を確保するために最低限必要な潤滑オイルの圧力が高いためである。
本実施の形態の燃料噴射制御では、所定期間毎に、内燃機関10の膨張行程の終期や排気行程において燃料噴射弁15からの燃料噴射(ポスト噴射)が実行される。
上記排気浄化触媒14には排気中の微粒子物質PMが捕集される。そのため、排気浄化触媒14の機能を維持するためには、定期的に、捕集された微粒子物質PMを除去する必要がある。本実施の形態では、そうした微粒子物質PMを除去するために、上記ポスト噴射を通じて排気中に燃料が添加される。これにより、添加された燃料が排気中や排気浄化触媒14上で酸化反応し、これに伴う発熱によって排気浄化触媒14が高温になり、同排気浄化触媒14に捕集された微粒子物質PMが燃焼(酸化)されて除去される。
また本実施の形態では、潤滑オイルの劣化が所定以上進んだ場合や、実液面レベルLvが極端に高くなって所定の上限レベルを超えた場合、実液面レベルLvが極端に低くなって所定の下限レベルを下回った場合において、車室内に設けられた報知手段としての警告ランプ22が点灯され、異常である旨が運転者に報知される。
ところで、内燃機関10の運転に際しては、燃料噴射弁15からの噴射燃料の一部が燃焼室11内の潤滑オイルに混入し、これがピストンリング23によって掻き落とされてオイルタンク17に戻されることによって、潤滑オイルに燃料が混入する。本実施の形態では、前述のように燃料噴射制御においてポスト噴射が実行される。このポスト噴射は燃焼に供されない時期に実行されるために、燃焼室11壁面への燃料付着量が多くなり易く、潤滑オイルへの燃料混入量も多くなり易い。そうした多量の燃料混入は潤滑オイルの劣化、ひいては潤滑性能の低下を招くこととなる。
ここで、潤滑オイルに燃料が混入すると、オイルタンク17に貯留される潤滑オイル(正確には燃料を含んだ潤滑オイル)の貯留量が増加するために、その分だけ実液面レベルLvが高くなる。そのため、この実液面レベルLvを監視することによって燃料による潤滑オイルの希釈度合、換言すれば、潤滑オイルの劣化度合を知ることができる。
この点をふまえ、本実施の形態では、オイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さ(実液面レベルLv)について基準とする液面高さ(後述する所定値Lva,Lvb,Lvc)を設定し、実液面レベルLvが所定値以上になったことをもって、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定するようにしている。そして、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたときには、劣化度合が大きいと判定されていないとき(同劣化度合が小さいとき)と比較して、目標開弁圧Plを高い圧力に変更するようにしている。
なお目標開弁圧Plの切り換えは、目標開弁圧Plの算出マップとして潤滑オイルの劣化度合が小さいときに適したマップ(図2のマップA)と同劣化度合が大きいときに適したマップ(図2のマップB)とを用意し、それらマップを切り換えることによって行われる。
以下、そのようにマップを切り換える処理(マップ切り換え処理)について詳細に説明する。
図3および図4は、マップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャートであり、それらフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、電子制御装置30によって実行される処理である。
図3に示すように、この処理では、実行フラグがオン操作されていることを条件に(ステップS101:YES)、以下の処理(ステップS102〜S119)が実行される。この実行フラグは、初期状態ではオン操作されており、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定された場合にオフ操作される一方、初期化スイッチ38のオン操作によってオン操作されるフラグである。したがって、この処理では、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されていないことを条件に、以下の処理が実行される。
実行フラグがオン操作されている場合にあって、メインスイッチ37がオン操作されたタイミングである場合には(ステップS101:YES、且つS102:YES)、以下の処理を通じて潤滑オイルの劣化度合についての判定が実行される。
すなわち先ず、上述した基準とする液面高さ(所定値Lva)が設定される(ステップS103)。
ここで、交換直後におけるオイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さは、一定ではなく、交換作業が行われる度に異なる。また内燃機関10のオイル通路内に存在する潤滑オイルの量、言い換えれば、オイルタンク17内に存在する潤滑オイルの量は、その運転中においては回転速度に応じて、また運転停止時においては停止継続時間に応じて異なる。さらに潤滑オイルは内燃機関10の運転によって徐々に消費されて減少するために、その減少分だけオイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さは低くなる。
そのため、ここでは潤滑オイルの交換直後の実液面レベルLv(交換時液面レベルLvchg)と交換後における潤滑オイルの消費量ΔVとに基づいて上記所定値Lvaが設定される。具体的には、交換時液面レベルLvchgが低いほど、また潤滑オイルの消費量ΔVが多いほど、所定値Lvaとして小さい値(低い液面高さに対応する値)が設定される。
なお上記交換時液面レベルLvchgとしては、標準状態(例えばオイル通路内からオイルタンク17内に潤滑オイルが完全に流れ落ちた状態)での実液面レベルLvに相当する値、具体的には、潤滑オイルの交換直後の実液面レベルLvを機関回転速度NEによって補正した値が記憶されている。すなわち本実施の形態では、初期化スイッチ38のオン操作によって交換時液面レベルLvchgが記憶されるときの機関回転速度NEによることなく、言い換えれば、オイル通路内に存在する潤滑オイルの量によることなく、標準的な状態における実液面レベルLvに相当する値が交換時液面レベルLvchgとして記憶されている。また、このステップS103の処理では、車両1の走行距離に基づいて潤滑オイルの交換が行われてから現在までの潤滑オイルの消費量ΔVが推定され、この消費量ΔVが所定値Lvaの設定に用いられる。
このように所定値Lvaが設定された後、このときの実液面レベルLvが所定値Lva以上であるか否かが判断される(ステップS104)。そして、実液面レベルLvが所定値Lva以上である場合には(ステップS104:YES)、潤滑オイルの劣化度合が大きいとしてAフラグがオン操作された後(ステップS105)、本処理は一旦終了される。一方、実液面レベルLvが所定値Lva未満である場合には(ステップS104:NO)、潤滑オイルの劣化度合が小さいとしてAフラグはオン操作されることなく、本処理は一旦終了される。
なお、上記Aフラグは電子制御装置30への電力供給が停止されたときにオフ操作されるフラグである。そのため、Aフラグがオン操作されていることをもって、今回のトリップ(メインスイッチ37がオン操作されてからメインリレー21がオフされるまでの期間)におけるメインスイッチ37のオン操作時において潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたことを知ることができる。
一方、実行フラグがオン操作されている場合にあって、内燃機関10の暖機が完了しており且つ同内燃機関10がアイドル運転状態である場合には(ステップS101:YES、S102:NO、且つS106:YES)、以下の処理を通じて潤滑オイルの劣化度合についての判定が実行される。
なお、内燃機関10の暖機が完了していることは前記水温THWが所定温度(例えば80度)よりも高いことをもって判断され、内燃機関10がアイドル運転状態であることは車両1が停止した状態が所定時間継続されたことをもって判断される。
ここでは先ず、履歴フラグがオフ操作されていることを条件に(ステップS107:YES)、同履歴フラグがオン操作されるとともに(ステップS108)、前記交換時液面レベルLvchgと交換後における潤滑オイルの消費量ΔVとに基づいて、上述した基準とする液面高さ(所定値Lvb)が設定される(ステップS109)。具体的には、交換時液面レベルLvchgが低いほど、また潤滑オイルの消費量ΔVが多いほど、所定値Lvbとして小さい値が設定される。なお、このステップS109では、車両1の走行距離に基づいて潤滑オイルの交換が行われてから現在までの潤滑オイルの消費量ΔVが推定され、この消費量ΔVが所定値Lvbの設定に用いられる。
このように所定値Lvbが設定された後、このときの実液面レベルLvが所定値Lvb以上であるか否かが判断される(ステップS110)。そして、実液面レベルLvが所定値Lvb以上である場合には(ステップS110:YES)、潤滑オイルの劣化度合が大きいとしてBフラグがオン操作された後(ステップS111)、本処理は一旦終了される。一方、実液面レベルLvが所定値Lvb未満である場合には(ステップS110:NO)、潤滑オイルの劣化度合が小さいとしてBフラグはオン操作されることなく、本処理は一旦終了される。
なお、上記履歴フラグおよびBフラグは電子制御装置30への電力供給が停止されたときにオフ操作されるフラグである。そのため、上記履歴フラグを通じて、上記所定値Lvbに基づく潤滑オイルの劣化度合についての判定が1回のトリップにおいて一回のみ実行されるようになる。また、Bフラグがオン操作されていることをもって、今回のトリップ中において内燃機関10の暖機が完了した状態になり且つ同内燃機関10がアイドル運転状態になったときに、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたことを知ることができる。
他方、実行フラグがオン操作されている場合にあって、メインスイッチ37がオフ操作された後に所定時間(例えば、30秒)が経過したタイミングである場合には(ステップS101:YES、S102:NO、S106:NO、且つ図4のS112:YES)、以下の処理を通じて潤滑オイルの劣化度合についての判定が実行される。
すなわち先ず、前記交換時液面レベルLvchgと交換後における潤滑オイルの消費量ΔVとに基づいて、上述した基準とする液面高さ(所定値Lvc)が設定される(ステップS113)。具体的には、交換時液面レベルLvchgが低いほど、また潤滑オイルの消費量ΔVが多いほど、所定値Lvcとして小さい値が設定される。なお、このステップS113では、車両1の走行距離に基づいて潤滑オイルの交換が行われてから現在までの潤滑オイルの消費量ΔVが推定され、この消費量ΔVが所定値Lvcの設定に用いられる。
このように所定値Lvcが設定された後、このときの実液面レベルLvが所定値Lvc以上であるか否かが判断される(ステップS114)。そして、実液面レベルLvが所定値Lvc以上である場合には(ステップS114:YES)、潤滑オイルの劣化度合が大きいとしてCフラグがオン操作される(ステップS115)。一方、実液面レベルLvが所定値Lvc未満である場合には(ステップS114:NO)、潤滑オイルの劣化度合が小さいとしてCフラグはオン操作されない(ステップS115の処理がジャンプされる)。
なお、上記Cフラグは電子制御装置30への電力供給が停止されたときにオフ操作されるフラグである。そのため、Cフラグがオン操作されていることをもって、今回のトリップにあって、メインスイッチ37がオフ操作された後に所定時間が経過したときに、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたことを知ることができる。
所定値Lvcに基づく判定によるCフラグの操作が実行された後、Aフラグ、Bフラグ、およびCフラグの少なくとも2つがオン操作されているか否かが判断される(ステップS116)。
そして、Aフラグ、Bフラグ、およびCフラグのいずれもオン操作されていないとき、あるいは一つのみオン操作されているときには(ステップS116:NO)、潤滑オイルの劣化度合が小さいと判定されて、目標開弁圧Plの算出マップを切り換えることなく、本処理は一旦終了される。この場合、以後において目標開弁圧Plの算出マップとしてマップA(図2参照)が選択される。
一方、Aフラグ、Bフラグ、およびCフラグのうちの少なくとも2つがオン操作されているときには(ステップS116:YES)、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されて、目標開弁圧Plの算出マップがマップB(図2参照)に切り換えられる(ステップS117)。本実施の形態では、ステップS102〜S116の処理が判定手段として機能し、ステップS116およびS117の処理が圧力変更手段として機能する。
その後、警告ランプ22が点灯されて潤滑オイルの交換時期が報知されるとともに(ステップS118)、前記実行フラグがオフ操作された後(ステップS119)、本処理は一旦終了される。
ちなみに、このようにして目標開弁圧Plの算出マップが選択された後、メインリレー21がオフ操作されて、電子制御装置30および液面レベルセンサ35への給電が停止される。
以下、本実施の形態にかかるマップ切り換え処理による作用について説明する。
先ず、本実施の形態では、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたときに、同劣化度合が小さいときと比較して、目標開弁圧Plが高い圧力に変更されてオイル通路内の圧力が高い圧力に変更される。そのため、このとき潤滑オイルの劣化に起因して潤滑性能が低下する状況であるとはいえ、その低下分を、オイル通路内の圧力を高くして潤滑性能を向上させることによって補うことができる。したがって、潤滑オイルの劣化に伴う潤滑性能の低下を抑制することができるようになる。
また、潤滑オイルの交換直後の実液面レベルLv(前記交換時液面レベルLvchg)が電子制御装置30に記憶されており、同交換時液面レベルLvchgに基づいて所定値Lva,Lvb,Lvcが設定される。そのため、交換直後における実液面レベルLvを基準に所定値Lva,Lvb,Lvcを設定することができ、潤滑オイルが交換された後において燃料による潤滑オイルの希釈が進んだことを精度良く判断することができる。
なお交換時液面レベルLvchgとしては、これが初期化スイッチ38のオン操作によって記憶されるときの機関回転速度NEによることなく、言い換えれば、オイル通路内に存在する潤滑オイルの量によることなく、標準的な状態における実液面レベルLvに相当する値が記憶されている。そのため本実施の形態によれば、そうした交換時液面レベルLvchgをもとに、オイル通路内に存在する潤滑オイルの量の異なる三つの状況において実行される各判定に適した値を所定値Lva,Lvb,Lvcとして設定することができ、それら判定を精度よく実行することができる。
さらに本実施の形態では、車両1の走行距離に基づいて潤滑オイルの交換が行われてから現在までの潤滑オイルの消費量ΔVが推定され、この消費量ΔVに基づいて所定値Lva,Lvb,Lvcが設定される。そのため、機関運転に伴う潤滑オイルの消費分に応じて所定値Lva,Lvb,Lvcを設定することができ、潤滑オイルの希釈度合が大きいこと、ひいては潤滑オイルの劣化度合が大きいことを精度よく判定することができる。
ここで、車両1の走行時には、その加減速に伴ってオイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さが変動していることが多く、このとき実液面レベルLvを検出しても同実液面レベルLvがオイルタンク17内の潤滑オイルの量に見合う値からずれた値になりやすい。また、液面高さが変動していない場合であっても、車両1が傾斜した路面で停止される場合には、オイルタンク17内の潤滑オイルの液面も傾斜しているために、やはり実液面レベルLvがオイルタンク17内の潤滑オイルの量に見合う値からずれた値になりやすい。
この点、本実施の形態では、実液面レベルLvと所定値との比較に基づく潤滑オイルの劣化度合についての判定が以下の3つの条件下においてそれぞれ実行され、それら判定の少なくとも2つにおいて実液面レベルLvが所定値以上であることをもって(具体的には、Aフラグ,Bフラグ,Cフラグのうちの少なくとも2つがオン操作されていることをもって)、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定される。
・メインスイッチ37のオン操作時。
・内燃機関10の暖機完了後におけるアイドル運転時。
・メインスイッチ37がオフ操作されてから所定時間経過したとき。
そのため、潤滑オイルの液面高さの変動や傾斜した路面への車両1の停止に起因してオイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量に見合う値からずれた値が実液面レベルLvとして誤って検出されて同実液面レベルLvが所定値以上になった場合であっても、他の条件下において実液面レベルLvが所定値以上にならない限り、潤滑オイルの劣化度合が大きいとは判定されない。したがって本実施の形態によれば、潤滑オイルの劣化度合が大きいことを高い信頼度をもって判定することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたときに、同劣化度合が小さいときと比較して、目標開弁圧Plを高い圧力に変更するようにした。そのため、潤滑オイルの劣化に伴う潤滑性能の低下を抑制することができるようになる。
(2)実液面レベルLvが所定値以上であることをもって燃料による潤滑オイルの希釈度合が大きいことを判断することができ、これをもって潤滑オイルの劣化度合が大きいことを判定することができる。
(3)潤滑オイルの交換直後の実液面レベルLvを前記交換時液面レベルLvchgとして記憶し、同交換時液面レベルLvchgに基づいて所定値Lva,Lvb,Lvcを設定するようにした。そのため、潤滑オイルが交換された後において燃料による潤滑オイルの希釈が進んだことを精度良く判断することができる。
(4)潤滑オイルの交換後における潤滑オイルの消費量ΔVを推定し、この消費量ΔVに基づいて所定値を設定するようにした。そのため、潤滑オイルの希釈度合が大きいこと、ひいては潤滑オイルの劣化度合が大きいことを精度よく判定することができる。
(5)実液面レベルLvと所定値との比較に基づく潤滑オイルの劣化度合についての判定を3つの条件下においてそれぞれ実行し、それら判定の少なくとも2つにおいて実液面レベルLvが所定値以上であることをもって、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定するようにした。そのため、潤滑オイルの劣化度合が大きいことを高い信頼度をもって判定することができる。
(6)潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたときに、警告ランプ22を点灯させて、潤滑オイルの交換時期を報知するようにした。これにより、潤滑オイルの劣化が進んだときに、これに起因する潤滑性能の低下を抑制しつつ、潤滑オイルの交換を促すことができるようになる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかる内燃機関の潤滑オイル供給装置を具体化した第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
本実施の形態と第1の実施の形態とは、マップ切り換え処理の処理内容が異なる。
第1の実施の形態のマップ切り換え処理では、実液面レベルLvが所定値以上であることをもって潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定され、このとき目標開弁圧Pl算出用のマップが切り換えられて、オイル通路内の圧力が高い圧力に変更される。
これに対し、本実施の形態のマップ切り換え処理では、燃料による潤滑オイルの希釈度合が算出され、その希釈度合が所定の判定値以上であることをもって潤滑オイルの劣化度合が大きいことが判定される。また、図5に示すように、上記希釈度合、言い換えれば、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されるときに用いる目標開弁圧Pl算出用のマップとして、複数のマップ(マップB1、マップB2、…)が用意されている。そして、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されるときに、その劣化度合が大きくなるに連れて目標開弁圧Plが高くなるように、それらマップが切り換えられる。
以下、本実施の形態にかかるマップ切り換え処理について詳細に説明する。
図6および図7は、上記マップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャートであり、それらフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、電子制御装置30によって実行される処理である。
図6に示すように、この処理では、メインスイッチ37がオン操作されたタイミングであるときに(ステップS201:YES)、実液面レベルLv、前記交換時液面レベルLvchg、および潤滑オイルの消費量ΔVに基づいて、このときの燃料による潤滑オイルの希釈度合Dstが算出される(ステップS202)。
なお、実液面レベルLvから現在のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V1stを求めることができ、交換時液面レベルLvchgによって交換直後のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V2stを求めることができる。また、ここでは車両1の走行距離に基づいて潤滑オイルの交換が行われてから現在までの潤滑オイルの消費量ΔVが算出されている。ステップS202の処理では、それら潤滑オイルの量V1st,V2st、上記消費量ΔV、および希釈度合Dstが以下の関係式を満たす値が、同希釈度合Dstとして算出される。

Dst=V1st/(V2st−ΔV)

一方、内燃機関10の暖機が完了しており且つ同内燃機関10がアイドル運転状態である場合には(ステップS201:NO、且つS203:YES)、以下の処理を通じて、このときの燃料による潤滑オイルの希釈度合Didが算出される。
すなわち、履歴フラグがオフ操作されていることを条件に(ステップS204:YES)、同履歴フラグがオン操作されるとともに(ステップS205)、実液面レベルLv、交換時液面レベルLvchg、および潤滑オイルの消費量ΔVに基づいて、上記希釈度合Didが算出される(ステップS206)。
なお、実液面レベルLvから現在のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V1idを求めることができ、交換時液面レベルLvchgによって交換直後のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V2idを求めることができる。また、ここでは車両1の走行距離に基づいて潤滑オイルの交換が行われてから現在までの潤滑オイルの消費量ΔVが算出されている。ステップS206の処理では、それら潤滑オイルの量V1id,V2id、上記消費量ΔV、および希釈度合Didが以下の関係式を満たす値が、同希釈度合Didとして算出される。

Did=V1id/(V2id−ΔV)

他方、メインスイッチ37がオフ操作された後に所定時間(例えば、30秒)が経過したタイミングである場合には(ステップS201:NO、S203:NO、且つ図7のS207:YES)、実液面レベルLv、交換時液面レベルLvchg、および潤滑オイルの消費量ΔVに基づいて、このときの燃料による潤滑オイルの希釈度合Dspが算出される(ステップS208)。
なお、実液面レベルLvから現在のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V1spを求めることができ、交換時液面レベルLvchgによって交換直後のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V2spを求めることができる。また、ここでは車両1の走行距離に基づいて潤滑オイルの交換が行われてから現在までの潤滑オイルの消費量ΔVが算出されている。ステップS208の処理では、それら潤滑オイルの量V1sp,V2sp、上記消費量ΔV、および希釈度合Dspが以下の関係式を満たす値が、同希釈度合Dspとして算出される。

Dsp=V1sp/(V2sp−ΔV)

このように希釈度合Dspが算出された後、各希釈度合Dst,Did,Dspのうちの少なくとも2つが一致しているか否かが判断される(ステップS209)。なお、ここでは2つの希釈度合の差が所定値未満であることをもって、それら希釈度合が一致していると判断される。
各希釈度合Dst,Did,Dspのうちの少なくとも2つが一致している場合には(ステップS209:YES)、それら一致した値については信頼性の高い値であるとして、一致した値の平均値が希釈度合Davとして算出されるとともに(ステップS210)、希釈度合Davが所定の判定値以上であるか否かが判断される(ステップS211)。なお、上記判定値は、潤滑オイルの燃料希釈が同潤滑オイルの交換が必要になる程度に進んだことを判断するための値であり、実験結果などに基づいて予め求められて記憶されている。本実施の形態では、ステップS201〜S210の処理が算出手段として機能する。
そして、希釈度合Davが所定の判定値未満である場合には(ステップS211:NO)、潤滑オイルの劣化度合が小さいと判定されて、目標開弁圧Plの算出マップを切り換えることなく、本処理は一旦終了される。この場合、以後において目標開弁圧Plの算出マップとして、潤滑オイルの劣化度合が小さいときに適したマップA(図5参照)が選択される。
一方、希釈度合Davが所定の判定値以上である場合には(図7のステップS211:YES)、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されて、前述した複数のマップ(図5のマップB1、マップB2、…)から希釈度合Davに見合うマップが選択されて、目標開弁圧Pl算出用のマップが切り換えられる(図7のステップS212)。なお、ここでは希釈度合Davが大きいほど、潤滑オイルの劣化度合が大きいとして、より高い値の目標開弁圧Plが設定されたマップに切り換えられる。そして以後では、このステップS212の処理において選択されたマップを用いて目標開弁圧Plが設定される。本実施の形態では、ステップS211およびS212の処理が圧力変更手段として機能する。
その後、警告ランプ22が点灯されて潤滑オイルの交換時期が報知された後(ステップS213)、本処理は一旦終了される。
なお、各希釈度合Dst,Did,Dspがいずれも一致していない場合には(ステップS209:NO)、それら希釈度合Dst,Did,Dspが信頼性の低い値であるとして、希釈度合Davを算出する処理および希釈度合Davに基づく処理を実行することなく(ステップS210〜S213の処理がジャンプされ)、本処理は一旦終了される。
ちなみに、このようにしてステップS209〜S213の処理が実行された後、メインリレー21がオフ操作されて、電子制御装置30および液面レベルセンサ35への給電が停止される。
以下、本実施の形態にかかるマップ切り換え処理による作用について説明する。
先ず、本実施の形態では、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたときに、同劣化度合が小さいときと比較して、目標開弁圧Plが高い圧力に変更されてオイル通路内の圧力が高い圧力に変更される。そのため、このとき潤滑オイルの劣化に起因して潤滑性能が低下する状況であるとはいえ、その低下分を、オイル通路内の圧力を高くして潤滑性能を向上させることによって補うことができる。したがって、潤滑オイルの劣化に伴う潤滑性能の低下を抑制することができるようになる。
ここで、潤滑オイルに燃料が混入すると、その分だけオイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量が増加するようになる。また、交換直後におけるオイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量は、一定ではなく、交換作業が行われる度に異なる。さらに、潤滑オイルは内燃機関10の運転によって徐々に消費され減少するために、その減少分だけオイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量も減少するようになる。
これに対して本実施の形態では、燃料による希釈度合D(Dst,Did,Dsp)として、現在のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V1(V1st,V1id,V1sp)、交換直後のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V2(V2st,V2id,V2sp)、および交換後における潤滑オイルの消費量ΔVが関係式「D=V1/(V2−ΔV)」を満たす値が算出される。
これにより本実施の形態では、交換直後におけるオイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量から機関運転に伴う消費分を減じた量を基準として、潤滑オイルの貯留量の増加度合が求められ、これが燃料による潤滑オイルの希釈度合とされるようになる。そのため、交換直後におけるオイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量や機関運転に伴う潤滑オイルの消費分によることなく、潤滑オイルの希釈度合、ひいては劣化度合を精度良く算出することができる。
一方、前述したように、車両1が走行しているときや同車両1が傾斜した路面で停止されるときには、実液面レベルLvがオイルタンク17内の潤滑オイルの量に見合う値からずれた値になりやすく、実液面レベルLvに基づき算出される潤滑オイルの希釈度合についても実際と異なる値になりやすい。
本実施の形態では、実液面レベルLvに基づく希釈度合(Dst,Did,Dsp)の算出が以下の3つの条件下においてそれぞれ実行され、それら希釈度合のうちの少なくとも2つが一致したときにそれら一致した値の信頼性が高いとして、それら一致した値の平均値がこのときの希釈度合(Dav)として算出される。
・メインスイッチ37のオン操作時。
・内燃機関10の暖機完了後におけるアイドル運転時。
・メインスイッチ37がオフ操作されてから所定時間経過したとき。
これにより、潤滑オイルの液面高さの変動や傾斜した路面への車両1の停止に起因して実際と異なる値が希釈度合として算出された場合であっても、この希釈度合は、他の条件下で算出された希釈度合と一致しないことから信頼性の低い値であるとして、このときの希釈度合の算出には用いられない。したがって本実施の形態によれば、潤滑オイルの劣化度合が大きいことを高い信頼度をもって判定することができる。
他方、潤滑オイルの劣化が進行するほど、潤滑性能を維持するために必要なオイル通路の圧力が高くなる。また、潤滑性能の低下を確実に抑制するべくリリーフ弁19の開弁圧を高く設定してオイル通路内の圧力を十分に高くすると、潤滑オイルの劣化度合が比較的小さいときにおいて、内燃機関10の各潤滑部におけるフリクションの不要な増大を招いてしまう。
これに対して本実施の形態では、目標開弁圧Plの算出用マップの切り換えを通じて、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて目標開弁圧Pl(詳しくは、リリーフ弁19の開弁圧)が高くなるように同目標開弁圧Plが変更される。そのため、潤滑オイルの劣化度合が大きく、潤滑性能の維持のためにオイル通路内の圧力を高くすることが望ましいときほどリリーフ弁19の開弁圧を高くするといったように、潤滑オイルの劣化度合に応じてリリーフ弁19の開弁圧を設定することができ、上記フリクションの不要な増大を抑えつつ、潤滑性能の低下を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたときに、同劣化度合が小さいときと比較して、目標開弁圧Plを高い圧力に変更するようにした。そのため、潤滑オイルの劣化に伴う潤滑性能の低下を抑制することができるようになる。
(2)燃料による潤滑オイルの希釈度合が大きいことをもって潤滑オイルの劣化度合が大きいことを判定することができる。
(3)燃料による潤滑オイルの希釈度合Dとして、現在のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V1、交換直後のオイルタンク17内の潤滑オイルの量V2、および交換後における潤滑オイルの消費量ΔVが関係式「D=V1/(V2−ΔV)を満たす値を算出するようにした。そのため、交換直後におけるオイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量や機関運転に伴う潤滑オイルの消費分によることなく、潤滑オイルの希釈度合、ひいては劣化度合を精度良く算出することができる。
(4)実液面レベルLvに基づく希釈度合の算出を3つの条件下においてそれぞれ実行し、それら希釈度合のうちの少なくとも2つが一致したときにそれら一致した値の信頼性が高いとして、一致した値の平均値をこのときの希釈度合(Dav)として算出するようにした。そのため、潤滑オイルの劣化度合が大きいことを高い信頼度をもって判定することができる。
(5)潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて目標開弁圧Plが高くなるように同目標開弁圧Plを変更するようにした。そのため、内燃機関10の各潤滑部におけるフリクションの不要な増大を抑えつつ、潤滑性能の低下を抑制することができる。
(6)潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されたときに、警告ランプ22を点灯させて、潤滑オイルの交換時期を報知するようにした。これにより、潤滑オイルの劣化が進んだときに、これに起因する潤滑性能の低下を抑制しつつ、潤滑オイルの交換を促すことができるようになる。
(第3の実施の形態)
以下、本発明にかかる内燃機関の潤滑オイル供給装置を具体化した第3の実施の形態について、第1および第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
本実施の形態にかかる潤滑オイル供給装置が適用される車両の構成は、潤滑オイルが流通する経路を除く部分については、第1および第2の実施の形態と同様の構成である。また、本実施の形態にかかるマップ切り換え処理は、基本的に、第2の実施の形態にかかるマップ切り換え処理(図6および図7参照)と同様の処理内容である。
図8に、本実施の形態にかかる潤滑オイル供給装置において潤滑オイルが流通する経路を示す。
同図8に示すように、本実施の形態のオイル通路は、内燃機関10のシリンダブロックBLを経て同内燃機関10のシリンダヘッドHDに延設されている。
本実施の形態では、前記リリーフ弁19に代えて、制御弁40が設けられている。この制御弁40は、開弁制御時においてオイル通路の内部から外部に潤滑オイルを排出するものである。制御弁40のオイル排出口は、オイルポンプ18の吸入口に連通されたリターン通路41に接続されることに加えて、オイル通路の上記シリンダヘッドHDに形成された部分(ヘッド通路42)に連通された連通路43にも接続されている。
前記電子制御装置30は、潤滑オイルの劣化度合についての判定結果に応じて上記制御弁40の駆動制御を実行する。この制御弁40の駆動制御では、具体的には、同制御弁40のオイル排出口が、潤滑オイルの劣化度合が小さいと判定されるときには(図7のステップS211:NO)上記リターン通路41に連通される一方、同劣化度合が大きいと判定されるときには(ステップS211:YES)上記連通路43に連通される。
ここで、オイル通路の内部にあっては、潤滑オイルの流れ方向上流側にあたるシリンダブロックBLに形成される部分(ブロック通路44)と比較して、潤滑オイルの流れ方向下流側にあたるヘッド通路42において圧力低下を招き易い。そのため潤滑オイルの劣化が進んだ場合には、上記ヘッド通路42において過度の圧力低下を招き易く、同ヘッド通路42における過度の圧力低下が潤滑性能を低下させる要因となる。
本実施の形態によれば、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、制御弁40を介して一旦オイル通路の外部に排出された潤滑オイルが上記ヘッド通路42に戻される。これにより上記ヘッド通路42における過度の圧力低下を好適に抑制することができ、潤滑性能の低下を好適に抑制することができる。
図9に、制御弁40の目標開度の設定に用いるマップのマップ構造を示す。
同図9に示すように、制御弁40の目標開度としては、機関負荷が大きいほど、またオイル温度THOが高いほど小さい開度が設定される。このように目標開度を設定するようにしたのは、次のような理由による。機関負荷が大きいほど、機関出力軸の軸受けにかかる力が大きく、そうした軸受けにおける十分な潤滑性能を確保するために最低限必要な潤滑オイルの圧力が高いためであり、またオイル温度THOが高いほど、潤滑オイルの粘度が低いために、各潤滑部における十分な潤滑性能を確保するために最低限必要な潤滑オイルの圧力が高いためである。
また本実施の形態では、制御弁40の目標開度の設定用マップとして、潤滑オイルの劣化度合が小さいときに適したマップ(同図のマップC)、および同劣化度合が大きいときに適した複数のマップ(同図のマップD1,D2,…)が設定されている。
そして、潤滑オイルの劣化度合が小さいときには(図7のステップS211:NO)、制御弁40の目標開度の設定用マップとして、マップCが選択される。一方、潤滑オイルの劣化度合が大きいときには(図7のステップS211:YES)、同劣化度合が大きいときほど、上記複数のマップの中から目標開度として小さい開度の設定されたマップが選択される(ステップS212)。これにより、潤滑オイルの劣化度合が大きくなるに連れて、制御弁40の開度が小さい開度に変更される。
ここで前述したように、潤滑オイルの劣化が進行するほど、潤滑性能を維持するために必要なオイル通路の圧力が高くなる。また、潤滑性能の低下を確実に抑制するべく制御弁40の開度を小さく設定してオイル通路内の圧力を十分に高くすると、潤滑オイルの劣化度合が比較的小さいときにおいて、内燃機関の潤滑部におけるフリクションの不要な増大を招いてしまう。
これに対して本実施の形態では、目標開度の設定用マップの切り換えを通じて、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて目標開度(詳しくは、制御弁40の開度)が小さくなるように同目標開度が変更される。そのため、潤滑オイルの劣化度合が大きく、潤滑性能の維持のためにオイル通路内の圧力を高くすることが望ましいときほど制御弁40の開度を大きくするといったように、潤滑オイルの劣化度合に応じて制御弁40の開度を設定することができ、上記フリクションの不要な増大を抑えつつ、潤滑性能の低下を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2の実施の形態に記載した(1)〜(4)および(6)の効果に加えて、以下の(7)および(8)に記載する効果が得られるようになる。
(7)潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて目標開度が小さくなるように同目標開度を変更するようにしたために、内燃機関10の各潤滑部におけるフリクションの不要な増大を抑えつつ、潤滑性能の低下を抑制することができる。
(8)制御弁40のオイル排出口を、潤滑オイルの劣化度合が小さいときにはオイルポンプ18の吸入口に潤滑オイルを戻すためのリターン通路41に連通させる一方、同劣化度合が大きいときにはオイル通路のヘッド通路42に連通される連通路43に連通させるようにした。そのため、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、ヘッド通路42における過度の圧力低下を好適に抑制することができ、潤滑性能の低下を好適に抑制することができる。
(その他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
<第1の実施の形態の変形例>
ここでは先ず、第1の実施の形態の変形例について説明する。
・前記3つの条件下においてそれぞれ実液面レベルLvの検出を複数回実行し、それらの平均値を所定値との比較に用いるようにしてもよい。
・実液面レベルLvと所定値との比較を実行する条件として前記3つの条件のうちの2つのみを採用し、それら条件下において共に実液面レベルLvが所定値以上であることをもって、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定するようにしてもよい。
・オイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量に見合う値を実液面レベルLvとして精度良く検出することのできる条件を1つのみ設定し、同条件下において実液面レベルLvが所定値以上であることをもって、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定するようにしてもよい。
・実液面レベルLvと所定値との比較を実行する条件として、前記3つの条件のうちの1つに代えて、あるいは前記3つの条件に加えて、車両1が定常走行されているとき(具体的には、例えば車速SPDおよび機関回転速度NEが共にほぼ一定の状態が所定時間継続されていること)といった条件を採用するようにしてもよい。この条件の下では、車両1の走行中の中でもオイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さが比較的安定しているときにおいて実液面レベルLvを検出することができ、実際の潤滑オイルの貯留量に見合う値を実液面レベルLvとして精度良く検出することができる。
・機関運転に伴う潤滑オイルの消費量による影響が小さいのであれば、前記消費量ΔVによることなく、交換時液面レベルLvchgに基づいて所定値を算出するようにしてもよい。
・交換直後におけるオイルタンク17内の潤滑オイル貯留量の相違による影響が小さいのであれば、例えば所定値として一定の値を設定するなど、交換時液面レベルLvchgによることなく所定値を設定するようにしてもよい。同構成にあっては、交換時液面レベルLvchgを記憶する構成を省略することもできる。
・液面レベルセンサ35に代えて、オイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さが所定の高さ以上になったことを検出するための液面上限スイッチを設け、同液面高さが所定の高さ以上になったことをもって、燃料による潤滑オイルの希釈度合が大きいこと、ひいては潤滑オイルの劣化度合が大きいことを判定するようにしてもよい。
図10に、そうした構成の潤滑オイル供給装置に適用されるマップ切り換え処理の具体例を示す。
同10に示すように、この処理では先ず、実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS301)。ここでは、以下の各条件が全て満たされることをもって実行条件が満たされたと判断される。
・オイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さが殆ど変動していないこと。
・車両1が傾斜した路面に停止されていないこと。
・実行フラグがオン操作されていること。
実行条件が成立しているときには(ステップS301:YES)、液面上限スイッチがオン操作されているか否かが判断される(ステップS302)。そして、液面上限スイッチがオン操作されている場合には(ステップS302:YES)、燃料による潤滑オイルの希釈が進んでおり潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されて、目標開弁圧Plの算出用マップとしてマップBが選択される(ステップS303)。これに併せて、警告ランプ22が点灯されるとともに(ステップS304)、実行フラグがオフ操作された後(ステップS305)、本処理は一旦終了される。一方、実行条件が成立していない場合や(ステップS301:NO)、液面上限スイッチがオフ操作されているときには(ステップS302:NO)、ステップS303〜S305の処理を実行することなく、本処理は一旦終了される。
・目標開弁圧Plの算出マップを切り換えることによって目標開弁圧Plを変更することに代えて、目標開弁圧Plに乗算する補正項Kを設定し、同補正項Kを切り換えることによって目標開弁圧Plを変更するようにしてもよい。
そうした構成にあって目標開弁圧Plを設定するための処理(リリーフ圧設定処理)の具体例を図11に示し、マップ切り換え処理の具体例を図12に示す。
図11に示すように、このリリーフ圧設定処理では、機関負荷およびオイル温度THOに基づいてマップAから目標開弁圧Plが算出され(ステップS401)、この目標開弁圧Plに補正項Kを乗じた値(Pl×K)が新たな目標開弁圧Plとして算出される(ステップS402)。この補正項Kは初期値が「1.0」であり、また初期化スイッチ38がオン操作されると「1.0」になる値である。
そして、この補正項Kは、図12に示すように、Aフラグ、BフラグおよびCフラグのうちの少なくとも2つがオン操作されているとき(図4のステップS116:YES)、あるいは液面上限スイッチがオン操作されているときに(図10のステップS302:YES)、「1.0」より大きい値に変更される(図12のステップS501)。
なお、目標開弁圧Plに補正項Kを加算した値(Pl+K)を新たな目標開弁圧Plとして算出するようにしてもよい。この場合には、補正項Kを初期値が「0」であり、また初期化スイッチ38がオン操作されると「0」になる値とすればよい。さらに、補正項Kを、Aフラグ、BフラグおよびCフラグのうちの少なくとも2つがオン操作されているとき、あるいは液面上限スイッチがオン操作されているときに、「0」より大きい値に変更するようにすればよい。
・リリーフ弁19のオイル排出口を、オイルポンプ18の吸入口に連通されたリターン通路とオイル通路における内燃機関10シリンダヘッドに形成された部分(ヘッド通路)に連通された連通路とにそれぞれ接続し、潤滑オイルの劣化度合が小さいと判定されるときには上記リターン通路に連通する一方、同劣化度合が大きいと判定されるときには上記連通路に連通するようにしてもよい。こうした構成によれば、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、リリーフ弁19を介して一旦オイル通路の外部に排出された潤滑オイルを上記ヘッド通路に戻すことができる。これにより、ヘッド通路における過度の圧力低下を好適に抑制することができ、潤滑性能の低下を好適に抑制することができる。
・リリーフ弁19を省略するとともにオイルポンプ18として吐出容量可変型のものを用い、オイルポンプ18の吐出量を変更することによってオイル通路の圧力を変更するようにしてもよい。具体的には、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が小さいときと比較してオイルポンプ18の吐出量が多くなるように、同オイルポンプ18の駆動を制御するようにすればよい。
<第2の実施の形態の変形例>
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。
・目標開弁圧Plの算出マップを切り換えることによって目標開弁圧Plを変更することに代えて、目標開弁圧Plに乗算する補正項Kを設定し、同補正項Kを切り換えることによって目標開弁圧Plを変更するようにしてもよい。
同構成にあっては、機関負荷およびオイル温度THOに基づいてマップAから目標開弁圧Plを算出し、この目標開弁圧Plに補正項Kを乗じた値(Pl×K)を新たな目標開弁圧Plとして算出するようにすればよい(図11参照)。この補正項Kは初期値が「1.0」であって、初期化スイッチ38がオン操作されると「1.0」になる値である。そして、この補正項Kを、図13に示すように、希釈度合Davが所定の判定値以上であるときに(図7のステップS211:YES)、同希釈度合Davに基づき算出された値に変更するようにすればよい(図13のステップS601)。ここでは補正項Kとして、「1.0」よりも大きい値であって、希釈度合Davが大きいほど大きい値が算出される。
なお、目標開弁圧Plに補正項Kを加算した値(Pl+K)を新たな目標開弁圧Plとして算出するようにしてもよい。この場合には、補正項Kを初期値が「0」であり、また初期化スイッチ38がオン操作されると「0」になる値とすればよい。さらに、補正項Kを、希釈度合Davが所定の判定値以上であるときに、「1.0」よりも大きい値であって、希釈度合Davが大きいほど大きい値に変更するようにすればよい。
・リリーフ弁19を省略するとともにオイルポンプ18として吐出容量可変型のものを用い、オイルポンプ18の吐出量を変更することによってオイル通路の圧力を変更するようにしてもよい。具体的には、潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が小さいときと比較してオイルポンプ18の吐出量が多くなるように、また同劣化度合が大きくなるに連れてオイルポンプ18の吐出量が多くなるように、同オイルポンプの駆動を制御すればよい。
<第2および第3の実施の形態の共通の変形例>
次に、第2および第3の実施の形態の変形例について説明する。
・前記3つの条件下においてそれぞれ実液面レベルLvに基づく希釈度合の算出を複数回実行し、それら算出した希釈度合の平均値を、各条件において算出された希釈度合を比較する処理(図7のステップS209)や希釈度合Davを算出する処理(ステップS210)に用いるようにしてもよい。
・希釈度合の算出を実行する条件として前記3つの条件のうちの2つの条件のみを採用し、それら条件下において算出された希釈度合が一致したときに、その一致した値を信頼性の高い値であるとして、希釈度合Davを算出する処理に用いるようにしてもよい。
・各条件下において算出された希釈度合が一致したときに、それら一致した希釈度合の平均値に基づいて潤滑オイルの劣化度合を判定する処理(図7のステップS211)や、マップを選択する処理(ステップS212)を実行することに代えて、例えば最大値など、一致した希釈度合のうちの一つに基づいて各処理を実行するようにしてもよい。
・オイルタンク17内の潤滑オイルの貯留量に見合う値を実液面レベルLvとして精度良く検出することのできる条件を1つのみ設定し、同条件下において算出した希釈度合に基づいて、潤滑オイルの劣化度合を判定する処理(図7のステップS211)や、目標開マップを選択する処理(ステップS212)を実行するようにしてもよい。
・希釈度合の算出を実行する条件として、前記3つの条件のうちの1つに代えて、あるいは前記3つの条件に加えて、車両1が定常走行されているとき(具体的には、例えば車速SPDおよび機関回転速度NEが共にほぼ一定の状態が所定時間継続されていること)といった条件を採用するようにしてもよい。この条件の下では、車両1の走行中の中でもオイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さが比較的安定しているときにおいて実液面レベルLvを検出することができ、実際の潤滑オイルの貯留量に見合う値を実液面レベルLvとして精度良く検出することができる。
・機関運転に伴う潤滑オイルの消費量による影響が小さいのであれば、前記消費量ΔVによることなく、実液面レベルLvおよび交換時液面レベルLvchgに基づいて希釈度合を算出するようにしてもよい。
・交換直後におけるオイルタンク17内の潤滑オイル貯留量の相違による影響が小さいのであれば、例えば基準とする一定の値および実液面レベルLvに基づいて希釈度合を算出するなど、交換時液面レベルLvchgによることなく、希釈度合を算出するようにしてもよい。同構成にあっては、交換時液面レベルLvchgを記憶する構成を省略することもできる。
・実液面レベルLvに基づいて希釈度合を算出することに代えて、オイルタンク17内の潤滑オイルの液面高さが所定の高さ以上になったことを検出するための液面上限スイッチを複数設け、それら液面上昇スイッチを通じて潤滑オイルの液面高さの上昇度合、ひいては燃料による潤滑オイルの希釈度合を検出するようにしてもよい。なお、各液面上限スイッチとしては、異なる液面高さで作動するものが設けられる。
<第3の実施の形態の変形例>
次に、第3の実施の形態の変形例について説明する。
・目標開度の算出マップを切り換えることによって目標開度を変更することに代えて、目標開度に乗算する補正項Kを設定し、同補正項Kを切り換えることによって目標開度を変更するようにしてもよい。
同構成にあっては、機関負荷およびオイル温度THOに基づいてマップAから目標開度を算出し、この目標開度に補正項Kを乗じた値(Pl×K)を新たな目標開度として算出するようにすればよい。この補正項Kは初期値が「1.0」であって、初期化スイッチ38がオン操作されると「1.0」になる値である。そして、この補正項Kを、希釈度合Davが所定の判定値以上であるときに(図7のステップS211:YES)、同希釈度合Davに基づき算出された値に変更するようにすればよい。ここでは補正項Kとして、「0≦K<1.0」を満たす値であって、希釈度合Davが大きいほど小さい値が算出される。
なお、目標開度に補正項Kを加算した値(Pl+K)を新たな目標開度として算出するようにしてもよい。この場合には、補正項Kを初期値が「0」であり、また初期化スイッチ38がオン操作されると「0」になる値とすればよい。さらに、補正項Kを、希釈度合Davが所定の判定値以上であるときに、「K<0」を満たす値であって、希釈度合Davが大きいほど小さい値に変更するようにすればよい。
・潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されるときに、制御弁40のオイル排出口が連通路43に連通された状態と同オイル排出口がリターン通路41に連通された状態とを周期的に切り換えるようにしてもよい。また、潤滑オイルの劣化度合が大きいと判定されるときにあって、同劣化度合が比較的小さいときには上述のように制御弁40のオイル排出口の連通状態を周期的に切り換える一方、同劣化度合が比較的大きいときには制御弁40のオイル排出口を連通路43のみに連通させるようにしてもよい。これら構成によれば、制御弁40および連通路43を介して一旦オイル通路の外部に排出される潤滑オイルの全量をヘッド通路42に供給した場合に同ヘッド通路42への潤滑オイルの供給量が過剰になるおそれのある構成にあって、その供給量を適切な量に設定することができるようになる。
・潤滑オイルの劣化度合が小さいと判定されるときに、制御弁40のオイル排出口が連通路43に連通された状態と同オイル排出口がリターン通路41に連通された状態とを周期的に切り換えるようにしてもよい。同構成によれば、ヘッド通路42(オイル通路における潤滑オイルの流れ方向下流側の部分)内の圧力不足が懸念されるときに、同ヘッド通路42に制御弁40および連通路43を介して潤滑オイルを供給することができ、その圧力不足を抑制することができる。また、そのように圧力が不足した状態を考慮してシリンダヘッドHDに形成された各潤滑部を構成する部品のグレード(詳しくは、材質や熱処理、表面仕上げなどのグレード)を上げる必要がなくなるため、そのグレードを下げることが可能になる。なお、ヘッド通路42の圧力不足を招くおそれのあるときとしては、例えば内燃機関10の低温始動時など、オイル温度THOが低く、潤滑オイルの粘度が高いときが挙げられる。
<各実施の形態の共通の変形例>
次に、各実施の形態の変形例について説明する。
・潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、警告ランプ22を点灯させることに代えて、警告ブザーを吹聴させることや、車両に関する情報を表示する画面を有したシステムを備える車両にあってその表示画面に潤滑オイルの交換時期である旨の表示させるようにしてもよい。また、各実施の形態にかかる装置は、そうした潤滑オイルの交換時期を報知する報知手段を備えていない車両にも適用することができる。
・煤の混入や化学変化による潤滑オイルの劣化を考慮するべく、潤滑オイルの交換後における経過時間や車両1の運転履歴(例えば、車両1の走行距離や、内燃機関10の稼働時間)などに基づいて、潤滑オイルの劣化度合を判定するようにしてもよい。
本発明にかかる内燃機関の潤滑オイル供給装置を具体化した第1の実施の形態が適用される車両の概略構成を示す略図。 同実施の形態の目標開弁圧の算出に用いるマップのマップ構造を示す略図。 同実施の形態にかかるマップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 同マップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかる内燃機関の潤滑オイル供給装置を具体化した第2の実施の形態についてその目標開弁圧の算出用マップのマップ構造を示す略図。 同実施の形態にかかるマップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 同マップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかる内燃機関の潤滑オイル供給装置を具体化した第3の実施の形態についてその潤滑オイルの流通経路を示す略図。 同実施の形態の目標開度の算出に用いるマップのマップ構造を示す略図。 第1の実施の形態の変形例についてそのマップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 第1の実施の形態の他の変形例についてそのリリーフ圧設定処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 同変形例についてそのマップ切り換え処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 第2の実施の形態の他の変形例についてそのリリーフ圧設定処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…車両、10…内燃機関、11…燃焼室、12…吸気通路、13…排気通路、14…排気浄化触媒、15…燃料噴射弁、16…燃料ポンプ、17…オイルタンク、18…オイルポンプ、19…リリーフ弁、20…バッテリ、21…メインリレー、22…警告ランプ、23…ピストンリング、30…記憶手段および推定手段としての電子制御装置、31…吸入空気量センサ、32…回転速度センサ、33…水温センサ、34…走行速度センサ、35…液面レベルセンサ、36…温度センサ、37…メインスイッチ、38…初期化スイッチ、40…制御弁、41…リターン通路、42…ヘッド通路、43…連通路、BL…シリンダブロック、HD…シリンダヘッド。

Claims (18)

  1. 内燃機関の潤滑部に潤滑オイルを圧送するオイルポンプと、
    前記潤滑部および前記オイルポンプを連通するオイル通路と、
    前記潤滑オイルの劣化度合が大きいときに、同劣化度合が小さいときと比較して、前記オイル通路内の圧力が高くなるようにこれを変更する圧力変更手段と
    を備える内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  2. オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの液面高さを検出する液面センサと、該液面センサによって検出した液面高さが所定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判定する判定手段とを更に備える
    請求項1に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  3. 前記潤滑オイルの交換直後において前記オイルタンク内に貯留されている同潤滑オイルの液面高さを記憶する記憶手段を更に備え、
    該記憶手段によって記憶した液面高さに基づいて前記所定値を設定する
    請求項2に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  4. 前記潤滑オイルの交換後における同潤滑オイルの消費量を推定する推定手段を更に備え、
    該推定手段によって推定した消費量に基づいて前記所定値を設定する
    請求項2または3に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、
    前記判定手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときにおいてそれぞれ前記劣化度合についての判定を実行し、それら判定の少なくとも2つにおいて前記検出した液面高さが前記所定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判定する
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  6. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、
    前記判定手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときのうちの2つの条件下において前記劣化度合についての判定を実行し、それら判定において共に前記検出した液面高さが前記所定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判定する
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  7. 前記潤滑オイルの劣化度合を算出する算出手段を更に備え、
    該算出手段によって算出される劣化度合が所定の判定値以上であることをもって前記劣化度合が大きいと判断する
    請求項1に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  8. 請求項7に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記算出手段は、前記劣化度合として、燃料による前記潤滑オイルの希釈が進んだときほど大きい度合を算出する
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  9. オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの量を検出する検出手段と、前記潤滑オイルの交換直後において前記オイルタンク内に貯留されている同潤滑オイルの量を記憶する記憶手段とを更に備え、
    前記検出手段によって検出した前記潤滑オイルの量をV1、前記記憶手段によって記憶した前記潤滑オイルの量をV2、燃料による前記潤滑オイルの希釈度合をDとするとき、
    前記算出手段は、前記希釈度合Dとして次式

    D=V1/V2

    を満たす値を求める
    請求項8に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  10. オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの量を検出する検出手段と、前記潤滑オイルの交換直後において前記オイルタンク内に貯留されている同潤滑オイルの量を記憶する記憶手段と、前記潤滑オイルの交換後における同潤滑オイルの消費量を推定する推定手段とを更に備え、
    前記検出手段によって検出した前記潤滑オイルの量をV1、前記記憶手段によって記憶した前記潤滑オイルの量をV2、前記推定手段によって推定した消費量をΔV、燃料による前記潤滑オイルの希釈度合をDとするとき、
    前記算出手段は、前記希釈度合Dとして次式

    D=V1/(V2−ΔV)

    を満たす値を求める
    請求項8に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  11. 請求項9または10に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、
    前記検出手段は、前記オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの液面高さに基づいて同潤滑オイルの量を検出するものであり、
    前記算出手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときにおいてそれぞれ前記希釈度合を求め、それら求めた希釈度合のうちの少なくとも2つが一致したことを条件に、それら一致した希釈度合に基づいて前記劣化度合を算出する
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  12. 請求項9または10に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記内燃機関は車両に搭載されるものであって、
    前記検出手段は、前記オイルタンク内に貯留されている前記潤滑オイルの液面高さに基づいて同潤滑オイルの量を検出するものであり、
    前記算出手段は、前記内燃機関のメインスイッチがオン操作されてから同内燃機関の始動が開始されるまでの期間、および前記内燃機関の暖機完了後におけるアイドル運転時、および前記内燃機関の運転停止から所定時間経過したときのうちの2つの条件下においてそれぞれ前記希釈度合を求め、それら求めた希釈度合が一致したことを条件に、それら一致した希釈度合に基づいて前記劣化度合を算出する
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記圧力変更手段は、前記オイル通路内の前記潤滑オイルの圧力が所定の開弁圧より高くなったときに開弁されて同オイル通路の内部から外部に前記潤滑オイルを排出する制御弁を有し、該制御弁の開弁圧を高い圧力に変更することによって、前記オイル通路内の圧力を高くするものである
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  14. 請求項13に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記圧力変更手段は、前記劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて前記開弁圧が高くなるように同開弁圧を変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記圧力変更手段は、開弁制御時において前記オイル通路の内部から外部に前記潤滑オイルを排出する制御弁を有し、前記劣化度合が大きいときに前記制御弁の開度を縮小することによって前記オイル通路内の圧力を高くするものである
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  16. 請求項15に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記圧力変更手段は、前記劣化度合が大きいときに、同劣化度合が大きくなるに連れて前記制御弁の開度が大きくなるように同開度を変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  17. 請求項13〜16のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置において、
    前記オイル通路は、前記内燃機関のシリンダブロックを経て同内燃機関のシリンダヘッドに延設されてなり、
    前記制御弁は、そのオイル導入口が前記オイル通路の前記シリンダブロック内に形成された部分に連通されるとともに、オイル排出口が、前記オイルポンプの吸入口に潤滑オイルを戻すためのリターン通路と前記オイル通路の前記シリンダヘッドに形成された部分に連通される連通路とにそれぞれ接続されてなり、
    前記制御弁のオイル排出口は、前記劣化度合が小さいときには前記リターン通路に連通され、前記劣化度合が大きいときには前記連通路に連通される
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑オイル供給装置。
  18. 前記劣化度合が大きいときに前記潤滑オイルの交換時期を報知する報知手段を更に備える
    請求項1〜17のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑オイル供給装置。
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