以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1ないし図6を参照して、本実施形態に係る自動二輪車1(スクーター型車両)について説明する。ここで、図1は自動二輪車1を示す側面図である。図2は自動二輪車1の車体フレーム2およびヘルメットボックス21を示す斜視図である。図3は自動二輪車1の車体フレーム2およびヘルメットボックス21を示す平面図である。図4は自動二輪車1の車体フレーム2、車体カバー4およびヘルメットボックス21等を示す斜視図である。図5はヘルメットボックス21およびシートフロントカバー33a等を示す斜視図である。図6はヘルメットボックス21およびシートカウル33の一部を示す斜視図である。なお、以下の説明では、自動二輪車1に搭乗したライダーを基準に各方向を設定し、各図に適宜方向を示すこととする。
図1に示すように、スクーター型の自動二輪車1は、車体フレーム2と、エンジン3と、車体カバー4と、を備えて概略構成されている。
車体フレーム2は、鋼材またはアルミニウム合金材等から成る中空円筒状の複数のチューブを溶接して構成されている。車体フレーム2は、ヘッドパイプ10と、ダウンチューブ11と、メインチューブ12と、左右一対のサイドチューブ13と、を有している。
ヘッドパイプ10は、左右一対のフロントフォーク14を左右操舵可能に支持している。フロントフォーク14の下部には、前輪15が回転可能に支持されている。フロントフォーク14の上部には、ハンドルバー16が設けられている。
図1および図2に示すように、ダウンチューブ11は、ヘッドパイプ10から略下方に延出し、下部を後側に向けて湾曲させている。メインチューブ12は、ダウンチューブ11の湾曲した下端部から後方に延設されている。メインチューブ12の後端部には、左右方向(車両の幅方向)に延びるクロスチューブ12aが接続されている。なお、メインチューブ12は、ダウンチューブ11と一体に形成されている。
図2および図3に示すように、左右一対のサイドチューブ13は、それぞれ、クロスチューブ12aの左右両端部から後上方に傾斜して延設されている。各サイドチューブ13の前側下部には、ピリオンステップ17a(図1参照)を取り付けるためのステップステー17が設けられている。左右一対のステップステー17には、それぞれ、ステーブラケット18が形成されている。ステーブラケット18は、ピリオンステップ17aの前側に配置されている。ステーブラケット18には、ネジ穴18aが形成されている。
左右一対のサイドチューブ13の間には、第1ブリッジチューブ13aと、第2ブリッジチューブ13bと、第3ブリッジチューブ13cと、が架設されている。
第1ブリッジチューブ13aは、左右一対のサイドチューブ13の前側下部に設けられている。第1ブリッジチューブ13aは、平面視で中央部を前方に突出する略U字状に形成されている。第1ブリッジチューブ13aの左右方向中央部には、前側ブラケットP1が取り付けられている(図3参照)。第2ブリッジチューブ13bは、左右一対のサイドチューブ13の前後方向中間部(第1ブリッジチューブ13aの後上方)に設けられ、第3ブリッジチューブ13cは、左右一対のサイドチューブ13の後端部(第2ブリッジチューブ13bの後上方)に設けられている。第2ブリッジチューブ13bおよび第3ブリッジチューブ13cは、それぞれ、左右方向に延びる略直線状に形成されている。第2ブリッジチューブ13bの左右両端部には、左右一対の後側ブラケットP2が取り付けられている(図3参照)。
図1に示すように、左右一対のサイドチューブ13の上側には、ライダーが着座する着座シート20が配置されている。左右一対のサイドチューブ13の間には、ヘルメットボックス21と、燃料タンク22と、が配設されている。収納ボックスとしてのヘルメットボックス21は、例えば、ヘルメットHや手荷物等の物品を収納するために着座シート20の下方に設けられている。燃料タンク22は、ヘルメットボックス21の後側で第2ブリッジチューブ13bと第3ブリッジチューブ13cの間に配設され、各サイドチューブ13または各ブリッジチューブ13b,13cに設けられた複数のブラケット(図示せず)にネジ留めされている。すなわち、第2ブリッジチューブ13bは、ヘルメットボックス21と燃料タンク22との間に配置されている。
エンジン3は、シリンダー(図示せず)と、クランクケース25と、変速機ケース26と、を有している。
エンジン3(クランクケース25)は、メインチューブ12の後端部にスイングピボット(図示せず)を介して上下方向に揺動可能に連結されている。変速機ケース26の内部には、ベルト式無段変速機等の動力伝達装置(図示せず)が設けられている。変速機ケース26の後端部には、駆動輪としての後輪27が回転可能に支持されている。変速機ケース26と左側のサイドチューブ13との間には、ショックアブソーバー28が架設されている。エンジン3は、変速機ケース26をスイングアームとして機能させる所謂ユニットスイング式エンジンとして構成されている。
図1に示すように、車体カバー4は、車体フレーム2に取り付けられて自動二輪車1の主要な外観を構成している。車体カバー4は、ハンドルカバー30と、フロントカウル31と、ステップボード32と、シートカウル33と、を有している。なお、車体カバー4の各部は、例えば、樹脂材料等によって射出成形されている。
ハンドルカバー30は、ハンドルバー16を覆うように設けられている。フロントカウル31は、ヘッドパイプ10およびダウンチューブ11を覆うように設けられている。フロントカウル31は、着座シート20に着座したライダーの脚部を保護するために設けられている。
ステップボード32は、フロントカウル31の下端から後方に向けて略平坦に延設されている。ステップボード32は、ステップフロア32aと、ロアカバー32bと、を有している。
図4に示すように、ステップフロア32aは、メインチューブ12の上側に固定されている。着座シート20に着座したライダーは、ステップフロア32a上に両足を載置する。ロアカバー32bは、メインチューブ12の下側に固定されている。ロアカバー32bは、底面カバー32cの左右両端部から上方に延出する側面カバー32dによって正面視で略U字状に一体形成されている。左右一対の側面カバー32dは、それぞれ、ステップフロア32aよりも後上方に延設されている。詳細には、各側面カバー32dの後端上部は、各ピリオンステップ17aの前側に位置している(図1参照)。
シートカウル33は、左右一対のサイドチューブ13の間に配置されたヘルメットボックス21の周囲を覆うように設けられている。シートカウル33は、シートフロントカバー33aと、左右一対のサイドロアーカバー33bと、左右一対のサイドアッパーカバー33cと、を有している。
シートフロントカバー(カバー)33aは、ヘルメットボックス21(第1ブリッジチューブ13a)の前面(周囲)を覆うように設けられている。シートフロントカバー33aは、平面視でヘルメットボックス21および第1ブリッジチューブ13aの形状に沿うように中央部を前方に突出する略U字状断面を有し、上下方向に長い略トレイ状に形成されている。また、シートフロントカバー33aは、正面視で下部から上部に向けて左右方向の幅が広がるように形成されている。
シートフロントカバー33aの下端部には、下端片34が一体に形成されている。下端片34は、シートフロントカバー33aの下端部から前側に向けて延出している。下端片34には、左右一対の貫通穴34aが上下方向に貫通して形成されている。
シートフロントカバー33aの上部には、軸受開口部35と、左右一対の上端片36と、が形成されている。軸受開口部35は、シートフロントカバー33aの左右方向中央部にて上端部から下側に向けて切り込まれている。軸受開口部35は、正面視で略矩形状に形成されている。軸受開口部35には、開放状態の着座シート20のヒンジ(図示せず)が干渉することなく入り込むようになっている。シートフロントカバー33aの上縁部としての左右一対の上端片36は、軸受開口部35の左右両外側に形成されている。なお、シートフロントカバー33aの後端上部には、左右一対の係合フック36dが形成されている(図5参照)。
図5に示すように、左右一対の上端片36は、それぞれ、シートフロントカバー33aの上縁部から後方に向けて延出している。つまり、各上端片36は、平面視でシートフロントカバー33aの略U字の内側に向けて延出している。一対の上端片36は、平面視で左右対称となる略L字状に形成され、側方部分が後方に延びるように形成されている。
各上端片36は、切欠き部36aと、矩形膨出部36bと、を有している。各切欠き部36aは、後述するヘルメットホルダー50の根元部を受け入れる略半円形状の切り込みであって、上端片36の屈曲部分の内側に形成されている。各矩形膨出部36bは、上端片36の後部において上側に向けて膨出するような略矩形箱状に形成されている。各矩形膨出部36bの上面は、前部から下部に向けて僅かに下り勾配に形成されている。各矩形膨出部36bには、貫通穴36cが上下方向に貫通して形成されている。
図4および図6に示すように、左右一対のサイドロアーカバー33bは、シートフロントカバー33aの左右両外側下部に接続され、後方に延びるように設けられている。各サイドロアーカバー33bの前端下部には、下側貫通穴37aが上下方向に貫通して形成されている。各サイドロアーカバー33bの前端上部には、上側貫通穴37bが左右方向に貫通して形成されている。
左右一対のサイドアッパーカバー33cは、シートフロントカバー33aの左右両外側上部およびサイドロアーカバー33bの上端部に接続され、後方に延びるように設けられている。つまり、左右一対のサイドアッパーカバー33cは、ヘルメットボックス21の左右両側面を覆っている。各サイドアッパーカバー33cの前端下部には、ネジ穴38aが形成されている。また、各サイドアッパーカバー33cの前端上部には、係合穴38bが形成されている。
図4に示すように、左右一対のサイドアッパーカバー33cの後側上端面には、燃料タンク22の上面を覆うタンクカバー39が設けられている。タンクカバー39には、燃料タンク22の給油口(図示せず)に通じる給油開口部39aが形成されている。
次に、図7ないし図10を参照して、ヘルメットボックス21について説明する。図7はヘルメットボックス21を示す斜視図である。図8はヘルメットボックス21を他の方向から示す斜視図である。図9はヘルメットボックス21の前部を示す上方斜視図である。図10はヘルメットボックス21の前部を示す下方斜視図である。なお、以下、車体フレーム2に支持されたヘルメットボックス21の姿勢を基準に説明する。
図7および図8に示すように、ヘルメットボックス21は、主ボックス部40と、副ボックス部60と、を有している。主ボックス部40(ボックス部)は、上面に開口部41を有して有底箱状に形成されている。副ボックス部60は、主ボックス部40の後面下部から後側に向けて膨出している。ヘルメットボックス21は、射出形成技術によって加工され、合成樹脂等で一体に形成されている。なお、主ボックス部40から膨出する副ボックス部60は、アンダーカット形状となるため、ヘルメットボックス21は、スライドコア等の既存の金型加工技術を用いて一体成形される。なお、ヘルメットボックス21は、所謂ヒケ(成形収縮によって生じる窪み)を防止するために略同一の厚みになるように形成されている。
主ボックス部40は、底板40aと、前壁部40bと、左壁部40cと、右壁部40dと、後壁部40eと、を有している。底板40aは、略箱状の底面を構成している。前壁部40b、左壁部40cおよび右壁部40dは、底板40aの前端部および左右両端部に立設されている。後壁部40eは、左右一対の壁部40c,40dの後端上部の間に架設されている。したがって、主ボックス部40の内部には、底板40aおよび各壁部40b〜40eに囲まれて、上面を開放する主収納空間S1が形成されている。
底板40aは、平面視で角を丸くした前後方向に長い略四角形状に形成されている。底板40aは、側面視で後部から前部に向けて下り勾配となる姿勢で設けられている。底板40aの下面の前端部には、左右一対の前側ボス部44と、左右一対の前側リブ45と、が形成されている。
左右一対の前側ボス部44は、底板40aの前側で左右方向中央部において、左右方向に並んで配置されている。各前側ボス部44は、略有底円筒状に形成され、底板40aの下面から前方斜め下側に向けて突設されている(図10参照)。このため、底板40aの上面(内面)は、各前側ボス部44の形状に合わせて下方に窪んでいる。各前側ボス部44の中央部には、貫通穴44aが略上下方向に貫通して形成されている(図10参照)。
左右一対の前側リブ45は、各前側ボス部44の左右方向両外側に形成されている。左右一対の前側リブ45は、底面視で後部から前部に向けて広がるように左右対称に配置されている。各前側リブ45は、略板状に形成され、底板40aの下面から前方斜め下側に向けて突設されている。各前側リブ45の先端面(下端面)は、略半円形状に凹設されている。
前壁部40bは、平面視で前方に膨出するように円弧状に形成されている。前壁部40bは、側面視で前側に向けて下り勾配に形成されている。
図9および図10に示すように、前壁部40bの上端部には、前面から前方(外側)に延出する前側フランジ部46が形成されている。前側フランジ部(フランジ部)46は、軸受部47と、左右一対のホルダー支持部48と、を含んで一体に形成されている。
軸受部47は、左右一対のホルダー支持部48の間となる前壁部40bの左右方向中央部に形成されている。軸受部47は、軸受底板47aの左右両端部に立設される左右一対の軸受側板47bを有し、正面視で略U字状(略矩形状)に形成されている(図7参照)。軸受底板47aは、各ホルダー支持部48よりも一段低い位置で前壁部40bから前方に延びる略水平な平面を有している。各軸受側板47bは、前壁部40bから前方に延びる略垂直な平面を有している。つまり、軸受部47は、前壁部40bの前面から前方に突設されている。各軸受側板47bには、軸支穴47cが左右方向に貫通して形成されている。左右一対の軸支穴47cは、着座シート20の前端下部に設けられた回動軸(図示せず)を軸支する。これにより、着座シート20は、ライダーが着座可能な着座位置C(図1の実線参照)と、ヘルメットボックス21の開口部41やタンクカバー39の給油開口部39aを現出する開放位置O(図1の二点鎖線参照)との間で回動する。つまり、着座シート20は、ヘルメットボックス21等の蓋の役割を担っている。なお、着座シート20は、着座位置Cに回動すると車両後部(第3ブリッジチューブ13c)に設けたロック機構(図示せず)に係止される。
左右一対のホルダー支持部48は、軸受部47の各軸受側板47bの上端部から左右方向両外側に向けて延びるように形成されている。左右一対のホルダー支持部48は、各軸受側板47bの上端部と前壁部40bの上端部とを連結するように略水平に延設されている。左右一対のホルダー支持部48は、平面視で左右対称となると共に、前壁部40b側を長辺とする略台形状に形成されている。各ホルダー支持部48は、左右方向略中央部から外側に向けて後側に傾斜する傾斜端面48aを有している。各ホルダー支持部48の上面には、段差を有して一段下がった下段面48bが形成されている。下段面48bは、各ホルダー支持部48の前側から左右方向外側に亘って形成されている。各下段面48bには、シートフロントカバー33aの上端片36が当接するようになっている。
左右一対のホルダー支持部48には、それぞれ、ヘルメットホルダー50と、ネジボス部51と、が形成されている。詳細には、左右一対のヘルメットホルダー50は、左右一対のネジボス部51の内側で、各ネジボス部51と軸受部47との間に配置されている。なお、一対のヘルメットホルダー50および一対のネジボス部51は、それぞれ、左右対称に形成されているため、以下、ヘルメットホルダー50およびネジボス部51の左側に着目して説明する。
ヘルメットホルダー50は、ホルダー支持部48の下段面48bの上面に立設されている。ヘルメットホルダー50は、ホルダー支持部48の前側で傾斜端面48aの近傍に配置されている。ヘルメットホルダー50は、下側の下段ホルダー50aと、上側の上段ホルダー50bと、を含み、段付き円筒状に一体形成されている。
下段ホルダー50aは、上段ホルダー50bよりも大径に形成されている。上段ホルダー50bは、下部から上部に向けて細くなるように形成されている。つまり、ヘルメットホルダー50の基端部は先端部よりも太く形成されている。このように、上段ホルダー50bを比較的小径とすることで、ヘルメットHの顎紐の環状金具70の挿入性の向上を図るようになっている。また、下段ホルダー50aを比較的大径とすることで、強度の向上を図り、ヘルメットホルダー50の倒れを抑制するようになっている。
下段ホルダー50aと上段ホルダー50bとの間には、段差部50cが形成されている。段差部50cは、傾斜端面48a側(外側)にのみ形成されている。ヘルメットホルダー50を挟んで傾斜端面48aの反対側(内側)では、下段ホルダー50aと上段ホルダー50bとが滑らかに(段差無く)連設されている。すなわち、略円筒状の下段ホルダー50aと上段ホルダー50bとは、互いに軸心をずらした位置で一体形成されることで、前壁部40b側の段差部50cを消失させている。
ネジボス部51は、ヘルメットホルダー50の外側後方にて、ホルダー支持部48の下段面48bの上面に凸設されている。ネジボス部51は、ホルダー支持部48の上面(下段面48bではない上面)よりも僅かに高く形成されている。ネジボス部51の上面は、前部から下部に向けて僅かに下り勾配に形成されている。ネジボス部51には、ネジ穴51aが上下方向に貫通して形成されている。詳細には、ネジ穴51aは、ホルダー支持部48の下面から垂れ下がるネジ穴形成部51b内に穿設されている。
前側フランジ部46の下側には、補強部52が形成されている。補強部52は、前側フランジ部46の下面と前壁部40bの前面との間に設けられている。補強部52は、複数の第1補強リブ52aと、複数の第2補強リブ52bと、左右一対の補強連結リブ52cと、を含んで構成されている。
複数(例えば4つ)の第1補強リブ52aは、それぞれ、側面視で前側に斜辺を有する略直角三角形状に形成されている。各第1補強リブ52aは、軸受底板47aの下面から下側に向けて延設されると共に前壁部40bの前面から前側に向けて延設されている。4つの第1補強リブ52aは、互いに平行に、且つ、左右方向に等間隔に配置されている。なお、最も外側に配置された第1補強リブ52aは、軸受側板47bに連続するように下方に延びている。
複数(例えば3つ)の第2補強リブ(補強リブ)52bは、左右一対のホルダー支持部48の下面に各々形成されている。左側のホルダー支持部48に形成した3つの第2補強リブ52bと右側のホルダー支持部48に形成した3つの第2補強リブ52bとは、左右対称に配置されている。なお、以下、左側の3つの第2補強リブ52bに着目して説明する。
3つの第2補強リブ52bは、それぞれ、側面視で前側下部に斜辺を有する略台形状に形成されている。各第2補強リブ52bは、ホルダー支持部48の下面から下側に向けて延設されると共に前壁部40bの前面から左前側に向けて延設されている。すなわち、各第2補強リブ52bは、軸受側板47bの側方に配置され、軸受側板47bよりも下方まで(第1補強リブ52aの側方となる位置まで)延設されている。また、各第2補強リブ52bは、外側斜め前方に延びて前方に行くほど軸受側板47bから離れるように形成されている。左右方向中央の第2補強リブ52bは、左右方向両側の第2補強リブ52bよりも前壁部40bからの突出量が小さくなっている。3つの第2補強リブ52bは、互いに平行に、且つ、左右方向に略間隔で配置されている。3つの第2補強リブ52bは、底面視で、ホルダー支持部48に形成されたヘルメットホルダー50の周りを囲むように配置されている。各第2補強リブ52bは、軸受側板47bと協同してホルダー支持部48を補強し、剛性を向上させている。
左右一対の補強連結リブ52cは、それぞれ、ホルダー支持部48の下面と3つの第2補強リブ52bとを連結するように架設されている。なお、左右一対の補強連結リブ52cは、左右対称に形成されているため、以下、左側の各補強連結リブ52cに着目して説明する。
補強連結リブ52cは、各第2補強リブ52bの前端上部に一体形成されている。補強連結リブ52cは、底面視(平面視)でヘルメットホルダー50の周りを囲むように略半円筒状に形成されている。なお、補強連結リブ52cの中央部には、ホルダー支持部48の下面からヘルメットホルダー50の内部まで通じる型抜き穴50dが形成されている(図10参照)。型抜き穴50dは、射出成形時のヒケを防止するための肉盗み(肉抜き)によって形成される。
図7および図8に示すように、左壁部40cおよび右壁部40dは、前壁部40bの左右両端部から後側に向けて略平行に延設されている。左壁部40cおよび右壁部40dは、互いに略左右対称に形成されている。左右一対の壁部40c,40dの上端面は、前端部から前後方向略中央部まで略水平に形成され、中央部から後端部に向けて上り勾配に形成されている。左壁部40cの上端部の勾配部分には、左面から外方(左方)に延出する左側フランジ部53が形成されている。同様に、右壁部40dには、右側フランジ部54が形成されている。各フランジ部53,54は、サイドロアーカバー33bの上端部を上方から覆うように形成されている。各フランジ部53,54の後端部には、それぞれ、貫通穴53a,54aが略上下方向に貫通して形成されている。なお、左右一対の壁部40c,40dの後下部には、それぞれ、凹壁部55,56が凹設されている(図2参照)。各凹壁部55,56は、車体フレーム2にヘルメットボックス21を支持させたときに各サイドチューブ13の形状に沿うように形成されている(図2参照)。
後壁部40eは、左右一対の壁部40c,40dの後端部の略上側半分に連設されている。つまり、後壁部40eは、主ボックス部40の後面の略上側半分を形成している。後壁部40eは、側面視で前側に向けて下り勾配に形成されている。後壁部40eの左右両端部には、左右一対の後側ボス部57が形成されている。各後側ボス部57は、後壁部40eの後面から後方斜め下側に向けて膨出するような略有底円筒状に形成されている。このため、後壁部40eの前面(内面)は、各後側ボス部57の形状に合わせて後斜め下方に窪んでいる。各後側ボス部57の中央部には、貫通穴57aが後斜め下方に貫通して形成されている。
図8に示すように、後壁部40eの後面の左右方向中央部には、左右一対の後側リブ58と、連結リブ59と、が形成されている。各後側リブ58は、上下方向に長い略板状に形成され、後壁部40eの後面から後方に突設されている。各後側リブ58の先端面(下端面)は、略半円形状に凹設されている。連結リブ59は、後壁部40eの後面から後方に突設されると共に、左右一対の後側リブ58の上端部に連結されている。
副ボックス部60は、底板40aの後端部、左右一対の壁部40c,40dの後端下部および後壁部40eの下端部に接続される略箱状に形成されている。副ボックス部60は、主ボックス部40の後面の略下側半分が後方に膨らむように形成されている。副ボックス部60の内部には、前面を開放する副収納空間S2が形成されている。なお、詳細な説明は省略するが、副ボックス部60の内部(後側内面)には、スクリュードライバーやレンチ等の車載工具T(図7参照)を保持させる取付部61が形成されている。
なお、主ボックス部40の前壁部40bが、前側に向けて下り勾配に形成されると共に、副ボックス部60が、主ボックス部40の後端下部に形成されている。このため、ヘルメットボックス21の底面は、主ボックス部40の開口部41よりも前後方向に長く形成されている。
次に、図2および図3を参照して、本実施形態に係る自動二輪車1のヘルメットボックス21の取り付け手順について説明する。
まず、作業者は、前側から左右一対のサイドチューブ13の間にヘルメットボックス21を進入させる。ヘルメットボックス21の左右一対の壁部40c,40dに凹設された各凹壁部55,56は、左右一対のサイドチューブ13の間に入り込む。この状態で、ヘルメットボックス21は、第1ブリッジチューブ13aと第2ブリッジチューブ13bとの間に架け渡されるように配置される。
詳細には、主ボックス部40の底板40aの前端部に形成された各前側ボス部44は、第1ブリッジチューブ13aの前側ブラケットP1上に載置される。また、主ボックス部40の底板40aの前端部に形成された各前側リブ45は、第1ブリッジチューブ13aの上側周面に当接する。このとき、各前側リブ45の下端面は、略半円形状に凹設されているため、第1ブリッジチューブ13aの上側周面に沿って当接する。これにより、円形断面を有する第1ブリッジチューブ13a上に載置されたヘルメットボックス21(の前部)を安定させることができる。
一方、主ボックス部40の後壁部40eに形成された各後側ボス部57は、第2ブリッジチューブ13bの左右一対の後側ブラケットP2上に載置される。主ボックス部40の後壁部40eに形成された各後側リブ58は、第2ブリッジチューブ13bの上側周面に当接する。このとき、各後側リブ58の下端面は、第2ブリッジチューブ13bの上側周面に沿って当接する。また、ヘルメットボックス21の副ボックス部60は、第2ブリッジチューブ13bの下側に配置される。すなわち、第2ブリッジチューブ13bは、各後側リブ58と副ボックス部60との間に配置される。
次に、作業者は、主収納空間S1内から各前側ボス部44に形成された貫通穴44aにボルトB1を挿入する(図3参照)。各貫通穴44aを貫通したボルトB1は、前側ブラケットP1に形成された左右一対のネジ穴(図示せず)に螺合する。また、作業者は、主収納空間S1内から各後側ボス部57に形成された貫通穴57aにボルトB2を挿入する(図2参照)。各貫通穴57aを貫通したボルトB2は、各後側ブラケットP2に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合する。以上によって、ヘルメットボックス21は、第1ブリッジチューブ13aと第2ブリッジチューブ13bとに接合される。なお、各ボルトB1,B2の締め付け部分は窪んでいるため、主収納空間S1に収容した物品(ヘルメットH等)が各ボルトB1,B2の頭部に接触することを防止することができる。
次に、図4、図5および図6を参照して、シートカウル33の取り付け手順について説明する。なお、ステップボード32は、既にメインチューブ12に取り付けられていることとする。また、燃料タンク22は、既に各サイドチューブ13に取り付けられていることとする。
まず、図4に示すように、作業者は、各サイドチューブ13の前端下部を覆うように、左右一対のサイドロアーカバー33bを配置する。このとき、各サイドロアーカバー33bの下端部は、ロアカバー32bの側面カバー32dの内側に係合する。続いて、作業者は、外側から各側面カバー32dの後端上部に形成された貫通穴(図示せず)にネジB3を挿入する。この各ネジB3は、サイドロアーカバー33bを貫通し、各ステップステー17のネジ穴18aに螺合する。これにより、各サイドロアーカバー33bは、ロアカバー32bと共に各ステップステー17(各サイドチューブ13)に接合される。
続いて、図6に示すように、作業者は、ヘルメットボックス21の左右両側面を覆うように左右一対のサイドアッパーカバー33cを配置する。各サイドアッパーカバー33cの上端部は、ヘルメットボックス21の左右一対の壁部40c,40dに形成された各フランジ部50,51の下面に当接する。作業者は、各サイドロアーカバー33bの前端上部に形成された上側貫通穴37bにネジB4を挿入する。各上側貫通穴37bを貫通したネジB4は、各サイドアッパーカバー33cの前端下部に形成されたネジ穴38aに螺合する。これにより、各サイドロアーカバー33bと各サイドアッパーカバー33cとが接合される。
続いて、図4および図5に示すように、作業者は、ヘルメットボックス21の前面を覆うようにシートフロントカバー33aを配置する。このとき、シートフロントカバー33aの左右一対の係合フック36dは、各サイドアッパーカバー33cの係合穴38b(図6参照)に係合する。
ヘルメットボックス21の前側フランジ部46に形成された軸受部47は、相対的にシートフロントカバー33aの軸受開口部35に嵌り込む。また、シートフロントカバー33aの左右一対の上端片36は、ヘルメットボックス21に形成された前側フランジ部46の各ホルダー支持部48の外縁部を上方から覆うようにカバーする。詳細には、シートフロントカバー33aの各上端片36は、各ホルダー支持部48の下段面48bを覆うように下段面48b上に重ねられる。このとき、各ヘルメットホルダー50の下段ホルダー50aは、相対的に各上端片36に形成された切欠き部36aに進入する。また、各ホルダー支持部48のネジボス部51は、相対的に各上端片36に形成された各矩形膨出部36b内に嵌合する。なお、各上端片36の上面は、ホルダー支持部48の上面(下段面48bではない上面)と略同一の高さに位置している。なお、各矩形膨出部36bの貫通穴36cは、各ネジボス部51のネジ穴51aに一致する。
一方、図4に示すように、シートフロントカバー33aの下端片34は、ステップフロア32aの後端部に当接する。作業者は、シートフロントカバー33aの下端片34に形成された左右一対の貫通穴34aにネジB5を挿入する。各貫通穴34aを貫通したネジB5は、サイドロアーカバー33bの下側貫通穴37a(図6参照)を貫通し、ステップフロア32aに形成されたネジ穴(図示せず)に螺合する。これにより、シートフロントカバー33aおよび左右一対のサイドロアーカバー33bは、2つのネジB5によってステップフロア32aに共締めされる。
続いて、作業者は、燃料タンク22の上面を覆うように、タンクカバー39を配置する。タンクカバー39は、ヘルメットボックス21の後端上部と各サイドアッパーカバー33cとによって囲まれる範囲を閉鎖する。作業者は、上側からタンクカバー39の後部に形成される左右一対の貫通穴(図示せず)に一対のネジB6を挿入する。各ネジB6は、各サイドアッパーカバー33cの上端後部に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合する。これにより、タンクカバー39は、左右一対のサイドアッパーカバー33cの間に架け渡されるように、各サイドアッパーカバー33cの上端後部に接合される。
次に、作業者は、シートカウル33とヘルメットボックス21とを接合する。
図5に示すように、作業者は、シートフロントカバー33aの各上端片36に形成された各矩形膨出部36bの貫通穴36cにネジB7を挿入する。各貫通穴36cを貫通したネジB7は、ヘルメットボックス21の前側フランジ部46に形成されたネジ穴51aに螺合する。また、図4に示すように、作業者は、ヘルメットボックス21の各フランジ部53,54に形成された各貫通穴53a,54aに一対のネジB8を挿入する。各貫通穴53a,54aを貫通したネジB8は、タンクカバー39の前端部を貫通し、サイドアッパーカバー33cの上端部に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合する。
以上によって、ヘルメットボックス21とシートカウル33とが接合される。この後、作業者は、ヘルメットボックス21の軸受部47に着座シート20を支持させる。これにより、着座シート20は、ヘルメットボックス21の開口部41を閉鎖するように、シートカウル33の上側に配置される。なお、以上説明したヘルメットボックス21およびシートカウル33の取り付け手順は一例であって、この手順に限定されるものではない。例えば、シートフロントカバー33aを除くシートカウル33の各部位を各サイドチューブ13に取り付けた後に、ヘルメットボックス21を各ブリッジチューブ13a,13bに取り付け、最後にシートフロントカバー33aを取り付けてもよい。
次に、図11を参照して、ヘルメットボックス21のヘルメットホルダー50にヘルメットHを保持させる手順について説明する。図11(A)はヘルメットホルダー50等を示す斜視図であり、図11(B)はヘルメットホルダー50等を模式的に示す断面図である。なお、図11では、ヘルメットHの図示を省略し、ヘルメットHの顎紐の先端部に取り付けられた環状金具70のみを示している。
まず、ユーザーは、ロックを解除し、開放位置Oに向けて着座シート20を回動させる。これにより、ヘルメットボックス21の開口部41が開放される。ユーザーは、左右一対のヘルメットホルダー50のいずれか一方に、ヘルメットHの顎紐に設けられた環状金具70を挿入させる(図11(A)参照)。このとき、ヘルメットホルダー50の先端部(上段ホルダー50b)が細く形成されているため、ユーザーは、ヘルメットホルダー50に対し、ヘルメットHの環状金具70を容易に挿入することができる。また、ヘルメットホルダー50の内側が段差の無い滑らかな周面を形成しているため、ユーザーは、ヘルメットホルダー50にヘルメットHの環状金具70を円滑に挿入することができる。以上のように、挿入される環状金具70の引っ掛かりを抑制してユーザーの使い勝手を向上させることができると共に、環状金具70を保持位置に速やかに移動させることができる。
その後、ユーザーは、着座シート20を着座位置Cに回動させ、ヘルメットボックス21の開口部41を閉鎖する。この状態で、着座シート20は、ロック機構にロックされる。このとき、着座シート20の底面にヘルメットホルダー50を取り囲むように形成されたシート側リブ20aが、各ヘルメットホルダー50の外面との間に間隙を有してオーバーラップする(図11(B)参照)。
以上によって、各ヘルメットホルダー50の周囲に配置されたシート側リブ20aが、環状金具70を下段ホルダー50a部分にまで押し込むと共に環状金具70の抜けを抑制する。これにより、ヘルメットHの環状金具70は、取り外し不能な状態で、ヘルメットホルダー50に保持される。
以上説明した本実施形態に係る自動二輪車1のヘルメットボックス21の補強構造は、フロントカバー33aおよびヘルメットボックス21の前側フランジ部46、各ヘルメットホルダー50並びに補強部52を含んで構成される。この構成によれば、主ボックス部40の前側フランジ部46(各ホルダー支持部48)は、シートフロントカバー33aの上縁部の下面に当接する。すなわち、主ボックス部40の前面をシートフロントカバー33aで覆った場合、シートフロントカバー33aの上縁部(各上端片36)は、前側フランジ部46(各ホルダー支持部48)上に重ねられる。したがって、シートフロントカバー33aは、前側フランジ部46の下側に設けられた補強部52に干渉することが無い。各ヘルメットホルダー50は、補強部52(主に各第2補強リブ52bおよび各補強連結リブ52c)によって補強されたホルダー支持部48上に設けられている。これにより、シートフロントカバー33aと補強部52との干渉を防止しつつ、各ヘルメットホルダー50周辺の剛性を向上させることができる。
また、シートフロントカバー33aの各上端片36は、前側フランジ部46(各ホルダー支持部48)の外縁部に重ねられた場合に、各ヘルメットホルダー50を進入させる切欠き部36aを有している。この構成によれば、各ヘルメットホルダー50とシートフロントカバー33aの各上端片36との干渉を防止され、各ホルダー支持部48の外縁部に各上端片36を重ねることができる。これにより、シートフロントカバー33aは、補強部52を備えたヘルメットボックス21を適切に覆うことができる。なお、各ヘルメットホルダー50が、シートフロントカバー33aの各上端片36に干渉しない位置に配設されている場合、シートフロントカバー33aの各切欠き部36aを省略してもよい。
また、本実施形態に係る自動二輪車1のヘルメットボックス21の補強構造によれば、複数の第2補強リブ52bを連結することによって、強固な補強部52を構成することができる。これにより、補強部52は、前側フランジ部46(各ホルダー支持部48)を介して各ヘルメットホルダー50を強固に支持することができる。また、各ヘルメットホルダー50の根元側(下段ホルダー50a)が太く形成されているため、ヘルメットホルダー50自体の剛性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係るヘルメットボックス21は、段付きの円筒状のヘルメットホルダー50を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各ヘルメットホルダー50は、段差部50cを省略したテーパー状の円筒形に形成されていてもよい。また、本実施形態に係るヘルメットボックス21は、2つのヘルメットホルダー50を有していたが、本発明はこれに限定されない。ヘルメットホルダー50の数は任意であり、1つ以上設けられていればよい。
なお、本実施形態に係るヘルメットボックス21は、前壁部40bの前側フランジ部46に各ヘルメットホルダー50および補強部52を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各ヘルメットホルダー50および補強部52は、左壁部40cの左側フランジ部53や右壁部40dの右側フランジ部54に設けられていてもよい。
なお、補強部52を構成する第1補強リブ52aや第2補強リブ52bの数は、それぞれ任意であって、1つ以上形成されていればよい。また、各補強連結リブ52cは、少なくとも一対の第2補強リブ52bの一部に連結されていればよい。なお、本実施形態に係るヘルメットボックス21の各補強連結リブ52cは、略半円筒状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各補強連結リブ52cは、単に複数の第2補強リブ52bの間を連結する略板状に形成されていてもよい。
なお、本実施形態の説明では、一例として、本発明を自動二輪車1に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば、四輪車等の車両に対して本発明を適用してもよい。
なお、上記した本実施形態の説明は、本発明に係る自動二輪車の収納ボックスの補強構造における好適な実施の形態を示しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。