以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1ないし図3を参照して、本実施形態に係る自動二輪車1(スクーター型車両)について説明する。ここで、図1は自動二輪車1を示す側面図である。図2は自動二輪車1の車体フレーム2およびヘルメットボックス21を示す斜視図である。図3は自動二輪車1の車体フレーム2、車体カバー4およびヘルメットボックス21等を示す斜視図である。なお、以下の説明では、自動二輪車1に搭乗したライダーを基準に各方向を設定し、各図に適宜方向を示すこととする。
図1に示すように、スクーター型の自動二輪車1は、車体フレーム2と、エンジン3と、車体カバー4と、を備えて概略構成されている。
車体フレーム2は、鋼材またはアルミニウム合金材等から成る中空円筒状の複数のチューブを溶接して構成されている。車体フレーム2は、ヘッドパイプ10と、ダウンチューブ11と、メインチューブ12と、左右一対のサイドチューブ13と、を有している。
ヘッドパイプ10は、左右一対のフロントフォーク14を左右操舵可能に支持している。フロントフォーク14の下部には、前輪15が回転可能に支持されている。フロントフォーク14の上部には、ハンドルバー16が設けられている。
図1および図2に示すように、ダウンチューブ11は、ヘッドパイプ10から略下方に延出し、下部を後側に向けて湾曲させている。メインチューブ12は、ダウンチューブ11の湾曲した下端部から後方に延設されている。メインチューブ12の後端部には、左右方向(車両の幅方向)に延びるクロスチューブ12aが接続されている。なお、メインチューブ12は、ダウンチューブ11と一体に形成されている。
左右一対のサイドチューブ13は、それぞれ、クロスチューブ12aの左右両端部から後上方に傾斜して延設されている。各サイドチューブ13の前側下部には、ピリオンステップ17a(図1参照)を取り付けるためのステップステー17が設けられている。左右一対のステップステー17には、それぞれ、ステーブラケット18が形成されている。ステーブラケット18は、ピリオンステップ17aの前側に配置されている。ステーブラケット18には、ネジ穴18aが形成されている。
左右一対のサイドチューブ13の間には、第1ブリッジチューブ13aと、第2ブリッジチューブ13bと、第3ブリッジチューブ13cと、が架設されている。
第1ブリッジチューブ13aは、左右一対のサイドチューブ13の前側下部に設けられている。第1ブリッジチューブ13aは、平面視で中央部を前方に突出する略U字状に形成されている。第2ブリッジチューブ13bは、左右一対のサイドチューブ13の前後方向中間部(第1ブリッジチューブ13aの後上方)に設けられ、第3ブリッジチューブ13cは、左右一対のサイドチューブ13の後端部(第2ブリッジチューブ13bの後上方)に設けられている。第2ブリッジチューブ13bおよび第3ブリッジチューブ13cは、それぞれ、左右方向に延びる略直線状に形成されている。
図1に示すように、左右一対のサイドチューブ13の上側には、ライダーが着座する着座シート20が配置されている。左右一対のサイドチューブ13の間には、ヘルメットボックス21と、燃料タンク22と、が配設されている。収納ボックスとしてのヘルメットボックス21は、例えば、ヘルメットHや手荷物等の物品を収納するために着座シート20の下方に設けられている。なお、ヘルメットボックス21の取付構造の詳細は後述する。燃料タンク22は、ヘルメットボックス21の後側で第2ブリッジチューブ13bと第3ブリッジチューブ13cの間に配設され、各サイドチューブ13または各ブリッジチューブ13b,13cに設けられた複数のブラケット(図示せず)にネジ留めされている。すなわち、第2ブリッジチューブ13bは、ヘルメットボックス21と燃料タンク22との間に配置されている。
エンジン3は、シリンダー(図示せず)と、クランクケース25と、変速機ケース26と、を有している。
エンジン3(クランクケース25)は、メインチューブ12の後端部にスイングピボット(図示せず)を介して上下方向に揺動可能に連結されている。変速機ケース26の内部には、ベルト式無段変速機等の動力伝達装置(図示せず)が設けられている。変速機ケース26の後端部には、駆動輪としての後輪27が回転可能に支持されている。変速機ケース26と左側のサイドチューブ13との間には、ショックアブソーバー28が架設されている。エンジン3は、変速機ケース26をスイングアームとして機能させる所謂ユニットスイング式エンジンとして構成されている。
図1に示すように、車体カバー4は、車体フレーム2に取り付けられて自動二輪車1の主要な外観を構成している。車体カバー4は、ハンドルカバー30と、フロントカウル31と、ステップボード32と、シートカウル33と、を有している。なお、車体カバー4の各部は、例えば、樹脂材料等によって射出成形されている。
ハンドルカバー30は、ハンドルバー16を覆うように設けられている。フロントカウル31は、ヘッドパイプ10およびダウンチューブ11を覆うように設けられている。フロントカウル31は、着座シート20に着座したライダーの脚部を保護するために設けられている。
ステップボード32は、フロントカウル31の下端から後方に向けて略平坦に延設されている。ステップボード32は、ステップフロア32aと、ロアカバー32bと、を有している。
図3に示すように、ステップフロア32aは、メインチューブ12の上側に固定されている。着座シート20に着座したライダーは、ステップフロア32a上に両足を載置する。ロアカバー32bは、メインチューブ12の下側に固定されている。ロアカバー32bは、底面カバー32cの左右両端部から上方に延出する側面カバー32dによって正面視で略U字状に一体形成されている。左右一対の側面カバー32dは、それぞれ、ステップフロア32aよりも後上方に延設されている。詳細には、各側面カバー32dの後端上部は、各ピリオンステップ17aの前側に位置している(図1参照)。
シートカウル33は、左右一対のサイドチューブ13の間に配置されたヘルメットボックス21の周囲を覆うように設けられている。シートカウル33は、シートフロントカバー33aと、左右一対のサイドロアーカバー33bと、左右一対のサイドアッパーカバー33cと、を有している。
シートフロントカバー33aは、ヘルメットボックス21(第1ブリッジチューブ13a)の前面を覆うように設けられている。シートフロントカバー33aは、平面視でヘルメットボックス21および第1ブリッジチューブ13aの形状に沿うように中央部を前方に突出する略U字状断面を有し、上下方向に長い略トレイ状に形成されている。また、シートフロントカバー33aは、正面視で下部から上部に向けて左右方向の幅が広がるように形成されている。
シートフロントカバー33aは、下端部から前側に向けて延出する下端片34を有している。下端片34には、左右一対の貫通穴34aが上下方向に貫通して形成されている。シートフロントカバー33aは、上端部から下側に向けて略矩形状に切り込まれる軸受開口部35を有している。シートフロントカバー33aは、軸受開口部35の左右両外側で上端部から後側に向けて延出する左右一対の上端片36を有している。各上端片36には、貫通穴36aが上下方向に貫通して形成されている。各上端片36は、後述するヘルメットボックス21の各ホルダー支持部46aに上方から重ねられ、貫通穴36aを利用してホルダー支持部46aに締め付けられる。
左右一対のサイドロアーカバー33bは、シートフロントカバー33aの左右両外側下部に接続され、後方に延びるように設けられている。左右一対のサイドアッパーカバー33cは、シートフロントカバー33aの左右両外側上部およびサイドロアーカバー33bの上端部に接続され、後方に延びるように設けられている。つまり、左右一対のサイドアッパーカバー33cは、ヘルメットボックス21の左右両側面を覆っている。
左右一対のサイドアッパーカバー33cの後側上端面には、燃料タンク22の上面を覆うタンクカバー37が設けられている。タンクカバー37には、燃料タンク22の給油口(図示せず)に通じる給油開口部37aが形成されている。
次に、ヘルメットボックス21およびその取付構造について説明する。まず、図2、図4および図5を参照して、ヘルメットボックス21を取り付けるための車体フレーム2の詳細について説明する。図4は第1ブリッジチューブ13a等を示す斜視図である。図5は第2ブリッジチューブ13b等を示す斜視図である。
図2に示すように、ヘルメットボックス21は、車体フレーム2の左右一対のサイドチューブ13の間に配設されている。具体的には、第1ブリッジチューブ13aが、ヘルメットボックス21の前側下部を支持し、第2ブリッジチューブ13bが、ヘルメットボックス21の後側上部を支持する。
図4に示すように、第1ブリッジチューブ13aは、左右方向中央部に単一の前側ブラケット60を有している。前側ブラケット60は、各サイドチューブ13よりも前方に配置され、平面視で第1ブリッジチューブ13aに沿うように湾曲する外形となる略板状に形成されている。前側ブラケット60は、左右方向中間部の前部を第1ブリッジチューブ13aの上面後部に溶接され、後側やや下方に向けて延設されている(図12参照)。つまり、前側ブラケット60は、第1ブリッジチューブ13aの中央部から後方に延びている。そして、前側ブラケット60の上面には、後方に向けてやや下方に傾斜する取付面が形成されている。前側ブラケット60の左右両端部は、下側に向けて折り曲げられて、第1ブリッジチューブ13aの後面に溶接されている。
前側ブラケット60には、左右一対の前側ネジ穴61と、左右一対の前側貫通穴62と、が形成されている。左右一対の前側ネジ穴61は、前側ブラケット60の左右両端部に形成されている。各前側ネジ穴61は、前側遊挿穴61aと、前側ナット61bと、によって構成されている。各前側遊挿穴61aは、前側ブラケット60を上下方向に貫通して形成されている。各前側ナット61bは、前側遊挿穴61aに対応する位置で前側ブラケット60の下面に固定されている(図12参照)。左右一対の前側貫通穴62は、各前側ネジ穴61の左右方向中央側にて前側ブラケット60を上下方向に貫通して形成されている。各前側貫通穴62は、前側ブラケット60を第1ブリッジチューブ13aに溶接する時に用いられる位置決め治具孔である。なお、各貫通穴62は、ヘルメットボックス21の位置決めとして利用することもできる。この場合、後述するヘルメットボックス21の底板40aから下方に突出する突起を設け、この突起を前側貫通穴62に挿入することで位置決めを行う。
図5に示すように、第2ブリッジチューブ13bは、左右方向両端部に一対の後側ブラケット63を有している。各後側ブラケット63は、短く切断した所謂チャンネル材であって、側面視で下方を開放した略U字状(溝形状)に形成されている。各後側ブラケット63は、第2ブリッジチューブ13bの前側斜め上面に開放側を溶接されている。このため、各後側ブラケット63の上端面は、後部から前部に向けて下り勾配に形成されている。すなわち、各後側ブラケット63は、第2ブリッジチューブ13bの左右両端部から前上方に突出し、前方に向けてやや下方に傾斜する取付面を形成している。また、一対の後側ブラケット63は、左右方向に離間して配設されているため、左右方向に比較的広い取付間隔を構成している。
各後側ブラケット63の上端面の中央部には、後側ネジ穴64が形成されている。各後側ネジ穴64は、後側遊挿穴64aと、後側ナット64bと、によって構成されている。各後側遊挿穴64aは、後側ブラケット63の上端面を上下方向に貫通して形成されている。各後側ナット64bは、後側遊挿穴64aに対応する位置で後側ブラケット63の上端面の裏面に固定されている(図13参照)。なお、第2ブリッジチューブ13bには、各後側ネジ穴64に対応する位置に逃げ穴65が貫通して形成されている(図13参照)。
次に、図6ないし図9を参照して、ヘルメットボックス21について説明する。図6はヘルメットボックス21を示す斜視図である。図7はヘルメットボックス21を他の方向から示す斜視図である。図8はヘルメットボックス21の前部を示す斜視図である。図9はヘルメットボックス21の後部を示す斜視図である。なお、以下、車体フレーム2に支持されたヘルメットボックス21の姿勢を基準に説明する。
図6および図7に示すように、ヘルメットボックス21は、主ボックス部40と、副ボックス部57と、を有している。主ボックス部40は、上面に開口部41を有して有底箱状に形成されている。副ボックス部57は、主ボックス部40の後面下部から後側に向けて膨出している。ヘルメットボックス21は、射出形成技術によって加工され、合成樹脂等で一体に形成されている。なお、主ボックス部40から膨出する副ボックス部57は、アンダーカット形状となるため、ヘルメットボックス21は、スライドコア等の既存の金型加工技術を用いて一体成形される。なお、ヘルメットボックス21は、所謂ヒケ(成形収縮によって生じる窪み)を防止するために略同一の厚みになるように形成されている。
主ボックス部40は、底板40aと、前壁部40bと、左壁部40cと、右壁部40dと、後壁部40eと、を有している。底板40aは、略箱状の底面を構成している。前壁部40b、左壁部40cおよび右壁部40dは、底板40aの前端部および左右両端部に立設されている。また、各壁部40c,40dの前端部は、前壁部40bの両側縁に接続されている。後壁部40eは、左右一対の壁部40c,40dの後端上部の間に架設され、各壁部40c,40dに接続されている。したがって、主ボックス部40の内部には、底板40aおよび各壁部40b〜40eに囲まれて、上面を開放する主収納空間S1が形成されている。
底板40aは、平面視で角を丸くした前後方向に長い略四角形状に形成されている。底板40aは、側面視で後部から前部に向けて下り勾配となる姿勢で設けられている。底板40aの下面の前端部には、左右一対の前側ボス部44と、左右一対の前側リブ45と、が形成されている。
左右一対の前側ボス部44は、底板40aの前側で左右方向中央部において、左右方向に並んで配置されている。各前側ボス部44は、略有底円筒状に形成され、底板40aの下面から前方斜め下側に向けて突設(膨出形成)されている。このため、底板40aの上面(内面)は、各前側ボス部44の形状に合わせて下方に窪んでいる(図8参照)。各前側ボス部44の中央部には、貫通穴44aが略上下方向に貫通して形成されている(図12参照)。各前側ボス部44の下面は、前側ネジ穴61が形成された前側ブラケット60の取付面に載置されて締め付け固定される当接面となっている。
左右一対の前側リブ45は、各前側ボス部44の左右方向両外側に形成されている。左右一対の前側リブ45は、底面視で後部から前部に向けて互いの間隔が広がるように左右対称に配置されている。各前側リブ45は、第1ブリッジチューブ13aの軸心に対して略垂直な方向に沿って形成されている。各前側リブ45は、略板状に形成され、底板40aの下面から前方斜め下側に向けて突設されている。各前側リブ45の前方縁部は、前壁部40bと底板40aとが接続する屈曲部から前側斜め下方に延びている。各前側リブ45は、先端部(下端部)から上側に向けて略半円形状に窪む凹面45aを有している。各凹面45aは、第1ブリッジチューブ13aの外周面に概略合致する形状であって、各前側ボス部44の下面が前側ブラケット60の取付面に当接する時に第1ブリッジチューブ13aの外周面に当接する。
前壁部40bは、平面視で前方に膨出するように円弧状に形成されている。前壁部40bは、側面視で前側に向けて下り勾配に形成されている。
前壁部40bの上端部には、前面から前方に延出する前側フランジ部46が形成されている。前側フランジ部46は、正面視で左右一対のホルダー支持部46aの間に略U字状の軸受部46bを有している。軸受部46bは、着座シート20の前端下部に設けられた回動軸(図示せず)を軸支する。これにより、着座シート20は、ライダーが着座可能な着座位置(図1参照)と、ヘルメットボックス21の開口部41やタンクカバー37の給油開口部37aを現出する開放位置との間で回動する。つまり、着座シート20は、ヘルメットボックス21等の蓋の役割を担っている。
左右一対のホルダー支持部46aには、それぞれ、ヘルメットホルダー47と、ネジ穴48と、が形成されている。各ヘルメットホルダー47は、略円柱状に形成され、各ホルダー支持部46aの上面に立設されている。各ネジ穴48は、各ヘルメットホルダー47の外側に凹設されている。前側フランジ部46の下側には、複数の補強リブ46cが形成されている。複数の補強リブ46cは、前側フランジ部46の下面と前壁部40bの前面とを接続するように形成されている。
左壁部40cおよび右壁部40dは、前壁部40bの左右両端部から後側に向けて略平行に延設されている。左壁部40cおよび右壁部40dは、互いに略左右対称に形成されている。左右一対の壁部40c,40dの上端面は、前端部から前後方向略中央部まで略水平に形成され、中央部から後端部に向けて上り勾配に形成されている(図7参照)。左壁部40cの上端部の勾配部分には、左面から外方(左方)に延出する左側フランジ部50が形成されている。同様に、右壁部40dには、右側フランジ部51が形成されている。各フランジ部50,51の後端部には、それぞれ、貫通穴50a,51aが略上下方向に貫通して形成されている。なお、左右一対の壁部40c,40dの後下部には、それぞれ、凹壁部52,53が凹設されている(図2参照)。各凹壁部52,53は、車体フレーム2にヘルメットボックス21を支持させたときに各サイドチューブ13の形状に沿うように形成されている(図2参照)。
後壁部40eは、左右一対の壁部40c,40dの後端部の略上側半分に連設されている。つまり、後壁部40eは、主ボックス部40の後面の略上側半分を形成している。後壁部40eは、側面視で前側に向けて下り勾配に形成されている。後壁部40eには、左右一対の後側ボス部54と、左右一対の後側リブ55と、が形成されている。
左右一対の後側ボス部54は、後壁部40eの後面の左右両端部に形成されている。各後側ボス部54は、後壁部40eの後面から後方斜め下側に向けて膨出するような略有底円筒状に形成されている(図7参照)。このため、後壁部40eの前面(内面)は、各後側ボス部54の形状に合わせて後斜め下方に窪んでいる(図9参照)。各後側ボス部54の下端面は、後部から前部に向けて下り勾配に形成されている。各後側ボス部54の中央部には、貫通穴54aが後斜め下方に貫通して形成されている。各後側ボス部54の下面は、各後側ブラケット63の取付面に載置されて締め付け固定される当接面となっている。
図7に示すように、左右一対の後側リブ55は、後壁部40eの後面の左右方向中央部(左右一対の後側ボス部54の間)において、左右方向に並んで配置されている。各後側リブ55は、上下方向に長い略板状に形成され、後壁部40eの後面から後方に突設されている。各後側リブ55は、下端部から上側に向けて略半円形状に窪む湾曲面55aを有している。湾曲面55aは、第2ブリッジチューブ13bの外周面に概略合致する形状であって、各後側ボス部54の下面が各後側ブラケット63の取付面に当接する時に第2ブリッジチューブ13bの外周面に当接する。左右に離間する一対の後側リブ55の間には、連結リブ56が架設されている。連結リブ56は、後壁部40eの後面から後方に突設されると共に、左右一対の後側リブ55の上端部に連結されている。
図7および図9に示すように、副ボックス部57は、底板40aの後端部、左右一対の壁部40c,40dの後端下部および後壁部40eの下端部に接続される略箱状に形成されている。副ボックス部57は、主ボックス部40の後面の略下側半分が後方に膨らむように形成されている。副ボックス部57の内部には、前面を開放する副収納空間S2が形成されている。なお、詳細な説明は省略するが、副ボックス部57の内部(後側内面)には、スクリュードライバーやレンチ等の車載工具T(図6参照)を保持させる取付部58が形成されている。
なお、主ボックス部40の前壁部40bが、前側に向けて下り勾配に形成されると共に、副ボックス部57が、主ボックス部40の後端下部に形成されている。このため、ヘルメットボックス21の底面は、主ボックス部40の開口部41よりも前後方向に長く形成されている。
次に、図2、図10ないし図13を参照して、本実施形態に係る自動二輪車1のヘルメットボックス21の取付構造(取り付け手順)について説明する。図10はヘルメットボックス21の前側下部を支持する第1ブリッジチューブ13a等を示す斜視図である。図11はヘルメットボックス21の後側上部を支持する第2ブリッジチューブ13b等を示す斜視図である。図12はヘルメットボックス21の前側下部の取付状態を示す断面図である。図13はヘルメットボックス21の後側上部の取付状態を示す断面図である。
まず、図2に示すように、作業者は、前側から左右一対のサイドチューブ13の間にヘルメットボックス21を進入させる。ヘルメットボックス21の左右一対の壁部40c,40dに凹設された各凹壁部52,53は、左右一対のサイドチューブ13の間に入り込む。この状態で、ヘルメットボックス21は、第1ブリッジチューブ13aと第2ブリッジチューブ13bとの間に架け渡されるように配置される。
詳細には、図10に示すように、主ボックス部40の底板40aの前端部に形成された各前側ボス部44は、第1ブリッジチューブ13aの前側ブラケット60上に載置される。また、主ボックス部40の底板40aの前端部に形成された各前側リブ45は、第1ブリッジチューブ13aの上側周面に当接する。このとき、各前側リブ45の凹面45aは、第1ブリッジチューブ13aの上側周面に沿って当接する。このため、ヘルメットボックス21(の前部)は、円形断面を有する第1ブリッジチューブ13a上に安定した状態で載置される。これにより、ヘルメットボックス21の取り付けに係る作業性を向上させることができる。
一方、図11に示すように、主ボックス部40の後壁部40eに形成された各後側ボス部54は、第2ブリッジチューブ13bの左右一対の後側ブラケット63上に載置される。主ボックス部40の後壁部40eに形成された各後側リブ55は、第2ブリッジチューブ13bの上側周面に当接する。このとき、各後側リブ55の湾曲面55aが、第2ブリッジチューブ13bの上側周面に沿って当接する。また、ヘルメットボックス21の副ボックス部57は、第2ブリッジチューブ13bの下側に配置される。すなわち、第2ブリッジチューブ13bは、各後側リブ55と副ボックス部57との間に配置される。
次に、図12に示すように、作業者は、主収納空間S1内から各前側ボス部44に形成された貫通穴44aに締結部材としてのボルトB1を挿入する。各貫通穴44aを貫通したボルトB1は、前側ブラケット60に形成された各前側ネジ穴61(前側ナット61b)に螺合する。これにより、各前側ボス部44は、前側ブラケット60上にボルトB1を介して固定される。
また、図13に示すように、作業者は、主収納空間S1内から各後側ボス部54に形成された貫通穴54aに締結部材としてのボルトB2を挿入する。各貫通穴54aを貫通したボルトB2は、各後側ブラケット63に形成された後側ネジ穴64(後側ナット64b)に螺合する。これにより、各後側ボス部54は、後側ブラケット63上にボルトB2を介して固定される。なお、各ボルトB2の先端部は、第2ブリッジチューブ13bの逃げ穴65に進入している。
以上によって、ヘルメットボックス21は、前方下部の中央部分にて第1ブリッジチューブ13aに締め付け固定され、後方上部の左右両端部分にて第2ブリッジチューブ13bに接合される。なお、図8および図9に示すように、各ボルトB1,B2の締め付け部分は、各ボルトB1,B2の頭部を完全に収納できるように窪んでいるため、主収納空間S1に収容した物品(ヘルメットH等)が各ボルトB1,B2の頭部に接触することを防止することができる。
次に、図3を参照して、シートカウル33の取り付け手順について説明する。なお、ステップボード32は、既にメインチューブ12に取り付けられていることとする。また、燃料タンク22は、既に各サイドチューブ13に取り付けられていることとする。
まず、作業者は、各サイドチューブ13の前端下部を覆うように、左右一対のサイドロアーカバー33bを配置する。この際、各サイドロアーカバー33bの下端部は、ロアカバー32bの側面カバー32dの内側に係合する。続いて、作業者は、外側から各側面カバー32dの後端上部に形成された貫通穴(図示せず)にネジB3を挿入する。この各ネジB3は、サイドロアーカバー33bを貫通し、各ステップステー17のネジ穴18aに螺合する。これにより、各サイドロアーカバー33bは、ロアカバー32bと共に各ステップステー17(各サイドチューブ13)に接合される。
続いて、作業者は、ヘルメットボックス21の左右両側面を覆うように、左右一対のサイドアッパーカバー33cを配置する。各サイドアッパーカバー33cの上端部は、ヘルメットボックス21の左右一対の壁部40c,40dに形成された各フランジ部50,51の下面に当接する。そして、作業者は、各サイドロアーカバー33bの前端上部と各サイドアッパーカバー33cの前端下部とをネジ(図示せず)によって接合する。
続いて、作業者は、ヘルメットボックス21の前面を覆うようにシートフロントカバー33aを配置する。シートフロントカバー33aの各上端片36は、ヘルメットボックス21の前側フランジ部46に形成された各ネジ穴48(図6参照)の上側に重ねられる。このとき、ヘルメットボックス21の前側フランジ部46に形成された軸受部46bは、シートフロントカバー33aの軸受開口部35に嵌り込む。
一方、シートフロントカバー33aの下端片34は、ステップフロア32aの後端部に当接する。作業者は、シートフロントカバー33aの下端片34に形成された左右一対の貫通穴34aにネジB4を挿入する。各貫通穴34aを貫通したネジB4は、サイドロアーカバー33bを貫通し、ステップフロア32aに形成されたネジ穴(図示せず)に螺合する。これにより、シートフロントカバー33aおよび左右一対のサイドロアーカバー33bは、2つのネジB4によってステップフロア32aに共締めされる。
続いて、作業者は、燃料タンク22の上面を覆うように、タンクカバー37を配置する。タンクカバー37は、ヘルメットボックス21の後端上部と各サイドアッパーカバー33cとによって囲まれる範囲を閉鎖する。作業者は、上側からタンクカバー37の後部に形成される左右一対の貫通穴(図示せず)に一対のネジB5を挿入する。各ネジB5は、各サイドアッパーカバー33cの上端後部に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合する。これにより、タンクカバー37は、左右一対のサイドアッパーカバー33cの間に架け渡されるように、各サイドアッパーカバー33cの上端後部に接合される。
次に、作業者は、シートカウル33とヘルメットボックス21とを接合する。
作業者は、シートフロントカバー33aの各上端片36に形成された貫通穴36aにネジB6を挿入する。各貫通穴36aを貫通したネジB6は、ヘルメットボックス21の前側フランジ部46に形成されたネジ穴48に螺合する。また、作業者は、ヘルメットボックス21の各フランジ部50,51に形成された各貫通穴50a,51aに一対のネジB7を挿入する。各貫通穴50a,51aを貫通したネジB7は、タンクカバー37の前端部を貫通し、サイドアッパーカバー33cの上端部に取り付けられた板状ナット(図示せず)に螺合する。これにより、ヘルメットボックス21は、タンクカバー37とサイドアッパーカバー33cとに締結される。
以上によって、ヘルメットボックス21とシートカウル33とが接合される。この後、作業者は、ヘルメットボックス21の軸受部46bに着座シート20を支持させる。これにより、着座シート20は、ヘルメットボックス21の開口部41を閉鎖するように、シートカウル33の上側に配置される。なお、以上説明したヘルメットボックス21およびシートカウル33の取り付け手順は一例であって、この手順に限定されるものではない。例えば、シートフロントカバー33aを除くシートカウル33の各部位を各サイドチューブ13に取り付けた後に、ヘルメットボックス21を各ブリッジチューブ13a,13bに取り付け、最後にシートフロントカバー33aを取り付けてもよい。
以上説明した本実施形態に係る自動二輪車1のヘルメットボックス21の取付構造によれば、前側ブラケット60は、ヘルメットボックス21の左右方向中央部に設けられた各前側ボス部44に対応するように第1ブリッジチューブ13aの左右方向中央部に1つ設けられている。車体フレーム2に対してヘルメットボックス21の取付作業を行う場合、作業者は、単一の前側ブラケット60に各前側ボス部44を位置合せしてボルトB1によって固定すればよい。これにより、ヘルメットボックス21の取付作業を容易且つ迅速に行うことができる。また、左右一対の前側リブ45が第1ブリッジチューブ13aの左右方向両外側に上側から当接することで、前側ブラケット60と各前側ボス部44との固定部分を中心とする左右方向周りのモーメントに対して強力に対抗することができる。これにより、ヘルメットボックス21は、第1ブリッジチューブ13a上に安定した状態で載置されて、着座シート20の剛性を向上させることができる。これにより、例えば、作業者は、前側ブラケット60上における各前側ボス部44の位置調整やボルトB1の締め付け作業等を円滑に行うことができる。つまり、ヘルメットボックス21の取り付けに係る作業性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る自動二輪車1のヘルメットボックス21の取付構造によれば、ヘルメットボックス21の後側上部に一対設けられた後側ボス54は、第2ブリッジチューブ13bに一対設けられた後側ブラケット63に固定される。すなわち、ヘルメットボックス21の後側の取付部分は、前側の取付部分よりも、左右方向に広い取付間隔を有している。これにより、前側ブラケット60と各前側ボス部44との固定部分を中心とする左右方向周りのモーメントの発生を抑制することができる。すなわち、ヘルメットボックス21の取付剛性を十分に確保することができる。
また、本実施形態に係る自動二輪車1のヘルメットボックス21の取付構造によれば、ヘルメットボックス21の後側上部に設けられた各後側リブ55は、第2ブリッジチューブ13bの左右方向中央部に上側から当接する。これにより、ヘルメットボックス21の荷重(収納した物品の重量を含む。)を第2ブリッジチューブ13bに支持させることができる。
なお、本実施形態に係るヘルメットボックス21は、2つの前側ボス44および2つの前側リブ45を有していたが、本発明はこれに限定されない。前側ボス44は、左右方向中央部に1つ以上設けられていればよい。前側リブ45は、左右両外側に2つ以上設けられていればよい。また、前側ボス44や前側リブ45は、ヘルメットボックス21の底板40aに形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、前側ボス部44や前側リブ45は、前壁部40bの前面に形成されていてもよい。また、左右一対の前側リブ45は、左右一対の壁部40c,40dに形成されていてもよい。
なお、本実施形態に係るヘルメットボックス21は、2つの後側ボス部54および2つの後側リブ55を有していたが、本発明はこれに限定されない。後側ボス部54は、左右両外側に2つ以上設けられていればよい。後側リブ55は、左右方向中央部に1つ以上設けられていればよい。また、後側ボス部54は、ヘルメットボックス21の後壁部40eに形成されていたが、これに限らず、例えば、左右一対の壁部40c,40dに形成されていてもよい。
なお、本実施形態の説明では、一例として、本発明を自動二輪車1に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば、四輪車等の車両に対して本発明を適用してもよい。
なお、上記した本実施形態の説明は、本発明に係る自動二輪車の収納ボックスの取付構造における好適な実施の形態を示しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。