JP6491077B2 - 選鉱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、選鉱方法に関する。さらに詳しくは、銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離するための選鉱方法に関する。
銅精錬の分野では、銅を含有する銅鉱石や銅精鉱などの原料から銅を回収する様々な方法が提案されている。例えば、銅鉱石から銅を回収するには以下の処理が行われる。
(1)選鉱工程
選鉱工程では、鉱山で採掘された銅鉱石を粉砕した後、水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行う。浮遊選鉱では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加し、空気を吹き込んで銅鉱物を浮遊させつつ、脈石を沈降させて分離を行う。これにより銅品位30%前後の銅精鉱が得られる。
(2)乾式製錬工程
乾式製錬工程では、選鉱工程で得られた銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉および精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅にまで精製する。粗銅は次工程の電解工程で用いられるアノードに鋳造される。
(3)電解工程
電解工程では、硫酸酸性溶液(電解液)で満たされた電解槽に前記アノードを挿入し、カソードとの間に通電して電解精製を行う。電解精製によって、アノードの銅は溶解し、カソード上に純度99.99%の電気銅として析出する。
ところで、銅は黄銅鉱や班銅鉱などの硫化鉱物として硫化銅鉱石中に存在するものが多い。ポーフィリー型と呼ばれる銅鉱床をもつ鉱山では、鉱石中の黄銅鉱や斑銅鉱に輝水鉛鉱や硫砒銅鉱が随伴されている。
輝水鉛鉱に含まれるモリブデンは特殊鋼の合金成分、石油精製の触媒、潤滑剤などに用いられる有価な元素である。また、輝水鉛鉱が炉で熔解されると、揮発したモリブデンが設備に付着し腐食を促進する。そのため、選鉱工程において銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離することが求められる。
銅鉱物とモリブデン鉱物との分離は、工業的な取り扱い性、コスト、分離性が優れていることから、浮遊選鉱により行われることが多い。この浮遊選鉱は、抑制剤として硫化水素ナトリウム(NaHS)などの硫化剤を添加することで銅鉱物が浮上することを抑制し、モリブデン鉱物を浮上させてこれらを分離する。しかし、硫化水素ナトリウムを用いた浮遊選鉱は、選鉱条件を設定することが難しい。また、鉱石スラリーが酸性を呈する場合には、硫化水素ナトリウムを添加したスラリーから有害ガスである硫化水素が発生する。
また、銅鉱物およびモリブデン鉱物はともに強い浮遊性を有するため、これらを浮遊選鉱で分離するのは非常に困難である。そこで、これらの鉱物に処理を施した後に浮遊選鉱を行うことで、分離を容易にすることが試みられてきた。
特許文献1には、鉱物の表面をオゾン酸化させた後に浮遊選鉱を行う方法が開示されている。より詳細には、銅粗選および銅精選によって得られた銅精鉱に対してモリブデン浮選を行う。得られた浮鉱の輝水鉛鉱含有量が約1重量%になった時点で浮鉱をオゾン酸化する。この浮鉱を再度浮遊選鉱に付してモリブデン鉱物を浮鉱として回収する。
特許文献2には、鉱物の表面にプラズマ処理を施した後に浮遊選鉱を行う方法が開示されている。より詳細には、銅を含む鉱物とモリブデンを含む鉱物の混合物に、酸素を酸化剤とする雰囲気下でプラズマ照射を行う。プラズマ処理後の混合物をアルカリ金属塩の水溶液で洗浄する。洗浄後の混合物を浮遊選鉱に付して銅を含む鉱物とモリブデンを含む鉱物とを分離する。
特許文献3には、精鉱を、反応によりパルプ(スラリー)中に有害イオンを生じない酸化剤、例えば過酸化水素、オゾン、その他の試薬により表面処理し、これを精選することにより、目的成分を優先分離することが開示されている。
特開平5−195106号公報 特開2014−188428号公報 特公昭45−016322号公報
しかし、特許文献1の方法では、オゾンによって鉱物中の硫黄まで酸化され、硫化水素が発生してしまう恐れがある。また、鉱石スラリーが酸性を呈することから、一部の銅が溶解し、銅が排水とともに排出される恐れがある。
特許文献2の方法にはプラズマ処理が必要であるが、大型のプラズマ照射装置は知られていない。そのため、工業的な規模での実施は困難である。
特許文献3には、表面に捕収剤を吸着した方鉛鉱(鉛鉱物)に対する酸化剤の作用について記載されているのみであり、銅鉱物やモリブデン鉱物の酸化については何ら記載されていない。
本発明は上記事情に鑑み、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる選鉱方法を提供することを目的とする。
第1発明の選鉱方法は、少なくとも銅鉱物とモリブデン鉱物とを含む原料の選鉱方法であって、前記原料を粉砕して得た鉱物粉末を含む鉱物スラリーに超音波を印加して、前記鉱物粉末を分散させる分散工程と、前記分散工程の後、前記鉱物スラリーに過酸化水素水を添加して所定時間保持する酸化工程と、前記酸化工程の後、前記鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行う浮遊選鉱工程と、を備え、前記酸化工程において、前記鉱物スラリーの液相の過酸化水素濃度を0.01%以上とすることを特徴とする。
第2発明の選鉱方法は、第1発明において、前記銅鉱物は黄銅鉱であり、前記モリブデン鉱物は輝水鉛鉱であることを特徴とする。
本発明によれば、鉱物スラリーに超音波を印加して鉱物粉末を分散させることで、鉱物粒子の表面が酸化剤と接触しやすくなり、酸化処理の効率がよくなる。過酸化水素水により銅鉱物の表面を酸化することで、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができる。そのため、モリブデン鉱物を選択的に浮遊させることができ、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
本発明の一実施形態に係る選鉱方法の工程図である。 浮遊選鉱試験の説明図である。 過酸化水素水を用いた酸化処理の結果を示すグラフである。 オゾンを用いた酸化処理の結果を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る選鉱方法は、(1)粉砕工程と、(2)スラリー製造工程と、(3)分散工程と、(4)酸化工程と、(5)浮遊選鉱工程とを備えている。
原料である鉱石には、少なくとも、銅を含有する鉱物(以下、「銅鉱物」と称する。)と、モリブデンを含有する鉱物(以下、「モリブデン鉱物」と称する。)とが含まれていればよい。銅鉱物としては黄銅鉱(chalcopyrite:CuFeS2)、斑銅鉱(bornite:Cu5FeS4)、硫砒銅鉱(enargite:Cu3AsS4)、砒四面銅鉱(tennantite:(Cu,Fe,Zn)12(Sb,As)4S13)などが挙げられる。モリブデン鉱物としては輝水鉛鉱(molybdenite:MoS2)などが挙げられる。
本実施形態の選鉱方法は黄銅鉱と輝水鉛鉱の分離に好適に用いられる。ポーフィリー型と呼ばれる銅鉱床をもつ鉱山では、鉱石中の黄銅鉱や斑銅鉱に輝水鉛鉱や硫砒銅鉱が随伴されている。そのため、本実施形態の選鉱方法はポーフィリー型の銅鉱床から採掘された鉱石に対して好適に用いられる。
(1)粉砕工程
粉砕工程では鉱石を粉砕して鉱物粉末を得る。鉱物粉末の粒度は、鉱石に含まれる鉱物の大きさに合わせて、単独鉱物が得られるように調整される。例えば、黄銅鉱の場合篩下100μm程度、輝水鉛鉱の場合篩下30μm程度に調整することが一般的である。
粉砕工程の前後において、鉱石に含まれる脈石を除去することが好ましい。脈石の除去には浮遊選鉱をはじめとする種々の選鉱方法を採用できる。脈石を除去することで、主として銅鉱物とモリブデン鉱物とが含まれる精鉱を得る。得られた精鉱を次工程に装入する。
粉砕後、鉱物粉末を長時間保管すると、付着物などにより鉱物の表面状態が変化する場合がある。この場合、鉱物粉末を次工程に装入する前に、鉱物表面の付着物を除去することが好ましい。付着物の除去方法は特に限定されないが、例えば、硝酸洗浄や、摩擦粉砕(アトリッション)などが挙げられる。
(2)スラリー製造工程
スラリー製造工程では鉱物粉末(粉砕された原料)に水を加えて鉱物スラリーを得る。スラリーとすることで、浮遊選鉱が可能となるだけでなく、後工程の分散処理および酸化処理を容易に行うことができる。
鉱物スラリーにカルシウムイオンやマグネシウムイオンが含まれていると浮遊選鉱に悪影響を与えることが知られている。そこで、鉱物粉末に添加する水は不純物イオンを含まない純水であることが好ましい。工業的にはイオン交換水を用いてもよい。
鉱物スラリーに塩化カリウム(KCl)を添加して、鉱物スラリーの液相を塩化カリウム水溶液とすると、液相の電解質濃度を一定として基礎的なデータを得ることが可能となる。ただし、塩化カリウムは分散処理の効果には影響がなく、分散処理の溶液は特に限定されない。
鉱物粉末が黄銅鉱と輝水鉛鉱とからなる場合は、pH調整する際に鉱物スラリーにアルカリを添加しても、鉱物粉末のゼータ電位に与える影響が小さく、浮遊選鉱に及ぼす影響が小さい。しかし、精密な試験を行う場合には、鉱物スラリーに塩化カリウムを添加して10-3モル濃度程度とすることが好ましい。塩化カリウムであれば、電解質濃度が実質的に一定になりやすく、鉱物粉末のゼータ電位に与える影響を実質的にゼロとすることができるからである。塩化カリウムのような電解質を10-3モル濃度程度加えておけば、pH4〜10の領域では、鉱物粉末のゼータ電位はpHイオン強度の影響が無視できるレベルである。
なお、鉱物粉末に水を加えて鉱物スラリーを得るのに代えて、鉱物粉末に塩化カリウム水溶液を添加して鉱物スラリーを得るようにすれば、スラリー製造工程を効率化できる。
また、鉱物スラリーが浮遊選鉱に適したpHとなるように、pH調整を行うことが好ましい。黄銅鉱の浮遊選鉱に際してはpH9程度で黄銅鉱の沈降性が高まることが知られている。そのため、鉱物スラリーのpHをpH9程度に調整することが好ましい。
pH調整剤は特に限定されないが、アルカリとして水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)などを用いることができ、酸として塩酸(HCl)などを用いることができる。pH調整剤を水溶液の形態で用いる場合には、その濃度は特に限定されず、鉱物スラリーを目的のpHに調整することが困難とならない濃度であればよい。
分散処理の溶液として塩化カリウムを用いる場合には、別種のイオンが混入することによるイオン強度の影響を極力抑制するために、同種のイオンをもつpH調整剤を用いることが好ましい。すなわち、分散処理の溶液として塩化カリウム(KCl)を用いる場合には、アルカリとして水酸化カリウム(KOH)を用い、酸として塩酸(HCl)を用いることが好ましい。
なお、鉱物スラリーのpH調整は、浮遊選鉱工程の前に行えばよい。すなわち、pH調整を分散工程の後に行ってもよいし、酸化工程の後に行ってもよい。ただし、pH調整をスラリー製造工程で行えば、pH調整剤を混合するためにスラリー製造時の撹拌操作を利用することができる。その結果、pH調整だけのために撹拌する必要がなくなり、撹拌操作の回数を低減できるので好ましい。
(3)分散工程
分散工程では鉱物スラリーに超音波を印加して、凝集した鉱物粉末を分散させる分散処理を行う。鉱物粉末を分散させることで、後工程の酸化処理を効率よく行うことができる。より詳細には、鉱物粉末を分散させることで、鉱物粒子の表面が酸化剤と接触しやすくなる。また、超音波を印加することで、鉱物粒子の表面の付着物が除去され、鉱物粒子の表面が酸化剤と接触しやすくなる。その結果、後工程の酸化処理を効率よく行うことができる。
(4)酸化工程
酸化工程では分散処理後の鉱物スラリーに酸化剤を添加して所定時間保持することで鉱物粒子の表面を酸化する酸化処理を行う。酸化剤として過酸化水素水(H2O2)を用いる。保持時間は特に限定されないが例えば10分程度である。
過酸化水素水により銅鉱物の鉱物粒子の表面が酸化される。一方、モリブデン鉱物の鉱物粒子の表面はほとんど酸化されない。そのため、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができる。そのため、次工程の浮遊選鉱工程において、モリブデン鉱物を選択的に浮遊させることができ、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
黄銅鉱と輝水鉛鉱の混合鉱物においては、酸化剤として過酸化水素水を用いることによって、他の酸化剤(例えばオゾン)を用いた場合に比べて、浮遊選鉱における回収率の差を大きくすることができる。
過酸化水素水は酸化剤および還元剤として働くことが知られている。本実施形態の処理では、pHが低下する傾向が認められることから還元反応が起こっていると考えられる。鉱石スラリーのpHを9に維持するためにpH調整剤(水酸化カリウム)が添加される。
過酸化水素水による還元反応ではO2バブルが生成され、金属(鉄、銅等)の存在下では、フェントン反応によりラジカルが生成されることが知られている。生成されたラジカルは強力な酸化剤として鉱物粒子の表面を酸化する。そのため、黄銅鉱の表面は強く酸化され、親水化し、浮遊性が低下する。
一方、輝水鉛鉱の表面は酸化されにくい。酸化されたとしても酸化モリブデン(MoO3)はpH9付近では溶けやすいため、輝水鉛鉱の表面の性質は変わらない。そのため、輝水鉛鉱は高い浮遊性を維持する。その結果、黄銅鉱と輝水鉛鉱とで浮遊性に大きな差が発生し、浮遊選鉱における回収率の差が大きくなる。
なお、鉱物スラリーの液相の過酸化水素濃度を0.1%以上とすることが好ましい。そうすれば、銅鉱物とモリブデン鉱物との浮選回収率の差が大きくなり、浮遊選鉱により銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
また、単に酸化剤で鉱物粒子を酸化した場合には、鉱物に対する酸化の程度が過剰になりやすい。そのため、鉱石スラリーに硫化水素ナトリウムを添加している場合は、有害ガスである硫化水素が発生する。しかし、本実施形態のように、酸化処理の前に分散処理をすることで、酸化剤の添加量が必要十分な量となり、過剰な酸化が避けられる。その結果、硫化水素の発生を抑制できる。
(5)浮遊選鉱工程
浮遊選鉱工程では酸化処理後の鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行う。浮遊選鉱によりモリブデン鉱物を浮遊産物として、銅鉱物を沈降産物として分離する。浮遊選鉱に用いる装置や方式は特に限定されない、一般的な多段式浮遊選鉱装置を用いればよい。
前述のごとく、酸化処理により、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができる。そのため、銅鉱物を沈降させつつ、モリブデン鉱物を選択的に浮遊させることができる。その結果、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
つぎに、実施例を説明する。
(共通の条件)
鉱物試料:
鉱物試料として黄銅鉱と輝水鉛鉱を用いた。
粉砕処理:
鉱物試料をメノウ乳鉢で粉砕して鉱物粉末を得た。粉砕は窒素パージしたグローブバッグ内にて行った。粉砕後、黄銅鉱の粒度は75〜106μm、輝水鉛鉱の粒度は50μm以下となるように篩別処理した。黄銅鉱と輝水鉛鉱を1:1の割合で混合し、総重量を0.5gとした。
スラリー製造:
上記鉱物粉末に10-3モル濃度の塩化カリウム水溶液150mlを添加して鉱物スラリーを得た。ついで、鉱物スラリーに10-1モル濃度の水酸化カリウム水溶液を添加してpH9に調整した。
分散処理:
上記鉱物スラリーに振動数42KHzの超音波を1分間印加して分散処理を行った。超音波の印加には超音波洗浄機(日本エマソン株式会社、型番:3510J-MT)を用いた。
浮遊選鉱試験:
浮遊選鉱試験には図2に示すハリモンドチューブを用いた。ハリモンドチューブの底部にはスターラーが備えられており、液を撹拌できるようになっている。また、ハリモンドチューブには底部からガスを吹き込み可能となっている。
浮遊選鉱試験は以下の手順で行った。まず、鉱物スラリーをハリモンドチューブに入れた。つぎに、ハリモンドチューブ内の液を撹拌しながら、窒素ガスを流量20ml/分で吹き込んだ。処理時間は1分間とした。浮遊した鉱物粒子はハリモンドチューブ中間の留まり部に沈降する。留まり部に沈降した鉱物粒子を浮遊産物とした。一方、ハリモンドチューブの底部に沈降した鉱物粒子を沈降産物とした。
浮選回収率を以下の手順で求めた。まず、浮遊選鉱前の鉱物試料中の銅およびモリブデンの量をICP分析(ICP分析装置:パーキンエルマー社製 Optima 8300DV)により求めておく。浮遊選鉱の後、回収された浮遊産物を酸溶解し、ICP分析により浮遊産物中の銅およびモリブデンの量を求める。そして、次式にしたがい、鉱物試料中の金属の量(投入量)に対する浮遊産物として回収された金属の量(回収量)の割合として浮選回収率を求めた。
浮選回収率[%]=100×回収量/投入量
(酸化処理:過酸化水素水)
まず、酸化剤として過酸化水素水を用いて酸化処理を行った。
分散処理後の鉱物スラリーに酸化剤として過酸化水素水を添加して10分間保持した。撹拌中は鉱物スラリーのpHを測定し、pHが低下した場合には水酸化カリウム(KOH)を添加して、pHを9に調整した。この際、鉱物スラリーの液相の過酸化水素濃度を0%(無添加)、0.01%、0.05%、0.10%の4パターンとした。
つぎに、各鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱試験を行い、浮選回収率を求めた。
試験結果を図3および表1に示す。
黄銅鉱と輝水鉛鉱の浮選回収率の差を回収率差分と称する。回収率差分が大きいほど浮遊選鉱による分離が容易である。一般に回収率差分が30%を超えれば、浮遊選鉱にて鉱物の分離が可能である。酸化剤として過酸化水素水を用いた場合、過酸化水素水濃度を0.01%以上とすれば、回収率差分が55%以上となり、浮遊選鉱にて鉱物の分離が可能であることが分かった。また、過酸化水素濃度を0.05%以上とすれば回収率差分が67%以上となり、過酸化水素濃度を0.10%以上とすれば、回収率差分が73%以上となるため、工業的な浮遊選鉱にも十分に適用可能であることが分かった。
酸化処理後の鉱物について、接触角を計測し、浮遊性の抑制の程度を確認した。単独の鉱物を過酸化水素水で酸化した場合には、黄銅鉱は接触角が低下し、浮遊性が抑制されることが確認された。一方、輝水鉛鉱は接触角があまり変化せず、浮遊性があまり低下しないことが確認された。
なお、本実施例における酸化剤の添加量であれば、黄銅鉱由来の硫黄は酸化されて硫酸塩を生成する程度である。また、X線分析の結果、輝水鉛鉱由来の硫黄は殆ど酸化されていないことが確認された。そのため、鉱物スラリーを酸化しても硫化水素が発生することはほとんどない。
(酸化処理:オゾン)
分散処理後の鉱物スラリーに酸化剤としてオゾンを含有する酸素を流量2L/分で吹き込んだ。より詳細には、オゾン発生装置(TOKYO Car Co., Ltd製 SO-O3UN-OX型)に酸素ガスを流量2L/分で流入させ、酸素とオゾンの混合ガス(オゾン濃度15mg/L(オゾン発生量1.8g/時(=0.03g/分)))を発生させ、その混合ガスを鉱物スラリーに吹き込んだ。鉱物スラリーのpHが低下した場合には水酸化カリウム(KOH)を添加して、pHを9に調整した。吹き込み時間を0分(吹き込みなし)、10分、20分、30分の4パターンとした。
つぎに、各鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱試験を行い、浮選回収率を求めた。
試験結果を図4および表2に示す。
酸化剤としてオゾンを用いた場合、回収率差分は40%弱にとどまった。浮遊選鉱により鉱物の分離が可能ではあるが、純度を高めるには浮遊選鉱の段数を多くする必要がある。そのた、工業的な浮遊選鉱には不利である。
また、酸化処理後の鉱物について、接触角を計測し、浮遊性の抑制の程度を確認した。単独の鉱物をオゾンで酸化した場合には、黄銅鉱も輝水鉛鉱も接触角が低下し、浮遊性が抑制されることが確認された。

Claims (2)

  1. 少なくとも銅鉱物とモリブデン鉱物とを含む原料の選鉱方法であって、
    前記原料を粉砕して得た鉱物粉末を含む鉱物スラリーに超音波を印加して、前記鉱物粉末を分散させる分散工程と、
    前記分散工程の後、前記鉱物スラリーに過酸化水素水を添加して所定時間保持する酸化工程と、
    前記酸化工程の後、前記鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行う浮遊選鉱工程と、を備え
    前記酸化工程において、前記鉱物スラリーの液相の過酸化水素濃度を0.01%以上とする
    ことを特徴とする選鉱方法。
  2. 前記銅鉱物は黄銅鉱であり、
    前記モリブデン鉱物は輝水鉛鉱である
    ことを特徴とする請求項1記載の選鉱方法。
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