JP6111976B2 - 貴金属の回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄、砒素、アンチモンの硫化鉱物に含まれている貴金属を高い回収率で回収する貴金属の回収方法に関する。
鉄等の硫化鉱物に含まれている貴金属を回収する方法としては、シアン浸出作用を利用する青化製錬処理がある。青化製錬は、摩鉱した硫化鉱石から浮遊選鉱法などの手段により貴金属を含有する硫化鉱物を精鉱として濃縮分離し、この精鉱を適した粒径範囲まで再摩鉱した後に、シアン化アルカリ溶液に浸漬しつつ空気酸化することにより、液相中に貴金属成分を溶解させるものである。シアン化アルカリ溶液に溶解した貴金属は、例えば非特許文献1に記述されるように、活性炭を用いて吸着するCIP法で回収される。
しかしながら、貴金属を含有する硫化鉱物の中でも、砒素やアンチモンも含む、特に多く含む精鉱は、精鉱として濃縮分離したものを適した粒径範囲まで再摩鉱した上で青化製錬処理を施しても、シアン化アルカリ溶液に溶解する金や銀の割合が著しく低いものが存在する。
これは、硫砒鉄鉱等の硫砒化物やアンチモンを含む硫化物が多く含まれている精鉱にシアン化アルカリを添加しても、シアンが三価の砒素やアンチモンと反応して消費されて、貴金属のシアン錯体化が阻害されてしまうことなどが考えられる。
このように直接青化製錬処理を施しても貴金属の回収率が低い硫化鉱物の精鉱に対しては、前処理を施す方法がある。前処理としては、工業的に実施可能と考えられる中間処理の選択肢として、焙焼法、加圧酸化法、バイオ酸化法、常圧酸性酸化法、常圧アルカリ酸化法が挙げられる。
しかしながら、バイオ酸化法は、硫黄酸化能力を持つ微生物を利用するため、反応速度が他の方法と比較して格段に遅いという欠点がある。
焙焼法は、発生する酸化硫黄系の毒性ガスや砒素入りの煤塵の回収処理設備が焙焼炉に加えて必要であり、設備投資が嵩むために、規模が小さく採掘寿命が短い鉱山には導入困難である。加圧酸化法は、同様に、加圧処理設備に投資が嵩むため、寿命が短い鉱山には導入困難である。
常圧酸性酸化法は、硫酸系や塩化系の酸性溶液に酸化剤を加え、全ての硫化物を酸化分解するもので、設備投資はあまり嵩まない。例えば、特許文献1では、精鉱に塩化銅(II)や塩化鉄(III)の酸性溶液を80〜105℃まで加温することにより、標準酸化還元電位を800〜900mVまで上昇させている。特許文献1では、塩化物系溶液を用いてこのような高い酸化還元電位で処理すると、金も塩化物錯体となって溶解し、青化製錬処理が不要になる利点があると記述されている。
しかしながら、高い酸化還元電位を保つためには、精鉱中の硫化物イオンとの反応当量より過剰な量の塩化銅(II)や塩化鉄(III)が必要となり、薬剤コストが嵩んでしまう。また、金以外に銀を多く含有している精鉱を対象とする場合は、銀の大半が塩化銀として残渣に残ることになり、これを回収するための工程が別途必要になるという問題が生じる。
一方、常圧アルカリ酸化法は、水酸化アルカリ溶液を添加した上で、空気酸化しながら加温することにより、精鉱中の硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物を酸化分解する方法である。硫砒鉄鉱は、分解して、一旦水酸化鉄沈殿と砒酸アルカリの形態まで酸化され、一部は更に砒酸鉄の形態で残渣中にて安定化する。アンチモン含有硫化物は、分解して、アンチモンが三酸化二アンチモンの形態で残渣中で安定化すると考えられる。
このような常圧アルカリ酸化法により処理した場合には、残渣を青化製錬処理しても貴金属のシアン錯体化は阻害されなくなると考えられる。例えば非特許文献2では、直接青化製錬処理しても金の回収率が数十%以下である硫砒鉄鉱を含有する精鉱を常圧アルカリ酸化法によるアルカリ処理においてpH8.5程度で酸化分解してその残渣を青化製錬すると、金の回収率が上がることが報告されている。
しかしながら、非特許文献2に記載されているアルカリ酸化の処理条件は、非特許文献2に記載されている個別の精鉱についての最適値であり、汎用的な処理指針は記載されていない。従って、同一条件でアルカリ酸化処理を施しても、青化製錬による貴金属の回収率が僅かにしか向上しない精鉱も存在する。そのため、貴金属の回収方法では、あらゆる品位の精鉱であっても貴金属の回収率が高くなる回収方法が求められている。
特表2006−512484号公報
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構、「新しい金回収法」、1995年制作、2005年4月改訂 「Alkaline leaching of refractory gold arsenosulphide concentrates」 CIM BULL/86/971/P140−141、JUNE 1993
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、鉄の他に砒素やアンチモンを含有する硫化鉱物から貴金属を青化製錬処理により高い回収率で回収できる貴金属の回収方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明に係る貴金属の回収方法は、鉄、砒素、アンチモン、貴金属を含有する硫化鉱物を摩鉱する摩鉱工程と、摩鉱した硫化鉱物を選鉱して精鉱を得る選鉱工程と、選鉱工程で得られた精鉱にアルカリを添加してスラリーとし、精鉱を酸化するアルカリ酸化工程と、スラリーを固液分離して残渣を回収する固液分離工程と、残渣を水洗する水洗工程と、水洗後の残渣を青化製錬工程に付して貴金属を分離回収する貴金属回収工程とを有し、アルカリ工程では、精鉱中の鉄、砒素、アンチモンの品位から下記の(式1)で算出される量のアルカリを精鉱に添加し、スラリーの温度を65℃〜85℃に保持しつつ該精鉱を酸化し、スラリーの酸化還元電位が銀−塩化銀電極を参照電極に用いて測定した値で−80mV以上に達した時点で酸化処理を終了することを特徴とする。
W=
[GAs×0.134+GSb×0.123+GFe×0.627)×アルカリの分子量
・・・(式1)
[なお、式1において、Wは精鉱1kgあたりに添加するアルカリの量(g)、GAsは砒素品位(質量%)、GSbはアンチモン品位(質量%)、GFeは鉄品位(質量%)である。]
本発明では、鉄の他に砒素やアンチモンが硫化鉱物に含まれている場合であっても砒素やアンチモンに阻害されることなく、硫化鉱物に含有されている貴金属を青化製錬処理により高い回収率で回収することができる。
本発明を適用した貴金属の回収方法のフローチャートである。
以下に、本発明を適用した貴金属の回収方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、特に限定がない限り、以下の詳細な説明に限定されるものではない。
1.摩鉱工程
2.選鉱工程
3.再摩鉱工程
4.アルカリ酸化工程
5.固液分離工程
6.水洗工程
7.貴金属回収工程(青化製錬)
本発明を適用した貴金属の回収方法は、鉄の他に砒素やアンチモンが含有された硫化鉱物に含まれる金や銀等の貴金属を青化製錬により回収する前に、前処理を行うことにより容易かつ効率的に高い回収率で貴金属を回収することができる方法である。前処理とは、常圧アルカリ酸化法による処理である。
具体的に、貴金属の回収方法は、図1に示すように、鉄、砒素、アンチモン、貴金属を含有する硫化鉱物を摩鉱する摩鉱工程と、摩鉱した硫化鉱物を選鉱して精鉱を得る選鉱工程と、選鉱工程で得られた精鉱に所定量のアルカリを添加したスラリーを所定の温度に保持しつつ、混合しながら精鉱を酸化しスラリーの酸化還元電位が所定の値に達した時点で酸化処理を終了するアルカリ酸化工程と、スラリーを固液分離して残渣を回収する固液分離工程と、残渣を水洗し、水洗後の残渣を得る水洗工程と、水洗後の残渣を青化製錬工程に付して貴金属を分離回収する貴金属回収工程とを有する。以下に、各工程について説明する。
<1.摩鉱工程>
摩鉱工程では、硫化鉱物を摩鉱する。ここで、硫化鉱物は、鉄、砒素、アンチモン、金や銀の貴金属を含有するものであり、例えば硫化鉄を主成分とし、硫砒鉄鉱、アンチモン含有硫化物を含み、かつ貴金属として金及び/又は銀を含有するものである。
摩鉱方法及び条件は、鉱物を摩鉱する一般的な方法及び条件で行うことができ、例えばクラッシャーやミルを使用することができる。
<2.選鉱工程>
選鉱工程では、摩鉱後の硫化鉱物から脈石を除去し金や銀の品位が高い精鉱を得る。選鉱方法は、例えば浮遊選鉱等の一般的な選鉱方法を用いることができる。浮遊選鉱法を用いた場合には、摩鉱後の硫化鉱物を含む鉱液に気泡剤と捕集剤を加えて撹拌し、貴金属を含む硫化鉱物を浮遊させる。これにより、選鉱工程では、貴金属の品位が高い精鉱を選別することができる。
<3.再摩鉱工程>
再摩鉱工程は、選鉱工程により得られた精鉱を再び摩鉱する。この再摩鉱工程は、精鉱を再摩鉱して、後の工程における処理対象として適切な粒径範囲に精鉱を調製する。再摩鉱工程では、精鉱の粒径がP80≦25μmとなる程度に摩鉱することが好ましく、P80≦10μmとすることが更に好ましい。再摩鉱工程は、選鉱工程後の精鉱の大きさに応じて行えばよく、選鉱工程後の精鉱の大きさがP80≦25μmであれば必ずしも行う必要はない。
<4.アルカリ酸化工程>
アルカリ酸化工程は、選鉱工程後又は再摩鉱工程後の精鉱に、アルカリを溶解した溶液を添加して得られたスラリーを加温しながら精鉱を酸化することにより、金や銀の貴金属を含有する硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物を分解するものであり、このとき目的としない硫化鉄の分解も同時に進行する。
アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。
アルカリ酸化工程では、好ましくはスラリーのpHが10以上、更に好ましくは11以上の範囲で酸化を行う。アルカリ酸化工程では、スラリーのpHを10以上とすることによって、硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物の分解をより細かくすることができ、後の青化製錬にて貴金属の回収を高めることができる。pHが10以下では、硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物の分解が不十分となる場合があり、後の青化製錬の際に貴金属の回収が不十分となる。
アルカリ酸化工程では、予め精鉱の砒素、アンチモン、鉄の品位からアルカリの必要量を算出しておく。算出方法は、下記に説明するように、精鉱中の硫化鉄、硫砒鉄鉱、アンチモン含有硫化物とアルカリとの反応式より求める。アルカリ酸化工程では、アルカリ酸化処理の対象となる精鉱に適したアルカリの量を算出し、算出したアルカリの量でアルカリ酸化処理を行うことで、硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物をより確実に細かく分解し、分解されていない硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物が残らないようにする。
アルカリ酸化工程で硫砒鉄鉱とともに分解することを目的としているアンチモン含有硫化物は、精鉱中に硫化アンチモンの他、鉛や亜鉛等との複合硫化物として存在しているが、全てのアンチモンの価数は三価として考えてよい。このため、精鉱中の全ての砒素は、硫砒鉄鉱として、全てのアンチモンは硫化アンチモンとして、硫砒鉄鉱分を除いた残り全ての鉄は黄鉄鉱として、それぞれ存在すると仮定した上で、以下に示す反応式に従ってそれぞれ分解するために必要な水酸化ナトリウムの量を合算して、必要となる水酸化ナトリウム量を算出する。以下では、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いた場合について説明する。
(硫砒鉄鉱の反応式)
・[反応式1−1]
4FeAsS+18NaOH
→2NaS+Na+3HO+4NaAsO+4Fe(OH)
・[反応式1−2]
2NaAsO+O→2NaAsO
(アンチモン含有硫化物の反応式)
・[反応式2−1]
Sb+2NaOH→Na[SbOS]+Na[SbS]+H
・[反応式2−2]
2Na[SbOS]+4O+HO→Sb↓+2NaHSO
・[反応式2−3]
2Na[SbS]+2NaOH+6O+HO→Sb↓+4NaHSO
(硫化鉄の反応式)
・[反応式3−1]
4FeS+14NaOH
→6NaS+Na+3HO+4Fe(OH)
水酸化ナトリウムの必要量は、精鉱の鉄品位をGFe[wt%]、砒素品位をGAs[wt%]、アンチモン品位をGSb[wt%]とすると、上述の反応仮定の下、精鉱1kg当たりに必要な水酸化ナトリウム量WNaOH[g]を次の式から算出することができる。
NaOH
=1000×
(GAs÷100÷74.9×(18÷4)+GSb÷100÷121.8×(6÷4)+(GFe−GAs÷74.9×55.8)÷100÷55.8×(14÷4))×40.0
=(GAs×0.601+GSb×0.123+(GFe−GAs×0.745)×0.627)×40.0
=(GAs×0.134+GSb×0.123+GFe×0.627)×40.0
・・・(式1)
以上のように、精鉱中の鉄品位、砒素品位、アンチモン品位から水酸化ナトリウムの必要量を予め算出しておき、その必要量を満たすアルカリを添加してアルカリ酸化を行うことにより、鉄、砒素、アンチモンの品位が異なっても精鉱に合わせて硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物を確実により細かく分解することができる。
このアルカリ酸化工程では、スラリーの温度を65〜85℃の範囲に保持することが好ましく、75℃〜85℃の範囲で保持することが更に好ましい。アルカリ酸化工程では、スラリーの温度を65〜85℃の範囲とすることによって効率良く酸化することができる。
また、酸化剤としては、低コストである空気が最も好ましいが、酸素濃縮装置等で酸素濃縮した空気、純酸素、オゾン、過酸化水素等も利用できる。酸化剤の添加量は、酸化剤の種類によって適宜決定し、例えば空気の場合には5Lのスラリーに対して4〜10L/minの範囲で吹き込むことが好ましい。
アルカリ酸化工程では、銀−塩化銀電極を用いてスラリーの酸化還元電位を測定し、スラリーの酸化還元電位が−80mV以上、好ましくは−70mV以上まで上昇してから酸化処理を終了することが望ましい。
アルカリ酸化工程では、予め精鉱毎に必要なアルカリ量を算出しておき、その必要量を満たすアルカリを精鉱に添加して、酸化還元電位が−80mV以上となるまで酸化処理することにより、硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物を確実により細かく分解することができる。これにより、後の青化製錬工程では、硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物が細かく分解されているため、貴金属の回収が容易になり、効率よく、かつ高い回収率で貴金属を回収できるようになる。
<5.固液分離工程>
固液分離工程では、アルカリ酸化処理が終了した後、亜硫酸塩等が濃厚に溶解したアルカリ廃液をアルカリ酸化処理後の残渣から分離する。固液分離には、吸引濾過等の濾過機やシックナー等の固液分離に用いられる一般的な装置を用いることができる。
<6.水洗工程>
水洗工程では、固液分離工程により分離して得られた残渣を水洗する。水洗方法は、残渣を洗浄液中に添加し、例えば超音波撹拌や機械式撹拌を行うことにより洗浄する。洗浄液には、純水等を用いることができる。
以上のような固液分離工程及び水洗工程は、亜硫酸塩等が濃厚に溶解したアルカリ廃液をアルカリ酸化処理後の残渣から分離して、次の青化製錬処理時の液性への影響を極小にするために行う。
<7.貴金属回収工程(青化製錬)>
貴金属回収工程では、水洗後の残渣から青化製錬により金や銀等の貴金属を抽出する。青化製錬は、シアンを含む溶液と貴金属に接触させて、貴金属をシアンとの錯イオンとして浸出し、得られた浸出液より貴金属を回収する。即ち、青化製錬工程では、貴金属を回収する一般的な青化製錬方法を用いることができる。
以上のように、貴金属の回収方法は、鉄の他に砒素やアンチモンが含有された硫化鉱物に含まれる金や銀等の貴金属を青化製錬で回収する際に、硫化鉱物を摩鉱、選鉱した後、精鉱中の鉄、砒素、アンチモンの品位からアルカリ酸化処理に必要なアルカリの量を算出しておく。貴金属の回収方法は、その量を満たすアルカリを添加してアルカリ酸化処理を行うことで、確実により細かく硫砒鉄鉱やアンチモン含有硫化物を分解することができる。これにより、貴金属の回収方法では、アルカリ酸化処理後に、残渣を固液分離し、洗浄した後、青化製錬を行うことで、より容易かつ効率よく、高い回収率で貴金属を回収することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、精鉱の分析及び残渣の金・銀品位の分析は、JISのM8111に準じて行った。固体のその他の成分と液体との分析は、分析用試料に適切な前処理を施した後、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法またはICP質量分析法を用いて行った。
<実施例1>
実施例1では、先ず貴金属を含む精鉱をP80=9.3μmの粒径まで再摩鉱して精鉱(以下、再摩鉱精鉱という)を得た。次に、再摩鉱精鉱の表1に示す砒素、アンチモン、鉄の品位を基に、乾燥重量換算で1kgをアルカリ酸化処理するのに必要な水酸化ナトリウム量を式1を用いて算出した。算出した結果、水酸化ナトリウム量は、581gとなった。
W=[GAs×0.134+GSb×0.123+GFe×0.627]×40
・・・(式1)
次に、再摩鉱精鉱を乾燥重量換算で500g取り分け、4.2リットルの水と291gの水酸化ナトリウムとともに、SUS316製のバッフル付き反応槽(容量8リットル)に投入し、スラリー中に6l/分の流速で空気を吹き込みながら、ブレードタービン型の撹拌羽根を用いて、回転数600rpmで撹拌しつつ、スラリー温度を80±3℃の範囲に維持して、アルカリ酸化処理を行った。
そして、銀−塩化銀電極を用いて測定したスラリーの銀塩化銀電極を参照電極として測定した酸化還元電位(ORP)は、アルカリ酸化処理を開始して1時間後は−390mVだったが、13時間後には−64mVまで上昇したため、この時点で加温と空気吹き込みを停止し、アルカリ酸化処理を終了した。
次に、3時間放冷してスラリー温度を42℃まで下がってから、孔径1μm、直径142mmのメンブランフィルターを用いて吸引濾過することにより固液分離を行い、そのまま引き続き、5回に分けて合計1.5リットルの水を吸引して、残渣の水洗を行った。水洗後の残渣は、乾燥重量換算で454.2g回収された。
この水洗後の残渣にシアン化ナトリウムを添加して青化製錬処理に供した結果、表2に示す通り、500gの再摩鉱精鉱から30.1mgの金と321mgの銀が回収され、総合実収率は、金が97%、銀が86%となった。ここで、総合実収率とは、再摩鉱精鉱中の存在量に対する青化製錬による回収量の割合である。
<比較例1>
比較例1では、先ず、実施例1と同様にして同一の再摩鉱精鉱を得た。次に、再摩鉱精鉱を青化製錬処理した。即ち、比較例1では、アルカリ酸化処理を行わなかった。青化製錬の結果、表2に示すように、500gの再摩鉱精鉱から3.9mgの金と34.2mgの銀しか得られず、総合実収率は金が13%、銀が9.2%にしか至らなかった。
<比較例2>
比較例2では、実施例1及び比較例1と同様にして同一の再摩鉱精鉱を得た。次に、再摩鉱精鉱を乾燥重量換算で500g取り分け、実施例1と全く同一の条件でアルカリ酸化処理を開始し、6時間後に銀−塩化銀電極で測定した酸化還元電位が−185mVまで上昇した時点で、加温と空気吹き込みを停止し、アルカリ酸化処理を終了し、放冷した。次に、3時間放冷してスラリー温度が43℃まで下がってから、実施例1と同様の固液分離と残渣の水洗を行い、乾燥重量換算で471.3gの残渣が回収された。
次に、水洗後の残渣を対象に、実施例1及び比較例1と同様の青化製錬処理を施した。その結果、500gの再摩鉱精鉱から19.0mgの金と231mgの銀しか得られず、総合実収率は金が61%、銀が62%に留まった。
<比較例3>
比較例3では、実施例1及び比較例1及び比較例2と同様にして同一の再摩鉱精鉱を得た。次に、再摩鉱精鉱を乾燥重量換算で500g取り分け、4.2リットルの水および100gの水酸化ナトリウムとともに、SUS316製のバッフル付き反応槽(容量8リットル)に投入し、攪拌、空気吹込み、スラリー温度は実施例1及び比較例2と同一の条件でアルカリ処理を開始した。処理開始13時間後に銀−塩化銀電極で測定した酸化還元電位は−213mVであったのに対し、処理開始18時間後になっても酸化還元電位が−215mVと殆ど変化がなかったため、加温と空気吹き込みを停止し、アルカリ酸化処理を終了した。3時間放冷してスラリー温度が40℃まで下がってから、実施例1および比較例2と同様の固液分離と残渣の水洗を行い、乾燥重量換算で483.6gの残渣が回収された。
引き続き、水洗後の残渣を対象に、実施例1及び比較例1と同様の青化製錬処理を施した。その結果、500gの再摩鉱精鉱から8.7mgの金と80.2mgの銀しか得られず、総合実収率は金が28.1%、銀が21.6%にしか至らなかった。
Figure 0006111976
Figure 0006111976
以上のように、実施例1、比較例1〜3の結果から、実施例1で示すように本発明を適用した貴金属の回収方法を用いることにより、硫化鉄とともに砒素やアンチモンも多く含有する硫化鉱物であっても、青化製錬による貴金属の回収において高い回収率で回収できることがわかる。一方、比較例1のようにアルカリ酸化処理を施さない場合や、比較例2のようにアルカリ酸化処理において酸化還元電位が−185mVであり、酸化処理が十分ではない場合には、貴金属の回収率は低くなった。
また、比較例3に示すように、式1より算出した量よりも少ない水酸化ナトリウム添加量で処理を行った場合も、酸化還元電位が−80mVまで上昇せず、酸化不十分となり、貴金属回収率も低くなった。

Claims (4)

  1. 鉄、砒素、アンチモン、貴金属を含有する硫化鉱物を摩鉱する摩鉱工程と、
    上記摩鉱した硫化鉱物を選鉱して精鉱を得る選鉱工程と、
    上記選鉱工程で得られた精鉱にアルカリを添加してスラリーとし、該精鉱を酸化するアルカリ酸化工程と、
    上記スラリーを固液分離して残渣を回収する固液分離工程と、
    上記残渣を水洗する水洗工程と、
    上記水洗後の残渣を青化製錬して貴金属を分離回収する貴金属回収工程とを有し、
    上記アルカリ酸化工程では、上記精鉱中の鉄、砒素、アンチモンの品位から下記の(式1)で算出される量の上記アルカリを上記精鉱に添加し、上記スラリーの温度を65℃〜85℃に保持しつつ該精鉱を酸化し、該スラリーの酸化還元電位が銀−塩化銀電極を参照電極に用いて測定した値で−80mV以上に達した時点で酸化処理を終了することを特徴とする貴金属の回収方法。
    W=
    [GAs×0.134+GSb×0.123+GFe×0.627)×アルカリの分子量
    ・・・(式1)
    [なお、式1において、Wは精鉱1kgあたりに添加するアルカリの量(g)、GAsは砒素品位(質量%)、GSbはアンチモン品位(質量%)、GFeは鉄品位(質量%)である。]
  2. 上記アルカリは、水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  3. 上記選鉱工程後であって上記アルカリ酸化工程前に、上記精鉱を摩鉱する再摩鉱工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する貴金属の回収方法。
  4. 上記貴金属は、金及び/又は銀であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載する貴金属の回収方法。
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