JP6442636B1 - 選鉱方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる選鉱方法を提供する。【解決手段】選鉱方法は、銅鉱物とモリブデン鉱物とを含む鉱物スラリーに表面処理剤として亜硫酸塩を添加する条件付け工程と、条件付け工程の後、鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行う浮遊選鉱工程とを備える。亜硫酸塩により選択的に銅鉱物の親水性を高めることで、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができる。そのため、モリブデン鉱物を選択的に浮遊させることができ、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。【選択図】図1

Description

本発明は、選鉱方法に関する。さらに詳しくは、銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離するための選鉱方法に関する。
銅製錬の分野では、銅を含有する銅鉱石、銅精鉱などの原料から銅を回収する様々な方法が提案されている。例えば、銅鉱石から銅を回収するには以下の処理が行われる。
(1)選鉱工程
選鉱工程では、鉱山で採掘された銅鉱石を粉砕した後、水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行う。浮遊選鉱では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加し、空気を吹き込んで銅鉱物を浮遊させつつ、脈石を沈降させて分離を行う。これにより銅品位30%前後の銅精鉱が得られる。
(2)乾式製錬工程
乾式製錬工程では、選鉱工程で得られた銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉および精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅にまで精製する。粗銅は次工程の電解工程で用いられるアノードに鋳造される。
(3)電解工程
電解工程では、硫酸酸性溶液(電解液)で満たされた電解槽に前記アノードを挿入し、カソードとの間に通電して電解精製を行う。電解精製によって、アノードの銅は溶解し、カソード上に純度99.99%の電気銅として析出する。
ところで、銅は黄銅鉱、斑銅鉱などの硫化鉱物として硫化銅鉱石中に存在するものが多い。ポーフィリー型と呼ばれる銅鉱床をもつ鉱山では、鉱石中の黄銅鉱および斑銅鉱に輝水鉛鉱および硫砒銅鉱が随伴されている。
輝水鉛鉱に含まれるモリブデンは特殊鋼の合金成分、石油精製の触媒、潤滑剤などに用いられる有価な元素である。また、輝水鉛鉱が炉で熔解されると、揮発したモリブデンが設備に付着し腐食を促進する。そのため、選鉱工程において銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離することが求められる。
銅鉱物とモリブデン鉱物との分離は、工業的な取り扱い性、コスト、分離性が優れていることから、浮遊選鉱により行われることが多い。この浮遊選鉱は、抑制剤として硫化水素ナトリウム(NaHS)などの硫化剤を添加することで銅鉱物が浮上することを抑制し、モリブデン鉱物を浮上させてこれらを分離する。しかし、硫化水素ナトリウムを用いた浮遊選鉱は、選鉱条件を設定することが難しい。また、鉱物スラリーが酸性を呈する場合には、硫化水素ナトリウムを添加したスラリーから有害ガスである硫化水素が発生する。
また、銅鉱物およびモリブデン鉱物はともに強い浮遊性を有するため、これらを浮遊選鉱で分離するのは非常に困難である。そこで、これらの鉱物に処理を施した後に浮遊選鉱を行うことで、分離を容易にすることが試みられてきた。
特許文献1には、鉱物の表面をオゾン酸化させた後に浮遊選鉱を行う方法が開示されている。より詳細には、銅粗選および銅精選によって得られた銅精鉱に対してモリブデン浮選を行う。得られた浮鉱の輝水鉛鉱含有量が約1重量%になった時点で浮鉱をオゾン酸化する。この浮鉱を再度浮遊選鉱に付してモリブデン鉱物を浮鉱として回収する。
特許文献2には、鉱物の表面にプラズマ処理を施した後に浮遊選鉱を行う方法が開示されている。より詳細には、銅を含む鉱物とモリブデンを含む鉱物の混合物に、酸素を酸化剤とする雰囲気下でプラズマ照射を行う。プラズマ処理後の混合物をアルカリ金属塩の水溶液で洗浄する。洗浄後の混合物を浮遊選鉱に付して銅を含む鉱物とモリブデンを含む鉱物とを分離する。
特許文献3には、精鉱を、反応によりパルプ(スラリー)中に有害イオンを生じない酸化剤、例えば過酸化水素、オゾン、その他の試薬により表面処理し、これを精選することにより、目的成分を優先分離することが開示されている。
特開平5−195106号公報 特開2014−188428号公報 特公昭45−016322号公報
しかし、特許文献1の方法では、オゾンによって鉱物中の硫黄まで酸化され二酸化硫黄が発生する。酸性条件下では硫化水素が発生してしまう恐れがある。また、鉱物スラリーが酸性を呈することから、一部の銅が溶解し、銅が排水とともに排出される恐れがある。
特許文献2の方法にはプラズマ処理が必要であるが、大型のプラズマ照射装置は知られていない。そのため、工業的な規模での実施は困難である。
特許文献3には、表面に捕収剤を吸着した方鉛鉱(鉛鉱物)に対する酸化剤の作用について記載されているのみであり、銅鉱物およびモリブデン鉱物の酸化については何ら記載されていない。
本発明は上記事情に鑑み、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる選鉱方法を提供することを目的とする。
第1発明の選鉱方法は、銅鉱物とモリブデン鉱物とを含む鉱物スラリーに表面処理剤として亜硫酸塩を添加する条件付け工程と、前記条件付け工程の後、前記鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行う浮遊選鉱工程と、を備えることを特徴とする。
第2発明の選鉱方法は、第1発明において、前記条件付け工程において、前記鉱物スラリーの液相のpHを8〜11.5に調整することを特徴とする。
第3発明の選鉱方法は、第1または第2発明において、前記条件付け工程は、前記鉱物スラリーを撹拌して、該鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子を分散させる分散工程と、前記分散工程の後、前記鉱物スラリーを希釈する希釈工程と、前記希釈工程の後、前記鉱物スラリーを所定時間保持する保持工程と、を備え、前記分散工程、前記希釈工程および前記保持工程のいずれかにおいて、前記鉱物スラリーに前記表面処理剤を添加することを特徴とする。
第4発明の選鉱方法は、第1、第2または第3発明において、前記表面処理剤は亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムであることを特徴とする。
第5発明の選鉱方法は、第1、第2、第3または第4発明において、前記銅鉱物は黄銅鉱と斑銅鉱と輝銅鉱とを含む混合硫化銅鉱物であり、前記モリブデン鉱物は輝水鉛鉱であることを特徴とする。
本発明によれば、亜硫酸塩により選択的に銅鉱物の親水性を高めることで、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができる。そのため、モリブデン鉱物を選択的に浮遊させることができ、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
本発明の一実施形態に係る選鉱方法の工程図である。 表面処理試験における黄銅鉱の測定結果を示すグラフである。 表面処理試験における輝水鉛鉱の測定結果を示すグラフである。 図(A)は浮遊選鉱試験における銅回収率を示すグラフである。図(B)は浮遊選鉱試験におけるモリブデン回収率を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る選鉱方法は、(1)前処理工程と、(2)バルク浮選工程と、(3)条件付け工程と、(4)浮遊選鉱工程とを備えている。
原料である鉱石には、少なくとも、銅を含有する鉱物(以下、「銅鉱物」と称する。)と、モリブデンを含有する鉱物(以下、「モリブデン鉱物」と称する。)とが含まれていればよい。銅鉱物としては黄銅鉱(chalcopyrite:CuFeS2)、斑銅鉱(bornite:Cu5FeS4)、硫砒銅鉱(enargite:Cu3AsS4)、輝銅鉱(chalcocite:Cu2S)、砒四面銅鉱(tennantite:(Cu,Fe,Zn)12(Sb,As)413)などが挙げられる。モリブデン鉱物としては輝水鉛鉱(molybdenite:MoS2)などが挙げられる。
本実施形態の選鉱方法は銅鉱物とモリブデン鉱物の分離に好適に用いられる。ポーフィリー型と呼ばれる銅鉱床をもつ鉱山では、鉱石中の黄銅鉱および斑銅鉱に輝水鉛鉱、硫砒銅鉱などが随伴されている。そのため、本実施形態の選鉱方法はポーフィリー型の銅鉱床から採掘された鉱石に対して好適に用いられる。
(1)前処理工程
前処理工程では、鉱石の粉砕、鉱物スラリーの製造、脈石の除去などが行われる。
鉱石を粉砕して鉱物粒子を得る。鉱物粒子の粒度は、鉱石に含まれる鉱物の大きさに合わせて、単独鉱物が得られるように調整される。例えば、黄銅鉱の場合篩下100μm程度、輝水鉛鉱の場合篩下30μm程度に調整することが一般的である。種々の鉱物を含む鉱石を原料とする実操業では、篩下100μm程度に粉砕した後で、浮選成績などを勘案して鉱石の粒度を最適な条件に合わせることが一般的である。
なお、粉砕後、鉱物粒子を長時間保管すると、付着物などにより鉱物の表面状態が変化する場合がある。この場合、鉱物粒子を次工程に装入する前に、鉱物表面の付着物を除去することが好ましい。付着物の除去方法は特に限定されないが、例えば、硝酸洗浄、摩擦粉砕(アトリッション)などが挙げられる。
鉱物粒子(粉砕された鉱石)に水を加えて鉱物スラリーを製造する。スラリーとすることで、浮遊選鉱が可能となるだけでなく、後工程の条件付けを容易に行うことができる。
鉱物スラリーの液相にカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンが含まれていると浮遊選鉱に悪影響を与えることが知られている。そこで、鉱物粒子に添加する水は不純物イオンを含まない純水であることが好ましい。工業的にはイオン交換水を用いてもよい。
必要に応じて鉱石に含まれる脈石を除去することが好ましい。脈石の除去には浮遊選鉱をはじめとする種々の選鉱方法を採用できる。
(2)バルク浮選工程
バルク浮選工程では、鉱物スラリーに含まれる硫化鉱物とその他の脈石とを浮遊選鉱により分離する。バルク浮選では、鉱物スラリーに起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加し、空気を吹き込んで種々の硫化鉱物をまとめて浮遊させつつ、脈石を沈降させて分離を行う。起泡剤としてはパインオイル、MIBC(メチルイソブチルカルビノール)などが挙げられる。捕収剤としてはディーゼルオイル、ケロシンオイル、メルカプタン系捕収剤、チオノカーバメート系捕収剤などが挙げられる。
バルク浮選により得られた硫化鉱物をバルク精鉱と称する。ポーフィリー型の銅鉱床から採掘された鉱石を原料とした場合、バルク精鉱の鉱物割合、銅およびモリブデンの品位は表1に示す通りである。ここで、鉱物割合はMLA分析、銅およびモリブデンの品位は化学分析により得られた結果である。なお、MLA(Mineral Liberation Analyser)とは、エネルギー分散型X線分析器を有する走査電子顕微鏡をベースとした鉱物分析装置である。
表1から分かるように、モリブデン精鉱には、少なくとも銅鉱物とモリブデン鉱物とが含まれている。銅鉱物は黄銅鉱を主成分とし、斑銅鉱と輝銅鉱とを含む混合硫化銅鉱物である。モリブデン鉱物は輝水鉛鉱である。
(3)条件付け工程
条件付け工程では、銅鉱物とモリブデン鉱物とを含む鉱物スラリーに表面処理剤を添加する。表面処理剤として亜硫酸塩が用いられる。亜硫酸塩としては亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)が挙げられる。
鉱物スラリーに亜硫酸塩を添加すると、銅鉱物の鉱物粒子の表面が親水性の物質で被覆される。より詳細には、銅鉱物に含まれる銅イオンおよび鉄イオンが沈殿して鉱物粒子の表面に付着する。また、銅以外の金属元素を含む銅鉱物、例えば黄銅鉱、斑銅鉱、砒四面銅鉱の場合、鉱物粒子の表面に金属水酸化物が生成する。硫酸銅および金属水酸化物はいずれも親水性が高いため、これらが表面に付着した銅鉱物は親水性が増加する。一方、モリブデン鉱物には銅も、銅以外の金属元素も含まれないため、親水性の物質が生成せず、疎水性のままである。
このように、鉱物スラリーに亜硫酸塩を添加することで、選択的に銅鉱物の親水性を高め、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができる。そのため、次工程の浮遊選鉱工程において、モリブデン鉱物を選択的に浮遊させることができ、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
ところで、酸化剤で鉱物粒子を酸化した場合には、鉱物に対する酸化の程度が過剰になりやすく、銅鉱物とモリブデン鉱物の両方の親水性が高くなる可能性がある。また、鉱物スラリーに硫化水素ナトリウムを添加する場合は、有害ガスである硫化水素が発生する可能性がある。しかし、本実施形態のように亜硫酸塩を添加する場合は、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができ、また、硫化水素が発生しない。
鉱物スラリーにpH調整剤を添加し、鉱物スラリーの液相のpHを8〜11.5に調整することが好ましい。これにより、銅鉱物の表面に親水性の物質を生成しつつ、モリブデン鉱物の表面状態を維持することができる。
銅鉱物の表面に金属水酸化物を生成するという観点からは、鉱物スラリーの液相のpHを10以上に調整することが好ましい。鉱物スラリーの液相中に水酸化物イオンを十分に存在させることで、金属水酸化物が多く生成しやすくなるからである。
亜硫酸塩が還元剤として働いてモリブデン鉱物の表面を還元し、表面が酸化されていた場合には存在していた酸化モリブデンを還元し、より疎水化する。
表面処理剤として亜硫酸水素ナトリウムを用いる場合、表面処理剤の添加により鉱物スラリーの液相のpHが低下する傾向にある。そのため、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤を添加して、鉱物スラリーの液相のpHを維持することが好ましい。
なお、表面処理剤として亜硫酸水素ナトリウムを用いる場合、鉱物スラリーの液相の亜硫酸水素ナトリウム濃度を0.1mol/L以上とすることが好ましい。表面処理剤として亜硫酸ナトリウムを用いる場合、鉱物スラリーの液相の亜硫酸ナトリウム濃度を0.005mol/L以上とすることが好ましい。そうすれば、銅鉱物とモリブデン鉱物との浮選回収率の差が大きくなり、浮遊選鉱により銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
条件付け工程は鉱物スラリーに表面処理剤を添加して所望の反応を生じさせることができれば、その具体的処理は特に限定されない。ただし、以下に説明するように、条件付け工程を分散工程と、希釈工程と、保持工程とで構成することが好ましい。
(3.1)分散工程
分散工程では鉱物スラリーを撹拌して凝集した鉱物粒子を分散させる処理を行う。鉱物粒子を分散させることで、鉱物粒子の表面が表面処理剤と接触しやすくなる。また、鉱物スラリーを撹拌することで、鉱物粒子の表面の付着物が除去され、鉱物粒子の表面が表面処理剤と接触しやすくなる。
(3.2)希釈工程
希釈工程では鉱物スラリーに水を添加して希釈する。鉱物スラリーに添加する水は不純物イオンを含まない純水であることが好ましい。工業的にはイオン交換水を用いてもよい。
分散工程の後に希釈工程を設けることで、分散工程における鉱物スラリーの固形分比率を高くできる。そうすると、鉱物スラリーの液量が少ないことから、撹拌効率を向上させることができ、鉱物粒子を十分に撹拌できる。また、鉱物スラリーを希釈することで、鉱物スラリー中の鉱物粒子間の距離が大きくなることから、表面処理剤と鉱物粒子とが十分に接触する。希釈した鉱物スラリーを浮遊選鉱工程に装入することで、沈降すべきモリブデン鉱物の粒子が浮上する泡または銅鉱物の粒子に巻き込まれて浮上することが抑制される。
(3.3)保持工程
保持工程では鉱物スラリーを所定時間保持して、鉱物粒子と表面処理剤との反応を促進させる。なお、鉱物スラリーへの表面処理剤の添加は、分散工程、希釈工程、保持工程のいずれで行ってもよいが、保持工程で行うことが好ましい。分散工程では撹拌により鉱物粒子の表面の付着物を除去するという効果がある。分散工程で表面処理剤を添加すると、銅鉱物の表面に生成した金属水酸化物が剥離する恐れがあるためである。
保持工程における保持時間は特に限定されないが5分以上が好ましい。また、必要に応じて鉱物スラリーを撹拌し、表面処理剤を分散させることが好ましい。
(4)浮遊選鉱工程
浮遊選鉱工程では条件付け後の鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行う。浮遊選鉱によりモリブデン鉱物を浮鉱として、銅鉱物を沈鉱として分離する。浮遊選鉱に用いる装置および方式は特に限定されない、一般的な多段式浮遊選鉱装置を用いればよい。
浮遊選鉱において鉱物スラリーに吹き込む気体として、酸素を含有しない気体、例えば、窒素を用いることが好ましい。すなわち、鉱物スラリーに酸素を含有しない気体を吹き込んで浮遊選鉱を行うことが好ましい。そうすれば、条件付け後の鉱石が酸素と接触して、鉱石の酸化の程度が変化することを防止できる。
浮遊選鉱工程では鉱物スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加する。なお、浮選剤を条件付け工程で添加してもよい。
鉱物スラリーの液相が浮遊選鉱に適したpHとなるように、pH調整を行うことが好ましい。黄銅鉱はpH9〜11程度で沈降性が高まることが知られている。そのため、鉱物スラリーのpHをpH9〜11程度に調整することが好ましい。
pH調整剤は特に限定されないが、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)などを用いることができ、酸として硫酸(H2SO4)、塩酸(HCl)などを用いることができる。pH調整剤を水溶液の形態で用いる場合には、その濃度は特に限定されず、鉱物スラリーを目的のpHに調整することが困難とならない濃度であればよい。
鉱物スラリーのpH調整は、浮遊選鉱工程の前に行えばよい。すなわち、pH調整を条件付け工程で行ってもよい。また、浮遊選鉱工程において処理時間の経過に伴って液相のpHが変化する場合には、工程途中であってもpH調整を行ってもよい。
前述のごとく、鉱物スラリーに表面処理剤を添加することにより、銅鉱物とモリブデン鉱物の親水性に差異を与えることができる。そのため、銅鉱物を沈降させつつ、モリブデン鉱物を選択的に浮遊させることができる。その結果、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できる。
なお、条件付け工程(分散工程、希釈工程、保持工程)から浮遊選鉱工程までを、浮遊選鉱装置内で順次進行させるよう構成してもよい。そうすれば、鉱物スラリーの移送の手間が省ける。
つぎに、実施例を説明する。
(表面処理試験)
まず、鉱物に対する表面処理剤の影響を試験した。
銅鉱物として黄銅鉱、モリブデン鉱物として輝水鉛鉱を準備した。各鉱物の塊を顕微鏡観察用の樹脂に埋め込み表面を研磨した。試料の研磨面に表面処理剤として濃度0.1mol/Lの亜硫酸ナトリウム水溶液を接触させた。表面処理剤のpHは8.0、10.8、11.5の3種類とした。また、表面処理時間を60分とした。
表面処理の前後において、鉱物の表面をX線光電子分光分析装置(XPS)(メーカー:島津/KRATOS製作所、型番:AXIS-165)により測定した。図2に黄銅鉱の測定結果を示す。図3に輝水鉛鉱の測定結果を示す。
図2より、表面処理を行うと黄銅鉱(CuFeS2)のピークが小さくなることが分かる。pHが高いほど黄銅鉱のピークが小さくなることが分かる。また、表面処理を行うと硫酸銅(図2中のSO4 2-)のピークが現れることが分かる。pHが高いほど硫酸銅のピークが大きくなることが分かる。また、表面処理を行うと水酸化鉄(FeOOH)のピークが現れることが分かる。以上より、表面処理により親水性の硫酸銅および水酸化鉄などが生じ、疎水性の黄銅鉱の表面を被覆していることが確認された。
図3より、表面処理を行っても輝水鉛鉱(MoS2)のピークに変化がないことが分かる。また、表面処理を行うと酸化モリブデン(MoO3)のピークが小さくなることが分かる。以上より、表面処理を行うことで親水性の酸化モリブデンが減少し、より疎水性の輝水鉛鉱表面となることが確認された。
また、以上より、pHを8〜11.5の範囲に調整すれば、銅鉱物の表面に親水性の物質を生成しつつ、モリブデン鉱物の表面状態を維持できることが確認された。
本願発明者らは、黄銅鉱の表面に親水性の物質が生成した理由をつぎのように推測している。
亜硫酸ナトリウム水溶液は還元剤として知られており、塩基性条件における反応式は下記化学式(1)のとおりである。しかし、酸性条件では還元剤としての働きが非常に弱くなり、その際の反応式は下記化学式(2)のとおりである。
SO3 2-+2OH-→SO4 2-+H2O+2e- ・・・(1)
SO3 2-+2H+→SO2+H2O ・・・(2)
黄銅鉱に亜硫酸ナトリウム水溶液を接触させると、黄銅鉱(CuFeS2)の表面が亜硫酸イオン(SO3 2-)によって還元され、硫化銅(Cu2S)が生成される。それと同時に鉄イオン(Fe3+)が生成される(化学式(3))。生成された硫化銅はすぐに酸化されて溶解し、銅イオン(Cu2+)が生成される(化学式(4))。
2CuFeS2+6Cu2++3SO3 2-+6OH-
→4Cu2S+2Fe3++3SO4 2-+3H2O ・・・(3)
Cu2S→2Cu2++S+4e- ・・・(4)
その結果、例えば下記化学式(5)〜(9)に示す反応が進んで、親水性の物質が生成される。
Cu2++SO4 2-→CuSO4 ・・・(5)
Cu2++2OH-→Cu(OH)2 ・・・(6)
Cu2++2OH-→CuO+H2O ・・・(7)
Fe3++3OH-→FeOOH+H2O ・・・(8)
2Fe3++3SO4 2-→Fe2(SO4)3 ・・・(9)
一方、輝水鉛鉱の表面では上記のような反応が起こらない。むしろ、処理前に存在した親水性の酸化モリブデンが還元され(下記化学式(10)、(11))、疎水性が高くなる。
MoO3+2SO3 2-+18H+→MoS2+9H2O ・・・(10)
MoO2+2SO3 2-+16H+→MoS2+8H2O ・・・(11)
(浮遊選鉱試験)
つぎに、浮遊選鉱における回収率を求める試験を行った。
(実施例1)
バルク浮選:
南米産銅鉱石(ポーフィリー型の銅鉱床から採掘された鉱石)をボールミルで粉砕し、鉱物スラリーを製造し、バルク浮選を行った。バルク浮選には起泡剤としてMIBC(鉱石1t当り15g添加)、捕収剤としてディーゼルオイル(鉱石1t当り65g添加)を用いた。
バルク浮選により得られたバルク精鉱の粒度は篩下100μm以下である。バルク精鉱を含む鉱物スラリーの固形分比率は50%である。バルク精鉱の鉱物割合、銅およびモリブデンの品位は表2に示す通りである。ここで、鉱物割合はMLA分析、銅およびモリブデンの品位は化学分析により得られた結果である。
分散工程:
バルク精鉱を含む鉱物スラリー1,794g(固形分897g、固形分比率50%)を浮遊選鉱機に装入した。用いた浮遊選鉱機はデンバー型浮遊選鉱機(Metso Minerals社製)である。デンバー型浮遊選鉱機は、スラリー槽の中央に中空円筒が立設されており、その下端に円盤状のフードが固定され、さらにその下にインペラが配置された構成である。インペラの回転軸は中空円筒の中を通っている。インペラは円盤に6〜8枚の羽根が設けられた構造である。インペラの回転によりフードとインペラの間に負圧が生じ、中空円筒の上部に設けられた吸引口から浮遊選鉱用の気体が吸引される。吸引口には手動のバルブが備えられており、気体の吸引量を調整できる。吸引された気体はフードとインペラの周端部で細かく剪断され、気泡が発生する。気泡がインペラの回転に伴って液相中に分散供給される。浮遊選鉱用の気体として窒素を用いた。具体的には、中空円筒上部の吸引口に配管を介して窒素ボンベ(四国岩谷産業製 純度99.995%以上の液化窒素)を接続し、窒素を供給した。
浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを60分間撹拌した。この際、窒素の吸引量を0とした。分散工程の開始時に、ディーゼルオイル15g/t(鉱石1t当り15g)、亜硫酸水素ナトリウム23gを添加した。鉱物スラリーの液相の亜硫酸水素ナトリウム濃度は0.25mol/Lである。分散工程中、鉱物スラリーの液相のpHが低下したので、濃度8mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して、鉱物スラリーの液相のpHを10に維持した。水酸化ナトリウム水溶液の添加量は44.8gとなった。
希釈工程:
つぎに、鉱物スラリーの固形分比率が33%となるように、すなわち希釈後の鉱物スラリーの重量が2,691gとなるようにイオン交換水を添加した。なお、希釈により鉱物スラリーの液相の亜硫酸水素ナトリウム濃度は0.16mol/Lとなった。
保持工程:
つぎに、浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを撹拌しながら5分間保持した。保持時間経過後に鉱物スラリーの液相のpHが低下していたことから、濃度8mol/Lの水酸化ナトリウムを0.3g添加し、pHを10に調整した。
浮遊選鉱工程:
つぎに、浮遊選鉱機のインペラを稼働させ、気泡を導入して浮遊選鉱を行った。窒素の吸引量は所定の浮選時間となるまでにスラリー槽から浮鉱が溢れないように調整した。浮遊選鉱の開始から3分、8分、15分、30分、40分の各タイミングにおいてスラリー槽の上面に溜まった浮鉱を掻きとって別の容器に回収した。浮選時間3分で得られた浮鉱を浮鉱1、浮選時間8分で得られた浮鉱を浮鉱2、浮選時間15分で得られた浮鉱を浮鉱3、浮選時間30分で得られた浮鉱を浮鉱4、浮選時間40分で得られた浮鉱を浮鉱5と称する。
浮選回収率を以下の手順で求めた。まず、バルク精鉱中の銅およびモリブデンの量をICP分析(ICP分析装置:英弘精機株式会社製 型番SPS3000)により求めておく。浮遊選鉱の後、回収された浮鉱1〜5をそれぞれ酸溶解し、ICP分析により浮鉱1〜5中の銅およびモリブデンの量を求める。そして、次式にしたがい、バルク精鉱中の金属の量(投入量)に対する浮鉱として回収された金属の量(回収量)の割合として浮選回収率を求めた。
浮選回収率[%]=100×回収量/投入量
(実施例2)
実施例1と同様の手順でバルク浮選を行った。
分散工程:
バルク精鉱を含む鉱物スラリー1,794g(固形分897g、固形分比率50%)を浮遊選鉱機に装入した。浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを60分間撹拌した。この際、窒素の吸引量を0とした。分散工程の開始時に、ディーゼルオイル15g/t(鉱石1t当り15g)を添加した。亜硫酸水素ナトリウムは添加しなかった。pH調整を要することなく、鉱物スラリーの液相のpHは10に維持された。
希釈工程:
つぎに、鉱物スラリーの固形分比率が33%となるように、すなわち希釈後の鉱物スラリーの重量が2,691gとなるようにイオン交換水を添加した。
保持工程:
つぎに、鉱物スラリーに亜硫酸水素ナトリウム23gを添加した。鉱物スラリーの液相の亜硫酸水素ナトリウム濃度は0.16mol/Lである。浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを撹拌しながら5分間保持した。保持時間経過後に鉱物スラリーの液相のpHが低下していたことから、濃度8mol/Lの水酸化ナトリウムを39.4g添加し、pHを10に調整した。
つぎに、実施例1と同様の手順で浮遊選鉱を行った。
(実施例3)
実施例1と同様の手順でバルク浮選を行った。
分散工程:
バルク精鉱を含む鉱物スラリー1,794g(固形分897g、固形分比率50%)を浮遊選鉱機に装入した。浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを60分間撹拌した。この際、窒素の吸引量を0とした。分散工程の開始時に、ディーゼルオイル15g/t(鉱石1t当り15g)、亜硫酸ナトリウム1.15gを添加した。鉱物スラリーの液相の亜硫酸ナトリウム濃度は0.01mol/Lである。分散工程中、鉱物スラリーの液相のpHが低下したので、濃度4mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して、鉱物スラリーの液相のpHを10に維持した。水酸化ナトリウム水溶液の添加量は14.7gとなった。
希釈工程:
つぎに、鉱物スラリーの固形分比率が33%となるように、すなわち希釈後の鉱物スラリーの重量が2,691gとなるようにイオン交換水を添加した。なお、希釈により鉱物スラリーの液相の亜硫酸ナトリウム濃度は0.005mol/Lとなった。
保持工程:
つぎに、浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを撹拌しながら5分間保持した。保持時間経過後に鉱物スラリーの液相のpHが低下していたことから、濃度4mol/Lの水酸化ナトリウムを0.6g添加し、pHを10に調整した。
つぎに、実施例1と同様の手順で浮遊選鉱を行った。ただし、浮選時間30分で十分な効果が得られたため浮遊選鉱を終了し、浮選時間40分のサンプルは採取しなかった。
(比較例1)
実施例1と同様の手順でバルク浮選を行った。
分散工程:
バルク精鉱を含む鉱物スラリー1,794g(固形分897g、固形分比率50%)を浮遊選鉱機に装入した。浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを60分間撹拌した。この際、窒素の吸引量を0とした。分散工程の開始時に、ディーゼルオイル15g/t(鉱石1t当り15g)を添加した。亜硫酸水素ナトリウムは添加しなかった。pH調整を要することなく、鉱物スラリーの液相のpHは10に維持された。
希釈工程:
つぎに、鉱物スラリーの固形分比率が33%となるように、すなわち希釈後の鉱物スラリーの重量が2,691gとなるようにイオン交換水を添加した。
保持工程:
浮遊選鉱機に備えられたインペラ(1,150rpm)で鉱物スラリーを撹拌しながら5分間保持した。亜硫酸水素ナトリウムは添加しなかった。また、pH調整を要することなく、鉱物スラリーの液相のpHは10に維持された。
つぎに、実施例1と同様の手順で浮遊選鉱を行った。
実施例1、2、3および比較例1における銅回収率およびモリブデン回収率を表3および図4(A)、(B)に示す。なお、浮選回収率は浮鉱1〜5から求められた浮選回収率の積算値である。
銅回収率は実施例1、2(亜硫酸水素ナトリウム添加)と比較例1(亜硫酸水素ナトリウム未添加)とで差が生じることが分かる。一方、モリブデン回収率は実施例1、2(亜硫酸水素ナトリウム添加)と比較例1(亜硫酸水素ナトリウム未添加)とであまり差が生じないことが分かる。また、いずれの場合も浮選時間が長いほど浮選回収率が上昇するが、25分以上経過すると浮選回収率はあまり変化しないことが分かる。
表3において、銅とモリブデンの浮選回収率の差を回収率差分と称する。回収率差分が大きいほど浮遊選鉱による分離が容易である。実施例1、2では回収率差分が約70%であり、浮遊選鉱により銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離可能であることが分かる。一方、比較例1では浮遊選鉱により銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離不可能であることが分かる。
また、銅回収率は実施例1、2(亜硫酸水素ナトリウム添加)よりも実施例3(亜硫酸ナトリウム添加)の方が低いことが分かる。一方、モリブデン回収率は実施例1、2、3であまり差が生じないことが分かる。実施例3の回収率差分は約75%であり、実施例1、2の回収率差分(約70%)よりも大きいこと分かる。これより、表面処理剤として亜硫酸水素ナトリウムよりも亜硫酸ナトリウムを用いた方が、銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離する効果が高いことが分かる。
実施例1、2における亜硫酸水素ナトリウムの添加量は23gである。一方、実施例3における亜硫酸ナトリウムの添加量は1.15gである。これより、表面処理剤として亜硫酸水素ナトリウムよりも亜硫酸ナトリウムを用いた方が、添加量を低減でき、薬剤にかかるコストを低減できることが分かる。
以上より、鉱物スラリーに亜硫酸塩を添加すれば、浮遊選鉱により銅鉱物とモリブデン鉱物とを分離できることが確認された。特に、亜硫酸ナトリウムを用いれば、銅鉱物とモリブデン鉱物とを効率よく分離できることが確認された。

Claims (5)

  1. 銅鉱物とモリブデン鉱物とを含む鉱物スラリーに表面処理剤として亜硫酸塩を添加する条件付け工程と、
    前記条件付け工程の後、前記鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行う浮遊選鉱工程と、を備える
    ことを特徴とする選鉱方法。
  2. 前記条件付け工程において、前記鉱物スラリーの液相のpHを8〜11.5に調整する
    ことを特徴とする請求項1記載の選鉱方法。
  3. 前記条件付け工程は、
    前記鉱物スラリーを撹拌して、該鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子を分散させる分散工程と、
    前記分散工程の後、前記鉱物スラリーを希釈する希釈工程と、
    前記希釈工程の後、前記鉱物スラリーを所定時間保持する保持工程と、を備え、
    前記分散工程、前記希釈工程および前記保持工程のいずれかにおいて、前記鉱物スラリーに前記表面処理剤を添加する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の選鉱方法。
  4. 前記表面処理剤は亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムである
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の選鉱方法。
  5. 前記銅鉱物は黄銅鉱と斑銅鉱と輝銅鉱とを含む混合硫化銅鉱物であり、
    前記モリブデン鉱物は輝水鉛鉱である
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の選鉱方法。
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