JP2010229542A - 含銅物からの黄鉄鉱の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特別な薬品や危険性の高い薬品を使用することがなく、浮遊選鉱により容易に実施でき、黄鉄鉱を多く含む銅鉱石や銅精鉱などの含銅物から黄鉄鉱を分離して、銅品位の高い銅精鉱を得る方法を提供する。
【解決手段】 黄鉄鉱を含有する含銅物を粉砕してスラリー化し、このスラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤を添加して、空気を吹き込む浮遊選鉱により黄鉄鉱を分離する際に、抑制剤として亜硫酸ナトリウムや二亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩を含む化合物を用いる。また、スラリーのpHは8〜12の範囲が好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、黄鉄鉱を含有する銅鉱石などの含銅物から黄鉄鉱を分離し、銅品位の高い銅精鉱を得るための方法に関する。
銅鉱石などの含銅物から銅を回収するには、各種の方法が知られている。例えば、含銅物の一つである硫化銅鉱石からの銅回収方法として、選鉱工程、乾式製錬工程、電解工程の各段階を経て銅を回収する方法がある。
この方法の選鉱工程では、鉱山で採掘された硫化銅鉱石を粉砕してスラリーとし、浮遊選鉱する。浮遊選鉱では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成する浮選剤を添加し、空気を吹き込んで含銅鉱物を浮上させると共に、脈石などを沈降させて分離する。この浮遊選鉱で浮上した含銅鉱物(浮鉱)を回収して、銅品位30%前後の銅精鉱を得る。
次の乾式製錬工程では、銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉及び精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅が精製される。一方、銅精鉱に黄鉄鉱として含有される鉄成分は、自溶炉及び転炉で酸化されて鉄酸化物を形成し、スラグに分配される。また、銅精鉱に含有される硫黄は亜硫酸ガスとして分離され、回収されて硫酸の原料となる。また、銅精鉱の熔解に伴って発生したダストは、炉に繰り返される。
乾式製錬工程で得られた粗銅はアノードに鋳造され、電解工程に送られる。電解工程では、アノードを硫酸酸性溶液で満たした電解槽に装入し、銅やステンレスなどの薄板で作られたカソードとの間に通電して電解する。通電に伴ってアノードは溶解され、溶解された銅はカソード上に純度99.99%の電気銅として析出し、引揚げられて製品の電気銅となる。
近年では、このような銅鉱石からの銅回収における原料事情が変化し、銅鉱石に含まれる銅以外の成分が増加する傾向となっている。特に銅鉱石中の黄鉄鉱が年々増加するに伴って、黄銅鉱や班銅鉱など硫化銅鉱物の割合が低下し、銅鉱石の銅品位が低下する傾向となっている。
具体的に例示すると、従来は銅鉱石から得られる銅精鉱の銅品位は30〜40%程度であるのが一般的であったが、近年の黄鉄鉱が増加した銅鉱石を原料とする銅精鉱では25%を下回る銅品位となる場合も珍しくない。その結果、同じ量の粗銅を生産しようとする場合、従来よりも多くの銅精鉱を処理しなければならず、設備容量の圧迫、処理コストの増大、生産効率の低下などの問題が顕著になってきた。
銅鉱石などの含銅物に含まれている黄鉄鉱を分離する方法としては、上記浮遊選鉱が一般的である。浮遊選鉱では、スラリーに浮選剤を添加すると共にpHをアルカリ側に、具体的にはpH10以上に調整し、黄鉄鉱がスラリー中で浮上することを抑制して脈石などと共に沈降させることにより、浮上する黄銅鉱と分離することができる。尚、スラリーのpHを調整するには、価格が安く且つ取り扱いが容易なことから、石灰石や消石灰などが好んで使われている。
浮遊選鉱において、スラリーのpHがアルカリ側で上昇すると黄鉄鉱などの浮上が抑制されるメカニズムは詳しくは分っていないが、一般には、水酸化物イオンの濃度が上昇することによって、陰イオンの形態である捕収剤が鉱物表面に付着し難くなるためであると考えられている。しかし、過度にpHを上昇させると、含銅物中の有価物である銅や金などの成分までもが浮上し難くなる。
このように、浮遊選鉱により含銅物に含有されている黄鉄鉱を分離する場合、黄鉄鉱の分離を高めるためpHを上昇させると、有価物の銅精鉱への分配、即ち銅精鉱の実収率を低下させるという問題がある。そこで、銅精鉱の実収率が低下しないように逆にpHを低下させると、今度は黄鉄鉱の浮上抑制が不十分となり、銅精鉱中の銅品位が充分に向上できないという問題を生じていた。
浮遊選鉱による黄鉄鉱などの硫化鉱物の分離に関連する技術として、特開平02−504601号公報(特許文献1)には、硫化多金属鉱石の浮遊選鉱において、苛性化デンプンを添加して硫化鉄鉱物の浮上を抑制する方法が記載されている。この方法はフロス浮選による高価値金属の鉱物分離に関するものであるが、この方法を用いた場合の含銅鉱物と硫化鉄鉱物との分離性は良好ではない。
特表昭59−501539号公報(特許文献2)には、多種類の金属硫化鉱物を含む鉱石の浮遊選鉱において、シアン化物を添加して亜鉛や鉄の硫化鉱物の浮上を抑制する方法が記載されている。しかし、シアン化物は毒性が強いため、取り扱い時の安全性や管理コスト等の点で問題がある。
特開昭52−151603号公報(特許文献3)には、複雑硫化鉱の亜硫酸浮選において、晒粉、気体酸素、硫酸銅を方鉛鉱活性剤として添加し、閃亜鉛鉱と黄鉄鉱の浮上を抑制する方法が示されている。しかし、この方法では、上記薬剤の添加によって銅鉱物と黄鉄鉱との浮選実収率に差が生じておらず、銅鉱物と黄鉄鉱との分離に有効な方法であるとは言い難い。
また、米国特許第5846407号明細書(特許文献4)には、黄鉄鉱の抑制剤として、2−S thironium−ethane sulfoneteを使用する方法が示されている。更に、米国特許第5693692号明細書(特許文献5)には、黄鉄鉱を含む硫化鉄鉱物の抑制剤として、炭水化物ポリマー又はポリアクリル酸を使用する方法が示されている。しかし、これらの抑制剤は一般的なものではなく、入手が容易でないため、実操業の鉱山で多量に使用する場合には操業コストがかさむという問題がある。
特開平02−504601号公報 特表昭59−501539号公報 特開昭52−151603号公報 米国特許第5846407号明細書 米国特許第5693692号明細書
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、特別な薬品や危険性の高い薬品を使用することがなく、浮遊選鉱により容易に実施でき、黄鉄鉱を多く含む銅鉱石や銅精鉱などの含銅物から黄鉄鉱を分離して、銅品位の高い銅精鉱を得る方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する含銅物からの黄鉄鉱の分離方法は、黄鉄鉱を含有する含銅物を粉砕してスラリー化し、このスラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤を添加して、空気を吹き込む浮遊選鉱により黄鉄鉱を分離する方法であって、スラリーに添加する抑制剤として亜硫酸塩を含む化合物を用いることを特徴とする。
上記本発明による含銅物からの黄鉄鉱の分離方法において、前記亜硫酸塩の添加量は、例えば亜硫酸ナトリウムを用いる場合には含銅物1tに対し0.1〜7kgの範囲とすることが好ましく、例えば二亜硫酸ナトリウムを用いる場合には含銅物1tに対し0.1〜5kgの範囲とすることが好ましい。また、前記浮遊選鉱に供するスラリーのpHは、8〜12の範囲に維持することが好ましい。
本発明によれば、浮遊選鉱によって、特別な薬品や危険性の高い薬品を使用する必要がなく、黄鉄鉱を多く含む銅鉱石や銅精鉱などの含銅物から黄鉄鉱を分離し、銅品位の高い銅精鉱を得ることができる。従って、得られた高銅品位の銅精鉱を用いることにより、銅製錬工程の処理コストを低減すると共に、スラグの発生量を低下させることができる。
更に、本発明によれば、浮遊選鉱におけるスラリーのpH範囲が弱アルカリ領域であっても、銅精鉱の実収率を低下させることなく、黄鉄鉱を効率的に分離することができる。その結果、pH調整に必要となるアルカリを節約することができるため、コスト的にも極めて有利である。
実施例で用いた本発明方法の一具体例を示すフロー図である。
本発明が原料とする含銅物については、その種類は特に制限されず、一般的には銅製錬に使用される黄銅鉱などの銅鉱石であり、特に最近の黄鉄鉱を多く含有する銅鉱石である。また、従来から行われている一般的な浮遊選鉱法を用いて得られた黄鉄鉱を多く含む銅精鉱にも適用することができ、黄鉄鉱を分離して更に銅品位の向上した銅精鉱を得ることができる。
含銅物中の黄鉄鉱の含有量についても、特に限定するものではない。尚、浮遊選鉱(以下、単に浮選とも称する)を行うには、黄鉄鉱が単体粒子で存在しなければ効果がないため、予め粉砕等の処理を行って黄鉄鉱の多くが単体分離されている状態とすることが望ましい。また、黄鉄鉱が銅鉱物と緻密に結合しているために良好な分離が得られない場合には、湿式ボールミルなどを用いて含銅物を適切な粒度に粉砕してから本発明を適用すればよい。
本発明においては、黄鉄鉱を含む含銅物を粉砕してスラリーとし、浮選剤を添加して浮遊選鉱する。浮選剤は起泡剤、捕収剤及び抑制剤で構成されるが、本発明では抑制剤として亜硫酸塩を含む化合物を用いて浮遊選鉱し、含銅物に含有されている黄鉄鉱の浮上を抑制して沈降させ、黄銅鉱や班銅鉱などを主体とする高銅品位銅精鉱を浮上させて回収する。
上記亜硫酸塩を含む化合物としては、亜硫酸ナトリウム(NaSO)及び二亜硫酸ナトリウム(Na)を挙げることができ、いずれか片方を単独で又は両方を混合して用いることができる。尚、亜硫酸塩を含む化合物の抑制剤としての添加形態は特に限定されるものではなく、粉末又は溶液の何れの形態で添加してもかまわない。例えば亜硫酸ナトリウムあるいは二亜硫酸ナトリウムの水溶液など、亜硫酸イオン(SO 2−)を含有する水溶液(亜硫酸水とも称する)の形態で添加することもできる。
抑制剤としての添加する亜硫酸塩を含む化合物の添加量は、例えば、二亜硫酸ナトリウムの場合、浮選1回につき、含銅物1t当たり0.1kg以下では効果が発揮されないため、0.1kg/t以上の添加量が必要である。しかし、含銅物1t当たり5kg以上を添加しても黄鉄鉱の更なる分離効果は期待できず、10kg/tを超えると銅等の有価鉱物まで浮上が抑制されてしまうため実収率が低下する。従って、二亜硫酸ナトリウムの添加量は、浮選1回につき、含銅物1t当たり0.1〜5kgの範囲とすることが好ましい。
また、抑制剤が亜硫酸ナトリウムの場合には、浮選1回につき、含銅物1t当たり0.1kg以下では効果が発揮されず、0.1kg/t以上の添加量が必要である。しかし、含銅物1t当たり7kg以上を添加しても黄鉄鉱の更なる分離効果は期待できず、10kg/tを超えると銅等の有価鉱物までも浮上が抑制されるため実収率が低下する。従って、亜硫酸ナトリウムの添加量は、浮選1回につき、含銅物1t当たり0.1〜7kgの範囲とすることが好ましい。
浮遊選鉱に供する含銅物のスラリー(鉱液)のpHは8〜12の範囲が好ましい。pHが8未満では黄鉄鉱の抑制効果が不十分となり、pHが12を超えると黄鉄鉱から分離したい銅鉱物や金などの有価物までも浮上が抑制され、有価物の回収率が低下する恐れがある。また、充分な抑制効果を得るにはpH9以上とすることが好ましく、pHが11以上を超えても黄鉄鉱の分離効果が更に促進されることはほとんどなくなるため、pH9〜11の範囲が更に好ましい。
含銅鉱物の浮遊選鉱における従来のpHは10を超える強アルカリ性の範囲であったが、本発明によれば上記のごとくスラリーのpH範囲が弱アルカリ領域であっても、具体的にはpH8以上10以下の領域であっても、銅精鉱の実収率を低下させずに、黄鉄鉱を効率的に分離することができる。そのため、pH調整に必要なアルカリの量を従来に比べて節約することができ、コスト的にも極めて有利である。
本発明において浮遊選鉱の浮選剤中の抑制剤として亜硫酸塩を含む化合物を用いることにより、黄鉄鉱の浮上が抑制されて、浮上する黄銅鉱などと分離されるメカニズムの詳細については明らかではないが、含有される亜硫酸イオンが黄鉄鉱の表面に作用して、付着した捕収剤を脱着し、黄鉄鉱の表面を親水性化するためと考えられる。尚、本発明では従来よりも低い中性範囲に近いpH領域で顕著な分離効果が得られるが、その理由については明らかではない。
浮遊選鉱で用いる浮選剤のうち起泡剤と捕収剤は、従来から通常使用されているものでよい。好ましい起泡剤としては、例えばCytec Industries Inc.製のX−95(商品名)などがある。また、好ましい捕収剤としては、例えばCytec Industries Inc.製のAP208(商品名)などがある。また、これら起泡剤と捕収剤の添加量は、予め少量のサンプルを用いた予備試験を行って決定するか、あるいは操業しながら適宜調整しつつ良好な分離が得られる量を選定すればよい。
また、本発明で使用する浮選機についても、特に限定されるものではなく、市販の機械撹拌式浮選機やカラム式浮選機を使用することができる。浮選時間は、銅精鉱中に含まれる黄鉄鉱の割合や目的とする分離度によって適正範囲が異なるため、上述の浮選剤の添加量と同様に予備試験で選定したり、あるいは操業しながら適宜調整したりすることが好ましい。
本発明によれば、1回又は複数回の浮遊選鉱を行うことにより、含銅物中に含まれている黄鉄鉱を沈鉱として分離し、高銅品位の銅精鉱を浮鉱として回収することができる。回収された高銅品位の銅精鉱は、乾式製錬工程に供給して従来と同様に処理し、製品として電気銅を得ることができる。従って、最近の黄鉄鉱を多く含む銅鉱石であっても、製錬工程でスラグ処理設備を増強するといった多大な投資を必要とせずに、高効率で銅を回収することができる。
以下の実施例及び比較例によって本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例では、ペルー産の黄鉄鉱を多く含む銅精鉱を用い、図1に示す工程に従って3回の浮遊選鉱を行い、高銅品位精鉱を回収した。用いた銅精鉱の化学分析値と鉱物割合を下記表1に示した。尚、化学分析値はICP発光分析法を用いて分析し、鉱物割合は顕微鏡観察によって求めた。
Figure 2010229542
[実施例1]
上記表1に示す黄銅鉱を70.3重量%含む銅精鉱を、ボールミルで80%通過粒径が15μmになるように粉砕した後、粉砕物100gに水400mlを加え、3分間撹拌してスラリー化した。このスラリーを、セル容量0.5リットルのアジテア型浮遊選鉱試験機に装入した。その後、抑制剤として亜硫酸ナトリウム(NaSO;試薬)を、銅精鉱1t当たり0.5kgに相当する0.05g添加した。尚、スラリーのpHは、消石灰を用いて10.5に調整した。
次に、起泡剤として、米国のCytec Industries Inc.製のX−95(商品名)を、銅精鉱1t当たり40gに相当する0.004g添加した。最後に、捕収剤として、米国のCytec Industries Inc.製のAP208(商品名)を、銅精鉱1t当たり300gに相当する0.03gを添加して、10分間撹拌した。
その後、更に撹拌を継続しながら、図1に示すように、空気を2リットル/minの流量で吹き込んで8分間の浮遊選鉱1を行い、浮鉱1と沈鉱1とに分離した。浮鉱1は浮遊選鉱機に繰り返し、浮鉱1のスラリーに再び亜硫酸ナトリウムを銅精鉱1t当たり0.2kgに相当する0.02g添加して3分間撹拌した。その後、空気を2リットル/minで吹き込みながら5分間の浮遊選鉱2を行い、浮鉱2と沈鉱2とを得た。更に浮鉱2について浮遊選鉱2と同じ浮選操作を繰り返す浮遊選鉱3により、浮鉱3と沈鉱3を得た。
上記3回の浮遊選鉱により、得られた沈鉱1〜沈鉱3を混合して一つにまとめて黄鉄鉱濃縮物とし、浮鉱3は高銅品位精鉱として、それぞれ分析した。尚、浮遊選鉱を3回繰り返し行ったのは黄鉄鉱の分離をより確実するためであるが、必要な繰り返し回数は対象とする含銅物の銅品位や黄鉄鉱含有量などによって異なるため、適宜予備試験を実施して決定すればよい。尚、実施例1の場合、4回以上浮遊選鉱を繰り返しても浮鉱と沈鉱の分離結果は大きく変わらなかった。
上記実施例1の浮遊選鉱を試料1として、浮遊選鉱1における分離成績、3回の浮遊選鉱で得られた高銅品位精鉱(浮鉱3)の銅と黄鉄鉱の品位及び銅分配率を評価し、その結果を浮遊選鉱条件と共に、下記表2に示した。尚、浮遊選鉱1における銅と黄鉄鉱の分離度は、下記数式1により評価した。銅と黄鉄鉱の分離度は、浮鉱1に含有される銅の分配率が高く且つ黄鉄鉱の分配率が低いほど高い値となり、本発明の目的に対し好ましい結果となる。
Figure 2010229542
抑制剤として亜硫酸ナトリウムを浮遊選鉱1回当たり0.5kg/t添加し且つpHを10.5に調整した試料1の場合、浮遊選鉱1において銅の98.8%を浮鉱1に分配させ、沈降1に分配された銅は1.2%であった。一方、浮鉱1に分配する黄鉄鉱は78.9%に抑制され、沈鉱1には21.1%の黄鉄鉱が分配され、このときの分離度は21となった。更に、浮鉱1について浮遊選鉱2及び浮遊選鉱3を行った結果、得られた高銅品位精鉱の銅品位は32.8%にまで上昇し、黄鉄鉱品位は8.5%まで低下した。また、このときの銅分配率は86.4%であった。
尚、下記表1に示す銅精鉱中の銅品位は26.6%であるが、上記実施例1による試料1の高銅品位精鉱では32.8%まで上昇した。このことは、同じ量の銅を生産する場合には、乾式製錬法で処理しなければならない銅精鉱の量が81%に減少することを意味しており、その減少分が処理コストの低下分となる。また、同じ量の銅を生産するとき発生するスラグの量も、銅精鉱の量の減少に応じて低下する。
[実施例2]
上記実施例1と同じ銅精鉱を用いると共に、抑制剤の亜硫酸塩として同じく亜硫酸ナトリウムを用いたが、下記表2の試料2〜3に示すように、浮遊選鉱1回当たりの亜硫酸ナトリウムの添加量を銅精鉱1トン当たり8.0kg(試料2)、12.0kg(試料3)とした以外は、上記実施例1と同様に3回の浮遊選鉱を繰り返し、浮鉱3として高銅品位精鉱を得た。
これら浮遊選鉱の試料2と試料3について、浮遊選鉱1における分離成績、3回の浮遊選鉱で得られた高銅品位精鉱(浮鉱3)の銅と黄鉄鉱の品位及び銅分配率を上記実施例1と同様に評価して、その結果を遊選鉱条件と共に、下記表2に併せて示した。尚、浮遊選鉱1における銅と黄鉄鉱の分離度は、上記数式1により評価した。
下記表2の結果から分るように、亜硫酸ナトリウムの添加量が8.0〜12.0kg/tで且つスラリーのpHが10.5である試料2と試料3では、浮遊選鉱1における分離度は19と18であり、上記実施例1の試料1に比べて若干低下した。また、高品位銅精鉱(浮鉱3)における銅分配率は、試料2が80.6%及び試料3が80.0%であり、上記実施例1の試料1に比べ低下が認められた。
[実施例3]
上記実施例1と同じ銅精鉱を用いると共に、抑制剤の亜硫酸塩として二亜硫酸ナトリウム(Na;試薬)を用い、その添加量を0.2kg/tとした以外は、上記実施例1と同様に3回の浮遊選鉱を繰り返し、浮鉱3として高銅品位精鉱を得た。
この浮遊選鉱を試料4として、浮遊選鉱1における分離成績、3回の浮遊選鉱で得られた高銅品位精鉱の銅と黄鉄鉱の品位及び銅分配率を評価し、その結果を浮遊選鉱条件と共に、下記表2に示した。尚、浮遊選鉱1における銅と黄鉄鉱の分離度は、上記数式1により評価した。
抑制剤として二亜硫酸ナトリウムを浮遊選鉱1回当たり0.2kg/t添加し且つpHを10.5に調整した上記試料4の場合、浮遊選鉱1において銅の98.5%を浮鉱1に分配させ、沈降1に分配された銅は1.5%であった。一方、浮鉱1に分配する黄鉄鉱は79.8%に抑制され、沈鉱1には20.2%の黄鉄鉱が分配され、このときの分離度は17となった。更に、高銅品位精鉱(浮鉱3)の銅品位は33.5%に上昇し、黄鉄鉱品位は7.7%まで低下し、このときの銅分配率は83.1%であった。
[実施例4]
上記実施例1と同じ銅精鉱を用いると共に、抑制剤の亜硫酸塩として二亜硫酸ナトリウムを用い、下記表2の試料5〜9に示すように、浮遊選鉱1回当たりの添加量を銅精鉱1トン当たり0.5kg、2.5kg、10.0kgとし、またスラリーのpHを7.0、9.5、10.5とした以外は、上記実施例1と同様に3回の浮遊選鉱を繰り返し、浮鉱3として高銅品位精鉱を得た。
これらの浮遊選鉱の試料5〜9について、浮遊選鉱1における分離成績、3回の浮遊選鉱で得られた高銅品位精鉱の銅と黄鉄鉱の品位及び銅分配率を上記実施例1と同様に評価して、その結果を遊選鉱条件と共に、下記表2に併せて示した。尚、浮遊選鉱1における銅と黄鉄鉱の分離度は、上記数式1により評価した。
表2から分るように、二亜硫酸ナトリウムの添加量が0.5〜2.5kg/tで且つスラリーのpHが9.5〜10.5である試料5〜7では、浮遊選鉱1における分離度は29〜32と上記実施例3の試料4よりも高くなり、二亜硫酸ナトリウムによる黄鉄鉱鉱物の分離効果が確かめられた。
しかし、二亜硫酸ナトリウムの添加量が0.5kg/tで且つスラリーのpHが7.0と低い試料8では、浮遊選鉱1における分離度は7と上記実施例3の試料4よりも大幅に低くなり、高銅品位精鉱(浮鉱3)中の銅分配率が74.0%に低下した。また、二亜硫酸ナトリウムの添加量が10.0kg/tで且つスラリーのpHが7.0と低い試料9では、浮遊選鉱1で浮鉱1への銅分配率が81.7%にまで低下したため、浮遊選鉱2以降の操作を取り止めた。このように、スラリーのpHが8よりも低い場合には、抑制剤である亜硫酸塩による抑制効果が銅鉱物にも及び、銅の実収率が低下することが分る。
[比較例1]
上記実施例1と同じ銅精鉱を用い、起泡剤と捕収剤は上記実施例1と同じものを同量添加したが、抑制剤として亜硫酸ナトリウム及び二亜硫酸ナトリウムを添加せず、且つスラリーのpHを7.0、9.5、10.5とした以外は、上記実施例1と同様に3回の浮遊選鉱を繰り返し、浮鉱3として高銅品位精鉱を得た。
この比較例1における浮遊選鉱を試料10〜12とし、浮遊選鉱1における分離成績、3回の浮遊選鉱で得られた高銅品位精鉱の銅と黄鉄鉱の品位及び銅分配率を上記実施例1と同様に評価して、その結果を浮遊選鉱条件と共に、下記表2に併せて示した。
表2から分るように、抑制剤の亜硫酸ナトリウム及び二亜硫酸ナトリウムを添加していない比較例の試料10〜12では、浮遊選鉱1における分離度は7〜9に過ぎず、上記実施例1〜4の各試料に比べて極端に低く、また高銅品位精鉱(浮鉱3)中の黄鉄鉱品位は上記実施例1〜4の各試料よりも高かった。
Figure 2010229542

Claims (6)

  1. 黄鉄鉱を含有する含銅物を粉砕してスラリー化し、このスラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤を添加して、空気を吹き込む浮遊選鉱により黄鉄鉱を分離する方法であって、スラリーに添加する抑制剤として亜硫酸塩を含む化合物を用いることを特徴とする含銅物からの黄鉄鉱の分離方法。
  2. 前記亜硫酸塩を含む化合物が、亜硫酸ナトリウム及び二亜硫酸ナトリウムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の含銅物からの黄鉄鉱の分離方法。
  3. 前記亜硫酸ナトリウムの添加量が含銅物1tに対し0.1〜7kgの範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の含銅物からの黄鉄鉱の分離方法。
  4. 前記二亜硫酸ナトリウムの添加量が含銅物1tに対し0.1〜5kgの範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の含銅物からの黄鉄鉱の分離方法。
  5. 前記浮遊選鉱に供するスラリーのpHを8〜12の範囲に維持することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の含銅物からの黄鉄鉱の分離方法。
  6. 前記含銅物が銅鉱石又は銅精鉱であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の含銅物からの黄鉄鉱の分離方法。
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