JP2019007049A - 選鉱方法 - Google Patents

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【課題】より効率よく砒素またはモリブデンを含有する鉱物を分離できる選鉱方法を提供する。【解決手段】選鉱方法は、鉄を含む第1鉱物と砒素またはモリブデンを含む第2鉱物とを含む原料を加熱して、第1鉱物と第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる加熱工程と、加熱工程の後に、磁着物としての第1鉱物と、非磁着物としての第2鉱物とに分離する磁力選鉱工程とを備える。加熱工程の条件を適切に設定することで、砒素またはモリブデンを含む鉱物を効率よく分離できる。【選択図】図1

Description

本発明は、選鉱方法に関する。さらに詳しくは、磁力選鉱による選鉱方法に関する。
銅精錬の分野では、銅を含有する銅鉱石や銅精鉱などの原料から銅を回収する様々な方法が提案されている。例えば、銅鉱石から銅を回収するには以下の処理が行われる。
(1)選鉱工程
選鉱工程では、鉱山で採掘された銅鉱石を粉砕した後、水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行う。浮遊選鉱では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加し、空気を吹き込んで銅を含む鉱物を浮遊させつつ、脈石を沈降させて分離を行う。これにより銅品位30%前後の銅精鉱が得られる。
(2)乾式製錬工程
乾式製錬工程では、選鉱工程で得られた銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉および精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅にまで精製する。粗銅は次工程の電解工程で用いられるアノードに鋳造される。
(3)電解工程
電解工程では、硫酸酸性溶液(電解液)で満たされた電解槽に前記アノードを挿入し、カソードとの間に通電して電解精製を行う。電解精製によって、アノードの銅は溶解し、カソード上に純度99.99%の電気銅として析出する。
ところで、銅は黄銅鉱や斑銅鉱などの硫化鉱物として硫化銅鉱石中に存在するものが多い。ポーフォリー型と呼ばれる銅鉱床をもつ鉱山では、鉱石中の黄銅鉱や斑銅鉱に輝水鉛鉱や硫砒銅鉱などが随伴されている。
輝水鉛鉱に含まれるモリブデンは特殊鋼の合金成分、石油精製の触媒、潤滑剤などに用いられる有価な元素である。また、輝水鉛鉱が炉で熔解されると、揮発したモリブデンが設備に付着し腐食を促進する。硫砒銅鉱に含まれる砒素を乾式製錬工程で処理するにはコストが必要となる。そのため、選鉱工程において銅鉱石から輝水鉛鉱や硫砒銅鉱を分離することが求められる。
以下の特許文献1、2、3には、輝水鉛鉱などのモリブデンを含有する鉱物を分離する方法が開示されている。
特許文献1には、鉱物の表面をオゾン酸化させた後に浮遊選鉱を行う方法が開示されている。より詳細には、銅粗選および銅精選によって得られた銅精鉱に対してモリブデン浮選を行う。得られた浮鉱の輝水鉛鉱含有量が約1重量%になった時点で浮鉱をオゾン酸化する。この浮鉱を再度浮遊選鉱に付してモリブデン鉱物を浮鉱として回収する。
特許文献2には、鉱物の表面にプラズマ処理を施した後に浮遊選鉱を行う方法が開示されている。より詳細には、銅を含む鉱物とモリブデンを含む鉱物の混合物に、酸素を酸化剤とする雰囲気下でプラズマ照射を行う。プラズマ処理後の混合物をアルカリ金属塩の水溶液で洗浄する。洗浄後の混合物を浮遊選鉱に付して銅を含む鉱物とモリブデンを含む鉱物とを分離する。
特許文献3には、高純度二硫化モリブデンの製造方法が開示されている。より詳細には、モリブデン精鉱からなる湿潤ケーキにマイクロ波処理を施す。マイクロ波処理の後、湿潤ケーキに水を加えてスラリーとし磁力分離を行う。これにより純度が99.3%以上の高純度二硫化モリブデンを得る。
以下の特許文献4、5、6には、硫砒銅鉱などの砒素を含有する鉱物を分離する方法が開示されている。
特許文献4には、砒素を含む銅精鉱を90〜120℃で加熱処理した後、リパルプして浮遊選鉱し、砒素鉱物を浮遊させて除去することが開示されている。加熱処理により銅鉱物表面が酸化され、不活性の酸化皮膜が形成される。その結果、銅鉱物と砒素鉱物の表面での表面化学的または結晶化学的な状態に違いが生じ、これが浮遊性の差となって両者の分離が可能になると考えられる。
特許文献5には、空気、過酸化水素、その他の酸化剤を添加し、ザンセートを捕収剤とし、ポリアミンおよび硫黄化合物の混合物を抑制剤としてpH9〜10で浮遊選鉱することによって砒素鉱物を分離する方法が開示されている。
特許文献6には、砒素鉱物を含む含銅物に水を添加してスラリーにした後、スラリーのpHを8〜12に調整して浮遊選鉱することによって含銅物から砒素鉱物を分離する方法が開示されている。銅イオンとのキレートを生成するトリエチレンテトラミンやエチレンジアミン四酢酸などのキレート剤を用いて含銅物を処理する可溶性銅除去工程、および空気や酸素などの酸化剤を用いて砒素鉱物を酸化処理する酸化工程の内の少なくとも一方を行う。
特開平5−195106号公報 特開2014−188428号公報 中国特許出願公開第103318961号明細書 特開2006−239553号公報 米国特許第7004326号明細書 特開2012−241249号公報
本発明は上記事情に鑑み、より効率よく砒素またはモリブデンを含有する鉱物を分離できる選鉱方法を提供することを目的とする。
第1発明の選鉱方法は、鉄を含む第1鉱物と砒素またはモリブデンを含む第2鉱物とを含む原料を加熱して、前記第1鉱物と前記第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる加熱工程と、前記加熱工程の後に、磁着物としての前記第1鉱物と、非磁着物としての前記第2鉱物とに分離する磁力選鉱工程と、を備えることを特徴とする。
第2発明の選鉱方法は、第1発明において、前記第1鉱物は黄銅鉱であり、前記第2鉱物は硫砒鉄鉱であり、前記加熱工程において、炉内温度を360℃以上、400℃以下とし、加熱時間を15分以上とすることを特徴とする。
第3発明の選鉱方法は、第1発明において、前記第1鉱物は黄銅鉱であり、前記第2鉱物は砒四面銅鉱、硫砒銅鉱または輝水鉛鉱であり、前記加熱工程において、炉内温度を360℃以上、750℃以下とし、加熱時間を15分以上とすることを特徴とする。
本発明によれば、加熱工程の条件を適切に設定することで、砒素またはモリブデンを含む鉱物を効率よく分離できる。
本発明の一実施形態に係る選鉱方法の工程図である。 交流対極磁選機の説明図である。 電気炉で加熱した黄銅鉱のXRD測定結果である。 管状炉で加熱した黄銅鉱のXRD測定結果である。 電気炉で加熱した硫砒鉄鉱のXRD測定結果である。 管状炉で加熱した硫砒鉄鉱のXRD測定結果である。 電気炉で加熱した硫砒銅鉱のXRD測定結果である。 管状炉で加熱した硫砒銅鉱のXRD測定結果である。 電気炉で加熱した砒四面銅鉱のXRD測定結果である。 管状炉で加熱した砒四面銅鉱のXRD測定結果である。 電気炉で加熱した輝水鉛鉱のXRD測定結果である。 管状炉で加熱した輝水鉛鉱のXRD測定結果である。 磁化率測定試験における各試料の磁化率を示すグラフである。 図(A)は磁力選鉱試験における歩留まりを示すグラフである。図(B)は磁力選鉱試験における品位を示すグラフである。図(C)は磁力選鉱試験における磁着物回収率を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る選鉱方法は、(1)粉砕工程、(2)浮遊選鉱工程、(3)加熱工程、(4)磁力選鉱工程からなる。
(1)粉砕工程
粉砕工程では、鉱山で採掘された鉱石を粉砕する。
(2)浮遊選鉱工程
浮遊選鉱工程では、粉砕された鉱石に水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行う。浮遊選鉱により、鉱石に含まれる脈石を除去し、精鉱を得る。必要に応じてさらに種々の方法で選鉱を行ってもよい。また、浮遊選鉱に代えて、他の選鉱方法で脈石を除去し、精鉱を得てもよい。なお、次工程である加熱工程に装入される精鉱が、特許請求の範囲に記載の「原料」に相当する。
精鉱には複数種類の鉱物が含まれる。鉱物としては、例えば、黄銅鉱(chalcopyrite:CuFeS2)、斑銅鉱(bornite:Cu5FeS4)、硫砒銅鉱(enargite:Cu3AsS4)、硫砒鉄鉱(arsenopyrite:FeAsS)、砒四面銅鉱(tennantite:(Cu,Fe,Zn)12(Sb,As)413)、輝水鉛鉱(molybdenite:MoS2)が挙げられる。
本明細書では、鉄を含む鉱物を第1鉱物と称する。第1鉱物には回収対象の金属、例えば銅が含まれる。また、第1鉱物には分離対象である砒素およびモリブデンが含まれない。このような第1鉱物として黄銅鉱および斑銅鉱が挙げられる。
また、砒素またはモリブデンを含む鉱物を第2鉱物と称する。第2鉱物には、鉄を含む鉱物と、鉄を含まない鉱物とが含まれる。鉄を含む2鉱物として第1鉱物よりも熱分解温度が高い鉱物が選択される。このような第2鉱物として硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱、砒四面銅鉱および輝水鉛鉱が挙げられる。
例えば、鉱石として輝水鉛鉱を随伴する硫化銅鉱石を用い、鉱石にプラズマ処理を施した後に浮遊選鉱を行うと、下記表1に示す組成のモリブデン精鉱が得られる。このモリブデン精鉱には主に黄銅鉱と輝水鉛鉱とが含まれる。
また、近年入手可能となったペルー産銅精鉱の組成を表2に示す。ペルー産銅精鉱には主に黄銅鉱と硫砒銅鉱とが含まれる。
(3)加熱工程
加熱工程では、第1鉱物と第2鉱物とを含む原料を加熱して、第1鉱物に磁性体を生成させる。これにより、第1鉱物と第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる。具体的には、第1鉱物の磁化率を第2鉱物の磁化率より高くする。例えば、黄銅鉱と硫砒銅鉱とを含む精鉱を加熱して、黄銅鉱のみに磁性体を生成させ、黄銅鉱の磁化率を高くする。なお、磁性体には常磁性体、反磁性体、強磁性体が含まれる。
原料に含まれる鉱物の種類に応じて、炉内温度や加熱時間などの加熱工程の条件を適切に設定し、第1鉱物と第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる。これにより、後の磁力選鉱工程において第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。この詳細は後述の実施例にて説明する。原料を加熱する装置は特に限定されないが、例えば電気炉、バーナー炉、熱風炉、管状炉などを用いることができる。
なお、第2鉱物として鉄を含む鉱物を選択した場合、炉内温度は第1鉱物の熱分解温度よりも高く、第2鉱物の熱分解温度よりも低い温度に設定される。また、第2鉱物として鉄を含まない鉱物を選択した場合、炉内温度は第1鉱物の熱分解温度よりも高い温度に設定される。
(4)磁力選鉱工程
加熱工程の後、原料を磁着物と非磁着物に分離する。加熱工程で磁化率が高くなった第1鉱物を磁着物として、第2鉱物を非磁着物として回収することで、第1鉱物と第2鉱物とを分離できる。原料に含まれる鉱物の種類に応じて、磁束密度などの磁力選鉱工程の条件を設定することで、第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。また、原料に含まれる鉱物の粒度を適切に設定することで、第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。
磁力選鉱に用いられる装置は特に限定されないが、例えば交流対極磁選機、ドラム型磁選機、ベルト型磁選機などを用いることができる。このうち交流対極磁選機は図2に示す構成を有する。交流対極磁選機1は、水平に対向させて配置された一対の電磁ドラム11、11を有する。この一対の電磁ドラム11、11の間に磁場を発生させる。原料を電磁ドラム11、11の間に流すと、磁着物は電磁ドラム11に吸着され電磁ドラム11の回転により運ばれて磁着物排出口12から排出される。一方、非磁着物は電磁ドラム11、11の間をそのまま落下し非磁着物排出口13から排出される。電磁ドラム11、11の間の磁束密度は設定により変更可能である。
加熱工程および磁力選鉱工程は湿式で行ってもよいし、乾式で行ってもよい。浮遊選鉱で得られた直後の精鉱を原料とする場合には、スラリーのまま湿式で加熱工程および磁力選鉱工程を行えばよい。そうすれば、スラリーを乾燥させる必要がなくなる。また、乾燥した原料を処理する場合には、わざわざスラリーにする必要はなく、乾式で処理すればよい。原料に微細粉末が多く含まれる場合は、湿式で磁力選鉱工程を行なうことが好ましい。乾燥状態の微細粉末は凝集しやすく磁力選鉱の効率が低下する。スラリーとすれば微細粉末を分散させたまま維持できるため、磁力選鉱の効率を高く維持できる。
第1鉱物と第2鉱物とを分離することで、第2鉱物に含まれる砒素またはモリブデンを除去できる。精鉱の砒素またはモリブデンの含有率を低減できるので、その後の製錬工程で砒素またはモリブデンを処理するコストを低減できる。
(物性変化測定試験)
まず、加熱による鉱物の物性の変化を測定した試験を説明する。
(1)試料調整
純粋な黄銅鉱、硫砒鉄鉱、硫砒銅鉱、砒四面銅鉱、および輝水鉛鉱の試料を準備し、それぞれに対して粒度調整を行った。粒度調整は試料をメノウ乳鉢で粉砕した後、篩分けすることにより行った。鉱物の酸化を防止するために窒素ガス雰囲気中で処理を行った。粒度調整により、各試料の粒度を38μm以下とした。
(2)加熱処理
各試料を2つに分け、それぞれ別の方法で加熱処理およびXRD測定を行った。
方法1:電気炉
各試料の熱分解温度を調べるため、各試料を電気炉を搭載したXRD装置(リガク社製試料水平型多目的X線回折装置、型番:Ultima IV)で加熱した。加熱と同時にXRD測定を行った。炉内温度の目標温度を400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、500℃に設定した。炉内温度を室温(27℃)から各目標温度まで10℃/分で昇温し、各目標温度で1分間保持(目標温度450℃の場合は1分間保持、および15分保持)した後、試料のXRD測定を行った。
方法2:管状炉
十分な酸素供給がある条件での加熱処理を再現するため、各試料を管状炉(ADVANTEC社製電気管状炉、型番:FUT150MR、以下同じ。)で加熱した。炉内温度を400℃、加熱時間を15分に設定した。加熱処理の前後の試料をXRD測定(リガク社製試料水平型多目的X線回折装置、型番:Ultima IV)した。
図3に電気炉で加熱した黄銅鉱のXRD測定結果を示す。黄銅鉱のピークは400℃でほぼみられなくなる。黄銅鉱は400℃以上での加熱で結晶構造が変化することが分かる。
図4に管状炉で加熱した黄銅鉱のXRD測定結果を示す。黄銅鉱を400℃で15分間加熱すると、黄銅鉱のピークが減少し、磁性体である磁鉄鉱(magnetite)、磁赤鉄鉱(maghemite)、赤鉄鉱(hematite)が生成することが分かる。これは、加熱処理後の黄銅鉱が磁性を有することを意味している。
図5に電気炉で加熱した硫砒鉄鉱のXRD測定結果を示す。硫砒鉄鉱のピークは450℃までほぼ変化がないが、500℃で低下する。500℃で加熱すると磁性体である磁鉄鉱(magnetite)、磁赤鉄鉱(maghemite)、赤鉄鉱(hematite)が生成することが分かる。
図6に管状炉で加熱した硫砒鉄鉱のXRD測定結果を示す。硫砒鉄鉱を400℃で15分間加熱しても、硫砒鉄鉱のピーク以外はほぼ見られなかった。これは、400℃の加熱処理では硫砒鉄鉱の磁性に変化がないことを意味している。
図7に電気炉で加熱した硫砒銅鉱のXRD測定結果を示す。硫砒銅鉱のピークは400℃で低下し、420℃でほぼみられなくなる。400℃では輝銅鉱(Cu2S)が生成し、420℃以上で硫酸銅(CuSO4)が生成することが分かる。
図8に管状炉で加熱した硫砒銅鉱のXRD測定結果を示す。硫砒銅鉱を400℃で15分間加熱すると、硫砒銅鉱のほかに非磁性の輝銅鉱(Cu2S)、ダイジェナイト(Cu1.8S)が見られた。これは、400℃の加熱処理では硫砒銅鉱の磁性に変化がないことを意味している。
図9に電気炉で加熱した砒四面銅鉱のXRD測定結果を示す。砒四面銅鉱のピークは430℃まで見られる。440℃では輝銅鉱(Cu2S)が生成し、500℃では硫酸銅(CuSO4)が生成することが分かる。
図10に管状炉で加熱した砒四面銅鉱のXRD測定結果を示す。砒四面銅鉱を400℃で15分間加熱しても砒四面銅鉱のピーク以外はほぼ見られなかった。これは、400℃の加熱処理では砒四面銅鉱の磁性に変化がないことを意味している。
図11に電気炉で加熱した輝水鉛鉱のXRD測定結果を示す。輝水鉛鉱のピークは500℃までほぼ変化がない。500℃では酸化モリブデン(VI)(MoO3)が生成することが分かる。
図12に管状炉で加熱した輝水鉛鉱のXRD測定結果を示す。輝水鉛鉱を400℃で15分間加熱しても輝水鉛鉱のピーク以外はほぼ見られなかった。これは、400℃の加熱処理では輝水鉛鉱の磁性に変化がないことを意味している。
以上から明らかなように、黄銅鉱は比較的低温(400℃)で磁性体が生成する。一方、その他の鉱物は比較的高温(400℃より高い温度)にならないと磁性体が生成しない。この理由は、必ずしも明らかではないが、本願発明者はつぎのように推測している。
XRD測定結果から明らかなように、鉄を含む鉱物を加熱すると鉱物の組織が変化して磁鉄鉱(magnetite)、磁赤鉄鉱(maghemite)などの磁性体が生成する。ただし、鉱物によって熱分解温度が異なるため、磁性を帯びる温度が異なる。
また、鉱物に鉄が多く含まれるほど磁性体が生成しやすい。換言すれば、鉄を含まない鉱物は磁性体が生成しにくい。そのため、鉄を含まない輝水鉛鉱は比較的高温になっても磁性体が生成しにくい。
以上のように、鉱物を比較的低温で加熱すると、鉄を含む黄銅鉱などの第1鉱物は磁性体が生成する一方、鉄を含まない硫砒銅鉱、輝水鉛鉱や、鉄を含むが第1鉱物よりも熱分解温度が高い硫砒鉄鉱、砒四面銅鉱などの第2鉱物は磁性体が生成されない。これを利用すれば、第1鉱物と第2鉱物との磁化率に差異を生じさせることができ、磁力選鉱において第1鉱物と第2鉱物とを分離できると考えられる。
(磁化率測定試験)
つぎに、加熱後の鉱物の磁化率を測定した試験を説明する。
(1)試料調整
純粋な黄銅鉱、硫砒鉄鉱、硫砒銅鉱、砒四面銅鉱、および輝水鉛鉱の試料を準備し、それぞれに対して粒度調整を行った。粒度調整は試料をメノウ乳鉢で粉砕した後、篩分けすることにより行った。鉱物の酸化を防止するために窒素ガス雰囲気中で処理を行った。粒度調整により、各試料の粒度を38μm以下とした。
(2)加熱処理
各試料を管状炉で加熱した。炉内温度を300℃、350℃、360℃、380℃、400℃、450℃、500℃、750℃に設定し、各温度で15分間保持した。また、炉内温度を400℃に設定し、加熱時間を30分、60分とした試験も行った。
加熱処理の後、各試料を放冷してから磁化率を測定した。磁化率の測定には、磁化率測定装置(Bartington Instruments社製、Magnetic susceptibility meter(型番:M3)およびSingle Frequency Sensor(型番:MS2G))を用いた。
加熱時間を15分とした試験における、各試料の磁化率を表3および図13のグラフに示す。
炉内温度を400℃とした試験における、各試料の磁化率を表4に示す。
加熱時間を15分とした場合、黄銅鉱は360℃以上で加熱すると磁化率が高くなり、400℃で磁化率が最大となることが分かる。硫砒鉄鉱は430℃以上で加熱すると磁化率が高くなり、450℃で磁化率がほぼ最大となることが分かる。硫砒銅鉱、砒四面銅鉱、輝水鉛鉱は加熱しても磁化率が0(ゼロ)のままであることが分かる。
また、炉内温度を400℃とした場合、加熱時間が15分以上、60分以下の範囲では黄銅鉱のみ磁化率が高くなることが分かる。これより、15分以上加熱しても黄銅鉱のみ磁化率が高くなるという傾向は変わらないと推測される。以上より、加熱工程の条件を適切に設定することで、磁力選鉱工程において鉱物を分離できることが分かる。
例えば、原料に黄銅鉱と硫砒鉄鉱とが含まれる場合、加熱工程において、炉内温度を360℃以上、400℃以下とし、加熱時間を15分以上とすれば、磁力選鉱により黄銅鉱と硫砒鉄鉱とを分離できる。なお、一般的な向流対極磁力選鉱装置で磁束密度を1.0T程度に設定した場合、磁化率が約2.0×10-4以上の鉱物を磁着物として、磁化率が約1.0×10-4以下の鉱物を非磁着物として分離可能である。
原料に黄銅鉱と、硫砒銅鉱、砒四面銅鉱、輝水鉛鉱のうちの一または複数とが含まれる場合、加熱工程において、炉内温度を360℃以上750℃以下とし、加熱時間を15分以上とすれば、磁力選鉱により黄銅鉱とその他の鉱物とを分離できる。
(磁力選鉱試験)
つぎに、磁力選鉱を行った試験を説明する。
(1)試料調整
純粋な黄銅鉱および輝水鉛鉱の試料を準備し、それぞれに対して粒度調整を行った。粒度調整は試料をメノウ乳鉢で粉砕した後、篩分けすることにより行った。鉱物の酸化を防止するために窒素ガス雰囲気中で処理を行った。粒度調整により、各試料の粒度を38μm以下とした。
粒度調整後の黄銅鉱0.5gと輝水鉛鉱0.5gとを混合して混合物を得た。混合物の組成をXRF化学組成分析(リガク社製試料水平型多目的X線回折装置、型番:Ultima IV、以下同じ。)により測定した。
(2)加熱処理
混合物を管状炉で加熱した。炉内温度を400℃、加熱時間を15分とした。
(3)磁力選鉱
加熱処理の後、混合物を放冷してから磁力選鉱を行った。磁力選鉱には交流対極磁選機(日本磁力選鉱株式会社製、型式:G−30+30型)を用いた(図2参照)。電磁ドラムの間の磁束密度を1Tとした。交流対極磁選機により混合物を磁着物と非磁着物とに分離した。
得られた磁着物および非磁着物の重量を測定した。また、磁着物および非磁着物のそれぞれの組成をXRF化学組成分析により測定した。測定結果から、給鉱(交流対極磁選機に供給した混合物)、磁着物、および非磁着物のそれぞれの歩留まり、組成を求めた。さらに、磁着物回収率を求めた。ここで、歩留まりとは交流対極磁選機への供給量に対する各元素の重量割合を意味する。磁着物回収率とは交流対極磁選機への各元素の供給量に対する磁着物に含まれる各元素の重量割合を意味する。
図14(A)に歩留まりのグラフを示す。混合物のうち約70重量%が磁着物として回収され、残りの約30%が非磁着物として回収されたことが分かる。図14(B)に組成のグラフを示す。図14(C)に磁着物回収率のグラフを示す。銅の回収率が100%であり、モリブデンの回収率は約25%であることが分かる。これより、黄銅鉱と輝水鉛鉱とを十分に分離できることが確認された。
1 交流対極磁選機
11 電磁ドラム
12 磁着物排出口
13 非磁着物排出口

Claims (3)

  1. 鉄を含む第1鉱物と砒素またはモリブデンを含む第2鉱物とを含む原料を加熱して、前記第1鉱物と前記第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる加熱工程と、
    前記加熱工程の後に、磁着物としての前記第1鉱物と、非磁着物としての前記第2鉱物とに分離する磁力選鉱工程と、を備える
    ことを特徴とする選鉱方法。
  2. 前記第1鉱物は黄銅鉱であり、
    前記第2鉱物は硫砒鉄鉱であり、
    前記加熱工程において、炉内温度を360℃以上、400℃以下とし、加熱時間を15分以上とする
    ことを特徴とする請求項1記載の選鉱方法。
  3. 前記第1鉱物は黄銅鉱であり、
    前記第2鉱物は砒四面銅鉱、硫砒銅鉱または輝水鉛鉱であり、
    前記加熱工程において、炉内温度を360℃以上、750℃以下とし、加熱時間を15分以上とする
    ことを特徴とする請求項1記載の選鉱方法。
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