JP4085908B2 - 湿式銅精錬プロセスの浸出残渣に含有される貴金属の濃縮方法 - Google Patents

湿式銅精錬プロセスの浸出残渣に含有される貴金属の濃縮方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿式銅精錬プロセスの浸出残渣に含有される貴金属の濃縮方法に関し、さらに詳しくは、該浸出残渣に含有される黄鉄鉱を除去して該残渣中の貴金属を濃縮する方法に関する。本発明の貴金属の濃縮方法は硫化銅鉱から銅を回収する湿式銅精錬プロセスの浸出残渣処理方法として用いられる。
【0002】
【従来の技術】
現在、世界の銅の大部分が、硫化銅精鉱を原料とした乾式溶錬法によって製造されている。前記硫化銅精鉱は、黄銅鉱(CuFeS)など硫化銅鉱物を含有する鉱石を、浮遊選鉱法などの物理分離手段によって硫化鉱物を濃集したものである。前記硫化銅精鉱の組成は、主に鉱石の産地に依存するが、上記した銅鉱物、黄鉄鉱(FeS)、磁硫鉄鉱(Fe1−XS、x=0〜0.2)などの硫化鉄鉱物のほか、脈石である珪酸鉱物などの酸化鉱物からなる。また、主に、硫化鉱物中に亜鉛、鉛のほか、ヒ素、アンチモン、ビスマス等のV族やセレン、テルル等のVI族元素鉱物、及び貴金属を含有している。
【0003】
前記乾式溶錬法による銅製錬は、大量の鉱石を効率よく処理するのに適した方法であるが、その反面、小型設備では反応効率が悪いので、大型設備のために膨大な設備投資が必要であること、また生成する大量のSOガスの回収が不可欠であること等の課題がある。このような状況の下、近年、湿式法による精錬方法が研究されている。
【0004】
従来、湿式法による銅精錬としては、銅酸化鉱物を含有する銅鉱石を用いて、積み上げた鉱石に硫酸を散布して銅を浸出し、該浸出生成液の銅濃度を上げるために溶媒抽出法で処理した後、電解採取する方法が工業的に広く用いられている。しかし、銅鉱石の大部分を占める硫化鉱に前記方法を適用すると、含有鉱物として最も賦存量の多い黄銅鉱では、硫酸による浸出反応の浸出速度が遅く、かつ銅浸出率が低い結果となるので、乾式溶錬に匹敵する生産性を得ることは困難であるという問題があった。
【0005】
この解決策として、黄銅鉱の浸出が促進できる条件下で浸出する方法が提案されている。代表的な方法として、例えば、銅鉱石又は銅精鉱を、ハロゲン化物を含む硫酸イオンの酸性溶液中で加圧酸化した後、浸出して、浸出生成液中の第2銅イオンを溶媒抽出して電解採取する方法(例えば、特許文献1参照)、また、銅精鉱を、臭化塩素イオンのようなハロゲン化錯体を形成する浸出液で浸出し、続く低酸化還元電位領域での浸出を経て得られた第1銅イオンを電解採取する方法(例えば、特許文献2参照)がある。
【0006】
上記湿式法による精錬方法では、乾式溶錬法に比べて反応温度が低いことから設備が比較的コンパクトで、投資が圧縮できることに加えて、短周期での運転停止の繰り返しができることから生産調整が容易な利点がある。しかし、上記湿式法に関しても、黄銅鉱での浸出率の向上等のほかに、貴金属の回収と廃棄残渣量の減少が大きな課題である。
【0007】
すなわち、貴金属の回収において、湿式法では浸出液の酸化力があまりに強いと、原料に含まれる大部分の元素を酸化して浸出し、貴金属の分離が困難になる問題がある。例えば、金、銀などのごく少量含まれる貴金属を浸出液に溶出させた場合、一般的に液中での該貴金属濃度は非常に低い。
そこで、前記貴金属を、活性炭に吸着させたり、アマルガムの形として回収すること(例えば、特許文献2参照)が提案されている。この場合、活性炭及び使用する薬剤のコスト、さらには環境への影響によっては、乾式溶錬法に比較して有利な方法とはいえない場合も多い。
【0008】
したがって、貴金属を浸出残渣に濃縮して、浸出残渣を既存の精錬所の乾式工程に投入し、従来からの銅精鉱の製錬ルートで処理する方法が行われ、また銅等を含む産業廃棄物の処理用の熔融炉の硫黄源として残渣処理を行う方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかしながら、これらの方法は、投入する黄鉄鉱分の物量の増加による乾式工程の処理能力の圧迫、黄鉄鉱の硫黄分に起因する硫酸製造コストの増加、スラグとして処分される鉄分の増加等、効率上最適な方法とは言い難かった。
【0009】
また、浸出残渣は単体硫黄のほか、黄鉄鉱、貴金属及び脈石等を含有しており、乾式溶錬によるスラグに比較して化学的に不安定である場合が多く、含まれる不純物への対策が不可欠である。この対策として、廃棄する残渣の量を減らすため、浸出において残渣の主成分である鉄の浸出率を上げ、さらに多量に含有される黄鉄鉱を処理することが望ましい。
しかしながら、原料として銅精鉱を用いた場合、残渣の大部分を占める黄鉄鉱は、酸に対しては元々難溶性であるばかりでなく、共存する硫化銅鉱物の浸出を促進して、自身は浸出され難い性質を有する。また、銅精鉱中の金など貴金属は微量であり、黄銅鉱と黄鉄鉱の中に分布していることから、黄鉄鉱をそのまま廃棄することは、経済的におおきな損失になる。ところが、黄鉄鉱を完全に浸出しようとすると高い酸化力が必要であり、このような状態下では硫黄は酸化され、貴金属も浸出されて、プロセス上の大きな問題を生ずることになる。
【0010】
したがって、浸出工程では、貴金属と硫黄の酸化を抑制するために、黄鉄鉱を浸出残渣に残す条件が選ばれる。そこで、黄鉄鉱を多く含有する鉱石では、浸出残渣の量が増加するとともに、貴金属の濃縮が十分に行われなかった。
以上の状況から、硫化銅鉱の湿式銅精錬プロセスで産出される浸出残渣に含有される黄鉄鉱を除去して該残渣中の貴金属を濃縮する方法を実現して、硫化銅鉱を効率的に処理できる湿式精錬プロセスが望まれている。
【0011】
【特許文献1】
特表2001−515145号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献2】
特許第2857930号公報(第1〜4頁)
【特許文献3】
特開2000−313924号公報(第1頁、第2頁)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、湿式銅精錬プロセスの浸出残渣に含有される黄鉄鉱を除去して該残渣中の貴金属を濃縮する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、湿式銅精錬プロセスによって硫化銅鉱を処理する際に得られる黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む浸出残渣中の貴金属を濃縮する方法について、鋭意研究を重ねた結果、該浸出残渣を特定の条件で加熱処理し、得られた焼鉱又は磁着物を特定の条件で再浸出処理したところ、黄鉄鉱を除去して貴金属を濃縮することができることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、酸性水溶液による浸出工程、銅を含む浸出生成液の還元工程及び銅の電解採取工程を含む湿式銅精錬プロセスによって硫化銅鉱を処理する際に得られる黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む浸出残渣中の貴金属を濃縮する方法であって、
(1)前記浸出残渣を非酸化性雰囲気下550℃以上の温度で加熱処理に付し、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱を得る熱分解工程、及び
(2)前記焼鉱を酸性水溶液による再浸出処理に付し、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣と鉄浸出生成液とを形成する再浸出工程、を含むことを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0015】
また、本発明の第2の発明によれば、酸性水溶液による浸出工程、銅を含む浸出生成液の還元工程及び銅の電解採取工程を含む湿式銅精錬プロセスによって硫化銅鉱を処理する際に得られる黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む浸出残渣中の貴金属を濃縮する方法であって、
(1)前記浸出残渣を非酸化性雰囲気下550〜750℃の温度で加熱処理に付し、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱を得る熱分解工程、
(2)前記焼鉱を磁選処理に付し、貴金属及び脈石を含む非磁着物と磁硫鉄鉱及び貴金属含む磁着物とを形成する磁選処理工程、及び
(3)前記磁着物を酸性水溶液による再浸出処理に付し、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣と鉄浸出生成液とを形成する再浸出工程、を含むことを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0016】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記熱分解工程において、浸出残渣の珪酸濃度が5重量%以上であることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0017】
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記再浸出工程で用いる酸性水溶液が、前記湿式銅精錬プロセスの酸性塩化物水溶液による浸出工程で得られる銅を含む浸出生成液であることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0018】
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記再浸出工程で用いる酸性水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が、600mV以下に予め調整されることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0019】
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、さらに、前記再浸出工程から得られる再浸出残渣を200〜350℃の温度で蒸留に付し、単体硫黄を揮発分離させることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0020】
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、さらに、熱分解工程に先立って、前記浸出残渣を150〜500℃の温度で蒸留に付し、予め単体硫黄を揮発させる硫黄蒸留工程を含むことを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0021】
また、本発明の第8の発明によれば、第2の発明において、前記熱分解工程において、浸出残渣の珪酸濃度が5重量%以上であることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0022】
また、本発明の第9の発明によれば、第2の発明において、前記再浸出工程で用いる酸性水溶液が、前記湿式銅精錬プロセスの酸性塩化物水溶液による浸出工程で得られる銅を含む浸出生成液であることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0023】
また、本発明の第10の発明によれば、第2の発明において、前記再浸出工程で用いる酸性水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が、600mV以下に予め調整されることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0024】
また、本発明の第11の発明によれば、第2の発明において、さらに、前記再浸出工程から得られる再浸出残渣を200〜350℃の温度で蒸留に付し、単体硫黄を揮発させることを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0025】
また、本発明の第12の発明によれば、第2の発明において、さらに、熱分解工程に先立って、前記浸出残渣を150〜500℃の温度で蒸留に付し、予め単体硫黄を揮発させる硫黄蒸留工程を含むことを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0026】
また、本発明の第13の発明によれば、第12の発明において、前記再浸出工程で得られる再浸出残渣を前記硫黄蒸留工程へ繰返して処理することを特徴とする貴金属の濃縮方法が提供される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の湿式銅精錬プロセスの浸出残渣に含有される貴金属の濃縮方法を詳細に説明する。本発明は、酸性水溶液による浸出工程、銅を含む浸出生成液の還元工程及び銅の電解採取工程を含む湿式銅精錬プロセスによって硫化銅鉱を処理する際に得られる黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む浸出残渣中の貴金属を濃縮する方法である。
【0028】
まず、本発明の湿式銅精錬プロセスの浸出残渣に含有される貴金属の濃縮方法の概要を、図を用いて説明する。図2及び図3は、それぞれ本発明の貴金属の濃縮方法の工程図の一例を示す。
図2において、浸出残渣15は、最初に熱分解工程11に付され、非酸化性雰囲気下550℃以上の温度で加熱処理されて、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱になる。次に前記焼鉱を酸性水溶液による再浸出工程12に付し、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣18と鉄浸出生成液19とが形成される。さらに、前記浸出残渣15は、熱分解工程11に先立って、硫黄蒸留工程14に付され、事前に単体硫黄の分離を行える。
【0029】
図3において、浸出残渣15は、最初に熱分解工程11に付され、非酸化性雰囲気下550〜750℃の温度で加熱処理されて、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱になる。次に、前記焼鉱は磁選処理工程13に付され、貴金属及び脈石を含む非磁着物17と磁硫鉄鉱及び貴金属含む磁着物16とが形成される。次いで前記磁着物16は、酸性水溶液による再浸出処理工程12に付され、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣18と鉄浸出生成液19とが形成される。さらに、前記浸出残渣15は、熱分解工程11に先立って、硫黄蒸留工程14に付され、事前に単体硫黄の分離を行える。
【0030】
1.湿式銅精錬プロセスの浸出残渣
本発明の原料である湿式銅精錬プロセスの浸出残渣は、酸性水溶液による浸出工程、銅を含む浸出生成液の還元工程及び銅の電解採取工程を含む湿式銅精錬プロセスによって硫化銅鉱を処理する際に得られる黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む浸出残渣である。貴金属として、金と銀のほか、白金族元素が含有される。
【0031】
上記湿式銅精錬プロセスの概要を、図1を用いて説明する。図1は、湿式銅精錬プロセス工程図の一例を表す。
図1において、硫化銅鉱8は、最初に塩素浸出工程1に付され、銅、鉄等を含有する浸出液と黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む残渣とに分離される。浸出液は、銅イオン還元処理工程2に付され、浸出液中の銅イオンは、第1銅イオンに還元される。ここで、還元剤として硫化銅鉱物を含む銅原料を用いる場合は、この残渣は浸出工程へ循環される。還元生成液は、溶媒抽出工程3に付され、溶媒抽出及び逆抽出により銅イオンを含有する逆抽出生成液と抽出残液に分離される。銅イオンを含有する逆抽出生成液は、銅電解採取工程4に付され、銅は電着銅9として回収される。溶媒抽出工程3における抽出残液は、必要に応じて浄液工程5に付され、鉄イオン含有精製液と鉄以外の有価金属固形物とに分離される。鉄イオン含有精製液は、鉄電解採取工程6に付され、鉄は電着鉄10として回収される。また、塩素浸出工程1で分離された残渣は浸出残渣処理工程7に付される。
【0032】
上記浸出工程で得られる浸出残渣の組成は、原料鉱石の鉱物組成によって異なるが、一般に黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む。さらに、共存する少量の他の硫化鉱物等の有価物も含有される。ここで、単体硫黄は、黄銅鉱等の硫化銅鉱物が浸出される際に生成されるものである。すなわち、通常、湿式銅精錬プロセスでは硫黄の酸化を抑制し単体硫黄が生成する条件が、経済的に有利であり、選ばれる。また、黄鉄鉱は、硫化銅鉱中に脈石である珪酸鉱物などの酸化鉱物とともに元々含有されるものであるが、上記条件下での浸出工程では、浸出されずに貴金属及び脈石とともに残渣に分布する。
【0033】
以下に、硫化銅鉱の浸出工程と得られる浸出残渣について、具体例で詳しく説明する。ここでは、銅精鉱を用いて浸出を行い浸出残渣を得て、その組成を評価した。用いた銅精鉱の化学組成を表1に、鉱物種を表2に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004085908
【0035】
【表2】
Figure 0004085908
【0036】
前記銅精鉱30gと、銅濃度60g/l及び塩化物イオン濃度200g/lの酸性塩化物浸出液300mlとを、容量500mlのチタン製の反応容器に装入した。前記反応容器をオイルバスにいれ、スラリーの温度を105〜110℃に維持し、容器に塩素ガスを吹き込み、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)を520mVに維持して浸出した。3時間経過後塩素ガスの吹込みを終了し、スラリーを濾過して浸出残渣と浸出生成液を得た。浸出残渣量は、15gであった。その後、得られた浸出残渣の化学組成と鉱物種を分析した。結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
Figure 0004085908
【0038】
なお、X線回折測定と光学顕微鏡観察から、前記浸出残渣の主要鉱物は、単体硫黄、黄鉄鉱(FeS)と硅石(SiO)等の脈石であった。また、金は、光学顕微鏡で識別できる10μm以上の大きさのものは、単体で存在することが観察された。なお、この浸出残渣は、磁石を近づけても反応せず、非磁性であった。
以上より、銅精鉱の酸性塩化物水溶液中での塩素浸出によって産出される浸出残渣は、約50重量%の硫黄濃度で、単体硫黄、黄鉄鉱、硅石及び貴金属を含有することが分る。
【0039】
なお、上記浸出工程は酸性塩化物水溶液を用いて行われているが、上記湿式銅精錬プロセスで用いる酸性水溶液は、これに限定されるものではなく、塩化物イオン及び/又は硫酸イオンを含む酸性水溶液を用いることができる。
【0040】
2.熱分解工程
本発明の熱分解工程は、上記浸出残渣を非酸化性雰囲気下550℃以上の温度で加熱処理に付し、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱を得る工程である。
上記工程において、上記浸出残渣を非酸化性雰囲気、好ましくは中性又は硫黄ガス雰囲気下で加熱処理することが重要である。これによって、得られた焼鉱から酸浸出によって鉄の溶出が容易に行える。すなわち、酸化性雰囲気での加熱処理では、単体硫黄とともに、黄鉄鉱が酸化され酸化鉄が生成されて酸溶解が困難になる。
【0041】
上記工程において、熱分解工程の後続工程として再浸出工程を行う場合には、550℃以上、好ましくは600〜900℃、の温度で加熱処理することが重要な意義がある。これによって、非酸化性雰囲気下550℃以上の温度で加熱処理することで、浸出残渣に含まれる黄鉄鉱は、熱分解され硫黄を放出して磁硫鉄鉱に鉱物変化する。前記磁硫鉄鉱は、塩化物イオン及び/又は硫酸イオンを含む酸性水溶液を用いて溶出することができる。すなわち、550℃未満では、黄鉄鉱から磁硫鉄鉱への熱分解による鉱物変化が不十分である。一方、900℃を超える温度で処理してもそれ以上の効果は得られない。
【0042】
また、熱分解工程の後続工程として磁選処理工程を行う場合には、550〜750℃、好ましくは600〜700℃の温度で加熱処理することが重要な意義がある。すなわち、750℃を超えると、磁性を有する磁硫鉄鉱を生成することができないからである。
【0043】
上記工程に用いる浸出残渣の珪酸濃度は、特に限定されるものではないが、上記加熱処理の温度において焼鉱が融着せずに粉状で回収できる、5重量%以上に調整することが好ましい。すなわち、珪酸濃度が5重量%未満では、黄鉄鉱の融点約650℃より低い620℃以上の温度で加熱した場合、加熱物が融着気味の状態になり、次工程での処理には粉砕が必要になる。
【0044】
以下に、浸出残渣の加熱処理による熱分解による鉱物変化について、具体例で詳しく説明する。ここでは、上記浸出残渣(表3に化学組成を示す。)を用いて、加熱処理を行い焼鉱を得て、評価した。前記浸出残渣60gを、石英製ボートに乗せて窒素ガス雰囲気の管状炉に装入し、440〜900℃の範囲の所定温度に昇温後3.5時間加熱処理した。その後、冷却して得られた焼鉱の化学組成と鉱物変化を分析し、また磁性を測定した。鉄硫化物のX線回折による鉱物変化と磁性の結果を表4に、焼鉱の化学組成の結果を表5に示す。なお、熱分解による鉱物変化は、上記浸出残渣の熱分析によれば、その重量減少から550℃から起きることが示された。
【0045】
【表4】
Figure 0004085908
【0046】
【表5】
Figure 0004085908
【0047】
表4より、600℃以上の温度で黄鉄鉱が磁硫鉄鉱に変化していることが分る。また、600℃、700℃で生成された磁硫鉄鉱は磁性を有することが分る。
表5より、440℃以上の加熱処理によって、浸出残渣中に比べて硫黄が大幅に低下しており、浸出残渣中の単体硫黄と黄鉄鉱の熱分解によって生成された硫黄が蒸発分離されることが分る。一方、Au濃度から貴金属が焼鉱中に濃縮されることが分る。
以上より、上記工程では、所定の加熱処理条件で、単体硫黄の蒸発分離とともに、磁性を有しかつ酸溶解性の高い磁硫鉄鉱を含む焼鉱の生成が行える。
【0048】
3.磁選処理工程
本発明の磁選処理工程は、上記焼鉱を磁選処理に付し、貴金属及び脈石を含む非磁着物と磁硫鉄鉱及び貴金属含む磁着物とを形成する工程である。
上記工程において用いる焼鉱は、浸出残渣を非酸化性雰囲気下550〜750℃の温度で加熱処理に付し、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱である。
【0049】
上記工程において、上記焼鉱中の磁硫鉄鉱が磁着物に分離される。この際、磁硫鉄鉱中に包含されているAu粒子及び固溶されているAuは、磁着物に分布される。一方、磁性の弱い脈石と独立したAu粒子は、非磁着物に分布する。したがって、磁硫鉄鉱と硅石等の脈石とは効果的に分離されるが、Auの濃縮はあまり期待できない。
【0050】
上記工程で用いる磁選方法としては、特に限定されるものではなく、市販の磁選機を使用することで行えるが、一般的な電磁石又は棒磁石等の手段を用いて、焼鉱若しくはそのスラリーと接触処理することで行える。また、スラリー化して磁選する場合は、磁選に先立ってあるいは磁選中に超音波を印加する処理を行うことによって磁着物と非磁着物の分離性を向上できる。
【0051】
以下に、焼鉱の磁選処理による各成分の分配について、具体例で詳しく説明する。ここでは、上記600℃で熱分解して得た焼鉱を用いて、磁選処理を行い磁着物と非磁着物を得て、評価した。結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
Figure 0004085908
【0053】
表6より、鉄は大部分が磁着物に、SiOは非磁着物に存在しており、磁選により鉄分と脈石分が効果的に分離できること、またAuはほぼ半々に分かれて存在していることが分る。
以上より、上記工程によって磁硫鉄鉱が分離され、後続の再浸出工程で磁着物の処理を行うことで鉄の分離を行うことができるので、焼鉱即ち浸出残渣の脈石分が多い場合に上記工程の実施が効果的である。
【0054】
4.焼鉱と磁着物の再浸出工程
本発明の焼鉱の再浸出工程は、上記焼鉱を酸性水溶液による再浸出処理に付し、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣と鉄浸出生成液とを形成する工程である。
【0055】
また、本発明の磁着物の再浸出工程は、上記磁着物を酸性水溶液による再浸出処理に付し、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣と鉄浸出生成液とを形成する工程である。この工程の狙いは、磁性を有する磁硫鉄鉱は再浸出前に磁選などの手段を用いて、非磁性の脈石成分や貴金属成分と分離しておいて、浸出効率の向上とコンパクトな設備での操業を実現することである。この工程で得られる再浸出残渣は、そのまま系外に取出し回収工程へ払い出せる場合もあるが、再度熱分解工程及び磁選処理工程を通過するように、硫黄蒸留工程へ繰り返すことで非磁着物として脈石とともに濃縮度を上げて系外に払い出せる。
【0056】
上記両再浸出工程は、一方は既に脈石の大部分が分離されている磁着物を対象とするが、組成的には大きくは変わらないので基本的には同様の条件が用いられる。
上記両工程で用いる酸性水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)は、特に限定されるものではなく、好ましくは600mV以下に、より好ましくは520mV以下に予め調整される。すなわち、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が600mVを超えると、焼鉱又は磁着物中の硫黄及びAuも磁硫鉄鉱とともに浸出されるので好ましくない。
【0057】
上記両工程で用いる酸性水溶液としては、特に限定されるものではなく、塩化物イオン及び/又は硫酸イオンを含む酸性水溶液が用いられるが、この中で、上記湿式銅精錬プロセスの酸性塩化物水溶液による浸出工程で得られる浸出生成液を用いるのが好ましい。すなわち、前記浸出生成液を用いれば、焼鉱又は磁着物中の磁硫鉄鉱を浸出するとともに、これが還元剤として作用して液中の第2銅イオンを還元できる。上記湿式銅精錬プロセスにおいて、第2銅イオンを第1銅イオンへ還元することは、銅電解採取において半分の電力で操業できる一価銅電解を行うため必須である。また、この際、有毒な硫化水素ガスの発生は起らず、かつ酸化されずに、磁硫鉄鉱の硫黄分は単体硫黄として分離される。
【0058】
上記両工程において新たに生成した単体硫黄の分離は、特に限定されるものではないが、再浸出残渣を200〜350℃の温度で蒸留に付し、単体硫黄を揮発分離することが、好ましい。すなわち、この範囲の温度で蒸留すれば、単体硫黄として回収するとともに、硫黄ガス雰囲気を形成して再浸出残渣の酸化も防止できる。
【0059】
以下に、磁着物の再浸出工程による各成分の分配について、具体例で詳しく説明する。ここでは、上記磁選処理工程で得た磁着物(表6に化学組成を記載している。)を用いて、銅濃度10g/lの塩化第2銅水溶液と1.2モル塩酸で再浸出処理を行い硫黄浸出率を得て、評価した。前記磁着物10gを塩化第2銅水溶液1.5リットルに投入し、70℃にて7時間攪拌しながら反応させ濾過して残渣を分析した。結果を表7に示す。また、磁着物20gを塩酸400mlに投入し、70℃にて7時間攪拌しながら反応させ濾過して残渣を分析した。結果を表8に示す。
【0060】
【表7】
Figure 0004085908
【0061】
【表8】
Figure 0004085908
【0062】
表7より、Feの大部分が浸出され、再浸出残渣に硫黄とAuが濃縮していること、また磁着物中の硫黄酸化率は、1.5%と低いことが分る。また、表8より、Auの濃縮が若干見られるが、硫黄酸化率は48%にも達することが分る。すなわち、銅イオンを含む酸性塩化物水溶液で再浸出処理することによって、硫黄の酸化を抑制する効果も得られる。
【0063】
また、以下に、再浸出工程による酸化還元電位の変化について、具体例で詳しく説明する。ここでは、上記磁選処理工程で得た磁着物(表6に化学組成を記載している。)を用いて、前記第2銅イオンを含む酸性塩化物水溶液で再浸出処理を行い酸化還元電位(ORP)を測定した。結果を図4に示す。図4より、初期のORP(銀/塩化銀電極規準)440mVから390mV以下まで低下でき、前記酸性塩化物水溶液(浸出生成液)中の銅の大部分を第1銅イオンに還元できることが分る。すなわち、磁着物中の磁硫鉄鉱が溶出に際して、第2銅イオンの還元剤として効果的に作用している。
【0064】
以上より、上記工程では、熱分解工程で得られた焼鉱又は磁選処理工程で得られた磁着物から鉄を溶出させ、貴金属が濃縮された再浸出残渣が得られる。
【0065】
5.硫黄蒸留工程
本発明の硫黄蒸留工程は、特に限定されるものではなく、上記熱分解工程に先立って、上記浸出残渣を150〜500℃の温度で蒸留に付し、予め単体硫黄を揮発させる工程である。これによって、高温で処理する設備の大きさを小さくできる。すなわち、単体硫黄として分離する際には、硫黄の融点以上で熱分解温度以下の温度である150〜500℃の温度選ばれるが、この中で、硫黄ガス雰囲気を形成して浸出残渣の酸化も防止できる200〜350℃の温度が好ましい。
【0066】
以下に、単体硫黄の蒸留工程による各成分の分配について、具体例で詳しく説明する。すなわち、上記浸出残渣(表3に化学組成を示す。)を用いて、蒸留処理を行い残滓を得て、評価した。前記浸出残渣150gを分取し、石英製ボートに入れて窒素ガス雰囲気の管状炉中に装入した。前記ボート部を320℃に加熱し、ガスの流れ出る端部に冷却管を設け空冷し硫黄を析出させた。加熱開始から4時間経過後にガスを流したまま冷却して炉内温度が70℃以下となってから残渣と硫黄を取り出した。その後、得られた残滓の分析結果を表9に示す。
【0067】
【表9】
Figure 0004085908
【0068】
表9より、浸出残渣から硫黄が除去され、Auが濃縮されることが分る。
【0069】
以上から明らかなように、本発明の方法で得られる再浸出残渣とそれより硫黄を揮発分離した残滓、及び非磁着物は、黄鉄鉱が残存しないので、既存の精錬所の貴金属処理工程で処理しても新たな硫酸の発生が少なくまた鉄処理の負荷はないので、処理コストが低減できる。さらに、金のほか微量の白金族元素等の有価物が浸出残渣中に高度に濃縮されているので、効率的に処理することができる。
【0070】
【実施例】
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いた金属の分析は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
【0071】
実施例1
銅精鉱を塩素浸出して得られた浸出残渣を用いて、熱分解工程、再浸出工程及び硫黄の蒸留処理を行い、それぞれの産物へのAuの濃縮を評価した。
まず、銅精鉱を塩素浸出して浸出残渣を得た。銅精鉱(表10に化学組成を示す。)30gと、銅濃度60g/l及び塩化物イオン濃度200g/lの酸性塩化物浸出液300mlとを、容量500mlのチタン製の反応容器に装入した。前記反応容器をオイルバスにいれ、スラリーの温度を105〜110℃に維持し、容器に塩素ガスを吹き込み、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)を520mVに維持して浸出した。3時間経過後塩素ガスの吹込みを終了し、スラリーを濾過して浸出残渣と浸出生成液を得た。浸出残渣量は、15gであった。その後、得られた浸出残渣の化学組成を分析した。結果を表10に示す。
【0072】
次に、得られた浸出残渣をボートにのせ、窒素ガスを流した管状炉に装入し、620℃にて3時間加熱処理して、黄鉄鉱の熱分解を行い、得られた焼鉱の化学組成を分析した。結果を表10に示す。なお、焼鉱の融着は見られなかった。
次に、得られた焼鉱を前記酸性塩化物浸出液中に投入して、上記塩素浸出と同じ浸出条件で再浸出処理して、再浸出残渣を得て、その化学組成を分析した。結果を表10に示す。
次に、得られた再浸出残渣を窒素ガスを流した管状炉に装入し、320℃にて3時間加熱処理して、単体硫黄を揮発させ分離し得られた残滓の化学組成を分析した。結果を表10に示す。
【0073】
【表10】
Figure 0004085908
【0074】
表10より、実施例1では、一連の処理工程が本発明の方法に従って行われたので、Au含有量16g/tの銅精鉱を用いてAu含有量110g/tの濃縮物が得られることが分かる。また、前記濃縮物は、大部分がSiOであり、FeやSはごく少ししか残留していないので、既存の乾式製錬工程に投入してAuを回収するのに好適である。
【0075】
実施例2
銅精鉱を塩素浸出して得られた浸出残渣を用いて、熱分解工程、磁選処理工程、再浸出工程及び硫黄の蒸留処理を行い、それぞれの産物へのAuの濃縮を評価した。
まず、銅精鉱を塩素浸出して浸出残渣を得た。銅精鉱(表11に化学組成を示す。)30gと、銅濃度60g/l及び塩化物イオン濃度200g/lの酸性塩化物浸出液300mlとを、容量500mlのチタン製の反応容器に装入した。前記反応容器をオイルバスにいれ、スラリーの温度を105〜110℃に維持し、容器に塩素ガスを吹き込み、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)を520mVに維持して浸出した。3時間経過後塩素ガスの吹込みを終了し、スラリーを濾過して浸出残渣と浸出生成液を得た。浸出残渣量は、15gであった。その後、得られた浸出残渣の化学組成を分析した。結果を表11に示す。
【0076】
次に、得られた浸出残渣をボートにのせ、窒素ガスを流した管状炉に装入し、600℃にて3.5時間加熱処理して、黄鉄鉱の熱分解を行い、得られた焼鉱の化学組成を分析した。結果を表11に示す。なお、焼鉱の融着は見られなかった。
次に、得られた焼鉱を磁選処理し、磁着物と非磁着物に分離し、それぞれの化学組成を分析した。結果を表11に示す。
次に、得られた磁着物を前記酸性塩化物浸出液中に投入して、上記塩素浸出と同じ浸出条件で再浸出処理して、再浸出残渣を得て、その化学組成を分析した。結果を表11に示す。
次に、得られた再浸出残渣を窒素ガスを流した管状炉に装入し、320℃にて3時間加熱処理して、単体硫黄を揮発させ分離し得られた残滓の化学組成を分析した。結果を表11に示す。
【0077】
【表11】
Figure 0004085908
【0078】
表11より、実施例2では、一連の処理工程が本発明の方法に従って行われたので、Au含有量9g/tの銅精鉱を用いてAu含有量233g/tの濃縮物が得られることが分かる。また、前記濃縮物は、大部分がSiOであり、FeやSはごく少ししか残留していないので、既存の乾式製錬工程に投入してAuを回収するのに好適である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の湿式銅精錬プロセスの浸出残渣に含有される貴金属の濃縮方法は、該浸出残渣に含有される黄鉄鉱を除去して該残渣中の貴金属を濃縮する方法であり、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿式銅精錬プロセス工程の一例を表す図である。
【図2】本発明の貴金属の濃縮方法の工程図の一例を表す図である。
【図3】本発明の貴金属の濃縮方法の工程図の一例を表す図である。
【図4】本発明の再浸出処理での酸化還元電位(ORP)の変化を表す図である。
【符号の説明】
1 塩素浸出工程
2 銅イオン還元処理工程
3 溶媒抽出工程
4 銅電解採取工程
5 浄液工程
6 鉄電解採取工程
7 浸出残渣処理工程
8 硫化銅鉱
9 電着銅
10 電着鉄
11 熱分解工程
12 再浸出工程
13 磁選処理工程
14 硫黄蒸留工程
15 浸出残渣
16 磁着物
17 非磁着物
18 再浸出残渣
19 鉄浸出生成液

Claims (13)

  1. 酸性水溶液による浸出工程、銅を含む浸出生成液の還元工程及び銅の電解採取工程を含む湿式銅精錬プロセスによって硫化銅鉱を処理する際に得られる黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む浸出残渣中の貴金属を濃縮する方法であって、
    (1)前記浸出残渣を非酸化性雰囲気下550℃以上の温度で加熱処理に付し、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱を得る熱分解工程、及び
    (2)前記焼鉱を酸性水溶液による再浸出処理に付し、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣と鉄浸出生成液とを形成する再浸出工程、を含むことを特徴とする貴金属の濃縮方法。
  2. 酸性水溶液による浸出工程、銅を含む浸出生成液の還元工程及び銅の電解採取工程を含む湿式銅精錬プロセスによって硫化銅鉱を処理する際に得られる黄鉄鉱、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む浸出残渣中の貴金属を濃縮する方法であって、
    (1)前記浸出残渣を非酸化性雰囲気下550〜750℃の温度で加熱処理に付し、熱分解で生成された磁硫鉄鉱、貴金属及び脈石を含む焼鉱を得る熱分解工程、
    (2)前記焼鉱を磁選処理に付し、貴金属及び脈石を含む非磁着物と磁硫鉄鉱及び貴金属含む磁着物とを形成する磁選処理工程、及び
    (3)前記磁着物を酸性水溶液による再浸出処理に付し、単体硫黄、貴金属及び脈石を含む再浸出残渣と鉄浸出生成液とを形成する再浸出工程、を含むことを特徴とする貴金属の濃縮方法。
  3. 前記熱分解工程において、浸出残渣の珪酸濃度が5重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の濃縮方法。
  4. 前記再浸出工程で用いる酸性水溶液が、前記湿式銅精錬プロセスの酸性塩化物水溶液による浸出工程で得られる銅を含む浸出生成液であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の濃縮方法。
  5. 前記再浸出工程で用いる酸性水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が、600mV以下に予め調整されることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の濃縮方法。
  6. さらに、前記再浸出工程から得られる再浸出残渣を200〜350℃の温度で蒸留に付し、単体硫黄を揮発分離させることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の濃縮方法。
  7. さらに、熱分解工程に先立って、前記浸出残渣を150〜500℃の温度で蒸留に付し、予め単体硫黄を揮発させる硫黄蒸留工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の貴金属の濃縮方法。
  8. 前記熱分解工程において、浸出残渣の珪酸濃度が5重量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の貴金属の濃縮方法。
  9. 前記再浸出工程で用いる酸性水溶液が、前記湿式銅精錬プロセスの酸性塩化物水溶液による浸出工程で得られる銅を含む浸出生成液であることを特徴とする請求項2に記載の貴金属の濃縮方法。
  10. 前記再浸出工程で用いる酸性水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が、600mV以下に予め調整されることを特徴とする請求項2に記載の貴金属の濃縮方法。
  11. さらに、前記再浸出工程から得られる再浸出残渣を200〜350℃の温度で蒸留に付し、単体硫黄を揮発させることを特徴とする請求項2に記載の貴金属の濃縮方法。
  12. さらに、熱分解工程に先立って、前記浸出残渣を150〜500℃の温度で蒸留に付し、予め単体硫黄を揮発させる硫黄蒸留工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の貴金属の濃縮方法。
  13. 前記再浸出工程で得られる再浸出残渣を前記硫黄蒸留工程へ繰返して処理することを特徴とする請求項12に記載の貴金属の濃縮方法。
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