JP7449532B2 - 選鉱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、選鉱方法に関する。さらに詳しくは、磁力選鉱による選鉱方法に関する。
銅精錬の分野では、銅を含有する銅鉱石、銅精鉱などの原料から銅を回収する様々な方法が提案されている。例えば、銅鉱石から銅を回収するには以下の処理が行なわれる。
(1)選鉱工程
選鉱工程では、鉱山で採掘された銅鉱石を粉砕した後、水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行なう。浮遊選鉱では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加し、空気を吹き込んで銅を含む鉱物を浮遊させつつ、脈石を沈降させて分離を行なう。これにより銅品位30%前後の銅精鉱が得られる。
(2)乾式製錬工程
乾式製錬工程では、選鉱工程で得られた銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉および精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅にまで精製する。粗銅は次工程の電解工程で用いられるアノードに鋳造される。
(3)電解工程
電解工程では、硫酸酸性溶液(電解液)で満たされた電解槽に前記アノードを挿入し、カソードとの間に通電して電解精製を行なう。電解精製によって、アノードの銅は溶解し、カソード上に純度99.99%の電気銅として析出する。
ところで、銅は黄銅鉱、斑銅鉱などの硫化鉱物として硫化銅鉱石中に存在するものが多い。ポーフォリー型と呼ばれる銅鉱床をもつ鉱山では、鉱石中の黄銅鉱および斑銅鉱に砒四面銅鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱などが随伴されている。
砒四面銅鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱などには砒素が含まれる。前述の乾式製錬工程で不純物である砒素を除去することは可能である。しかし、除去後の砒素を廃棄するには、別途処理が必要であり、コストがかかる。そのため、選鉱工程において砒四面銅鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱など砒素を含有する鉱物を銅鉱石から除去しておくことが求められる。
この点について、特許文献1には、原料を加熱することにより、砒素含有鉱物とそれ以外の鉱物との磁化率に差異を生じさせ、磁力選鉱により砒素含有鉱物を分離することが開示されている。
特開2019-007049号公報
しかし、本願発明者は、特許文献1に開示された方法を実鉱石に適用した場合、砒素含有鉱物の分離効率が低くなるという知見を得た。
本発明は上記事情に鑑み、より効率よく砒素を含有する鉱物を分離できる選鉱方法を提供することを目的とする。
第1発明の選鉱方法は、鉄を含み砒素を含まない第1鉱物と砒素を含む第2鉱物とを含む原料を低酸素雰囲気下で加熱して、前記第1鉱物と前記第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる加熱工程と、前記加熱工程の後に、磁着物としての前記第1鉱物と、非磁着物としての前記第2鉱物とに分離する磁力選鉱工程と、を備え、前記加熱工程において、前記原料を酸素濃度0.5%以上、2%以下の低酸素雰囲気下で加熱し、前記第1鉱物は黄銅鉱および斑銅鉱のうちの少なくとも1つであり、前記第2鉱物は砒四面銅鉱、硫砒銅鉱および硫砒鉄鉱のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
第2発明の選鉱方法は、第1発明において、前記加熱工程において、炉内温度を360℃以上、400℃以下とすることを特徴とする。
第3発明の選鉱方法は、第1または第2発明において、前記加熱工程において、加熱時間を5分以上、30分以下とすることを特徴とする。
第4発明の選鉱方法は、第1~第3発明のいずれかにおいて、前記加熱工程において、前記原料を転動炉で加熱することを特徴とする。
第5発明の選鉱方法は、第1~第4発明のいずれかにおいて、前記加熱工程の後、前記磁力選鉱工程の前に、前記原料中の凝集物を解砕する解砕工程を備えることを特徴とする。
第6発明の選鉱方法は、第1~第5発明のいずれかにおいて、前記加熱工程の前に、前記原料に凝集抑制剤を添加することを特徴とする。
本発明によれば、原料を低酸素雰囲気下で加熱することで、砒素を含む鉱物を効率よく分離できる。
本発明の一実施形態に係る選鉱方法の工程図である。 交流対極磁選機の説明図である。 炉内温度に対する磁着物回収率およびニュートン効率の関係を示すグラフである。 炉内温度380℃における、加熱時間に対する磁着物回収率およびニュートン効率の関係を示すグラフである。 炉内温度400℃における、加熱時間に対する磁着物回収率およびニュートン効率の関係を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る選鉱方法は、(1)粉砕工程、(2)浮遊選鉱工程、(3)加熱工程、(4)磁力選鉱工程からなる。
(1)粉砕工程
粉砕工程では、鉱山で採掘された鉱石を粉砕する。
(2)浮遊選鉱工程
浮遊選鉱工程では、粉砕された鉱石に水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行なう。浮遊選鉱により、鉱石に含まれる脈石を除去し、精鉱を得る。必要に応じてさらに種々の方法で選鉱を行なってもよい。また、浮遊選鉱に代えて、他の選鉱方法で脈石を除去し、精鉱を得てもよい。なお、次工程である加熱工程に装入される精鉱が、特許請求の範囲に記載の「原料」に相当する。
精鉱には複数種類の鉱物が含まれる。鉱物としては、例えば、黄銅鉱(chalcopyrite:CuFeS2)、斑銅鉱(bornite:Cu5FeS4)、砒四面銅鉱(tennantite:(Cu,Fe,Zn)12(Sb,As)413)、硫砒銅鉱(enargite:Cu3AsS4)、硫砒鉄鉱(arsenopyrite:FeAsS)が挙げられる。
精鉱には有価金属をほとんど含まない脈石が含まれることがある。脈石には、石英、長石など、ケイ素を主成分とするものが多い。一般に、実操業で得られる精鉱には20~30重量%の脈石が含まれる。
本明細書では、鉄を含む鉱物を第1鉱物と称する。第1鉱物には回収対象の金属、例えば銅が含まれる。また、第1鉱物には分離対象である砒素が含まれない。第1鉱物は、例えば、鉄を含む硫化銅鉱物である。このような第1鉱物として黄銅鉱および斑銅鉱が挙げられる。
また、砒素を含む鉱物を第2鉱物と称する。第2鉱物には、鉄を含む鉱物と、鉄を含まない鉱物とが含まれる。鉄を含む第2鉱物として第1鉱物よりも熱分解温度が高い鉱物が選択される。このような第2鉱物として砒四面銅鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱が挙げられる。
精鉱は少なくとも第1鉱物と第2鉱物とを含む。精鉱は第1鉱物として黄銅鉱および斑銅鉱のうちの少なくとも1つを含んでもよい。また、精鉱は第2鉱物として砒四面銅鉱、硫砒銅鉱および硫砒鉄鉱のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
(3)加熱工程
加熱工程では、第1鉱物と第2鉱物とを含む精鉱を加熱して、第1鉱物に磁性体を生成させる。これにより、第1鉱物と第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる。具体的には、第1鉱物の磁化率を第2鉱物の磁化率より高くする。例えば、黄銅鉱と硫砒銅鉱とを含む精鉱を加熱して、黄銅鉱のみに磁性体を生成させ、黄銅鉱の磁化率を高くする。なお、磁性体には常磁性体、反磁性体、強磁性体が含まれる。
精鉱の加熱は低酸素雰囲気下で行なう。ここで、低酸素雰囲気とは、大気(酸素濃度約20%)よりも酸素濃度が低い雰囲気を意味する。具体的には、酸素濃度を0.5%以上、2%以下とすることが好ましく、酸素濃度約1%がより好ましい。
精鉱に含まれる鉱物の種類に応じて、加熱温度、加熱時間などの加熱条件を適切に設定し、第1鉱物と第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる。具体的には、加熱温度は炉内温度で360℃以上、400℃以下が好ましい。また、加熱時間は5分以上、30分以下が好ましく、5分以上、15分以下がより好ましい。これにより、後の磁力選鉱工程において第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。
精鉱を加熱する装置は特に限定されないが、例えば転動炉、電気炉、バーナー炉、熱風炉、管状炉などを用いることができる。これらのなかでも転動炉が好ましい。精鉱を加熱すると、精鉱中の粒子同士が凝集することがある。精鉱を転動炉で加熱すると、凝集物が解砕されるため、粒子同士の凝集が抑制される。
加熱後の精鉱中に凝集物が見られる場合には、凝集物を解砕することが好ましい。この解砕工程は加熱工程の後、磁力選鉱工程の前に行なわれる。例えば、加熱後の精鉱に含まれる粗大粒子を篩別し、粗大粒子を解砕機で解砕すればよい。
第1鉱物の粒子と第2鉱物の粒子とが一つの塊となって凝集物となっている場合、そのままでは磁力選鉱により第1鉱物と第2鉱物とを分離できない。予め凝集物を解砕しておくことで、第1鉱物の粒子と第2鉱物の粒子とが分離した状態となる。これにより、磁力選鉱工程において第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。
加熱工程の前に、精鉱に凝集抑制剤を添加することが好ましい。精鉱に凝集抑制剤を添加しておけば、第1鉱物の粒子と第2鉱物の粒子とが分離した状態を維持できる。そのため、磁力選鉱工程において第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。
凝集抑制剤は鉱物粒子の凝集を抑制できるものであればよい。鉱物粒子が凝集する一因として液体架橋力が挙げられる。すなわち、空気中に存在する液体が鉱物粒子間に保持されることで、鉱物粒子同士が付着し、凝集する。そのため、鉱物粒子の表面を疎水性にすれば凝集を抑制できる。このような機能を有する凝集抑制剤として疎水性シリカが挙げられる。
疎水性シリカは微粒子状のものが好ましい。また、疎水性シリカの添加量は精鉱に対する重量比で0.2~1%が好ましい。
(4)磁力選鉱工程
加熱工程の後、精鉱を磁着物と非磁着物とに分離する。加熱工程で磁化率が高くなった第1鉱物を磁着物として、第2鉱物を非磁着物として回収することで、第1鉱物と第2鉱物とを分離できる。より厳密にいえば、精鉱を精鉱よりも第1鉱物の割合が高い磁着物と、精鉱よりも第2鉱物の割合が高い非磁着物とに分離する。
精鉱に含まれる鉱物の種類に応じて、磁束密度などの磁力選鉱工程の条件を設定することで、第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。また、精鉱に含まれる鉱物の粒度を適切に設定することで、第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。
磁力選鉱に用いられる装置は特に限定されないが、例えば交流対極磁選機、ドラム型磁選機、ベルト型磁選機などを用いることができる。このうち交流対極磁選機は図2に示す構成を有する。交流対極磁選機1は、水平に対向させて配置された一対の電磁ドラム11、11を有する。この一対の電磁ドラム11、11の間に磁場を発生させる。精鉱を電磁ドラム11、11の間に流すと、磁着物は電磁ドラム11に吸着され電磁ドラム11の回転により運ばれて磁着物排出口12から排出される。一方、非磁着物は電磁ドラム11、11の間をそのまま落下し非磁着物排出口13から排出される。電磁ドラム11、11の間の磁束密度は設定により変更可能である。
磁力選鉱工程は湿式で行なってもよいし、乾式で行なってもよい。精鉱に微細粉末が多く含まれる場合は、湿式で磁力選鉱工程を行なうことが好ましい。乾燥状態の微細粉末は凝集しやすく磁力選鉱の効率が低下する。スラリーとすれば微細粉末を分散させたまま維持できるため、磁力選鉱の効率を高く維持できる。また、精鉱の凝集を十分に抑制できる場合は、乾式で磁力選鉱工程を行なうことが好ましい。そうすれば、加熱工程後の精鉱をスラリー化する必要がなく、処理コストを低減できる。
第1鉱物と第2鉱物とを分離することで、第2鉱物に含まれる砒素を精鉱から除去できる。精鉱の砒素含有率を低減できるので、その後の製錬工程で砒素を処理するコストを低減できる。
ところで、本願発明者は、実鉱石から得られた精鉱を大気中で加熱した後、磁力選鉱を行なうと、砒素の除去効率が低くなるとの知見を得た。これに対して、精鉱を低酸素雰囲気下で加熱した後、磁力選鉱を行なえば、砒素の除去効率が高くなることが判明した。
その理由は不明な点も多いが、つぎのとおりであると考えられる。
実鉱石から得られた精鉱には脈石が含まれている。脈石にはSiO2、CaO、MgOなどが含まれる。脈石中のこれらの成分はフラックスとして働き、系の融点を低下させる。そのため、精鉱を加熱すると、鉱物本来の融点よりも低い温度であったとしても、鉱物粒子の表面が焼結初期の状態となる。すなわち、鉱物粒子の表面が部分的に融解または軟化した状態となる。
精鉱を加熱すると、精鉱に含まれる砒素の一部が酸素と結合し、気体の砒素酸化物となって鉱物粒子から除去される。この砒素酸化物が融解または軟化した鉱物粒子の表面に付着する。そうすると、第1鉱物の表面が砒素酸化物で覆われた状態となり、第1鉱物に含まれる鉄の酸化が抑制される。酸化鉄を主成分とする焼結体、すなわちフェライトは強磁性を示す。これにより、第1鉱物の磁化率が高くなる。第1鉱物に含まれる鉄の酸化が抑制されるということは、第1鉱物の磁化が抑制されるということになる。このような原因により、第1鉱物と第2鉱物の磁化率にあまり差異が生じず、それらの分離効率が低くなる。
これに対し、精鉱を低酸素雰囲気下で加熱すると、砒素酸化物の生成が抑制される。そのため、第1鉱物に含まれる鉄の酸化が進み、第1鉱物の磁化率が高くなる。その結果、第1鉱物と第2鉱物の磁化率に差異が生じ、それらの分離効率が高くなる。
なお、酸化鉄の生成は砒素酸化物の生成より優先される。そのため、低酸素雰囲気とすると、まず、砒素酸化物の生成が抑制される。したがって、酸化鉄が生成され、かつ、砒素酸化物の生成が抑制される程度に、酸素濃度を低減すればよい。
また、精鉱に含まれる砒素が揮発すると、鉱物粒子の表面が多孔質となり、他の鉱物粒子との接触面積が増加する。これに加え、鉱物粒子の表面が部分的に融解または軟化すると、鉱物粒子同士が凝集しやすくなる。第1鉱物の粒子と第2鉱物の粒子とが一つの塊となって凝集物となっている場合、そのままでは磁力選鉱により第1鉱物と第2鉱物とを分離できない。
これに対し、精鉱を転動炉で加熱すると鉱物粒子同士の凝集が抑制される。また、加熱後に、精鉱中の凝集物を解砕してもよい。そうすれば、第1鉱物の粒子と第2鉱物の粒子とが分離した状態となる。そのため、磁力選鉱工程において第1鉱物と第2鉱物とを効率よく分離できる。
精鉱に脈石が含まれない、または少ない場合でも、精鉱に含まれる砒素の一部が砒素酸化物となる。精鉱に多くの脈石が含まれる場合に比べて影響は少ないものの、砒素酸化物が鉱物粒子の表面に付着し、酸化鉄の生成が抑制される。したがって、精鉱に脈石が含まれない、または少ない場合でも、精鉱を低酸素雰囲気下で加熱すれば、砒素の除去効率が高くなると思われる。
つぎに、実施例を説明する。
(共通の条件)
実鉱石から精鉱を得た。この精鉱の鉱物組成は表1に示す通りである。すなわち、精鉱は、第1鉱物として斑銅鉱と黄銅鉱とを含み、第2鉱物として砒四面銅鉱を含む。また、精鉱は脈石を含む。
Figure 0007449532000001
精鉱を加熱する装置として、ラボ用ロータリーキルン(株式会社モトヤマ製RK-0330)を用意した。炉心管に精鉱5gを装入し加熱した。ここで、炉心管の回転数を6rpmとした。また、窒素と酸素の混合ガス(酸素濃度1%、窒素濃度99%)を流量500mL/分で炉心管に導入し、炉心管内部を低酸素雰囲気とした。炉内温度を、室温から目標温度まで18分で昇温し、その後目標温度で所定の加熱時間維持した。
ブロワにより炉内温度を室温まで低下させた後、精鉱を取り出し、磁力選鉱を行なった。磁力選鉱には交流対極磁選機(日本磁力選鉱株式会社製、型式:G-30+30型)を用いた(図2参照)。電磁ドラムの間の磁束密度を0.34Tとした。交流対極磁選機により精鉱を磁着物と非磁着物とに分離した。
得られた磁着物および非磁着物の重量を測定し、磁着物回収率を求めた。ここで、磁着物回収率とは交流対極磁選機に供給された精鉱(給鉱)に対する磁着物の重量割合を意味する。また、給鉱、磁着物および非磁着物それぞれの組成をXRF化学組成分析により測定した。給鉱および磁着物の重量および組成から、銅-砒素分離のニュートン効率を求めた。
ニュートン効率は以下のとおり求められる。
ニュートン効率は砒素非含有銅鉱物と砒素含有銅鉱物との分離効率を示す。本実施例において、砒素非含有銅鉱物は斑銅鉱および黄銅鉱であり、砒素含有銅鉱物は砒四面銅鉱である。
磁着物には砒素非含有銅鉱物と砒素含有銅鉱物とが含まれる。磁着物中の銅量Cu(mag)は、砒素非含有銅鉱物に由来する銅と、砒素含有銅鉱物に由来する銅とを合わせた量である。磁着物中の砒素量As(mag)は砒素含有銅鉱物のみに由来する砒素の量である。したがって、磁着物中の砒素非含有銅鉱物のみに由来する銅の量Wは、以下の式(1)で求められる。
[式(1)]
W=Cu(mag)-As(mag)×(r×Ar(Cu)/Ar(As))
=Cu(mag)-As(mag)×(3×63.5/74.9)
ここで、rは砒素含有銅鉱物に含まれるAsに対するCuのモル比である。砒四面銅鉱の一般的な化学式は(Cu,Fe,Zn)12(Sb,As)413であるが、Cu12As413とみなすことができる。したがって、r=3とみなす。また、Ar(Cu)はCuの原子量、Ar(As)はAsの原子量である。
砒素非含有銅鉱物のみに由来する銅の回収率R(Cu)[%]は、以下の式(2)で求められる。ここで、Cu(feed)は給鉱中の銅量である。
[式(2)]
R(Cu)=(W/Cu(feed))×100
磁着物中の砒素含有銅鉱物に由来する砒素の量は、磁着物中の砒素量As(mag)と等しい。したがって、砒素含有銅鉱物に由来する砒素の回収率R(As)[%]は、以下の式(3)で求められる。ここで、As(feed)は給鉱中の砒素量である。
[式(3)]
R(As)=(As(mag)/As(feed))×100
ニュートン効率η[%]は、銅の回収率R(Cu)から砒素の回収率R(As)を減じて得られる。
[式(4)]
η=R(Cu)-R(As)
(実施例1)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)300℃、加熱時間15分とした。その結果、磁着物回収率は10.25%、ニュートン効率は2.99%であった。
(実施例2)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)360℃、加熱時間15分とした。その結果、磁着物回収率は52.21%、ニュートン効率は5.59%であった。
(実施例3)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)380℃、加熱時間15分とした。その結果、磁着物回収率は62.70%、ニュートン効率は8.85%であった。
(実施例4)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)400℃、加熱時間15分とした。その結果、磁着物回収率は62.13%、ニュートン効率は7.98%であった。
(実施例5)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)380℃、加熱時間5分とした。その結果、磁着物回収率は44.57%、ニュートン効率は12.54%であった。
(実施例6)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)380℃、加熱時間30分とした。その結果、磁着物回収率は68.42%、ニュートン効率は7.00%であった。
(実施例7)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)400℃、加熱時間5分とした。その結果、磁着物回収率は34.99%、ニュートン効率は11.67%であった。
(実施例8)
精鉱の加熱条件を、炉内温度(目標温度)400℃、加熱時間30分とした。その結果、磁着物回収率は68.75%、ニュートン効率は3.44%であった。
(比較例1)
精鉱を加熱しなかったこと以外は、共通の条件に記載のとおりの操作を行なった。その結果、磁着物回収率は4.85%、ニュートン効率は-3.45%であった。
以上の結果を表2にまとめる。
Figure 0007449532000002
精鉱を低酸素雰囲気下で加熱した実施例1~8は、いずれも、比較例1に比べて磁着率回収率およびニュートン効率が高い。これより、精鉱を低酸素雰囲気下で加熱することで、効率よく砒素を含有する鉱物を分離できることが確認された。
図3は、炉内温度に対する磁着物回収率およびニュートン効率の関係を示すグラフである。このグラフは、実施例1~4および比較例1の結果から作成した。なお、比較例1を炉内温度25℃と仮定した。図3のグラフより、ニュートン効率は300~400℃の範囲で高いことが分かる。一方、磁着物回収率は360~400℃の範囲で高いことが分かる。これより、炉内温度は360~400℃が好ましいことが確認された。
図4は、炉内温度380℃における、加熱時間に対する磁着物回収率およびニュートン効率の関係を示すグラフである。このグラフは、実施例3、5、6および比較例1の結果から作成した。また、図5は、炉内温度400℃における、加熱時間に対する磁着物回収率およびニュートン効率の関係を示すグラフである。このグラフは、実施例4、7、8および比較例1の結果から作成した。なお、比較例1を加熱時間0分とした。
図4および図5のグラフより、炉内温度が380℃の場合も、400℃の場合も、加熱時間を5~30分とすれば、磁着物回収率およびニュートン効率が高くなることが分かる。これより、加熱時間は5~30分が好ましいことが確認された。しかし、ニュートン効率は、加熱時間が5分を超えて長くなるほど、低くなる傾向が見られる。これより、加熱時間は5~15分がより好ましいことが確認された。
(実施例9)
精鉱5gに対して疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、AEROSIL R972 Pharma)を0.05g添加し、乳鉢で混合、撹拌を2分間行なった。その後、精鉱をラボ用ロータリーキルンで加熱した。ここで、加熱条件を炉内温度(目標温度)380℃、加熱時間15分とした。それ以外は、共通の条件に記載のとおりの操作を行なった。その結果、磁着物回収率は55.72%、ニュートン効率は31.22%であった。
実施例9の条件は、精鉱に疎水性フュームドシリカを添加した以外は、実施例3と同じである。実施例3のニュートン効率が8.85%であるのに対して、実施例9のニュートン効率は31.22%と大幅に高くなっている。これより、精鉱に疎水性シリカを添加すれば、より効率よく砒素を含有する鉱物を分離できることが確認された。
1 交流対極磁選機
11 電磁ドラム
12 磁着物排出口
13 非磁着物排出口

Claims (6)

  1. 鉄を含み砒素を含まない第1鉱物と砒素を含む第2鉱物とを含む原料を低酸素雰囲気下で加熱して、前記第1鉱物と前記第2鉱物との磁化率に差異を生じさせる加熱工程と、
    前記加熱工程の後に、磁着物としての前記第1鉱物と、非磁着物としての前記第2鉱物とに分離する磁力選鉱工程と、を備え
    前記加熱工程において、前記原料を酸素濃度0.5%以上、2%以下の低酸素雰囲気下で加熱し、
    前記第1鉱物は黄銅鉱および斑銅鉱のうちの少なくとも1つであり、
    前記第2鉱物は砒四面銅鉱、硫砒銅鉱および硫砒鉄鉱のうちの少なくとも1つである
    ことを特徴とする選鉱方法。
  2. 前記加熱工程において、炉内温度を360℃以上、400℃以下とする
    ことを特徴とする請求項記載の選鉱方法。
  3. 前記加熱工程において、加熱時間を5分以上、30分以下とする
    ことを特徴とする請求項1または2記載の選鉱方法。
  4. 前記加熱工程において、前記原料を転動炉で加熱する
    ことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の選鉱方法。
  5. 前記加熱工程の後、前記磁力選鉱工程の前に、前記原料中の凝集物を解砕する解砕工程を備える
    ことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の選鉱方法。
  6. 前記加熱工程の前に、前記原料に凝集抑制剤を添加する
    ことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の選鉱方法。
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