JP6488637B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼製外皮にフラックスが充填されたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ(以下、FCWと表記することがある。)の製造方法に関するもので、特に、アトマイズ法で製造されるフラックスを含有するFCWの製造方法に関するものである。本発明のFCWは鉄鋼材料のアーク溶接に使用される。
フラックス入りワイヤは、溶接の際の作業性や施工性の良さから広く使用されている。しかしながら、フラックス入りワイヤを用いるガスシールドアーク溶接において、一般に、ワイヤに充填するフラックスは、TiOを主体とした低塩基のフラックスであるため溶接金属の酸素量が高い。このため、他の溶接法に比べ、靱性が良好な溶接金属を得ることが難しい。
この問題を改善する技術として、フラックスとして、酸化チタンや酸化アルミニウム等の酸化物に加えて、さらに弗化物を添加して溶接金属中の酸素量を低下させることが、例えば、特許文献1〜4などに開示されている。
これらの酸化物及び弗化物は、それ自体が含有する水分に加え、ワイヤの製造時及び保管時に空気中の水蒸気を吸収し、これらの水分が溶接金属中の水素量(拡散性水素量)を多くし、溶接金属の低温割れを引き起こす問題があった。そのため、フラックス入りワイヤの製造においては、低水分の原料の選定、及び、ワイヤの製造時及び保管時の吸湿の厳密な管理が必要であった。
また、フラックスの水分を低減させる技術として、特許文献5には、フラックスである酸化チタンの粒子表面に付着し、耐吸湿特性を低下させているNa、K、Al及びSiを表面研磨処理により除去して、酸化チタンの水分量を低減する技術が開示されている。
しかしながら、フラックス中の主な水分が、それに付着した元素に由来するものであれば、この技術は有効であるが、フラックス中の主な水分が、フラックス成分の吸収に由来する場合は、この技術を採用しても効果を発揮しにくい。
また、水分を吸収しやすいフラックスに代え、フラックスを構成する元素を含有し、水分を吸収しにくい複合酸化物等の化合物をフラックス原料として使用することもできる。しかし、化合物中に含有する元素の比率は、通常、決まっているため、化合物をフラックス原料に使用すると、フラックスの組成の調整が困難となる。
一方、サブマージアーク溶接用のフラックスとして、焼成型フラックスと比べ、水分の吸収を低減させて、取扱及び保管が容易な溶融型のフラックスが知られている。そして、溶融型のフラックスをフラックス入りワイヤに用いる試みは、先の特許文献3に開示されている。しかしながら、特許文献3に記載された発明は、ワイヤの製造時及び保管時の水分の吸収については、考慮されていない。
このような、溶融型のフラックスは、焼成型フラックスと比べて水分の吸収が低減されるが、一般に、溶融原料を機械粉砕して製造されるため、角張った多面体のフラックスとなり、水分を含有する空気との接触面積が広く、フラックスの低水分化においては、さらなる改善の余地があった。
特開平06−155079号公報 特開平08−257785号公報 特開平09−248694号公報 特開2013−018012号公報 特開2012−055970号公報
以上のように、溶融型のフラックスをフラックス入りワイヤに用いる試みはされていたが、溶融型のフラックスを含有するフラックス入りワイヤの製造時及び保管時の水分の吸収、及び、それの耐低温割れ性に及ぼす影響については、検討されていなかった。
そこで、本発明は、溶融型のフラックスを含有するフラックス入りワイヤにおいて、上記背景技術の問題点に鑑み、ワイヤの製造時及び保管時において、水分の吸収を低減し、溶接金属の低温割れを抑制できるフラックス入りワイヤを提供することを課題とする。
フラックスが、ワイヤの製造時及び保管時に、空気と接触して、空気中の水分を吸収し、溶接金属中の拡散性水素量を高くすることを抑制するためには、フラックスと空気との接触を低減させればよく、低表面積のフラックスとすることを検討した。本発明者らは、フラックスの少なくとも一部をアトマイズ法で製造すると、フラックスが略球形状となり、低表面積のフラックスが得られることを見出した。
さらに、上記アトマイズ法で製造されるフラックスは、機械粉砕して得られる角張った多面体のフラックスと違い、略球形状であるため、伸線の際に、鋼製外皮の破損を抑制することができる。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)フラックス成分として弗化物をF換算値でワイヤ全質量に対する質量%で1.05%以上、4.0%以下で含有し、酸化物をワイヤ全質量に対する質量%で1.0%以上、4.0%以下で含有するフラックス入りワイヤの製造方法であって、
前記弗化物と前記酸化物として、BaF、MgF、CaF、SrF及びAlFの1種又は2種以上の弗化物と、Al、SiO、ZrO、MgO、CaO、BaO、SrO、MnO及びTiOの1種又は2種以上の酸化物を原料として、ガスアトマイズ法で製造された弗化物と酸化物を用いることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法。
)鋼製外皮にスリット状の隙間が無いことを特徴とする前記(1)に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法。
)鋼製外皮にスリット状の隙間が有ることを特徴とする前記(1)に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法。
なお、上記ガスアトマイズ法で製造されるフラックスには、Fe粉、Ni粉などの金属粉末は含まない。
本発明の製造方法によるフラックス入りワイヤは、ワイヤの製造時及び保管時において、水分の吸収が低減され、溶接継手の低温割れを抑制することができる。さらに、アトマイズ法で製造されるフラックスは、略球形状であるため、伸線の際に、ワイヤの断線を低減できる。
アトマイズ法により製造されたフラックスの走査形電子顕微鏡像を示す写真である。 溶融物を機械粉砕して製造されたフラックスの走査形電子顕微鏡像を示す写真である。 ワイヤの切断面に関し、(a)はエッジ面を突合せて溶接して作ったワイヤ、(b)はエッジ面を突合せて作ったワイヤ、(c)はエッジ面をかしめて作ったワイヤを示す図である。
本発明者らは、フラックス入りワイヤにおいて、フラックスの少なくとも一部をアトマイズ法で製造することで、前記のように、略球形状のフラックスが得られ、溶接金属中の拡散性水素量を低減することができるとの知見を得た。
以下に、本発明のフラックス入りワイヤについて、アトマイズ法により製造されるフラックス、フラックス成分、合金成分に分けて説明する。なお、特に注記しない場合、成分組成の「%」は、ワイヤの全質量に対する「質量%」を意味する。
最初に、アトマイズ法により製造されるフラックスについて説明する。
低比表面積のフラックスは、従来のアトマイズ法によって製造できる。代表的なアトマイズ法として、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法があるが、これらの中で、ガスアトマイズ法は、真球に近い形状の粉末が得られやすいため、低比表面積のフラックスを得るために好ましい方法である。
ガスアトマイズ法とは、溶融状態のフラックスを溶融炉から流下させ、流下中の溶融フラックスにガスを高速で吹付け、溶融フラックスを分散、凝固させることで、粉末を溶融状態から直接生成させる方法である。
このとき、アトマイズ製法で製造されるフラックスは、高速ガスの吹付けノズルと反対側に設置されているフラックス回収器の内部に吹き飛ばされ、回収器の内部に収容される。溶融フラックスに吹付けるガスは、大気や窒素、不活性ガス、およびこれらの混合ガスなどが使用可能であり、製造されるフラックス成分によって適宜ガス種は選択される。
ガスアトマイズ法の製造条件として、溶融物の溶湯流速を20kg/分以上1000kg/分以下、アトマイズガスの圧力を0.3MPa以上150MPa以下、アトマイズガスの流量を10Nm/分以上2000Nm/分以下を採用することができる。ただし、上記の条件は1例であり、設備構成によって上記条件に限定されるものではない。
これらの製造条件により、略球形状で低比表面積のフラックスを効率よく製造することができる。さらに、溶融物を機械粉砕してフラックスを製造すると、溶融物の機械粉砕に多くの時間を要し、角張った多面体形状のフラックスしか得られないが、ガスアトマイズ法でフラックスを製造すると、上記の粉砕法の1/30程度の時間で製造することができ、生産効率が著しく向上する。
このようにして得られる略球形状のフラックスには、真球だけでなく、楕円体や、一部変形した球状体、一部凹凸を有する球状体、複数の球状体が結合している球状体も含まれ、走査形電子顕微鏡写真(SEM写真)によって、その形状を確認することができる。次に、下記の実施例において、製造したフラックスの走査形電子顕微鏡写真について説明する。
図1は、アトマイズ法により製造されたフラックスの走査形電子顕微鏡像を示す写真である。アトマイズ法により製造されたフラックスは、その多くが真球形をしており、表面の凹凸も少ない。一方、図2は、溶融物を機械粉砕して製造されたフラックスの走査形電子顕微鏡像を示す写真である。溶融物を機械粉砕して製造されたフラックスは、角張った多面体形状をしており、表面の凹みも多い。これらのフラックスの走査形電子顕微鏡写真から、アトマイズ法により製造されたフラックスの表面積の方が、溶融物を機械粉砕して製造されたフラックスのそれより、小さいことは明らかである。
そして、略球形状のフラックスの比表面積は、0.03m/g以下となり、フラックスと空気との接触が低減される。一方、比表面積の低下は粒径の増加を生じ、粒径が大きいフラックスを鋼製外皮に充填すると、粒子間に空隙が生じて空気を多く含むワイヤとなり、溶接金属の窒素が上昇する。窒素の上昇は溶接金属の靭性低下の原因となるので、比表面積の下限値は、0.001m/g以上とすることが好ましい。
以上、アトマイズ法によるフラックスの製造において、ガスアトマイズ法について説明したが、ガスアトマイズ法に限定されるものでなく、ディスクアトマイズ法や、その他のアトマイズ法でフラックスを製造してもよい。但し、水アトマイズ法を用いた場合は、フラックスに水和物が生成している可能性があるので、500℃以上、1000℃以下で再乾燥することが好ましい。
アトマイズ法により溶融型フラックスを製造すると、先に述べた利点に加え、さらに、単体では、吸湿性の高い成分を他の成分と一緒に溶融して、別の組成を有する凝固物とすることで、吸湿性の低い材料に変換できる。
例えば、特許文献1〜4で用いられている弗化物は、潮解性を有するため、取扱いに注意を要する。これを酸化物と一緒に溶解して、アトマイズ法によりフラックスを製造することにより、潮解性が低減されたフラックスを得ることができる。また、アトマイズ法で製造されるフラックスは、製造条件を選択することにより、結晶質又は非晶質にすることができ、種々特性の調整もできる。
そして、アトマイズ法は、同じ溶湯から連続的に液滴をつくるため、混合物をアトマイズ処理して得られるフラックスは、粒子間の組成差が極めて小さくなる。さらに、寸法が異なる粒子間の組成差も小さくなる。したがって、このフラックスを含有するフラックス入りワイヤは、その全長において、フラックス組成が均一となり、安定したガスシールドアーク溶接をできるものとなる。
次に、アトマイズ法により製造されたフラックスを含有するフラックス入りワイヤ(溶融型フラックス入りワイヤ)の適用例について説明する。
例えば、フラックス入りワイヤは、弗化物をF換算値で1.0%以上、4.0%以下、酸化物を1.0%以上、4.0%以下として、その他炭酸塩などを含有するフラックスにおいて、弗化物と酸化物をアトマイズ法により製造されたフラックスを含有するものが例示できる。
以下、そのようなフラックス入りワイヤについて、まず、フラックス成分と、その添加理由について説明する。
弗化物
フラックス成分の弗化物は、金属弗化物である。具体的には、BaF、MgF、CaF、SrF、AlFの等が有効である。弗化物は、スラグ剤として溶接金属を被包して、ビード形状を良好にするとともに、溶接金属からのスラグの浮上分離を促し、溶接金属の酸素量と水素量を低減して靭性を向上させて、良好な機械的性質を形成するために添加される。
また、溶接金属中の酸素量や溶接継手の拡散性水素量を低下させて、溶接金属の靱性や耐低温割れ性を向上させるためには、弗化物をF換算値でワイヤ全質量の1.0%以上添加することが好ましい。しかし、4.0%を超えると、溶接ヒュームが過剰生成することで、アークが不安定となりスパッタ発生量が増加することがある。このため、弗化物の含有量はF換算値で1.0%以上、4.0%以下とすることが好ましい。また、必要に応じて弗化物の含有量の下限を2.0%としてもよい。なお、特許請求の範囲では、弗化物の含有量の下限を、実施例で確認されているF換算値でワイヤ全質量の1.05%とした。
酸化物
フラックス成分の酸化物は、Al、SiO、ZrO、MgO、CaO、BaO、SrO、MnO、TiO等である。酸化物は、溶融スラグの濡れ性に影響を与え、ビード形状の適正化及びアンダーカット防止のために添加される。
アンダーカットの防止効果を得るためには、酸化物を合計で1.0%以上添加することが好ましい。しかし、酸化物の含有量が4.0%を超えて添加されると、ビード形状が凸状になり、それに伴って、溶接止端部形状も劣化することがある。また、酸化物の含有量の上限を2.0%としてもよい。
炭酸塩
フラックス成分には、アーク集中性を高める目的でさらに炭酸塩を添加してもよい。炭酸塩は、CaCO、BaCO、SrCO、MgCO等である。アーク集中性を高めるには、炭酸塩を0.6%未満添加することが好ましい。炭酸塩の含有量が0.6%以上添加されると、アークの集中性が強すぎてスパッタ発生量が多くなることがある。したがって、これらの炭酸塩を含有させる場合には、その含有量を合計で0.6%未満が好ましい。これらの炭酸塩は含有量が0%であっても実用上何ら問題ない。
アーク安定剤
アーク安定剤はLi、Na、K、の酸化物、弗化物、炭酸塩が用いられ、その含有量は0.001%以上、0.5%以下が好ましい。
次に、ワイヤの合金成分について説明する。合金元素としてはC、Si、Mn、P、S、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Al、Ti、B等があるが、これらに関しては既に多くの公開資料があるので、これらを参考にして必要とされる強度、靭性等の機械的特性に応じて調整すればよいが、以下の式で規定されるPcmの値が0.15%以上、0.40%以下で調整するのが好ましい。
Pcm(%)=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60
+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
Pcmは、社団法人溶接学会 編著、「溶接・接合技術概論」、産報出版発行、東京、1998年 p.118による。含有しない元素は、0を代入する。
続いて、溶融型フラックス入りワイヤの形態について説明する。
溶融型フラックス入りワイヤは、鋼製外皮をパイプ状に成形し、その内部に溶融型フラックスを充填した構造で、図3(a)に示すように、製造の過程で成形した鋼製外皮の合わせ目を溶接したスリット状の隙間のないワイヤ(シームレスワイヤともいう)と、図3(b)、(c)に示すように、上記合わせ目を溶接せずスリット状の隙間を残すワイヤに大別できる。
本発明のフラックス入りワイヤは、いずれの構造も採用することができる。鋼製外皮にスリット状の隙間がないワイヤは、ワイヤ保管時に吸湿が少ない上、本発明のフラックスを用いることで、ワイヤ製造時の吸湿が抑制され、耐低温割れ性が向上する。一方、鋼製外皮にスリット状の隙間を有するワイヤは、本発明のフラックスを用いることで、ワイヤ保管時及びワイヤ製造時の吸湿が抑制され、耐低温割れ性が向上する。
本発明のフラックス入りワイヤは、通常のフラックス入りワイヤの製造方法と同様の製造工程によって製造することができる。すなわち、まず、外皮となる鋼帯、及び、アトマイズ法により製造されたフラックス、炭酸塩、合金成分、及び、アーク安定剤を所定の含有量になるように配合したフラックスを準備する。鋼帯を長手方向に送りながら、成形ロールによりオープン管(U字型)に成形して鋼製外皮とし、この成形途中でオープン管の開口部からフラックスを供給し、開口部の相対するエッジ面を突合せ溶接する。溶接法は、電縫溶接、レーザー溶接、又は、TIG溶接が用いられる。溶接により得られた管を伸線し、所望の線径を有するスリット状の隙間のないワイヤを得る。また、溶接をせずに、伸線することで、スリット状の隙間を有するワイヤを得る。
突合せシーム溶接されて作ったスリット状の隙間が無いワイヤを切断した断面は、図3(a)のように見える。この断面は、研磨して、エッチングすれば、溶接跡が観察されるが、エッチングしないと溶接跡は観察されない。そのため、上記のようにシームレスと呼ぶことがある。例えば、溶接学会編「新版 溶接・接合技術入門」(2008年)産報出版、p.111には、シームレスタイプと記載されている。
図3(b)にエッジ面を突き合わせた例を、図3(c)にエッジ面をかしめた例を示すが、図3(b)のように突合せてから、ろう付けしたり、図3(c)のようにかしめてから、ろう付けしたりしても、スリット状の隙間が無いワイヤが得られる。また、図3(b)、(c)において、ろう付けせず、そのままのワイヤは、スリット状の隙間が有るワイヤとなる。
ワイヤ径は、1.0mm以上、2.0mm以下が好ましい。ワイヤ径が1.0mm以上、2.0mm以下であれば、溶接時の電流密度を高くし、高溶着率を得ることができる。より好ましくは1.2mm以上、1.6mm以下である。
また、ワイヤ表面に、防錆性、通電性、及び、耐チップ磨耗性に有効なCuメッキを施すことがある。
本発明では、鋼板に対して、フラックス入りワイヤを使用して、ガスシールドアーク溶接を行って、溶接金属を形成することによって、目的を達成することができるものである。ガスシールドアーク溶接の方法は、特に限定されず、通常用いられる方法を採用することができる。例えば、シールドガスとしては、100%COガスの他、Arガスと3〜20%COガスとの混合ガスなどを用いることができる。
また、電流、電圧などの溶接条件についても通常用いられている条件でよい。
製造される溶接継手の形状は、用途等に応じて決定され、特に限定されるものではない。通常の突合せ継手、角継手、T継手など、開先を形成する溶接継手に適用できる。従って、溶接される鋼板の形状も、少なくとも溶接継手を形成する部分が板状であればよく、全体が板でなくともよい。また、別々の鋼板から構成されるものに限定されず、1枚の鋼板を管状などの所定の形状に成形したものの突合せ溶接継手であってもよい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1及び表2に、供試フラックスの組成を示す。アトマイズ法(表にAと記載)により略球形状の供試フラックスは、次のようにして製造した。表1及び表2の弗化物と酸化物を容器に投入し、容器の加熱用ヒーターにより、酸化物及び弗化物の溶融温度以上に加熱して、溶融物を形成した。そして、容器底部のノズルから、溶融物を、溶湯流速60kg/分で、下方に流下させ、ノズルの近傍に配置した噴射口から、圧力2MPa、ガス流量70Nm/分の高圧空気を供給し、供試フラックスを製造した。また、表において、Mとあるのは、従来の機械粉砕法である。
得られた供試フラックスを表1及び表2に示す鋼製外皮のスリット状の隙間の有無となるように、ワイヤに封入した。供試フラックスのワイヤへの封入は、次のようにした。表3に示す成分の鋼製外皮を長手方向に送りながら成形ロールによりオープン管に成形し、この成形途中でオープン管の開口部から供試フラックスを供給し、開口部の相対するエッジ面を突合わせ溶接することでスリット状の隙間のない管とし、造管したワイヤの伸線作業の途中で焼鈍を加え、最終のワイヤ径がφ1.2mmの供試ワイヤを試作した。また、一部は、溶接をしないスリット状の隙間を有する管とし、それを伸線することで、ワイヤ径がφ1.2mmの供試ワイヤを試作した。
表3に示す成分の供試鋼材を、得られた供試ワイヤを用いて、電流を280A、アーク電圧を28V、溶接速度を20cm/min、シールドガスを炭酸ガスとする条件でビードオンプレート溶接を行い、拡散性水素量、スパッタ発生量、余盛高さ及びアンダーカットの評価を行った。表4及び表5に、拡散性水素量、伸線時の破断回数、スパッタ発生量、余盛高さ及びアンダーカットの結果を示す。
拡散性水素量測定試験は、JIS Z 3118(鋼溶接部の水素量測定方法 2007年)に準拠したガスクロマトグラフ法にて実施した。そして、拡散性水素量が、2.0ppm以下を合格とし、1.0ppm以下のものは拡散性水素低減の効果が特に明瞭に発現したと判断した。伸線時の破断回数は、2回以下を合格とした。
スパッタ発生量は、発生したスパッタの重量が2g以下を合格とし、1.0g以下のものはスパッタ低減効果が特に明瞭に発現したと判断した。凸ビードの評価では、余盛高さが8mm以下を合格とし、5mm以下のものは平滑ビードを得る効果が特に明瞭に発現したと判断した。アンダーカットは、発生部分の溶接長を合計し、50mm以下であれば合格とし、10mm以下であればアンダーカット抑制の効果が特に明瞭に発現したと判断した。また、1トンのワイヤ製造において、伸線時の破断回数を計測した。
表4及び表5の試験結果に示されるように、発明例である試験番号1〜15と試験番号23〜64は、全ての項目で合格と判定され良好な結果であった。また、伸線工程でのワイヤ断線も発生せず良好な製造性を確認することができた。特に、試験番号1〜10では、本発明が好ましいと考える弗化物量と酸化物量がFCWに含有されており、且つFCWの鋼製外皮にスリットが無いために、拡散性水素、スパッタ発生量、アンダーカット、凸ビードの回避の全項目において特筆すべき試験結果となった。
一方、比較例である試験番号16〜22は、機械粉砕の溶融型フラックスを用いたので、フラックスの表面積が大きくなり拡散性水素が高くなった。更に、ワイヤ伸線時の断線も多数発生し不合格となった。
試験番号23〜29は、弗化物の含有量が本発明において好ましいと考える下限値を満たさないため、拡散性水素が1ppm以下にならなかったが、低水素化の効果は発現していた。試験番号30と31は、弗化物の含有量が本発明において好ましいと考える範囲の上限値を逸脱している。このためでスパッタ発生量が、多少増加したが合格であった。
試験番号54〜62は、発明例ではあるが、酸化物の含有量が本発明の下限値を逸脱しているので、アンダーカットが発生したものの拡散性水素は少なく、スパッタも少ないので合格と判断した。一方、試験番号63と64は、酸化物の含有量が上限値を逸脱しているので、凸ビードとなり余盛り高さが高いが、拡散性水素は少なく、スパッタも少ないため合格と判断した。
本発明によれば、ワイヤの製造時及び保管時において、水分の吸収が低減され、溶接金属の低温割れを抑制することができ、さらに、伸線の際に、鋼製外皮の破損を抑制することができ、産業上の利用可能性が極めて高い。

Claims (3)

  1. フラックス成分として弗化物をF換算値でワイヤ全質量に対する質量%で1.05%以上、4.0%以下で含有し、酸化物をワイヤ全質量に対する質量%で1.0%以上、4.0%以下で含有するフラックス入りワイヤの製造方法であって、
    前記弗化物と前記酸化物として、BaF、MgF、CaF、SrF及びAlFの1種又は2種以上の弗化物と、Al、SiO、ZrO、MgO、CaO、BaO、SrO、MnO及びTiOの1種又は2種以上の酸化物を原料として、ガスアトマイズ法で製造された弗化物と酸化物を用いることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法。
  2. 鋼製外皮にスリット状の隙間が無いことを特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法。
  3. 鋼製外皮にスリット状の隙間が有ることを特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法。
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