JP6487794B2 - ロープ用掴線器およびそれを用いた架空線復旧方法 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1に開示されている発明は、セミおよびロープを使用する点で本出願の発明と類似するものの、ロープを直接シメラー(張線器)で引っ張る構成であるため、本発明の課題である、線条体を掴むと滑りを起こしてしまい、充分に強い力でロープを引っ張ることができないという課題を解決することができない。また、特許文献1の発明は、バネ式張力バランサを使用することを前提とするとともに、吊架線の断線復旧を目的としており、バランサのような装置を必要とせず主としてトロリー線の復旧に向けてなされた本出願の発明とは対象が異なる。
また、ロープを掴線器で把持し、該掴線器に連結したシメラー(張線器)を用いて引っ張る技術としては、例えば特許文献3に開示されているものがある。
しかし、特許文献3に開示されている発明は、セミを使用しない方法であるとともに、電柱間にロープを張設するための技術であり、トロリー線の復旧に向けてなされた本出願の発明とは対象が異なる。
また、本発明の他の目的は、セミに巻回されたロープの端部を確実に把持し、このロープを強い力で引っ張ることで架空線を充分な高さまで持ち上げることができ、断線した架空線を短時間で安全に復旧させることができる架空線復旧方法を提供することにある。
複数のリング状把持部材が一つの面に所定のピッチで1列に並んで配設されているベース部材と、
前記複数のリング状把持部材のうち任意の2以上のリング状把持部材に対応した軸を中心に回動可能に設けられた一組のリンクレバーと、
端部に他の器具が連結可能な連結部を有し、前記一組のリンクレバーの回動中心と反対側の端部にピン結合された作動レバーと、
前記一組のリンクレバーの少なくとも一方の中央部に前記複数のリング状把持部材のいずれかと対向するように設けられたリング状押え部材と、を備え、
前記一組のリンクレバーが回動されることに応じて前記リング状押え部材が前記複数のリング状把持部材に対して接近離反可能にされ、
前記リング状押え部材が前記複数のリング状把持部材に接近した状態で、当該リング状押え部材と複数のリング状把持部材との間にロープが変形した状態で把持されるように構成した。
これにより、リンクレバーを作動させてリング状押え部材と複数のリング状把持部材との間にロープを把持させる前に、一対の誘導リングでロープを誘導し仮保持することができるため、作業性が向上するとともに、把持後においてはロープにさらに変形を与えることができ、それによって把持力をさらに高めることができる。また、ロープに張力が作用した際に、抜止め用のプレートによってロープが横方向に外れるのを防止することができる。
これにより、ロープに張力が作用した際の引き抜き方向の抵抗をさらに大きくすることができ、強い張力が働いたとしてもロープが抜けにくくすることができる。
断線した架空線の端部から少し離れた部位に、金属線把持用の掴線器をそれぞれ取り付けて把持させる工程と、
前記掴線器間に、2つの2連滑車を有しロープが巻回された引き寄せ器具を結合する工程と、
前記引き寄せ器具に巻回されている前記ロープの端部を引っ張ってたるみをなくし、当該ロープの端部に、作動レバーを有するロープ用掴線器を取り付けて把持させる工程と、
前記ロープ用掴線器の作動レバーに張線器を結合する工程と、
前記張線器の他端を地上側の固定部に係止させる工程と、
前記張線器により前記ロープ用掴線器を引き寄せる工程と、を含むようにしたものである。
ここで、前記ロープとしてエイトロープを使用するのが望ましい。エイトロープを使用することにより、一般的なロープに比べてロープの絡まりが少ないとともに、表面の損傷も少なくすることができる。
図1および図2は本発明の実施形態に係るロープ用掴線器(カムラー)を示すもので、図1は斜視図、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図、図2(c)は側面図である。
本実施形態のロープ用掴線器10は、例えばセミと呼ばれる器具(2連滑車)を使用して断線した架空線を復旧する際に、セミに巻回されているロープの端部を把持するのに好適な金具である。この掴線器10は、図1に示すように、ベースプレート11と、該ベースプレート11の一方の面に1列に並んで設けられた3個の固定リング12a,12b,12cと、これらの固定リング12a,12b,12cをベースプレート11に固着するためのピン軸13a,13b,13cとを備える。なお、特に限定されるものではないが、固定リング12a,12b,12cの外周面には、滑り止め用のアヤ目(ギザギザ模様)が形成されている。
上記誘導リング14a,14bは回転不能に固定されていても良いし、回転可能でも良い。また、誘導リング14a,14bの外周面は平滑であっても良いし、滑り止め用の溝やアヤ目が形成されていても良い。誘導リング14a,14bを設けることで、把持する前のロープを誘導し仮保持することができるため、作業性が向上する。
押えリング20a,20bの径は固定リング12a〜12cの径と同一に設定されているとともに、ロープ30を挟み込んだ状態で、ピン軸19a,19bは固定リング12a〜12cのピン軸13a〜13cに対して左右方向に、2分の1ピッチだけずれた位置に設けられている。
なお、ロープ用掴線器10を構成する部品は、本実施形態では金属製であるが、強度が充分にあれば金属製に限定されるものではない。
なお、作動レバー17には、シメラー(張線器)等の他の器具を連結するための孔17aが形成されており、断線したトロリー線の復旧作業等においては、図9に示すように、この孔17aには、シメラー(張線器)54の端部のリング54Aを引っ掛けるための引っ掛け金具10Aが結合される。
本実施形態のロープ用掴線器10は、図3に示すように、固定リング12a,12b,12cと押えリング20a,20bとの間にロープ30をS字状に変形させた状態で挟み込むことで、引き抜き方向の抵抗力が大きくなり、ロープに張力が作用しても抜けないようにしっかりと把持することができる。また、例えば特開2010−173545号公報に記載されている、内面に鋸歯状の歯部を有する一対の平行な把持部材で金属製のケーブル(架空線)を強固に挟み込んで把持する掴線器と異なり、表面に歯形が残るような損傷を与えるのを防止することができる。
さらに、ロック用レバー24が設けられているためロープを把持する状態が解除されるのを防止することができ、ロープに張力の方向と逆向きの力が作用したとしてもロープが外れるのを回避することができる。
図5に示すのは第1変形例であり、ベースプレート11の後端部(図では右端部)が延設され、その延設部11aにピン軸13cと平行な巻付きバー26が設けられており、この巻付きバー26にロープ30を1回巻き付けてから引き出すことで、固定リング12a,12b,12cと押えリング20a,20bとの間に把持されているロープ30が抜けにくくなるように構成されている。他の構成は、図1の掴線器10と同じであるので、重複した説明は省略する。
図7は第3変形例を示すもので、この第3変形例は、図1の掴線器10における誘導リング14a,14bと抜止めプレート23とロック用レバー24を省いたものである。
図8は第4変形例を示すものであり、この第4変形例は、図1の掴線器10における誘導リング14a,14bと抜止めプレート23とロック用レバー24と押えプレート18および連結プレート21を省いたものである。
続いて、ロープ30の端部を引っ張ってロープのたるみをなくし、ロープ30の端部に上記実施形態のロープ用カムラー10を取り付け、把持する。その後、カムラー10の引っ掛け金具10Aにシメラー(張線器)54の端部のリング54Aを引っ掛ける。また、シメラー(張線器)54の他端の引っ掛け金具54Bは、電柱60に巻回係止されたロープ55の端部に結合する。
上記のような方法により、復旧作業時間の大幅な短縮、作業員の大幅な削減、高所作業の大幅な減少が図れるようになる。なお、本発明は、トロリー線に限らず、電車線路用に架設される吊架線その他の架空線の断線復旧に適用することができる。
さらに、前記実施形態では、本発明をエイトロープと呼ばれる撚りの変形の少ないロープの端部を把持する掴線器に適用したものを説明したが、本発明は、他の種類のロープやの端部を把持する掴線器にも広く利用することができる。
11 ベースプレート
12a,12b,12c 固定リング(リング状把持部材)
14a,14b 誘導リング
15a,15b リンクレバー
17 作動レバー
20a,20b 押えリング(リング状押え部材)
23 ロック用レバー(ロック手段)
24 抜止め用のプレート
25 巻付けバー(冗長部)
30 ロープ
51,52 カムラー(掴線器)
53 セミ(引き寄せ器具)
54 シメラー(張線器)
Claims (4)
- 複数のリング状把持部材が一つの面に所定のピッチで1列に並んで配設されているベース部材と、
前記複数のリング状把持部材のうち任意の2以上のリング状把持部材に対応した軸を中心に回動可能に設けられた一組のリンクレバーと、
端部に他の器具が連結可能な連結部を有し、前記一組のリンクレバーの回動中心と反対側の端部にピン結合された作動レバーと、
前記一組のリンクレバーの少なくとも一方の中央部に前記複数のリング状把持部材のいずれかと対向するように設けられたリング状押え部材と、を備え、
前記一組のリンクレバーが回動されることに応じて前記リング状押え部材が前記複数のリング状把持部材に対して接近離反可能にされ、
前記リング状押え部材が前記複数のリング状把持部材に接近した状態で、当該リング状押え部材と複数のリング状把持部材との間にロープが変形した状態で把持されるように構成されていることを特徴とするロープ用掴線器。 - 前記ベース部材の前記複数のリング状把持部材の列の外側には、把持対象のロープの径と同程度の間隔をおいて一対の誘導リング部材が設けられ、該一対の誘導リング部材の一方の軸には、他方の前記誘導リング部材に向かって回動可能な抜止め用のプレートが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のロープ用掴線器。
- 前記ベース部材の前記誘導リング部材が設けられている側と反対側の端部には、ロープを巻き付けもしくは蛇行させることが可能な冗長部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のロープ用掴線器。
- 断線した架空線の端部から少し離れた部位に、金属線把持用の掴線器をそれぞれ取り付けて把持させる工程と、
前記掴線器間に、2つの2連滑車を有しロープが巻回された引き寄せ器具を結合する工程と、
前記引き寄せ器具に巻回されている前記ロープの端部を引っ張ってたるみをなくし、当該ロープの端部に、請求項1〜3のいずれかに記載のロープ用掴線器を取り付けて把持させる工程と、
前記ロープ用掴線器の前記作動レバーに張線器を結合する工程と、
前記張線器の他端を地上側の固定部に係止させる工程と、
前記張線器により前記ロープ用掴線器を引き寄せる工程と、を含むことを特徴とする架空線復旧方法。
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