a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は第1実施形態に係る1オクターブ分の鍵を含む鍵盤装置の概略斜視図であり、図2は前記鍵盤装置の平面図であり、図3は前記鍵盤装置の正面図である。図4は、図2のA−A線に沿って見た鍵盤装置の拡大端面図であり、図5は図2のB部の拡大図である。なお、本明細書においては、演奏者側(図1の左下側及び図2の下側)を鍵盤装置の前方とし、演奏者と反対側(図1の右上側及び図2の上側)を鍵盤装置の後方とする。そして、演奏者の左右方向(図1の左上から右下方向及び図2の左右方向)を鍵盤装置の左右方向とする。
鍵盤装置は、鍵盤の下方にて、鍵盤楽器内に固定された鍵フレーム10を有する。鍵フレーム10は、前方にて左右及び前後方向に水平に延設された平板状の下段壁11と、下段壁11の後端にて上方に立設された平板状の立面壁12と、立面壁12の上端にて後方に所定幅だけ水平に延設されるとともに左右方向に長尺状かつ平板状の上段壁13とを備えている。下段壁11、立面壁12及び上段壁13は、金属、樹脂などにより一体的に形成されている。上段壁13には、左右方向のほぼ中央位置にて、上面から下面に連通する左右方向に長い直方体形状の貫通孔13aが、その前後の内面を上段壁13の前後両端面に平行にして形成されている。上段壁13上には、樹脂によりそれぞれ一体成形した第1乃至第3鍵ユニット20,30,40がその後端部にて載置されている。また、上段壁13の適宜箇所には、図示しない固定用ねじを螺合させて第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を堅固に固定するために、内周面に雌ねじを形成した上面から下面に連通する円形のねじ孔13bも設けられている。なお、これに代えて、ねじ孔13bとしては内面に雌ねじを有しない単なる円柱状の孔が利用され、円柱状の孔にタップネジを螺合させるセルフタップねじ方式により、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を上段壁13上に堅固に固定するようにしてもよい。
下段壁11には、後述する白鍵21,31及び黒鍵41にそれぞれ対応したフレーム側ガイド部材14が下段壁11と一体的に設けられている。フレーム側ガイド部材14は、図9に示すように、それぞれ全体形状を直方体形状として前面14a、後面14b、左右側面14c,14d及び上面14eを有し、白鍵21,31及び黒鍵41の下面が対向する位置にて下段壁11の上面から上方に突出している。なお、図9(A)において、フレーム側ガイド部材14の形状を理解し易いようにするために、後述する鍵側ガイド部材24,34,45をフレーム側ガイド部材14の上面14eの位置にて水平に切断して、鍵側ガイド部材24,34,45の上部を除去して示している。
白鍵21,31用のフレーム側ガイド部材14は白鍵21,31の前後方向の中央位置より若干前方位置にて左右方向に一列に配置され、黒鍵41用のフレーム側ガイド部材14は白鍵21,31用のフレーム側ガイド部材14よりも若干だけ後方位置にて左右方向に一列に配置されている。前面14a及び後面14bは左右方向に延設ざれ、左右側面14c,14dは前後方向に延設されている。上面14eは、後述する鍵側ガイド部材24,34,45の上端よりも下方に位置する。前面14a及び上面14eに関しては、白鍵21,31及び黒鍵41の回動軌跡に合わせて延設させることが好ましい。なお、本実施形態では、黒鍵41用のフレーム側ガイド部材14を白鍵21,31用のフレーム側ガイド部材14の後方に位置させたが、黒鍵41用のフレーム側ガイド部材14と白鍵21,31用のフレーム側ガイド部材14とを前後方向の同一位置に配置したり、黒鍵41用のフレーム側ガイド部材14を白鍵21,31用のフレーム側ガイド部材14の前方に位置させたりしてもよい。
フレーム側ガイド部材14の前面14a側には、左右方向の中央位置にて、上下方向に延設された溝14fが設けられている。溝14fは、左右方向に所定幅を有するとともに後方に所定深さを有する横断面形状を前後方向に長い長方形状としている。
次に、第1鍵ユニット20について、図6(A)の平面図、図6(B)の正面図及び図6(C)の側面図を用いて説明する。第1鍵ユニット20は、音名C,E,G,Bにそれぞれ対応して互いに隣接していない4つの白鍵21を有する。白鍵21は、上壁、前壁、側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。ただし、上壁、前壁、側壁及び後壁の板厚による内側面を示す破線は、図4以外の図面においては省略されている。上壁及び側壁には、黒鍵41のスペースを確保するために段部が設けられている。
これらの4つの白鍵21の後壁は、ヒンジ22を介して連結部23にそれぞれ接続されている。ヒンジ22及び連結部23は、白鍵21と一体成形されている。ヒンジ22は、白鍵21の後端部の横幅に等しい又はほぼ等しい横幅を有し、上下方向に弾性変形し易いように薄肉で方形かつ平板状に構成されていて、その前端を白鍵21の後壁の下部に接続させて後方に延設されている。そして、ヒンジ22は白鍵21の押鍵時に弾性変形して、白鍵21の前端部の下方への変位を許容し、白鍵21の離鍵時には弾性力により白鍵21の前端部を上方へ変位させて白鍵21を離鍵位置に復帰させる。
連結部23は、縦断面を長方形状にして横方向に長尺状の部材であり、前面の上下方向の中間部にてヒンジ22の後端を接続させている。連結部23は変形し難いように比較的厚く構成されており、その上下方向の厚さはヒンジ22の上下方向の厚さに比べて大きい。また、連結部23の前後幅は鍵フレーム10の上段壁13の前後幅に等しく、連結部23は上段壁13上に載置されている。連結部23には、左右方向ほぼ中央位置にて、上面から下面に連通する左右方向に長い直方体形状の貫通孔23aが、その前後の内面を連結部23の前後両端面と平行にして形成されている(図4及び図5を参照)。また、連結部23の前記ねじ孔13bに対応する箇所には、前記固定用ねじを貫通させるための上面から下面に連通する円形の貫通孔23bも設けられている。
また、白鍵21の下面であってフレーム側ガイド部材14と対向する位置には、鍵側ガイド部材24が白鍵21と一体的に設けられている。鍵側ガイド部材24は、図9((A)では、フレーム側ガイド部材14の上面14eよりも上部を除去)に示すように、横断面形状をコ字状として前壁24a及び左右側壁24b,24cを有し、白鍵21の下面から下方に突出している。鍵側ガイド部材24の下面は、鍵フレーム10の下段壁11の上面よりも上方に位置する。前壁24a及び左右側壁24b,24cは平板状に構成され、前壁24aは左右方向に延設され、左右側壁24b,24cは前後方向に延設されている。前壁24aの後面には、左右方向の中央位置にて、後方に突出するとともに上下方向に延設された平板状の突出部24dが設けられている。突出部24dの左右方向の幅は、フレーム側ガイド部材14の溝14fの横方向幅より小さく、突出部24dの後端は左右側壁24b,24cの後端よりも後方に位置するとともに溝14fの底面よりも若干前方に位置するように設定されている。なお、鍵側ガイド部材24の突出部24d及びフレーム側ガイド部材14の溝14fの左右方向の位置は、それらが対向する位置にあれば、鍵側ガイド部材24及びフレーム側ガイド部材14における左右方向の中央位置から左又は右に若干ずれた位置でもよい。
第1鍵ユニット20が鍵フレーム10に誤差なく組付けられた状態では、左側壁24bの内側面とフレーム側ガイド部材14の左側面14cとの間、及び右側壁24cの内側面とフレーム側ガイド部材14の右側面14dとの間には同一距離の隙間が設けられており、この隙間の左右方向の距離をaとする。以降の説明では、この距離aをキーガイドクリアランスaという。また、突出部24dの両外側面と溝14fの両内側面との間には、同一距離の隙間が設けられており、この隙間の左右方向の距離をbとする。以降の説明では、この距離bをプレガイドクリアランスbという。また、キーガイドクリアランスaとプレガイドクリアランスbとの間には、a<bの関係がある。また、突出部24dの前壁24aの後面から後方への突出長さは、左右側壁24b,24cの前壁24aの後面から後方への突出長さよりも大きく設定されている。具体的には、図9(C)に示すように、鍵側ガイド部材24を前方から後方に移動させて、突出部24dが溝14f内に侵入し始めた直後においては、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dと左右側壁24b,24cの両内側面内とは対向しておらず、突出部24dをある程度深く溝14fに侵入させた状態で、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dが左右側壁24b,24cの両内側面内に侵入して、左右側壁24b,24cの内側面の後端部とフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dとが対向し始める。
次に、第2鍵ユニット30について、図7(A)の平面図、図7(B)の正面図及び図7(C)の側面図を用いて説明する。第2鍵ユニット20は、音名D,F,Aにそれぞれ対応して互いに隣接していない3つの白鍵31を有する。白鍵31も、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。白鍵31の前後方向の長さ及び高さは白鍵21の場合と同じである。ただし、上壁及び左右側壁に設けた黒鍵41のスペースを確保するために段部は白鍵21の場合とは異なる。
これらの3つの白鍵31の後壁は、ヒンジ32を介して連結部33にそれぞれ接続されている。ヒンジ32及び連結部33も、白鍵21のヒンジ22及び連結部23とそれぞれ同様に構成され、白鍵31と一体成形されている。ヒンジ32の前端は白鍵31の後壁の上部に接続されている。連結部33は、前面の上下方向の下端部にてヒンジ32の後端を接続させ、第1鍵ユニット20の連結部23の上に載置されている。連結部33には、上面から下面に連通する左右方向に長い直方体形状の貫通孔33aが、その前後の内面を連結部33の前後両端面と平行にして形成されている(図4及び図5を参照)。また、連結部33には、第1鍵ユニット20の貫通孔23bと同様な貫通孔33bが形成されている。
さらに、白鍵31の下面には、第1鍵ユニット20の鍵側ガイド部材24と同様な鍵側ガイド部材34が鍵側ガイド部材24と前後方向の同一位置にて白鍵31と一体的に設けられている。鍵側ガイド部材34も、鍵側ガイド部材24の前壁24a、左右側壁24b,24c及び突出部24dと同様な前壁34a、左右側壁34b,34c及び突出部34dを有する。
次に、第3鍵ユニット40について、図8(A)の平面図、図8(B)の正面図及び図8(C)の側面図を用いて説明する。第3鍵ユニット20は、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応して互いに隣接していない5つの黒鍵41を有する。黒鍵41も、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。ただし、黒鍵41の前後方向の長さは白鍵21,31の前後方向の長さよりも短く、黒鍵41の高さは白鍵21,31の高さよりも高い。また、黒鍵41の前壁は、下方に向かって前方に位置するように傾斜している。
これらの5つの黒鍵41の後壁は、ヒンジ42を介して連結部43にそれぞれ接続されている。ヒンジ42及び連結部43も、白鍵21,31のヒンジ22,32及び連結部23,33とそれぞれ同様に構成され、黒鍵41と一体成形されている。ヒンジ42の前端は黒鍵41の後壁の上部に接続されている。連結部43は、前面の上下方向の下端部にてヒンジ42の後端を接続させ、第2鍵ユニット30の連結部33の上に載置されている。連結部43には、上面から下面に連通する左右方向に長い直方体形状の貫通孔43aが、その前後の内面を連結部43の前後両端面と平行にして形成されている(図4及び図5を参照)。また、連結部43には、第2鍵ユニット20の貫通孔33bと同様な貫通孔43bが形成されている。
また、連結部43の下面には、連結部43の左右方向のほぼ中央位置かつ連結部43の後端面から前方に離れた貫通孔43aの後ろの外側から下方に突出したフック部44が設けられている。フック部44は、第2鍵ユニット30の貫通孔33a、第1鍵ユニット20の貫通孔23a及び鍵フレーム10の貫通孔13aを上方から下方へ貫通させて、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける部材である。フック部44は、その横断面形状を左右方向に長尺状の長方形とし、その左右両側面を下方に向かうに従って幅狭とし、その正面視を台形状としている。フック部44の前後方向の厚さは薄く、フック部44は、前後方向に弾性変形するように構成されていて、下端を前後方向に変位可能としている。
フック部44の前面の下端部には、縦断面形状を3角形とする前方に突出させた係止用爪44aが設けられている。係止用爪44aは、フック部44を、第2鍵ユニット30の貫通孔33a、第1鍵ユニット20の貫通孔23a及び鍵フレーム10の貫通孔13aを上方から下方へ貫通させた状態で、その上面を鍵フレーム10の上段壁13の下面に係止させて、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付けるものである。また、連結部43には、第2鍵ユニット30の貫通孔33bと同様な貫通孔43bが形成されている。
さらに、黒鍵41の下面には、第1及び第2鍵ユニット20,30の鍵側ガイド部材24,34と同様な鍵側ガイド部材45が、鍵側ガイド部材24,34よりも後方位置にてフレーム側ガイド部材14と対向するように、黒鍵41と一体的に設けられている。鍵側ガイド部材45も、鍵側ガイド部材24,34の前壁24a,34a、左右側壁24b,24c,34b,34c及び突出部24d,34dと同様な前壁45a、左右側壁45b,45c及び突出部45dを有する。なお、フレーム側ガイド部材14の左右側面14b,14cと鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面とで、本発明のキーガイド部を構成する。また、鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d,34d,45dの左右側面とフレーム側ガイド部材14の溝14fの左右内側面とで、本発明のプレガイド部を構成する。
このように構成した第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10への組付けについて説明する。この組付けにおいては、まず、水平状態にある鍵フレーム10に対して、第1鍵ユニット20をその後端が前端よりも高くになるように傾斜させた状態で鍵フレーム10に近づける。その後、第1鍵ユニット20(白鍵21)を前記傾斜させた状態のまま、第1鍵ユニット20(白鍵21)の左右方向の位置を調整しながら後方に移動して、鍵側ガイド部材24をフレーム側ガイド部材14に前方から接近させ、突出部24dを溝14f内に侵入させる。言い換えれば、最初に、プレガイド部である突出部24dの左右側面と溝14fの左右内側面とを係合させる。
そして、突出部24dを溝14f内に侵入させた状態(すなわち、プレガイド部の係合状態)を保ちながら、第1鍵ユニット20をさらに後方に移動する。そして、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24の左右側壁24b,24c内に侵入させる前において、第1鍵ユニット20を左右方向の位置を微調整して第1鍵ユニット20をさらに後方に移動して、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24の左右側壁24b,24c内に侵入させる(図9(C)参照)。言い換えれば、キーガイド部である左右側壁24b,24cの内側面とフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dとを係合させる。その後、第1鍵ユニット20の後端部すなわち連結部23を下方に移動して、連結部23を鍵フレーム10の上段壁13の上面に載置し、第1鍵ユニット20をほぼ水平に維持する。
次に、第2鍵ユニット30を、第1鍵ユニット20と同様に、その後端が前端よりも高くになるように傾けた状態で左右方向の位置を調整しながら後方に移動して、突出部34dを溝14f内に侵入させた後、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材34の左右側壁34b,34c内に侵入させる。そして、第2鍵ユニット30の後端部すなわち連結部23を下方に移動して、連結部33を第1鍵ユニット20の連結部23の上面に載置し、第2鍵ユニット30をほぼ水平に維持する。
次に、第3鍵ユニット40を、第1及び第2鍵ユニット20,30と同様に、その後端が前端よりも高くになるように傾けた状態で左右方向の位置を調整しながら後方に移動して、突出部34dを溝14f内に侵入させた後に、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材45の左右側壁45b,45c内に侵入させる。その後、第3鍵ユニット40の後端を下方に移動させて、フック部44を、第2鍵ユニット30の連結部33に設けた貫通孔33a、第1鍵ユニット20の連結部23に設けた貫通孔23a、及び鍵フレーム10の上段壁13に設けた貫通孔13a内にこの順に侵入させ、フック部44の下端に設けた係止用爪44aの上面を上段壁13の下面に係止させ、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける。なお、この状態では、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40は水平に維持される。
また、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10への組付けにおいては、次のような方法を採用することもできる。第2鍵ユニット30の連結部33を第1鍵ユニット20の連結部23の上面に載置する。次に、第3鍵ユニット40のフック部44を、第2鍵ユニット30の連結部33に設けた貫通孔33a及び第1鍵ユニット20の連結部23に設けた貫通孔23a内にこの順に侵入させながら、第3鍵ユニット40の連結部43を第2鍵ユニット30の連結部33の上面に載置する。これにより、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40は、フック部44を貫通孔33a,23aに貫通させて、連結部23,33,43を重ねて1セットに組み立てられた状態となる。
このように1セットに組み立てられた状態にある第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を、それらの後端が前端よりも高くになるように傾けた状態で左右方向の位置を調整しながら後方に移動して、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させた後、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させる。言い換えれば、プレガイド部である突出部24d,34d,45dの左右側面と溝14fの左右内側面とを係合させた後、キーガイド部である左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面とフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dとを係合させる。その後、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端を下方に移動させて、フック部44を、鍵フレーム10の上段壁13に設けた貫通孔13a内に侵入させ、フック部44の下端に設けた係止用爪44aの上面を上段壁13の下面に係止させ、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける。これによっても、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40は、水平に維持された状態で、鍵フレーム10の上段壁13上に組み付けられる。
このような第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10への組付けにおいては、プレガイドクリアランスbはキーガイドクリアランスaよりも大きく、プレガイドクリアランスbをある程度大きくできるので、突出部24d,34d,45dを溝14f内に簡単に侵入させることができる。すなわち、キーガイド部である突出部24d,34d,45dの左右側面と溝14fの左右内側面とを簡単に係合させることができる。
そして、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させる前においては、鍵側ガイド部材24,34,45の左右方向の位置は、プレガイド部である突出部24d,34d,45dの左右側面と溝14fの左右内側面とによって規制されている。したがって、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させるための第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の位置の調整量を小さくでき、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に簡単に侵入させることができる。すなわち、キーガイド部である鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面と、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dとを簡単に係合させることもできる。その結果、この第1実施形態によれば、押離鍵操作時における鍵の横振れを防止するためにキーガイドクリアランスaを小さくしても、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける作業が簡単になる。そして、この組付け易さによりキーガイド部を構成する部材の変形も防止される。
このようにして第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付けたのち、図示しない固定用ねじを、第3鍵ユニット40、第2鍵ユニット30及び第1鍵ユニット20の連結部43,33,23に設けた貫通孔43b,33b,23bにこの順に上方から貫通させて、鍵フレーム10の上段壁13に設けたねじ孔13bに螺合させる。これにより、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40が鍵フレーム10に堅固に固定されて、鍵盤装置が完成する。
このようにして完成された鍵盤装置においては、演奏者が白鍵21,31及び黒鍵41を押鍵操作すると、白鍵21,31及び黒鍵41はヒンジ22,32,42の弾性変形により、後端を中心としてそれらの前端を下方へ変位させる。このとき、鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面は、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dに沿って下方に変位する。すなわち、白鍵21,31及び黒鍵41は、キーガイド部であるフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dによりキーガイドされて、それらの前端を下方へ変位させる。したがって、鍵側ガイド部材24,34,45すなわち白鍵21,31及び黒鍵41の左右方向の変位が規制され、白鍵21,31及び黒鍵41は横振れすることなくほぼ垂直下方に変位する。また、前記押鍵された白鍵21,31及び黒鍵41が離鍵されると、白鍵21,31及び黒鍵41はヒンジ22,32,42の復元力や図示しない他部材(接点ゴム等のばね部材)の復帰力により、それらの前端を上方へ変位させて元の位置に復帰する。この場合も、白鍵21,31及び黒鍵41は、前記押鍵の場合と同様にキーガイドされる。特に、前述のように、キーガイドクリアランスaを小さくできるので、白鍵21,31及び黒鍵41の横振れを良好に抑えることができる。
a1.第1変形例
次に、上記第1実施形態の第1変形例について、図10を用いて説明する。図10(A)は、上記第1実施形態の図9(B)に対応した第1変形例に係る鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。図10(B)(C)は、第1乃至第3鍵ユニット10,20,30を鍵フレーム10に組付ける過程における鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。この第1変形例は、上記第1実施形態のフレーム側ガイド部材14のみを変形させたもので、他の部分に関しては上記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同一符号を使用し、変形した部分に関する事項のみを説明して他の部分に関する説明を省略する。
この第1変形例においては、フレーム側ガイド部材14の前面14aと溝14fの左右内側面との角部が切欠かれ、溝14fの左右内側面の中間位置から前面14aに向かうに従って外側に広がる傾斜面(面取り)14g,14hがフレーム側ガイド部材14に設けられている。傾斜面14g,14hは平面であり、フレーム側ガイド部材14の上面14eから下端まで延設されている。なお、傾斜面14g,14hの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスa及びプレガイドクリアランスbに比べて大きい。
傾斜面14g,14hは、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させて、プレガイド部に第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10に対するプレガイド機能を発揮させるためのサブガイドとして機能する。具体的は、図10(B)に示すように、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させる前において、突出部24d,34d,45dの右側面(又は左側面)の後端を傾斜面14h(又は傾斜面14g)の左右方向の幅内に収めるように、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を調整すればよい。そして、この状態で、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させれば、突出部24d,34d,45dの右側面(又は左側面)の後端は傾斜面14h(又は傾斜面14g)に沿って斜め後方に移動して、突出部24d,34d,45dの右側面(又は左側面)はフレーム側ガイド部材14の溝14fの右内側面(又は左内側面)と係合し始める。
そして、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40をさらに後方に移動させれば、図10(C)に示すように、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面の前端は、上記図9(C)に示す第1実施形態の場合と同様に、左右方向位置をフレーム側ガイド部材14の左側面14c(又は右側面14d)の前端の左右方向位置とほぼ一致させてフレーム側ガイド部材14の前方に位置することになる。そして、上記第1実施形態の場合と同様に、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を微調整するとともに、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させて、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させる。
前記のような第1変形例において、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させる際には、突出部24d,34d,45dの左右側面を傾斜面14g,14hの前端の左右方向の幅内に収めるようにすればよい。したがって、この第1変形例によれば、突出部24d,34d,45dを溝14f内に簡単に侵入させて、プレガイド部の機能を発揮させることができる。
また、この第1変形例においては、プレガイドクリアランスbはキーガイドクリアランスaよりも大きいが、それらの差を小さくしても、突出部24,34d,45dを溝14f内に簡単に侵入させることができる。そして、この場合には、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させるための第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の位置調整量をより小さくでき、上記第1実施形態に比べて、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に簡単に侵入させることができる。
a2.第2変形例
次に、上記第1実施形態の第2変形例について、図11を用いて説明する。図11(A)は、上記第1実施形態の図9(B)に対応した第2変形例に係る鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。図11(B)(C)は、第1乃至第3鍵ユニット10,20,30を鍵フレーム10に組付ける過程における鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。この第2変形例は、上記第1実施形態の鍵側ガイド部材24,34,45のみを変形させたもので、他の部分に関しては上記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同一符号を使用し、変形した部分に関する事項のみを説明して他の部分に関する説明を省略する。
この第2変形例においては、鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d,34d,45dの後端部の左右角部が切欠かれ、突出部24d,34d,45dの後端部の左右両端に後端から前方に向かうに従って外側に広がる傾斜面(面取り)24e,24f,34e,34f,45e,45fが鍵側ガイド部材24,34,45にそれぞれ設けられている。傾斜面24e,24f,34e,34f,45e,45fは平面であり、鍵側ガイド部材24,34,45の下端から上端まで延設されている。なお、傾斜面24e,24f,34e,34f,45e,45fの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスa及びプレガイドクリアランスbに比べて大きい。
傾斜面24e,24f,34e,34f,45e,45fは、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させて、プレガイド部に第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10に対するプレガイド機能を発揮させるためのサブガイドとして機能する。具体的は、図11(B)に示すように、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させる前において、溝14fの右内側面(又は左内側面)の前端を傾斜面24f,34f,45f(又は傾斜面24e,34e,45e)の左右方向の幅内に収めるように、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を調整すればよい。そして、この状態で、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させれば、溝14fの右内側面(又は左内側面)の前端を傾斜面24f,34f,45f(又は傾斜面24e,34e,45e)に当接させたまま、鍵側ガイド部材24,34,45は斜め後方に移動して、突出部24dの右側面(又は左側面)は溝14fの右内側面(又は左内側面)と係合し始める。
そして、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40をさらに後方に移動させれば、図11(C)に示すように、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面の前端は、上記図9(C)に示す第1実施形態の場合と同様に、左右方向位置をフレーム側ガイド部材14の左側面14c(又は右側面14d)の前端の左右方向位置とほぼ一致させてフレーム側ガイド部材14の前方に位置することになる。そして、上記第1実施形態の場合と同様に、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を微調整するとともに、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させて、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させる。
前記のような第2変形例において、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させる際には、溝14fの右内側面(又は左内側面)の前端を傾斜面24f,34f,45f(又は傾斜面24e,34e,45e)の左右方向の幅内に収めるようにすればよい。したがって、この第2変形例によれば、突出部24d,34d,45dを溝14f内に簡単に侵入させて、プレガイド部の機能を発揮させることができる。
また、この第2変形例においても、プレガイドクリアランスbはキーガイドクリアランスaよりも大きいが、それらの差を小さくしても、突出部24d,34d,45dを溝14f内に簡単に侵入させることができる。そして、この場合にも、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させるための第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の位置調整量をより小さくでき、上記第1実施形態に比べて、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に簡単に侵入させることができる。
a3.第3変形例
次に、上記第1実施形態の第3変形例について、図12を用いて説明する。図12(A)は、上記第1実施形態の図9(B)に対応した第3変形例に係る鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。図12(B)(C)は、第1乃至第3鍵ユニット10,20,30を鍵フレーム10に組付ける過程における鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。この第3変形例は、上記第1変形例と第2変形例を組み合わせたもので、フレーム側ガイド部材14には上記第1変形例と同様な傾斜面14g,14hが設けられているとともに、突出部24d,34d,45dには上記第2変形例と同様な傾斜面24e,24f,34e,34f,45e,45fが設けられている。他の部分に関しては、上記第1実施形態、第1変形例及び第2変形例と同じであるので、第1実施形態、第1変形例及び第2変形例と同一符号を使用し、その説明を省略する。
この第3変形例においては、図12(B)に示すように、突出部24d,34d,45fを溝14f内に侵入させる前において、傾斜面24f,34f,45f(又は傾斜面24e,34e,45e)の一部と、傾斜面14h(又は傾斜面14g)の一部とが前後方向において対向するように、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を調整すればよい。そして、この状態で、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させれば、突出部24d,34d,45dは、傾斜面24f,34f,45f(又は傾斜面24e,34e,45e)と傾斜面14h(又は傾斜面14g)とを当接させた状態で斜め後方に移動して、突出部24d,34d,45dの右側面(又は左側面)が溝14fの右内側面(又は左内側面)と係合し始める。
そして、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40をさらに後方に移動させれば、図12(C)に示すように、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面の前端は、上記図9(C)に示す第1実施形態の場合と同様に、左右方向位置をフレーム側ガイド部材14の左側面14c(又は右側面14d)の前端の左右方向位置とほぼ一致させてフレーム側ガイド部材14の前方に位置することになる。そして、上記第1実施形態の場合と同様に、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を微調整するとともに、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させて、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させる。
前記のような第3変形例において、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させる際には、傾斜面24f,34f,45f(又は傾斜面24e,34e,45e)の一部と、傾斜面14h(又は傾斜面14g)の一部とが前後方向において対向するようにするようにすればよい。したがって、この第3変形例によれば、上記第1変形例及び第2変形例よりもさらに簡単に、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させて、プレガイド部の機能を発揮させることができる。また、この第3変形例においても、上記第1変形例及び第2変形例の場合と同様に、上記第1実施形態に比べて、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に簡単に侵入させることもできる。
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について、図13を用いて説明する。図13(A)は、上記第1実施形態の図9(B)に対応した第2実施形態に係る鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。図13(B)は、第1乃至第3鍵ユニット10,20,30を鍵フレーム10に組付ける過程における鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図であり、図9(C)に対応している。この第2実施形態は、上記第1実施形態のフレーム側ガイド部材14のみを変形させたもので、他の部分に関しては上記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同一符号を使用し、変形した部分に関する事項のみを説明して他の部分に関する説明を省略する。
この第2実施形態においては、フレーム側ガイド部材14の前面14aと左右側面14c,14dとの角部が切欠かれ、前面14aから後方に向かうに従って外側に広がる傾斜面(面取り)14i,14jがフレーム側ガイド部材14に設けられている。傾斜面14i,14jは平面であり、フレーム側ガイド部材14の上面14eから下端まで延設されている。なお、傾斜面14i,14jの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスaに比べて大きい。そして、傾斜面14i,14jは、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させるためのサブガイドとして機能する。
この場合も、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40が鍵フレーム10に誤差なく組付けられた状態では、傾斜面14i,14jの左右内側端から左右側壁24b,24cの内側面までの両距離はそれぞれ等しい。この距離をcとすると、プレガイドクリアランスbと距離cとの間にはc>bの関係がある。なお、プレガイドクリアランスbは上記第1実施形態の場合に比べて大きく設定されている。
このように構成した第2実施形態においても、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける際には、最初に、上記第1実施形態の場合と同様にして、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させて、突出部24d,34d,45dの左右側面と溝14fの左右内側面とのプレガイド機能を発揮させる。そして、この状態では、距離cとプレガイドクリアランスbとの間にはc>bなる関係があるので、図13(B)に示すように、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面の前端は、傾斜面14i,14jの内側端よりもそれぞれ外側に位置する。
次に、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させるために、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させる。この場合、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面の前端が共にフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dよりも外側に位置していれば、左右側面14c,14dはそのまま左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入する。また、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面の前端が共にフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dよりも外側に位置していなくても、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面の前端は傾斜面14i(又は傾斜面14j)に前後方向において対向している。したがって、この場合には、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後方への移動により、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面の前端は傾斜面14i(又は傾斜面14j)に沿って斜め後方に移動して、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面はフレーム側ガイド部材14の左側面c(又は右側面d)と係合し始める。そして、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40をさらに後方に移動させれば、左右側面14c,14dは左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入する。
前記のような第2実施形態においては、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させる前には、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面の前端は、傾斜面14i,14jの内側端よりもそれぞれ外側に位置するので、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に簡単に侵入させることができる。また、距離cは大きく、距離cとプレガイドクリアランスbとの関係はc>bの関係にあればよいので、プレガイドクリアランスbをキーガイドクリアランスaよりかなり大きくすることができ、上記第1実施形態の場合に比べて、突出部24d,34d,45dを溝14f内により簡単に侵入させることができるようになる。
また、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の微調整をしなくても、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に簡単に侵入させることができる。したがって、キーガイドクリアランスaを極めて小さくすることができて、押離鍵時における白鍵21,31及び黒鍵41の横振れを最小限に抑えることができる。
b1.第1変形例
次に、上記第2実施形態の第1変形例について、図14を用いて説明する。図14(A)は、上記第2実施形態の図13(A)に対応した第1変形例に係る鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。図14(B)は、第1乃至第3鍵ユニット10,20,30を鍵フレーム10に組付ける過程における鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図であり、図13(B)に対応している。この第1変形例は、上記第2実施形態の傾斜面14i,14jに代えて、鍵側ガイド部材24,34,45に傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hを設けたもので、他の部分に関しては上記第2実施形態と同じであるので、第2実施形態と同一符号を使用し、変形した部分に関する事項のみを説明して他の部分に関する説明を省略する。
この第1変形例においては、鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの後端部内側の角部が切欠かれ、左右側壁24b,24c,34b,34cの後端部内側に中間位置から後方に向かうに従って外側に広がる傾斜面(面取り)24g,24h,34g,34h,45g,45hが鍵側ガイド部材24,34,45にそれぞれ設けられている。傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hは平面であり、鍵側ガイド部材24,34,45の下端から上端まで延設されている。なお、傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスaに比べて大きい。そして、傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hは、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させるためのサブガイドとして機能する。
この場合も、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40が鍵フレーム10に誤差なく組付けられた状態では、傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hの左右外側端からフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dまでの両距離はそれぞれ等しい。この距離をdとすると、プレガイドクリアランスbと距離dとの間にはd>bの関係がある。なお、この場合も、プレガイドクリアランスbは上記第2実施形態の場合と同様に比較的大きく設定されている。
このように構成した第1変形例においても、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける際には、最初に、上記第1及び第2実施形態の場合と同様にして、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させて、突出部24d,34d,45dの左右側面と溝14fの左右内側面とのプレガイド機能を発揮させる。そして、この状態では、距離dとプレガイドクリアランスbとの間にはd>bなる関係にあるので、図14(B)に示すように、フレーム側ガイド部材14cの左右側面は、傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hの外側端よりもそれぞれ内側に位置する。
次に、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させるために、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させる。この場合、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dの前端が左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの左右内側面間の横幅内に収まって位置していれば、左右側面14c,14dはそのまま左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入する。また、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dの前端が左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの左右内側面間の横幅内に収まって位置していなくても、フレーム側ガイド部材14の左側面14c(又は右側面14d)の前端は傾斜面24g,34g,45g(又は傾斜面24h,34h,45h)に前後方向において対向している。したがって、この場合には、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後方への移動により、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cは、フレーム側ガイド部材14の左側面14c(又は右側面14d)の前端を傾斜面24g,34g,45g(又は傾斜面24h,34h,45h)に当接させながら斜め後方に移動して、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面はフレーム側ガイド部材14の左側面c(又は右側面d)と係合し始める。そして、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40をさらに後方に移動させれば、左右側面14c,14dは左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入する。
前記のような第1変形例において、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させる前には、フレーム側ガイド部材14cの左右側面は、傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hの外側端よりもそれぞれ内側に位置するので、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に簡単に侵入させることができる。また、距離dは大きく、距離dとプレガイドクリアランスbとの関係はd>bの関係にあればよいので、プレガイドクリアランスbをキーガイドクリアランスaよりかなり大きくすることができ、上記第1実施形態の場合に比べて、突出部24d,34d,45dを溝14f内により簡単に侵入させることができるようになる。
また、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の微調整をしなくても、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に簡単に侵入させることができる。したがって、キーガイドクリアランスaを極めて小さくすることができて、押離鍵時における白鍵21,31及び黒鍵41の横振れを最小限に抑えることができる。
b2.第2変形例
次に、上記第2実施形態の第2変形例について、図15を用いて説明する。図15(A)は、上記第2実施形態の図13(A)に対応した第2変形例に係る鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図である。図15(B)は、第1乃至第3鍵ユニット10,20,30を鍵フレーム10に組付ける過程における鍵側ガイド部材24,34,45とフレーム側ガイド部材14の平面図であり、図13(B)に対応している。この第2変形例は、上記第2実施形態の傾斜面14i,14jに加えて、第1変形例の傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hを設けたもので、他の部分に関しては上記第2実施形態及びその第1変形例と同じであるので、第2実施形態及びその第1変形例と同一符号を使用し、変形した部分に関する事項のみを説明して他の部分に関する説明を省略する。
この第2変形例においては、傾斜面14i,14j及び傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hは、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させるためのサブガイドとして機能する。そして、傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hの左右外側端から傾斜面14i,14jの左右内側端までの両距離はそれぞれ等しい。この距離をeとすると、プレガイドクリアランスbと距離eとの間にはe>bの関係がある。なお、この場合には、上記第2実施形態の距離cと第1変形例の距離dとを加算した値に近い距離をeとすることができるので、プレガイドクリアランスbは上記第2実施形態及びその第1変形例の場合よりも大きく設定されている。
このように構成した第2変形例においても、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける際には、最初に、上記第1実施形態、第2実施形態及びその第1変形例の場合と同様にして、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させて、突出部24d,34d,45dの左右側面と溝14fの左右内側面とのプレガイド機能を発揮させる。そして、この状態では、距離eとプレガイドクリアランスbとの間にはe>bなる関係にあるので、図15(B)に示すように、傾斜面14i,14jの両内側端は傾斜面24g,34g,45g及び傾斜面24h,34h,45hの外側端との間に位置する。
次に、突出部24d,34d,45dを溝14内に侵入させるために、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動させる。この場合、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面の前端が共にフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dよりも外側に位置していれば、突出部24d,34d,45dはそのまま溝14f内に侵入する。また、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面の前端が共にフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dよりも外側に位置していなくても、傾斜面24g,34g,45g(又は傾斜面24h,34h,45h)の外側端は傾斜面14i(又は傾斜面14j)に前後方向において対向している。したがって、この場合には、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後方への移動により、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)は、傾斜面24g,34g,45g(又は傾斜面24h,34h,45h)を傾斜面14i(又は傾斜面14j)に当接させながら斜め後方に移動して、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面はフレーム側ガイド部材14の左側面c(又は右側面d)と係合し始める。そして、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40をさらに後方に移動させれば、左右側面14c,14dは左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入する。
前記のような第2変形例においては、突出部24d,34d,45dを溝14f内に侵入させる前には、傾斜面14i,14jの両内側端は傾斜面24g,34g,45g及び傾斜面24h,34h,45hの外側端との間に位置するので、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に簡単に侵入させることができる。また、距離eは大きく、距離eとプレガイドクリアランスbとの関係はe>bの関係にあればよいので、プレガイドクリアランスbをキーガイドクリアランスaよりかなり大きくすることができ、上記第2実施形態及びその第1変形例の場合に比べて、突出部24d,34d,45dを溝14f内にさらに簡単に侵入させることができるようになる。
また、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の微調整をしなくても、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dは左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に簡単に侵入させることができる。したがって、上記第2実施形態及びその第1変形例と同様に、キーガイドクリアランスaを極めて小さくすることができて、押離鍵時における白鍵21,31及び黒鍵41の横振れを最小限に抑えることができる。
b3.第1実施形態の第1乃至第3変形例の適用
上記第2実施形態、その第1及び第2変形例においては、上記第1実施形態に対して、フレーム側ガイド部材14に傾斜面14i,14jを設け、及び/又は鍵側ガイド部材24,34,45に傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hを設けた例について説明した。しかし、上記第2実施形態、その第1及び第2変形例のように、フレーム側ガイド部材14に傾斜面14i,14j設けること、及び/又は鍵側ガイド部材24,34,45に傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hを設けることは、上記第1実施形態の第1乃至第3変形例にも適用できる。
c.第3実施形態
上記第1及び第2実施形態、並びにそれらの各種変形例においては、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける際には、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部が前端部よりも上方に位置するように第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を傾斜させた状態で鍵フレーム10に近づけた後、鍵側ガイド部材24,34,45を前方からフレーム側ガイド部材14に係合させる例について説明した。しかし、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10への組付けにおいては、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部が前端部よりも上方に位置するように第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を傾斜させた状態で鍵フレーム10に近づけた後、鍵側ガイド部材24,34,45を上方からフレーム側ガイド部材14に係合させることもある。
このような方法により、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける場合に適した鍵盤装置を、第3実施形態として説明する。この第3実施形態においては、鍵側ガイド部材24,34,45又はフレーム側ガイド部材14を次のように構成するとよい。他の構成は、上記第1実施形態の場合と同じであるので、その説明を省略する。
第3実施形態においても、図9を用いて上述した上記第1実施形態における場合とほぼ同様な鍵側ガイド部材24,34,45及びフレーム側ガイド部材14を採用している。したがって、鍵側ガイド部材24,34,45及びフレーム側ガイド部材14に関しても、同一符号を付してその説明を省略又は簡略化し、異なる点を主に説明する。異なる点は、上記第1実施形態の鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d,34d,45dに代えて、突出部24d’,34d’,45d’を採用した点である。鍵側ガイド部材24,34,45を後方から見た図16の裏面図に示すように、突出部24d’,34d’,45d’の上下方向の長さが上記第1実施形態の突出部24d,34d,45dの上下方向の長さよりも長く、突出部24d’,34d’,45d’の下端が前壁24a,34a,45a及び左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの下端よりも所定距離だけ下方に位置している。これは、鍵側ガイド部材24,34,45を、フレーム側ガイド部材14に上方から係合させるためである。この突出部24d’,34d’,45d’の下端を前壁24a,34a,45a及び左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの下端よりも下方に位置させたことが、上記第1実施形態において、突出部24d,34d,45dの後端を左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cよりも後方に位置させたことに対応する。なお、突出部24d’,34d’,45d’の厚さ及び位置は、上記第1実施形態の場合と同じである。
前述のように、鍵側ガイド部材24,34,45を上方からフレーム側ガイド部材14に係合させる場合には、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の位置を調整しながら第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動して、鍵側ガイド部材24,34,45をフレーム側ガイド部材14に上方から接近させる。そして、この場合も、最初にプレガイド部にて鍵側ガイド部材24,34,45をフレーム側ガイド部材14に係合させながら、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部をさらに下方に移動する。そして、キーガイド部が押離鍵操作時に白鍵21,31及び黒鍵41の上下方向の揺動をガイドする状態になる前において、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を左右方向に若干移動させて、キーガイド部にて鍵側ガイド部材24,34,45をフレーム側ガイド部材14に係合させた後、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部をさらに下方に移動するとともに、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動して第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける。
具体的には、最初に、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を調整しながら、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動して、突出部24d’,34d’,45d’を溝14f内に上方から侵入させる。そして、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に侵入させる前において、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向位置を調整しながら、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部をさらに下方に移動して、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に上方から侵入させる。その後、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部をさらに下方に移動するとともに、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を後方に移動して第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける。
この第3実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、プレガイドクリアランスbはキーガイドクリアランスaよりも大きく、プレガイドクリアランスbをある程度大きくできるので、突出部24d’,34d’,45d’を溝14fに簡単に侵入させることができる。すなわち、プレガイド部である鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d’,34d’,45d’の左右外側面と、フレーム側ガイド部材14の溝14fの左右内側面とを簡単に係合させることができる。
また、この第3実施形態においては、前記のように、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動して、初期の状態では、突出部24d’,34d’,45d’の下端は左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの下端よりも下方に位置する。したがって、この状態では、突出部24d’,34d’,45d’を溝14f内に侵入させる際に、鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの下端はフレーム側ガイド部材14の上面14eに当接することはなく、突出部24d’,34d’,45d’の溝14f内への侵入が左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cによって阻害されない。
そして、この場合も、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に侵入させる前においては、鍵側ガイド部材24,34,45の左右方向の位置は、プレガイド部である突出部24d’,34d’,45d’の左右外側面と、フレーム側ガイド部材14の溝14fの左右内側面とによって規制されている。したがって、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に侵入させるための第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の左右方向の位置の調整量を小さくでき、左右側面14c,14dを左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に簡単に侵入させることができる。すなわち、キーガイド部である左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの左右内側面とフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dとを簡単に係合させることもできる。その結果、この第3実施形態によっても、上記第1実施形態の場合と同様に、押離鍵操作時における鍵の横振れを防止するためにキーガイドクリアランスaを小さくしても、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける作業が簡単になる。そして、この組付け易さによりキーガイド部を構成する部材の変形も防止される。
c1.第1変形例
次に、上記第3実施形態の第1変形例について、図17を用いて説明する。図17(A)は第3実施形態の第1変形例に係るフレーム側ガイド部材14の斜視図であり、図17(B)は前記フレーム側ガイド部材14の平面図である。この第1変形例は、上記第3実施形態のフレーム側ガイド部材14のみを変形させたもので、他の部分に関しては上記第3実施形態と同じであるので、第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例の場合と同一符号を使用し、変形した部分に関する事項のみを説明して他の部分に関する説明を省略する。
この第1変形例においては、フレーム側ガイド部材14の上端部の外側端に、後面14側を除く全ての角部を切欠いた複数の傾斜面(面取り)が設けられている。傾斜面(面取り)14m,14nは、溝14fの左右側面と上面14eの角部をそれぞれ切欠いて、上面14eから下方に向かうに従って外側に広がっている。傾斜面14m,14nは、平面であり、前後方向に延設されている。なお、傾斜面14m,14nの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスa及びプレガイドクリアランスbに比べて大きい。傾斜面14m,14nは、上記第1実施形態の第1及び第3変形例の傾斜面14g,14hと同種の機能を発揮するもので、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させた際における、鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d’,34d’,45d’をフレーム側ガイド部材14の溝14f内に侵入させる際のサブガイド(すなわち、プレガイド部のサブガイド)として機能する。
傾斜面(面取り)14o,14pは、左右側面14c,14dと上面14eの角部をそれぞれ切欠いて、上面14eから下方に向かうに従って外側に広がっている。傾斜面14o,14pは、平面であり、前後方向に延設されている。なお、傾斜面14o,14pの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスaに比べて大きい。傾斜面14o,14pは、上記第2実施形態及びその第2変形例の傾斜面14i,14jと同種の機能を発揮するもので、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させた際における、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側面内に侵入させる際のサブガイド(すなわち、キーガイド部のサブガイド)として機能する。そして、上記第2実施形態の傾斜面14i,14j(図13参照)の場合と同様に、傾斜面14o,14pの左右内側端から左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの左右内側端までの両距離cは、突出部24d’34d’,45‘の左右側面から溝14fの左右内側面までの両距離であるプレガイドクリアランスbより大きい(c>b)。
フレーム側ガイド部材14の上端部の外側端に設けた他の傾斜面は第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10への組付けにはあまり関係しないので、詳しい説明を省略する。この第1変形例に係るフレーム側ガイド部材14においては、上述した第1実施形態の第1及び第3変形例の傾斜面14g,14h、並びに第2実施形態及びその第2変形例の傾斜面14i,14jも設けられている。
このように構成した第1変形例においては、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動して、鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d’,34d’,45d’をフレーム側ガイド部材14の溝14f内に侵入させる際には、突出部24d’,34d’,45d’の左右側面を傾斜面14m,14nの両外側端の間に収めればよい。そして、第1乃至3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させれば、鍵側ガイド部材24,34,45は、突出部24d’,34d’,45d’の下端面の右端(又は左端)を傾斜面14n(又は傾斜面14m)に当接させながら斜め下方に移動して、突出部24d’,34d’,45d’の右側面(又は左側面)は溝14fの右内側面(又は左内側面)と係合し始める。したがって、突出部24d’,34d’,45d’を溝14f内に簡単に侵入させることができ、上記第1実施形態の第1変形例と同様な効果を期待できる。
また、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部をさらに下方に移動して、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に侵入させる際には、上記第2実施形態の場合と同様に、距離cとプレガイドクリアランスbとの間にはc>bなる関係があるので、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの下端面の両内側端は、傾斜面14oの,14pの両内側端の外側にそれぞれ位置する。したがって、第1乃至3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させれば、鍵側ガイド部材24,34,45は、左側壁24b,34b,45bの下端面の内側端(又は右側壁24c,34c,45cの下端面の内側端)を傾斜面14o(又は傾斜面14p)に当接させながら斜め下方に移動して、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面はフレーム側ガイド部材14の左側面14c(又は右側面14d)と係合し始める。その結果、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に簡単に侵入させることができ、上記第2実施形態と同様な効果を期待できる。
c2.第2変形例
次に、上記第3実施形態の第2変形例について、図18を用いて説明する。図18(A)は第3実施形態の第2変形例に係る鍵側ガイド部材24,34,45を下方から見た斜視図であり、18(B)は前記鍵側ガイド部材24,34,45の下面図である。この第2変形例は、上記第3実施形態の鍵側ガイド部材24,34,45のみを変形させたもので、他の部分に関しては上記第3実施形態と同じであるので、第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例の場合と同一符号を使用し、変形した部分に関する事項のみを説明して他の部分に関する説明を省略する。
この第2変形例においては、鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d’,34d’,45d’の下端部の左外側端及び右外側端には、傾斜面(面取り)24i,34i,45i及び傾斜面(面取り)24j,34j,45jがそれぞれ設けられている。傾斜面24i,34i,45iは、突出部24d’の左外側面と下面の角部をそれぞれ切欠いて、下面から上方に向かうに従って外側に広がっている。傾斜面24j,34j,45jは、突出部24d’の右外側面と下面の角部をそれぞれ切欠いて、下面から上方に向かうに従って外側に広がっている。傾斜面24i,24j,34i,34j,45i,45jは、平面であり、前後方向に延設されている。なお、傾斜面24i,24j,34i,34j,45i,45jの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスa及びプレガイドクリアランスbに比べて大きい。傾斜面24i,24j,34i,34j,45i,45jは、上記第1実施形態の第2及び第3変形例の傾斜面24e,24f,34e,34f,45e,45fと同種の機能を発揮するもので、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させた際における、鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d’,34d’,45d’をフレーム側ガイド部材14の溝14f内に侵入させる際のサブガイド(すなわち、プレガイド部のサブガイド)として機能する。
鍵側ガイド部材24,34,45の左側壁24b,34b,45b及び右側壁24c,34c,45cの下端部の内側端には、傾斜面(面取り)24m,34m,45m及び傾斜面(面取り)24n,34n,4njがそれぞれ設けられている。傾斜面24m,34m,45mは、左側壁24b,34b,45bの内側面と下面の角部をそれぞれ切欠いて、下面から上方に向かうに従って外側に広がっている。傾斜面24n,34n,45nは、右側壁24c,34c,45cの内側面と下面の角部をそれぞれ切欠いて、下面から上方に向かうに従って外側に広がっている。傾斜面24m,24n,34m,34n,45m,45nは、平面であり、前後方向に延設されている。なお、傾斜面24m,24n,34m,34n,45m,45nの左右方向の幅は、キーガイドクリアランスaに比べて大きい。傾斜面24m,24n,34m,34n,45m,45nは、上記第2実施形態の第1及び第2変形例の傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hと同種の機能を発揮するもので、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させた際における、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に侵入させる際のサブガイド(すなわち、キーガイド部のサブガイド)として機能する。そして、上記第2実施形態の第1変形例の傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45h(図14参照)の場合と同様に、傾斜面24m,24n,34m,34n,45m,45nの左右外側端からフレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dまでの両距離dは、突出部24d’34d’,45‘の左右側面から溝14fの左右内側面までの両距離であるプレガイドクリアランスbより大きい(d>b)。
また、鍵側ガイド部材24,34,45においては、前壁24a,34a,45aの下端部の内側端、左側壁24b,34b,45bの下端部の前端、右側壁24c,34c,45cの下端部の前端、及び突出部24d,34d,45dの下端部の前端にも、傾斜面がそれぞれ設けられている。しかし、これらの傾斜面は第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10への組付けにはあまり関係しないので、詳しい説明を省略する。
このように構成した第2変形例においては、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動して、鍵側ガイド部材24,34,45の突出部24d’,34d’,45d’をフレーム側ガイド部材14の溝14f内に侵入させる際には、傾斜面24i,24j,34i,34j,45i,45jの内側端を溝14fの両内側面の間に位置させればよい。そして、第1乃至3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させれば、鍵側ガイド部材24,34,45は、溝14fの右内側面(又は左内側面)の下端を傾斜面24j,34j,45j(又は傾斜面24i,34i,45i)に当接させながら斜め下方に移動して、突出部24d’,34d’,45d’の右側面(又は左側面)は溝14fの右内側面(又は左内側面)と係合し始める。したがって、突出部24d’,34d’,45d’を溝14f内に簡単に侵入させることができ、上記第1実施形態の第1変形例と同様な効果を期待できる。
また、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の後端部をさらに下方に移動して、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に侵入させる際には、上記第2実施形態の場合の第1変形例の場合と同様に距離dとプレガイドクリアランスbとの間にはd>bなる関係があるので、傾斜面24m,24n,34m,34n,45m,45nの外側端はフレーム側ガイド部材14の左右側面14b,14cの外側にそれぞれ位置する。したがって、第1乃至3鍵ユニット20,30,40の後端部を下方に移動させれば、鍵側ガイド部材24,34,45は、傾斜面24m,34m,45m(又は傾斜面24n,34n,45n)を左側面14b(又は右側面14c)の上端に当接させながら斜め下方に移動して、左側壁24b,34b,45b(又は右側壁24c,34c,45c)の内側面はフレーム側ガイド部材14の左側面14c(又は右側面14d)と係合し始める。その結果、フレーム側ガイド部材14の左右側面14c,14dを鍵側ガイド部材24,34,45の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45cの内側に簡単に侵入させることができ、上記第2実施形態の第1変形例と同様な効果を期待できる。
なお、この第2変形例に係る鍵側ガイド部材24,34,45においても、上述した第1実施形態の第2及び第3変形例の傾斜面24e,24f,34e,34f,45e,45f、並びに第2実施形態の第1及び第2変形例の傾斜面24g,24h,34g,34h,45g,45hを設けるようにしてもよい。
d.その他の変形例
なお、本発明に係る鍵盤装置は、上記第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例に限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能である。
上記第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例では、全ての傾斜面(面取り)14g,14h,14i,14j,14m,14n,14o,14p,24e,34e,45e,24f,34f,45f,24g,34g,45g,24h,34h,45h,24i,34i,45i,24j,34j,45j,24m,34m,45m,24n,34n,45nを平面としたが、これらの傾斜面の一部又は全部を、平面ではなく、曲面状、球面状などにしてもよい。
また、上記第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例では、溝14fを有するガイド部材を鍵フレーム10と一体的に形成したフレーム側ガイド部材14とするとともに、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c及び突出部24d,34d,45d,24d’,34d’,45d’を有するガイド部材を白鍵21,31及び黒鍵41と一体的に形成した鍵側ガイド部材24,34,45とした。しかし、溝14fを有するガイド部材を白鍵21,31及び黒鍵41と一体的に形成した鍵側ガイド部材とするとともに、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c及び突出部24d,34d,45d,24d’,34d’,45d’を有するガイド部材を鍵フレーム10と一体的に形成したフレーム側ガイド部材としてもよい。すなわち、上述した鍵側ガイド部材24,34,45を鍵フレーム10側に設けるとともに、上述したフレーム側ガイド部材14を白鍵21,31及び黒鍵41側にそれぞれ設けるようにしてもよい。
この場合、上述したフレーム側ガイド部材14の前面14aが後方を向くように配置して、白鍵21,31及び黒鍵41と一体的に形成する。また、鍵側ガイド部材24,34.45の前壁24a,34a,45aを後方に位置させて、左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c及び突出部24d,34d,45d,24d’,34d’,45d’が前方に突出するように配置して、鍵フレーム10と一体的に形成する。また、この場合には、白鍵21,31及び黒鍵41側に設けたガイド部材(上述したフレーム側ガイド部材14)の下面は、鍵フレーム10側に設けたガイド部材(上述した鍵側ガイド部材24,34,45)の下面すなわち鍵フレーム10の下段壁11の上面から所定距離だけ上方に位置するようにする。
そして、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付ける際には、鍵フレーム10側に設けたガイド部材(上述した鍵側ガイド部材24,34,45)の突出部24d,34d,45d,24d’,34d’,45d’を白鍵21,31及び黒鍵41側に設けたガイド部材(上述したフレーム側ガイド部材14)の溝14f内に侵入させる。また、白鍵21,31及び黒鍵41側に設けたガイド部材(上述したフレーム側ガイド部材14)の左右側面14c,14dを鍵フレーム10側に設けたガイド部材(上述した鍵側ガイド部材24,34,45)の左右側壁24b,24c,34b,34c,45b,45c内に侵入させる。そして、白鍵21,31及び黒鍵41側に設けたガイド部材(上述したフレーム側ガイド部材14)を鍵フレーム10側に設けたガイド部材(上述した鍵側ガイド部材24,34,45)に係合させるようにする。
また、上記第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例では、第1鍵ユニット20の連結部23、第2鍵ユニット30の連結部33、及び第3鍵ユニット40の連結部43を鍵フレーム10の上段壁13に順に載置し、第3鍵ユニット40に設けたフック部44を連結部33,44及び上段壁13を貫通させるとともに係止用爪44aを上段壁13の下面に係合させ、その後にねじにより第1乃至第3鍵ユニット20,30,40を鍵フレーム10に組付け固定するようにした。しかし、第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の鍵フレーム10に対する組付け固定方法は前記方法に限らず、種々の方法を採用できる。たとえば、フック部44を省略し、単に第1乃至第3鍵ユニット20,30,40の連結部23,33,43を鍵フレーム10の上段壁13に単にねじにより固定したり、接着剤を用いて固定するようにしてもよい。
さらに、上記第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例では、複数の白鍵21を一体形成した第1鍵ユニット20、複数の白鍵31を一体形成した第2鍵ユニット20、及び複数の黒鍵41を一体形成した第3鍵ユニット30を鍵フレーム10に組付けるようにした。しかし、1つずつの白鍵及び黒鍵をそれぞれ独立して鍵フレーム10に組付ける場合にも、本発明は適用される。