JP6474130B2 - コンデンサマイクロホン - Google Patents

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Description

この発明は、コンデンサマイクユニットの静電容量変化を、位相同期回路(PLL=Phase Locked Loop)を利用して音声出力信号として生成するコンデンサマイクロホンに関する。
コンデンサマイクロホンは、振動板と固定極との組合せからなるコンデンサ型のマイクロホンユニットを備え、音波による振動板の変位に伴う静電容量変化を電気信号として取り出す。そのため、振動板と固定極との間に直流電圧が加えられる。この直流電圧は成極電圧と呼ばれている。成極電圧の印加方法には、マイクロホンユニットの外部から電圧を印加する方法と、エレクトレット材により成極電圧を与える方法が一般的に用いられている。
また、コンデンサマイクロホンユニットは、振動板と固定極との間のインピーダンスがきわめて高いことから、FETや真空管を利用したインピーダンス変換器を用いて、音声信号を得るようにしている。
しかしながら、従来のコンデンサマイクロホンは、静電容量変化を電圧に変換する際に、外部からの電界や磁界の影響を受けやすい。また、インピーダンス変換器を用いているために、例えば周囲の湿度が高いときには、インピーダンス変換器に固有の電荷漏洩に起因した雑音が発生する。
さらには、エレクトレット型コンデンサマイクロホンユニットは、例えば携帯電話機等に用いるために小型である。しかし、エレクトレットは熱に弱いため、基板に実装する場合、リフローハンダ法が適用できない。したがって、エレクトレット型コンデンサマイクロホンユニットは抵抗やコンデンサなどのチップ部品とは別に実装され、工数を増加させていた。
そこで特許文献1には、エレクトレットを用いずに、PLL回路を利用して、マイクロホンユニットの静電容量変化を、音声出力信号に変換する回路構成が提案されている。
図5は、特許文献1に開示された回路構成の主要部である。この例においては、抵抗RとキャパシタCからなる3段のRC回路網と、反転増幅器を含む移相型発振器が用いられている。この移相型発振器の出力信号が前記PLL回路の位相同期信号として利用されている。
図5に示すように、コンデンサマイクロホンユニットを構成する振動板1は、ダイヤフラムリング2に取り付けられている。振動板1に成膜された図示せぬ導電膜はアース接続されている。また、振動板1の背面に対峙する固定極はそれぞれ扇状をなす第1ないし第3の固定極片3a,3b,3cに分割されている。そのため、前記振動板1と各固定極片3a,3b,3cとの間で生成される3つの静電容量C1,C2,C3が、前記RC回路網のキャパシタとして用いられる。
さらに前記反転増幅器4の出力端子と前記第1固定極片3aとの間、前記第1固定極片3aと第2固定極片3bとの間、前記第2固定極片3bと第3固定極片3cとの間には、それぞれ固定抵抗R1,R2,R3が接続され、前記第3固定極片3cが前記反転増幅器4の入力端子に接続される。このようにして、前記した3段のRC回路網が形成されている。
そして、前記反転増幅器4の出力端子より、コンデンサマイクロホンユニットの静電容量に応じた信号が、前記PLL回路に位相同期信号として供給される。
前記PLL回路は、位相比較器5、チャージポンプ6、ループフィルタ7、電圧制御発振器8を備えた位相同期回路を構成している。このPLL回路のループフィルタ7によって得られる制御信号が出力端子OUTにもたらされ、これがコンデンサマイクロホンの音声出力信号として利用される。
これによれば、静電容量変化を電圧に変換しないために、周囲の電磁界の影響を受けにくく、また、インピーダンス変換器の電荷漏洩による雑音も発生しない。さらには、エレクトレット材などによる成極電圧を必要としないため、抵抗やコンデンサなどのチップ部品と一緒にリフローハンダ法による表面実装も可能になる。
特許第5409293号公報
ところで、前記特許文献1に開示されたコンデンサマイクロホンによると、PLL回路の位相同期信号として、コンデンサマイクロホンユニットの静電容量に応じて発振する移相型発振器の出力信号が用いられる。この移相型発振器に用いられる前記した静電容量C1,C2,C3や、固定抵抗R1,R2,R3の値は温度依存性を有している。したがって、これらを具備する移相型発振器の発振出力信号は、比較的大きな温度ドリフトの影響を受ける。
このような温度ドリフトの影響を受けた発振出力信号がPLL回路の位相同期信号として用いられた場合、このPLL回路に、ドリフトによって、PLLのロックレンジから外れる等の不具合が発生する。このとき、マイクロホンとしての音声信号の出力が不能になる。
したがって、前記したPLL回路の位相同期信号には、前記した温度ドリフト等の影響を受けずに、安定した発振周波数を有する位相同期信号が望ましい。特にマイクロホンに用いられる場合、振動板に音波が加わらない無音状態においては、位相比較器からの誤差信号の出力がなく、周波数変動のない安定した位相同期信号にロックした状態に設定されたPLL回路が望ましい。
この発明は、PLL回路を用いることによる前記した独自の効果、例えばエレクトレット材などによる成極電圧を必要としないことによるリフローハンダ法による表面実装を可能にしたコンデンサマイクロホンを提供する。さらに、この発明は、特許文献1に開示されたような温度ドリフト等の影響を受けることのないコンデンサマイクロホンを提供する。
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るコンデンサマイクロホンは、音圧を受けて変化するコンデンサマイクロホンユニットの静電容量Cと、可変抵抗素子の抵抗値Rとを利用したRC回路網を備えた移相型発振器と、基準信号発振器からの固定周波数信号と、前記移相型発振器からの発振出力信号との位相を比較して、位相差に対応する誤差信号を出力する位相検波手段と、前記位相検波手段からの誤差信号を受けて制御信号を抽出するループフィルタと、前記ループフィルタにより得られる制御信号に基づいて、前記移相型発振器に備えた前記可変抵抗素子の抵抗値を可変するドライバー回路とにより位相同期回路が構成され、前記位相同期回路のループフィルタより得られる制御信号を、音声出力信号としたことを特徴とするものである。
この場合、前記移相型発振器は、反転増幅器と、前記反転増幅器の出力側と入力側との間に接続した前記コンデンサマイクロホンユニットの静電容量および前記可変抵抗素子を含む複数段のRC回路網とにより構成される。
そして、一つの好ましい形態においては、前記ドライバー回路には発光ダイオードが接続され、前記発光ダイオードからの光を受ける光導電素子が前記可変抵抗素子として用いられる。
より好ましくは前記ドライバー回路には複数の発光ダイオードが直列接続され、前記複数段のRC回路網を構成する可変抵抗素子にそれぞれ前記発光ダイオードと同数の光導電素子が用いられる。さらに、前記各発光ダイオードと、前記各光導電素子がそれぞれ対となって、それぞれフォトカプラが構成される。
また、前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るコンデンサマイクロホンは、固定極と振動板から構成されたコンデンサマイクロホンユニットと、音圧を受けて静電容量Cが変化する前記コンデンサマイクロホンユニットをコンデンサとして可変抵抗素子と組み合わせてなるRC回路とを備えた移相型発振器と、基準信号発振器からの固定周波数信号と、前記移相型発振器からの発振出力信号との位相を比較して、位相差に対応する誤差信号を出力する位相検波手段と、前記位相検波手段からの誤差信号を受けて制御信号を抽出するループフィルタと、前記ループフィルタにより得られる制御信号に基づいて、前記移相型発振器に備えた前記可変抵抗素子の抵抗値を可変するドライバー回路とにより位相同期回路が構成され、前記位相同期回路のループフィルタより得られる制御信号を、音声出力信号としたことを特徴とするものである。
この場合、前記ドライバー回路には発光ダイオードが接続され、前記可変抵抗素子には、前記発光ダイオードからの光を受ける光導電素子が用いられる。
そして、前記固定極は複数の固定極片から構成されることで複数の前記コンデンサを構成し、前記可変抵抗素子は前記複数のコンデンサと同数備えられ、前記移相型発振器は、前記各コンデンサと前記各可変抵抗を1対としたRC回路を複数段備えられる。
加えて、前記ドライバー回路には複数の発光ダイオードが直列接続され、前記複数段のRC回路を構成する可変抵抗素子には、それぞれ前記発光ダイオードと同数の光導電素子が用いられ、前記各発光ダイオードと、前記各光導電素子がそれぞれ対となって、それぞれフォトカプラが構成される。
そして、好ましい形態においては、前記複数の固定極片と前記複数の可変抵抗と前記複数の発光ダイオードはそれぞれ3つ備えられる。
また、前記移相型発振器は反転増幅器をさらに備えることが望ましく、前記RC回路は前記反転増幅器の出力側と入力側との間に接続される。
前記した構成のコンデンサマイクロホンによると、基準信号発振器からの固定周波数信号によって位相ロックされるPLL回路が用いられ、コンデンサマイクロホンユニットの静電容量と可変抵抗素子を利用した移相型発振器の出力信号が、帰還信号として利用される。そして、PLL回路のループフィルタより得られる制御信号が、音声出力信号として利用される。
このPLL回路を利用した構成によると、特許文献1に開示されたコンデンサマイクロホンと同様に、外部からの電磁界の影響を受けにくい点、インピーダンス変換器の電荷漏洩による雑音の影響を受けない点、さらには、エレクトレット材などによる成極電圧を必要としないことによるリフローハンダ法による表面実装も可能になるなどの特質を生かしたコンデンサマイクロホンを提供することができる。
加えて前記PLL回路は、周波数変動のない安定した位相同期信号にロックした状態に設定されるので、例えば特許文献1に開示されたコンデンサマイクロホンに比較して、温度ドリフトなどによるロック外れの問題を招くことのないコンデンサマイクロホンを提供することが可能となる。
この発明に係るコンデンサマイクロホンの第1の実施の形態を示した回路構成図である。 同じく第2の実施の形態を示した回路構成図である。 第2の実施の形態の位相検波手段においてなされる信号処理を説明する信号波形図である。 第2の実施の形態の位相検波手段から出力される誤差信号の波形図である。 従来のコンデンサマイクロホンの一例を示した回路構成図である。
この発明に係るコンデンサマイクロホンについて、図1に示す第1の実施の形態と、図2に示す第2の実施の形態に分けて説明する。
まず、図1に示す第1の実施の形態は、コンデンサマイクロホンの音声信号の復調に、いわゆるアナログPLL回路を用いた例を示している。
図1に示すように、コンデンサマイクロホンユニットを構成する振動板1は、ダイヤフラムリング2に取り付けられており、振動板1に成膜された図示せぬ導電膜はアース接続されている。また振動板1の背面に対峙する固定極はそれぞれ扇状をなす第1ないし第3の固定極片3a,3b,3cに分割され、前記振動板1と各固定極片3a,3b,3cとの間で、3つの独立した静電容量C1,C2,C3が形成されている。
そして、反転増幅器4の出力端子と前記第1固定極片3aとの間、前記第1固定極片3aと第2固定極片3bとの間、前記第2固定極片3bと第3固定極片3cとの間には、例えばcds等の光導電素子による可変抵抗素子VR1,VR2,VR3がそれぞれ接続されている。また前記第3固定極片3cが前記反転増幅器4の入力端子に接続されている。
したがって、反転増幅器4の出力端子と入力端子との間には、3つの独立した静電容量C1,C2,C3と、光導電素子による可変抵抗素子VR1,VR2,VR3による3段のRC回路網が接続されている。
すなわち、反転増幅器4の出力信号は、3段のRC回路網によってその位相が180度ずらされて、反転増幅器4の入力端子に帰還される。そのため、反転増幅器4には正帰還が加わる。これにより反転増幅器4と前記した3段のRC回路網とにより、移相型発振器11が構成される。反転増幅器4の出力端子には、コンデンサマイクロホンユニットの静電容量に応じた信号、すなわち音声信号に対応した発振出力がもたらされる。
なお、前記した移相型発振器11においては、一つの例として3段のRC回路網が用いられているが、位相の条件が整えば複数段のRC回路網を用いて、反転増幅器4と共に移相型発振器11を構成することが可能である。これは後で説明する第2の実施の形態においても同様である。
一方、図1のコンデンサマイクロホンには、水晶振動子を用いた固定周波数信号を生成する基準信号発振器12も備えられている。この基準信号発振器12からの固定周波数信号は、PLL回路を構成する位相検波手段としてのアナログ位相比較器13に供給される。また前記したコンデンサマイクロホンユニットを含む移相型発振器11からの信号も、アナログ位相比較器13に対して帰還信号として供給される。
前記した位相検波手段としての位相比較器13は、基準信号発振器12からの固定周波数信号と、移相型発振器11からの信号との位相差を検出して、位相差に応じた出力(誤差信号)を生成する。位相比較器13からの誤差信号はローパスフィルタにより構成されたループフィルタ14を介して制御信号として出力される。
そして、ループフィルタ14からの制御信号はドライバー回路15に供給され、ドライバー回路15は直列接続された第1〜第3の発光ダイオードD1,D2,D3に対して、前記制御信号に基づく発光駆動電流を供給する。
なお、この実施の形態においては、前記した移相型発振器11に備えられた光導電素子による可変抵抗素子VR1,VR2,VR3に対して、それぞれ対となるようにして前記第1〜第3の発光ダイオードD1,D2,D3が配置される。これらは第1〜第3のフォトカプラをそれぞれ形成している。
したがって、移相型発振器11を構成する光導電素子による可変抵抗素子VR1,VR2,VR3の抵抗値は、前記した制御信号に基づくドライバー回路15からの発光駆動電流によって制御される。
これにより、移相型発振器11の発振周波数は前記したループフィルタ14から出力される制御信号に依存し、前記移相型発振器11はPLL回路の電圧制御発振器(VCO)として機能する。
図1に示す構成によると、移相型発振器11はPLL回路の電圧制御発振器(VCO)として機能する。そのため、コンデンサマイクロホンの振動板1に音圧が加わらない無音の状態においては、位相比較器13、ループフィルタ14、ドライバー回路15および移相型発振器11によるPLL回路の動作は、基準信号発振器12からの固定周波数信号にロックして安定する。
したがって、位相比較器13に加わる基準信号発振器12からの固定周波数信号と、移相型発振器11の発振信号は同位相となる。これにより、位相比較器13においては誤差信号が生成されず、ループフィルタ14の出力端子OUTにおいては、コンデンサマイクロホンの音声出力信号としての出力は皆無となる。
一方、コンデンサマイクロホンの振動板1に音圧が加わった場合には、移相型発振器11による発振出力は、前記音圧に応じて変化する。したがって位相比較器13には、誤差信号が発生し、この誤差信号がループフィルタ(ローパスフィルタ)15を介して制御信号として生成される。
この制御信号は、ドライバー回路15に入力され、第1から第3のフォトカプラを駆動する。その結果、可変抵抗VR1、VR2、VR3が制御され、移相型発振器11は前記した基準信号発振器12からの固定周波数信号に追従するように動作する。
このとき、出力端子OUTに出力される制御信号が、コンデンサマイクロホンの音声出力信号として利用される。
次に図2に示す実施の形態は、コンデンサマイクロホンの音声信号の復調に、いわゆるデジタルPLL回路を用いた例を示している。
この図2に示す例においては、図1に示す位相検波手段としてのアナログ位相比較器13に代えて、例えばNORゲートによる位相比較器13Aとチャージポンプ13Bとが用いられ、位相検波手段を構成している。そして、ループフィルタ14、ドライバー回路15およびコンデンサマイクロホンの振動板1等を含む移相型発振器11の構成は、図1に示す例と同一のものとなる。
したがって、ループフィルタ14、ドライバー回路15、移相型発振器11の構成については、その説明を省略する。
位相検波手段を構成する位相比較器13Aには、水晶振動子を用いた基準信号発振器12からの固定周波数信号(基準信号ともいう。)が与えられる。また前記したコンデンサマイクロホンユニットを含む移相型発振器11からの信号も、位相比較器13Aに帰還信号として供給される。
位相比較器13Aは、前記基準信号と帰還信号の位相を比較する。そして、位相比較器13Aは、基準信号に対して帰還信号が位相遅れを持つときに、第1出力端子Uに後述する第1制御信号S1を出力し、基準信号に対して帰還信号が位相進みを持つときに、第2出力端子Dに後述する第2制御信号S2を出力する。
なおこの実施形態に用いられる位相比較器13Aは、入力波形の立ち上がりで動作する位相周波数型比較器(Phase Frequency Comparator)である。位相比較器13Aには、例えばモトローラ社製の集積回路MC4044などが用いられる。
一方、チャージポンプ13Bには一対のスイッチング素子SW1,SW2が備えられている。そして、スイッチング素子SW1とSW2の共通接続点が、チャージポンプ13Bの出力端子となる。一方のスイッチング素子SW1は、定電流回路I1を介して動作電源Vccに接続され、他方のスイッチング素子SW2は、定電流回路I2を介してアース接続されている。
そして、第1制御信号S1が位相比較器13Aの第1出力端子Uに出力された時に、チャージポンプ13Bのスイッチング素子SW1はオン状態となる。装置内電源Vccから定電流回路I1によって定められた電流はスイッチング素子SW1を介してループフィルタ14側に流される。
また、位相比較器13Aの第2出力端子Dに第2制御信号S2が出力された時に、チャージポンプ13Bのスイッチング素子SW2がオンとなる。このとき、定電流回路I2によって定められた電流がスイッチング素子SW2を介してループフィルタ14側からアース側に引き込まれる。
前記した作用により、チャージポンプ13Aの出力端子には誤差信号が生成される。この誤差信号はローパスフィルタにより構成されたループフィルタ14を介して制御信号として出力される。そして、ループフィルタ14からの制御信号は、ドライバー回路15に供給される。ドライバー回路15は直列接続された第1〜第3の発光ダイオードD1,D2,D3に対して、前記制御信号に基づく発光駆動電流を供給する。
これにより、移相型発振器11の発振周波数は、前記したループフィルタ14から出力される制御信号に依存し、前記移相型発振器11はPLL回路の電圧制御発振器(VCO)として機能する。
図3および図4は、前記した位相比較器13Aおよびチャージポンプ13Bの作用を説明する信号波形図である。
図3(a)は、位相比較器13Aに加わる基準信号発振器12からの基準信号W0と、移相型発振器11からの帰還信号W1との関係を示す。
位相比較器13Aは基準信号W0と帰還信号W1の位相を同時刻におけるそれぞれの信号レベルの差から比較するが、前記したPLL回路には伝搬時間がある。そのため、帰還信号W1が基準信号W0と同一の発振周波数となるには、時間差ΔTの時間を要することになる。
したがって、図3(a)に示す区間T1および区間T3では、基準信号W0の信号レベルが帰還信号W1の信号レベルよりも大きい。
これにより、図3(b)に示すように、区間T1および区間T3では、位相比較器13Aの第1出力端子Uのみから第1制御信号S1が出力される。この第1制御信号S1のパルス幅は、前記W0とW1の信号レベルの差に比例して変化する。
これに対して、区間T2では、基準信号W0の信号レベルは帰還信号W1の信号レベルよりも小さい。
したがって、図3(c)に示すように、区間T2では、位相比較器13Aの第2出力端子Dのみから第2制御信号S2が出力される。この第2制御信号S2も、信号レベルの差に応じてパルス幅を変化させている。
このようにして、位相比較器13Aは、基準信号W0と帰還信号W1の信号レベル差から、基準信号W0と帰還信号W1の位相差を検出し、第1出力端子Uおよび第2出力端子Dから位相差に応じたパルス幅の第1,第2制御信号S1,S2を出力する。その結果、チャージポンプ13Bには、PWM(Pulse Width Modulation)されたのと同じ形式の信号が入力される。
この第1,第2制御信号S1,S2により、チャージポンプ13Bのスイッチング素子SW1,SW2がオンオフされ、チャージポンプ13Bの出力端子には図4に示すような電圧V1が誤差信号として現れる。
すなわち、第1制御信号S1が出力されている区間T1,T3においては、そのパルス幅に応じて電圧V1が階段状に上昇し、第2制御信号S2が出力されている区間T2においては、そのパルス幅に応じて電圧V1が階段状に減少する。
ループフィルタ(ローパスフィルタ)14により、前記電圧V1に含まれている高調波成分および雑音は除去され、前記電圧V1は制御信号になされる。この制御信号は出力端子OUTにコンデンサマイクロホンの音声出力信号として出力される。
またループフィルタ14からの制御信号は、前記したとおりドライバー回路15に供給される。ドライバー回路15は、制御信号に応じて発光ダイオードD1,D2,D3を発光駆動させることで、移相型発振器11の発振周波数を制御する。これにより、移相型発振器11は基準信号発振器12からもたらされる基準信号と同じ周波数に追従して発振するように動作する。
前記したPLL回路を含むコンデンサマイクロホンによると、振動板1に音圧が加わった時に、位相比較器13Aとチャージポンプ13Bによる位相検波手段から、音圧に応じた誤差信号V1が出力される。そして、誤差信号V1がループフィルタ14を介してコンデンサマイクロホンの音声出力信号として、出力端子OUTに出力される。
換言すれば、このコンデンサマイクロホンによると、振動板1に音圧が加わらない無音の状態においては、前記PLL回路の動作は基準信号発振器12からの固定周波数信号(基準信号)にロックして安定状態になる。
したがって、この時には誤差信号V1は発生せず、出力端子OUTにおいては、コンデンサマイクロホンの音声出力信号としての出力は皆無となる。
以上説明した実施の形態においては、移相型発振器11に備えられた光導電素子による可変抵抗素子VR1,VR2,VR3に、それぞれ対となるようにして第1〜第3の発光ダイオードD1,D2,D3を配置した構成が採用されている。しかし、1つの発光ダイオードに対して、3つの光導電素子による可変抵抗素子を配置した構成も採用できる。また、光導電素子による可変抵抗素子に代えて、FETやバイポーラトランジスタなど、ゲート電圧やベース電圧を変化させることで、実質的に抵抗値を変化させるアクティブ素子を用いることもできる。
1 振動板
2 ダイヤフラムリング
3a〜3c 固定極片
4 反転増幅器
11 移相型発振器
12 基準信号発振器
13 アナログ位相比較器(位相検波手段)
13A 位相比較器(位相検波手段)
13B チャージポンプ(位相検波手段)
14 ループフィルタ
15 ドライバー回路
C1〜C3 静電容量
D1〜D3 発光ダイオード
I1,I2 定電流回路
OUT 音声信号出力端子
SW1,SW2 スイッチング素子
VR1〜VR3 可変抵抗素子(光導電素子)

Claims (10)

  1. 音圧を受けて変化するコンデンサマイクロホンユニットの静電容量Cと、可変抵抗素子の抵抗値Rとを利用したRC回路網を備えた移相型発振器と、
    基準信号発振器からの固定周波数信号と、前記移相型発振器からの発振出力信号との位相を比較して、位相差に対応する誤差信号を出力する位相検波手段と、
    前記位相検波手段からの誤差信号を受けて制御信号を抽出するループフィルタと、
    前記ループフィルタにより得られる制御信号に基づいて、前記移相型発振器に備えた前記可変抵抗素子の抵抗値を可変するドライバー回路と、
    により位相同期回路が構成され、前記位相同期回路のループフィルタより得られる制御信号を、音声出力信号としたことを特徴とするコンデンサマイクロホン。
  2. 前記移相型発振器は、反転増幅器と、前記反転増幅器の出力側と入力側との間に接続した前記コンデンサマイクロホンユニットの静電容量および前記可変抵抗素子を含む複数段のRC回路網と、により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。
  3. 前記ドライバー回路には発光ダイオードが接続され、前記発光ダイオードからの光を受ける光導電素子が前記可変抵抗素子として用いられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサマイクロホン。
  4. 前記ドライバー回路には複数の発光ダイオードが直列接続され、前記複数段のRC回路網を構成する可変抵抗素子にそれぞれ前記発光ダイオードと同数の光導電素子が用いられ、前記各発光ダイオードと、前記各光導電素子がそれぞれ対となって、それぞれフォトカプラを構成していることを特徴とする請求項2に記載のコンデンサマイクロホン。
  5. 固定極と振動板から構成されたコンデンサマイクロホンユニットと、音圧を受けて静電容量Cが変化する前記コンデンサマイクロホンユニットをコンデンサとして可変抵抗素子と組み合わせてなるRC回路と、を備えた移相型発振器と、
    基準信号発振器からの固定周波数信号と、前記移相型発振器からの発振出力信号との位相を比較して、位相差に対応する誤差信号を出力する位相検波手段と、
    前記位相検波手段からの誤差信号を受けて制御信号を抽出するループフィルタと、
    前記ループフィルタにより得られる制御信号に基づいて、前記移相型発振器に備えた前記可変抵抗素子の抵抗値を可変するドライバー回路と、
    により位相同期回路が構成され、前記位相同期回路のループフィルタより得られる制御信号を、音声出力信号としたことを特徴とするコンデンサマイクロホン。
  6. 前記ドライバー回路には発光ダイオードが接続され、
    前記可変抵抗素子には、前記発光ダイオードからの光を受ける光導電素子が用いられることを特徴とする請求項5に記載のコンデンサマイクロホン。
  7. 前記固定極は複数の固定極片から構成されることで複数の前記コンデンサを構成し、
    前記可変抵抗素子は前記複数のコンデンサと同数備えられ、
    前記移相型発振器は、前記各コンデンサと前記各可変抵抗を1対としたRC回路を複数段備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のコンデンサマイクロホン。
  8. 前記ドライバー回路には複数の発光ダイオードが直列接続され、
    前記複数段のRC回路を構成する可変抵抗素子には、それぞれ前記発光ダイオードと同数の光導電素子が用いられ、
    前記各発光ダイオードと、前記各光導電素子がそれぞれ対となって、それぞれフォトカプラを構成していることを特徴とする請求項7に記載のコンデンサマイクロホン。
  9. 前記複数の固定極片と前記複数の可変抵抗と前記複数の発光ダイオードはそれぞれ3つであることを特徴とする請求項8に記載のコンデンサマイクロホン。
  10. 前記移相型発振器は反転増幅器をさらに備え、前記RC回路は前記反転増幅器の出力側と入力側との間に接続されることを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載のコンデンサマイクロホン。
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