JP2006222939A - Pll回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発明は、位相比較器11、可変チャージポンプ回路12、可変ローパスフィルタ13、電圧制御発振回路14、可変分周器15、および周波数判定回路16を備えている。周波数判定回路16は、入力信号の周波数の変化を判定したときに、PLLループのダンピング因子を一定のままでPLLループの帯域周波数を変更するように、可変チャージポンプ回路12から出力される電流信号の電流値、可変ローパスフィルタ13のフィルタ特性値、および可変分周器15の分周比のうちの少なくとも2つの値を、所定値に可変させるようになっている。
【選択図】 図1
Description
図10は、従来のPLL回路の一例を示すブロック図である。
この従来のPLL回路は、図示のように、位相比較器1と、チャージポンプ回路2と、ローパスフィルタ(LPF)3と、電圧制御発振回路(VCO)4と、分周器5とを備えている。
チャージポンプ回路2は、入力されたアップ信号UPまたはダウン信号DNに基づいて電流を入出力する機能を有し、図11に示すように、電源電圧VDDから電流を出力する第1電流源21と、アップ信号UPでオンし電流を出力ノードに出力する第1スイッチ22と、ダウン信号DNでオンする第2スイッチ23と、第2スイッチ23がオンのとき出力ノードから電流を流し込む第2電流源24と、を備えている。
VCO4は、LPF3からの制御電圧の電圧値に基づく固有周波数をもつ出力信号を生成して出力する。分周器5は、VCO4からの出力信号を所定の固定分周数で分周して再生クロック信号を出力する。
次に、このような構成からなる従来のPLL回路において、PLLループの帯域周波数とダンピング因子の関係を説明する。
PLLの特性を示す指標である、PLLループの帯域周波数ω0、ダンピング因子ζは以下の式(1)および式(2)で表される。
また、ダンピング因子ζは、PLLループの安定性の目安であって、その値が高いほどPLLループは安定であるが、高すぎても制動が利き過ぎロックするのに時間がかかるため、1. 0前後の値が適正とされている。
この問題を解決する為には、すなわち、発振を防止してPLLループの安定性を損なわないようにする為には、PLLループの帯域周波数ω0を適切に設定する必要がある。そして、その帯域周波数ω0の設定は、入力信号の周波数レンジの最低周波数(リファレンス周波数fr)に対して、その1/10〜1/100程度に抑えれば良いことが知られている。
(a)PLL回路が位相比較器1のみを備え、それにより周波数をロックしようとする場合には、入力信号の入力周波数に対しては帯域周波数ω0がかなり低い為、ロックできない。特に、入力信号の周波数が高い場合は顕著である。仮に、PLL回路が位相比較器の他に周波数比較器を備え、それらにより周波数をロックしようとする場合であっても、入力信号の入力周波数に対しては帯域周波数ω0がかなり低い為、ロックするのに時間がかかる。
また、(b)の対策としては、ノイズを受けないようにノイズ源からの距離を離したりしている。
さらに、回路の微細化のため、ノイズ源からの距離を離す等の対策も困難になってきている。
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、広帯域のPLL回路において、安定かつ十分な速度をもった周波数及び位相の引き込み特性を得られ、かつノイズ耐性も良いPLL回路を提供することにある。
すなわち、請求項1に係る発明は、入力信号と分周信号との位相差を比較し、位相進み信号または位相遅れ信号を出力する位相比較器と、前記位相比較器から出力される位相進み信号または位相遅れ信号に応じた電流信号を出力するチャージポンプ回路と、抵抗およびキャパシタを有し、前記チャージポンプ回路から出力される電流信号を平滑化して電圧信号に変換するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタから出力される電圧信号に応じた周波数の発振信号を生成する電圧制御発振回路と、前記電圧制御発振回路から出力される発振信号を所定の分周比により分周して前記分周信号を生成する分周器と、前記入力信号の周波数の変化を判定する周波数判定手段と、前記周波数判定手段の判定に従って、前記チャージポンプ回路から出力される電流信号の電流値、前記抵抗の抵抗値、前記キャパシタの容量値、および前記分周器の分周比のうちの少なくとも2つの回路定数を切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記回路定数を切り替えるときには、PLLループのダンピング因子を一定のままでPLLループの帯域周波数を変更するように、前記回路定数を同時に切り替えるようにした。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のPLL回路において、前記切替手段は、前記周波数判定手段が前記入力信号の周波数が基準周波数のn倍(nは2以上の整数)になったと判定した場合に、前記容量値を1/n倍、前記分周比を1/n倍にそれぞれ切り替えるようにした。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載のPLL回路において、前記切替手段は、前記周波数判定手段が前記入力信号の周波数が基準周波数のn倍(nは2以上の整数)になったと判定した場合に、前記電流値をn倍、前記容量値を1/n倍にそれぞれ切り替えるようにした。
請求項6に係る発明は、PLL回路を備えたデジタル・オーディオ受信装置において、前記PLL回路を請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載のPLL回路としたものである。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るPLL回路の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
この第1実施形態は、図1に示すように、位相比較器11と、可変チャージポンプ回路12と、可変ローパスフィルタ(可変LPF)13と、電圧制御発振回路(VCO)14と、可変分周器15と、周波数判定回路16と、を備えている。
可変チャージポンプ回路12は、位相比較器11からのアップ信号UPまたはダウン信号DNに基づいて電流を入出力するとともに、そのチャージポンプ電流Icpの電流値を任意の値に設定できるようになっている。
このため、可変ローパスフィルタ13は、図1に示すように、可変抵抗131と固定キャパシタ132とを直列接続する直列回路と、この直列回路に並列に接続する固定キャパシタ133とからなる回路で形成され、その回路が可変チャージポンプ回路12の出力ラインとグランドとの間に接続されている。
可変分周器15は、電圧制御発振回路14からの出力信号を分周数Nで1/Nに分周して分周信号を出力するものであり、その分周数N(または分周比)を周波数判定回路16からの制御信号により任意の値に設定できるようになっている。
いま、ある周波数レンジの最低周波数であるリファレンス周波数fr=fr0に対し最適化した、可変分周器15の分周数N、可変チャージポンプ回路12のチャージポンプ電流Icp、可変ローパスフィルタ13の可変抵抗131の抵抗値R、および固定キャパタの容量値Cの基準となる値を、それぞれN=N0、Icp=Icp0、R=R0、C=C10とする。
そこで、周波数判定回路16は、分周数N、チャージポンプ電流Icp、および可変抵抗131の抵抗値Rを、N=N0/2、Icp=2×Icp0、R=R0/2に切り替えるために(図4のパターン1)、その各値を切り替えるための制御信号を各部に同時に供給する(図1参照)。
そこで、周波数判定回路16は、分周数N、チャージポンプ電流Icp、および可変抵抗131の抵抗値Rを、N=N0/4、Icp=4×Icp0、R=R0/4に切り替えるために、その各値を切り替えるための制御信号を各部に同時に供給する。
ここで、入力信号の周波数が分周信号の周波数の2倍になった場合には、帯域周波数ω01、およびダンピング因子(ダンピングファクタ)ζ1は、以下の式(4)および式(5)でそれぞれ表される。
また、ボード線図上でPLLループのオープンループ特性を簡易的に表すと、図3のようになるが、上述した回路定数の操作により、オープンループ特性は帯域周波数がω00、ω01=2×ω00、ω02=4×ω00・・・と変化するのみでその形状を保ちつつ周波数軸上を平行移動することになり、リファレンス周波数fr0、fr1=2×fr0、fr2=4×fr0・・・に応じたスケーリングがなされている。リファレンス周波数に対する帯域周波数の比(fr0/ω00、fr1/ω01・・・)は一定に保たれていることが確認できる。
このように、第1実施形態では、上述した制御をリファレンス周波数の帯域に応じて繰り返すことで、ダンピング因子を一定値に保ちつつ、帯域周波数を変更することができ、電圧制御発振回路14の動作レンジを広く取る必要がないのでノイズ耐性も良い。
図5は、本発明に係るPLL回路の第2実施形態の構成を示すブロック図である。
この第2実施形態は、図5に示すように、位相比較器11と、可変チャージポンプ回路12と、可変ローパスフィルタ13Aと、電圧制御発振回路14と、可変分周器15と、周波数判定回路16Aと、を備えている。
この第2実施形態は、図1に示す可変ローパスフィルタ13および周波数判定回路16を、図5に示す可変ローパスフィルタ13Aおよび周波数判定回路16Aに置き換えるようにしたものである。従って、他の部分の構成要素は同一であるので、同一の構成要素には同一符号を付してその説明は省略する。
このため、可変ローパスフィルタ13Aは、図5に示すように、固定抵抗134と可変キャパシタ135とを直列接続する直列回路と、この直列回路に並列に接続する可変キャパシタ136とからなる回路で形成され、その回路が可変チャージポンプ回路12の出力ラインとグランドとの間に接続されている。なお、可変キャパシタ136は省略するようにしても良い。
図1に示す第1実施形態では可変ローパスフィルタ13の可変抵抗131の抵抗値Rを可変としたが、図5に示す第2実施形態では可変抵抗131に変えて可変キャパシタ135、136の各容量値を変更するようにした。
ここで、第2実施形態において、2つの可変キャパシタ135、136を有する場合には、可変キャパシタ135のみの容量値C1を変更するだけでも良いが、オープンループ特性のスケーリングの観点からは 可変キャパシタ135、136の各容量値C1,C2を変更するのが好ましい。
いま、ある周波数レンジの最低周波数であるリファレンス周波数fr=fr0に対し最適化した、可変分周器15の分周数N、可変チャージポンプ回路12のチャージポンプ電流Icp、固定抵抗134の抵抗値R、可変キャパシタ135の容量値C1、および可変キャパシタ135の容量値C2の基準となる各値を、それぞれN=N0、Icp=Icp0、R=R0、C1=C10、C2=C20とする。
そこで、周波数判定回路16Aは、分周数Nおよび可変キャパシタ135の容量値C1を、N=N0/2、C1=C10/2に切り替えるために、その各値を切り替えるための制御信号を各部に同時に供給する(図5参照)。
そこで、周波数判定回路16Aは、分周数Nおよび可変キャパシタ135の容量値C1を、N=N0/4、C1=C10/4に切り替えるために、その各値を切り替えるための制御信号を各部に同時に供給する。
ここで、入力信号の周波数が分周信号の周波数の2倍になった場合には、帯域周波数ω01、およびダンピング因子ζ1は、以下の式(7)および式(8)で表される。
また、ボード線図上でPLLループのオープンループ特性を簡易的に表すと、図3のようになるが、上述した回路定数の操作により、オープンループ特性は帯域周波数がω00、ω01=2×ω00、ω02=4×ω00・・・と変化するのみでその形状を保ちつつ周波数軸上を平行移動することになり、リファレンス周波数fr0、fr1=2×fr0、fr2=4×fr0・・・に応じたスケーリングがなされている。リファレンス周波数に対する帯域周波数の比(fr0/ω00、fr1/ω01・・・)は一定に保たれていることが確認できる。
このように、第2実施形態では、上述した制御をリファレンス周波数の帯域に応じて繰り返すことで、ダンピング因子を一定値に保ちつつ、帯域周波数を変更することができ、電圧制御発振回路14の動作レンジを広く取る必要がないのでノイズ耐性も良い。
上述したように、第1実施形態では、チャージポンプ電流値Icp、抵抗値R、および分周数Nを変更するようにした(図4のパターン1を参照)。また、第2実施形態では、容量値C1、容量値C2、および分周数Nを変更するようにした(図4のパターン2を参照)。
そこで、第3実施形態として、入力信号の周波数が基準のn倍になった場合には、N=N0/(2×n)、R=R0/nに切り替えても良く、同様の効果が得られる(図4のパターン1´を参照)。また、第4の実施形態として、入力信号の周波数が基準のn倍になった場合には、Icp=n×Icp、C1=C1/n、C2=C2/nに切り替えても良く、同様の効果が得られる(図4のパターン2´を参照)。
図6(a)は、電圧制御発振回路14の発振クロック信号を可変分周器15で分周して分周信号を生成する構成において、分周数Nを固定して使う場合の、電圧制御発振回路14に入力される制御電圧vと発振周波数fとの関係を示す。
図6(a)に示すように、電圧制御発振回路14の発振周波数fは制御電圧vに比例し、可変分周器15の分周数Nが固定であるので、入力信号の周波数帯域に応じて発振周波数fのレンジf1a〜f2aを広く取る必要がある。発振周波数fのレンジf1a〜f2aを広く取るには、制御電圧vのレンジv1a〜v2aも広く取る必要がある。このとき、傾きf/vは電圧制御発振回路14のゲインKvcoを表しており、ゲインKvcoが大きくなってしまっていることがわかる。
図6(b)に示すように、電圧制御発振回路14の発振周波数fは制御電圧vに比例するが、可変分周器15の分周数Nを入力信号の周波数帯域に応じて変更することができるので、図6(a)と同じ制御電圧vのレンジv1a〜v2aに対しても、発振周波数fの周波数レンジf1b〜f2bは狭くて良い。
したがって、パターン2´の場合には、電圧制御発振回路14は制御電圧v上のノイズに対して有感になってしまい、再生クロックのジッタ特性を劣化させる要因となる。
図8(a)は、電圧制御発振回路14の発振クロック信号を分周して分周信号を生成する構成において、入力周波数が2倍になる毎に分周数Nを1/4にして使う場合(図4のパターン1’参照)の、電圧制御発振回路14に入力される制御電圧vとその発振周波数fとの関係を示す。入力周波数が2倍になる毎に使用する発振周波数は1/2になる。
また、パターン1’では、入力周波数の2倍のときに、分周数Nを1/4にするとともに、可変ローパスフィルタ13中の可変抵抗131の抵抗値Rを1/2にしている。この場合、電圧制御発振回路14の入力信号に現れるIcp×Rなる電圧波形の波高Vは、入力信号の周波数帯に応じて抵抗値Rが1/n倍にスケーリングされることにより、同様にスケーリングされるため、高周波数側の方が波高Vが小さくなってしまう。
以上のような理由により、パターン1及びパターン2の様な回路定数の変更を行うことにより、広い入力周波数レンジに対し、より最適なロック動作をし、かつ低ジッタ化に有利なPLL回路を提供することが出来る。
特に、数KHzから数百KHzにわたる広範囲なサンプリング周波数のデジタルオーディオ信号(SPDIF)から低ジッタのクロックを再生することが求められているデジタル・オーディオ受信装置の用途において有効である。
このため、位相同期のためにPLL回路を備えたりまたは含んでいるデジタル・オーディオ受信装置では、そのPLL回路としてこの実施形態に係る各種のPLL回路を使用すると、本発明の長所を活かすことができる。
12 可変チャージポンプ回路
13 可変ローパスフィルタ(可変LPF)
14 電圧制御発振回路
15 可変分周器
16 周波数判定回路
121、124 可変電流源
131 可変抵抗
135、136 可変キャパシタ
Claims (6)
- 入力信号と分周信号との位相差を比較し、位相進み信号または位相遅れ信号を出力する位相比較器と、
前記位相比較器から出力される位相進み信号または位相遅れ信号に応じた電流信号を出力するチャージポンプ回路と、
抵抗およびキャパシタを有し、前記チャージポンプ回路から出力される電流信号を平滑化して電圧信号に変換するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタから出力される電圧信号に応じた周波数の発振信号を生成する電圧制御発振回路と、
前記電圧制御発振回路から出力される発振信号を所定の分周比により分周して前記分周信号を生成する分周器と、
前記入力信号の周波数の変化を判定する周波数判定手段と、
前記周波数判定手段の判定に従って、前記チャージポンプ回路から出力される電流信号の電流値、前記抵抗の抵抗値、前記キャパシタの容量値、および前記分周器の分周比のうちの少なくとも2つの回路定数を切り替える切替手段と、を備え、
前記切替手段は、前記回路定数を切り替えるときには、PLLループのダンピング因子を一定のままでPLLループの帯域周波数を変更するように、前記回路定数を同時に切り替えることを特徴とするPLL回路。 - 前記切替手段は、前記周波数判定手段が前記入力信号の周波数が基準周波数のn倍(nは2以上の整数)になったと判定した場合に、前記電流値をn倍、前記抵抗値を1/n倍、前記分周比を1/n倍にそれぞれ切り替えることを特徴とする請求項1に記載のPLL回路。
- 前記切替手段は、前記周波数判定手段が前記入力信号の周波数が基準周波数のn倍(nは2以上の整数)になったと判定した場合に、前記容量値を1/n倍、前記分周比を1/n倍にそれぞれ切り替えることを特徴とする請求項1に記載のPLL回路。
- 前記切替手段は、前記周波数判定手段が前記入力信号の周波数が基準周波数のn倍(nは2以上の整数)になったと判定した場合に、前記抵抗値を1/n倍、前記分周比を1/(2×n)倍にそれぞれ切り替えることを特徴とする請求項1に記載のPLL回路。
- 前記切替手段は、前記周波数判定手段が前記入力信号の周波数が基準周波数のn倍(nは2以上の整数)になったと判定した場合に、前記電流値をn倍、前記容量値を1/n倍にそれぞれ切り替えることを特徴とする請求項1に記載のPLL回路。
- PLL回路を備えたデジタル・オーディオ受信装置において、
前記PLL回路を請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載のPLL回路とすることを特徴とするデジタル・オーディオ受信装置。
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