JP5236890B2 - マイクロホンユニット、騒音計及び音響校正器 - Google Patents
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(1) 通常プリアンプはカートリッジ部からの信号出力を増幅したり、インピーダンス変換したりする機能に限定、周囲環境の変化に対してはほとんど配慮が為されていない
。
(2) これらを騒音計などの計測器に組み込んだ場合、一般的な測定ではコンデンサーマイクロホンの比較的安定した温度特性により現行の工業規格のいずれかの「クラス」の規格(表1〜表3のJIS規格参照)内に入ることもあるが、−10℃以下といった低温下や+40℃以上といった高温下では数dB以上出力・感度が変化してしまうことも多い。
(1) 環境条件の変化を回避すべく使用するコンデンサーマイクロホンの安定性を上げようとすると、非常に高価になったり、歩留まりが極端に悪くなったりするきらいがあった。
(2) 自己雑音による騒音レベル/音圧レベルの測定下限を下げるため、自己雑音を予めメモリーなどに記憶して補正する手法との関連においては、周囲環境により出力感度が変化すると補正そのものの精度が低下してしまう。
(1) 単に安定な発音体(スピーカ・電磁形イヤホン、など)を使った市販品がほとんどで、これらは常温では大過ないが、非常に高温や低音では発音体の効率が変化し、それに伴って規定出力(規定音圧)も変動し基本性能が確保できない嫌いがある。
(2) 高精度を指向する市販品の中には、発音体の出力を大気圧の変化に応じて制御する図5のようなタイプもあるが、この例では大気圧以外の要因、例えば温度変化などで発音レベル(規定音圧)が変動した場合、それを検知・補正する手段がない。
(3) 上記の出力変動を制御する帰還制御(フィードバッ型制御)、或いは回路などを持たないので、大きな環境変化には弱い、という問題が残る。
本発明において、例えば、常温(20℃前後)において、個体ごとに感度がバラついたり、温度に対して無視できない変動を示したりするものの、その変化の仕方自体はほぼ一定しており、この発明はこの点・この性質に着目して温度変化に対しユニット(システム)の感度・出力が常に一定になるようにしたものである。
(1) ダイヤフラム付近の内部、或いは外部に設置した温度検知手段により感度を制御するので、環境変化、特に温度変化に対し非常に安定な特性のマイクロホンユニットが提供できる。
(2) 検知した温度(変化)とマイクロホンの初期感度を同時に補正するので、初期感度や温度勾配が計時的に安定でありさえすれば、安価なマイクロホン使用しても高性能なマイクロホンユニットが構成できる。
(3) エレクトレットコンデンサーマイクロホンはダイヤフラムに大きな張力を与えずに調整・製作されるため、初期感度や温度変化は大きくてもこの補正方法によれは、高価な計測用コンデンダマイクを凌駕する特性が得られる。
(4) この技術やマイクロホンユニットを搭載すれば、騒音計などの音響計測器も安価で高性能なものが提供できるが、ディジタル型の音響計測器にあっては、数値的に(ソフトウエア的に)これを行うことができるいので、更に高精度で細かく補正を施すことができ、マイクの修理交換などについても、CMOSなどの不揮発性メモリーに記憶された補正用定数テーブルを書き変えれば良い。
(5) また、この技術やマイクロホンユニットを搭載した音響校正器にあっては、校正用カプラ内の音圧を正しく検知して発音体の出力を制御するため、一般にマイクロホンより格段に出力変動の大きなスピーカや電磁形イヤホンを用いても、出力変動は変動の原因を問わず最小化できる。
(6) 加えて、音響校正器の出力補正用のマイクロホンは当該発明の技術により温度補正され、システム全体としては「温度補正付きマイクロホンによるフィードバック型出力制御」となるので、エレクトレットコンデンサーマイクロホンを用いてもシステム全体を安価に構成し、かつ高い安定度を提供することができる。
(1) ほとんどのコンデンサーマイクロホンに共通の性質、つまり周囲環境の変化のうち、湿度や気圧の変化にはかなり安定だが温度変化には弱い、という点を鑑み、最大の変化要因である温度に対し感度変化を補正しているため、どのような環境下でも安定した特性が得られる。
(2) 更に、マイクロホン個体についてみると、初期感度や温度勾配のバラつきは無視できないものの、それらの特性(傾向)の計時的な再現性は高いので、いったん補正をかけた後の経年変化はほとんど無く、安価なエレクトレットコンデンサーマイクロホンでも高価なコンデンサーマイクロホンを凌駕する安定度が実現できる。
(3) むしろ、単体ごとに微妙な調整を経て製造されるコンデンサマイクロホンに対し、自動機械(製造ロボット)により量産されるエレクトレットコンデンサマイクロホンの場合は、ダイヤフラムに大きな張力をかけて調整することができないため、かえってこの事実が、(初期感度や温度勾配に個体ごとのバラツキはあっても)経年変化は前者より少ないという特徴を発現しており、この点に着目したこの発明の補正をかけた後はむしろ安価な後者の方が特性が安定し高い精度を維持できる、という利点がある。
(1) 安価ながら経年変化の少ないエレクトレットコンデンサーマイクロホンを採用することにより、従来より安価で、かつ高精度・高安定度の騒音計を提供することができる。
(2) また、マイクロホンの自己雑音やプリアンプ・ヘッドアンプまで含めたマイクロホンユニット(システム)全体のバックグラウンドノイズをもとに、その影響を排して測定下限を下げることを意図する騒音計または計測器においては、この発明の感度補正法の採用により、当該バックグラウンドノイズ低減用補正をいかなる温度下でも安定にかけることが可能になる.つまり、両者の組み合わせにより、超低騒音レベルまで測定できる極めて安定した感度の騒音計や音響計測器を実現することができる。
(1) 一般にマイクロホンの安定性はスピーカなどの安定性より高いので、マイクロホンの出力により発音体(スピーカ・電磁形イヤホン、など)の出力=音圧を制御するフィードバック制御の採用により、システムとしての校正器の精度、安定性は従来のものより格段に高められる。
(2) これに加え、校正器のカプラ部内の音圧のセンサーとしてのマイクロホンに、上記の温度補正を施した場合、制御精度は更に高められエレクトレットコンデンサマイクロホンを用いた場合でも安価で高性能な校正器が提供できる
(3) キャリブレータの精度や安定性はマイクロホンにより決まるので、何らかの原因で発音体の出力が変動しても、理由を問わずそれらはマイクロホンの精度・安定性のレベルまで低減できる。
図1に第1の実施の形態に係る温度補正機能付きマイクロホンユニット10を示す。マイクロホンユニット10は、その筒状の筐体12内に、振動板14を備えたカートリッジ部16と、演算増幅器(OPアンプ;オペレーショナルアンプリファイアー)18を備えたプリアンプ部20とで構成されている。なお、筐体12における振動板14が取り付けられる領域は制振厚肉構造とされ、振動板14の特性に支障がない工夫がなされている。
以下に第2の実施の形態について説明する。
以下に第3の実施の形態について説明する。図5は、音響校正器100の外観を示すものであり、被測定用としての騒音計102(以下、「被測定対象102」という)のマイクロホンユニット部102Aが、カプラ部104を介して音響校正器本体106と接続されている。
R1 可変抵抗(初期感度補正手段)
R2 帰還抵抗(出力補正手段)
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
10 マイクロホンユニット
12 筐体
14 振動板
14A 固定電極部
14B 振動電極部
16 カートリッジ部
18 演算増幅器(OPアンプ)
20 プリアンプ部
22 バイアス電源
24 一方の接続端子
26 他方の接続端子
28 一方の端子
30 他方の端子
32 サーミスタ:R3(温度検出センサ、出力補正手段)
(第2の実施の形態)
10A マイクオロホンユニット(基本構成)
50 騒音計
52 本体ケース
54 センサプループ
56 A/D変換器
58 周波数補正部
60 温度補正部
62 サーミスタ
64 プリアンプ部
66 A/D変換器
68 補正用定数テーブルメモリ
70 対数圧縮部
72 表示部
(第3の実施の形態)
100 音響校正器
102 被測定対象(騒音計)
102A マイクロホンユニット部
104 カプラ部
106 音響校正器本体
108 装填部
110 空間部
112 発音体
114 マイクロホン(監視用マイクロホン)
116 AMP回路
118 CPU
120 温度センサ
122 補正用定数テーブルメモリ
124 LED
SW1 電源スイッチ
126 電池ユニット
Claims (8)
- 圧力変動する波動である音を電気信号に変換するための、ダイヤフラムなどの振動板を備えたカートリッジ部と、振動板によって得た電気信号を増幅するプリアンプ部と、を有するマイクロホンユニットであって、
前記プリアンプ部における増幅率を、予め定められた定常温度を基準として初期感度を補正する初期感度補正手段と、
前記カートリッジ部又は前記プリアンプ部近傍の温度を検出する温度検出センサと、
前記温度検出センサからの出力に基づいて、前記プリアンプ部からの出力を補正する出力補正手段とを有し、
前記温度検出センサは、前記プリアンプ部に配置された帰還抵抗と電気的に並列に接続され、前記帰還抵抗と帰還抵抗素子を構成し、
前記出力補正手段は、前記帰還抵抗素子により、周囲温度の変化に応じて前記プリアンプ部における増幅率を自動調整することで、前記プリアンプ部からの出力を補正する
ことを特徴とするマイクロホンユニット。 - 圧力変動する波動である音を電気信号に変換するための振動板を備えたカートリッジ部と、振動板によって得た電気信号を増幅するプリアンプ部とを有し、製造時に、前記プリアンプ部における増幅率を、予め定められた定常温度を基準として初期感度が補正されたマイクロホンユニットであって、
前記カートリッジ部又は前記プリアンプ部近傍の温度を検出する温度検出センサと、
前記温度検出センサからの出力に基づいて、前記プリアンプ部からの出力を補正する出力補正手段とを有し、
前記温度検出センサは、前記プリアンプ部に配置された帰還抵抗と電気的に並列に接続され、前記帰還抵抗と帰還抵抗素子を構成し、
前記出力補正手段は、前記帰還抵抗素子により、周囲温度の変化に応じて前記プリアンプ部における増幅率を自動調整することで、前記プリアンプ部からの出力を補正する
ことを特徴とするマイクロホンユニット。 - 前記マイクロホンユニットは、コンデンサーマイクロホン又はエレクトレットコンデンサーマイクロホンとして構成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のマイクロホンユニット。 - 前記温度センサが、サーミスタ或いは半導体温度センサーであり、当該サーミスタ或いは半導体温度センサーの選択が、当該サーミスタの温度特性と、前記プリアンプ部の出力の温度特性との相関関係に依存する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載のマイクロホンユニット。 - 前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載のマイクロホンユニットが組み込まれ、騒音を検出するための騒音計。
- 発音体を内蔵し、かつ前記発音体付近に出力監視用マイクロホンを配置して、当該出力監視用マイクロホンの出力を常時監視・制御して、常に一定の校正音圧を発生するように構成され、マイクロホンユニット、或いは騒音計を含む被検査対象を装着するカプラ部を備え、当該被検査対象の感度を校正するための音響校正器にあって、
音響校正器近傍の温度を検出する温度検出センサと、
前記出力監視マイクロホン出力を、前記温度検出センサの検出結果に基づいて補正する出力補正手段とを備え、
前記温度検出センサは、前記出力監視マイクロホンに配置された帰還抵抗と電気的に並列に接続され、前記帰還抵抗と帰還抵抗素子を構成し、
前記出力補正手段は、前記帰還抵抗素子により、周囲温度の変化に応じて前記プリアンプ部における増幅率を自動調整することで、前記出力監視マイクロホンからの出力を補正する
ことを特徴とする音響校正器。 - 電源として電池が用いられ、当該電池が消耗して電源電圧が許容範囲を超えて低下した場合に、表示手段と発音停止の両方で警告する警告手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項6記載の音響校正器。 - 前記温度センサが、サーミスタ或いは半導体温度センサーであり、当該サーミスタ或いは半導体温度センサーの選択が、当該サーミスタの温度特性と、前記監視用マイクロホンの出力温度特性との相関関係に依存する
ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の音響校正器。
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