JP4383695B2 - コンデンサマイクロフォン - Google Patents

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  • Electrostatic, Electromagnetic, Magneto- Strictive, And Variable-Resistance Transducers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサマイクロフォンに関し、さらに詳しく言えば、マイクユニットの静電容量変化をディジタル処理して音声信号を得るディジタルマイクロフォンの音声出力技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンデンサマイクロフォンは、振動板と固定電極との組合せからなる一種のコンデンサを備え、音波による振動板の変位に伴う静電容量変化を電気信号として取り出す方式のマイクロフォンで、これには振動板と固定電極との間に直流電圧を加える必要がある。この直流電圧が成極電圧と呼ばれるもので、マイクユニットの外部から電圧を印加する方法と、エレクトレット材により成極電圧を与える方法とがある。
【0003】
また、コンデンサマイクロフォンにおいては、振動板と固定電極との間のインピーダンスが非常に高いことから、FETや真空管といったインピーダンス変換器を用いて、所定のレベルの電圧信号を得るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のコンデンサマイクロフォンは、静電容量変化を電圧に変換する際に、外部からの電界や磁界の影響を受けやすい。また、インピーダンス変換器を用いているために、例えば周囲の湿度が高いときには、インピーダンス変換器に固有の電荷漏洩を起こして雑音を発生させることがある。
【0005】
さらには、エレクトレット型コンデンサマイクロフォンは、例えば携帯電話機用などとして小型化が可能であるが、エレクトレットは熱に弱いため、基板に実装する場合、リフローハンダ法が適用できない。したがって、抵抗やコンデンサなどのチップ部品とは別に実装しなければならなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、マイクユニットの静電容量変化をディジタル信号に変換して音声信号を得るようにしたコンデンサマイクロフォンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、入力音圧により静電容量が変化するマイクユニットと、上記静電容量に応じて周波数が変化する音声信号を出力する第1発振器と、制御電圧に応じて周波数が変化する追従信号を出力する第2発振器と、上記音声信号と上記追従信号とを得て、上記追従信号に対して上記音声信号が位相進みを持つときに第1制御信号を出力し、位相遅れを持つときに第2制御信号を出力して、上記追従信号と上記音声信号とが同位相となるように上記制御電圧を制御する位相同期手段と、クロックパルスを発生するクロック発生器と、上記第1制御信号と上記クロックパルスとの論理積により加算パルス信号を出力する第1論理積回路と、上記第2制御信号と上記クロックパルスとの論理積により減算パルス信号を出力する第2論理積回路と、上記加算パルス信号と減算パルス信号とを計数して音声データ信号を出力する加減算計数器とを備えていることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、静電容量変化を電圧に変換しないために、周囲の電磁界の影響を受けにくい。また、インピーダンス変換器の電荷漏洩による雑音も発生しない。さらには、エレクトレット材などによる成極電圧を必要としないため、抵抗やコンデンサなどのチップ部品と一緒にリフローハンダ法による表面実装も可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明のマイクロフォンの実施形態について説明する。
【0010】
図1に示すように、このマイクロフォンMは、マイクユニット1を有する第1発振器2と、VCO(電圧制御発振器)からなる第2発振器3と、第1および第2発振器2,3から出力される各周波数の位相を比較する位相比較器4と、1対のFET6、7を含む電荷供給用のチャージポンプ5と、抵抗およびコンデンサなどからなるループフィルタ8と、水晶発振回路などのクロック発生器11と、第1論理積回路12と、第2論理積回路13と、ディジタル音声データを出力する加減算計数器14とを備えている。
【0011】
マイクユニット1は、入力音圧にて振動する振動板と固定極とを備え、振動板の変位により静電容量が変化する。本発明において、マイクユニット1はもっともシンプルな構成であってよく、エレクトレット材などによる成極電圧は不要である。
【0012】
第1発振器2は、マイクユニット1の静電容量変化に応じて発振周波数を変化させる。すなわち、第1発振器2はC−F変換器として動作し、マイクユニット1に入力される音圧に比例した周波数の音声信号を位相比較器4の一方の入力端子4aに与える。位相比較器4の他方の入力端子4bには、第2発振器3から上記音声信号に対する追従信号が与えられる。
【0013】
位相比較器4は、第1発振器2からの音声信号と第2発振器3からの追従信号の位相を比較し、追従信号に対して音声信号が位相進みを持つときに第1出力端子4uに第1制御信号S1を出力し、追従信号に対して音声信号が位相遅れを持つときに第2出力端子4dに第2制御信号S2を出力する。
【0014】
この実施形態において、位相比較器4は、入力波形の立ち上がりで動作する位相周波数型比較器(Phase Frequency Comparator)であって、例えばモトローラ社製の集積回路MC4044などを使用することができる。
【0015】
位相比較器4は、その出力側に接続されるチャージポンプ5およびループフィルタ8とともに、第2発振器3の位相同期ループを構成している。チャージポンプ5は1対のFET6,7を含み、位相比較器4の第1出力端子4uには一方のFET6のゲート端子が接続され、第2出力端子4dには他方のFET7のゲート端子が接続されている。
【0016】
FET6のドレイン端子は、装置内電源Vccに接続されており、FET7のドレイン端子は接地されている。FET6,7の各ソース端子同士が接続されており、その接続点がチャージポンプ5の出力端子OUTで、この出力端子OUTがループフィルタ8を介して第2発振器3の制御端子に接続されている。
【0017】
追従信号に対して音声信号が位相進みを持つとき、第1出力端子4uに現れる第1制御信号S1により一方のFET6がオンとなり、装置内電源Vccから所定の電圧がループフィルタ8を介して第2発振器3の制御端子に加えられる。
【0018】
これに対して、追従信号に対して音声信号が位相遅れを持つとき、第2出力端子4dに現れる第1制御信号S2により他方のFET7がオンとなり、第2発振器3の制御端子側から所定の電圧が接地側に引き込まれる。このようにして、追従信号が音声信号に対して同位相となるように制御される。なお、この実施形態では、FET6,7にMOS型のものを用いているが、接合型FETであってもよい。
【0019】
クロック発生器11のクロック出力端子は、二入力型の第1論理積回路12の一方の入力端子に接続され、また、同じく二入力型の第2論理積回路13の一方の入力端子にも接続されている。
【0020】
第1論理積回路12の他方の入力端子には、位相比較器4の第1出力端子4uが接続され、第2論理積回路13の他方の入力端子には、位相比較器4の第2出力端子4dが接続されている。
【0021】
第1論理積回路12の出力端子は、加減算計数器14の加算パルス入力端子14uに接続され、第2論理積回路13の出力端子は、加減算計数器14の減算パルス入力端子14dに接続されている。
【0022】
次に、図2および3を参照して、このマイクロフォンMの動作について説明する。例えば図2(a)に示すような音圧Wがマイクユニット1に入力されると、マイクユニット1の静電容量が変化し、その容量変化に応じて第1発振器2の発振周波数が変化する。
【0023】
すなわち、第1発振器2にてマイクユニット1の静電容量が周波数に変換され、図2(b)に示す音声信号W1として位相比較器4の一方の入力端子4aに出力される。なお、図2(b)の縦軸は周波数軸、横軸は時間軸である。
【0024】
位相比較器4の他方の入力端子4bには、第2発振器3から追従信号が入力され、図3(a)に音声信号W1と追従信号W2との関係を示す。位相比較器4において、音声信号W1と追従信号W2の位相が比較されるが、上記位相同期ループには第2発振器3の制御に要する伝搬時間があるため、追従信号W2が音声信号W1と同一の発振周波数となるには、時間差ΔTだけの時間がかかることになる。
【0025】
図3(a)の例において、区間T1および区間T3では、音声信号W1の周波数が追従信号W2の周波数よりも大きいため、音声信号W1は追従信号W2に対して、位相進みを生じていることになる。
【0026】
したがって、図3(b)に示すように、区間T1および区間T3では、位相比較器4の一方の出力端子4uのみから第1制御信号S1が出力される。この第1制御信号S1のパルス幅は位相差に比例して変化する。
【0027】
これに対して、区間T2では、音声信号W1の周波数が追従信号W2の周波数よりも小さいため、音声信号W1は追従信号W2に対して、位相遅れを生じていることになる。
【0028】
したがって、図3(c)に示すように、区間T2では、位相比較器4の他方の出力端子4dのみから第2制御信号S2が出力される。この第2制御信号S2も、位相遅れ量に応じてパルス幅を変化させている。
【0029】
このようにして、位相比較器4において、図1の入力音圧Wが音声信号W1と追従信号W2の位相差により、PWM(Pulse Width Modulation)され、位相差に応じたパルス幅の第1,第2制御信号S1,S2が出力される。
【0030】
この第1,第2制御信号S1,S2により、チャージポンプ5のFET6,7がオンオフされ、チャージポンプ5の出力端子OUTには図4に示すような電圧V1が現れる。
【0031】
すなわち、第1制御信号S1が出力されている区間T1,T3においては、そのパルス幅に応じて電圧V1が階段状に上昇し、第2制御信号S2が出力されている区間T2においては、そのパルス幅に応じて電圧V1が階段状に減少する。
【0032】
ループフィルタ8により、電圧V1に含まれている高調波成分および雑音が除去され、第2発振器3の制御電圧CVとして入力される。これにより、第2発振器3は第1発振器2と同じ周波数で発振するように動作する。なお、第2発振器3には、モトローラ社製の集積回路MC4024などが例示される。
【0033】
クロック発生器11は、図5(a)に示すように、第1,第2制御信号S1,S2の時間幅に比較して十分に短いパルス幅のクロックパルスCKを発生し、第1論理積回路12と第2論理積回路13とに入力している。
【0034】
第1論理積回路12は、クロックパルスCKと進み位相時の第1制御信号S1との論理積を求めて、図5(b)に示すような加算パルス信号P1を加減算計数器14の加算パルス入力端子14uに与える。
【0035】
また、第2論理積回路13は、クロックパルスCKと遅れ位相時の第2制御信号S2との論理積を求めて、図5(c)に示すような減算パルス信号P2を加減算計数器14の減算パルス入力端子14dに与える。
【0036】
すなわち、第1,第2論理積回路12,13によりPNM(Pulse Number Modulation)が行われ、第1,第2制御信号S1,S2のパルス幅がクロックパルスCKのパルス数に変換される。
【0037】
加減算計数器(アップダウンカウンタ)14は、加算パルス信号P1と、減算パルス信号P2とに基づいて可逆的な加減算を行い、その音声データをビット端子MSB〜LSBからパラレルデータとして出力する。
【0038】
なお、加減算計数器14は位相が変化する前の状態を保持し、位相変化が起こったときにのみアップもしくはダウンカウントする。また、加減算計数器14から出力される音声データは必要に応じてD/A変換された後、図示しない音声出力部に与えられる。
【0039】
上記実施形態では、クロック発生器として水晶発振回路を用いているが、これに代えて、CR発振回路、LC発振回路、マルチバイブレータなどを用いてもよい。また、加減算計数器はマイクロプロセッサなどであってもよい。さらには、位相比較器4はアナログ型位相比較器であってもよいが、その場合には、出力信号を例えばA/D変換して論理積回路に入力することになる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マイクユニットの静電容量変化をディジタル信号に変換して音声信号を得るようにしたことにより、周囲の電磁界の影響による雑音を抑えることが可能になる。
【0041】
また、マイクユニットにエレクトレット材などによる成極電圧が不要であるため、回路基板に実装する際、リフローハンダ法を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るコンデンサマイクロフォンの回路図。
【図2】マイクユニットに入力される音圧の波形図、および第1発振器から出力される音声信号の波形図。
【図3】音声信号と追従信号の比較波形図、および位相比較器から出力される制御信号の波形図。
【図4】チャージポンプの出力波形図。
【図5】クロックパルス、加算パルスおよび減算パルスを示す波形図。
【符号の説明】
1 マイクユニット
2 第1発振器
3 第2発振器
4 位相比較器
4a,4b 入力端子
4u 第1出力端子
4d 第2出力端子
5 チャージポンプ
6,7 FET
8 ループフィルタ
11 クロック発生器
12 第1論理積回路
13 第2論理積回路
14 加減算計数器
14u 加算パルス入力端子
14d 減算パルス入力端子
M マイクロフォン

Claims (2)

  1. 入力音圧により静電容量が変化するマイクユニットと、上記静電容量に応じて周波数が変化する音声信号を出力する第1発振器と、制御電圧に応じて周波数が変化する追従信号を出力する第2発振器と、上記音声信号と上記追従信号とを得て、上記追従信号に対して上記音声信号が位相進みを持つときに第1制御信号を出力し、位相遅れを持つときに第2制御信号を出力して、上記追従信号と上記音声信号とが同位相となるように上記制御電圧を制御する位相同期手段と、クロックパルスを発生するクロック発生器と、上記第1制御信号と上記クロックパルスとの論理積により加算パルス信号を出力する第1論理積回路と、上記第2制御信号と上記クロックパルスとの論理積により減算パルス信号を出力する第2論理積回路と、上記加算パルス信号と減算パルス信号とを計数して音声データ信号を出力する加減算計数器とを備えていることを特徴とするコンデンサマイクロフォン。
  2. 上記マイクユニットが成極電圧を必要としないマイクユニットである請求項1に記載のコンデンサマイクロフォン。
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