JP6472916B1 - 発熱組成物用鉄粉の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱特性及びハンドリング性に優れる発熱組成物用鉄粉を効率よく製造することができる発熱組成物用鉄粉の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、かさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の発熱組成物用鉄粉の製造方法であり、酸化鉄を還元して還元鉄を得る還元工程と、該還元鉄を粉砕する工程とを有する。前記還元工程は、内部が硫黄ガスを含まない、大気又は不活性ガス雰囲気とされた加熱炉の該内部に、酸化鉄と、揮発成分含有量が10質量%以上である固体還元剤とを導入し、該内部の雰囲気温度が900℃以上1000℃以下となる条件で熱処理して該内部を還元性ガス雰囲気にすることで、該酸化鉄を還元する。
【選択図】なし

Description

本発明は、発熱組成物用鉄粉の製造方法に関する。
従来、通気性を有する包材内に発熱体を封入した発熱具が、使い捨てカイロなどとして、人体に温熱を付与するために広く利用されている。このような発熱体は、それに含有されている鉄粉の酸化反応によって生じる反応熱を利用して発熱するが、単に鉄粉と大気中の酸素だけでは発熱温度や発熱の持続性が充分でないことから、一般には、発熱体には、鉄粉に加えてさらに、食塩や水等の反応助剤や、さらにこれらの物質を担持する、活性炭、吸水性ポリマー等の保水剤が含有される。特許文献1には、このような組成を有しインキ状ないしクリーム状に粘稠化させた発熱組成物を、フィルム状ないしシート状の基材に塗工する工程を経て、発熱体を製造することが記載されている。
使い捨てカイロの如き発熱体を利用した製品においては、発熱開始初期の昇温速度が高く、開封後速やかに昇温することが要求され、さらに一定温度に達した後は長時間安定して発熱し、その一定温度の状態が継続することが必要とされる。発熱体の発熱特性は、特に鉄粉自体の特性に大きく左右されるため、このような要求に対しては、活性の高い鉄粉を使用すればよいとされている。特許文献2には、発熱体における鉄粉の酸化反応効率を向上させるために、活性炭に適量の水分を含有させたものを鉄粉と混合することが記載されている。また、特許文献2の段落〔0020〕には、鉄粉の見かけ密度を1.5〜3.5Mg/mの範囲とすることが好ましい旨記載され、斯かる好ましい範囲の下限値を1.5Mg/mとした理由として、鉄粉の見かけ密度がこれよりも低くなると、嵩が増加してカイロの小型化が達成できないためとされている。
特許文献3には、見かけ密度が0.5〜1.5g/ccの低密度還元鉄粉が、高成形性を要求される複雑形状の焼結部品用途や、低加圧力で成形する摩擦材用焼結部品用途など、圧縮性や成形性が要求される成形用途に有用である旨記載されている。また特許文献3には、この低密度還元鉄粉が、鉄鉱石の微粉体を950〜1150℃の温度範囲で還元して還元鉄を得、該還元鉄を粉砕する工程を経て製造されることが記載されている。尚、鉄粉に関して特許文献3に記載されているのは、成形品用途のみであり、発熱組成物用途については何等記載されていない。
特許文献4には、繊維状構造を持ち、動力運搬機に利用されるブレーキ、継手等の摩擦ライニングの製造に好適な鉄粉の製造方法として、鉄鉱石を750〜1200℃の温度範囲で還元性ガス雰囲気中にて還元する際に、その還元性ガス雰囲気中の一酸化炭素に対するガス状硫黄化合物の濃度を所定範囲に維持する方法が記載されており、また、このようにガス状硫黄化合物の濃度を一定に保つための方法として、ガス状硫黄化合物を外部から導入する方法、還元すべき酸化鉄に固体状硫黄化合物を添加する方法が記載されている。また特許文献5には、特許文献4記載の鉄粉と同様に繊維状構造を持つ鉄粉の他の製造方法として、酸洗廃液から噴霧焙焼によって得られた微粒酸化鉄を、800〜1000℃の温度範囲で、なるべく二酸化硫黄を含まない一酸化炭素雰囲気中にて還元する工程を有するものが記載されている。
特開平9−75388号公報 特開2001−254101号公報 特開昭52−24147号公報 特開昭52−120261号公報 特開昭51−52973号公報
発熱組成物用鉄粉には、発熱特性に優れることに加えてさらに、ハンドリング性に優れることも要求される。発熱組成物用鉄粉がハンドリング性に優れるものであると、これに活性炭、水などを加えて塗工可能な流動性を有する塗料とした場合に、該塗料の保存安定性に優れ、発熱組成物用鉄粉の沈降、該塗料の粘度増大やゲル化などの不都合が生じ難いため、発熱体を効率よく製造することができる。しかしながら、発熱特性及びハンドリング性が高いレベルで両立した発熱組成物用鉄粉及び発熱組成物は未だ提供されていない。
したがって本発明の課題は、発熱特性及びハンドリング性に優れる発熱組成物用鉄粉を効率よく製造することができる発熱組成物用鉄粉の製造方法を提供することに関する。
本発明は、かさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の発熱組成物用鉄粉の製造方法であって、内部が硫黄ガスを含まない、大気又は不活性ガス雰囲気とされた加熱炉の該内部に、酸化鉄と、揮発成分含有量が10質量%以上である固体還元剤とを導入し、該内部の雰囲気温度が900℃以上1000℃以下となる条件で熱処理して該内部を還元性ガス雰囲気にし、該酸化鉄を還元して還元鉄を得る還元工程と、前記還元鉄を粉砕する工程とを有する、発熱組成物用鉄粉の製造方法である。
本発明によれば、発熱特性及びハンドリング性に優れる発熱組成物用鉄粉を効率よく製造することができる。
図1は、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉を用いた発熱具の一実施形態の模式図であり、図1(a)は、該発熱具の平面図、図1(b)は、図1(a)のI−I線断面図、図1(c)は、図1(b)に示す発熱具における発熱体を拡大して示す断面の模式図である。 図2(a)は、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉の一例の電子顕微鏡写真(1000倍)、図2(b)は、従来の発熱組成物用鉄粉の一例の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
本発明の発熱組成物用鉄粉の製造方法、即ちかさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の発熱組成物用鉄粉の製造方法は、加熱炉の内部に、原料たる酸化鉄(Fe)と固体還元剤とを導入し、所定の条件で熱処理して該内部を還元性ガス雰囲気にし、該酸化鉄を還元して還元鉄(いわゆる海綿鉄)を得る還元工程と、該還元鉄を粉砕する粉砕工程とを有する。
本発明では、還元鉄の原料として、酸化鉄(III)を含む鉄鉱石を用いることが好ましい。一般に、還元鉄の原料たる酸化鉄としては、鉄鉱石の他に、鋼板、鋼管あるいは型鋼等の鋼材の熱間加工を行なう際に鋼材表面に生じる酸化鉄(いわゆるミルスケール)、あるいは鉄鋼製造工程における酸洗ラインの酸洗廃液を噴霧乾燥して得られる酸化鉄粉(いわゆる噴霧焙焼粉)などが用いられるが、本発明で鉄源とするのは鉄鉱石(鉄鉱石の粒子)又は噴霧焙焼粉が好ましい。ミルスケールのような酸化鉄(III)純度の低い微粉末状原料を鉄源とした場合には、後述する繊維状構造を持つ発熱組成物用鉄粉(図2(a)参照)を安定的に製造することができず、所望の発熱特性が得られないおそれがある。
本発明で用いる鉄鉱石(酸化鉄)は、粒子即ち鉄鉱石粒子である。鉄源として鉄鉱石(鉄鉱石粒子)を用いる場合、その平均粒子径は、還元工程における鉄鉱石粒子の作業性の観点から、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上である。鉄鉱石粒子の平均粒子径の下限を前記範囲とすることで、特に、前記還元工程において加熱炉として回転炉を用いる場合には、鉄鉱石粒子が回転炉内で飛散することを軽減でき、延いては、飛散した鉄鉱石粒子が回転炉の壁面からの伝熱により加熱されることにより、本来加熱されるべき鉄鉱石粒子への壁面からの伝熱が低下することを軽減できる。また特に、前記還元工程において加熱炉として固定炉を用いる場合には、鉄鉱石粒子と固体還元剤との混合が容易となり、また、鉄鉱石粒子を固体還元剤と共に耐熱容器(サガー)に充填して前記還元工程を実施する場合には、該耐熱容器への充填効率も高められる。
鉄源として噴霧焙焼粉(酸化鉄)を用いる場合には、還元工程における作業性の観点から、その平均粒子径は、好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.02mm以上である。噴霧焙焼粉の平均粒子径の下限を前記範囲とすることで、特に、前記還元工程において加熱炉として回転炉を用いる場合には、噴霧焙焼粉が回転炉内で飛散することを軽減でき、延いては、飛散した噴霧焙焼粉が系外に流出することを抑制できる。また特に、前記還元工程において加熱炉として固定炉を用いる場合には、噴霧焙焼粉と固体還元剤との混合が容易になり、また、噴霧焙焼粉を固体還元剤と共に耐熱容器(ザガー)に充填して前記還元工程を実施する場合には、外耐熱容器への充填効率も高められる。
また、前記還元工程における酸化鉄の被還元性、及び後述する繊維状構造の形成促進の観点から、酸化鉄(鉄鉱石粒子、噴霧焙焼粉)の平均粒子径は、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは25mm以下である。前記還元工程における酸化鉄の還元反応は、該粒子の外部から内部に向かって進行するため、平均粒子径の上限を前記範囲とすることで、還元反応が進行しやすくなり、被還元性を良好にし繊維状構造形成を良好にできる。
本明細書でいう「平均粒子径」とは、1)レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される体積基準のメジアン径であるか、又は2)測定対象(鉄鉱石粒子)の寸法を直接測定して得た測定値の算術平均値である。前記1)の体積基準のメジアン径は、例えば、株式会社堀場製作所製LA−950V2を用い、標準の湿式循環セルを利用し、屈折率を実数部3.5、虚数部3.8iとし、分散媒として水を用い屈折率を1.33とし、循環速度を15に、撹拌を5にそれぞれ設定し、常法に従って測定することができる。一方、前記2)の直接測定による測定値の算術平均値は、ノギス、マイクロメーター等の測定器を用いて、測定対象の粒子の長辺及び短辺の長さを測定して算出した算術平均値であり、より具体的には、JIS−Z8827−1に規定される最長フェレー径及び最短フェレー径を測定し、粒子20個以上を測定した算術平均値として算出される。
本発明で用いる酸化鉄(鉄鉱石粒子、噴霧焙焼粉)の純度、すなわち該酸化鉄中の酸化鉄(III)の質量含有量としては、前記還元工程における還元性の観点から、90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。酸化鉄の純度を前記範囲とすることで、後述する繊維状構造を持つ発熱組成物用鉄粉を安定的に製造することができ、金属鉄分の含有量を所望の範囲まで高めることができる。酸化鉄の純度を高めるためには、硫酸による洗浄を繰り返し行う必要があり、酸化鉄の純度を前記範囲とすることで、硫酸洗浄時に残留する硫黄分を所望の範囲まで減らすことができる。
酸化鉄の純度の上限は特に制限を設けないが、特に、酸化鉄として噴霧焙焼粉を用いる場合、酸化鉄としての噴霧焙焼粉中の酸化鉄(III)の質量含有量としては、硫黄含有量の観点から、好ましくは99.9質量%以下、さらに好ましくは99.6質量%以下である。
また本発明では、酸化鉄と併用する還元剤として、固体還元剤を用いる。固体還元剤としては炭素系固体還元剤、プラスチック、木材などが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
固体還元剤として炭素系固体還元剤を用いる場合には、例えば、石炭、石炭チャー、コークス、;おが屑炭、やし殻炭、木質炭等のバイオマス炭が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。後述する繊維状構造を持つ発熱組成物用鉄粉(図2(a)参照)をより一層安定的に製造する観点から、炭素系固体還元剤としてはバイオマス炭が好ましい。
固体還元剤としてプラスチックを用いる場合には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレンなどの高分子ポリマーが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、固体還元剤としてのプラスチックは、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機フィラーを含有することができる。
固体還元剤として木材を用いる場合には、例えば、丸太、板材、おがくず、パルプ、木質ペレットなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。還元工程における原料ハンドリング性の観点から、固体還元剤としての木材としては、木質ペレットが好ましい。
本発明で用いる炭素系固体還元剤は、好ましくは粉体であり、その平均粒子径は、前記還元工程における炭素系固体還元剤の作業性の観点から、好ましくは0.03mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上である。炭素系固体還元剤の平均粒子径の下限を前記範囲とすることで、特に、前記還元工程において加熱炉として回転炉を用いる場合には、炭素系固体還元剤が回転炉内で飛散することを軽減でき、延いては、飛散した炭素系固体還元剤が回転炉の壁面からの伝熱により加熱されることにより、本来加熱されるべき炭素系固体還元剤への壁面からの伝熱が低下することを軽減できる。また特に、前記還元工程において加熱炉として固定炉を用いる場合には、固体還元剤と鉄鉱石粒子との混合が容易となり、また、固体還元剤を酸化鉄(鉄鉱石、噴霧焙焼粉)と共に耐熱容器(サガー)に充填して前記還元工程を実施する場合には、該耐熱容器への充填効率も高められる。
また、前記還元工程における酸化鉄の還元性の観点から、固体還元剤(炭素系固体還元剤、プラスチック、木材)の平均粒子径は、好ましくは100mm以下、さらに好ましくは80mm以下である。固体還元剤の平均粒子径の上限を前記範囲とすることで、前記還元工程における後述する繊維状構造の形成を良好にできる。固体還元剤は、圧縮成形等の方法により粉末を成形して使用することもできる。
また、固体還元剤として炭素系固体還元剤を用いる場合、該炭素系固体還元剤の炭素含有量は、該固体還元剤の全質量に対して、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。炭素系固体還元剤の炭素含有量が少なすぎると、酸化鉄(鉄鉱石、噴霧焙焼粉)の還元が不十分となるおそれがある。炭素系固体還元剤の炭素含有量の上限は、後述する揮発成分との関係から、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。炭素系固体還元剤の炭素含有量は、JIS M8812に規定される、石炭およびコークス類の固定炭素分測定方法に準拠して測定される。
また、本発明で用いる固体還元剤(炭素系固体還元剤、プラスチック、木材)の揮発成分含有量は、該固体還元剤の全質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上である。ここでいう、揮発成分含有量は、固体還元剤を加熱した際に該固体還元剤から揮発する成分の総含有量である。固体還元剤の揮発成分含有量の下限を前記範囲とすることで、酸化鉄(鉄鉱石、噴霧焙焼粉)の還元を十分に行うことができる。
また、固体還元剤として炭素系固体還元剤を用いる場合、該炭素系固体還元剤の揮発成分含有量の上限は、前述した炭素含有量との関係から、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。固体還元剤の揮発成分含有量は、JIS M8812に規定される、石炭およびコークス類の揮発分定量方法に準拠して測定される。
また、本発明で用いる固体還元剤(炭素系固体還元剤、プラスチック、木材)の硫黄含有量は、該固体還元剤の全質量に対して、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは400ppm以下であり、理想的にはゼロである。固体還元剤に硫黄が含有されていると、前記還元工程において加熱炉の内部に固体還元剤由来の硫黄ガスが発生し、加熱炉をはじめとする製造設備の腐食を招くおそれがある。この点、固体還元剤の硫黄含有量が500ppm以下であれば、加熱炉の内部が硫黄ガスをほぼ含まない雰囲気とされるため、加熱炉をはじめとする製造設備の腐食を起こし難い。
前記還元工程では、酸化鉄(鉄鉱石、噴霧焙焼粉)と固体還元剤(炭素系固体還元剤、プラスチック、木材)とを熱処理する。この熱処理の方法としては、海綿鉄の製造に通常用いられる方法を適宜用いることができ、典型的には、サガーと呼ばれる耐熱容器に酸化鉄及び固体還元剤を充填し、該耐熱容器を加熱炉で間接加熱する方法が採られる。
前記還元工程では、酸化鉄(鉄鉱石、噴霧焙焼粉)と固体還元剤(炭素系固体還元剤、プラスチック、木材)とをそれぞれ粉体の状態で混合し、その混合物を熱処理することが、後述する繊維状構造形成の均一性のため好ましい。具体的には例えば、中空円筒状の耐熱容器(サガー)の中空部に、酸化鉄と固体還元剤とをそれぞれ粉体の状態で混合した混合物を充填し、該耐熱容器を加熱炉で間接加熱する方法が挙げられる。斯かる混合物における酸化鉄と固体還元剤との含有質量比は、酸化鉄/固体還元剤として、好ましくは1以上、さらに好ましくは1.5以上、そして、好ましくは18以下、さらに好ましくは9以下である。
前記還元工程は加熱炉を用いて実施される。加熱炉としては、海綿鉄の製造に通常用いられる加熱炉を特に制限なく用いることができ、回転炉でもよく、非回転の固定炉でもよい。また加熱炉は、原料(酸化鉄、固体還元剤)と燃料ガス等の加熱媒体とを直接接触させる、即ち原料を直接加熱する内燃式でもよく、あるいは、原料と加熱媒体とを直接接触させず、原料が導入された加熱炉の内部を画成する炉壁をその外側から加熱媒体で加熱する、即ち炉壁を介した伝熱により原料を間接加熱する外燃式でもよい。回転炉の具体例として、内燃式又は外燃式のロータリーキルンが挙げられる。内燃式のロータリーキルンには、例えば、加熱炉の内部に送り込んだ燃料ガスを燃焼させて、その燃焼熱で原料を加熱するタイプ、加熱炉の内部に吹き込んだ熱ガスで原料を加熱するタイプがある。一般に、内燃式の加熱炉は、原料が燃焼ガス、熱ガス等の加熱媒体に直接接触するため、該加熱媒体に含まれている粉塵等が原料に混入し、製品の品質を低下させることが懸念される。これに対し、外燃式の加熱炉は、原料が加熱媒体に接触しないため、内燃式に比べて熱効率が低いものの、粉塵等の混入による品質低下のおそれがない。後述する繊維状構造を持つ発熱組成物用鉄粉(図2(a)参照)をより一層安定的に製造する観点から、外燃式の固定炉又は回転炉を用いて熱処理を行うことが好ましい。
原料(酸化鉄、固体還元剤)が導入される加熱炉の内部は、硫黄ガスを含まない、大気又は不活性ガス雰囲気とする必要がある。加熱炉の内部に硫黄ガスが存在すると、加熱炉をはじめとする製造設備の腐食を招くおそれがある。ここでいう「硫黄ガスを含まない」とは、具体的には、加熱炉の内部における硫黄ガスの濃度が好ましくは、炉の内部の全体積に対して500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である状態を意味する。したがって本発明では、加熱炉の内部に硫黄ガスを導入することはせず、また、原料としては、硫黄含有量がなるべく少ないものを用いることが好ましい。
前記還元工程では、内部が硫黄ガスを含まない、大気又は不活性ガス雰囲気とされた加熱炉の該内部に、原料(酸化鉄、固体還元剤)を導入し、該内部の雰囲気温度が900℃以上1000℃以下となる条件で熱処理して該内部を還元性ガス雰囲気にし、酸化鉄を還元して還元鉄(海綿鉄)を得る。熱処理開始時点では、加熱炉の内部は、大気雰囲気又は窒素などの不活性ガス雰囲気であるが、原料の品温の上昇に伴い、固体還元剤(炭素系固体還元剤、プラスチック、木材)が分解して一酸化炭素が発生し、加熱炉の内部に拡散されることで、該内部は還元性ガス雰囲気となる。ここでいう「還元性ガス雰囲気」とは、一酸化炭素、水素、炭化水素ガス(メタン、エタン、プロパンなど)などを含む雰囲気のことである。この還元性ガス雰囲気において、一酸化炭素が酸化鉄(鉄鉱石、噴霧焙焼粉)を還元し、還元鉄(Fe)が生成する。この時同時に二酸化炭素が生成されるところ、該二酸化炭素は固体還元剤と反応して一酸化炭素となり、該一酸化炭素が加熱炉の内部に拡散して酸化鉄を還元する。
前記還元工程の熱処理において、加熱炉の内部の雰囲気温度が900℃以上1000℃以下の範囲外では、後述する繊維状構造を持つ発熱組成物用鉄粉(図2(a)参照)の製造が困難となる。熱処理時の加熱炉の内部の雰囲気温度は、好ましくは910℃以上、さらに好ましくは920℃以上、そして、好ましくは995℃以下、さらに好ましくは990℃以下である。
また、前記還元工程の熱処理時間(雰囲気温度900℃以上1000℃以下が維持される時間)は、好ましくは0.5時間以上、さらに好ましくは1時間以上、そして、好ましくは8時間以下、さらに好ましくは6時間以下である。
前記還元工程の熱処理において、酸化鉄の還元反応を促進する観点から、還元性ガス雰囲気における一酸化炭素及び二酸化炭素の合計含有量は多いほど好ましく、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは60体積%以上である。還元性ガス雰囲気における一酸化炭素及び二酸化炭素の合計含有量は、炭素系固体還元剤の使用量、パージガス等を適宜調整することによって調整可能である。
前記還元工程において、熱処理中に加熱炉の内部に、該内部の酸化鉄の1.5質量%以下に相当する量の酸素を導入することが好ましい。酸化鉄の還元反応は吸熱反応であるところ、特に使用する還元炉が大型のものであると、還元反応の進行に伴って加熱炉の内外で温度差が生じ、これに起因して、加熱炉の内部に導入された酸化鉄の一部が十分に還元されないという不都合が懸念される。これに対し、加熱炉の内部に酸素を導入することで、その導入された酸素が固体還元剤中の炭素を燃焼させて燃焼熱が発生するため、還元反応によって失われた熱量分がこの燃焼熱で補われ、結果として斯かる懸念が払拭される。加熱炉の内部への酸素導入量を少なすぎない量で前記範囲とすることで、加熱炉の内部の熱量を補い酸化鉄を十分に還元できる。また、加熱炉の内部への酸素導入量を少なすぎない量で前記範囲とすることで、還元された酸化鉄の再酸化を防ぐことができる。尚、酸素導入量の基準となるのは、加熱炉の内部に導入された鉄源(鉄鉱石、噴霧焙焼粉)における酸化鉄の含有量である。
前記還元工程によって得られた還元鉄は、必要に応じ選鉱処理に供された後、粉砕される(粉砕工程)。選鉱処理は、金属鉄分の純度が高い還元鉄を選出する処理であり、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、磁性のある金属鉄分と非磁性の成分(脈石)とを磁力で分離する方法(磁力選鉱法)を例示できる。
前記粉砕工程において、還元鉄を粉砕する方法は特に限定されず、公知の方法を採用でき、例えば、ロッドミル、ロールクラッシャ、ボールミルなどの公知の粉砕機を用いて実施すればよい。
尤も、後述する繊維状構造を持つ発熱組成物用鉄粉(図2(a)参照)をより一層安定的に製造する観点からは、還元直後の還元鉄が有する繊維状構造がなるべく維持されたまま粉体化されることが好ましく、そのためには、還元鉄の粉砕の程度を、従来よりも弱くすることが好ましい。例えば、従来の還元鉄の粉砕工程においては、一般的には、1.0kgの還元鉄に対して、振動式ロッドミル(例えば、中央化工機株式会社製、商品名「MB−1」)を用いて、8〜12分程度の粉砕処理を実施するのに対し、本発明の好ましい発熱組成物用鉄粉の製造においては、0.1kgの還元鉄に対して、振動式ディスクミル(例えば、ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、商品名「RS200」)を用いて、回転数700〜1000rpmで5〜30秒程度の粉砕処理を実施する。このような比較的弱い粉砕処理を還元鉄に施すことで、かさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の範囲にあり且つ繊維状構造を持つ鉄粉がより一層安定的に得られる。
前記粉砕工程を経て得られた鉄粉は、必要に応じ、所望の粒度に篩い分けされ、さらに熱処理に供されて、発熱組成物用鉄粉となる。
前述した本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、発熱組成物の材料として使用される。発熱組成物は、鉄粉(被酸化性金属)と空気中の酸素との酸化反応に伴う発熱を利用して発熱するものであり、典型的には、使い捨てカイロなどの発熱具における発熱体として使用される。本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉が適用可能な発熱具は、人体に直接適用されるか、又は衣類に適用されて、人体の加温に好適に用いられる。人体における適用部位としては例えば肩、首、顔、目、腰、肘、膝、太腿、下腿、腹、下腹部、手、足裏等が挙げられる。また、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉が適用可能な発熱具は、人体の他に、各種の物品に適用されてその加温や保温等にも好適に用いられる。
図1には、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉を用いた発熱具の一実施形態である発熱具1が示されている。発熱具1は、図1(a)に示すように、発熱体2と、該発熱体2を包囲する包材3とを含んで構成されている。発熱体2は、発熱具1において熱を生じさせる部材であり、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉を含む、発熱組成物20を含んで構成されている。包材3は、発熱体2の全体を包囲し、発熱具1の外面をなす部材であり、その一部又は全体に通気性を有する。発熱具1においては、発熱体2は、包材3に対して非固定状態になっており、それ故、包材3とは別個独立に移動することが可能になっている。
包材3は、図1(b)に示すように、第1の被覆シート30と第2の被覆シート31とを備えている。第1の被覆シート30と第2の被覆シート31とは、発熱体2の周縁から外方に延出する延出域をそれぞれ有し、その延出域どうしが接合されている。この接合は、発熱体2を取り囲む環状の連続した気密の接合であることが好ましい。両被覆シート30,31の接合によって形成された包材3は、その内部に発熱体2を収容するための空間を有し、この空間内に発熱体2が収容されている。
発熱体2は、図1(c)に示すように、2枚の基材シート21,22間に発熱組成物20が介在配置された構成を有している。基材シート21,22としては、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを用いることができ、例えば、合成樹脂フィルム等の不透気性材料、不織布や紙等の繊維シートからなる透気性材料、あるいは該不透気性材料と該繊維シートとのラミネート等が挙げられる。また、基材シート21,22は高い吸水性を有していてもよく、その場合は例えば、親水性繊維を含む繊維シート、吸水性ポリマーの粒子及び親水性繊維を含む繊維シート等が挙げられる。基材シート21,22は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
発熱組成物20は、鉄粉(本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉)、炭素材料、ハロゲン化物の塩及び水を含有する。このように、発熱体2における発熱組成物20は水を含んでいる含水層であり、発熱組成物20に含有されているハロゲン化物の塩即ち電解質は、発熱組成物20中の水に溶解した状態になっている。発熱組成物20は、鉄粉と空気中の酸素との酸化反応に伴う発熱を利用して発熱する。
発熱組成物20に含有されている発熱組成物用鉄粉は、かさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の範囲にある点で特徴付けられる。従来多用されている発熱組成物用鉄粉のかさ密度は、一般的には1.5g/cmを超えて1.8〜2.5g/cmの範囲にあるから、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、従来品に比してかさ密度が低く、嵩高いと言える。
本発明でいう、鉄粉(発熱組成物用鉄粉)のかさ密度は、かさ密度測定器(JISカサ比重測定器JIS Z−2504、筒井理化学器械(株)製)を用い、JIS Z−2504金属粉−見掛密度測定方法に従って測定される。
本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、かさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の特定範囲にあることで、これを含む発熱組成物の発熱特性を大幅に向上させ得る。具体的には、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、かさ密度が1.5g/cmを超える従来の発熱組成物用鉄粉との対比において、同等の鉄粉量でより長時間の発熱を達成することができ、また、発熱組成物における発熱量及び鉄粉の酸化反応における反応率を飛躍的に向上させ得る。本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、このように酸化反応における反応率が高いことから、発熱組成物あるいはこれを用いた発熱体の薄型化を図るのに有用であり、また、発熱時間の制御が比較的容易に行えるため、発熱体の設計の自由度を向上させ得る。発熱組成物用鉄粉のかさ密度が1.5g/cmを超えると、このような優れた発熱特性を得ることは難しくなる。また、発熱組成物用鉄粉のかさ密度が0.3g/cm未満では、当該鉄粉のハンドリングが困難となるおそれがあり、さらに発熱体などの発熱組成物の薄型化も難しくなる。本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉のかさ密度は、好ましくは0.4g/cm以上、さらに好ましくは0.5g/cm以上、そして、好ましくは1.4g/cm以下、さらに好ましくは1.3g/cm以下である。
この種の発熱体の発熱特性を向上させる方法としては従来、発熱組成物用鉄粉として粒子径が比較的小さいものを使用する方法が知られている。しかしながら一般には、発熱組成物用鉄粉の粒子径が小さくなると、これに炭素材料、ハロゲン化物の塩及び水などを加えて調製した塗料(スラリー状の発熱組成物)の保存安定性が低下し、鉄粉の沈降、塗料の粘度増大やゲル化などが起こりやすくなってハンドリング性が低下する。このようなハンドリング性の低い塗料を、発熱体の工業的な製造に適用することは困難である。
この点、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、粒子径ではなく、かさ密度が前記特定範囲にあることで、発熱組成物のハンドリング性の低下を招かずに、発熱特性を向上させ得る。具体的には、本発明の発熱組成物用鉄粉に炭素材料、ハロゲン化物の塩及び水を加えて塗料(スラリー状の発熱組成物)とした場合、その塗料は保存安定性に優れ、鉄粉の沈降、塗料の粘度増大やゲル化などが起こり難いため、発熱体を効率よく製造することができる。
特許文献3に記載されているように、かさ密度が1.5g/cm以下の範囲にある鉄粉自体は公知である。しかしながら、特許文献3に記載されているのは、成形用途にかさ密度の低い鉄粉を用いるということであり、特許文献3には発熱組成物については何等記載されておらず、自ずと、本発明の技術思想、即ちかさ密度の低い鉄粉を発熱組成物に用いることによって発熱組成物の発熱特性及びハンドリング性を向上させることについては何等の記載も示唆もない。一方、使い捨てカイロなどの発熱体の技術分野においては、発熱体の小型化が従来主要な課題となっているところ、特許文献2の段落〔0020〕に記載されているように、発熱組成物用鉄粉のかさ密度が1.5g/cm未満となるような低いものであると、発熱体の嵩が増加して発熱体の小型化に支障をきたす、というのが技術常識であることから、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉の如き、かさ密度が1.5g/cm以下の範囲にある発熱組成物用鉄粉は、発熱体用途では実質的に使用されていないのが現状である。
本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉の平均粒子径は、好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上、そして、好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。発熱組成物用鉄粉の平均粒子径が斯かる範囲にあることで、前述した効果(発熱組成物あるいは発熱体の発熱特性及びハンドリング性の向上効果)がより確実に奏されるようになる。発熱組成物用鉄粉の平均粒子径は、前述した粉砕工程における粉砕の程度を適宜調整することで調整可能である。
本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、金属鉄分の含有量が、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。発熱組成物用鉄粉における金属鉄分の含有量が斯かる範囲にあることで、前述した効果(発熱組成物あるいは発熱体の発熱特性及びハンドリング性の向上効果)がより確実に奏されるようになる。鉄粉における金属鉄分の含有量は、例えばISO5416に規定される臭素−メタノール溶解法などによって測定される。鉄粉における金属鉄分の含有量の調整は、還元条件や、還元後の熱処理条件等を適宜調整することで実施可能である。
尚、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、金属鉄分以外の他の成分として、例えば、シリカ(SiO)を3質量%以下程度、炭素(C)を15質量%以下程度、アルミナ(Al)を3質量%以下程度含有し得る。また通常、この種の鉄粉は、大気中の酸素と常温で反応して幾分かが不可避的に酸化されるため、本発明の好ましい発熱組成物用鉄粉は酸素(O)を10質量%以下程度含有し得る。これら金属鉄分以外の他の成分は、主として、発熱組成物用鉄粉の製造工程において不可避的に混入するもので、本発明の前述した所定の効果を奏する上で特段重要というものではない。
本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、前記の各種物性のみならず、その外観も特徴的である。図2(a)には、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉の一例の電子顕微鏡写真、図2(b)には、従来の発熱組成物用鉄粉(かさ密度が1.5g/cmを超える鉄粉)の電子顕微鏡写真が示されている。本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉は、図2(a)に示す通り、表層部が、多数の繊維状物が3次元的にランダムに配置されて構成されているのが特徴的である。図2(b)に示す従来の発熱組成物用鉄粉の表層部には、そのような繊維状物の集合体はほとんど確認できない。このような、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉が有する外観上の特徴(繊維状構造を持つ)が、該鉄粉による前述した作用効果の発現とどのような関わりがあるのかは不明であるが、本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉が従来の発熱組成物用鉄粉とは明らかに異なるものであることは、このような電子顕微鏡による観察によっても明白である。本発明の製造方法によって製造された発熱組成物用鉄粉を構成する前記繊維状物の繊維径は、概ね10μm以下である。前記繊維状物の繊維径は、例えば電子顕微鏡写真を画像解析し、2点間の距離を測定することによって測定される。
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。前述した本発明の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
<1>
かさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の発熱組成物用鉄粉の製造方法であって、
内部が硫黄ガスを含まない、大気又は不活性ガス雰囲気とされた加熱炉の該内部に、酸化鉄と、揮発成分含有量が10質量%以上である固体還元剤とを導入し、該内部の雰囲気温度が900℃以上1000℃以下となる条件で熱処理して該内部を還元性ガス雰囲気にし、該酸化鉄を還元して還元鉄を得る還元工程と、
前記還元鉄を粉砕する工程とを有する、発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<2>
前記酸化鉄と前記固体還元剤とをそれぞれ粉体の状態で混合し、その混合物を前記還元工程において熱処理する前記<1>に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<3>
前記固体還元剤が前記炭素系固体還元剤であり、該炭素系固体還元剤の平均粒子径が0.03mm以上100mm以下であり、且つ炭素含有量が50質量%以上、硫黄含有量が500ppm以下である前記<1>又は<2>に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<4>
前記炭素系固体還元剤の平均粒子径が、好ましくは0.03mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上、そして、好ましくは100mm以下、さらに好ましくは80mm以下である前記<3>に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<5>
前記固体還元剤が炭素系固体還元剤であり、該炭素系固体還元剤の炭素含有量が、該固体還元剤の全質量に対して、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<6>
前記固体還元剤が炭素系固体還元剤であり、該炭素系固体還元剤の硫黄含有量が、該固体還元剤の全質量に対して、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは400ppm以下である前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<7>
前記固体還元剤がプラスチックである前記<1>又は<2>に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<8>
前記固体還元剤が木材である前記<1>又は<2>に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<9>
前記酸化鉄が鉄鉱石であり、該鉄鉱石の平均粒子径が、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは25mm以下、具体的には、好ましくは0.5mm以上30mm以下、さらに好ましくは1.0mm以上25mm以下である前記<1>〜<8>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<10>
前記酸化鉄が噴霧焙焼粉であり、該噴霧焙焼粉の平均粒子径が、好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.02mm以上、そして、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは25mm以下、具体的には、好ましくは0.01mm以上30mm以下、さらに好ましくは0.02mm以上25mm以下である前記<1>〜<8>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<11>
前記還元工程において、前記加熱炉の内部に、該内部の前記酸化鉄の1.5質量%以下に相当する量の酸素を導入する前記<1>〜<10>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<12>
前記還元性ガス雰囲気における一酸化炭素及び二酸化炭素の合計含有量が、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは60体積%以上である前記<1>〜<11>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<13>
前記加熱炉が、炉壁を介した伝熱により該加熱炉の内部の熱処理対象を加熱する、外燃式の固定炉又は回転炉である前記<1>〜<12>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<14>
前記発熱組成物用鉄粉における金属鉄分の含有量が、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、具体的には、好ましくは60質量%以上95質量%以下、さらに好ましくは70質量%以上90質量%以下である前記<1>〜<13>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<15>
前記熱処理時の加熱炉の内部の雰囲気温度が、好ましくは910℃以上、さらに好ましくは920℃以上、そして、好ましくは995℃以下、さらに好ましくは990℃以下である前記<1>〜<14>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<16>
前記還元工程の熱処理時間、即ち前記雰囲気温度900℃以上1000℃以下が維持される時間が、好ましくは0.5時間以上、さらに好ましくは1時間以上、そして、好ましくは8時間以下、さらに好ましくは6時間以下である前記<1>〜<15>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
<17>
前記還元鉄を粉砕する工程において、0.1kgの還元鉄に対して、振動式ディスクミルを用いて、回転数700〜1000rpmで5〜30秒程度の粉砕処理を実施する前記<1>〜<16>の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜4、7〜10及び比較例1〜6〕
鉄鉱石(Fe:96.4質量%、SiO:2.0質量%、Al:1.6質量%、平均粒子径20mm)を鉄源として用いた。ポリエチレン製の袋(株式会社生産日本社製ユニパックF−8)に鉄源70gと固体還元剤30gとを入れて振り混ぜることで混合物を得、該混合物を、内径100mm、長さ110mmのSUS303製の耐熱容器に充填した。加熱炉として外燃式の固定炉(株式会社デンケン製、KDF−900GL)を用い、該加熱炉の内部に、前記混合物が充填された容器を静置し、該容器を熱処理して鉄源の還元処理を実施し、還元鉄を得た(還元工程)。熱処理(還元処理)は、窒素雰囲気下で、常温から10℃/minで所定温度まで昇温し、その所定温度を2.5時間保持した後、常温まで徐冷することで行った。また、熱処理中に加熱炉の内部に酸素を所定量導入した。熱処理後、容器から還元鉄を取り出し、振動式ディスクミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、RS200、SUS製標準粉砕セット)を用い、回転数700rpmで10秒間粉砕することによって粗鉄粉を得た(粉砕工程)。得られた粗鉄粉を、目開き250μmの試験ふるい(東京スクリーン株式会社製JTS−250−60−37)を用いて、ロータップ試験機(株式会社吉田製作所製1038−A)によって5分間ふるい分けを行って粗粉を除去し、目的とする発熱組成物用鉄粉を得た。使用した固体還元剤はいずれも炭素系固体還元剤であり、その詳細は下記の通り。
・固体還元剤A:やし殻炭(平均粒子径0.05mm、炭素含有量78質量%、揮発成分含有量15質量%、硫黄含有量300ppm)
・固体還元剤B:おが屑炭(平均粒子径0.15mm、炭素含有量77質量%、揮発成分含有量21質量%、硫黄含有量50ppm)
・固体還元剤C:木質炭(平均粒子径0.2mm、炭素含有量74質量%、揮発成分含有量25質量%、硫黄含有量40ppm)
・固体還元剤D:チャー(平均粒子径20mm、炭素含有量85質量%、揮発成分含有量9質量%、硫黄含有量2500ppm)
・固体還元剤E:コークス(平均粒子径0.05mm、炭素含有量90質量%、揮発成分含有量3質量%、硫黄含有量4600ppm)
〔実施例5〕
鉄鉱石(Fe:96.4質量%、SiO:2.0質量%、Al:1.6質量%、平均粒子径10mm)を鉄源として用いた以外は、実施例1と同様にして発熱組成物用鉄粉を得た。
〔実施例6〕
鉄鉱石(Fe:96.4質量%、SiO:2.0質量%、Al:1.6質量%、平均粒子径0.5mm)を鉄源として用いた以外は、実施例1と同様に実施して発熱組成物用鉄粉を得た。
〔実施例11〕
鉄源を13.3kg、固体還元剤として固体還元剤Bを5.7kg、バッチ式回転炉(内直径300mm、加熱帯長さ1000mm、SUS310S製)に導入し、熱処理を空気流量1L/minで常温から10℃/minで所定温度まで昇温し、空気流量0L/minで所定温度で2.5時間保持し、常温まで徐冷することで熱処理(還元処理)を行った以外は、実施例1と同様に実施して発熱組成物用鉄粉を得た。
〔実施例12〕
鉄源として噴霧焙焼粉(JC−DS、JFEケミカル株式会社製)、固体還元剤としてプラスチック(固体還元剤F:ポリエチレン(ノバテックLD、三菱ケミカル株式会社製、揮発成分含有量100質量%))を60g、内径100mm、長さ110mmのSUS303製のフタ付き耐熱容器を用い、常温から25℃/minで所定温度まで昇温し、3.5時間保持し、熱処理中に加熱炉の内部に酸素を導入しなかった以外は、実施例1と同様にして発熱組成物用鉄粉を得た。
〔実施例13〕
固体還元剤としてプラスチック(固体還元剤G:ポリプロピレン(MF650Y、LyondellBasell社製、揮発成分含有量100質量%))を用いた以外は実施例12と同様に実施して発熱組成物用鉄粉を得た。
〔実施例14〕
固体還元剤として固体還元剤Fを30g、固体還元剤Aを10g用い、熱処理中に加熱炉の内部に酸素を所定量導入した以外は、実施例12と同様にして発熱組成物用鉄粉を得た。
〔実施例15〕
鉄源として鉄鉱石を70g、固体還元剤として木材60g(固体還元剤H:木質ペレット、楽ちん猫トイレ消臭・抗菌パインサンド、アイリスオーヤマ株式会社製、揮発成分含有量86質量%)を使用し、所定温度で3.5時間保持した以外は、実施例12と同様にして発熱組成物用鉄粉を得た。
〔実施例16〕
鉄源として鉄鉱石を70g、固体還元剤としてプラスチック60g(固体還元剤G)を用いた以外は、実施例14と同様にして発熱組成物用鉄粉を得た。
〔比較例7〕
固体還元剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして発熱組成物用鉄粉を得た。
〔比較例8〕
鉄源を13.3kg、固体還元剤として固体還元剤Dを5.7kg、バッチ式回転炉(内直径300mm、加熱帯長さ1000mm、SUS310S製)に導入し、熱処理を空気流量1L/minで常温から10℃/minで所定温度まで昇温し、空気流量0L/minで所定温度で2.5時間保持し、常温まで徐冷することで熱処理(還元処理)を行った以外は、実施例11と同様に実施して発熱組成物用鉄粉を得た。
〔評価試験〕
各実施例及び比較例で得られた発熱組成物用鉄粉について、かさ密度及び金属鉄分の含有量をそれぞれ測定し、また、電子顕微鏡を用いて図2(a)に示す如き繊維状構造の有無を評価した。また、発熱組成物用鉄粉の製造に使用した加熱炉の内部を目視観察し、炉材の腐食の有無を評価した。
また、各実施例及び比較例で得られた発熱組成物用鉄粉を用いて下記方法により塗料を調製し、該塗料の保存安定性を下記方法により評価した。
また、前記塗料を用いて下記方法により発熱体を製造し、該発熱体の発熱特性を下記方法により評価した。
以上の結果を下記表1及び2に示す。
(塗料の調製)
各実施例及び比較例の鉄粉を用いて塗料を調製した。塗料の組成は、鉄粉100質量部、炭素材料(活性炭)8質量部、増粘剤(グアーガム)0.3質量部、水60質量部、電解質(塩化ナトリウム)5質量部とした。塗料の調製は、先ず、鉄粉と炭素材料とを混合した後、その混合物に、水及び増粘剤を混合した液を加え、これらを均一に混合することで行った。
(発熱体の製造)
各実施例及び比較例の鉄粉を用いて調製した塗料を用い、図1(c)に示す発熱体2と同様の構成の発熱体を製造した。基材シート21として5cm×5cmの坪量70g/mの木材パルプ繊維からなる紙を用い、基材シート22として5cm×5cmの坪量80g/mの下記高吸水性シートを用いた。基材シート21の一面に塗料を均一に塗工して塗工層を形成し、該塗工層の全体にハロゲン化物の塩の粉体(塩化ナトリウム)を均一に添加した後、基材シート22を重ねることで、発熱体2と同様の構成の発熱体を製造した。発熱組成物におけるハロゲン化物の塩の含有量は、該発熱組成物中の鉄粉100質量部に対して5質量部とした。発熱体における発熱組成物の坪量は587g/mであった。
(高吸水性シートの準備)
基材シート22として用いた高吸水性シートは、特許第5894747号公報の明細書に記載の方法に従い製造した。この高吸水性シートは、ポリアクリル酸ナトリウム系の高吸収性ポリマーの粒子が、該シートの厚み方向略中央域に主として存在しており、且つ該シートの表面には該粒子が実質的に存在していない構造を有する1枚のシートである。高吸水性シートは、高吸収性ポリマーの粒子の存在部位を挟んで表裏に親水性の架橋嵩高セルロース繊維の層を有している。架橋嵩高セルロース繊維は、その繊維粗度が0.22mg/mであり、繊維長さの平均値は2.5mmであった。架橋嵩高セルロース繊維の層はさらに、針葉樹晒クラフトパルプ、紙力増強剤(ポリビニルアルコール)を含んでいるものであった。高吸収性ポリマーの粒子は平均粒径340μmのものを使用した。高吸収性ポリマー粒子の坪量は30g/mであり、高吸水性シート即ち基材シート22の坪量は80g/mであった。
<塗料の保存安定性の評価方法>
塗料の保存安定性は、塗料作製直後と、塗料作製直後から24時間静置後の固形分とを比較して評価した。塗料の固形分は、塗料の水分を加熱除去し、その残分質量を測定することで評価した。例えばメトラートレド株式会社製水分率計HR83を用い、1gの塗料を120℃、30分間乾燥させ、その残分質量を測定した。作成直後の固形分に対し、24時間静置後の固形分が変わらないものをGood(最高評価)とし、24時間後に2%以上固形分が変化するものをNGとした。塗料の保存安定性はハンドリング性と密接に関連し、保存安定性の高い塗料は、ハンドリング性に優れ、扱いやすく塗工適性に優れると評価できる。
<発熱体の発熱特性の評価方法>
各実施例及び比較例で製造した発熱体を用いて、図1に示す発熱具1と同様の構成の発熱具を作製した。発熱体を包囲する包材として、該発熱体の一面側に配される被覆シートが、6.3cm×6.3cmの透気度3500秒/100mLの透気性シートからなり、該発熱体の他面側に配される被覆シートが、6.3cm×6.3cmの非透気性シートからなる包材を用いた。この包材の内部(両被覆シート間)に、評価対象の発熱体を、包材の透気性シートと発熱体の高吸水性シートとが接するように収容し、両被覆シートの周縁をシールして、該発熱体を内包した発熱具を作製した。
こうして作製した、各実施例及び比較例の発熱体を用いた発熱具の発熱特性の評価を、JIS S 4100:2007の方法に準じて行った。詳細には、評価対象の発熱具を、坪量100g/mのニードルパンチ不織布製の袋に収容し、該袋を40℃の恒温槽の上面に直接置いて発熱特性を評価した。この袋は、平面視四角形形状のニードルパンチ不織布の三方をシールすることで袋状に形成したものである。温度測定に用いる温度計は、発熱具と恒温槽の上面即ち該発熱具の載置面との間に配置し、且つ基材シート21が該温度計と対向するように配置した。発熱体の温度特性は、時間に対する温度の変化をプロットすることで表し、温度が45℃を上回る領域を時間で積分し、その面積(K・min)で比較し、300K・minを上回るものをGood(最高評価)とし、それ以下のものをNGとした。
1 発熱具
2 発熱体
20 発熱組成物
21,22 基材シート
3 包材
30,31 被覆シート

Claims (8)

  1. かさ密度が0.3g/cm以上1.5g/cm以下の発熱組成物用鉄粉の製造方法であって、
    内部が硫黄ガスを含まない、大気又は不活性ガス雰囲気とされた加熱炉の該内部に、酸化鉄と、揮発成分含有量が10質量%以上である固体還元剤とを導入し、該内部の雰囲気温度が900℃以上1000℃以下となる条件で熱処理して該内部を還元性ガス雰囲気にし、該酸化鉄を還元して還元鉄を得る還元工程と、
    前記還元鉄を粉砕する工程とを有し、
    前記加熱炉が、炉壁を介した伝熱により該加熱炉の内部の熱処理対象を加熱する、外燃式の固定炉又は回転炉であり、
    前記酸化鉄が鉄鉱石であり、該鉄鉱石の平均粒子径が、0.5mm以上30mm以下である、発熱組成物用鉄粉の製造方法。
  2. 前記酸化鉄と前記固体還元剤とをそれぞれ粉体の状態で混合し、その混合物を前記還元工程において熱処理する請求項1に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
  3. 前記固体還元剤が前記炭素系固体還元剤であり、該炭素系固体還元剤の平均粒子径が0.03mm以上100mm以下であり、且つ炭素含有量が50質量%以上、硫黄含有量が500ppm以下である請求項1又は2に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
  4. 前記固体還元剤がプラスチックである請求項1又は2に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
  5. 前記固体還元剤が木材である請求項1又は2に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
  6. 前記還元工程において、前記加熱炉の内部に、該内部の前記酸化鉄の0.2質量%以上1.5質量%以下に相当する量の酸素を導入する請求項1〜の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
  7. 前記還元性ガス雰囲気における一酸化炭素及び二酸化炭素の合計含有量が、50体積%以上である請求項1〜の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
  8. 前記発熱組成物用鉄粉における金属鉄分の含有量が、60質量%以上95質量%以下である請求項1〜の何れか1項に記載の発熱組成物用鉄粉の製造方法。
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