JPH1129807A - 溶銑製造方法 - Google Patents

溶銑製造方法

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JPH1129807A
JPH1129807A JP9184869A JP18486997A JPH1129807A JP H1129807 A JPH1129807 A JP H1129807A JP 9184869 A JP9184869 A JP 9184869A JP 18486997 A JP18486997 A JP 18486997A JP H1129807 A JPH1129807 A JP H1129807A
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JP
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furnace
iron
reduction
raw material
smelting
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JP9184869A
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English (en)
Inventor
Yasuo Kamei
康夫 亀井
Takazo Kawaguchi
尊三 川口
Yoshihisa Nakamura
義久 中村
Koichi One
公一 大根
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21BMANUFACTURE OF IRON OR STEEL
    • C21B13/00Making spongy iron or liquid steel, by direct processes
    • C21B13/10Making spongy iron or liquid steel, by direct processes in hearth-type furnaces
    • C21B13/105Rotary hearth-type furnaces
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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    • Y02P10/134Reduction of greenhouse gas [GHG] emissions by avoiding CO2, e.g. using hydrogen

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Abstract

(57)【要約】 【課題】粉状鉄原料から、簡略な工程で効率よく安価に
良質の溶銑を製造する方法を提供する。 【解決手段】(1)次のからまでの工程を少なくと
も1回実施して還元鉄を得る予備還元工程…〔粉状固
体還元剤と粉状鉄原料とを、混合せずに交互に予備還元
炉(回転炉床炉20)内に装入して、その炉床上にベッ
ドを形成する工程、予備還元炉内へ燃料と酸素含有ガ
スを吹き込み、炉内温度を1100℃以上に昇温する工
程、生成した還元鉄のベッド上に前記と同様にベッ
ドを形成する工程、前記と同じ操作を行う工程〕
と、(2)この還元鉄を炉から排出する工程と、(3)
排出した還元鉄を高温状態で製錬用溶解還元炉61へ装
入し、還元、溶解して溶銑と溶滓を得る還元・溶解工程
と、(4)この溶銑と溶滓を炉下部出銑口から抽出する
工程と、(5)製錬用溶解還元炉の生成ガス(排ガス)
を回収するガス回収工程とを備える溶銑製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化鉄を主成分と
して含む粉状の原料、すなわち、粉状の鉄鉱石や製鉄所
で発生する鉄分を含んだダスト、スラッジ、スケール等
(以下、これらを総称して「粉状鉄原料」と記す)と、
石炭、木炭、コークス(石油コークスを含む)等の、主
に炭素を含む固体物質の粉末(以下、これらを総称して
「粉状固体還元剤」と記す)を混合せず、交互に層状に
重ねて加熱された炉に装入し、高温還元して還元鉄を製
造し、この還元鉄を高温状態で製錬用溶解還元炉へ装入
して溶銑を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶銑は主に高炉法により製造され
てきた。高炉法は、塊状の鉄原料と塊状のコークスを炉
上部から装入し、炉下部に設置された羽口から熱風を吹
き込んでコークスを燃焼させて高温の還元ガスを生成
し、鉄原料の主成分である酸化鉄を還元し、溶解するプ
ロセスである。
【0003】最近においては、シャフト還元炉で塊状の
鉄原料を還元して還元鉄を製造し、この還元鉄を高温状
態で炉上部から炭材流動層型溶解炉へ装入して還元と溶
解を行い、溶銑を製造する方法が開発され、すでに実用
化されている。
【0004】また、粉鉄鉱石から直接溶銑を製造する方
法としても、種々の方法が開発されている。例えば、特
公平3−60883号公報には、微粉鉄鉱石と微粉炭素
質材とを団塊化し、この団塊化物を回転炉床炉で予備還
元し、1000℃以上の温度で排出させ、炉内に溶融金
属浴を有する製錬炉内の浴の表面下に前記微粉炭素質材
を導入するとともにこの製錬炉内で前記予備還元した団
塊化物を還元する方法が開示されている。なお、このと
き製錬炉から排出される排ガスは、回収され、予備還元
用燃料として回転炉床炉へ導入される。
【0005】しかしながら、これらの従来技術には次の
ような欠点がある。
【0006】まず、高炉法においては、塊状の鉄原料お
よびコークスを必要とするという欠点がある。高炉法で
は、石炭をコークス炉で乾留してコークス化し、篩い分
けした後の塊状のコークスが使用されるが、この高炉法
においては、コークス用強粘結炭は資源的にみて遍在し
ていることに加え、コークス炉リプレース時の巨額な投
資負担およびコークス炉が原因となって発生する公害の
防止が大きな課題となっている。一方、鉄原料について
も、塊鉱石を使用する場合を除いて、粉鉱石を塊状化
し、ペレットあるいは焼結鉱にして使用せざるを得な
い。しかし、塊鉱石の供給が非常にタイトであること、
ペレット価格が高価であることから、我が国においては
焼結鉱の使用が主流となっており、焼結鉱製造時におけ
る公害防止対策が大きな課題である。
【0007】シャフト還元炉により溶銑を製造する方法
においては、コークスを必要としないが、鉄原料として
高炉法の場合と同様に塊状のものを必要とするという問
題がある。
【0008】一方、特公平3−60883号公報に記載
される方法は優れた方法であるが、粉状の酸化鉄と粉状
の固体還元剤を混合した後、還元炉へ装入する前に団塊
化する必要があるという短所を有している。
【0009】団塊化にあたっては、所定のサイズ以外の
粒子の生成が避けられず、アンダーサイズの粒子はその
まま混合工程へ、オーバーサイズの粒子は粉砕してから
混合工程へ戻す必要があり、効率が悪い。また、団塊化
したままでは強度が弱く、ハンドリングに耐えないた
め、還元炉内へ装入する前に団塊化物を乾燥する必要が
あり、そのため、団塊化設備に加えて乾燥用設備を要
し、かつその運転および保守費用も必要で、還元鉄の製
造コストが上昇する。しかも、還元時間に比較すると団
塊化およびその乾燥に要する時間は相対的に長く、プラ
ント全体の効率が阻害される。
【0010】また、製鉄所で発生するダスト、スラッ
ジ、スケール等の酸化物を単独であるいは鉄鉱石と混合
して使用する場合、これら酸化物の回収形態が“粉状物
質が結合して固まった塊状”あるいはミルスケールのよ
うに“ペレット化するには大きすぎる形状”をなしてい
ることが多いことから、あらかじめ所定の粒度に微粉砕
して置く必要がある。そのため、微粉砕設備が欠かせな
いという問題もある。
【0011】さらに、高温還元時に団塊化物の表面が再
酸化される場合があり、製品(還元鉄)の金属化率の向
上を阻害する原因となっていた。
【0012】上記のように、従来の予備還元工程で団塊
化物を使用する方法には多くの問題点がある。
【0013】他方、団塊化を行わずに、粉状鉄原料と粉
状固体還元剤(以下、これらを総称して「粉状原料」ま
たは単に「原料」という)をそれぞれ単味で使用して還
元鉄を製造する技術が“Steel Times ” November,199
6, p.399 に紹介されている。この方法(同文献の記述
にならって「COMET法」と記す)は、粉状原料を混
合することなく、単味で交互に複数の層状に重ねて高温
還元するという方法であり、次のような利点がある。
【0014】1)粉状原料の混合と塊成化の設備が不要
になるので生産設備が簡略化でき、操業コストが下が
る。
【0015】2)粉状原料を混合することなく、互層状
態で還元するため、製品排出時に焼結して一体となった
還元鉄部分と、主として固体還元剤の灰分からなる部分
(還元鉄中に含まれる脈石“gangue”となる部
分)とを容易に分離できる結果、還元鉄中に含まれる脈
石の量を低減できる。
【0016】3)固体還元剤の中に脱硫剤を添加するこ
とにより還元鉄中の硫黄含有量を低下させることができ
る。
【0017】図5は、上記“Steel Times ”に掲載され
ている処理時間と金属化率(還元率)との関係を示す図
である。この図は、炉床1m2 当たりの載置量を鉄換算
で10kgとし、この条件で2層、3層および4層で還
元した場合の試験結果を示すものである。同図に□印で
示される試験例(即ち、粉状原料を4層にした場合)で
は、およそ20分で90%を超える金属化率が得られて
いる。
【0018】しかしながら、上記の「炉床1m2 当たり
の載置量を鉄換算で10kg」という場合の層厚は、後
述する図3の(a)に示すように、固体還元剤を含めた
厚さで約10mm程度であり、これを4層で構成する
と、1層の厚みが平均2.5mmとなる。このような各
層の薄さを維持しながら多層を形成するのは、工業規模
では非常に困難である。また、各層の厚さを薄くする
と、還元終了後の還元鉄と脈石との分離も困難になっ
て、前記2)の利点が失われてしまう。
【0019】上記の問題を回避するために、1層当たり
の厚みを増加させ、例えば、2層にすると、図5に○印
で示されるように、約90%の金属化率を得るのに40
分程度の長時間を要することになる。即ち、COMET
法は、塊成化を不要とする基本的に優れた技術ではある
が、実操業上の技術的な困難を避けるために1層当たり
の原料厚さを増加すると還元に長時間を要し、生産性を
上げることが難しいという問題点がある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の溶銑
を製造する方法における上記の問題を解決することを課
題としてなされたもので、具体的な目的は、粉状鉄原料
を効率よく、かつ、簡便な手段で処理して、有用な鉄資
源として活用する方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)か
ら(5)までの工程を特徴とする粉状鉄原料からの溶銑
製造方法を要旨とする。
【0022】(1)予備還元炉で下記からまでの一
連の工程を少なくとも1回実施して還元鉄を得る予備還
元工程と、 粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを、混合することな
く単味で交互に予備還元炉内に装入して、その炉床上に
ベッドを形成する工程、 予備還元炉内へ燃料と酸素含有ガスを吹き込み、そ
の吹き込んだ燃料、粉状固体還元剤から発生する可燃性
揮発成分および粉状鉄原料が還元されて発生するCOガ
スを、炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスにより燃焼させ、
炉内温度を1100℃以上に昇温する工程、 上記の工程で前記層状の粉状鉄原料を還元した
後、生成した還元鉄のベッド上に粉状固体還元剤と粉状
鉄原料とを、混合することなく単味で交互に装入して、
還元鉄のベッド上に層状のベッドを形成する工程、 前記と同じ操作を行う工程、(2)上記(1)の
工程で得られた還元鉄を予備還元炉から排出する排出工
程と、(3)製錬用溶解還元炉で下記およびの工程
で溶銑と溶滓を得る還元・溶解工程と、 上記(2)の工程で排出した高温状態の還元鉄と炭
材とフラックスを、炉内に溶融金属浴と溶融スラグ浴と
を有し、底部から撹拌用ガスを溶融金属浴内へ吹き込ん
で溶融金属浴と溶融スラグ浴を撹拌し、上部から酸素を
炉内へ供給する製錬用溶解還元炉へその炉上部から装入
する工程、 製錬用溶解還元炉の上部から酸素を供給し、その供
給した酸素により前記炭材を燃焼させ、さらに前記還元
鉄中に含まれる未還元の酸化鉄が還元されて生成するC
Oガスおよび炭材から発生するCOガス、H2 ガス等の
一部を燃焼させて、還元鉄、炭材中の灰分およびフラッ
クスを溶解し、前記炭材で還元鉄中に含まれる未還元の
酸化鉄を還元するとともに浸炭する工程、(4)上記
(3)の工程で得られた溶銑と溶滓を製錬用溶解還元炉
の炉下部出銑口から抽出する抽出工程と、(5)製錬用
溶解還元炉の生成ガスを回収するガス回収工程、とを備
えることを特徴とする粉状鉄原料からの溶銑製造方法。
【0023】上記本発明方法の望ましい実施態様とし
て、下記の方法を単独で、または幾つかを組み合わせて
採用することができる。
【0024】〔望ましい態様1〕粉状固体還元剤の中
に、脱硫剤を添加する。
【0025】〔望ましい態様2〕粉状鉄原料と粉状固体
還元剤のいずれか一方、または両方に水もしくはバイン
ダーまたはその両者を添加する。
【0026】〔望ましい態様3〕粉状固体還元剤と粉状
鉄原料とを交互に予備還元炉内へ装入して、その炉床上
にベッドを形成させる際に、最下層と最上層を粉状固体
還元剤の層とする。
【0027】〔望ましい態様4〕予備還元炉の炉床上に
形成されたベッド状の粉状鉄原料の高温還元に先だち、
そのベッドを押圧して見掛け密度を上昇させる。
【0028】〔望ましい態様5〕粉状固体還元剤と粉状
鉄原料の少なくとも一方を板状に成形した後、予備還元
炉の炉床上に載置する。
【0029】〔望ましい態様6〕予備還元炉の炉床上に
形成されたベッド状の粉状鉄原料の高温還元に当たり、
固体還元剤からの可燃性揮発成分の発生中に上記ベッド
の表面に酸素含有ガスを供給し、前記可燃性揮発成分を
ベッド表面で燃焼させてベッドの昇温を促進する。
【0030】〔望ましい態様7〕回収される製錬用溶解
還元炉の生成ガスの一部を予備還元用燃料として予備還
元炉へ導入する。
【0031】〔望ましい態様8〕予備還元工程で排出さ
れる還元鉄を、同時に排出される固体還元剤中に含まれ
る灰分、または固体還元剤の中に脱硫剤を添加した場合
は前記灰分と脱硫生成物および未反応の脱硫剤を除去し
た後、製錬用溶解還元炉へ装入する。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明方法の第一の特徴は、予備
還元工程において粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを、従
来のように塊成化物(ペレット)とせず、それぞれ単味
で使用することにある。これら単味の原料は、交互に層
状に予備還元炉の炉床に載置されて高温還元工程に付さ
れるのであるが、その際に、一旦還元が終了した層(ベ
ッド)の上に、再度、粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを
交互に層状に載置して、高温還元を行うことに第二の特
徴がある。そして、このようにして得られた高温状態の
還元鉄を製錬用溶解還元炉へ装入して溶銑とするのであ
る。
【0033】以下、本発明方法を、工程順に詳しく説明
する。
【0034】〔予備還元工程〕 1.(1)の工程:これは、粉状固体還元剤と粉状鉄
原料とを、混合することなく、単味で交互に予備還元炉
内へ装入して、その炉床上に層状のベッドを形成させる
工程、である。
【0035】ここで、「粉状鉄原料」とは、「酸化鉄が
主成分の粉状の鉄原料」であり、具体的には、前述した
粉状の鉄鉱石や製鉄所で発生する鉄分を含んだダスト、
スラッジ、スケール等(製鉄所排出酸化物)をいう。本
発明においては、これらを単独で、または2種以上の混
合物状態で使用することができる。この粉状鉄原料の適
正粒度は、200メッシュ(74μm)以下が約80%
程度、望ましくは325メッシュ(44μm)以下が約
80%程度、である。なお、前記の製鉄所排出酸化物
は、粗粉砕するだけでそのまま使用できる。
【0036】また、「粉状固体還元剤」とは、前述した
石炭、木炭、コークス(石油コークスを含む)等の、主
に炭素を含む固体物質の粉末である。これらも、単独
で、または2種以上組み合わせて使用することができ
る。0.5mm以下の粒度のものが約80%程度である
粉末が望ましい。
【0037】本発明方法の実施に使用する予備還元炉の
形式に特に制約はない。ただし、作業性の面からすれば
回転炉床形式の炉が推奨される。
【0038】予備還元炉の炉床上に形成させる複数層か
らなるベッドは、ベッド中の粉状鉄原料の還元を均等に
進行させるために均一な厚さとする必要があるが、ここ
で言う「均一な厚さ」とは必ずしも厳密な意味での均一
厚さ指すものではなく、実際上の不都合を来さない程度
に還元が均等に進行する程度の、極端なレベルの違いが
ない厚さ(ほぼ均一な厚さ)を意味する。
【0039】上記ベッドを構成する層の厚さは、後述す
る図3の(b)に示す粉状固体還元剤層の厚さ(t1
を5〜10mm程度、粉状鉄原料層の厚さ(t2 )を5
〜10mm程度、合計の厚さ(t)を10〜20mm程
度とするのがよい。この程度の厚さであれば、実生産ラ
インでも均一な厚さに層を形成させることができ、ま
た、炉から排出した還元鉄と脈石との分離も容易であ
る。なお、一回の原料装入で形成するベッドの層は、2
層に限られないが、各層の最小厚さは、実操業ラインで
実質的に均一な厚さを実現するために、5mm以上とす
るのが好ましい。
【0040】一回の原料装入で形成される粉状固体還元
剤と粉状鉄原料を合わせた層厚を増すと、層内の伝熱が
遅れて、還元所要時間が長くなることが懸念される。し
かし、本発明方法では、初期に装入された原料の在炉時
間は、一回の還元工程終了ごとに排出する従来の方法に
較べて長くなるので、十分に高い還元率が得られる。
【0041】2回目以降の原料装入では、既に還元反応
がほぼ終わった高温のベッドの上に新たなベッドを形成
するので、その昇温は速やかである。従って、原料各層
を厚くしても、還元反応の著しい遅延は生じない。ま
た、前述の「望ましい態様」の4、5および6の一つ以
上を併用して、還元反応を促進することもできる。ただ
し、最後に装入される原料は、炉内に滞留する時間が短
くなるので、還元率の低下を避けるためにはその層を薄
くするのが望ましい。
【0042】2.(1)の工程:これは、前の工程で
炉床上に原料のベッドを構成した予備還元炉内を昇温し
て、高温還元を行う工程である。即ち、炉内に燃料と酸
素含有ガスを吹き込み、その吹き込んだ燃料、ベッドか
ら発生する可燃性ガス(即ち、固体還元剤から発生する
可燃性揮発成分および酸化鉄が還元されて発生するCO
ガス)を炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスにより燃焼さ
せ、炉内温度を1100℃以上に昇温する。
【0043】炉内へ吹き込む「酸素含有ガス」として
は、空気または酸素濃度が空気と同等あるいは空気組成
よりも若干富に調整されたガスを使用するのがよい。
【0044】高温還元を行うための炉内温度は、110
0℃以上とする。1100℃を下回る温度域でも還元は
進行するが、このような温度域では還元速度が遅くて工
業生産には好ましくない。酸化鉄の還元中は吸熱反応に
よって装入物ベッドの温度が炉内の温度よりも低くなる
から、十分に速い還元速度を得るためには炉内温度を1
200〜1400℃程度に維持することが望ましい。
【0045】ただ、この炉内温度は還元の進行状況ある
いは使用する粉状の鉄原料や固体還元剤の性状、装入し
た原料の層厚などにより変化させるべき性質のものであ
る。即ち、原料の炉内装入後間もない期間では、装入物
の温度が低いので炉内温度を高めに保持して装入物の急
速な昇温を図るようにする方が還元の促進には有利であ
る。
【0046】また、原料である鉱石中の脈石や石炭中の
灰分の組成によってそれらの融点が変化するので、それ
に応じて炉内温度を制御し、還元進行中に溶解して流れ
出さないように留意すべきである。ただし、装入物内に
おける適度な量の融液の生成は、伝熱、反応促進の両面
で良好な結果をもたらすので、融液の生成を完全に抑え
る必要はない。従来のペレット法では、融液が生成する
とペレット強度が低下して大きな塑性変形を示すととも
に、ペレット粒子同士が融着してハンドリングしづらく
なるが、本発明方法にはその懸念はない。
【0047】還元に必要な加熱保持時間(還元所要時
間)は、鉄原料の種類、装入した原料ベッドの層厚、加
熱温度、等の様々な要因に支配される。本発明は、この
還元所要時間の短縮、言い換えれば、還元炉の炉床単位
面積あたり、単位時間あたりの還元鉄の生産量を増すこ
とを目的の一つとしている。
【0048】例えば、粉状鉄原料と粉状固体還元剤の層
厚をそれぞれ10mm(図3の(b)参照)とし、その
装入を5回(ただし、最後の5回目は原料装入量を半分
にした)繰り返した場合、約92%の還元率を達成する
所要時間は15分強である。
【0049】3.(1)およびの工程:上記(1)
の工程で粉状鉄原料を還元した後、生成した還元鉄を
排出することなく、その上に更に粉状固体還元剤と粉状
鉄原料とを層状に載置し、新たな原料のベッドを形成す
る。この新たな原料のベッドに対して前記の工程を実
施して粉状鉄原料を還元するのである。
【0050】この工程では、新たな原料層は、既にほぼ
還元された高温の鉄のベッド上に形成されるので、上部
からの加熱によるだけでなく下部からも加熱され、その
昇温速度は大きくなる。従って、この第2回目の還元所
要時間は、第1回目のそれより短くてよい。
【0051】また、第1回目に装入された粉状鉄原料
は、2回目の原料装入以降も炉内にあって高温に保持さ
れるので、その還元反応は最終的に炉から排出されるま
で進行し、高い還元率が得られる。
【0052】上記のように、原料装入と還元操作とを反
復して酸化鉄の還元を進行させるのであるが、この反復
の回数は、炉の能力、各原料層の厚さ等によって変える
ことができるので一律に決定することはできない。しか
し、1回に装入する原料層の厚さ(図3(b)に示す
t)を20mm程度とすれば、反復回数は5回程度が望
ましい。これは、いたずらに反復数を増やしても下層部
の温度は低下する一方なので昇温効果が減少すること、
およびバーナーとベッド間の距離が変化して温度管理が
難しくなること等による。また、最後に装入された原料
は炉内滞留時間が短くなり、還元率の低下が懸念される
が、最後に装入する原料の厚みを薄くすれば、原料の昇
温速度が大きくなり還元速度も大きくなるので問題はな
い。
【0053】〔排出工程〕上記(1)の工程で原料装入
と還元操作を所定の回数だけ反復して実施した後、生成
した主として還元鉄からなる炉内容物をまとめて炉外へ
排出する。
【0054】排出時の温度については、500℃以上と
するのが望ましい。この温度以上であれば、還元鉄が有
する熱を溶解に利用できることから製錬用溶解還元炉で
の還元鉄の溶解速度を向上させることができ、設備のコ
ンパクト化を図れるとともに、プロセス全体としてのエ
ネルギー効率を向上させ得るからである。しかし、排出
時におけるベッドの内部温度が1170℃以上であると
ベッド内に融液が存在する可能性があり、排出作業に支
障を来す恐れがあるので、炉外へ排出する前にベッドの
内部温度が1170℃を下回るように加熱を停止してお
くことが望ましい。なお、短時間でベッド内の温度を1
170℃より低くする方法としては、常温の還元ガスや
窒素などの不活性ガスをベッド表面に吹き付ける方法、
水冷板をベッド表面に接触させる方法等、さまざまな方
法が採用できる。
【0055】排出時には、生成した還元鉄と還元剤(粉
炭等)の残留灰分とが同時に排出される。しかし、還元
鉄と残留灰分とが層を成していること、および高温で還
元されるので還元鉄部分は焼結して板状になっているこ
とにより、その分離は篩分けや磁選等によって容易に行
うことができる。従って、後の〔望ましい態様8〕で説
明するように、還元鉄と残留灰分とを分離することが望
ましく、これによって、最終的に得られる還元鉄中への
脈石の混入率は、粉状の鉄原料と粉状の固体還元剤を含
むペレットを高温に加熱して金属化するペレット法に較
べて著しく低くなる。
【0056】本発明方法では、原料装入と還元工程の複
数回の繰り返しの後、生成した還元鉄の排出を行う。従
って、排出時の冷却は1回でよい。堆積した還元鉄の下
層部は、その上に装入される新たな原料で冷却されてい
るので、排出時の冷却は短時間でよい。また、1回の還
元工程の終了ごとに生成した還元鉄を冷却して排出する
方法に較べれば、排出時の冷却で失われていた熱が装入
された原料の昇温に有効利用されるので、その分、エネ
ルギー効率が高まる。
【0057】上記のように、予備還元炉でほぼ1100
℃以上の温度で還元して得られた還元鉄は、高温状態で
排出され、還元・溶融工程に送られる。
【0058】図1は本発明方法の工程の概略と、使用す
る設備の一例を示す図であるが、この図に示すように、
還元鉄は高温状態で回転炉床炉20に設けられた排出口
21から連続的に排出され、次の製錬用還元溶解炉61
による還元・溶解工程へ送られる。
【0059】製錬用還元溶解炉61までの距離が遠い場
合には、窒素等の不活性ガスが封入された密閉式の容器
(図示せず)に容れて搬送されるが、通常は、製錬用還
元溶解炉61は予備還元炉である回転炉床炉20に隣接
して設置されるので、外気から遮断され、窒素などの不
活性ガスあるいは製錬用還元溶解炉の排ガス等の還元ガ
スが満たされた搬路内をバケットコンベア等によって製
錬用還元溶解炉に装入される。なお、還元鉄は、予備還
元が終了した時点でベッド状のまま焼結され板状となっ
ているので、軽く粗粉砕してから製錬用還元溶解炉に装
入すればよい。
【0060】〔還元・溶解工程および抽出工程〕上記
(2)の排出工程で排出された高温の還元鉄を、(3)
の工程により製錬用溶解還元炉へ装入して還元と溶解を
行い、得られた溶銑と溶滓を(4)の工程により炉下部
の出銑口から抽出する。
【0061】図1に示したように、還元鉄の溶解に使用
する製錬炉として、本発明方法では炉内に溶融金属浴と
溶融スラグ浴とを有し、底部から撹拌用ガスを溶融金属
浴内へ吹き込んで溶融金属浴と溶融スラグ浴を撹拌し、
上部から例えば水冷ランス63により酸素を炉内へ導入
する製錬用溶解還元炉61を使用し、その炉上部から炭
材およびスラグ塩基度調整用のフラックスとともに前述
の還元鉄を高温状態で装入して溶銑を製造するのであ
る。
【0062】製錬用溶解還元炉内では、炉上部から炉内
へ導入する酸素により炭材を燃焼させ、さらに還元鉄中
に含まれる未還元の酸化鉄が還元されて生成するCOガ
スおよび炭材から発生するCO、H2 ガス等の一部を燃
焼させて、発生する燃焼熱で、還元鉄、炭材中の灰分お
よびフラックスを溶解するとともに、前記炭材で還元鉄
中に含まれる未還元の酸化鉄を還元する。このとき、酸
化鉄の還元に必要な熱も供給され、また、溶融した金属
浴中への浸炭に必要な炭素も供給される。
【0063】前記の炭材としては、一般に、石炭が用い
られ、フラックスとしては、生石灰、ドロマイト等が用
いられる。
【0064】この製錬用溶解還元炉は高炉のような充填
層タイプの炉ではないので、コークスを使用せず、コー
クス用強粘結炭が不要であることに加え、多額の投資を
必要とし、環境面でも多くの制約があるコークス炉を必
要としないという大きな利点がある。
【0065】製錬用溶解還元炉から発生する排ダスト等
については、これを系内で使用してもよい。図1に示し
た例では、排ダストを製錬用溶解還元炉61の上部から
装入するとともに回転炉床炉の原料の一部として使用し
ている。これにより、原燃料の使用効率が向上するとと
もに、ダスト等の系外への排出がなくなり、廃棄が不要
になるので、コストおよび環境保全の面で有利である。
【0066】〔ガス回収工程〕製錬用溶解還元炉から発
生する生成ガス(排ガス68)をサイクロン等の除塵機
でダスト等を除去した後、回収する。なお、回収したガ
スは、そのまま下工程へ送ったり、あるいは別途発電用
に用いる。
【0067】このように、本発明方法によれば、予備還
元炉内で粉状の酸化鉄の還元を速やかに進行させて還元
鉄を製造できるとともに、その還元鉄を高温状態で製錬
用溶解還元炉に装入して高熱効率で溶解し、良質の溶銑
を製造することができる。
【0068】次に、本発明方法の望ましい実施態様につ
いて説明する。
【0069】〔望ましい態様1〕前記の固体還元剤中に
は硫黄が含まれていることが多く、また、鉄原料、特
に、鉄鉱石にもわずかながら硫黄が含まれている。この
硫黄が製品の還元鉄中に高濃度で残留すると、製品の品
位を低下させる。これを防止するために、本発明方法に
おいては、固体還元剤の中に石灰石、生石灰、消石灰、
ドロマイト、軽焼ドロマイト等の脱硫剤を添加すること
が推奨される。これらの脱硫剤は、固体還元剤および鉄
鉱石中の硫黄と結合するので、この硫黄化合物(脱硫生
成物)および未反応の脱硫剤を、前述したように排出時
に還元剤の残留灰分とともに分離、除去すれば、脈石の
みならず硫黄の含有量も著しく低い還元鉄を得ることが
できる。
【0070】なお、上記の脱硫剤の添加には予備還元炉
の排ガス中の硫黄濃度を下げる効果もあり、環境対策の
面でも有利となる。脱硫剤は、粉状固体還元剤とほぼ同
じ粒度にして、固体還元剤の1〜3重量%程度を添加す
ればよいが、厳密な添加量は、脱硫剤の種類、固体還元
剤および鉄鉱石の硫黄含有量等に応じて決定することに
なる。
【0071】〔望ましい態様2〕本発明方法を実施する
際、用いる粉状鉄原料や固体還元剤に元々含まれている
水分等の条件によっては、予備還元炉の炉床上に均一
厚さのベッドを形成しにくい、予備還元炉の炉床上に
形成したベッドの表面から微粉が飛散しやすい、等の問
題が生じることがある。
【0072】この問題を解決するために、粉状鉄原料と
粉状固体還元剤のいずれか一方あるいは両方へ、水また
は/およびバインダーを添加することができる。バイン
ダーとしては、ベントナイト、石灰等の無機系のものお
よびタール等の有機系のものの何れをも使用することが
できる。
【0073】〔望ましい態様3〕予備還元炉の炉床上に
原料を装入するに際しては、必ずしも下層を粉状固体還
元剤とする必要はない。下層を粉状鉄原料、上層を粉状
固体還元剤としてもよい。しかし、図3の(b)に示す
ように、下層を粉状固体還元剤とすれば、粉状鉄原料層
の下にある固体還元剤の層から発生する揮発成分中に含
まれる還元ガスにより酸化鉄の還元が促進される。さら
に、還元鉄の炉床耐火物への固着を防止する効果も得ら
れる。即ち、炉床に直接、粉状鉄原料や還元鉄が接触す
ると、これらが炉床耐火物に固着して排出作業に支障を
来たし、また、炉床耐火物を損傷することがあるが、炉
床と鉄原料層との間に粉状の固体還元剤があれば、この
固着を効果的に防止できる。
【0074】さらに、図3の(c)に示すように、最下
層と最上層を粉状固体還元剤の層とするのが望ましい。
即ち、予備還元炉の炉床上に形成したベッド状の原料の
高温還元時には、炉内へ酸素含有ガスが吹き込まれ続け
ているので、一旦還元された鉄の表面が再酸化され、得
られる製品の金属化率が十分に向上しないことがある。
この還元鉄表面の再酸化を防止するのに、粉状鉄原料の
層表面を粉状固体還元剤の層で覆っておくのが有効であ
る。この方法によれば、鉄原料層の表面は常に粉状の固
体還元剤で被覆されるので、再酸化を防止できるだけで
なく、鉄原料層の上表面側も強還元性になるので還元反
応を促進することができる。
【0075】つまり、この方法では、粉状鉄原料を固体
還元剤の層で挟むことになるので、粉状鉄原料の上下に
有る固体還元剤の層から発生する揮発成分中に含まれる
還元ガスにより酸化鉄の還元が促進されるとともに、前
記の還元鉄の炉床耐火物への固着を防止する効果も得ら
れる。
【0076】〔望ましい態様4〕本発明方法によって還
元鉄を製造する際に、予備還元炉の炉床上に形成したベ
ッドをロール等を使用して押圧し、ベッドの見掛け密度
を上昇させる方法(以下、「押圧法」と記す)は、ベッ
ド内の伝熱と還元を促進する上で極めて有効である。ま
た、燃焼ガスによるベッド上の原料の飛散を防止する効
果もある。
【0077】予備還元炉の炉床上に原料のベッドを形成
させるだけでは、ベッド内に空隙が多く残って炉内高温
雰囲気からの受熱面であるベッド表面からベッドの深部
(底部)への伝熱が遅れ、その結果、ベッドの深部にお
ける還元が遅れがちである。また、燃焼ガスによりベッ
ド表面の微粉が飛散し、燃焼排ガスと共に炉外へ持ち出
される。これらの好ましくない現象が、上記の押圧法に
よって効果的に防止できる。
【0078】図3の(d)がこの方法の概要を示す図で
ある。炉内に設置した押圧ロールRで、原料層を押圧
し、その見掛け密度を大きくする。それによってベッド
内の空隙が減少して粒子同士がより緊密に密着するの
で、ベッドからの微粒子の飛散が防止されると共にベッ
ド内の伝熱が促進され、還元の速度が大きくなるのであ
る。更に、鉄原料と還元剤との接触が良好になることも
還元促進に寄与する。
【0079】〔望ましい態様5〕前記の押圧法を発展さ
せた方法として、原料の炉内への装入に先立って、粉状
固体還元剤と粉状鉄原料の少なくとも一方を板状に成形
する方法(以下、これを「予備成形法」と記す)があ
る。通常は、粉状固体還元剤と粉状鉄原料の積層物を板
状に成形する。
【0080】図3の(e)に示すように、例えば、予備
還元炉の装入口の前に設置した成形装置(ロールR1
2 を備える成形機)で、積層物を予め板状に成形し、
これを連続的に炉内に装入して炉床上に載置する。この
予備成形法の利点は、基本的には前記の押圧法と同じで
あるが、成形装置を炉外に置くのでその運転や保守が容
易であること、成形層厚の調整が正確にできること、炉
床の耐火物が老朽化して表面の凹凸が激しくなった時で
もその凹部に原料が食い込まないので、還元鉄の排出が
容易であること等の利点がある。
【0081】〔望ましい態様6〕炉床上に形成されたベ
ッド中の粉状鉄原料(酸化鉄)の還元時間を短縮するに
は、ベッドの内部温度を還元適正温度まで速やかに昇温
することが望ましい。そのためには、ベッドの加熱に当
たって、ベッドの固体還元剤から発生する可燃性揮発成
分をベッドの表面で燃焼させ、その燃焼熱をも利用して
加熱するのが有利である。即ち、石炭等の固体還元剤か
らは加熱により可燃性揮発成分がガス状態で発生する
が、これを、炉内の空間に拡散してから燃焼させるより
も、受熱面であるベッド表面で燃焼させる方がベッドの
加熱には有利である。このベッド表面での燃焼は、ベッ
ド形成後に空気等の酸素含有ガスをベッドの表面に吹き
付けることによって実現できる。
【0082】なお、酸素含有ガスをベッド表面に吹き付
けると、還元された酸化鉄の再酸化が懸念されるが、こ
れを防止するためには、固体還元剤からの可燃性揮発成
分の発生期間に限って酸素含有ガスをベッド表面に吹き
付けるのが有効である。この期間は、ベッド表面が比較
的多量の可燃性揮発成分で覆われているので、吹き付け
た酸素含有ガス中の酸素は優先的に可燃性揮発成分の燃
焼に消費され、その結果として再酸化が防止できるので
ある。
【0083】この方法と前述した「ベッドの最上層に粉
状固体還元剤の層を形成する方法」を併用することは再
酸化防止に一層有効である。
【0084】上述したベッド表面へ直接的に供給する酸
素含有ガスも、先に述べたような「空気または酸素濃度
が空気と同等あるいは空気組成よりも若干富に調整され
たガス」でよい。なお、ベッドの昇温速度を向上させる
ため、可燃性揮発成分の燃焼に必要な酸素量を確保した
上で酸素含有ガスと燃料を同時に使用しても差し支えは
ない。
【0085】固体還元剤からの揮発成分の発生が終了し
た後は、炉外から吹き込む燃料の燃焼によって、炉内温
度が1100℃以上になるように、望ましくは1200
〜1400℃以上になるように加熱すればよい。これに
より炉内で酸化鉄の還元が速やかに進行し、還元鉄が製
造される。
【0086】〔望ましい態様7〕回収された製錬用溶解
還元炉の生成ガスの少なくとも一部を予備還元炉用の燃
料として還元炉へ導入してもよい。これによって、系内
の熱の利用率を一層高めることができる。即ち、系外か
らの燃料使用量を削減できると共に、回収された生成ガ
スを高温のままで使用できるのでガスが有する顕熱をも
有効に利用することができ、エネルギー効率が高まり、
経済的にも有利である。
【0087】〔望ましい態様8〕従来の粉状鉄原料と粉
状固体還元剤を混合して、団塊化してから還元する方法
では、固体還元剤に含まれる灰分や、固体還元剤に脱硫
剤を添加した場合はさらに脱硫生成物および未反応の脱
硫剤などが還元鉄中に残留する。そのため、このまま溶
解するとスラグ量が多くなり、その結果、フラックスが
スラグ量に見合った分必要になり、さらにスラグのもつ
顕熱分に相当する燃料が必要になるなどの欠点がある。
【0088】この場合、予備還元工程で排出される還元
鉄を、同時に排出される前記の灰分や脱硫生成物および
未反応の脱硫剤を分離、除去した後、製錬用溶解還元炉
へ装入すれば、余分なスラグ成分が製錬用溶解還元炉へ
装入されることがないので、フラックス使用量および燃
料消費量を低減することができ、経済的である。なお、
還元鉄と灰分や脱硫生成物および未反応の脱硫剤の分離
は、前述したように、それらが層をなしていること、お
よび高温で還元されるので還元鉄部分は焼結して板状に
なっていることにより、篩分けや磁選等によって容易に
行うことができる。
【0089】上述したように、本発明方法においては、
従来の還元鉄を製造する方法で採用している団塊化工程
を省略して、粉状の混合物を団塊化することなく使用す
るので、従来必要とされていた団塊化設備と団塊化物の
乾燥設備が不要になるとともに、予備還元炉内に生成し
た還元鉄のベッドを利用し、その上にさらに原料のベッ
ドを置いて還元を繰り返す方式を採るので還元鉄の生産
性を高めることができ、還元鉄製造コストを大幅に低減
させることができる。そして、得られた還元鉄を高温状
態で製錬用溶解還元炉に装入して高い熱効率で溶解し、
良質の溶銑を製造することができる。
【0090】
【実施例】以下、実施例によって本発明の効果を具体的
に説明する。
【0091】1.使用原料 表1に示す組成の粉状鉄原料(鉄鉱石)および表2に示
す粉状固体還元剤(石炭)を準備した。表3にこれらの
粒度構成を示す。これらの粉状鉄鉱石と粉状石炭を表4
に示す配合率で使用した。
【0092】表記の比率(重量%)であれば、鉄原料と
還元剤の密度の相違から、体積比率はほぼ1:1にな
る。従って、炉床上に形成するベッドの各層の厚さは、
ほぼ同じ厚さにすればよい。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】2.試験装置 予備還元炉として、図2に概略を示す回転炉床式の炉3
を使用した。同図(a)は炉の中心部の断面図、(b)
は(a)図のA−A矢視断面図である。この炉は、バー
ナー4、および酸素含有ガス噴射装置5を備え、炉床6
は、駆動装置7によって矢印方向に回転する。原料は、
装入装置8によって炉床上に載置されて層状堆積層11
となり、炉床の回転により炉内を移動しつつ還元され、
排出装置9によって炉外に排出される。以下の試験で
は、炉内温度を約1300℃に保つように操業した。符
号10は排出前に還元鉄を冷却するための冷却装置であ
る。
【0098】3.還元鉄の製造 図4に示す要領で実施した。すなわち、第1回目の原料
装入を行い、炉床が1回転(この例では、所要時間18
分)してから還元鉄の排出をせず、その上に第2回目の
原料装入を行った。同じように第3回目、第4回目およ
び第5回目の原料装入を行い、第5回目の装入の後は、
炉床を2回転させ、最後に生成した還元鉄をまとめて排
出した。
【0099】原料装入は、図3の(b)の形態で行っ
た。その場合、第1〜4回目装入の原料層厚は、t1
2 ともに7.5mmとし、第5回目装入の原料層厚
は、t1、t2 ともに5.0mmとした。炉床面積1m2
あたりの鉄(Fe)換算装入量は、第1〜4回目装入
においては15kgとなり、第5回目装入においては1
0kgとなる。
【0100】上記のようにして得られた還元鉄を、約1
150℃で排出し、軽く粗粉砕した後、製錬用溶解還元
炉へ炉上部から装入した。製錬用溶解還元炉の炉上部か
らは石炭を生石灰とともに装入した。なお、生石灰はス
ラグの塩基度が1.25になる量とした。
【0101】溶銑は炉下部に設けられた出銑口から溶滓
(スラグ)とともに排出した。
【0102】製錬用溶解還元炉の排ガスの一部は予備還
元炉で用いる燃料として使用し、残りは他の設備の燃料
用として回収した。
【0103】製錬用溶解還元炉での試験は、以下の2ケ
ースについて実施した。
【0104】ケース1では、予備還元工程で製造された
還元鉄を約800℃の温度でそのまま直接製錬用溶解還
元炉へ装入した。
【0105】ケース2では、予備還元炉から排出された
還元生成物を軽く粗粉砕した後、篩いにかけて、還元鉄
と脈石成分とを分離し、還元鉄部分のみを製錬用溶解還
元炉へ装入した。
【0106】結果を表5にまとめて示す。この表におい
て、予備還元炉内還元時間とは、図4の(注)に示した
ように、炉床面積1m2 あたり10kgの鉄原料を還元
するのに要した時間である。また、還元鉄金属化率と
は、同じく図4の(注)に示したように、5回にわたっ
て装入された炉床面積1m2 あたりの鉄原料の荷重平均
還元率である。
【0107】この結果から明らかなように、ケース1で
は、約800℃の還元鉄を製錬用溶解還元炉へ装入し
て、炭素4.0重量%、硫黄0.05重量%を含む良質
な溶銑を製造することができた。
【0108】さらに、ケース2では、還元生成物中の脈
石成分が減少した結果、製錬用溶解還元炉へ装入する塩
基度調整用の生石灰の量が23kg/pt減少するとと
もに、燃料比も18kg/pt減少し、本発明の効果を
確認できた。
【0109】
【表5】
【0110】
【発明の効果】本発明方法によれば、粉状酸化鉄の還元
を速やかに進行させて還元鉄とし、その還元鉄を高温状
態で製錬用溶解還元炉に装入して高い熱効率で溶解し、
良質の溶銑を製造することができる。
【0111】本発明方法では、還元鉄製造の際、粉状の
原料混合物をそのまま、または簡単な成形を施して使用
するので、従来必要とされていた団塊化設備と団塊化物
の乾燥設備が不要になるとともに、生成した還元鉄のベ
ッドの上にさらに原料のベッドを置いて還元を繰り返す
方式を採るので還元鉄の生産性を高めることができ、還
元鉄製造コストを大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の工程の概略と、使用する設備の一
例を示す図である。
【図2】実施例で用いた回転炉床炉の構成を示す図で、
(a)は炉の中心部の断面図、(b)は(a)図のA−
A矢視断面図である。
【図3】原料を予備還元炉に装入する形態を説明する図
である。
【図4】本発明方法の実施例における原料装入と還元操
作を説明する図である。
【図5】刊行物(Steel Times )に開示されている「非
塊成化法」の試験結果を転記した図である。
【符号の説明】
1:粉状鉄原料の層 2:粉状固体還元剤の層 3:回転炉床式還元炉 4:バーナー 5:酸素含有ガス噴射装置 6:回転炉床 7:駆動装置 8:原料装入装置 9:排出装置 10:冷却装置 11:層状堆積層 20:回転炉床炉 21:排出口 22:バーナー 61:製錬用溶解還元炉 63:ランス 68:排ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大根 公一 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)予備還元炉で下記からまでの一
    連の工程を少なくとも1回実施して還元鉄を得る予備還
    元工程と、 粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを、混合することな
    く単味で交互に予備還元炉内に装入して、その炉床上に
    ベッドを形成する工程、 予備還元炉内へ燃料と酸素含有ガスを吹き込み、そ
    の吹き込んだ燃料、粉状固体還元剤から発生する可燃性
    揮発成分および粉状鉄原料が還元されて発生するCOガ
    スを、炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスにより燃焼させ、
    炉内温度を1100℃以上に昇温する工程、 上記の工程で前記層状の粉状鉄原料を還元した
    後、生成した還元鉄のベッド上に粉状固体還元剤と粉状
    鉄原料とを、混合することなく単味で交互に装入して、
    還元鉄のベッド上に層状のベッドを形成する工程、 前記と同じ操作を行う工程、(2)上記(1)の
    工程で得られた還元鉄を予備還元炉から排出する排出工
    程と、(3)製錬用溶解還元炉で下記およびの工程
    で溶銑と溶滓を得る還元・溶解工程と、 上記(2)の工程で排出した高温状態の還元鉄と炭
    材とフラックスを、炉内に溶融金属浴と溶融スラグ浴と
    を有し、底部から撹拌用ガスを溶融金属浴内へ吹き込ん
    で溶融金属浴と溶融スラグ浴を撹拌し、上部から酸素を
    炉内へ供給する製錬用溶解還元炉へその炉上部から装入
    する工程、 製錬用溶解還元炉の上部から酸素を供給し、その供
    給した酸素により前記炭材を燃焼させ、さらに前記還元
    鉄中に含まれる未還元の酸化鉄が還元されて生成するC
    Oガスおよび炭材から発生するCOガス、H2 ガス等の
    一部を燃焼させて、還元鉄、炭材中の灰分およびフラッ
    クスを溶解し、前記炭材で還元鉄中に含まれる未還元の
    酸化鉄を還元するとともに浸炭する工程、(4)上記
    (3)の工程で得られた溶銑と溶滓を製錬用溶解還元炉
    の炉下部出銑口から抽出する抽出工程と、(5)製錬用
    溶解還元炉の生成ガスを回収するガス回収工程、とを備
    えることを特徴とする粉状鉄原料からの溶銑製造方法。
  2. 【請求項2】粉状固体還元剤の中に、脱硫剤を添加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の溶銑製造方法。
  3. 【請求項3】粉状鉄原料と粉状固体還元剤のいずれか一
    方、または両方に水もしくはバインダーまたはその両者
    を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の
    溶銑製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の(1)の工程におい
    て、粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを交互に予備還元炉
    内へ装入して、その炉床上にベッドを形成する際に、最
    下層と最上層を粉状固体還元剤の層とすることを特徴と
    する請求項1から3までのいずれかに記載の溶銑製造方
    法。
  5. 【請求項5】予備還元炉の炉床上に形成されたベッド状
    の粉状鉄原料の高温還元に先だち、そのベッドを押圧し
    て見掛け密度を上昇させることを特徴とする請求項1か
    ら4までのいずれかに記載の溶銑製造方法。
  6. 【請求項6】粉状固体還元剤と粉状鉄原料の少なくとも
    一方を板状に成形した後、予備還元炉の炉床上に載置す
    ることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記
    載の溶銑製造方法。
  7. 【請求項7】予備還元炉の炉床上に形成されたベッド状
    の粉状鉄原料の高温還元に当たり、固体還元剤からの可
    燃性揮発成分の発生中に上記ベッドの表面に酸素含有ガ
    スを供給し、前記可燃性揮発成分をベッド表面部で燃焼
    させてベッドの昇温を促進することを特徴とする請求項
    1から6までのいずれかに記載の溶銑製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の(5)の工程で回収され
    る製錬用溶解還元炉の生成ガスの一部を予備還元用燃料
    として予備還元炉へ導入することを特徴とする請求項1
    から7までのいずれかに記載の溶銑製造法。
  9. 【請求項9】予備還元工程で排出される還元鉄を、同時
    に排出される固体還元剤中に含まれる灰分、または固体
    還元剤の中に脱硫剤を添加した場合は前記灰分と脱硫生
    成物および未反応の脱硫剤を除去した後、製錬用溶解還
    元炉へ装入することを特徴とする請求項1から8までの
    いずれかに記載の溶銑製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008189972A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Jfe Steel Kk 移動型炉床炉の操業方法
JP6472916B1 (ja) * 2017-12-25 2019-02-20 花王株式会社 発熱組成物用鉄粉の製造方法
US11629280B2 (en) 2017-05-18 2023-04-18 Kao Corporation Iron powder for exothermic composition, production method therefor, exothermic composition using said iron powder, and exothermic body production method

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