JPH1129806A - 溶銑製造方法 - Google Patents

溶銑製造方法

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JPH1129806A
JPH1129806A JP9183836A JP18383697A JPH1129806A JP H1129806 A JPH1129806 A JP H1129806A JP 9183836 A JP9183836 A JP 9183836A JP 18383697 A JP18383697 A JP 18383697A JP H1129806 A JPH1129806 A JP H1129806A
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JP
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furnace
iron
bed
smelting
reduction
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JP9183836A
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English (en)
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Yasuo Kamei
康夫 亀井
Takazo Kawaguchi
尊三 川口
Koichi One
公一 大根
Yoshihisa Nakamura
義久 中村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21BMANUFACTURE OF IRON OR STEEL
    • C21B13/00Making spongy iron or liquid steel, by direct processes
    • C21B13/10Making spongy iron or liquid steel, by direct processes in hearth-type furnaces
    • C21B13/105Rotary hearth-type furnaces
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粉状鉄原料から、簡略な工程で効率よく安価に
良質の溶銑を製造する方法を提供する。 【解決手段】(1)次のからまでの工程で還元鉄を
得る予備還元工程…〔粉状鉄原料と粉状固体還元剤を
混合して混合物を得る工程、前記混合物を粉状のまま
で加熱された予備還元炉(回転炉床炉20)内へ装入し
て炉床上に層状のベッドを形成する工程、予備還元炉
内へ燃料と酸素含有ガスを吹き込み、炉内温度が110
0℃以上になるように維持して前記粉状鉄原料を還元す
る予備還元工程〕と、(2)この還元鉄を炉から排出す
る工程と、(3)排出した還元鉄を高温状態で炉内に溶
融金属浴を有する製錬用溶解還元炉61へ装入し、還
元、溶解して溶銑と溶滓を得る還元・溶解工程と、
(4)この溶銑と溶滓を炉下部出銑口から抽出する工程
と、(5)製錬用溶解還元炉の生成ガス(排ガス)を回
収するガス回収工程とを備える溶銑製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化鉄を主成分と
して含む粉状の原料、すなわち、粉状の鉄鉱石や製鉄所
で発生する鉄分を含んだダスト、スラッジ、スケール等
(以下、これらを総称して「粉状鉄原料」と記す)と、
石炭、木炭、コークス(石油コークスを含む)等の、主
に炭素を含む固体物質の粉末(以下、これらを総称して
「粉状固体還元剤」と記す)を混合し、粉状のまま、ま
たは板状もしくはタイル状に成形して加熱された炉に装
入し、高温還元して還元鉄を製造し、この還元鉄を高温
状態で製錬用溶解還元炉へ装入して溶銑を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶銑は主に高炉法により製造され
てきた。高炉法は、塊状の鉄原料と塊状のコークスを炉
上部から装入し、炉下部に設置された羽口から熱風を吹
き込んでコークスを燃焼させて高温の還元ガスを生成
し、鉄原料の主成分である酸化鉄を還元し、溶解するプ
ロセスである。
【0003】最近においては、シャフト還元炉で塊状の
鉄原料を還元して還元鉄を製造し、この還元鉄を高温状
態で炉上部から炭材流動層型溶解炉へ装入して還元と溶
解を行い、溶銑を製造する方法が開発され、すでに実用
化されている。
【0004】また、粉鉄鉱石から直接溶銑を製造する方
法としても、種々の方法が開発されている。例えば、特
公平3−60883号公報には、微粉鉄鉱石と微粉炭素
質材とを団塊化し、この団塊化物を回転炉床炉で予備還
元し、1000℃以上の温度で排出させ、炉内に溶融金
属浴を有する製錬炉内の浴の表面下に前記微粉炭素質材
を導入するとともにこの製錬炉内で前記予備還元した団
塊化物を還元・溶解する方法が開示されている。なお、
このとき製錬炉から排出される排ガスは、回収され、予
備還元用燃料として回転炉床炉へ導入される。
【0005】しかしながら、これらの従来技術には次の
ような欠点がある。
【0006】まず、高炉法においては、塊状の鉄原料お
よびコークスを必要とするという欠点がある。高炉法で
は、石炭をコークス炉で乾留してコークス化し、篩い分
けした後の塊状のコークスが使用されるが、この高炉法
においては、コークス用強粘結炭は資源的にみて遍在し
ていることに加え、コークス炉リプレース時の巨額な投
資負担およびコークス炉が原因となって発生する公害の
防止が大きな課題となっている。一方、鉄原料について
も、塊鉱石を使用する場合を除いて、粉鉱石を塊状化
し、ペレットあるいは焼結鉱にして使用せざるを得な
い。しかし、塊鉱石の供給が非常にタイトであること、
ペレット価格が高価であることから、我が国においては
焼結鉱の使用が主流となっており、焼結鉱製造時におけ
る公害防止対策が大きな課題である。
【0007】シャフト還元炉により溶銑を製造する方法
においては、コークスを必要としないが、鉄原料として
高炉法の場合と同様に塊状のものを必要とするという問
題がある。
【0008】一方、特公平3−60883号公報に記載
される方法は優れた方法であるが、粉状の酸化鉄と粉状
の固体還元剤を混合した後、還元炉へ装入する前に団塊
化する必要があるという短所を有している。
【0009】団塊化にあたっては、所定のサイズ以外の
粒子の生成が避けられず、アンダーサイズの粒子はその
まま混合工程へ、オーバーサイズの粒子は粉砕してから
混合工程へ戻す必要があり、効率が悪い。また、団塊化
したままでは強度が弱く、ハンドリングに耐えないた
め、還元炉内へ装入する前に団塊化物を乾燥する必要が
あり、そのため、団塊化設備に加えて乾燥用設備を要
し、かつその運転および保守費用も必要で、還元鉄の製
造コストが上昇する。しかも、還元時間に比較すると団
塊化およびその乾燥に要する時間は相対的に長く、プラ
ント全体の効率が阻害される。
【0010】また、製鉄所で発生するダスト、スラッ
ジ、スケール等の酸化物を単独であるいは鉄鉱石と混合
して使用する場合、これら酸化物の回収形態が“粉状物
質が結合して固まった塊状”あるいはミルスケールのよ
うに“ペレット化するには大きすぎる形状”をなしてい
ることが多いことから、あらかじめ所定の粒度に微粉砕
して置く必要がある。そのため、微粉砕設備が欠かせな
いという問題もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の溶銑
を製造する方法における上記の問題を解決することを課
題としてなされたもので、具体的な目的は、粉状鉄原料
から、簡略な工程で効率よく安価に良質の溶銑を製造す
る方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の一つの欠点が原燃料の団塊化工程(ペレット化等、塊
状化する工程)と乾燥工程にあることに着目した。そこ
で、本発明者らは、前記の工程を要することによる製造
コストの増加を回避するために、団塊化せず、粉状の鉄
原料と粉状の固体還元剤を混合した状態のまま、または
板状もしくはタイル状に成形したままで加熱された還元
炉に装入し、炉床上にほぼ均一な厚さのベッドを形成
し、ベッド状態のまま還元する基礎実験を実施した。そ
の結果、団塊化物を還元する場合に比較してほぼ遜色な
い結果が得られることを知り、本発明をなすに至った。
【0013】本発明は、下記(1)から(5)までの工
程を特徴とする粉状鉄原料からの溶銑製造方法を要旨と
する。
【0014】(1)予備還元炉で下記からまでの工
程で還元鉄を得る予備還元工程と、 粉状鉄原料と粉状固体還元剤を混合して混合物を得
る工程、 前記混合物を、粉状のままで加熱された予備還元炉
内へ装入して、その炉床上に層状のベッドを形成する工
程、 予備還元炉内へ燃料と酸素含有ガスを吹き込み、そ
の吹き込んだ燃料、粉状固体還元剤から発生する可燃性
揮発成分および粉状鉄原料が還元されて発生するCOガ
スを、炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスにより燃焼させ、
炉内温度が1100℃以上になるように維持して、前記
粉状鉄原料を還元する工程、(2)上記(1)の工程で
得られた還元鉄を予備還元炉から排出する排出工程と、
(3)製錬用溶解還元炉で下記およびの工程で溶銑
と溶滓を得る還元・溶解工程と、 上記(2)の工程で排出した高温状態の還元鉄と炭
材とフラックスを、炉内に溶融金属浴と溶融スラグ浴と
を有し、底部から撹拌用ガスを溶融金属浴内へ吹き込ん
で溶融金属浴と溶融スラグ浴を撹拌し、上部から酸素を
炉内へ供給する製錬用溶解還元炉へその炉上部から装入
する工程、 製錬用溶解還元炉の上部から酸素を供給し、その供
給した酸素により前記炭材を燃焼させ、さらに前記還元
鉄中に含まれる未還元の酸化鉄が還元されて生成するC
Oガスおよび炭材から発生するCOガス、H2 ガス等の
一部を燃焼させて、還元鉄、炭材中の灰分およびフラッ
クスを溶解し、前記炭材で還元鉄中に含まれる未還元の
酸化鉄を還元するとともに浸炭する工程、(4)上記
(3)の工程で得られた溶銑と溶滓を製錬用溶解還元炉
の炉下部出銑口から抽出する抽出工程と、(5)製錬用
溶解還元炉の生成ガスを回収するガス回収工程、とを備
えることを特徴とする粉状鉄原料からの溶銑製造方法。
【0015】ここで、「粉状鉄原料」とは、酸化鉄が主
成分の粉状の鉄原料であり、具体的には、前述した粉状
の鉄鉱石や製鉄所で発生する鉄分を含んだダスト、スラ
ッジ、スケール等をいう。本発明においては、これらを
単独で、または2種以上の混合物状態で使用することが
できる。
【0016】また、「粉状固体還元剤」とは、前述した
石炭、木炭、コークス(石油コークスを含む)等の、主
に炭素を含む固体物質の粉末である。これらも、単独
で、または2種以上組み合わせて使用することができ
る。
【0017】上記本発明方法の望ましい実施態様とし
て、下記の方法を単独で、または幾つかを組み合わせて
採用することができる。
【0018】〔望ましい態様1〕炉床上の混合物のベッ
ドの表面を粉状固体還元剤で薄く被覆する。
【0019】〔望ましい態様2〕炉床上に混合物のベッ
ドを形成した後、またはそのベッドの表面を粉状固体還
元剤で薄く被覆した後に、ベッドを填圧し、混合物の見
掛け密度を上昇させる。
【0020】〔望ましい態様3〕混合物を板状に成形し
て加熱された予備還元炉の炉床上に載置する。
【0021】〔望ましい態様4〕混合物をタイル状に成
形して加熱された予備還元炉の炉床上に載置する。
【0022】〔望ましい態様5〕板状成形物またはタイ
ル状成形物の炉床に接する面と反対側の表面に凹凸を付
ける。
【0023】〔望ましい態様6〕板状またはタイル状成
形物の炉床に接する面と反対側の表面がバインダーを混
合した粉状の固体還元剤で被覆されるように成形する。
【0024】〔望ましい態様7〕混合物を予備還元炉内
で加熱するにあたり、炉床上の混合物中の固体還元剤か
らの可燃性揮発成分の発生中にベッドの表面に酸素含有
ガスを供給し、前記可燃性揮発成分をベッド表面で燃焼
させてベッドの昇温を促進する。
【0025】〔望ましい態様8〕予備還元炉の炉床上に
粉状の固体還元剤を薄く敷き、その上に混合物のベッド
を形成する。
【0026】〔望ましい態様9〕回収される製錬用溶解
還元炉の生成ガスの一部を予備還元用燃料として予備還
元炉へ導入する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明方法の工程の概略
と、使用する設備の一例を示す図1を参照しながら、本
発明方法を工程順に説明する。
【0028】〔予備還元工程〕 1.(1)の工程:粉状の鉄原料を高温で還元するに
あたり、事前に粉状鉄原料と粉状固体還元剤を混合して
混合物(原料混合物)を得る。
【0029】ただし、使用する粉状の鉄原料と固体還元
剤に元々含まれている水分等の条件によっては、粉状鉄
原料と粉状固体還元剤を混合する際、若干のバインダー
を添加することにより、均一かつ迅速に混合しやすくな
るとともに回転炉床上にほぼ均一な厚さの混合物のベッ
ドを形成しやすくなり、さらには、後述する板状成形物
あるいはタイル状成形物への成形が容易になる。また、
混合物表面からの微粉の飛散防止に効果的である。
【0030】図1に示した工程では、原料受け入れホッ
パー10から切り出された粉鉱石12、粉状の還元剤1
4およびバインダー16を混合機18によって混合して
いる。なお、この例では、さらに後述するダストを加え
ている。
【0031】得られる還元鉄に含まれるスラグ成分の塩
基度を調整するため、混合物中に石灰(生石灰、石灰石
等)を添加することにより、予備還元炉の排ガス中に含
まれる硫黄(S)濃度を低下できる。さらに、石灰石を
使用する場合、石灰石の分解に伴う吸熱を予備還元炉内
での焼成時に補えるので、製錬炉での燃料原単位が向上
する。
【0032】本発明方法においては団塊化する必要がな
いので、スケールなどは粗粉砕するだけで使用すること
ができ、微粉砕は不要である。
【0033】また、亜鉛(Zn)等を含むダストを原料
に使用した場合は、製品の還元鉄にZnが残留し、製品
価値が低下することが懸念されるが、本発明方法では炉
内が高温のためZnのような低沸点金属は蒸発して排ガ
スとともに炉外へ排出される。したがって、これら低沸
点金属の製品還元鉄中への残留量を低下させ、製品品位
を高めることができるとともに、集塵設備で捕集される
ダストにはこれら低沸点金属が濃縮されるので、これを
回収し利用することが可能である。
【0034】2.(1)の工程:前の工程で得られた
混合物を団塊化することなく粉状のままで加熱された予
備還元炉内へ装入し、層状のベッドを形成する。すなわ
ち、炉床上に装入した混合物をほぼ均一な厚さの層とす
る。
【0035】後に示す図2〜図5は混合物を炉内へ装入
する場合の態様をそれぞれ示すが、図3が混合物を粉状
のままで装入する場合を例示している。
【0036】なお、「予備還元炉」の形式に特に制約は
ないが、前記の図1に示した回転炉床形式の炉(回転炉
床炉)が推奨される。
【0037】3.(1)の工程:上記(1)および
(1)の工程で還元剤と混合し、粉状のまま予備還元
炉内へ装入してベッド状にした原料混合物を還元する。
【0038】例えば、図2は回転炉床炉内に原料混合物
を装入した状態の一例を示す図であるが、この図に示し
たように、バーナー22によって炉内へ燃料と酸素含有
ガスを吹き込んで、その吹き込んだ燃料と、粉状固体還
元剤から発生する可燃性揮発成分および粉状鉄原料が還
元されて発生するCOガスを燃焼させ、炉内温度が11
00℃以上になるように維持して、混合物中の酸化鉄を
還元し、還元鉄を製造する。なお、図示した例では、炉
床の下側にレールが取り付けられており、固定された車
輪26を駆動させることによって、炉床は一定速度で回
転する。なお、炉内はシール水28によってシールされ
ている。
【0039】燃料としては、天然ガス、重油等の通常使
用されている燃料を用いるが、本発明方法では、後工程
の製錬炉(製錬用溶解還元炉)から可燃性のガスが排ガ
スとして排出されるので、これを使用してもよい。
【0040】酸素含有ガスとしては、空気または酸素濃
度が空気と同等あるいは空気組成よりも若干富に調整さ
れたガスを使用するのがよい。
【0041】高温還元を行うための炉内温度は、110
0℃以上とする。1100℃を下回る温度域でも還元は
進行するが、このような温度域では還元速度が遅くて工
業生産には好ましくない。酸化鉄の還元中は吸熱反応に
よって装入物ベッドの温度が炉内の温度よりも低くなる
から、十分に速い還元速度を得るためには炉内温度を1
200〜1400℃程度に維持することが望ましい。
【0042】ただ、この温度は還元の進行状況、使用す
る粉状の鉄原料および固体還元剤の性状や混合割合等に
より調整されるべき性質のものである。すなわち、原料
の炉内装入後間もない期間では、装入物の温度が低いの
で炉内温度を高めに保持して装入物の昇温を図るように
する方が還元の促進には有利である。
【0043】また、原料である鉱石中の脈石や石炭中の
灰分の組成によってはそれらの融点が変化するので、そ
れに応じて炉内温度を制御し、還元進行中に溶解して流
れ出さないように留意すべきである。ただし、装入物内
における適度な量の融液の生成は、伝熱、反応促進の両
面で良好な結果をもたらすので、積極的に活用すべきで
ある。
【0044】〔排出工程〕上記(1)の工程で得られた
還元鉄のベッドを予備還元炉から排出する。すなわち、
上記のように、炉内で酸化鉄の還元を進行させ、所定の
金属化率の還元鉄が得られた時点でそれを炉外へ排出す
る。
【0045】排出時の温度については、500℃以上と
するのが望ましい。この温度以上であれば、還元鉄が有
する熱を溶解に利用できることから製錬用溶解還元炉で
の還元鉄の溶解速度を向上させることができ、設備のコ
ンパクト化を図れるとともに、プロセス全体としてのエ
ネルギー効率を向上させ得るからである。しかし、排出
時におけるベッドの内部温度が1170℃以上であると
ベッド内に融液が存在する可能性があり、排出作業に支
障を来す恐れがあるので、炉外へ排出する前にベッドの
内部温度が1170℃を下回るように加熱を停止してお
くことが望ましい。なお、短時間でベッド内の温度を1
170℃より低くする方法としては、常温の還元ガスや
窒素などの不活性ガスをベッド表面に吹き付ける方法、
水冷板をベッド表面に接触させる方法等、さまざまな方
法が採用できる。
【0046】前記の図1に示したように、還元鉄は高温
状態で回転炉床炉20に設けられた排出口21から連続
的に排出され、次の製錬用還元溶解炉61による還元、
溶解工程へ送られる。
【0047】製錬用還元溶解炉61までの距離が遠い場
合には、窒素等の不活性ガスが封入された密閉式の容器
(図示せず)に容れて搬送されるが、通常は、製錬用還
元溶解炉61は予備還元炉である回転炉床炉20に隣接
して設置されるので、外気から遮断され、窒素などの不
活性ガスあるいは製錬用還元溶解炉の排ガス等の還元ガ
スが満たされた搬路内をバケットコンベア等によって製
錬用還元溶解炉に装入される。なお、還元鉄は、予備還
元が終了した時点でベッド状のまま焼結され板状となっ
ているので、軽く粗粉砕してから製錬用還元溶解炉に装
入すればよい。
【0048】〔還元・溶解工程および抽出工程〕上記
(2)の排出工程で排出された高温の還元鉄を(3)の
工程により製錬用溶解還元炉へ装入して還元と溶解を行
い、得られた溶銑と溶滓を(4)の工程により炉下部の
出銑口から抽出する。
【0049】図1に示したように、還元鉄の溶解に使用
する製錬炉として、本発明方法では炉内に溶融金属浴と
溶融スラグ浴とを有し、底部から撹拌用ガスを溶融金属
浴内へ吹き込んで溶融金属浴と溶融スラグ浴を撹拌し、
上部から例えば水冷ランス63により酸素を炉内へ導入
する製錬用溶解還元炉61を使用し、その炉上部から炭
材およびスラグ塩基度調整用のフラックスとともに前述
の還元鉄を高温状態で装入して溶銑を製造するのであ
る。
【0050】製錬用溶解還元炉内では、炉上部から炉内
へ導入する酸素により炭材を燃焼させ、さらに、還元鉄
中に含まれる未還元の酸化鉄が還元されて生成するCO
ガス、および炭材から発生する可燃性ガスの一部を燃焼
させて、発生する燃焼熱で、還元鉄、炭材中の灰分およ
びフラックスを溶解するとともに、前記炭材で還元鉄中
に含まれる未還元の酸化鉄を還元する。炭材から発生す
る可燃性ガスとは、CO、H2 ガス等である。なお、こ
のとき、酸化鉄の還元に必要な熱も供給され、また、溶
融した金属浴中への浸炭に必要な炭素も供給される。
【0051】前記の炭材としては、一般に、石炭が用い
られ、フラックスとしては、生石灰、ドロマイト等が用
いられる。
【0052】この製錬用溶解還元炉は高炉のような充填
層タイプの炉ではないので、コークスを使用せず、コー
クス用強粘結炭が不要であることに加え、多額の投資を
必要とし、環境面でも多くの制約があるコークス炉を必
要としないという大きな利点がある。
【0053】製錬用溶解還元炉から発生する排ダスト等
については、これを系内で使用してもよい。図1に示し
た例では、排ダストを製錬用溶解還元炉61の上部から
装入するとともに原料の一部として使用している。これ
により、原燃料の使用効率が向上するとともに、ダスト
等の系外への排出がなくなり、廃棄が不要になるので、
コストおよび環境保全の面で有利である。
【0054】〔ガス回収工程〕製錬用溶解還元炉から発
生する生成ガス(排ガス68)を、例えば、図1に示し
たサイクロン等の除塵機でダスト等を除去した後、回収
する。なお、回収したガスは、そのまま下工程へ送った
り、あるいは別途発電用に用いる。
【0055】このように、本発明方法によれば、予備還
元炉内で粉状の鉄原料の還元を速やかに進行させて還元
鉄を製造できるとともに、その還元鉄を高温状態で製錬
用溶解還元炉に装入して高熱効率で溶解し、良質の溶銑
を製造することができる。
【0056】次に、本発明方法の望ましい実施態様につ
いて説明する。
【0057】〔望ましい態様1〕高温還元時には炉内へ
酸素含有ガスが吹き込まれ続けているため、高温還元中
の還元鉄表面が再酸化され、得られる製品還元鉄の金属
化率が十分に向上しないことが懸念される。
【0058】このような高温還元中の還元鉄表面の再酸
化を防止するためには、炉床上に粉状の鉄原料と粉状の
固体還元剤の混合物のほぼ均一な厚さのベッドを形成さ
せた後に、ベッドの表面を粉状の固体還元剤で被覆する
方法を採用するのが有効である。
【0059】〔望ましい態様2〕炉床上にほぼ均一な厚
さの混合物のベッドを形成し、またはそのベッドの表面
を粉状固体還元剤で薄く被覆するだけでは、ベッド内に
空隙が多く、受熱面であるベッド表面からベッドの深部
(底部)への伝熱が遅れ、その結果、ベッドの深部にお
ける還元が遅れる場合がある。また、燃焼ガスによりベ
ッド表面の微粉が飛散し、燃焼排ガスとともに炉外へ持
ち出される。
【0060】この問題を解決するためには、図3に示す
ように、混合物30を装入口33から回転炉床を形成す
る台車44上に装入し、レベラ31を使用してほぼ均一
な厚さのベッド状にする際、または、図示していない
が、そのベッドの表面を粉状固体還元剤で薄く被覆する
際に、填圧ローラ32等を使用してベッドを填圧し、混
合物30の見掛け密度を上昇させることが極めて有効で
ある。すなわち、填圧によりベッド内の空隙が減少して
粒子同士が密着するので、微粒子の飛散が防止されると
ともに、ベッド内の伝熱が促進され、その結果、還元が
促進される。また、酸化鉄と固体還元剤との接触が良好
になることも還元促進に寄与する。
【0061】〔望ましい態様3〕炉床上に粉状の鉄原料
と粉状の固体還元剤の混合物のほぼ均一な厚さのベッド
を形成する代わりに、混合物を板状に成形して加熱され
た予備還元炉の炉床上に載置してもよい。
【0062】図4は混合物を板状成形物として炉内へ装
入する状態の一例を示す断面図であるが、混合物30を
炉内に設けたローラ40によって板状成形物42とし、
回転炉床を形成する台車44の進行に合わせて板状成形
物42を炉床上に連続的に供給する。なお、符号46は
炉床の輻射熱からローラ40等を保護するための遮熱板
であり、符号48は支持ローラである。
【0063】板状成形物は混合物をローラ等で成形する
だけで得られるので、処理時間はペレット化等、団塊化
する場合に比べて極めて短く、運転、保守も容易であ
る。また、ペレットは団塊化したままでは強度が不足す
るので乾燥して強度を増加させる必要があるが、この板
状成形物の場合は、図4に示したように、支持ローラ等
を介して炉床上に載置するようにすれば乾燥工程を経な
くても崩壊することはない。炉内の高温にさらされて多
少のクラックが入っても崩壊につながることはなく、還
元に支障を来すことはない。なお、板状成形物の幅は炉
床の規模等に応じて任意に選択することができる。厚さ
は一般的に10〜20mmとするのが望ましい。
【0064】〔望ましい態様4〕原料混合物のベッドを
形成する代わりに、混合物をタイル状に成形して加熱さ
れた予備還元炉の炉床上に載置してもよい。
【0065】図5は混合物をタイル状成形物として炉内
へ装入する状態の一例を示す断面図であるが、混合物3
0を炉外に設けたダブルロール圧縮機50によってタイ
ル状成形物51とし、台車44(回転炉床)の進行に合
わせてタイル状成形物51を炉床上に順に供給する。
【0066】このタイル状成形物は、板状成形物の場合
と同様、簡単な成形処理を施すことにより得られ、乾燥
処理も不要である。なお、厚さについても板状成形物の
場合と同様に10〜20mmとするのが望ましい。
【0067】〔望ましい態様5〕粉状の鉄原料と粉状固
体還元剤の混合物を板状またはタイル状に成形する方法
を用いる場合、あまり厚くしすぎると、成形物内の昇温
速度が低下して還元が遅れるので得策ではない。
【0068】この問題を解決するためには、図6に一例
として示すように、板状成形物またはタイル状成形物の
上面(炉床に接する面と反対側の面)に溝52を設けて
凹凸を付け、受熱面積を増大させる方法を用いるのが有
効である。
【0069】また、このように板状成形物またはタイル
状成形物の上面に凹凸を付けると、炉床単位面積当たり
の原料積載量が増加するので、生産性が向上するという
好結果も得られる。
【0070】〔望ましい態様6〕炉床上に粉状鉄原料と
粉状固体還元剤の混合物のベッドを形成させる場合だけ
ではなく、板状成形物やタイル状成形物、あるいはその
上面に凹凸を付けた場合においても、高温還元中に還元
鉄表面が再酸化されるおそれがある。
【0071】このような再酸化を防止するためには、板
状またはタイル状に成形する際、あるいは、さらにその
上面に凹凸を付けて成形する際に、成形物が炉床に接す
る面と反対側の表面を、バインダーを混合した粉状の固
体還元剤で被覆するように成形する方法が有効である。
【0072】〔望ましい態様7〕炉床上に形成された粉
状の混合物のベッド、板状成形物またはタイル状成形物
のベッド(板状またはタイル状成形物が炉床上に置かれ
た状態であるが、ここではこの状態も含めてベッドとい
う)に含まれる酸化鉄の還元時間を短縮するには、ベッ
ドの温度を還元適正温度まで速やかに昇温することが望
ましい。そのためには、ベッドの加熱に当たって、ベッ
ド内の固体還元剤から発生する可燃性揮発成分をベッド
の表面で燃焼させ、その燃焼熱をも利用して加熱するの
が有利である。即ち、石炭等の固体還元剤からは加熱に
より可燃性揮発成分がガス状態で発生するが、これを、
炉内の空間に拡散してから燃焼させるよりも、受熱面で
あるベッド表面で燃焼させる方がベッドの加熱には有利
である。このベッド表面での燃焼は、ベッド形成後に空
気等の酸素含有ガスをベッドの表面に吹き付けることに
よって実現できる。
【0073】なお、酸素含有ガスをベッド表面に吹き付
けると、還元された酸化鉄の再酸化が懸念されるが、こ
れを防止するためには、固体還元剤からの可燃性揮発成
分の発生期間に限って酸素含有ガスを吹き付けるのが有
効である。この期間は、ベッド表面が比較的多量の可燃
性揮発成分で覆われているので、吹き付けた酸素含有ガ
ス中の酸素は優先的に可燃性揮発成分の燃焼に消費さ
れ、その結果として再酸化が防止できるのである。
【0074】上述したベッドの表面へ直接的に供給する
酸素含有ガスも、先に述べたような、空気または酸素濃
度が空気と同等あるいは空気組成よりも若干富に調整さ
れたガスでよい。なお、ベッドの昇温速度を向上させる
ため、可燃性揮発成分の燃焼に必要な酸素量を確保した
上で酸素含有ガスと燃料を同時に使用しても差し支えは
ない。
【0075】固体還元剤からの揮発成分の発生が終了し
た後は、炉外から吹き込む燃料の燃焼によって、炉内温
度が1100℃以上になるように加熱する。望ましくは
1200〜1400℃以上になるように加熱すればよ
い。これにより炉内で酸化鉄の還元が速やかに進行し、
還元鉄が製造される。
【0076】〔望ましい態様8〕本発明方法を実施する
際、炉床上に載置された粉状の混合物のベッドや、板状
成形物またはタイル状成形物が炉床耐火物に固着してそ
の後の作業に支障を来すことがある。
【0077】この問題を解決するためには、還元炉の炉
床上に、まず粉状の固体還元剤を薄く敷き、その上に、
粉状の混合物のほぼ均一な厚さのベッドを形成させるか
または板状成形物もしくはタイル状成形物を載置する方
法の採用が有効である。混合物のベッドまたは載置され
た板状成形物もしくはタイル状成形物と炉床耐火物との
間に介在する粉状の還元剤によって、固着が効果的に防
止されるからである。
【0078】〔望ましい態様9〕回収された製錬用溶解
還元炉の生成ガス(排ガス68)は、そのまま下工程へ
送ったり、あるいは別途発電用に用いるが、図1に示し
たように、その少なくとも一部を回転炉床炉20の燃料
として用いてもよい。これによって、系内の熱の利用率
を一層高めることができる。
【0079】上述したように、本発明方法においては、
従来の還元鉄を製造する方法で採用している団塊化工程
を省略して、粉状の混合物を団塊化することなく使用す
るので、団塊化設備と団塊化物の乾燥設備が不要にな
り、設備費および運転費用の低減ならびに熱効率の向上
が可能で、還元鉄製造コストを低減させることができ
る。そして、得られた還元鉄を高温状態で製錬用溶解還
元炉に装入して高い熱効率で溶解し、良質の溶銑を製造
することができる。
【0080】
【実施例】表1に示す組成の粉状の鉄鉱石、表2に示す
粉状固体還元剤としての石炭(微粉炭)および表3に示
すバインダーとしてのベントナイトを準備した。表4に
鉄鉱石および石炭の粒度構成を示す。
【0081】これらの鉄鉱石と石炭にベントナイトを加
え、表5に示す配合割合の混合物とした。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】試験設備としては、前記の図1に示した工
程および各設備からなる小型の溶銑製造試験設備を使用
した。すなわち、予備還元炉として回転炉床炉20を、
製錬炉として製錬用溶解還元炉61を使用し、原料受け
入れホッパー10、混合機18、廃熱回収熱交換機など
から構成される設備である。
【0088】原料受け入れホッパー10へ受け入れられ
た粉鉱石12、還元剤14(微粉炭)、バインダー16
および必要に応じて製錬用溶解還元炉のダストを所定量
だけそれぞれのホッパーから切り出して混合機18へ装
入し、少量の水を添加して十分に混合した。その後、混
合物を回転炉床炉20へ装入してベッドを形成した。
【0089】回転炉床炉20への装入方法については、
図3に示した炉床上に粉状の混合物のベッドを形成させ
る方法と、図4に示した粉状の混合物をローラで板状に
成形して炉床上に載せる方法、および図6に示した粉状
の混合物を多数の溝が設けられた板状に成形して炉床上
に載せる方法について試験した。なお、図3に示した方
法の場合は、粉状の混合物をそのまま回転炉床炉へ装入
し、レベラでおよそ35mmの高さのベッド状にした
後、填圧ローラで高さ20mmになるまで填圧した。ま
た、図4に示した方法の場合は、板状成形物の厚さを1
5mmとし、図6に示した方法の場合は図中に示した寸
法とした。
【0090】上記の装入方法のいずれを採用した場合
も、炉床上に混合物を置いた後、約2分間は石炭中の可
燃性揮発成分(VM)の発生が続いたので、ベッド表面
にバーナを介して空気を吹き付け、ベッドの昇温を促進
した。可燃性揮発成分の発生が終了した後は、炉内空間
部の平均ガス温度を約1300℃とした。なお、空気
は、燃焼用空気も含め、回転炉床炉の排ガスと熱交換し
て600℃に予熱して使用した。また、還元鉄の金属化
率の目標値は92%とした。
【0091】回転炉床炉20で得られた還元鉄は、約1
150℃で炉外へ取り出し、軽く粗粉砕した後、製錬用
溶解還元炉61へ炉上部から装入した。製錬用溶解還元
炉61の炉上部からは石炭を石灰石とともに装入した。
なお、石灰石はスラグの塩基度が1.25になる量とし
た。
【0092】溶銑は炉下部に設けられた出銑口から溶滓
(スラグ)とともに排出した。
【0093】製錬用溶解還元炉61の排ガス68の一部
は回転炉床炉20で用いる燃料として使用し、残りは他
の設備の燃料用として回収した。
【0094】試験は、表6に示す8ケースについて実施
した。
【0095】ケース1は従来法によるところの原料混合
物をペレット化した場合の試験であり、このときの回転
炉床炉における還元時間は10分であった。
【0096】ケース2は原料混合物を粉状のままベッド
状に装入した場合で、団塊化(ペレット化)しなくて
も、還元時間を約18分とすれば金属化率92%の還元
鉄が得られることを確認した。この還元時間は、通常の
天然ガスを改質して得られた還元ガスを使用するシャフ
ト炉型直接還元方式の還元時間が約8〜10時間である
ことと比較すると、極めて短くてよいことを示してい
る。
【0097】ケース3は原料混合物を粉状のままベッド
状に装入し、ベッドを填圧して混合物の見掛け密度を上
昇させた場合である。これによって還元時間は15分と
短縮しており、填圧の効果が確認できた。
【0098】なお、このベッドを填圧することによる還
元鉄時間の短縮は、填圧により粉状の原料の粒子同士が
密着してベッド内の伝熱が促進され、ベッド内の昇温速
度が上昇した結果、還元速度が増大したためと考えられ
る。また、ダストロスの割合(装入した酸化鉄がダスト
として炉外に排出される割合)は0.2%であり、ケー
ス2で求められた0.5%と比較すると低下しているこ
とから、ローラによる填圧は原料の飛散の抑制にも効果
があることが確認できた。
【0099】ケース4は微粉炭でベッドの表面を薄く被
覆してから高温還元したもので、ケース2の場合と同じ
還元時間であったにもかかわらず金属化率は約0.8%
向上しており、微粉炭による被覆がベッド表面の再酸化
を防止する効果があることが確認された。
【0100】ケース5は原料混合物のベッドを填圧ロー
ラで填圧した後、約2分間だけベッド表面に空気を供給
し、石炭から発生する可燃性揮発成分(VM)をベッド
の表面で燃焼させた場合である。
【0101】この結果、還元時間は10分と、ケース3
での15分よりもさらに5分間も短縮され、ベッドから
発生する可燃性揮発成分をベッドの表面でも燃焼させな
がら加熱、昇温する方法の有利性を確認することができ
た。また、この結果は、ペレットを使用するケース1と
比較しても遜色のない結果であり、本発明方法が、団塊
化工程と乾燥工程を省略しても還元速度を低下させずに
十分にその効果を発揮していることが明白である。
【0102】ケース6は原料混合物を板状に成形した場
合であるが、粉状の混合物をベッド状にする場合に比べ
て見掛け密度が高くなることから、還元時間はケース2
の場合に比較して3分間短縮された。これは、ケース3
で述べたと同様の理由によるものである。
【0103】ケース7は炉床上に粉状固体還元剤を薄く
敷いた上へ板状成形物を載せて高温還元した場合で、他
のケースでは若干の還元鉄が炉床に固着するのが認めら
れたのに対して、還元鉄の固着は皆無であった。
【0104】ケース8は板状成形物の上面に前記の図6
に示した凹凸を付けた場合である。金属化率と還元時間
はケース7の場合とほぼ同じであったが、炉床単位面積
当たりの原料積載量が約1.9倍になったことから生産
性も約1.9倍に向上することが確認された。これは、
炉床単位面積当たりの原料積載量が約1.9倍になって
も、板状成形物の上面に形成させた凹凸によって受熱面
積が増加したことや、凸部は両側面から加熱されて昇温
速度が向上したことによるものと考えられる。
【0105】以上のケース1〜ケース8のいずれにおい
ても、約800℃の還元鉄を製錬用溶解還元炉へ装入し
て、炭素4.0重量%、硫黄0.05重量%を含む良質
の溶銑を製造することができた。
【0106】
【表6】
【0107】
【発明の効果】本発明方法によれば、粉状鉄原料の還元
を速やかに進行させて還元鉄とし、その還元鉄を高温状
態で製錬用溶解還元炉に装入して高い熱効率で溶解し、
良質の溶銑を製造することができる。
【0108】本発明方法では、還元鉄製造の際、粉状の
原料混合物をそのまま、または簡単な成形を施して使用
するので、従来必要とされていた団塊化設備と団塊化物
の乾燥設備が不要になり、設備費および運転費用を削減
して還元鉄製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の工程の概略と、使用する設備の一
例を示す図である。
【図2】回転炉床炉に原料混合物を装入した状態の一例
を示す断面図である。
【図3】回転炉床炉に粉状の原料混合物を装入し、層状
のベッドを形成した状態の一例を示す断面図である。
【図4】回転炉床炉に原料混合物を板状成形物として装
入した状態の一例を示す断面図である。
【図5】回転炉床炉に原料混合物をタイル状成形物とし
て装入した状態の一例を示す断面図である。
【図6】回転炉床炉に供給される板状成形物またはタイ
ル状成形物の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
10:原料受け入れホッパー 12:粉鉱石 14:還元剤 16:バインダー 18:混合機 20:回転炉床炉 21:排出口 22:バーナー 23:炉床 24:駆動装置 26:車輪 28:シール水 30:混合物 31:レベラ 32:填圧ローラ 33:装入口 40:ローラ 42:板状成形物 44:台車 46:遮熱板 48:支持ローラ 50:ダブルロール圧縮機 51:タイル状成形物 52:溝 61:製錬用溶解還元炉 63:ランス 68:排ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 義久 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)予備還元炉で下記からまでの工
    程で還元鉄を得る予備還元工程と、 粉状鉄原料と粉状固体還元剤を混合して混合物を得
    る工程、 前記混合物を、粉状のままで加熱された予備還元炉
    内へ装入して、その炉床上に層状のベッドを形成する工
    程、 予備還元炉内へ燃料と酸素含有ガスを吹き込み、そ
    の吹き込んだ燃料、粉状固体還元剤から発生する可燃性
    揮発成分および粉状鉄原料が還元されて発生するCOガ
    スを、炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスにより燃焼させ、
    炉内温度が1100℃以上になるように維持して、前記
    粉状鉄原料を還元する工程、(2)上記(1)の工程で
    得られた還元鉄を予備還元炉から排出する排出工程と、
    (3)製錬用溶解還元炉で下記およびの工程で溶銑
    と溶滓を得る還元・溶解工程と、 上記(2)の工程で排出した高温状態の還元鉄と炭
    材とフラックスを、炉内に溶融金属浴と溶融スラグ浴と
    を有し、底部から撹拌用ガスを溶融金属浴内へ吹き込ん
    で溶融金属浴と溶融スラグ浴を撹拌し、上部から酸素を
    炉内へ供給する製錬用溶解還元炉へその炉上部から装入
    する工程、 製錬用溶解還元炉の上部から酸素を供給し、その供
    給した酸素により前記炭材を燃焼させ、さらに前記還元
    鉄中に含まれる未還元の酸化鉄が還元されて生成するC
    Oガスおよび炭材から発生するCOガス、H2 ガス等の
    一部を燃焼させて、還元鉄、炭材中の灰分およびフラッ
    クスを溶解し、前記炭材で還元鉄中に含まれる未還元の
    酸化鉄を還元するとともに浸炭する工程、(4)上記
    (3)の工程で得られた溶銑と溶滓を製錬用溶解還元炉
    の炉下部出銑口から抽出する抽出工程と、(5)製錬用
    溶解還元炉の生成ガスを回収するガス回収工程、とを備
    えることを特徴とする粉状鉄原料からの溶銑製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の(1)の工程におい
    て、炉床上の混合物のベッドの表面を粉状固体還元剤で
    薄く被覆することを特徴とする請求項1に記載の溶銑製
    造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の(1)の工程におい
    て、炉床上に混合物のベッドを形成した後、またはその
    ベッドの表面を粉状固体還元剤で薄く被覆した後に、ベ
    ッドを填圧し、混合物の見掛け密度を上昇させることを
    特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の溶銑製
    造方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の(1)の工程におい
    て、混合物を板状に成形して加熱された予備還元炉の炉
    床上に載置することを特徴とする請求項1に記載の溶銑
    製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の(1)の工程におい
    て、混合物をタイル状に成形して加熱された予備還元炉
    の炉床上に載置することを特徴とする請求項1に記載の
    溶銑製造方法。
  6. 【請求項6】板状成形物またはタイル状成形物の炉床に
    接する面と反対側の表面に凹凸を付けることを特徴とす
    る請求項4または5のいずれかに記載の溶銑製造方法。
  7. 【請求項7】板状成形物またはタイル状成形物の炉床に
    接する面と反対側の表面がバインダーを混合した粉状の
    固体還元剤で被覆されるように成形することを特徴とす
    る請求項4から6までのいずれかに記載の溶銑製造方
    法。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の(1)の工程におい
    て、炉床上の混合物のベッド内の固体還元剤からの可燃
    性揮発成分の発生中にベッドの表面に酸素含有ガスを供
    給し、前記可燃性揮発成分をベッド表面で燃焼させてベ
    ッドの昇温を促進することを特徴とする請求項1から7
    までのいずれかに記載の溶銑製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1に記載の(1)の工程におい
    て、予備還元炉の炉床上に粉状の固体還元剤を薄く敷
    き、その上に混合物のベッドを形成することを特徴とす
    る請求項1から8までのいずれかに記載の溶銑製造方
    法。
  10. 【請求項10】請求項1に記載の(5)の工程で回収さ
    れる製錬用溶解還元炉の生成ガスの一部を予備還元用燃
    料として予備還元炉へ導入することを特徴とする請求項
    1から9までのいずれかに記載の溶銑製造方法。
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