JP6469358B2 - 樹脂組成物及びそれに用いる金属酸化物分散体 - Google Patents
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Description
また、近年では、塗膜の特性のさらなる向上を目的として、表面処理した金属酸化物を用いたり、塗膜形成樹脂成分であるシロキサン系縮合物、チタンアルコキシドの縮合物を用いたりしたものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)。
該樹脂組成物は、金属酸化物、有機金属化合物及び分散剤を含有する金属酸化物分散体と、シリコーン系ポリマーと、を混合して得られ、
前記有機金属化合物が、チタン及びジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属元素、及び、該金属元素と配位結合を形成しない複数種の有機官能基を有し、
前記複数種の有機官能基が、親水性基としてのアルコキシ基及び疎水性基である、樹脂組成物。
(2)前記疎水性基が、アシレート基及びリン酸エステル基から選択される少なくとも1種である前記(1)記載の樹脂組成物。
(3)前記金属酸化物が、1種又は2種以上の金属元素の酸化物を含む前記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記金属酸化物が、更に金属水酸化物及び/又は金属酸化物により表面処理されている前記(1)〜(3)の何れかに記載の樹脂組成物。
(5)前記金属酸化物が、少なくとも二酸化チタンを含む前記(1)〜(4)の何れかに記載の樹脂組成物。
(6)金属酸化物、有機金属化合物及び分散剤を含有する金属酸化物分散体であって、
前記有機金属化合物が、チタン及びジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属元素、及び、該金属元素と配位結合を形成しない複数種の有機官能基を有し、
前記複数種の有機官能基が、親水性基としてのアルコキシ基及び疎水性基である、金属酸化物分散体。
本発明に係る樹脂組成物は、金属酸化物、シリコーン系ポリマー、有機金属化合物及び分散剤を含有する。そして、その有機金属化合物は、チタン及びジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属元素を有するとともに、この金属元素と配位結合を形成しない複数種の有機官能基を有する。さらに、この複数種の有機官能基は、親水性基としてのアルコキシ基及び疎水性基である。また、樹脂組成物は、金属酸化物、有機金属化合物及び分散剤を含有する金属酸化物分散体と、シリコーン系ポリマーと、を混合して得られるものである。
本発明で用いる金属酸化物としては、特に限定はないが、着色用途に使用される金属酸化物が挙げられる。このような金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2、TiO、Ti2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化鉛(Pb3O4)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、酸化クロム(III)(Cr2O3)等のような1種の金属元素の酸化物、或いは、例えば、PbCrO4、ZnCrO4、BaCrO4、CoO・Al2O3等のような2種以上の金属元素の金属酸化物の複合体等が挙げられ、用途に応じて適宜選択可能である。このように、本発明で用いる金属酸化物は、1種又は2種以上の金属元素の酸化物を含むものを用いることができる。また、金属酸化物としては、上記のような各種の金属酸化物を1種(複合体の場合は複合体で1種とする。)のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
このうち、例えば、白色系の着色用途の場合は、可視光領域の反射率が高く、屈折率が高いため、二酸化チタン(TiO2)が好適である。
このように表面処理に用いる金属水酸化物及び/又は金属酸化物を構成する金属元素としては、特に限定はなく、核となる金属酸化物を構成する金属元素を考慮して適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズ、亜鉛などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。尚、このような金属元素の金属酸化物は、例えば、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、Sb2O3、酸化スズ(SnO、SnO2、SnO3)、ZnO2などが挙げられる。また、同じく金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化ケイ素、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、水酸化アンチモン、水酸化スズ、水酸化亜鉛などが挙げられる。
二酸化チタンとしては、結晶形がアナタース型、ルチル型のいずれのものでもよく、それらは必要に応じて混合して使用することもできる。初期の機械的特性、長期耐候性、屈折率、着色力、耐熱性の観点からは、ルチル型が好ましい。
本発明では、硫酸法、塩素法等の各種の方法で製造された二酸化チタンを使用可能であるが、不純物が少ないという点からは、塩素法で製造されたものが好ましい。
表面処理に用いる無機系の物質としては、前述の金属水酸化物又は金属酸化物を使用可能であるが、分散性及び耐候性の観点から、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン、並びに、これらの水酸化物及び酸化物から選択される少なくとも一種が好ましい。このうち、酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムが好ましく、酸化アルミニウム及び/若しくは水酸化アルミニウムと、二酸化ケイ素及び/若しくは水酸化ケイ素並びに/又は酸化ジルコニウム及び/若しくは水酸化ジルコニウムとを組み合わせたものがより好ましく、酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムと二酸化ケイ素及び/又は水酸化ケイ素とを組み合わせたものが更に好ましい。このとき、酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムを用いる場合(両者を用いる場合はその合計量)その含有量は、分散性の観点から、表面処理された金属酸化物全体に対して0.5〜10重量%が好ましい。下限としては、1.5重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらに好ましい。上限としては、7重量%以下がより好ましい。また、二酸化ケイ素及び/又は水酸化ケイ素を用いる場合(両者を用いる場合はその合計量)その含有量は、耐候性の観点から、表面処理された金属酸化物全体に対して0.5〜5重量%が好ましい。下限としては、1重量%以上がより好ましい。上限としては、3重量%以下がより好ましく、2.5重量%以下がさらに好ましい。また、酸化ジルコニウム及び/又は水酸化ジルコニウムを用いる場合(両者を用いる場合はその合計量)その含有量は、耐候性の観点から、表面処理された金属酸化物全体に対して0.5〜3重量%が好ましい。下限としては、1重量%以上がより好ましい。上限としては、2.5重量%以下がより好ましい。
本発明で使用する分散剤としては、金属酸化物を樹脂組成物中に分散させることが可能なものであれば特に限定はなく、例えば、高分子系分散剤を挙げることができる。このような高分子系分散剤としては、塩基性高分子系分散剤、酸性高分子系分散剤、中性高分子系分散剤等が挙げられる。また、高分子系分散剤を構成する高分子化合物の主骨格として、アクリル系、ポリリン酸エステル系、ポリエステル系(但し、ポリリン酸エステル系を除く。以下同じ。)、ポリエーテル系、ウレタン系、シリコーン系等の構造を有するものを使用することができる。このうち、相溶性の観点からは、主骨格としてポリリン酸エステル系又はポリエステル系の構造を有するものが好ましい。
EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);
ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);
アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);
ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);
フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)、
Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸価分散剤の具体例としては、例えば、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);
EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);
ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
アミン価分散剤の具体例としては、例えば、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);
EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);
アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);
Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられる。
アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHmg/gであるのがさらに好ましい。分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
本発明で使用するシリコーン系ポリマーとしては、塗膜を形成可能なものであれば特に限定はなく、例えば、樹脂を各種のシラン化合物で変性した変性シリコーンのレジン、シロキサン結合を主鎖に有し有機系の官能基を側鎖に有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンの分子構造は、直鎖状でも分岐鎖を有するものであってもよい。このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、平均組成式(1)R1SiO3/2(但し、R1は独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、(メタ)アクリル基、エステル基またはエーテル基を表す。)で示される単位を含む直鎖状シリコーンのレジンまたはオイル、平均組成式(1)で示される単位と平均組成式(2)R7SiO(但し、R7は独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、(メタ)アクリル基、エステル基またはエーテル基を表す。)で示される単位を含む直鎖状シリコーンのレジンまたはオイル等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のものが挙げられ、より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等、
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のものが挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
置換アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のものが挙げられ、より具体的には、アリールアルキル基、フルオロアルキル基、クロロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、(メタ)アクリロキシアルキル基およびメルカプトアルキル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のものが挙げられ、より具体的には、ビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、アリル基(2−プロペニル基)、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜20のものが挙げられ、より具体的には、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、1−ナフチル基等が挙げられる(加熱時ベンゼンを発生しにくい観点からは、無置換のフェニル基以外のものが好ましい。)。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜20のものが挙げられ、より具体的には、ベンジル基、フェネチル基等があげられる。
(メタ)アクリル基としては、例えば、炭素数4〜20の一般式が−R2−OCOCH=CH2、または、炭素数5〜20の一般式が−R2−OCOCH(CH3)=CH2で表されるものが挙げられる(式中、R2はアルキル基を表す)。
エステル基としては、例えば、炭素数2〜20の一般式が−OCOR3で表されるものが挙げられる(式中、R3は炭素数1〜20のアルキル基を表す)。
エーテル基としては、例えば、炭素数2〜20の一般式が−(R4O)a(R5O)bR6の構造を有するものが挙げられる(式中、R4およびR5は独立してアルキル基、R6は水素原子またはアルキル基を表す。a及びbは、1≦a+b≦20を満たす整数である。)。より具体的には、−C3H6OC2H4OH等が挙げられる。
KC−89、KC−89S、X−21−3153、X−21−5841、X−21−5842、X−21−5843、X−21−5844、X−21−5845、X−21−5846、X−21−5847、X−21−5848、X−22−160AS、X−22−170B、X−22−170BX、X−22−170D、X−22−170DX、X−22−176B、X−22−176D、X−22−176DX、X−22−176F、X−40−2308、X−40−2651、X−40−2655A、X−40−2671、X−40−2672、X−40−9220、X−40−9225、X−40−9226、X−40−9227、X−40−9246、X−40−9247、X−40−9250、X−40−9323、X−40−2460M、X−41−1053、X−41−1056、X−41−1805、X−41−1810、KF6001、KF6002、KF6003、KR212、KR213、KR217、KR220L、KR242A、KR271、KR282、KR300、KR311、KR400、KR251、KR255、KR401N、KR500、KR510、KR5206、KR5230、KR5235、KR9218、KR9706、KR165(信越化学工業株式会社)、
グラスレジン(昭和電工株式会社)、
SH804、SH805、SH806A、SH840、SR2400、SR2402、SR2405、SR2406、SR2410、SR2411、SR2416、SR2420(東レ・ダウコーニング株式会社)、
FZ3711、FZ3722(株式会社NUC)、
DMS−S12、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、DMS−S32、DMS−S33、DMS−S35、DMS−S38、DMS−S42、DMS−S45、DMS−S51、DMS−227、PSD−0332、PDS−1615、PDS−9931、XMS−5025(株式会社JNC)、
メチルシリケートMS51、メチルシリケートMS56(三菱化学株式会社)、
エチルシリケート28、エチルシリケート40、エチルシリケート48(コルコート株式会社)、
GR100、GR650、GR908、GR950(昭和電工株式会社)等の部分縮合物。
また、シリコーン系ポリマーの樹脂組成物中の含量は、用途に応じて適宜決定することができるが、例えばベゼル用途の場合は、成膜性と着色性の観点から、40〜60重量%が好ましい。
本発明で使用する有機金属化合物としては、チタン及びジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属元素を有するとともに、この金属元素と配位結合を形成しない複数種の有機官能基を有しており、この複数種の有機官能基が、親水基としてのアルコキシ基及び疎水基であるものが好適である。
(1)有機金属化合物の親水性基としてのアルコキシ基と、金属酸化物の表面に存在する−OH基(水酸基)との反応によりアルコールが遊離して、有機金属化合物が金属酸化物の表面に結合する。そして、金属酸化物表面に結合した有機金属化合物の疎水性基及び金属原子が分散剤とシリコーン系ポリマーとに作用し、金属酸化物、分散剤、シリコーン系ポリマーの分散を安定化させる。
(2)分散剤が−OH基(水酸基)を有する場合は、金属酸化物の表面に存在する−OH基(水酸基)と、分散剤の水酸基の一部と作用するとともに、分散剤に残存する水酸基と有機金属化合物のアルコキシ基との反応によりアルコールが遊離して、有機金属化合物が分散剤に結合する。そして分散剤に結合した有機金属化合物の疎水性基及び金属原子が分散剤とシリコーン系ポリマーとに作用し、金属酸化物、分散剤、シリコーン系ポリマーの分散を安定化させる。
このような親水性のアルコキシ基としては、上述したようなアルコールを遊離させる反応性の観点から、炭素数が1〜8のアルキルオキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アシレート基としては、一般式、−OCORで示したものであり、Rは、例えば、炭素数7〜17の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、置換基を有するフェニル基等が挙げられる。炭素数7〜17のアルキル基は、直鎖状でもよいし、分岐状でもよい。
リン酸エステル基としては、例えば、一般式、−P(OH)(OR)2で示されるものが挙げられる。ここで、Rとしては、例えば、炭素数8〜17のアルキル基等が挙げられる。
本発明では、前述の各成分を混合して均質な樹脂組成物を得る観点から、樹脂組成物は更に溶剤を含有していてもよい。本発明において使用可能な溶剤としては、特に限定はなく、例えば、芳香族系、ケトン系、エステル系、グリコールエーテル系、アルコール系、脂肪族系等の各種の有機溶剤が挙げられる。このうち、シリコーン系ポリマーとの相溶性の観点からは、芳香族系、ケトン系、エステル系、グリコールエーテル系から選択される有機溶剤が好ましい。
有機溶剤は、1種のみでもよいし、2種以上組み合わせたものでもよい。
エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート等の非水溶性のグリコールエーテル類等が挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物では、塗膜を形成する樹脂としてシリコーン系ポリマーを含有するが、これ以外の他の塗膜を形成する成分をさらに含有していてもよい。
このような塗膜形成成分としては、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂成分としては、熱可塑性ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレン・マレイン酸系樹脂等が挙げられる。また、重合性化合物としては、光硬化性化合物及び光重合開始剤等が挙げられる。
このうち、例えば、表示装置の画素を構成するカラーフィルターに用いる場合は、光硬化性化合物及び光重合開始剤が好ましい。このような光硬化性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として広く知られる化合物を、特に制限なく用いることができる。例えば、光重合性モノマー、光重合性プレポリマー即ち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を有する化合物が挙げられる。
前記光重合性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アリル(メタ)アクリルアミド等のアルキルアクリレート;
(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;
エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
ビニルアセテーテト、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;
スチレン、メチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類;
アルキルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類;
エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類;
マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド等の不飽和イミド;
N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えばアミン系化合物を用いることができる。具体的には、ジアミン系化合物、中でもベンゾフェノン系ジアミンが挙げられる。より具体的には4,4'ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが例示できる。
シリコーン系ポリマー以外の塗膜形成成分の含有量は、用途に応じて適宜決定することができる。例えばベゼル用やカラーフィルター用の場合は、シリコーン系ポリマー100重量部に対して0〜150重量部が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じ、分散助剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、増感剤(増感色素)、連鎖移動剤、フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、熱重合防止剤、充填剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、表面調整剤(レベリング剤)等の各種の添加剤を添加しても良い。
分散助剤の含有量は、金属酸化物100重量部に対して5〜15重量部が好ましい。
本発明に係る樹脂組成物は、金属酸化物、有機金属化合物及び分散剤を含有する金属酸化物分散体と、シリコーン系ポリマーと、を混合して得られる。このように、本発明では、先ず、金属酸化物、有機金属化合物及び分散剤を含有する金属酸化物分散体を調製する。その後、この金属酸化物分散体とシリコーン系ポリマーとを混合して樹脂組成物が得られる。
このように、金属酸化物分散体を予め調製した後に、シリコーン系ポリマーと混合することで、金属酸化物が良好に分散し、分散安定性の良好な樹脂組成物を容易に、短時間で得ることができ、コストの面でも有利である。したがって、本発明の金属酸化物分散体を用いることで、シリコーン系ポリマーを含有する樹脂組成物を容易に得ることができる。
本発明の金属酸化物分散体は、前述した金属酸化物、有機金属化合物及び分散剤を含有する。必要に応じて、前述した溶剤及びその他の成分を含有するものであってもよい。その他の成分としては、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。
金属酸化物の含量は、金属酸化物分散体全量に対して、30〜80重量%が好ましい。
有機金属化合物の含量は、金属酸化物分散体全量に対して、0.1〜10重量%が好ましい。
分散剤の含量は、金属酸化物分散体全量に対して、1〜10重量%が好ましい。
溶剤を使用する場合は、その含量は、金属酸化物分散体全量に対して、20〜70重量%が好ましい。
このような組成になるように、各成分をビーズミル、サンドミル、ディスパー等の公知の分散機に添加し、分散することで、本発明の金属酸化物分散体が得られる。各成分を混合する順番や分散機は適宜決定することができるが、分散効率、分散性の観点からは、金属酸化物、分散剤、溶剤をビーズミルで混合し分散させた後、これと有機金属化合物とを混合し、ディスパーで撹拌してさらに分散させるのが好ましい。
前記のようにして得られた金属酸化物分散体とシリコーン系ポリマーとを混合する。必要に応じて、前述した溶剤、シリコーン系ポリマー以外の塗膜形成成分及びその他の成分を添加してもよい。尚、このシリコーン系ポリマー以外の塗膜形成成分を添加する場合は、前述した分散助剤を更に添加してもよい。
前述した所望の成分組成になるように、金属酸化物分散体、シリコーン系ポリマー等をビーズミル、サンドミル、ディスパー等の公知の分散機に添加し、分散することで、本発明の樹脂組成物が得られる。
以上のようにして得られた樹脂組成物は、相溶性が良好で、凝集粒の発生が抑制されるとともに、経時粘度増加率を抑制することができ、分散安定性を向上できるため、着色した塗膜の形成用として好適である。例えば、多機能携帯端末のタッチパネルのベゼルとして特に好適である。このほか、画像表示装置のカラーフィルター、塗料、印刷インクの着色や、塗膜ではない樹脂成型品の着色等にも使用することができる。
ジルコニウムテトラブトキシド45.2g(0.1モル)を反応容器に仕込み、撹拌しながらオクチル酸28.8g(0.2モル)を滴下した。その後、30分間還流を行い、有機金属化合物であるオクチル酸ジルコニウム化合物(金属元素:Zr、親水性基:−OC4H9、疎水性基:−OCOC7H15を有する)46.6gを得た。
金属酸化物として二酸化チタン(石原産業社製、タイペーク(登録商標)CR−97、表面処理済み、二酸化チタン含有率93重量%、平均粒子径0.25μm、ルチル型)70重量部、分散剤(ルーブリゾール社製、ソルスパース36000。主骨格がポリリン酸ポリエステル系の高分子分散剤。)3.5重量部、溶剤としてメチルエチルケトン24.5重量部を混合し、ビーズミルで分散した。さらに、製造例1の有機金属化合物2重量部を添加し、ディスパーにて撹拌、分散し、金属酸化物分散体を得た。
得られた金属酸化物分散体40重量部にシリコーン系ポリマー(信越化学工業株式会社製、KR−251、メチル系直鎖状シリコーンレジン、固形分20重量%)150重量部を加え、ディスパーにて撹拌し、樹脂組成物を得た。
製造例1の有機金属化合物の添加量を0.5重量にした以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、味の素ファインテクノ株式会社製、プレンアクトKR−41B(金属元素:Ti、親水性基:−OCH(CH3)2、疎水性基:−P(OH)(OC8H17)2を有する)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、味の素ファインテクノ株式会社製、プレンアクトTTS(金属元素:Ti、親水性基:−OCH(CH3)2、疎水性基:−OCOC17H35を有する)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
有機金属化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスZA−65(ジルコニウムテトラノルマルブトキシド)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスZC−580(ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)。親水性基であるエチルアセトアセテート基中の酸素原子とジルコニウムとが配位結合する。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスZC−705(ジルコニウムテトラアセチルアセトネート。親水性基であるアセチルアセトアセトネート基中の酸素原子とジルコニウムとが配位結合する。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、DIC株式会社製、Zn−OCTOATE 22%(オクチル酸亜鉛、Zn(OCOC7H15)2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、堺化学株式会社製、SZ−P(ステアリン酸亜鉛、Zn(OCOC16H33)2)、を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、堺化学株式会社製、SA−1000(ステアリン酸アルミニウム、Al(OCOC16H33)3。但し、一部に水酸基が残存するものを含む。)、を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
製造例1の有機金属化合物に替えて、堺化学株式会社製、SZ−120H(ヒドロキシステアリン酸亜鉛、Zn(OCOC17H34OH)2)、を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物分散体を調製し、樹脂組成物を調製した。
実施例1〜4及び比較例1〜8で得られた樹脂組成物を用いて、以下の評価を行った。評価結果は表1に示す。
樹脂組成物を調製後1日静置した時の相分離(透明な上層が形成される)の有無を目視により確認した。評価基準は以下のとおりである。
○:相分離なし
×:相分離あり
スピンコートを用い、実施例及び比較例の樹脂組成物の塗膜をガラス板上に形成し、樹脂組成物中の凝集粒の有無を顕微鏡(株式会社キーエンス、形状測定レーザーマイクロスコープVK−X100、倍率200倍)により判断した。評価基準は以下のとおりである。
○:1mm2内に10μm以上の大きさの凝集粒が観察されない。
×:1mm2内に10μm以上の大きさの凝集粒が観察される。
樹脂組成物を調製した直後に、BM型粘度計2号ローターを使用して、25℃、60rpm、1分間の条件で粘度を測定した。
樹脂組成物を調製した直後から、室温で7日間経過した後に、「初期粘度」の場合と同様にして粘度を測定した。
下記の計算式にて算出した。
経時粘度増加率[%] = 経時粘度/初期粘度×100
評価基準は以下のとおりである。
経時粘度増加率が140%以下:増粘抑制効果が高い。
経時粘度増加率が140%超、180%以下:増粘抑制効果がある。
経時粘度増加率が180%超:増粘抑制効果がない。
実施例1で調製した金属酸化物分散体40重量部にシリコーン系ポリマー(信越化学工業株式会社製、KF−6001、両末端変性シリコーンオイル、固形分100重量%)30重量部を加え、ディスパーにて撹拌し、樹脂組成物Aを得た。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45gとプロピレングリコールモノメチルエーテル30gからなる混合溶剤に、感光性化合物として重合開始剤である4,4’ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(和光純薬工業製)1.5gおよび光重合性モノマーであるNKエステルA−DPH(新中村化学工業社製)10g、分散助剤である樹脂としてリポキシSPC−2000(昭和高分子社製)32gを溶解し、これに樹脂組成物A60gを添加して振とうし、感光性の樹脂組成物Bを得た。
前述と同様にして、相溶性、凝集粒、経時粘度増加率を算出したところ、相溶性は○、凝集粒は○、初期粘度が5.6[mPa・s]、経時粘度が6.1[mPa・s]で、経時粘度増加率が109[%]であった。
Claims (5)
- 金属酸化物、塗膜形成可能なシリコーン系ポリマー、有機金属化合物及び高分子系分散剤を含有する着色塗膜形成用樹脂組成物であって、
該着色塗膜形成用樹脂組成物は、金属酸化物、有機金属化合物及び高分子系分散剤(但し、シリコーンマクロモノマーとビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを重合させて得られた末端に二重結合を有する分散剤、及び、シリコーンマクロモノマー、極性基を有しないビニル系単量体、及び、α−メチルスチレンダイマーを重合して得られる反応性分散剤を除く。)を含有する金属酸化物分散体と、塗膜形成可能なシリコーン系ポリマーと、の混合物であり、
前記有機金属化合物が、チタン及びジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属元素、及び、該金属元素と配位結合を形成しない複数種の有機官能基を有し、
前記複数種の有機官能基が、親水性基としてのアルコキシ基及び疎水性基である、着色塗膜形成用樹脂組成物。 - 前記疎水性基が、アシレート基及びリン酸エステル基から選択される少なくとも1種である請求項1記載の着色塗膜形成用樹脂組成物。
- 前記金属酸化物が、1種又は2種以上の金属元素の酸化物を含む請求項1又は2に記載の着色塗膜形成用樹脂組成物。
- 前記金属酸化物が、更に金属水酸化物及び/又は金属酸化物により表面処理されている請求項1〜3の何れかに記載の着色塗膜形成用樹脂組成物。
- 前記金属酸化物が、少なくとも二酸化チタンを含む請求項1〜4の何れかに記載の着色塗膜形成用樹脂組成物。
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