JP6462882B2 - センサ基板およびセンサ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、センサ基板およびセンサ装置に関するものである。
排気ガス用センサ等に用いられるセンサ基板として、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック焼結体からなる絶縁基板と、絶縁基板の表面に設けられた検知電極とを含むセンサ基板が用いられている。例えば排気ガス中に含有される被検知物の検知電極への付着に伴う検知電極の抵抗値や電流値の変化が検知され、この抵抗値や電流値の変化によって排気ガス等における被検知物の含有量が算出され、検知される。
絶縁基板の内部には、検知電極に付着した被検知物を分解させるために、ヒータを含む配線が設けられている。
特開昭55−30690号公報 特開昭59−197847号公報
しかしながら、上述のセンサ基板の場合、次のような不具合を生じる可能性があった。すなわち、検知電極に付着した被検知物を分解させるためには、ヒータを良好に発熱させる必要がある。例えば電気抵抗率の高いヒータを用いて被検知物を分解させるためには、ヒータを含む抵抗配線に印加する電圧を高くしてヒータを発熱させる必要があるが、内燃機関等の排気ガス用センサでは用いられる電圧に制限があるため、電気抵抗率の高いヒータでは発熱が充分ではなく、被検知物を良好に分解できず、検知の精度が低下する場合があった。
本発明の一つの態様のセンサ基板は、絶縁基板と、該絶縁基板の主面に設けられた検知電極と、前記絶縁基板の内部に設けられ、発熱電極を含む抵抗配線とを有しており、該抵抗配線は、前記発熱電極に接続され、配線および他の配線が並列に接続された多層配線部を有しており、前記配線または前記他の配線は、前記発熱電極に接続された端部から他の端部にかけて幅が漸次狭くなっている、または、絶縁基板と、該絶縁基板の主面に設けられた検知電極と、前記絶縁基板の内部に設けられ、発熱電極を含む抵抗配線とを有しており、該抵抗配線は、前記発熱電極に接続され、配線および他の配線が並列に接続された多層配線部を有しており、前記配線および前記他の配線は、前記絶縁基板の厚み方向において隣接しており、平面透視で互いに重ならないように配置されている
本発明の一つの態様のセンサ装置は、上記構成のセンサ基板と、前記発熱電極に電位を供給する電源部とを有している。
本発明の一つの態様によるセンサ基板は、絶縁基板と、絶縁基板の主面に設けられた検知電極と、絶縁基板の内部に設けられ、発熱電極を含む抵抗配線とを有しており、抵抗配線は、発熱電極に接続され、配線および他の配線が並列に接続された多層配線部を有しており、配線または他の配線は、発熱電極に接続された端部から他の端部にかけて幅が漸次狭くなっている、または、絶縁基板と、絶縁基板の主面に設けられた検知電極と、絶縁基板の内部に設けられ、発熱電極を含む抵抗配線とを有しており、抵抗配線は、発熱電極に接続され、配線および他の配線が並列に接続された多層配線部を有しており、配線および他の配線は、絶縁基板の厚み方向において隣接しており、平面透視で互いに重ならないように配置されていることから、抵抗配線が有している多層配線部により抵抗配線の電気抵抗率が抑制された部分を有するものとなり、抵抗配線に印可する電圧を増大させることなく発熱電極を発熱させることができ、検知電極に付着した被検知物を分解できるものとなり、検知の精度が向上されたものとすることが可能となる。
本発明の一つの態様によるセンサ装置は、上記構成のセンサ基板を有していることから、検知の精度が向上されたものとすることが可能となる。
(a)は本発明の実施形態のセンサ基板およびセンサ装置を示す上面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 図1に示すセンサ基板およびセンサ装置の変形例を示す内部上面透視図である。 (a)は図1に示すセンサ基板およびセンサ装置の他の変形例を示す内部上面透視図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 (a)は図1に示すセンサ基板およびセンサ装置の他の変形例を示す内部上面透視図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 (a)は図1に示すセンサ基板およびセンサ装置の他の変形例を示す上面図であり、(b)は図1に示すセンサ基板およびセンサ装置の他の変形例を示す断面図である。
本発明の実施形態のセンサ基板およびセンサ装置を添付の図面を参照して説明する。以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際にセンサ基板等が使用される際の上下を限定するものではない。
センサ基板1は、絶縁基板2と、絶縁基板2の主面(図1の例では上面)に設けられた検知電極3と、絶縁基板2の内部に設けられ、発熱電極4を含む抵抗配線5とを有している。なお、検知電極3は、導電路である配線導体により外部接続される。
絶縁基板2は、例えば四角板状等の平板状であり、検知電極3および発熱電極4を含む抵抗配線5を電気的に絶縁して設けるための基体部分である。絶縁基板2は、例えば酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミック焼結体、ジルコニア系セラミック(酸化ジルコニウム質焼結体)等のセラミック焼結体によって形成されている。絶縁基板2は、このようなセラミック焼結体からなる複数の絶縁層(符号なし)が積層されて形成されていてもよい。
絶縁基板2は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる複数の絶縁層が積層されて形成されている場合であれば、以下の方法で製作することができる。まず、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダおよび溶剤等を添加混合して泥漿状とし、これをドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状に成形してセラミックグリーンシートを得て、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこれを必要に応じて複数枚積層し、高温(約1400〜1600℃)で焼成することによって製作される。
検知電極3は、センサ基板1が配置される環境におけるすす等の微粒子の含有量を測定するための部分である。すす等の微粒子が検知電極3に付着したときに検知電極3の電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化を検知することによって、検知電極3が存在している環境中の微粒子の質量が算出され、検知される。この微粒子の質量、および検知電極3が存在している環境におけるガスの流量(体積)とにより、そのガス中の微粒子の含有率が算出され、検知される。
そのため、検知電極3は、このような電気抵抗の変化が生じるような金属材料を含有している。また、この金属材料は、微粒子の分解反応に対して触媒不活性(以下、単に触媒不活性という)な卑金属系材料を主成分として含有している。微粒子は、例えばすす(カーボンの微粒子)である。また、この金属材料の主成分である卑金属系材料は、その不動態膜を検知電極3の表面(外部に露出した表面)に形成できるものである。このような卑金属系材料としては、例えば鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロムおよびケイ素等を含む材料が挙げられる。
検知電極3の金属材料は、例えば検知電極3に約80質量%以上含有され、検知電極3の主成分となっている。検知電極3は、この金属材料以外に、ガラスまたはセラミック等の無機成分が含有されていてもよい。これらの無機成分は、例えば後述するように絶縁基板2との同時焼成で検知電極3を形成するときの、焼成収縮の調整用等の成分である。
センサ基板1が配置される環境とは、例えば自動車の排気ガスの排気通路である。センサ基板1で検知される微粒子の量が多くなれば、排気通路を流れる微粒子の含有量が大きくなったことが検知される。これにより、例えば排気ガスからすす等の微粒子を除去するDPF(デーゼルパーティキュレートフィルター)の故障が検知できる。
検知電極3は、微粒子の付着による抵抗値の変化を効果的に検知するためには、例えばくし歯状のパターン、または細長い長方形状(帯状)のパターンを含む線状のパターン等の、長さを長くすることが容易なパターンで形成されていることが好ましい。図1では、検知電極3が細長い長方形状のパターンである例を示している。
配線導体は、絶縁基板2の上面または内部に形成されており、例えば、絶縁基板2の上面の検知電極3と後述する上面の接続パッド7とを電気的に接続するための導電路である。配線導体は、例えば絶縁基板2の上面の検知電極3から、絶縁基板2のうち検知電極3が設けられている主面にかけて設けられている。これにより、検知電極3が絶縁基板2の上面等の外表面に電気的に導出されている。なお、接続パッド7を絶縁基板2の下面に設け、配線導体が絶縁基板2のうち検知電極3が設けられている主面と反対側の他の主面(図1の例では下面)にかけて設けられているようにしてもよく、この場合、配線導体は、絶縁基板2の厚み方向の少なくとも一部を貫通する貫通導体を含んでいてもよい。また、配線導体は、絶縁層の層間に設けられた回路パターン状等を含んでいてもよい。
実施形態のセンサ基板1において、絶縁基板2の上面に外部接続用の接続パッド7が設けられている。接続パッド7は、配線導体のうち絶縁基板2の上面に電気的に導出された部分と直接に接続されている。これによって、絶縁基板2の上面の検知電極3から絶縁基板2の上面の接続パッド7にかけて配線導体が形成されている。この配線導体は、検知電極3と外部電気回路(図示せず)とを電気的に接続させるためのものである。接続パッド7が、はんだまたは導電性接着剤等の導電性の接合材によって外部電気回路の所定部位に接合されれば、検知電極3と外部電気回路とが、配線導体および接続パッド7を介して互いに電気的に接続される。なお、後述しているように、接続パッド7は絶縁基板2の下面にも設けられ、発熱電極4を含む抵抗配線5が、接続パッド7を介して外部電気回路に電気的に接続されている。なお、絶縁基板2の主面(上面)に、検知電極3および接続パッド7が露出するように、絶縁基板2と同様の材料からなる絶縁層2aが設けられていてもよい。
実施形態のセンサ基板1は、検知電極3の表面部が白金を含んでいないため、例えばすすの酸化等の、被検知物の化学反応に対する触媒作用が、白金が含まれている場合に比べて効果的に低減されている。そのため、検知電極に付着した被検知物の酸化等が生じにくい。したがって、検知の精度が高いセンサ基板1を提供することができる。
また、検知電極3の表面部が不動態膜を含んでいる。そのため、検知電極3全体が酸化する可能性が低減されている。したがって、検知の精度および長期信頼性が高いセンサ基板1を提供することができる。
検知電極3に含有されている金属材料は、上記のように、不動態膜の形成が容易な鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロムおよびケイ素の少なくとも一種を含む卑金属系材料を主成分としている。これらの卑金属系材料は触媒不活性であり、微粒子の分解等に対して触媒作用を有していない。検知電極3を形成している金属材料は、例えばこのような卑金属系材料の少なくとも一種を約80質量%以上の割合で含有している。
検知電極3を形成している金属材料の主成分が上記卑金属系材料であるときに、金属材料が他の金属成分を含有していても構わない。また、この他の金属材料は、必ずしも不動態膜を形成しやすい金属材料である必要はなく、他の金属材料(例えばタングステン等)であってもよい。
検知電極3は、例えば次のようにして形成されている。すなわち、上記の卑金属系材料の粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して金属ペーストを作製して、この金属ペーストを、絶縁基板2となるセラミックグリーンシートの主面等に所定パターンで塗布する。金属ペーストの塗布は、例えばスクリーン印刷法によって行なう。その後、これらの金属ペーストとセラミックグリーンシートとを同時焼成する。以上の工程によって検知電極3を有する絶縁基板2を作製することができる。
不動態膜の厚みは、例えば0.1〜5μm程度に設定される。この程度の厚みであれば、検知電極3の表面部が効果的に不動態膜で覆われ、その全体または大部分が酸化するような可能性が効果的に低減される。
検知電極3の表面部は、面積の割合で、その90%程度が不動態膜を含んでいることが好ましい。言い換えれば、検知電極3の露出表面のうち90%以上が不動態膜で覆われていることが好ましい。これにより、検知電極3全体に酸化が進行する可能性が効果的に低減される。
また、検知電極3の表面部は、その全体が不動態膜を含んでいることがより好ましい。言い換えれば、検知電極3の露出表面の全域が不動態膜で覆われていることがより好ましい。これにより、検知電極3全体に酸化が進行する可能性がより効果的に低減される。
なお、不動態膜が厚過ぎれば、検知電極3の表面部の初期の抵抗(微粒子を含む環境中にセットされる前の抵抗)が大きくなり、微粒子の付着による検知電極3の抵抗値の変化が検知されにくくなる。
検知電極3の表面部に不動態膜を形成するには、例えば上記の焼成を、微量の酸素および水分を含有する雰囲気で行なえばよい。焼成時に、卑金属系材料を含む金属材料の露出表面に不動態膜が生じる。また、上記金属材料で検知電極3を形成した後、微量の酸素および水分を含む環境中で検知電極3を含むセンサ基板1を熱処理するようにしてもよい。この熱処理によって、金属材料の露出した表面部分が酸化し、不動態膜が生じる。
不動態膜は、例えば検知電極3が主成分として鉄−ニッケル−クロム合金を含有する物である場合には、酸化鉄、酸化クロムおよび酸化クロムのうち少なくとも一種を含む酸化物層である。このように表面部に不動態膜が存在することによって、検知電極3の不動態膜よりも内部に存在している鉄−ニッケル−クロム合金まで酸化が進行することが抑制される。
不動態膜を形成する金属材料は、鉄−ニッケル−クロム合金を主成分として含むものであることが好ましい。すなわち、卑金属系材料が鉄−ニッケル−クロム合金であることが好ましい。これは、次のような理由による。すなわち、このような卑金属系材料を含む不動態膜は、鉄、ニッケルおよびクロムを含む金属材料の酸化によって形成される。そのためには、検知電極3に含有される金属材料が、鉄、ニッケルおよびクロムを含むものとされる。これらの金属材料は、例えば上記のように金属ペーストとして絶縁基板2(セラミックグリーンシート)との同時焼成によって検知電極3を形成することが容易である。また、不動態膜の形成が容易であり、検知電極3の内部への酸化の進行もより効果的に抑制される。また、これらの卑金属は触媒作用を有していない、触媒不活性な金属である。
したがって、不動態膜の形成の容易さ、つまりセンサ基板1としての測定の精度、信頼性および生産性等を考慮すれば、検知電極3を形成する金属材料は、鉄−ニッケル−クロムを主成分とする合金材料であることが好ましい。
主成分の卑金属系材料として鉄−ニッケル−クロム合金を含有する金属材料の具体的な組成としては、例えば、鉄(Fe)1〜55質量%、ニッケル(Ni)20〜80質量%、クロム(Cr)10〜25質量%、チタン(Ti)0.1〜5質量%およびアルミニウム(Ai)0.1〜5質量であるものが挙げられる。
また、不動態膜を形成する金属材料の主成分である卑金属系材料は、鉄およびクロムを含むものであってもよい。この場合にも、このような卑金属系材料を含む不動態膜は、鉄およびクロムを含む金属材料の酸化によって形成され、検知電極3に含有される金属材料が、鉄およびクロムを含むものとされる。この金属材料についても、金属ペーストとして絶縁基板2との同時焼成によって検知電極3を形成することが容易である。また、不動態膜の形成が容易であり、検知電極3の内部への酸化の進行もより効果的に抑制される。また、これらの卑金属は触媒作用を有していない、触媒不活性な金属である。
したがって、不動態膜の形成の容易さ、つまりセンサ基板1としての測定の精度、信頼性および生産性等を考慮したときに、検知電極3を形成する金属材料は、鉄−クロムを主成分とする合金材料であってもよい。なお、鉄−クロム合金は、前述した鉄−ニッケル−クロム合金からニッケル成分が抜けたものとみなすこともできる。鉄−クロム合金は、鉄−ニッケル−クロム合金に比べて不動態化がより容易であるため、検知電極3の表面部分に不動態膜を形成することがより容易である。
なお、不動態膜は、検知電極3の外気等の環境中に露出した表面部に設けられていればよい。検知電極3のうち絶縁基板2と接する表面部には、必ずしも不動態膜が設けられている必要はない。
また、検知電極3のうち配線導体と接する表面部に不動態膜が設けられていない場合には、検知電極3と配線導体との間の接触抵抗を小さく抑えることが容易である。この場合には、センサ基板1としての電気特性を高める上で有利な構成の配線導体とすることができる。
不動態膜は、例えば、検知電極3が設けられた部分でセンサ基板1を縦断面視可能なように切断し、検知電極3の表面部を電子線マイクロアナライザ(EPMA)分析またはX線回折分析等の方法で分析することによって検出することができる。また、この方法で、不動態膜の厚みを測定することもできる。
配線導体は、例えば検知電極3と同様の金属材料からなるものであり、その表面部に不動態膜(図示せず)を有するものであってもよい。また、配線導体は、白金または金等の酸化しにくい金属からなるものであってもよい。
また、接続パッド7についても、例えば検知電極3と同様の金属材料を用い、同様の方法で作製することができる。ただし、センサ基板1のうち検知電極3およびその周辺(例えば絶縁基板2の上面)のみが、微粒子等が含有されるガスの流路内に露出して用いられる場合であれば、接続パッド7は、上記のような不動態膜を形成しやすい金属材料を含むものでなくても構わない。すなわち、このような場合には、接続パッド7について、高温のガス等によって酸化する可能性が小さいため、必ずしも検知電極3のような耐酸化性を有するものである必要はない。
また、配線導体および接続パッド7は、被検知物であるすす等の微粒子を検知するものではないため、触媒作用を有する金属材料からなるものであってもよく、それ以外の金属材料からなるものであっても、いずれでも構わない。すなわち、配線導体および接続パッド7は、例えばタングステン、マンガン、コバルト、銅または金、もしくはこれらの金属材料を含む合金(例えばニッケル−コバルト合金等)であってもよい。配線導体および接続パッド7について、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる絶縁基板2との同時焼成による形成の容易さ、絶縁基板2の対する接合の強度、および電気抵抗等の特性を考慮すれば、タングステンを主成分として含有するものが用いられてもよい。
また、接続パッド7の露出表面に、ニッケルおよび金等のめっき層が被着されていてもよい。めっき層の被着によって、例えば接続パッド7の酸化、腐食の抑制、および接続パッド7と外部電気回路とを接続するはんだの濡れ性等の特性の向上が可能であり、センサ基板1としての信頼性等が向上する。
また、検知電極3は、ケイ化モリブデン(例えばMoSi)を主成分とする金属材料からなるものであってもよい。この場合、ケイ化モリブデンが上記卑金属系材料である。また、検知電極3は、鉄−ニッケル−クロム合金とケイ化モリブデンとを主成分として含有するものであってもよい。
この場合には、例えば前述したガラス成分が検知電極3に含まれているときに、鉄−ニッケル−クロム粒子およびケイ化モリブデンの粒子の間にガラス成分が入りにくくなる。そのため、この粒子間へのガラス成分の浸入による過焼結が発生しにくくなる。これにより、検知電極3の耐酸化性がさらに向上する。
検知電極3がケイ化モリブデンを含有する場合の含有量は、例えば約90〜100質量%に設定される。これによって、上記の効果をより確実に得ることができる。
発熱電極4は、抵抗配線5に含まれており、絶縁基板2の内部の、検知電極3に対応する位置、例えば平面透視で検知電極3に重なる位置に設けられている。この発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印可して発熱電極4を発熱させ、検知電極3に付着したすす等の微粒子を分解することができる。
また、発熱電極4は、抵抗配線5において検知電極3に最も近接した位置に設けられていると、発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印可して発熱電極4を発熱させた場合に、効果的に伝熱され、検知電極3に付着したすす等の微粒子をより良好に分解することができる。
発熱電極4の幅は、後述する多層配線部8における配線8aの幅および他の配線8bの幅よりも小さくなっている。このような構成とすることによって、発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印可し、効率よく発熱電極4を発熱させることができ、好ましい。
発熱電極4は、例えば検知電極3と同様の金属材料からなるものであり、特に効率よく発熱させるために、電気抵抗率が高い鉄,チタン,クロムおよびケイ素等を含む材料が挙げられる。また、発熱電極4は、白金または鉄−ニッケル−クロム合金等の酸化しにくい金属を主成分として含むものであってもよい。
発熱電極4の金属材料は、例えば発熱電極4に約80質量%以上含有され、発熱電極4の主成分となっている。発熱電極4は、この金属材料以外に、ガラスまたはセラミック等の無機成分が含有されていてもよい。これらの無機成分は、例えば絶縁基板2との同時焼成で発熱電極4を形成するときの、焼成収縮の調整用等の成分である。
発熱電極4の金属材料として鉄−ニッケル−クロム合金を含有する場合には、検知電極3と同様に、例えば、鉄(Fe)1〜55質量%、ニッケル(Ni)20〜80質量%、クロム(Cr)10〜25質量%、チタン(Ti)0.1〜5質量%およびアルミニウム(Ai)0.1〜5質量であるものが挙げられる。
発熱電極4は、例えば検知電極3と同様に形成されている。すなわち、上記の発熱電極4用の金属材料の粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して金属ペーストを作製して、この金属ペーストを、絶縁基板2となるセラミックグリーンシートの主面等に所定パターンで塗布する。金属ペーストの塗布は、例えばスクリーン印刷法によって行なう。その後、必要に応じてセラミックグリーンシートを複数枚積層し、これらの金属ペーストとセラミックグリーンシートとを同時焼成する。以上の工程によって発熱電極4を有する絶縁基板2を作製することができる。
抵抗配線5は、絶縁基板2の内部に設けられており、発熱電極4に接続され、配線8aおよび他の配線8bが並列に接続された多層配線部8を有している。このような構成とすることによって、抵抗配線5が有している多層配線部8により抵抗配線5の電気抵抗率が抑制された部分を有するものとなり、発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印加する場合に、抵抗配線5に印可する電圧を増大させることなく発熱電極4を発熱させることができ、検知電極3に付着したすす等の微粒子を分解できるものとなり、検知の精度が向上されたものとすることが可能となる。なお、抵抗配線5は、絶縁基板2の他の主面(下面)に露出しても構わない。
多層配線部8は、絶縁基板2の厚み方向の少なくとも一部を貫通する貫通導体を含んでいてもよい。この場合、配線8aおよび他の配線8bが貫通導体を介して並列に接続されるものとなる。
また、実施形態のセンサ基板1において、絶縁基板2の下面に外部接続用の接続パッド7が設けられている。接続パッド7は、多層配線部8のうち絶縁基板2の下面に電気的に導出された部分と直接に接続されている。これによって、絶縁基板2の内部(発熱電極4)から絶縁基板2の下面の接続パッド7にかけて抵抗配線5が形成されている。接続パッド7が、はんだまたは導電性接着剤等の導電性の接合材によって外部電気回路の所定部位に接合されて、発熱電極4と外部電気回路とが互いに電気的に接続される。
多層配線部8は、例えば発熱電極4と同様の金属材料からなるものであり、特に鉄,チタン,クロムおよびケイ素等を含む材料が挙げられる。また、多層配線部8は、白金または鉄−ニッケル−クロム合金等の酸化しにくい金属を主成分として含むものであってもよい。
多層配線部8の金属材料は、例えば多層配線部8に約80質量%以上含有され、多層配線部8の主成分となっている。多層配線部8は、この金属材料以外に、ガラスまたはセラミック等の無機成分が含有されていてもよい。これらの無機成分は、例えば絶縁基板2との同時焼成で多層配線部8を形成するときの、焼成収縮の調整用等の成分である。
多層配線部8の金属材料として鉄−ニッケル−クロム合金を含有する場合には、発熱電極4と同様に、例えば、鉄(Fe)1〜55質量%、ニッケル(Ni)20〜80質量%、クロム(Cr)10〜25質量%、チタン(Ti)0.1〜5質量%およびアルミニウム(Ai)0.1〜5質量であるものが挙げられる。
多層配線部8は、例えば発熱電極4と同様に形成されている。すなわち、上記の多層配線部8用の金属材料の粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して金属ペーストを作製して、この金属ペーストを、絶縁基板2となるセラミックグリーンシートの主面等に配線8aおよび他の配線8bとなるように所定パターンで塗布する。金属ペーストの塗布は、例えばスクリーン印刷法によって行なう。その後、必要に応じてセラミックグリーンシートを複数枚積層し、これらの金属ペーストとセラミックグリーンシートとを同時焼成する。以上の工程によって多層配線部8を有する絶縁基板2を作製することができる。
なお、多層配線部8は、配線8aおよび他の配線8bが絶縁基板2の厚み方向に絶縁層を介して多層に設けられている。このような構成とすることによって、並列接続されている配線8aおよび他の配線8bが、絶縁基板2の平面方向に大きく設けられる構成とならず、外形が大きくなるのを抑制したセンサ基板1とすることができる。
配線8aまたは他の配線8bは、発熱電極4に接続された端部から他の端部にかけて幅が漸次狭くなっている。このような構成とすることによって、配線8aまたは他の配線8bの熱抵抗を大きくすることができ、発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印可して発熱電極4を発熱させた場合に、熱損失を抑制することができる。なお、配線8aまたは他の配線8bにおける他の端部の幅W1が、発熱電極4の幅W2よりも大きいと、発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印可して発熱電極4を発熱させた場合に、熱損失を効果的に抑制することができる。図2に示される例では、配線8aにおいて、発熱電極4に接続された端部から他の端部にかけて幅が漸次狭くなっており、配線8aにおける他の端部の幅W1が、発熱電極4の幅W2よりも大きくなっている。
図3および図4に示されるように、配線8aおよび他の配線8bは、絶縁基板2の厚み方向において隣接しており、平面透視で互いに重ならないように配置されている。このような構成とすることによって、配線8aおよび他の配線8bを含む多層配線部8が設けられた領域と、多層配線部8が設けられていない領域とにおいて、絶縁基板2の厚み方向における厚さの差が大きくなるのを抑制し、検知電極3、配線導体または接続パッド7において変形が抑制されて、断線および剥がれが発生しにくいものとすることができる。
図3に示されるように、平面透視において、他の配線8bは配線8aに挟まれるように配置されている。このような構成とすることによって、配線8aが発熱電極4に接続される場合に、発熱電極4の大きさを平面透視で容易に大きいものとすることができるため、発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印可して発熱電極4を発熱させた場合に、発熱の領域が大きいものとなり検知電極3に付着したすす等の微粒子を良好に分解することができる。
また、図4に示されるように、平面透視において、配線8aと他の配線8bとが互いに挟まれる部分を有するように配置されている。このような構成とすることによって、配線8aまたは他の配線8bに接続される発熱電極4が、平面透視において絶縁基板2の中央部を含む領域に配置されるものとなり、平面透視で発熱電極4と、例えばくし歯状のパターンである検知電極3における検知特性に影響しやすいくし歯部とが重なるものとなって、発熱電極4を含む抵抗配線5に電圧を印可して発熱電極4を発熱させた場合に、検知電極3に付着したすす等の微粒子をより良好に分解することができる。
上記構成のセンサ基板1と、検知電極3および発熱電極4を含む抵抗配線5に電位を供給する電源部11とによって、実施形態のセンサ装置10が形成されている。電源部11の異なる電極(正極および負極等)は、互いに異なるリード端子9に接続されている。センサ装置10について、電源部11から検知電極3に約50ボルト(V)の電位が供給され、この電位による漏れ電流が検知される。この漏れ電流の値によって検知電極3の抵抗値が検出される。検知電極3の抵抗値は、例えば外部の測定検知回路(図示せず)によって測定される。また、この絶縁基板2に、検知電極3の抵抗値の測定用回路(図示せず)が配置されていてもよい。
電源部11は、例えばすす検出回路としては、外部電源(図示せず)と電気的に接続された端子および整流器、変圧回路等であり、外部電源から所定の電力が伝送される部分である。伝送された電力が電源部11において、検知電極3の抵抗値の測定に適した条件に整えられ、検知電極3に伝送される。
電源部11と検知電極3との電気的な接続は、例えば前述した接続パッド7と配線導体とを介して行なわれる。また、電源部11と発熱電極4を含む抵抗配線5との電気的な接続は、例えば前述した接続パッド7を介して行なわれる。なお、図1においては、接続パッド7と電源部11とを電気的に接続する導電性接続材等の接続用の導体を仮想線(二点鎖線)で模式的に示している。
上記実施形態のセンサ装置10は、上記構成のセンサ基板1を有していることから、検知の精度が高い。例えば、検知電極3が白金からなる場合であり、微粒子であるすすが検知される雰囲気(排気ガス)の温度が約550℃程度の場合には、白金の触媒反応によってすすが分解してしまい、すすが有効に検知されない。これに対して、実施形態のセンサ基板1であれば、検知電極3が触媒不活性であるため、すすの分解が抑制され、微粒子としてのすすの含有率が高い精度で検知される。
図5(a)は図1に示すセンサ基板およびセンサ装置の変形例を示す上面図であり、図5(b)は図1に示すセンサ基板およびセンサ装置の他の変形例を示す断面図である。図5において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
図5(a)の例では、検知電極3がくし歯状パターンである。また、二つの検知電極3が、互いにかみ合うような位置関係で配置されている。この場合には、例えば平面視における絶縁基板2の大きさをできるだけ小さく抑えながら、検知電極3の長さをより長くすることができる。検知電極3の長さが長いほど、検知電極3としての抵抗値の変化が大きくなりやすい。また、ガス中の微粒子の検知が容易になる。すなわち、ガス中の微粒子の含有量が小さい場合でも、その微粒子をより確実に検知することができる。
したがって、この場合には、ガス中の微粒子の検知の精度および感度の向上、および平面視における小型化の点でより有利なセンサ基板1およびセンサ装置10を提供することができる。
なお、図5(a)では、電源部11と検知電極3との電気的な接続を行なう接続パッド等の導体を仮想線(二点鎖線)で模式的に示している。
図5(b)の例では、接続パッド7にリード端子9が接合されている。この場合には、リード端子9のうち接続パッド7に接合されている端部と反対側の端部が外部電気回路の所定部位に接合され、電気的に接続される。すなわち、リード端子9を介してセンサ基板1(センサ装置10)の外部電気回路に対する電気的および機械的な接続が行なわれる。電源部11の異なる電極(正極および負極等)は、互いに異なるリード端子9に接続されている。リード端子9を介したセンサ基板1と外部電気回路との機械的な接続が行なわれる場合には、リード端子9の弾性変形によって、センサ基板1の絶縁基板2と外部電気回路が設けられている樹脂基板等の外部基板(図示せず)との熱膨張差に起因した熱応力等の応力の緩和がより容易になる。したがって、この場合には、外部接続の信頼性等の向上に有利なセンサ基板1およびセンサ装置10を提供することができる。
リード端子9は、接続パッド7と同様に、微粒子の検知のためのものではない。そのため、リード端子9を形成する材料は、その用いられる環境、センサ基板1としての生産性および経済性等の条件に応じて、適宜選択されて構わない。例えば、リード端子9が白金または金等の耐酸化性に優れた金属材料からなるものであれば、センサ装置10としての信頼性の点で有利である。また、リード端子9は、経済性等を重視して、鉄−ニッケル−コバルト合金等の鉄系合金、または銅等からなるもので形成しても構わない。また、リード端子9が鉄系合金からなるときに、その露出する表面が金めっき層等のめっき層で保護されていてもよい。
リード端子9の接続パッド7に対する接合は、例えば、銀ろう(銀銅ろう材)または金ろう等のろう材(符号なし)によって行なわれる。ろう材についても、リード端子9と同様に、センサ基板1が製造または使用されるときの種々の条件に応じて、適宜その材料が選択される。
なお、本発明のセンサ基板およびセンサ装置は、上記実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば種々の変更は可能である。

Claims (7)

  1. 絶縁基板と、
    該絶縁基板の主面に設けられた検知電極と、
    前記絶縁基板の内部に設けられ、発熱電極を含む抵抗配線とを有しており、
    該抵抗配線は、前記発熱電極に接続され、配線および他の配線が並列に接続された多層配線部を有しており、
    前記配線または前記他の配線は、前記発熱電極に接続された端部から他の端部にかけて幅が漸次狭くなっていることを特徴とするセンサ基板。
  2. 絶縁基板と、
    該絶縁基板の主面に設けられた検知電極と、
    前記絶縁基板の内部に設けられ、発熱電極を含む抵抗配線とを有しており、
    該抵抗配線は、前記発熱電極に接続され、配線および他の配線が並列に接続された多層配線部を有しており、
    前記配線および前記他の配線は、前記絶縁基板の厚み方向において隣接しており、平面透視で互いに重ならないように配置されていることを特徴とするセンサ基板。
  3. 前記多層配線部は、前記配線および前記他の配線が前記絶縁基板の厚み方向に多層に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ基板。
  4. 平面透視において、前記他の配線が前記配線に挟まれるように配置されていることを特徴とする請求項に記載のセンサ基板。
  5. 平面透視において、前記配線と前記他の配線とが互いに挟まれる部分を有するように配置されていることを特徴とする請求項に記載のセンサ基板。
  6. 前記検知電極は、くし歯状のパターンであり、互いにかみ合うように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセンサ基板。
  7. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセンサ基板と、
    前記発熱電極に電位を供給する電源部とを有していることを特徴とするセンサ装置。
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